JPH07242923A - 取鍋内溶鋼用蓋および溶鋼の転炉出鋼方法 - Google Patents

取鍋内溶鋼用蓋および溶鋼の転炉出鋼方法

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JPH07242923A
JPH07242923A JP3618594A JP3618594A JPH07242923A JP H07242923 A JPH07242923 A JP H07242923A JP 3618594 A JP3618594 A JP 3618594A JP 3618594 A JP3618594 A JP 3618594A JP H07242923 A JPH07242923 A JP H07242923A
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ladle
lid
slag
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JP3618594A
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Kyoji Okumura
恭司 奥村
Hiroyuki Katayama
裕之 片山
Naoki Tokumitsu
直樹 徳光
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶鋼を転炉から出鋼する際に、溶鋼中に懸濁
するスラグを完全に除去する。 【構成】 転炉から取鍋に溶鋼を出鋼するにあたり、予
め取鍋内底面上に入れ置きして置く板状の蓋であって、
取鍋内上面の面積の25〜100%の面積を有し、比重
がスラグの比重超かつ溶鋼の比重未満であって、少なく
とも1つの偏心した溶鋼流入用孔を有する取鍋内溶鋼用
蓋。また、少なくとも1つの偏心した溶鋼流入用孔と蓋
中心部を結ぶ直線上以外に、少なくとも1つのスラグ流
出用孔を有してもよい。さらに、該蓋の上面内に溶鋼流
入用孔に至る溝状の流路を少なくとも1条有し、および
/または該蓋の縁から溶鋼流入用孔に延びる溝状の流路
を少なくとも1条有するのが好ましい。さらにこれらを
用いて効率的に出鋼脱酸を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は取鍋内溶鋼用蓋および溶
鋼の転炉出鋼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶鋼を転炉から出鋼する際には、
転炉内で発生したスラグが取鍋に流出するのを防止する
ため、出鋼のため傾動した転炉を迅速に元の位置に戻
す方法や、実開昭56−105377号公報に示され
るようなスラグ分離用のボールを転炉内に投げ込む方
法、また、出鋼口にスライディングノズルなどの流量
制御装置やストッパーや浮子を設ける方法などがある。
しかし、これらの方法では、出鋼孔を塞ぐ前に、出鋼流
によってできる渦に巻き込まれて溶鋼中に懸濁したスラ
グが出鋼流に混入して取鍋に持ち来されてしまう。この
ため、より早期に出鋼孔を閉塞してスラグの完全分離を
図ろうとすると、溶鋼歩留りが悪化するという問題があ
った。
【0003】また、特開昭51−81708号公報や特
開昭58−11716号公報に示されるように、気泡吹
込みによる転炉炉内スラグの取鍋内への混入防止方法
や、特開平3−31690号公報に示されるように、転
炉出鋼孔レンガ近傍の側壁から不活性ガスを噴射してス
ラグの混入を防ぐ方法があるが、これらの方法では、出
鋼時の大きな溶鋼流速によって、気泡および気泡に吸着
されたスラグの浮上が妨げられて、結局取鍋内に溶鋼と
ともに流出してしまっていた。
【0004】さらに、特公昭55−51489号公報に
示されるように、出鋼末期にその底面に溶鋼流出用孔を
有するスラグ分離容器を介し、このスラグ分離容器内に
前述のスラグボールを入れ置きする方法もあるが、この
場合、スラグ分離容器の底面に当たって溶鋼飛沫が飛散
するという操業上の問題や、出鋼初期に流出したスラグ
によって、溶鋼流出用孔が閉塞して溶鋼が大量にオーバ
ーフローし、溶鋼歩留りが悪化するなどの問題があっ
た。
【0005】また、スラグ分離容器によりスラグを完全
に分離してしまうと、取鍋内の溶鋼が直接空気に触れて
しまい、酸化されるという問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶鋼中に懸
濁するスラグを完全に除去し、溶鋼中のトータル酸素濃
度を低減するための取鍋内溶鋼用蓋および該蓋を用いた
溶鋼の転炉出鋼方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたもので、その要旨とするところは
下記のとおりである。 (1)転炉から取鍋に溶鋼を出鋼するにあたり、予め取
鍋内底面上に入れ置きしておく板状の蓋であって、取鍋
内上面の面積の25〜100%の面積を有し、比重がス
ラグの比重超かつ溶鋼の比重未満であって、少なくとも
1つの偏心した溶鋼流入用孔を有することを特徴とする
取鍋内溶鋼用蓋。
【0008】(2)少なくとも1つの偏心した溶鋼流入
用孔と蓋中心部を結ぶ直線上以外に、少なくとも1つの
スラグ流出用孔を有することを特徴とする前記(1)記
載の取鍋内溶鋼用蓋。 (3)前記(1)または(2)記載の取鍋内溶鋼用の蓋
であって、該蓋の上面内に溶鋼流入用孔に至る溝状の流
路を少なくとも1条有し、および/または該蓋の縁から
溶鋼流入用孔に延びる溝状の流路を少なくとも1条有す
ることを特徴とする取鍋内溶鋼用蓋。
【0009】(4)前記(1)、(2)または(3)の
何れか1項に記載の取鍋内溶鋼用の蓋であって、該蓋の
上層を鉄または鋼製とし、残部をCaOおよび/または
Al 2 3 としたことを特徴とする取鍋内溶鋼用蓋。 (5)前記(1)、(2)、(3)または(4)の何れ
か1項に記載の取鍋内溶鋼用の蓋の少なくとも1つを用
いて、該蓋の中心に対し偏心した溶鋼流入用孔を転炉出
鋼孔の反対側に位置させ、溶鋼を転炉から出鋼すること
を特徴とする溶鋼の転炉出鋼方法。
【0010】(6)溶鋼を転炉から出鋼する前に、予め
取鍋内溶鋼用蓋の下面と取鍋内底面との間にメタルCa
および/またはMgを入れ置きすることを特徴とする前
記(5)記載の溶鋼の転炉出鋼方法。
【0011】
【作用】本発明の実施態様である図1〜図4、図5
(a)、(b)、図6により作用を説明する。取鍋内溶
鋼用蓋3は、出鋼流に耐えることができる充分な強度を
持たせるために、その内部に鉄板を有するのが好まし
く、厚みも、材質・構造にもよるが、100mm以上が
好ましい。また材質は、現行の取鍋2の湯当たり部に用
いるマグネシア系やアルミナ系、あるいはカルシア系で
よい。
【0012】取鍋内溶鋼用蓋3の形状は、図1の場合、
本発明により取鍋2内溶鋼表面にスラグがなくなった場
合に、蓋3で覆われていない溶鋼表面が空気酸化または
冷却されることを防止するため、取鍋2の横断面形状と
同様に円形にして、取鍋2内壁と蓋3側面との間隔を極
力低減したものであるが、必ずしも円形である必要はな
く、図2に示すように、取鍋2内上面の面積より小さい
面積(1つが取鍋2内上面の面積の少なくとも25%)
を有する多角形の蓋3a〜3dを4枚以上使用する方法
にすることによって、運搬・取扱いおよび蓋の製作が容
易になると同時に、蓋3a〜3dの内、損傷したものの
み交換でき、他は再使用できて費用が安く済むという効
果を得ることも可能である。
【0013】また、図3に示すように、蓋3a〜3dを
互いにその一部を重ねて入れ置きすれば、見かけの断面
積を小さくすることができ、取鍋2底面上に全て乗せる
ことができる。出鋼の経過に伴って溶鋼量が増大する
と、蓋3a〜3dが水平方向に移動することにより、蓋
の見かけの断面積が増大するので、取鍋2の形状が上拡
がり状の時には好ましい。
【0014】蓋3の断面積は、取鍋2内上面の断面積と
同一、つまり100%の面積にすれば、取鍋2内に予め
入れ置きする場合に、取鍋2内の最上部に配することが
できるが、取鍋2と蓋3の形状を完全に一致させる必要
があり、実操業上困難である。従って、取鍋2内に入れ
置きできるようにするには、取鍋2内上面の断面積未満
が望ましい。但し、あまり蓋3a〜3dが小さい場合
は、落下溶鋼の衝突の衝撃に耐えられず、取鍋2内溶鋼
中に浸漬してしまったり、入れ置き作業回数が増えすぎ
て好ましくない。従って、図3のように1つの蓋の大き
さは、重ね入れする際の作業性を考慮して、取鍋2内上
面を4分割した大きさ、すなわち25%以上が好まし
い。
【0015】転炉1から溶鋼を出鋼し始める出鋼初期
は、転炉1内溶鋼湯面に乗っているスラグが流出してく
るが、図5(a)に示すように、転炉1の傾動角度が少
ないため、この流速の遅いスラグ流が、取鍋2内に入れ
置きした蓋3に衝突する位置は、転炉出鋼孔6に近い範
囲である。従って、転炉出鋼孔6に近い蓋3の範囲に貫
通孔を設けないようにすれば、蓋3より軽いスラグは蓋
3上面を流れることはあっても、蓋3の下に流入するこ
とはない。また、スラグは量も少なく、融点も低いた
め、蓋3上面を流れるうちに外気により冷却されて固化
するか、または粘性が増大して流動性が悪くなって、蓋
3の端から蓋3の下側に流れ込む可能性は低い。
【0016】さらに、図4のようにスラグ流の衝突部に
当たる蓋3の上面に凹部8を設けたり、この凹部8と溶
鋼流入用孔5との間に堰9を設けることによって、スラ
グを蓋3の上面の転炉出鋼孔6側にため込むことも可能
である。転炉1の傾動角度を十分大きくし、溶鋼主体の
出鋼流になる出鋼中期においては、図5(b)に示すよ
うに、出鋼流の勢いも増大して、取鍋2内の蓋3に衝突
する位置は転炉出鋼孔6と対称位置(転炉出鋼孔6から
遠い範囲)に移る。この範囲には出鋼初期に流出したス
ラグはほとんどないため、蓋3上に乗っているスラグを
巻き込むことはない。また、この時の溶鋼流速は大きい
ため、溶鋼は蓋3上面上を速やかに流れて、転炉出鋼孔
6と対称位置の蓋3の端側面と取鍋2内壁面との間から
蓋3下に流れ込む。
【0017】この時、蓋3上面上を流れる間に空気酸化
されないように、図1のように蓋3の転炉出鋼孔6から
遠い範囲に溶鋼流入用孔5を設けておけば、蓋3上面上
を流れることなく、直接蓋3の下に流入させることがで
きる。仮に、溶鋼中に懸濁したスラグが溶鋼流ととも
に、この溶鋼流入用孔5から蓋3の下方に流入しても、
スラグは溶鋼および蓋3より軽いために、溶鋼と蓋3の
圧力によって蓋3の側面と取鍋2内壁面との間隙を通っ
て蓋3上面上に押し上げられるか、噴出する。このよう
にして、確実に溶鋼とスラグを濾過・分離することがで
きる。
【0018】また、スラグは蓋3側面と取鍋2内壁面と
の間を通って浮上・噴出するが、図4に示すように、溶
鋼流入用孔5と蓋3の中心点を結ぶ直線上以外に、スラ
グ流出用孔4を1つ以上設けることにより、スラグが出
鋼流に妨げられることなく、蓋3下から蓋3上に円滑に
浮上・噴出することが可能となるため、溶鋼とスラグと
の分離上好ましい。
【0019】蓋3の比重は溶鋼より軽く、スラグより重
く調整してあるため、蓋3の下に蓋3より重い溶鋼が流
入することによって蓋3は押し上げられる。蓋3の位置
が取鍋2の上方になればなるほど、転炉出鋼孔6から放
物線を描いて落下する出鋼流の蓋3上面との衝突位置は
さらに転炉出鋼孔6から遠い位置になり、分離上有利に
なるが、反対に転炉1内溶鋼湯面高さが減じて、出鋼流
速が衰えるため、出鋼流の蓋3上面との衝突位置は転炉
出鋼孔6側になる。従って、出鋼中期全体にわたって、
出鋼流と蓋3上面との落下衝突位置は一定に保たれるの
で、この範囲に溶鋼流入用孔5を配し、出鋼中期に清浄
な溶鋼流を直接蓋3の下に流入させ続けるのが好まし
い。
【0020】出鋼末期においては、再びスラグを懸濁し
た溶鋼が流出してくるが、転炉1内の残溶鋼湯面高さは
低くなっており、その流出流速は弱くなる。従って、再
び転炉1出鋼流の蓋3上落下衝突位置は、転炉出鋼孔6
近くに戻る。そのため、出鋼初期と同様にしてスラグと
溶鋼を分離することができる。また、出鋼流の流速が衰
えず、出鋼流と蓋3上面との落下衝突位置が比較的転炉
出鋼孔から遠い範囲に維持される場合は、転炉1の傾動
角度の増大割合を落とすのが好ましい。
【0021】特に図4に示すように、蓋3の上面内に、
転炉出鋼孔6側から溶鋼流入用孔5に至る溝状の流路
7、および/または図2に示すような蓋3の縁の一部か
ら溶鋼流入用孔5に向かって延びる溝状の溶鋼用流路7
aを少なくとも1条配しておけば、出鋼中期の出鋼流の
衝突による衝撃により板状の蓋3の一部が削られて窪ん
でしまっても、その凹部に溶鋼が溜まるのを防止でき
る。
【0022】また、蓋3の上層を鉄または鋼製として強
度を持たせることにより、出鋼流の衝突による衝撃によ
り板状の蓋3の一部が窪むことを防止できる。さらに、
蓋3の残部である下層をCaOおよび/またはAl2
3 とすれば、蓋3の重さを溶鋼より軽く、スラグより重
い範囲の比重に自在に調整できる。特に、出鋼中の転炉
1内にAlなどを投入して脱酸する場合には、出鋼流中
にAl2 3 などの脱酸生成物が懸濁する。これを蓋3
により除去するため、蓋3の上表面の一部または下面に
CaOを用いることにより、溶鋼が蓋3上面を流れる間
に、Al2 3 を吸着除去することができる。
【0023】また、転炉1出鋼中に脱酸剤を投入、また
は取鍋内に入れ置きして、いわゆる出鋼脱酸を行う場合
で、比較的沸点が高く、ガス化や散逸し難いAlなどの
脱酸剤を用いる場合は特に本発明を用いる必要はない
が、メタルCaまたはMgなどといった沸点の低い脱酸
剤を用いる出鋼脱酸を行う場合には、本発明を用いるの
が好ましい。
【0024】すなわち、図6に示すように、溶鋼を転炉
1から出鋼する前に、予め蓋3の下面と取鍋2内の底面
との間にメタルCaおよび/またはMgの脱酸剤10を
入れ置きし、メタルCaおよび/またはMgが溶鋼の熱
によりガス化しても、蓋3が溶鋼湯面を覆っているため
散逸を抑制できる。蓋3にスラグ流出用孔4および溶鋼
流入用孔5を設けた場合でも、スラグ流出用孔4の直下
には溶鋼から分離したスラグが浮上してできた層がある
ためガスは流出し難く、かつまた溶鋼流入用孔5には上
から出鋼された溶鋼流が激しく流れ込んで来るため、ガ
スは上に流出することはない。
【0025】本発明の取鍋内溶鋼用蓋3を用いることに
より、転炉1から取鍋2に出鋼する際に、簡便にスラグ
を分離除去することが可能となると同時に、溶鋼湯面の
空気酸化や冷却も防止できるようになり、かつガス化し
やすい脱酸剤による脱酸が可能になった。この結果、転
炉内にスラグボールを投入する従来の方法に比べて、取
鍋内に流出するスラグ量は、取鍋内スラグ厚みで30%
程度にまで削減できた。
【0026】
【実施例】以下図面に基づいて実施例を説明する。 (実施例1)転炉1から取鍋2に溶鋼を出鋼するにあた
り、取鍋2内上面の面積の90%の面積を有し、出鋼流
に対して充分な強度を持たせるため200mmの厚みと
し、蓋の中心部に対して転炉出鋼孔6と反対側に偏心し
た上面から下面に貫通する直径400mmの溶鋼流入用
孔5を1つ有する円板状の蓋3を、予め取鍋2内底面上
に入れ置きした。
【0027】この結果、転炉から取鍋に溶鋼を出鋼した
場合に、簡便に溶鋼とスラグを分離・除去することが可
能となり、スラグボールを用いてスラグの流出を防止す
る従来法に比べて、取鍋へのスラグ流出量の指標とし
て、取鍋内溶鋼湯面のスラグ厚みを調べたところ、20
%削減できた。 (実施例2)実施例1記載の取鍋内溶鋼用蓋3およびそ
れを用いた溶鋼の出鋼方法であって、蓋3の下に流入し
たスラグが、蓋3側面と取鍋2内壁面との間から蓋3上
面上に噴出し難かったため、図7(a)に示すように、
蓋3上面に上面から下面に貫通し、溶鋼流入用孔5と蓋
3の中心点を結ぶ直線上以外にスラグ流出用孔4を2つ
配した。
【0028】この結果、蓋3の下に一旦流入したスラグ
が、蓋3側面と取鍋2内壁面との間から蓋3上面上に噴
出しやすくなり、スラグボールを用いてスラグの流出を
防止する従来法に比べて、取鍋へのスラグ流出量の指標
として、取鍋内溶鋼湯面のスラグ厚みを調べたところ、
30%削減できた。 (実施例3)実施例2記載の取鍋内溶鋼用蓋3およびそ
れを用いた溶鋼の出鋼方法であって、出鋼流が激しく、
蓋3上面に凹部ができて、この凹部に500kgの溶鋼
が溜まって溶鋼歩留りが悪化したため、図7(b)に示
すように、蓋3の上面の溶鋼流入用孔5と反対側の出鋼
流落下位置から溶鋼流入用孔5に向けて溶鋼流路となる
溝7を設けた。
【0029】この結果、スラグを蓋3上面上に溜めた
上、出鋼溶鋼流により蓋3上面に凹部ができても、溶鋼
が溶鋼流入用孔5に円滑に流れ、溶鋼歩留りの悪化代は
ゼロになり、蓋3の重さの変動がなくなった。さらに、
転炉から取鍋に溶鋼を出鋼した場合に、簡便に溶鋼とス
ラグを分離・除去することが可能となり、スラグボール
を用いてスラグの流出を防止する従来法に比べて、取鍋
へのスラグ流出量の指標として、取鍋内溶鋼湯面のスラ
グ厚みを調べたところ、35%削減できた。
【0030】(実施例4)実施例3記載の取鍋内溶鋼用
蓋3およびそれを用いた溶鋼の出鋼方法であって、スラ
グを懸濁した出鋼流と清浄な出鋼流が蓋3上面の凹部8
内で混合されてしまうため、図4に示すように蓋3上面
の凹部8と溝7との間に堰9を配した。この結果、スラ
グを蓋3上面の凹部8内に溜め置くことが可能となると
同時に、清浄な出鋼流は溝7を通って溶鋼流入用孔5に
円滑に流れ、溶鋼歩留りの悪化代はゼロになり、蓋3の
重さの変動がなくなった。
【0031】さらに、転炉から取鍋に溶鋼を出鋼した場
合に、簡便に溶鋼とスラグを分離・除去することが可能
となり、スラグボールを用いてスラグの流出を防止する
従来法に比べて、取鍋へのスラグ流出量の指標として、
取鍋内溶鋼湯面のスラグ厚みを調べたところ、40%削
減できた。 (実施例5)図2、図3に示すような1つの蓋の断面積
が取鍋2上面の円形の横断面積の25%であり、その形
状が円の4分の1相当の扇形に近い多角形をなす取鍋内
溶鋼用蓋3a〜3dを、それぞれの隣合う長辺を互いに
100mm重ねるように取鍋2底面上に入れ置きした。
出鋼の経過に伴って取鍋内溶鋼用蓋3a〜3dは水平方
向に移動しながら、100mmの重なり部分がなくなる
ようになって見かけの断面積を増大させた。
【0032】この結果、取鍋内溶鋼湯面の上昇に伴って
蓋3側面と取鍋2内壁面との間隙が増えることがなくな
り、溶鋼の空気酸化および冷却は抑制でき、簡便に溶鋼
とスラグを分離することが可能となり、スラグボールを
用いてスラグの流出を防止する従来法に比べて、取鍋へ
のスラグ流出量の指標として、取鍋内溶鋼湯面のスラグ
厚みを調べたところ、45%削減できた。
【0033】(実施例6)実施例4記載の溶鋼の転炉出
鋼方法において、Alを用いた出鋼脱酸を行う際に、蓋
3の上面で、転炉出鋼流の衝突位置(図4の符号8の部
分)を鋼製として強度を確保し、その他の部分、特に出
鋼流の落下位置に設けた溶鋼流出用孔5に向けて溶鋼流
路となる溝7内表面をCaO製とし、蓋3下面を耐久性
を強化するためAl2 3 系にした。
【0034】これにより、転炉からの出鋼流により蓋3
上面上に凹部ができるのを防止でき、また出鋼中転炉1
内へのAl投入により生成したAl2 3 を大量に懸濁
した溶鋼がCaO製の溝7内部を流れることにより、こ
れらの溶鋼中Al2 3 を吸着除去できた。この結果、
転炉から取鍋に溶鋼を出鋼した場合に、取鍋内溶鋼中の
溶存酸素量は400ppmから100ppmに削減で
き、かつ簡便に溶鋼と転炉スラグおよび脱酸生成物を分
離・除去することが可能となり、スラグボールを用いて
スラグの流出を防止する従来法に比べて、取鍋へのスラ
グ流出量の指標として、取鍋内溶鋼湯面のスラグ厚みを
調べたところ、51%削減できた。
【0035】(実施例7)メタルCaにより出鋼脱酸す
る際に、実施例4記載の蓋3と取鍋2底面との間に、予
めメタルCaを脱酸剤10として1500kg入れ置き
した。これにより、メタルCaが溶鋼の熱によりガス化
しても、取鍋2外への散逸を防止することができた。こ
の出鋼脱酸により、溶鋼中の溶存酸素量は転炉出鋼前の
400ppmから200ppmにまで低減できた。
【0036】また、取鍋内の脱酸により生成したスラグ
を、蓋3のスラグ流出用孔4を通して蓋3の上に押し出
すことにより、溶鋼中から分離・除去することができ、
スラグボールを用いてスラグの流出を防止する従来法に
比べて、取鍋へのスラグ流出量の指標として、取鍋内溶
鋼湯面のスラグ厚みを調べたところ、55%削減でき
た。
【0037】(比較例)転炉から取鍋への溶鋼の出鋼の
際、転炉内溶鋼中にスラグボールを投入して、スラグの
分離を図った。その結果、取鍋内溶鋼湯面のスラグ厚み
は500mmあり、トータル酸素値は400ppmに達
した。
【0038】
【発明の効果】本発明の取鍋内溶鋼用蓋およびそれを用
いた溶鋼の出鋼方法により、溶鋼とスラグを効率的に濾
過・分離することができ、従来法に比べて、取鍋へのス
ラグ流出量の指標である取鍋内溶鋼湯面のスラグ厚みを
最大55%削減できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】取鍋内溶鋼用蓋の一例を示す平面図である。
【図2】取鍋内溶鋼用蓋の別の一例を示す平面図であ
る。
【図3】取鍋内溶鋼用蓋の好ましい他の一例を示す平面
図である。
【図4】取鍋内溶鋼用蓋の最も好ましい例を示す平面図
である。
【図5】(a)は取鍋内溶鋼用蓋を用いた溶鋼の転炉出
鋼方法の初期状態の一例を示す断面図、(b)は取鍋内
溶鋼用蓋を用いた溶鋼の転炉出鋼方法の中期状態の一例
を示す断面図である。
【図6】取鍋内溶鋼用蓋を用いた溶鋼の転炉出鋼方法の
別の好ましい例を示す断面図である。
【図7】(a)は取鍋内溶鋼用蓋の好ましい例を示す平
面図、(b)は取鍋内溶鋼用蓋の他の例を示す平面図で
ある。
【符号の説明】
1 転炉 2 取鍋 3 取鍋内溶鋼用蓋 4 スラグ流出用孔 5 溶鋼流入用孔 6 転炉出鋼孔 7 溶鋼流路(溝) 8 蓋上面の凹部 9 堰 10 脱酸剤

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉から取鍋に溶鋼を出鋼するにあた
    り、予め取鍋内底面上に入れ置きしておく板状の蓋であ
    って、取鍋内上面の面積の25〜100%の面積を有
    し、比重がスラグの比重超かつ溶鋼の比重未満であっ
    て、少なくとも1つの偏心した溶鋼流入用孔を有するこ
    とを特徴とする取鍋内溶鋼用蓋。
  2. 【請求項2】 少なくとも1つの偏心した溶鋼流入用孔
    と蓋中心部を結ぶ直線上以外に、少なくとも1つのスラ
    グ流出用孔を有することを特徴とする請求項1記載の取
    鍋内溶鋼用蓋。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の取鍋内溶鋼用の
    蓋であって、該蓋の上面内に溶鋼流入用孔に至る溝状の
    流路を少なくとも1条有し、および/または該蓋の縁か
    ら溶鋼流入用孔に延びる溝状の流路を少なくとも1条有
    することを特徴とする取鍋内溶鋼用蓋。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3の何れか1項に記
    載の取鍋内溶鋼用の蓋であって、該蓋の上層を鉄または
    鋼製とし、残部をCaOおよび/またはAl 2 3 とし
    たことを特徴とする取鍋内溶鋼用蓋。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4の何れか1項
    に記載の取鍋内溶鋼用の蓋の少なくとも1つを用いて、
    該蓋の中心に対し偏心した溶鋼流入用孔を転炉出鋼孔の
    反対側に位置させ、溶鋼を転炉から出鋼することを特徴
    とする溶鋼の転炉出鋼方法。
  6. 【請求項6】 溶鋼を転炉から出鋼する前に、予め取鍋
    内溶鋼用蓋の下面と取鍋内底面との間にメタルCaおよ
    び/またはMgを入れ置きすることを特徴とする請求項
    5記載の溶鋼の転炉出鋼方法。
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