JPH07242565A - 出血性ショック治療剤 - Google Patents

出血性ショック治療剤

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JPH07242565A
JPH07242565A JP6034591A JP3459194A JPH07242565A JP H07242565 A JPH07242565 A JP H07242565A JP 6034591 A JP6034591 A JP 6034591A JP 3459194 A JP3459194 A JP 3459194A JP H07242565 A JPH07242565 A JP H07242565A
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JP
Japan
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igf
hemorrhagic shock
blood
glucose
shock
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JP6034591A
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English (en)
Inventor
Yoshikazu Matsuda
佳和 松田
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Mitsubishi Chemical Corp
Nikken Chemicals Co Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Nikken Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 出血性ショックの蘇生に有用な治療剤を提供
する。 【構成】 出血性ショック治療に有効な量のIGF−I
を注射用アンプル等の剤形にて投与する。 【効果】 IGF−Iを投与することにより、出血性シ
ョック時の糖代謝を含めたストレス状態を緩解ならびに
糖輸液の使用による副作用の軽減およびエネルギー供給
を可能とし、出血性ショックに対する蘇生を完遂する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、出血性ショック治療剤
に関し、更に詳細にはIGF−Iを含有してなる出血性
ショック治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ショックは、急性の末梢循環不全によっ
て全身の臓器や組織に十分な酸素化血の供給が行われ
ず、そのために細胞の代謝が障害された状態をいい、こ
の代謝障害が更に循環不全を助長して、代謝障害と循環
不全との悪循環が繰り返されるため、ある一定の時期
(段階)をすぎるともはや如何なる治療(対策)も奏功
せず、ついには死に至るものである。臨床的にはその成
因によってショックを、体液喪失性(出血性)ショッ
ク、心原性ショック、細菌性ショックまたはその他のシ
ョック(神経性ショックまたはアナフィラキシーショッ
ク)に分類している。
【0003】これらショックのうち、体液喪失性(出血
性)ショックは、出血等により血球成分をふくむ血液が
体外へ失われることにより発生するショックであり、そ
の治療には循環血液量の回復が第一であるとされてお
り、かつてはもっぱら輸血による治療が行われていた。
しかしながら、近年、輸血に伴う種々のウイルス感染症
の存在が知られるようになったこともあって、現在では
各種の輸液剤が出血性ショックの病態に応じて適宜選択
して使用されるようになっている。
【0004】すなわち、比較的軽度なショック状態であ
れば、ブドウ糖を含有していない輸液剤、例えば酢酸リ
ンゲル液、乳酸リンゲル液等を用いることによって治療
が可能である。しかしながら、出血量が多く(即ち侵襲
が重大な)難治性の出血性ショックの場合ならびに炎症
性腸疾患及び肝不全などの基礎疾患を有している患者が
出血性ショックになった場合には、生体構築タンパク質
の崩壊や心筋をはじめ諸細胞の生理機能低下が生じる。
この為、そのような出血性ショックの治療には、エネル
ギー補給によるタンパク質崩壊の抑制が治療及びその予
後に不可欠となる。そこで、そのような難治性の出血性
ショックの治療には、ブドウ糖を含有した輸液、例えば
5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液、5%ブドウ糖加乳酸リ
ンゲル液等をはじめとした種々のエネルギー補給が可能
な製剤の使用が試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような場合、臨床
では特に糖輸液による血糖値の上昇を防ぐ目的でしばし
ばインスリン製剤がカリウムと共に併用(GIK療法)
されているが、ショック状態下の生体は、後述するよう
にインスリン抵抗性となっているため、高用量のインス
リンが必要となる。更に、生体のストレス状態に於いて
は、インスリンによって血糖値は低下するものの、投与
されたブドウ糖はエネルギー源として利用されていない
との報告もある。
【0006】更に、生体に於いては、出血性ショック時
には、手術侵襲時と同様に種々のカテコラミン、コルチ
ゾール等のストレスホルモンが遊離されることが知られ
ている。このストレスホルモンは、生体に対して耐糖能
を低下させ高血糖状態を誘発(外科的糖尿病状態)させ
るように働く。また、出血性ショック時や手術侵襲時に
は、種々の機序から生体のインスリンに対する抵抗性が
増し、そのためにインスリンの効果が減弱することも知
られている。
【0007】このような理由から、従来のブドウ糖含有
輸液による出血性ショックの治療法は蘇生後の改善が必
ずしも十分でないため、更に優れた治療法の確立が待望
されていた。本発明者らは、出血性ショックの病態につ
いて基礎的な研究を進めていたところ、出血性ショック
によって誘発された侵襲状態に於いては、糖代謝の他に
ストレスホルモンに分類されるカテコラミンによって血
管収縮作用を介した虚血性の変化が生体の腎臓などの主
要臓器に生じる(ショック腎等)こと、従って出血性シ
ョックにみられる内分泌学的変動とりわけストレスホル
モンの遊離を抑制もしくはその影響を軽減することが出
血性ショックの治療及びその予後に好影響を与えるとの
知見を得た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる知見に
基づいて更にその抑制策及び軽減方法について種々検討
した結果、IGF−I(インスリン様成長因子−1)を
用いることにより、出血性ショックによって誘発される
糖代謝を含めた生体のストレス状態を緩解すると共に、
出血性ショックを糖輸液で蘇生させた場合に生じる副作
用を軽減させ、エネルギー供給を含め出血性ショックに
対する蘇生の目的を完遂させることに成功し、本発明を
完成したものである。
【0009】即ち、本発明の要旨は有効量のIGF−I
を含有してなる出血性ショック治療剤に存する。以下、
本発明を詳細に説明する。本発明で使用されるIGF−
Iは、組換えDNA技術、ペプチド合成法、細胞培養等
により製造されたヒト、ウシ等の哺乳動物類由来のIG
F−Iが挙げられるが、ヒト由来の組換えDNA技術に
より大腸菌を宿主として産生される組換えIGF−Iが
既に市販されており好ましい。
【0010】IGF−Iは、下垂体の成長ホルモンに依
存して肝臓(及び腎臓)から産生される単鎖ポリペプチ
ドであることから、小人症の治療剤、低身長者の成長促
進剤として、蛋白同化作用を有することから潰瘍、外傷
および火傷の治療剤として、またインスリンと類似した
血糖降下作用を有することから糖尿病治療薬として知ら
れている。さらに、IGF−Iは、腎臓に対しても作用
し、糸球体濾過量を増加するほか、インスリンに対する
感受性の亢進作用なども報告されている。
【0011】しかし、IGF−Iが出血性ショックによ
って誘発される糖代謝を含めた生体のストレス状態を緩
解すると共に、出血性ショックを糖輸液で蘇生させた場
合に生じる副作用を軽減させ、エネルギー供給を含め出
血性ショックに対する蘇生の目的を完遂させることに有
用であることは、本発明者によって得られた全く新しい
知見である。
【0012】本発明の出血性ショック治療剤は、上記I
GF−Iを有効成分とし、これを適当な希釈剤や他の添
加剤と共に利用して適当な製剤形態(剤型)に調製さ
れ、使用に供される。剤型としては、一般に非経口的投
与に適する剤型が用いられる。好ましくは、注射用アン
プル剤及び注射用凍結乾燥粉末剤(バイアル)等を挙げ
ることができる。
【0013】上記各種剤型への調製は、この技術分野で
慣用されている通常の方法によることができる。さらに
医薬的に許容される製剤担体としては、各種剤型への調
整に慣用される希釈剤や添加剤等が用いられる。例え
ば、上記注射用凍結乾燥粉末剤は、市販の精製されたI
GF−Iの有効量を、例えば蒸留水、生理食塩液、ぶど
う糖水溶液等の希釈剤に溶解し、必要に応じてカルボキ
シメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の賦形
剤、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェ
ノール等の保存剤、ブドウ糖、グルコン酸カルシウム、
塩酸プロカイン等の無痛化剤及び塩酸、酢酸、クエン
酸、水酸化ナトリウム等のpH調整剤等を加え、常法に
従い凍結乾燥することにより調製される。
【0014】また、注射用アンプル剤は、IGF−Iの
有効量を例えば蒸留水、生理食塩液、リンゲル液等の希
釈剤に溶解し、必要に応じてサリチル酸ナトリウム、マ
ンニトール等の溶解補助剤、クエン酸ナトリウム、グリ
セリン等の緩衝剤、ブドウ糖、転化糖等の等張化剤、ポ
リエチレングリコール等の安定剤、及び上記保存剤、上
記無痛化剤、上記pH調製剤等の添加剤を加え、これを
通常の加熱滅菌、無菌濾過等により無菌化して調製され
る。
【0015】本発明の出血性ショック治療剤は、通常、
出血性ショック治療の際に、これを必要とする患者に対
して非経口的に、一般的には皮下、筋肉内または静脈内
注射によりその所定量を、単回もしくは複数回に分けて
投与するかまたは連続的に投与する。本発明の出血性シ
ョック治療剤の投与量は、単回もしくは複数回投与の場
合には、通常、有効成分(IGF−I)として成人一日
当たり約20μg〜10mg/kg、好ましくは約30
μg〜1mg/kgの範囲で、これを投与すべき患者の
静脈内、皮下、筋肉内に投与するのがよく、患者の病理
状態、栄養状態、年齢、体重、併用薬剤等に応じて適宜
増減させることができる。また、連続投与の場合には、
成人一時間当たり約1μg〜50μg/kg、好ましく
は約2μg〜30μg/kgの範囲で、上記1日量に相
当する量を投与することができる。
【0016】投与方法としては、注射用アンプル剤の場
合はそのまま皮下、筋肉内または静脈内に投与すること
ができるが、静脈内投与の場合には、必要に応じて輸液
用ミニポンプを用いて投与することもできる。また、注
射用凍結乾燥粉末剤の場合には、当該粉末剤を用時に蒸
留水、生理食塩液またはリンゲル液等の希釈剤に溶解し
た上、アンプル剤の場合と同様にして投与する。
【0017】更に、本発明の出血性ショック治療剤は、
ショックの治療の際にブドウ糖等の糖輸液に予め所定量
を混合して投与するかまたは該糖輸液の投与と同時にそ
の有効量を単独で末梢静脈から投与することも可能であ
る。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例
により限定されるものではない。 実施例1(製剤例) 注射用水約70mlにマンニトール1.0g及び塩化ナ
トリウム0.7gを添加溶解し、さらに組換えヒトIG
F−I(rhIGF−I(ジェネンテク社製))0.5
gを添加溶解した後、酸またはアルカリにてpH5〜6
に調整し、次に注射用水を加え全量を100mlとす
る。この溶液をメンブランフィルターにより無菌濾過
し、濾液を無菌的に1mlアンプルに分注し、rhIG
F−I5mg/mlを含有する注射剤を作製する。
【0019】実施例2(製剤例) 注射用水約70mlにマンニトール1.0g、塩化ナト
リウム0.7g及び酢酸ナトリウム0.2gを加え溶解
し、rhIGF−I(ジェネンテック社製)1.0g添
加溶解した後、0.1N酢酸にてpH5〜6に調整し、
次に注射用水を加え全量を100mlとする。この溶液
をメンブランフィルターにより無菌濾過し、濾液を無菌
的に1mlアンプルに分注し、rhIGF−I10mg
/mlを含有する注射剤を作製する。
【0020】実施例3 (1)出血性ショック動物モデルの作成 体重9〜10kgのビーグル犬(オス、日本クレア株式
会社及び株式会社OBC)を用い、ペントバルビタール
ナトリウム(東京化成工業株式会社)を静脈内投与して
麻酔状態を得た後、気管カニューレを挿入し、人工呼吸
器(株式会社シナノ製作所SN−480−3)に接続し
て、呼吸数を15〜20回/分、1回換気量15〜20
ml/kgで調節呼吸を行い、血液ガス値を生理的範囲
内に調節した。
【0021】麻酔の維持は、右側大腿静脈にポリエチレ
ンチューブを挿入し、持続注入器(Harvard s
yringe infusion pump 22)を
用いてペントバルビタールナトリウム(1〜5mg/k
g/hr)を持続的に注入して行った。体血圧の測定の
ために、ポリエチレンチューブを一側大腿動脈から腹部
大動脈まで挿入留置し、圧トランスデューサー(ビゴ・
スペクトラメッドジャパン株式会社 DTXPLU
EM)に接続して、圧変換器用増幅器(日本電気三栄株
式会社製 1257型)で増幅した。また、体血圧を電
気的に平均化することによって平均体血圧(MBP)を
測定した。
【0022】心拍数(HR)の測定には、生体電気用増
幅器(日本電気三栄株式会社製 1253A型)で心電
図を導出し、第II標準四肢誘導での心電図上のR波をト
リガーすることによって瞬時型計測ユニット(日本電気
三栄株式会社製 1321型)で連続的に計測した。中
心静脈圧(CVP)は、ポリエチレンチューブを左頸静
脈から上大静脈まで挿入留置し、圧トランスジューサー
に接続して、圧変換器用増幅器(日本電気三栄株式会社
製 1257型)で増幅して測定した。
【0023】IGF−I(同上)、インスリン(ブタ精
製中性インスリン注射液、インシュリン・ノボ・アクト
ラピッドMC、ノボ・ノルディスクA/C製品)及び5
%ブドウ糖加酢酸リンゲル液(日研化学株式会社製 ヴ
ィーンD注)の注入は左側大腿静脈にポリエチレンチュ
ーブを挿入して行った。更に、血液試料の採取のため
に、鎖骨下動脈にポリエチレンチューブを挿入した。
【0024】これらの操作が終了した後、左腹部肋骨下
を開腹し、経後腹膜的に尿管及び腎動脈を周辺組織より
剥離し、尿管には、ポリエチレンチューブを挿入して、
尿量を測定した。また、剥離した左腎動脈に腎動脈血流
量の測定のために、非観血型電磁流量計用プローブ(日
本光電株式会社製 FR−630T型、φ:3mm)を
装着した。さらに、頸動脈血流量の測定のために剥離し
た左総頸動脈に、同様に非観血型電磁流量計用プローブ
(同上、φ:2mm)を装着し、それぞれ電磁流量計
(日本光電株式会社製 MFV−2100型)を介して
ポリグラフ上に連続的に描記した。
【0025】次に、各指標が安定した時点でヘパリンナ
トリウム(小玉株式会社製 ノボヘパリン注 500U
/kg)を静脈内投与した。出血性ショックは、右大腿
動脈に挿入したポリエチレンチューブを解放することに
より、平均血圧が40mmHgとなるように急速脱血
(脱血速度としては平均4.5ml/kg/min)を
行い、以後は血液槽の高さを調節して、平均体血圧を4
0mmHgに維持することにより作製した。 (2)IGF−Iの投与 実験群としては、IGF−I投与群(2mg/kg)、
インスリン投与群(1U/kg)及び対照群(生理食塩
液投与群)の3群で行った。
【0026】IGF−I及びインスリンの投与量は、ま
ず予備実験によりIGF−I及びインスリンが同程度の
血糖降下作用を示す体重あたりの用量(IGF−I2m
g/kg、インスリン1U/kg)を確認し、実施例1
に於いて作製された1mlアンプル製剤を必要量投与し
た。また、生理食塩液はIGF−I及びインスリンの投
与量と同容量を投与した。
【0027】IGF−I、インスリン及び生理食塩水の
投与時期は、脱血によって平均体血圧が40mmHgと
なった時点で静脈内投与した。また、輸液による蘇生期
に於けるIGF−I等の作用を観察するために5%ブド
ウ糖加酢酸リンゲル液を、IGF−I等を投与後、平均
体血圧を40mmHgに60分間維持した後、1ml/
kg/minの速度で90分間輸注した。
【0028】血液試料は、脱血前(Cont)、脱血し
平均血圧が40mmHgとなり、IGF−I等を投与す
る直前(0分)、IGF−I等投与後15、30及び6
0分後(出血性ショック期)、更に糖輸液の注入開始1
5、30、60及び90分後(輸液による蘇生期)に嫌
気的に採取した。血液ガス分析は、血液ガス分析装置
(Instrumentation Laborato
ry製 1304型)を用いて測定した。血液生化学的
検査は、エピネフリン及びノルエピネフリン(HPLC
法)、血糖(酵素法)、インスリン(RIA法)、グル
カゴン(RIA 2抗体法)、コルチゾール(RIA
固相法)、レチノール結合蛋白(ネフェロメトリー)を
測定した。
【0029】(3)試験結果 上記の試験方法に従って実施した試験の結果は以下の通
りであった。 a)出血性ショック期に於ける効果の確認 出血性ショック期に於ける効果の確認を表1〜表7に示
す。尚、表中の変化分の値は脱血前の値を基準(0)と
して、その差を算出したものである。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】上記表1〜表7の結果から明らかなよう
に、出血性ショック期に於ける血糖上昇は、IGF−I
及びインスリン投与によって改善された。出血性ショッ
ク期に於けるインスリンの投与は生体を高インスリン血
症に導くが、これに対してIGF−Iの投与は、インス
リン濃度を上昇させることなく、対照群とほぼ同様のレ
ベルに維持されており、IGF−I投与で高インスリン
血症が助長されなかった。また、IGF−Iはインスリ
ンと同様に、出血性ショック時に於ける過度のストレス
ホルモン(エピネフリン、ノルエピネフリン、グルカゴ
ン及びコルチゾール)遊離を抑制した。
【0038】さらに、IGF−Iは出血性ショック時の
レチノール結合蛋白を上昇させ、栄養状態の改善をもた
らすことが認められた。b)蘇生期に於ける効果の確認
蘇生期に於ける効果の確認を、特に血糖値、動脈血の二
酸化炭素分圧、尿量及び血しょう浸透圧について第8表
〜第11表に示す。また、輸液投与後の経過時間の0分
は血液試料は、IGF−I等の投与60分後の試料と同
一である。尚、表中の変化分の値は輸液投与開始時の値
を基準(0)として、その差を算出したものである。
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】
【表11】
【0043】上記表8〜表11の結果から明らかなよう
に、IGF−Iは蘇生期に於いて、糖輸液による血糖値
の上昇をインスリンよりも強力に抑制した。動脈血二酸
化炭素分圧測定の結果より判断して、IGF−Iはイン
スリンに比べ、糖輸液により投与されたブドウ糖の利用
率(エネルギー化)を格段に高めていることが窺えた。
また、インスリン及びIGF−I投与群では、血糖値の
上昇がないにもかかわらず、高血糖状態による浸透圧利
尿作用によると同程度の尿量が確保されており腎臓の保
護を含めた全身循環に対しても有効に作用していること
が認められる。
【0044】さらに、出血性ショックを維持した後、糖
輸液を投与することによって体血圧、頸動脈血流量及び
腎動脈血流量は、何れの群に於いても同様に改善され
た。以上の結果より、本発明の出血性ショック治療剤の
成分であるIGF−Iが出血性ショック期及びその蘇生
期に於ける治療に有効である。
【0045】
【発明の効果】本発明の出血性ショック治療剤は、出血
性ショックの患者を糖輸液等で治療する際の、出血性シ
ョックによって誘発される糖代謝を含めた生体のストレ
ス状態を緩解すると共に、出血性ショックを糖輸液で組
成させた場合に生じる副作用を軽減させ、エネルギー供
給を含め出血性ショックに対する蘇生の目的を完遂する
ために有効であり、救急医療技術の向上に寄与するとこ
ろが極めて大である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効量のIGF−Iを含有してなる出血
    性ショック治療剤
  2. 【請求項2】 IGF−Iがヒト起源のものである請求
    項1記載の出血性ショック治療剤
  3. 【請求項3】 IGF−Iが組換えIGF−Iである請
    求項1記載の出血性ショック治療剤
  4. 【請求項4】 医薬的に許容される製剤担体を含有して
    なる請求項1〜3のいずれかに記載の出血性ショック治
    療剤
  5. 【請求項5】 非経口的投与型製剤である請求項4記載
    の出血性ショック治療剤
  6. 【請求項6】 注射用アンプル剤である請求項5記載の
    出血性ショック治療剤
  7. 【請求項7】 注射用凍結乾燥粉末剤である請求項5記
    載の出血性ショック治療剤
JP6034591A 1994-03-04 1994-03-04 出血性ショック治療剤 Pending JPH07242565A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2019098339A1 (ja) * 2017-11-17 2019-11-14 良弘 鈴木 抗癌剤の製造方法、抗癌剤及び医薬

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