JPH07246421A - 巻取り・巻戻し装置におけるマンドレルへのスリーブ着脱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻取り・巻戻し装置のマンドレルへのスリー
ブの着脱装置をより一層簡単な構造とすると共にスリー
ブの高い精度での着脱が短時間で作業できるようにする
こと。 【構成】 マンドレル（２）の軸芯から側方に避けた位
置に枢支されて上下に揺動する保持アーム（３）の先端
に、マンドレル（２）の軸線長さより長く且つその下方
においてマンドレル（２）の軸線と平行な姿勢に設定可
能なベースフレーム（４）を備え、このベースフレーム
（４）の高さを調節可能な高さ調節装置を備え、ベース
フレーム（４）には、スリーブ（Ｓ）を搭載するベッド
（７）と、その上においてマンドレル（２）の巻取り・
巻戻しのライン中心に位置合わせする位置決め機構と、
マンドレル（２）の軸線方向に移動させる移動機構を設
けた受渡しヘッド（６）を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属ストリップの巻取
りや巻戻しに利用する巻取り・巻戻し装置に係り、特に
マンドレルの周面にスリーブを着脱する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】金属ストリップをコイル状に巻き取った
り、このコイルからラインへ向けて通板供給するための
巻取り・巻戻し装置では、マンドレルに金属ストリップ
が直接接触することがないように、マンドレルの周面に
ゴム又は金属製のスリーブを被せる。そして、マンドレ
ルに対するスリーブの着脱作業は、たとえば実開平１−
１２８９０５号公報に記載されているような着脱装置に
よって行われる。

【０００３】この着脱装置は、マンドレルにゴム製のス
リーブを装着するに際し、スリーブが扁平に撓み変形し
ないように真円状に保持しながら軸線方向に被せていく
というものである。そして、マンドレルに対する位置合
わせのため、スリーブのハンドリング部材を高さ調整機
構，スリーブの軸線方向の位置決め機構，マンドレルへ
の装着及び退避のための傾動機構をそれぞれ備えた構造
を持つ。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、先の公報に
記載のものも含めて従来の一般的な着脱装置では、マン
ドレルの水平軸線に対してスリーブの姿勢を合わせるた
め、スリーブの受載面を水平にすることが必要であり、
着脱装置には傾動機構が必須であった。

【０００５】また、スリーブの軸線方向の位置決めのた
めのセンタリング機構は、２つのシリンダを利用したも
のであるため、その嵩が大きくなる。そして、正確なセ
ンタリングのためには、これらのシリンダの制御のため
の同調制御装置が新たに必要となる。

【０００６】本発明において解決すべき課題は、スリー
ブの着脱装置をより一層簡単な構造とすると共にマンド
レルに対するスリーブの高い精度での着脱が短時間で作
業できるようにすることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、マンドレルの
軸芯から側方に避けた位置に枢支点を持ち且つ上下に揺
動可能な保持アームと、該保持アームの先端に配置され
前記マンドレルの軸線長さより長く且つ前記マンドレル
の下方においてその軸線と平行な姿勢に設定可能なベー
スフレームと、前記保持アームを揺動駆動し且つ前記ベ
ースフレームの高さを調節可能な高さ調節装置とを備
え、前記ベースフレームに、スリーブを搭載するベッド
と、該ベッド上において前記マンドレルの巻取り・巻戻
しのライン中心に位置合わせする位置決め機構と、前記
マンドレルの軸線方向に移動させる移動機構を設けた受
渡しヘッドを備えてなることを特徴とする。

【０００８】

【作用】スリーブを搭載するベッド付きの受渡しヘッド
は、ベースフレームを高さ調節装置によってレベル設定
されるので、装着しようとするスリーブの軸線をマンド
レルに合わせ且つ水平姿勢に設定できる。このため、高
さ調節後には、移動機構によってスリーブをマンドレル
側に移動させると、マンドレルに対するスリーブの外挿
が可能となる。

【０００９】また、ベッド上のスリーブは巻取り・巻戻
しのライン中心に整合するようにセンタリングされるの
で、移動機構によって予め決められた位置までの移動の
後にはスリーブは自動的にラインに適合し、微調整等の
作業も不要となる。

【００１０】

【実施例】図１は本発明のスリーブ着脱装置の一実施例
であってコイルの巻取り又は巻戻し方向に見た要部の正
面図、図２は図１を右側から見た概略右側面図である。

【００１１】図において、巻取り・巻戻し装置１に備え
る水平軸線のマンドレル２に対し、図２に示すように、
マンドレル２の芯から左側であって巻き取るコイルの最
大径よりも大きな距離に基端を持つ２本の保持アーム３
が鉛直面内で揺動可能に配置されている。なお、図１に
は、巻き取ったコイル５０をコイルカー５１に搭載した
状況を示している。

【００１２】これらの保持アーム３は、コンクリート基
礎または専用の架台等に設置したブロック３ａに枢着し
たものであり、その先端にはベースフレーム４を連接し
ている。そして、保持アーム３を上下方向に揺動駆動し
てベースフレーム４の高さを調節するための高さ調節装
置５をこの保持アーム３に連接する。

【００１３】高さ調節装置５は、たとえば作業床の基礎
を利用して設置され、図１に示すように電動機５ａと２
本のガイド５ｂを備えている。このガイド５ｂは、ボー
ルネジを利用したスクリュー軸であり、電動機５ａに駆
動系を接続してロッド５ｃをその軸線方向に往復動作可
能としたものである。そして、ロッド５ｃの先端を保持
アーム３に連接することにより、電動機５ａの作動によ
って保持アーム３を上下に揺動させてベースフレーム４
の高さを調整可能とする。また、電動機５ａによる駆動
系の回転数を検出してベースフレーム４の高さを検出す
るための高さ検出装置５ｄを備える。なお、この高さ検
出装置５ｄは電動機５ａに内蔵させたものであってもよ
い。

【００１４】ベースフレーム４には、スリーブＳを受け
てこれをマンドレル２に対して着脱する受渡しヘッド６
を設ける。この受渡しヘッド６はスリーブを搭載してこ
れをマンドレル２と同軸位置に設定してマンドレル２に
外挿すると共に、巻取り・巻戻しのラインにセンタリン
グする機能を持つものであり、図３にその正面図及び図
４にその平面図をそれぞれ示す。

【００１５】ベースフレーム４は、保持アーム３に連接
される平板状のサポート４ａの上面にガイド４ｂを備え
ると共に、サポート４ａの前方にスクリュー軸４ｃを軸
受４ｄによって保持したものである。このスクリュー軸
４ｃは電動機４ｅによって回転駆動され、またその回転
数を検出する位置検出器４ｆを備えこの回転数の検出を
利用して受渡しヘッド６の位置を検知可能としている。

【００１６】図５は受渡しヘッド６部分を示す拡大図で
ある。

【００１７】受渡しヘッド６は、スクリュー軸４ｃにネ
ジ機構によって連接されるブロック６ａと、ガイド４ｂ
に摺動自在に案内されるガイドブロック６ｂを備え、電
動機４ｅの作動によってベースフレーム４に沿って移動
可能である。

【００１８】受渡しヘッド６の上面には、スリーブＳを
搭載するためのベッド７を設ける。このベッド７は、図
４に示すように、受渡しヘッド６を走行方向に見てその
ほぼ中央部に位置する。そして、このベッド７に搭載す
るスリーブＳを、巻取り・巻戻しのラインの中心に合わ
せるためのセンタリング機構をベッド７の下方に組み込
む。

【００１９】このセンタリング機構は、受渡しヘッド６
の内部であってベッド７を挟む両側に配置された一対の
スクリュー軸８ａ，９ａを共通の電動機１０及び傘歯車
１０ａ，１０ｂによって回転駆動可能とした駆動機構を
持つ。すなわち、スクリュー軸８ａ，９ａの間を結合軸
１０ｃによって連結し、電動機１０の出力軸側に傘歯車
１０ａを設け、結合軸１０ｃ側にもう一方の傘歯車１０
ｂを備えることによって、これらのスクリュー軸８ａ，
９ａを一体に回転駆動可能とする。

【００２０】スクリュー軸８ａ，９ａの上側にはそれぞ
れに平行なガイドロッド８ｂ，９ｂを備え、これらのガ
イドロッド８ｂ，９ｂに対してスライドブロック１１
ａ，１２ａを介して位置決めガイド１１，１２を連接す
る。そして、位置決めガイド１１，１２は、それぞれ連
接ブロック１１ｂ，１２ｂによってスクリュー軸８ａ，
９ａにネジ機構によって連接する。

【００２１】ここで、位置決めガイド１１，１２は、ベ
ッド７の中心にスリーブＳの軸線方向の芯を一致させる
ように動作する。この動作は、ベッド７に対して位置決
めガイド１１，１２が同時に接近してベッド７の中心と
これらの位置決めガイド１１，１２との間の距離が常に
同じであるように変化することで可能となる。したがっ
て、このような位置決めガイド１１，１２の移動のため
には、スクリュー軸８ａ，９ａのリードを逆向きとしネ
ジのピッチも共通としておけばよい。

【００２２】このような機構を持つ受渡しヘッド６は、
高さ調節装置５によって揺動する保持アーム３の先端に
設けたベースフレーム４の回動動作と同じ軌跡を描くよ
うに動作する。このとき、受渡しヘッド６のベッド７は
マンドレル２に対してスリーブＳを同軸上で着脱できる
ようにそのレベルと位置を設定することが必要である。
この位置設定は、ベッド７の幅方向（図２において左右
方向）の中心がマンドレル２の軸線を含む鉛直面内に位
置し、同時にベッド７に受載するスリーブＳの芯がマン
ドレル２の芯に一致させることによって行われる。

【００２３】以上の構成において、スリーブＳをマンド
レル２に装着する作業は以下の手順で行なう。

【００２４】図１及び図２に示すように、新しいスリー
ブＳを装着するときには、まず最初に高さ調節装置５に
よってベースフレーム４の位置を調節し、ベッド７に搭
載するスリーブＳの芯がマンドレル２と同軸となるよう
に設定する。なお、このような設定は、スリーブＳの大
きさ及びマンドレル２の芯のレベルも予め判っているこ
とから可能である。

【００２５】この後、クレーン等で吊って搬送するスリ
ーブＳをベッド７の上に載せる。このとき、ベッド７の
上面の形状を、図２に示すように緩やかな傾斜のＶ字状
としておくことによって、スリーブＳはベッド７の幅方
向（図２において左右方向）に自然に調心し、その軸線
をマンドレル２の軸線を含む平面内に位置させることが
できる。

【００２６】次いで、電動機１０を作動させることによ
って、位置決めガイド１１，１２をベッド７側に向けて
進める。これにより、位置決めガイド１１，１２がスリ
ーブＳの両端に突き当たるようになり、スリーブＳの軸
線方向の中心がベッド７の長手方向（図１において左右
方向）の中心とずれていても、位置決めガイド１１，１
２によって次第にスリーブＳが芯合わせされる。そし
て、最終的には位置決めガイド１１，１２がスリーブＳ
の両端に突き当たりこれらの位置決めガイド１１，１２
の間の距離がスリーブＳの軸線長さに等しくなったとき
には、スリーブＳはベッド７に対してセンタリングされ
る。

【００２７】このセンタリングの後、電動機４ｅを作動
し、スクリュー軸４ｃとブロック６ａとによって受渡し
ヘッド６をマンドレル２側へ移動させる。これにより、
マンドレル２と同軸姿勢となっているスリーブＳは図１
の一点鎖線で示すようにマンドレル２の周りに外挿され
る。そして、位置検出器４ｆによってベッド７の移動方
向の中心が巻取り・巻戻しラインのセンターに到達した
ことを検出すると、電動機４ｅの作動を停止する。これ
により、マンドレル２に対してスリーブＳはその軸線方
向の中央を巻取り・巻戻しラインのセンターに一致した
位置に設定される。

【００２８】以上の設定の後、高さ調節装置５の電動機
５ａを作動させてロッド５ｃを後退させ、ベースフレー
ム４を下降させる。これにより、ベッド７はスリーブＳ
の底面部分から離れてスリーブＳはマンドレル２側に渡
されて無縁となり、ベースフレーム４を巻取り・巻戻し
ラインと干渉しない位置に待機させる。

【００２９】このように、高さ調節装置５によってベッ
ド７上のスリーブＳとマンドレル２の軸線どうしを高い
精度で同軸上に調心させることができる。このため、マ
ンドレル１にスリーブＳを外挿するとき、両者の軸線の
捩じれ等がないため、速やかにスリーブＳを装着するこ
とができる。

【００３０】また、スリーブＳを交換するときには、受
渡しヘッド６を図１中の一点鎖線で示す位置にセットし
ておき、高さ調節装置５によってベッド７上にスリーブ
Ｓが載るように設定する。そして、電動機４ｅによって
受渡しヘッド６を図中の実線位置に移動させれば、スリ
ーブＳをマンドレル１から抜き取ることができる。

【００３１】

【発明の効果】本発明では、スリーブのマンドレルへの
芯合わせだけでなく、巻取り・巻戻しのライン中心に対
するセンタリングも装着の過程の中で完了させることが
でき、装着時間が短縮されると共に位置決めのための追
加作業も省略できる。

【００３２】また、マンドレルに対するスリーブの着脱
のための装置をコイルカーやコイルカー走行フレーム上
に設ける場合に比べると、巻取り・巻戻し装置の専用設
備として使えるので、ハンドリングの時間も短縮され、
作業効率の向上も図られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のスリーブ着脱装置の概要を示す要部の
正面図である。

【図２】図１で示したスリーブ着脱装置の右側面図であ
る。

【図３】ベースフレームとこれに備える受渡しヘッドを
示す正面縦断面図である。

【図４】図３の平面図である。

【図５】受渡しヘッド部分を示す拡大正面縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 巻取り・巻戻し装置 ２ マンドレル ３ 保持アーム ３ａ ブロック ４ ベースフレーム ４ａ サポート ４ｂ ガイド ４ｃ スクリュー軸 ４ｄ 軸受 ４ｅ 電動機 ４ｆ 位置検出器 ５ 高さ調節装置 ５ａ 電動機 ５ｂ スクリュー軸ガイド ５ｃ スクリューロッド ５ｄ 高さ検出装置 ６ 受渡しヘッド ６ａ ブロック ６ｂ ガイドブロック ７ ベッド ８ａ スクリュー軸 ８ｂ ガイドロッド ９ａ スクリュー軸 ９ｂ ガイドロッド １０ 電動機 １０ａ 傘歯車 １０ｂ 傘歯車 １０ｃ 連結軸 １１ 位置決めガイド １１ａ スライドブロック １１ｂ 連結ブロック １２ 位置決めガイド １２ａ スライドブロック １２ｂ 連結ブロック ５０ コイル ５１ コイルカー Ｓ スリーブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 マンドレルの軸芯から側方に避けた位置
   に枢支点を持ち且つ上下に揺動可能な保持アームと、該
   保持アームの先端に配置され前記マンドレルの軸線長さ
   より長く且つ前記マンドレルの下方においてその軸線と
   平行な姿勢に設定可能なベースフレームと、前記保持ア
   ームを揺動駆動し且つ前記ベースフレームの高さを調節
   可能な高さ調節装置とを備え、前記ベースフレームに、
   スリーブを搭載するベッドと、該ベッド上において前記
   マンドレルの巻取り・巻戻しのライン中心に位置合わせ
   する位置決め機構と、前記マンドレルの軸線方向に移動
   させる移動機構を設けた受渡しヘッドを備えてなる巻取
   り・巻戻し装置におけるマンドレルへのスリーブ着脱装
   置。