JPH05329973A - 車両用制振剛性構造体 - Google Patents

車両用制振剛性構造体

Info

Publication number
JPH05329973A
JPH05329973A JP15899592A JP15899592A JPH05329973A JP H05329973 A JPH05329973 A JP H05329973A JP 15899592 A JP15899592 A JP 15899592A JP 15899592 A JP15899592 A JP 15899592A JP H05329973 A JPH05329973 A JP H05329973A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
material sheet
vehicle
damping
vinyl chloride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15899592A
Other languages
English (en)
Inventor
Noboru Hino
昇 日野
Takeshi Yamashita
剛 山下
Koji Maeda
孝司 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Zeon Corp
Zeon Kasei Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Zeon Kasei Co Ltd
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd, Zeon Kasei Co Ltd, Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP15899592A priority Critical patent/JPH05329973A/ja
Publication of JPH05329973A publication Critical patent/JPH05329973A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Body Structure For Vehicles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両のフロアパネル等振動し易い基板に熱融着
により一体的に結合し優れた制振性と高い剛性を発現し
車両室内騒音の低減に好適な構造体を提供する。 【構成】塩化ビニル樹脂,可塑剤,発泡剤,エポキシ樹
脂,エポキシ樹脂用硬化剤を必須成分としセミゲル状態
のスペーサー層(I),ブチルゴム系組成物からなる制
振材シート層(II)および金属シートからなる拘束材
層(III)からなる三層構造体を図1に示すような凹
凸のある振動基板上に積層し,塗装乾燥工程等の加熱工
程で,発泡および熱融着一体化を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,車両のフロアパネル,
ダッシュパネル,ホイルハウス等の振動し易い基板上に
熱融着成形により一体化される車両用制振剛性構造体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両のフロアパネル,ダッシュパネル,
ホイルハウス等の振動基板面には,従来よりアスファル
トを主成分とする熱融着型制振材が多用されている。ま
た,近年では,これらのアスファルト系制振材の上面に
拘束材としてスチールプレートやアルミニウムプレー
ト,或いはエポキシ樹脂,ジアリルフタレート樹脂等の
熱硬化性ポリマ−のシートを積層して,いわゆる拘束型
制振構造体として,制振性能と剛性の向上を図ることに
より振動の低減を図る手法が利用されている。さらに最
近では,アスファルトを主成分とする制振材シートを発
泡させる手法により,特に制振性能を向上させる試みも
なされている。しかしながら,これらの制振構造には以
下の問題点がある。すなわち,アスファルトを主成分と
する熱融着型制振材シートのみで車両の振動基板の制振
を図る,いわゆるダブルレイヤー型制振構造体では,そ
の制振性能を向上させるには厚みを増大させる必要があ
り,これは車両重量を増大させることになる。また,こ
のような構造では振動を低減させるもう一つの手法であ
る剛性の向上は殆ど期待できない。また,このアスファ
ルトを主成分とする制振材シートを発泡性のものとし,
前記重量の増加を抑制する技術も最近多く利用され始め
ているが,実際の発泡倍率は1.2〜1.5倍程度であ
り実用的重量範囲での制振性能の向上幅は大きなもので
はない。さらに,このアスファルトを主成分とする制振
材シートの上にスチールプレートやアルミニウムプレー
ト,或いは未硬化のエポキシ樹脂,ジアリルフタレート
樹脂等の熱硬化性ポリマーのシートを拘束材として積層
し,加熱により熱硬化性ポリマーを硬化させるとともに
両者を一体化することにより,いわゆるサンドイッチ型
制振構造とする場合には,前記ダブルレイヤー型制振構
造体よりも制振性,剛性は向上するものの,その性能を
大幅に向上させるためには制振材シート,拘束材シート
ともにかなりの板厚を必要とするため,この場合におい
ても車両重量をかなり増大させることになる。従って,
実用的板厚の範囲においては,ダブルレイヤー型制振構
造体よりも効果的な振動低減特性が得られるが,それで
も最近の車両室内の騒音低減の要求から考えれば性能に
不足を来たしているのが現状である。
【0003】また,車両の振動基板においては,その剛
性を向上させるためにプレスで凹凸を付与したものがフ
ロアパネル,ダッシュパネル,ホイルハウス等に用いら
れることが多く,拘束材シートにスチールプレートやア
ルミニウムプレートを使用したサンドイッチ型制振構造
体では,加熱融着時にこの凹凸部分に追従,一体化しな
いため,事前に振動基板面の凹凸形状と同一の凹凸形状
を付与しておかなければならないという問題もあり,金
属シートを拘束材シートに利用すれば大幅な剛性の向上
が期待できるとわかりつつも,その使用の範囲は限定さ
れたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,かか
る要望に基づき,従来の車両の振動基板に高い制振性と
剛性を付与し,必要に応じて車両の振動基板の凹凸形状
にも追従する車両用の制振剛性構造体を提供するもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,車両に
おける振動基板上に積層される発泡性熱硬化樹脂シート
よりなるスペーサー層(I)と該スペーサー層上に積層
される制振材シート層(II)および該制振材シート層
上に積層される拘束材シート層(III)より構成さ
れ,これらのシートおよび振動基板の接触面が加熱によ
り融着一体化するとともに,スペーサー層(I)が発泡
することを特徴とする車両用制振剛性構造体において,
スペーサー層(I)が塩化ビニル樹脂,可塑剤,発泡
剤,エポキシ樹脂,エポキシ樹脂用硬化剤を必須成分と
し,塩化ビニル樹脂100重量部に対しエポキシ樹脂が
20〜500重量部であり,かつ塩化ビニル樹脂がセミ
ゲル状態であり,制振材シート層(II)がブチルゴ
ム系組成物よりなり,拘束剤シート層(III)が金
属シートであることを特徴とする車両用制振剛性構造体
により提供されるものである。また,本発明は前記構造
体を車両の振動基板と融着一体化させることにより車両
の重量増加が少ない範囲で優れた制振性能を付与すると
ともに剛性も飛躍的に向上させることができ,かつ必要
に応じては凹凸のある車両の振動基板と融着一体化でき
る車両用構造体を提供するものである。さらに,この種
の車両用構造体としては,塗装等の乾燥工程での加熱処
理により各層の反応,発泡,融着一体化を完了させる必
要があるが,本発明にかかわる構造体はまさしくこれら
の要求に適うものである。
【0006】以下、本発明に関する各構成層について説
明する。本発明に使用されるスペーサー層(I)は発泡
性熱硬化樹脂シートで,制振剛性構造体におけるスペー
サーとしての機能を付与するものであり,車両用制振剛
性構造体におけるスペーサーとしての好ましい性状は,
軽量で剛性が高く,かつ塗装乾燥工程等で振動基板に密
着,固定され,しかも,この工程で高倍率の発泡作用が
あることである。本発明に供する発泡性熱硬化樹脂シー
トは,少なくとも塩化ビニル樹脂,可塑剤,発泡剤,エ
ポキシ樹脂,エポキシ樹脂用硬化剤を必須成分とし,そ
の他,任意の気泡調整剤,充填剤,顔料,熱安定剤,粘
度調整剤等からなる組成であり,予め,発泡剤の分解温
度以下でシート状に加工されたものであって,塩化ビニ
ル樹脂がセミゲル状態にあり,次の加熱工程において,
120〜200℃で発泡し,エポキシ樹脂の架橋反応に
より硬化し得るものである。ここで塩化ビニル樹脂がセ
ミゲル状態にあるとは,エポキシ樹脂の硬化反応は無視
しうる程度であり,塩化ビニル樹脂のみが,可塑剤が内
部に浸透し,ゲル化が始まっている状態を指称するもの
であり,このようにセミゲル状態にすることにより,シ
ート形状が保持され取扱が容易になる。
【0007】本発明に使用される塩化ビニル樹脂として
は,塩化ビニル単独重合体のみならず,塩化ビニルと酢
酸ビニル,アクリル酸,メタアクリル酸,アクリル酸エ
ステル,メタアクリル酸エステル,マレイン酸,フマル
酸,マレイン酸エステル,フマル酸エステル,イタコン
酸,塩化ビニリデン,ビニルエーテル等の公知の共重合
体を単独あるいは混合して使用することができる。塩化
ビニル重合体および塩化ビニル共重合体は,乳化重合,
懸濁重合等の公知の重合方法で製造したものが使い得る
が,特に,ペースト用の乳化重合またはマイクロ懸濁重
合等で製造したものがシート化の容易さ,発泡時の気泡
構造の観点から好ましい。
【0008】可塑剤としては,ジオクチルフタレート,
ジブチルフタレート等のフタル酸エステル,トリクレジ
ルフォスフェート等のリン酸エステル,ジオクチルアジ
ペート,ジオクチルセバケート等の脂肪酸エステル,ア
ジピン酸とエチレングリコールとの縮合体であるような
ポリエステル類,トリオクチルトリメリテート等のトリ
メリット酸エステル,塩素化パラフィン,アルキルベン
ゼン,アロマチック等の公知の塩化ビニル用可塑剤を単
独または混合して使用することができる。可塑剤の添加
量は特に限定するものではないが,塩化ビニル樹脂10
0重量部に対し10〜100重量部の範囲で使用するの
が好ましい。添加量が10重量部以下では,その他の添
加剤の量にもよるが,発泡倍率が向上しない。また,1
00重量部以上では,弾性率が低くなり剛性を向上させ
る効果が低減する。
【0009】発泡剤は,高温分解型の有機または無機の
発泡剤,高温膨張型マイクロカプセル等が用いられる
が,その好ましいガス発生温度は,車両の塗装乾燥工程
の加熱を利用することを考慮すれば100〜200℃で
ある。また,ガス発生温度が100℃以下の場合はシー
トのセミゲル化時に発泡が始まったり,加熱,発泡時に
樹脂の溶融が不充分なため発生ガスが抜けることにより
発泡倍率が向上しない場合が生じる。また,200℃を
越えると該組成物の加工温度が高くなりすぎ,劣化が生
じたりして品質の良好な発泡体が得られ難くなる。この
ような有機発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミ
ド,p−トルエンスルホニルヒドラジド,ジニトロソペ
ンタメチレンテトラミン,4,4’−オキシビスベンゼ
ンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。これらの有機
発泡剤のガス発生温度は,尿素,亜鉛化合物,鉛化合物
等の添加により任意に調整することができる。また,無
機発泡剤としては,例えば炭酸水素ナトリウム,水素化
ホウ素ナトリウム等が,高温膨張型マイクロカプセルと
しては,例えば塩化ビニリデン樹脂で低沸点炭化水素を
カプセル化したもの等が挙げられるが,発泡倍率や経済
性等の観点からは有機発泡剤が好適である。これらの発
泡剤は1種で用いてもよいし,2種以上を組み合わせて
もよく,その添加量は目的とする発泡倍率等により決定
されるが前記塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.
5〜15重量部の範囲で添加するのが好ましい。添加量
が0.5重量部以下では発泡倍率が低く,15重量部以
上ではその添加量の割には発泡倍率が向上せず,経済的
に不利となるからである。さらに,均一な気泡径を得る
ためにはこれらの発泡剤の粒子径は小さいものの方が有
利であり,発泡剤の平均粒子径は20μm以下,好まし
くは1μm以下の粒径分布の均一なものが好ましい。
【0010】また,本発明におけるスペーサー層の組成
物においては,前記塩化ビニル樹脂100重量部に対し
て20〜500重量部のエポキシ樹脂が用いられる。こ
のエポキシ樹脂としては,例えばビスフェノールA,ビ
スフェノールFまたはレゾルシンをベースとするグリシ
ジルエーテル,フェノールノボラック樹脂またはクレゾ
ールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテール,水素
化ビスフェノールAのグリシジルエーテル,グリシジル
アミン,線状脂肪族エポキシド等が挙げられ,好ましい
エポキシ当量としては100〜300のものである。こ
れらのエポキシ樹脂は所望する発泡体の物性に応じて単
独または組み合わせて使用することができ,その添加量
は塩化ビニル樹脂100重量部に対して20〜500重
量部,好ましくは50〜200重量部である。添加量が
20重量部以下では可塑剤等,他の添加剤との関係もあ
るが,スペーサーの機能を発揮するに充分な弾性を保持
する発泡体が得難く,500重量部を越えると硬化反応
時の発熱が大きくなり,塩化ビニルの分解を招いたり,
発泡剤の発生ガスによる膨張を抑制することにより,高
倍率の発泡体を得難く成るなどの不都合が生じる。
【0011】さらに,本発明のスペーサー組成物におい
ては,エポキシ樹脂用硬化剤が用いられる。このエポキ
シ樹脂用硬化剤はエポキシ樹脂との組み合わせで発熱ピ
ーク温度が100〜200℃の範囲にあるものが好まし
く,このようなものとしては,例えば,ジシアンジアミ
ド,4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン,2−n
−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導
体,イソフタル酸ジヒドラジド,N,N’−ジアルキル
尿素誘導体,N,N’−ジアルキルチオ尿素誘導体,テ
トラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物,イソホロジ
アミン,N−アミノエチルピペラジン ,三フッ化ホウ
酸錯化合物等が挙げられる。これらの硬化剤は,1種類
で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いても
よい。また,その添加量は,一般には前記エポキシ樹脂
に対し,0.5〜20重量%である。0.5重量%以下
ではエポキシ樹脂の硬化が不充分なときがあり,その場
合は発泡体の弾性率が向上せず,本発明構造体は所望す
る剛性の向上が図れない。また,20重量%以上を添加
しても,その添加量の割りには発泡体の弾性率は向上せ
ず,経済的,技術的意味がなくなる。
【0012】また,本発明におけるスペーサー組成物に
おいては,前記必須成分の他に初期の混合を容易にした
り、充填剤等の添加量を増加させる等の目的でエポキシ
樹脂用希釈剤を添加しても勿論構わない。この希釈剤と
しては,例えばブチルグリシジルエーテル,フェニルグ
リシジルエーテル,クレジルグリシジルエーテル等の反
応性希釈剤や,ジブチルフタレート,トリクレジルフォ
スフェート,ブチルベンジルフタレート,アロマティッ
クプロセスオイル,パインオイル等の非反応性希釈剤を
挙げることができる。これらの希釈剤は,通常前記エポ
キシ樹脂に対して5〜100重量%の範囲で選択され
る。さらに本発明におけるスペーサー組成物において
は,前記成分の他に,例えば炭酸カルシウム,タルク,
クレーのような充填剤,塩化ビニル用熱安定剤,気泡調
整剤および着色剤等が添加できる。前記配合剤の添加量
は.通常,塩化ビニル樹脂100重量部に対し,充填剤
は0〜200重量部,塩化ビニル用熱安定剤は1〜10
重量部,気泡調整剤は0〜10重量部の範囲である。充
填剤が200重量部以上添加されると,発泡体の気泡の
微細性が失われたり,発泡倍率が向上しなくなる。熱安
定剤や気泡調整剤は10重量部以上添加しても,その効
果は上がらない。本発明におけるスペーサー組成物は,
塩化ビニル樹脂に可塑剤,発泡剤,エポキシ樹脂,エポ
キシ樹脂用硬化剤のほか,必要に応じてエポキシ樹脂用
希釈剤,充填剤,塩化ビニル用熱安定剤,着色剤等を加
え,通常知られている混練機により均一化,調整され
る。
【0013】かかるスペーサー層の発泡倍率は2〜30
倍,好ましくは5〜10倍である。発泡倍率が2倍以下
のものは,勿論スペーサー層としての機能は果たしうる
が,軽量性の観点から本発明の主旨とするところではな
く,30倍以上の発泡倍率にすると発泡体の気泡強度が
不足し,車両の使用部位によっては耐久性に問題が生じ
る可能性がある。また,かかるスペーサー層の発泡前の
厚さは,適用する振動基板の凹凸の有無および凹凸の深
さと発泡倍率にもよるが,振動基板に凹凸が無い場合は
0.2〜10mm,振動基板に凹凸がある場合は1.0
〜10mmであり,好ましくは前者の場合は0.5〜5
mm,後者の場合は1.5〜5mmである。振動基板に
凹凸が無い場合,0.2mm以下の場合はスペーサーと
しての有効な機能を果たし得ず,10mm以上の場合
は,その発泡倍率にもよるが,本発明の目的である車両
用途においては車内空間が狭くなり実用的でなくなると
ともに塗装乾燥工程を利用する場合には均質な発泡体が
得られなくなる。また,振動基板に凹凸が存在する場合
においては,その凹凸の深さ,発泡倍率にもよるが,
1.0mm以下の厚さでは発泡後の発泡体が振動基板の
凹凸に完全に充填せず部分的発泡体と振動基板との間に
空隙が残り,有効な振動減衰効果が得られない場合が生
じる。また,10mm以上の場合の不都合は,振動基板
に凹凸がある場合と同じである。
【0014】本発明の構造体に供せられる制振材シート
(II)は,本構造において制振機能を付与するもので
ある。本発明による構造体は,いわゆるスペーサー付拘
束型制振構造であり,かかる構造体に適する制振材とし
ては,その板厚,弾性率,評価温度等にも依存するが,
制振材そのものの持つ損失係数が高く,弾性率の比較的
低い材料が適している。このような条件を満足する材料
としてはブチルゴムが好適である。ここで用いるブチル
ゴムは特に限定されるものではなく,一般に使用される
不飽和度0.5〜3.0程度のものでよく,また,ハロゲ
ン化ブチルゴムを使用しても差支えない。本発明の制振
材の組成においては,前記ブチルゴムの他に,制振材と
しての機能を損なわず,また,車両等のフロアパネル等
の成形時あるいは車両の使用時の支障が無い限り成形性
の改良,損失係数の向上等の目的で軟化剤を始めカーボ
ン等の補強剤,炭酸カルシウム,タルク,クレー,グラ
ファイト,マイカ等の充填剤,ハロゲン化合物,酸化ア
ンチモン,ホウ酸亜鉛水和物,水酸化アルミニウム等の
難燃剤,熱安定剤,滑剤,紫外線防止剤,酸化防止剤,
着色剤等を使用することができる。さらに,耐久性を向
上させるために,成形時や融着時に支障が無い範囲で硫
黄等の加硫剤等を添加してもよい。本制振材シートの厚
みは特に規定するものでは無いが,車両用の構造体とし
て成形されることを考慮すると3mm以下,好ましくは
1mm以下で使用するのが好ましい。3mm以上の厚さ
では,本発明の目的の一つである軽量化に反するととも
に,厚さの割りには効果的な損失係数が得られず,経済
的に不利である。また,厚さの下限は設けない。なぜな
ら,本発明の構造体は先に述べたとおりスペーサー付拘
束型制振構造であるため,制振材シートは薄くともその
機能は発現しうるからである。本制振材シートの成形法
は特に限定されないが,一般的には,バンバリーミキサ
ー等による混練後,カレンダー等によりシート成形を行
えばよい。
【0015】本発明の構造体に供される拘束材シート
(III)は制振材シート(II)の振動による変形を
拘束し,制振シートに剪断変形を作用させることにより
大きな損失係数を付与するためのものである。かかる,
拘束材シートに供する材料は,弾性率が高く,且つ車両
用材料としての機能を損なわないものが好ましい。この
ような条件を満足する材料としては,金属シートが最適
であり,特にスチールプレート,アルミニウムプレート
は入手の容易さの観点から好適である。このような拘束
材シートに供せられる金属シートの厚さは,金属の種類
による弾性率の相違により変わりうるが、スチールプレ
ートやアルミニウムプレートの場合は0.01〜1mm
の範囲で充分である。0.01mm以下の場合は,拘束
材シートとしての機能が低く,強度上の問題も生じる。
また,1mm以上の場合は,金属シートの比重が高いた
め,重量が大きくなり本発明の主旨の一つである軽量化
に反することになる。
【0016】以上のような本発明に関する構造体の製造
は,スペーサーシート層(I),制振材シート層(I
I),拘束材シート層(III)の各層を個別に車両の
振動基板上に載置し,塗装乾燥工程等の加熱により振動
基板,スペーサーシート層(I),制振材シート層(I
I)および拘束材シート層(III)を相互に融着およ
びスペーサーシート層(I)を発泡させてもよいし,予
め各を積層させておいたものを塗装乾燥工程等の加熱に
より振動基板と融着およびスペーサーシート層(I)を
発泡させてもよい。勿論,スペーサーシート層(I)と
制振材シート層(II),あるいは制振材シート層(I
I)と拘束材シート層(III)を事前に積層しておい
たものを用いてもよいことは言うまでもない。
【0017】
【発明の効果】以上説明したとおり,本発明にかかわる
車両用制振剛性構造体は,車両のフロアパネル,ダッシ
ュパネル,ホイルハウス等の振動基板上に載置し,加熱
により各層および振動基板間を強固に固定させることが
できる。このようにして得られる構造体は,広い温度範
囲にわたって優れた制振性と高い剛性を併せ持つ構造体
となり,車両の車内騒音低減材料として好適である。
【0018】
【実施例】以下,本発明を実施例および比較例により説
明する。なお,供した材料及び試験方法は次のとおりで
ある。 (1)試験材料 振動基板:0.8mm厚の鋼板 発泡性熱硬化樹脂シート:表1に示す配合比で発泡
性熱硬化樹脂組成物をホバートミキサーで20分間混合
して作成した後,剥離紙上に所定の厚さで塗布した。こ
れを120℃で100秒間加熱し,ペースト塩化ビニル
樹脂のみをセミゲル化したシートを作成した。
【0019】
【表1】
【0020】 制振材シート:表2に示す配合比で制
振材組成物をロールで混練した後,熱プレスにて所定の
厚さに調整した。
【0021】
【表2】
【0022】 拘束材シート:スチールプレート(材
料No.E)およびアルミニウムプレート(材料No.
F)を使用した。また,比較例として市販のアスファル
ト系制振シート(材料No.G)および発泡アスファル
ト系制振シート(材料No.H)を使用し,厚みの調整
は熱プレスで行なった。
【0023】(2)試験方法 制振性,剛性試験 振動基板層にスペーサー層,制振材シート層,拘束材シ
ート層を載置し,145℃,30分で加熱,発泡と各層
の融着を行い,構造試験体を作成した。これを20,4
0,60℃の雰囲気にて損失係数と剛性比を測定した。
それぞれの構成体の寸法は150×300mmである。
損失係数は,共振周波数の半値幅から算出し,内挿法に
より200Hzの損失係数を求めた。また,剛性の算出
は,振動基板の剛性に対する比を次の数1の式により求
めた。
【0024】
【数1】剛性比=(f0/f)2・{(m1+m2)/m1
【0037】ここで,f0 :複層構造体とした時の共振
周波数(Hz) f :鋼板単体のときの共振周波数(Hz) m1 :鋼板単体のときの面密度(kg/m2) m2 :複層構造体とした時の面密度(kg/m2) である。
【0025】 凹凸充填性試験 スペーサー層,制振材シート層,拘束材シート層を図1
(a)正面図,(b)側面図に示す凹凸形状を持つ鋼板
上に載置し145℃,30分で加熱,発泡と各層管の融
着を行うとともに,発泡層の凹部への充填性を見た。評
価は次の基準に従って判定した。なお,凹凸形状の波の
高さは7.8mmであり,試験体寸法は20×250m
mである。 ◎ : 完全に気泡体が凹部に充填している。 ○ : 凹部のコーナー部にわずかな隙間が観察される
が,ほぼ完全に充填している。 △ : 凹部のコーナー部に隙間が観察されるが,実用
上差し障りのない程度である。 × : 殆ど発泡体が凹部に充填していない。 ××: 完全に発泡体が凹部に充填していない。
【0026】実施例試験体の構成と結果を表3に,比較
例試験体の構成と結果を表4に示す。なお,表3,表4
中の発泡倍率は,発泡スペーサー層の発泡後の厚みを発
泡前の厚みで除した値である。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸充填性試験に使用した鋼板の(a)正面図
および(b)側面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 63/00 NJN 8830−4J (72)発明者 山下 剛 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 前田 孝司 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両における振動基板上に積層される発
    泡性熱硬化樹脂シートよりなるスペーサー層(I)と該
    スペーサー層上に積層される制振材シート層(II)お
    よび該制振材シート層上に積層される拘束材シート層
    (III)より構成され,これらのシートおよび振動基
    板の接触面が加熱により融着一体化するとともに,スペ
    ーサー層(I)が発泡することを特徴とする車両用制振
    剛性構造体において,スペーサー層(I)が塩化ビニ
    ル樹脂,可塑剤,発泡剤,エポキシ樹脂,エポキシ樹脂
    用硬化剤を必須成分とし,塩化ビニル樹脂100重量部
    に対しエポキシ樹脂が20〜500重量部であり,かつ
    塩化ビニル樹脂がセミゲル状態であり,制振材シート
    層(II)がブチルゴム系組成物よりなり,拘束剤シ
    ート層(III)が金属シートであることを特徴とする
    車両用制振剛性構造体。
JP15899592A 1992-05-27 1992-05-27 車両用制振剛性構造体 Pending JPH05329973A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15899592A JPH05329973A (ja) 1992-05-27 1992-05-27 車両用制振剛性構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15899592A JPH05329973A (ja) 1992-05-27 1992-05-27 車両用制振剛性構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05329973A true JPH05329973A (ja) 1993-12-14

Family

ID=15683928

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15899592A Pending JPH05329973A (ja) 1992-05-27 1992-05-27 車両用制振剛性構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05329973A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1378343A3 (en) * 2002-07-05 2004-03-24 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) Foamed resin laminate sound insulation board and method for manufacturing the same
JP2013181155A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Nitto Denko Corp 制振シート

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1378343A3 (en) * 2002-07-05 2004-03-24 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) Foamed resin laminate sound insulation board and method for manufacturing the same
JP2013181155A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Nitto Denko Corp 制振シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0500009B1 (en) Foamable epoxy resin composition
JP2940720B2 (ja) 車両用制振剛性構造体
JP5415698B2 (ja) 制振補強シート、および薄板の制振補強方法
US4830908A (en) Vehicle outer panel structure and method of producing same
JPH1160900A (ja) 車体補強用エポキシ樹脂系組成物および車体の補強方法
US20060182974A1 (en) Multi-layer sandwich materials with epoxide-based organic interlayers
GB2040187A (en) Method of producing an improved vibration damping and sound absorbing coating on a rigid substrate
JP2006512456A (ja) 熱活性化エポキシ接着剤及びその構造発泡挿入体における使用
JP2012219257A (ja) 充填封止用発泡組成物、充填封止発泡部材および充填封止用発泡体
JPH0669739B2 (ja) パネル補強用シート材料及びそれを用いた車輌外板パネル構造体
EP1632523B1 (en) Pasty heat-expandable filler composition and method of sound insulation by filling closed section of car body member
JP3183738B2 (ja) 車両用制振補強構造体
JPH05329973A (ja) 車両用制振剛性構造体
JP2940718B2 (ja) 車両パネル用剛性構造体
JP2548656B2 (ja) エポキシ樹脂系発泡性組成物
JP2006008730A (ja) 油膜被覆鋼材と発泡した硬化エポキシ樹脂充填材との接着性の増強剤
JPH08267665A (ja) 薄板補強用接着シート
JPH05194781A (ja) エポキシ樹脂系発泡性組成物
JP3381737B2 (ja) 車両用制振構造体
US3717499A (en) Article with filled cavity
JPH07256808A (ja) 制振性構造体及び制振構造体
JPH0788997A (ja) 剛性断熱構造体
JPH0443505B2 (ja)
JP2000169756A (ja) 騒音防止用アンダーコート剤
JPH0473138A (ja) 車輛用構造体