JPH07247571A - 鋼管杭の補強方法 - Google Patents

鋼管杭の補強方法

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JPH07247571A
JPH07247571A JP23886794A JP23886794A JPH07247571A JP H07247571 A JPH07247571 A JP H07247571A JP 23886794 A JP23886794 A JP 23886794A JP 23886794 A JP23886794 A JP 23886794A JP H07247571 A JPH07247571 A JP H07247571A
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JP
Japan
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steel pipe
pipe pile
epoxy resin
plate
pile
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Application number
JP23886794A
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English (en)
Inventor
Tokihide Kinoshita
鬨英 木下
Hiromichi Jinno
▲廣▼通 神野
Takashi Minato
俊 湊
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SAEKI KENKO KK
Sekisui Chemical Co Ltd
Sanko Co Ltd
Original Assignee
SAEKI KENKO KK
Sekisui Chemical Co Ltd
Sanko Co Ltd
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Publication date
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  • Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】錆の進行を抑制すると同時に、鋼管杭の補強効
果を得ることのできる有効な補強方法を提供することを
目的としている。 【構成】鋼管杭1の外周面を外構板2で囲繞するととも
に、この鋼管杭1と外構板2との間隙3に、キレート効
果を有するエポキシ樹脂4を充填して鋼管杭1の錆面を
安定化させると同時に、該鋼管杭1と外構板2との接着
一体化による補強を行う鋼管杭1の補強方法。また、こ
の補強方法において、エポキシ樹脂4の充填に先立っ
て、鋼管杭1と外構板2との間隙3に細粒骨材5を充填
する補強方法。さらに、あらかじめ外構板2の内面に、
キレート効果を有し、かつ、水中または海水中で拡散し
ないで、20℃における粘度が120万〜220万cp
sのエポキシ樹脂4を塗布しておき、この外構板2で鋼
管杭1の外周面を圧着するように囲繞し、鋼管杭1と外
構板2との接着一体化による補強を行う補強方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、錆びて老朽化した桟橋
などの鋼管杭を補強する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、海水の腐食作用を受ける鋼管
杭の防食対策工法としては、石油樹脂系のペトララタム
テープの巻きつけ工法が知られている。すなわち、この
工法は潜水夫が海中に潜って幅20〜30cmの長尺テ
ープを鋼管杭に巻きつけて行く工法である。
【0003】また、別の防食対策工法としては、鋼板も
しくはFRP板で外構を形成して鋼管杭の外側に被覆さ
せるといったものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の工
法のうち、巻きつけ工法の場合、非常に作業効率が悪く
なるとともに、潜水夫という特殊作業者を要するので、
作業に要する工費負担が大きくなるといった不都合を生
じる。また、老朽化した鋼管杭の補強効果を持つもので
はなく、単に腐食の進行を遅らせる程度のものでしかな
いので、経時的に腐食が進行するとともに、強度が低下
してしまうといったことになる。
【0005】また、外構を形成する工法の場合も、単に
腐食の進行を遅らせる程度のものであって、鋼管杭の錆
の進行を止めるものではないので、経時的に腐食が進行
してしまうといった不都合を生じる。
【0006】本発明は、係る実情に鑑みてなされたもの
で、錆の進行を抑制すると同時に、鋼管杭の補強効果を
得ることのできる有効な補強方法を提供することを目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の鋼管杭の補強方法は、図1および図2に示す
ように、鋼管杭1の外周面を外構板2で囲繞するととも
に、この鋼管杭1と外構板2との間隙3に、キレート効
果を有するエポキシ樹脂4を充填して鋼管杭1の錆面を
安定化させると同時に、該鋼管杭1と外構板2との接着
一体化による補強を行うものである。
【0008】また、図3に示すように、上記補強方法に
おいて、エポキシ樹脂4の充填に先立って、鋼管杭1と
外構板2との間隙3に細粒骨材5を充填するものであ
る。
【0009】鋼管杭1は、その外周面の老朽化がひど
く、孔が開いているような場合には、あらかじめ溶接な
どによって孔を閉塞した状態にしておいてもよい。
【0010】まず、この鋼管杭1の外周面は、外構板2
で囲繞される。
【0011】この際、使用する外構板2は、鋼板を半円
形状に湾曲させた半円筒体形状のもので、その長辺方向
に沿ってフランジ部21が形成されている。また、外構
板2の内面には、長辺方向に沿って4か所に隔壁6が設
けられている。
【0012】この外構板2によって鋼管杭1の外周面を
囲繞するには、鋼管杭1を取り囲むようにして2枚の外
構板2を組み合わせ、フランジ部21同士をボルトナッ
ト7で締結固定することによって実施することができ
る。この囲繞により、鋼管杭1の外周面との間に適宜の
間隙3が形成されるとともに、外構板2の内面に設けた
隔壁6が、鋼管杭1の外周面に圧接されることとなり、
間隙3が4か所のエポキシ樹脂充填部30に分割され
る。
【0013】この間隙3の幅としては、特に限定される
ものではないが、あまり幅が薄いと、鋼管杭1と外構板
2との充分な接着強度が得られず、あまり幅が厚いと大
量のエポキシ樹脂4が必要となる。そのため、具体的な
間隙3の幅としては、3〜6mmの範囲内の適宜の幅に
することが好ましい。
【0014】また、この間隙3は、隔壁6によって4か
所に分割するものに限定されるものではなく、隔壁6を
設ける数を変更することで適宜の数に変更することがで
きる。もちろん、隔壁6を設けずに、間隙3そのものを
エポキシ樹脂充填部30としてもよい。この間隙3を分
割する隔壁6としては、ゴムなどの弾性材料からなるも
のを用いることが好ましい。
【0015】この外構板2の取り付け後は、各エポキシ
樹脂充填部30に対応して外構板2に設けられたエポキ
シ樹脂充填口20からエポキシ樹脂4の充填が行われ
る。このエポキシ樹脂4の充填は、各エポキシ樹脂充填
部30に充填してもよいし、特定のエポキシ樹脂充填部
30にだけ充填してもよい。また、特定のエポキシ樹脂
充填部30にだけエポキシ樹脂4を充填する場合は、充
填しないエポキシ樹脂充填部30に冷却水を流しながら
充填作業を行ってもよい。この場合、エポキシ樹脂4充
填時の発熱による発泡が抑制され、良好な充填状態が得
られる。
【0016】なお、この時用いられるキレート効果を有
するエポキシ樹脂4としては、特に限定されるものでは
ない。例えば、エポキシ樹脂中エポキシ基の一部を一塩
基性脂肪酸で変性し、残ったエポキシ基とキレート形成
能を有する、2以上の隣接するフェノール性水酸基を有
し、かつ1個の遊離のカルボキシル基を有する脂肪酸誘
導体とを反応させたキレート形成樹脂、アミン価10以
下のポリアミド樹脂とエポキシ樹脂の反応物の残存エポ
キシ基に没食子酸を反応させて得られるキレート形成能
を有するエポキシ−ポリアミド樹脂とリン酸系化合物か
ら成る組成物、エポキシ樹脂中のエポキシ基の一部とサ
リチル酸、没食子酸又はこれらのエステル化物とを反応
させて得られる部分エステル化物に更にエポキシ樹脂、
ビニル樹脂、フッ素樹脂などを加えてなる有機溶剤で希
釈した1液型あるいは2液型樹脂等が挙げられる。代表
的なものとしては、一般化学構造式1に示すようなイソ
シアネート硬化型のものや、一般化学構造式2に示すよ
うなアミン硬化型のものが挙げられる。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】このようにキレート効果を有するエポキシ
樹脂4は、図4に示すように、錆びた鋼管杭1の表面に
接着すると、錆面の水酸化鉄と反応してキレート化合物
を作ることとなる。そして、これにより、錆の安定化が
図られ、錆の進行が抑制されることとなる。
【0020】また、このエポキシ樹脂4の粘度は、あま
り高すぎると、錆びた鋼管杭1と外構板2との間隙3に
充填しにくくなる。また、エポキシ樹脂4の粘度が低い
と、鋼管杭1の腐食が激しく、該鋼管杭1を貫通する腐
食孔が形成されているような場合、この腐食孔から鋼管
杭1の内部にエポキシ樹脂4が流入して間隙3にエポキ
シ樹脂4を充填できなくなってしまう。そのため、エポ
キシ樹脂4としては、該エポキシ樹脂4に充填材を混入
して粘度調節したものが用いられる。具体的には、充填
材として比重が大きく、かつ、粒度の小さいケイ砂8号
等を混入して粘度が1500〜2500cps(20
℃)程度に調製されたものを用いるのが好ましい。
【0021】ただし、図3に示すように、鋼管杭1と外
構板2との間隙3に細粒骨材5を充填する場合は、この
細粒骨材5に充分に浸透する粘度のエポキシ樹脂4を用
いなければならない。具体的には300cps(20
℃)以下のものを用いることが好ましい。
【0022】また、細粒骨材5としても、あまり微細す
ぎると、エポキシ樹脂4の浸透を阻害したり、エポキシ
樹脂が腐食孔から鋼管杭へ流入するのを防ぐことができ
ない。あまり荒すぎると、鋼管杭1と外構板2との間隙
3に充填し難くなる。そのため、細粒骨材5としては、
これらを考慮して、1〜3mm程度の粒径のものを用い
るのが好適である。具体的な細粒骨材5としては、ケイ
砂が挙げられる。
【0023】なお、この細粒骨材5を充填する場合の外
構板2は、上部に拡径されたホッパー22が形成される
とともに、垂直方向に沿って等間隔で4か所のエポキシ
樹脂充填口20a、20b、20c、20dが形成され
たものが用いられる。この場合、エポキシ樹脂4および
細粒骨材5の充填は、次のようにして行われる。
【0024】すなわち、図3に示すように、まず、エポ
キシ樹脂充填口20bの位置まで、ホッパー22から細
粒骨材5を充填し、エポキシ樹脂充填口20aからエポ
キシ樹脂4を充填する。ついで、エポキシ樹脂充填口2
0cの位置まで、ホッパー22から細粒骨材5を充填
し、エポキシ樹脂充填口20bからエポキシ樹脂4を充
填する(図3(b) 中1点鎖線参照)。ついで、エポキシ
樹脂充填口20dの位置まで、ホッパー22から細粒骨
材5を充填し、エポキシ樹脂充填口20cからエポキシ
樹脂4を充填する(図3(b) 中2点鎖線参照)。最後
に、間隙3の全体にホッパー22から細粒骨材5を充填
し、最上部のエポキシ樹脂充填口20dからエポキシ樹
脂4を充填する。
【0025】このように、4段に分けてエポキシ樹脂4
および細粒骨材5を充填することで、細粒骨材5中に充
分かつ確実にエポキシ樹脂4を浸透させることができ
る。
【0026】なお、この場合エポキシ樹脂4の浸透具合
は、間隙3の幅、エポキシ樹脂4の粘度、細粒骨材5の
粒径などによって左右されるため、各エポキシ樹脂充填
口20a、20b、20c、20dの間隔を一概に述べ
ることはできないが、50cm以下程度に設定すること
が好ましい。そのため、エポキシ樹脂充填口20a、2
0b、20c、20dも4か所に限定されるものではな
く、鋼管杭1を囲繞する外構板2の長さに応じて決定さ
れる。
【0027】さらに、上記課題を解決するための本発明
の鋼管杭の補強方法としては、図5に示すように、あら
かじめ外構板2の内面に、キレート効果を有し、かつ、
水中または海水中で拡散しないで、20℃における粘度
が120万〜220万cpsのエポキシ樹脂4を塗布し
ておき、この外構板2で鋼管杭1の外周面を圧着するよ
うに囲繞し、鋼管杭1と外構板2との接着一体化による
補強を行うものである。
【0028】この場合、外構板2の内面に、あらかじめ
エポキシ樹脂4を塗布するため、外構板2は、フランジ
面21の内側の2ヵ所に、外構板2の長手方向に沿って
隔壁6が設けられたものを使用する。また、このエポキ
シ樹脂4を介して鋼管杭1の外周面に外構板2を圧着す
るため、エポキシ樹脂4によって充分に圧着できるよう
に、エポキシ樹脂4は、鋼管杭1の外周面と外構板2の
内周面との間に形成される間隙の容積よりも若干多くな
る容量で塗布されることが好ましい。この際、エポキシ
樹脂4は、あまり粘度が低いと流れてしまい、所望の厚
みに塗布することができず、粘度が高すぎると、後に鋼
管杭1と圧着および接着しない。そのため、エポキシ樹
脂4の粘度としては、20℃において120万〜220
万cpsで好ましくは160万〜200万cpsのもの
が使用される。
【0029】
【作用】本発明によると、エポキシ樹脂中に含有したキ
レート剤が、鋼管杭の錆面の水酸化鉄と反応してキレー
ト化合物を形成し、該鋼管杭の錆面を安定錆に転換して
錆の進行を抑制することとなる。また、エポキシ樹脂
は、鋼管杭と外構板とを接着一体化し、鋼管杭を補強す
ることとなる。
【0030】また、細粒骨材を使用することにより腐食
孔から鋼管杭の内部にエポキシ樹脂が流入するのを防ぐ
ことができる。
【0031】さらに、あらかじめ内面にエポキシ樹脂を
塗布した外構板で鋼管杭の外周面を圧着するように囲繞
することで、このエポキシ樹脂が鋼管杭と外構板とを接
着一体化し、鋼管杭を補強することとなる。
【0032】
【実施例】以下、本発明に係る実施例と、これらの比較
対象となる比較例とを示し、本発明について優れている
所以を明らかにする。
【0033】
【実施例1】 (1)鋼管杭の補強 図1に示すように、内径532φmm、外径550φm
m、厚さ9mmの鋼管杭1の外周面に、内径562φm
m、外径572φmm、厚さ5mm、長さ5000mm
の外構板2を囲繞し、鋼管杭1の外周面と、外構板2の
内周面との間に、厚さ6mm、長さ5000mmの間隙
3を形成した。ただし、間隙3には、幅10mmの隔壁
6を均等に4箇所設け、この隔壁6によって分割された
4箇所の間隙3をそれぞれエポキシ樹脂充填部30とし
た。
【0034】そして、各エポキシ樹脂充填部30にエポ
キシ樹脂4を充填し、硬化させた。ただし、エポキシ樹
脂4としては、キレート効果を有するペースト状のアミ
ン硬化型エポキシ樹脂(高陽化学工業株式会社製 EX
−263−2)を用いた。また、鋼管杭1は、表面をア
ルコールで油分を除去し、一週間海水に浸漬したものを
用いた。 (2)性能評価 引張接着強度の測定 鋼管杭1、エポキシ樹脂4および外構板2の接着した3
層を40mm×40mmの面積で異なった場所から6箇
所切り出し、そのうちの3個を試験片Aとし、建研式引
張り試験機によって引張接着強度を測定した。また、残
った3個の試験片Aを海水に1年間浸漬して試験片Bと
し、建研式引張り試験機によって引張接着強度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0035】その結果、いずれの試験片A、Bも接着強
度に有意差は無かった。
【0036】
【表1】
【0037】鋼管杭錆面の腐食状態の観察 試験片Aおよび試験片Bについて、引張接着強度を測定
した際の破断箇所を目視により観察した。その結果、試
験片Aの鋼管杭1の錆面で安定錆の黒褐色を呈してお
り、キレート効果が確認された。また、試験片Bの鋼管
杭1の錆面でも安定錆の黒褐色を呈しており、錆の進行
はなくキレート効果が確認された。
【0038】
【実施例2】 (1)鋼管杭の補強 図3に示すように、内径532φmm、外径550φm
m、厚さ9mmの鋼管杭1の外周面に、内径562φm
m、外径572φmm、厚さ5mm、長さ2500mm
の外構板2を囲繞し、鋼管杭1の外周面と、外構板2の
内周面との間に、厚さ6mm、長さ2000mmの間隙
3を形成した。ただし、間隙3には、幅10mmの隔壁
6を均等に4箇所設け、この隔壁6によって分割された
4箇所の間隙3をそれぞれエポキシ樹脂充填部30とし
た。また、各エポキシ樹脂充填部30に連通するよう
に、500mm間隔で外径38φmmのエポキシ樹脂充
填口20a、20b、20c、20dを設けた。
【0039】そして、各エポキシ樹脂充填部30にエポ
キシ樹脂4と細粒骨材5とを充填し、硬化させた。この
エポキシ樹脂4および細粒骨材5の充填は、まず、エポ
キシ樹脂充填口20bの位置までホッパー22から、重
量比で1:1の3号ケイ砂と4号ケイ砂との混合砂を充
填し、最下部のエポキシ樹脂充填口20aからエポキシ
樹脂4を充填する。つづいて、エポキシ樹脂充填口20
cの位置までホッパー22から混合砂を充填し、エポキ
シ樹脂充填口20bからエポキシ樹脂4を充填する。つ
づいて、エポキシ樹脂充填口20dの位置まで、ホッパ
ー22から混合砂を充填し、エポキシ樹脂充填口20c
からエポキシ樹脂4を充填する。最後に、間隙3の全体
にホッパー22から混合砂を充填する。そして、最上部
のエポキシ樹脂充填口20dからエポキシ樹脂4を充填
し硬化させた。
【0040】ただし、エポキシ樹脂4としては、キレー
ト効果を有する低粘度のアミン硬化型エポキシ樹脂(高
陽化学工業株式会社製 EX−263−1)を用いた。
また、鋼管杭1は、表面をアルコールで油分を除去し、
一週間海水に浸漬したものを用いた。 (2)性能評価 引張接着強度の測定 鋼管杭1、エポキシ樹脂4および外構板2の接着した3
層を40mm×40mmの面積で異なった場所から6箇
所切り出し、そのうちの3個を試験片Cとし、建研式引
張り試験機によって引張接着強度を測定した。また、残
った3個の試験片Cを海水に1年間浸漬して試験片Dと
し、建研式引張り試験機によって引張接着強度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0041】その結果、いずれの試験片C、Dも接着強
度に有意差は無かった。 鋼管杭錆面の腐食状態の観察 試験片Cおよび試験片Dについて、引張接着強度を測定
した際の破断箇所を目視により観察した。その結果、試
験片Cの鋼管杭1の錆面で安定錆の黒褐色を呈してお
り、キレート効果が確認された。また、試験片Dの鋼管
杭1の錆面でも安定錆の黒褐色を呈しており、錆の進行
はなくキレート効果が確認された。 エポキシ樹脂の硬化状態の観察 試験片Cを切り出した際の各試験片Cの切り口を目視に
より観察した。その結果、いずれの試験片Cもエポキシ
樹脂4が細粒骨材5に浸透した状態で硬化していること
が確認された。
【0042】
【比較例1】 (1)鋼管杭の補強 キレート効果を有しないエポキシ樹脂(高陽化学工業株
式会社製 EA−310)を充填し、硬化させた以外
は、上記実施例1と同様の条件で鋼管杭を補強した。 (2)性能評価 引張接着強度の測定 鋼管杭1、エポキシ樹脂4および外構板2の接着した3
層を40mm×40mmの面積で異なった場所から6箇
所切り出し、そのうちの3個を試験片aとし、建研式引
張り試験機によって引張接着強度を測定した。また、残
った3個の試験片aを海水に1年間浸漬して試験片bと
し、建研式引張り試験機によって引張接着強度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0043】その結果、試験片aの接着強度に比べて試
験片bの接着強度は、著しく低下していた。 鋼管杭錆面の腐食状態の観察 試験片aおよび試験片bについて、引張接着強度を測定
した際の破断箇所を目視により観察した。その結果、試
験片aの鋼管杭1の錆面は、エポキシ樹脂の浸透による
変化で褐色になっていた。また、試験片bの鋼管杭1の
錆面は、赤錆を呈しており、明らかに錆の進行が認めら
れた。
【0044】
【実施例3】 (1)鋼管杭の補強 図5に示すように、内径562φmm、外径572φm
m、厚さ5mm、長さ1000mmの外構板2の内面全
体に、隔壁6の短辺方向の長さ6mmに相当する厚みの
エポキシ樹脂4を塗り付け、この外構板2で、内径53
2φmm、外径550φmm、厚さ9mmの鋼管杭1の
外周面を圧着するように囲繞し、エポキシ樹脂4を硬化
させた。ただし、エポキシ樹脂4としては、キレート効
果を有し、かつ、水中または海水中で拡散しないで、2
0℃における粘度が200万cpsのペースト状のアミ
ン硬化型エポキシ樹脂(高陽化学工業株式会社製 EX
−264)を用いた。また、鋼管杭1は、表面をアルコ
ールで油分を除去し、一週間海水に浸漬したものを用い
た。 (2)性能評価 引張接着強度の測定 鋼管杭1、エポキシ樹脂4および外構板2の接着した3
層を40mm×40mmの面積で異なった場所から6箇
所切り出し、そのうちの3個を試験片Eとし、建研式引
張り試験機によって引張接着強度を測定した。また、残
った3個の試験片Eを海水に1年間浸漬して試験片Fと
し、建研式引張り試験機によって引張接着強度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0045】その結果、いずれの試験片E、Fも接着強
度に有意差は無かった。
【0046】
【表2】
【0047】鋼管杭錆面の腐食状態の観察 試験片Eおよび試験片Fについて、引張接着強度を測定
した際の破断箇所を目視により観察した。その結果、試
験片Eの鋼管杭1の錆面で安定錆の黒褐色を呈してお
り、キレート効果が確認された。また、試験片Fの鋼管
杭1の錆面でも安定錆の黒褐色を呈しており、錆の進行
はなくキレート効果が確認された。
【0048】
【比較例2】 (1)鋼管杭の補強 キレート効果を有し、かつ、水中または海水中で拡散し
ないで、20℃における粘度が250万cpsのアミン
硬化型エポキシ樹脂(高陽化学工業株式会社製EX−2
64−2)を用いた以外は、上記実施例3と同様の条件
で鋼管杭を補強した。 (2)性能評価 引張接着強度の測定 鋼管杭1、エポキシ樹脂4および外構板2の接着した3
層を40mm×40mmの面積で異なった場所から6箇
所切り出し、そのうちの3個を試験片cとし、建研式引
張り試験機によって引張接着強度を測定した。また、残
った3個の試験片cを海水に1年間浸漬して試験片dと
し、建研式引張り試験機によって引張接着強度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0049】その結果、試験片cの接着強度に比べて試
験片dの接着強度は、低下していた。 鋼管杭錆面の腐食状態の観察 試験片cおよび試験片dについて、引張接着強度を測定
した際の破断箇所を目視により観察した。その結果、試
験片cの鋼管杭1の錆面は、赤錆のままでエポキシ樹脂
4のキレート効果が認められなかった。また、試験片d
の鋼管杭1の錆面は、さらに赤錆が進行していた。
【0050】
【比較例3】 (1)鋼管杭の補強 キレート効果を有し、かつ、水中または海水中で拡散し
ないで、20℃における粘度が100万cpsのアミン
硬化型エポキシ樹脂(高陽化学工業株式会社製EX−2
63−4)を用いて上記実施例3と同様の条件で鋼管杭
を補強しようとしたが、外構板2の内面に塗り付けたエ
ポキシ樹脂4の粘度が低いため、流れ現象が生じて補強
することができなかった。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によると、鋼
管杭の錆面を安定錆に転換して錆の進行を抑制すると同
時に、鋼管杭を補強するこができる。
【0052】また、細粒骨材を使用することで、細粒骨
材を使用しない場合に比してエポキシ樹脂の使用量を約
1/3に減少できるので、材料費の大幅な低コスト化を
図ることができることとなる。
【0053】さらに、請求項3記載の本発明によると、
キレート効果を有し、かつ、水中または海水中で拡散し
ないで、20℃における粘度が120万〜220万cp
sのエポキシ樹脂を、あらかじめ外構板の内面に塗布し
ておき、この外構板で鋼管杭の外周面を圧着するように
囲繞して鋼管杭を補強するので、エポキシ樹脂の充填漏
れや水中または海水中へのエポキシ樹脂の流出などを防
止することができ、環境汚染を生じることなく、確実に
鋼管杭を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼管杭の補強状態を示す水平断面図および垂直
断面図である。
【図2】鋼管杭の外周面に外構板を囲繞する状態を示す
斜視図である。
【図3】請求項2に係る鋼管杭の補強状態を示す水平断
面図および補強途中の状態を示す垂直断面図である。
【図4】鋼管杭とエポキシ樹脂との接着状態を説明する
模式図である。
【図5】鋼管杭の外周面を、エポキシ樹脂を塗布した外
構板で囲繞する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼管杭 2 外構板 3 間隙 4 エポキシ樹脂 5 細粒骨材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神野 ▲廣▼通 大分県佐伯市中の島東町5−50 (72)発明者 湊 俊 大阪府豊中市新千里南町1−7−9

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼管杭の外周面を外構板で囲繞するととも
    に、この鋼管杭と外構板との間隙に、キレート効果を有
    するエポキシ樹脂を充填して鋼管杭の錆面を安定化させ
    ると同時に、該鋼管杭と外構板との接着一体化による補
    強を行うことを特徴とする鋼管杭の補強方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の補強方法において、エポ
    キシ樹脂の充填に先立って、鋼管杭と外構板との間隙に
    細粒骨材を充填することを特徴とする鋼管杭の補強方
    法。
  3. 【請求項3】 あらかじめ外構板の内面に、キレート効
    果を有し、かつ、20℃における粘度が120万〜22
    0万cpsのエポキシ樹脂を塗布しておき、この外構板
    で鋼管杭の外周面を圧着するように囲繞し、鋼管杭と外
    構板との接着一体化による補強を行うことを特徴とする
    鋼管杭の補強方法。
JP23886794A 1993-12-24 1994-10-03 鋼管杭の補強方法 Pending JPH07247571A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107142851A (zh) * 2017-06-15 2017-09-08 中铁大桥局集团有限公司 钢管桩接桩平台装置及其安装方法

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