JPH07241554A

JPH07241554A - 浄水器

Info

Publication number: JPH07241554A
Application number: JP6378594A
Authority: JP
Inventors: Yukio Kobayashi; 幸男小林; Masanao Kobuchi; 正直小泓; Hiroyuki Okazaki; 博行岡崎; Masahiko Taneike; 昌彦種池
Original assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date: 1994-01-13
Filing date: 1994-03-31
Publication date: 1995-09-19

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】水の安全性やおいしさを損う原因となる化合
物を除去する浄水器で、特にイオン交換樹脂を用いた浄
水器に関する。【構成】陽イオン交換樹脂と活性炭からなる第１の浄
水層２及び多孔質中空糸膜からなる第２の浄水層７より
なる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水の安全性やおいしさ
を損なう原因となる化合物を除去する浄水器に係り、特
にイオン交換樹脂を用いた浄水器に関する。

【０００２】

【従来の技術】水道水中に含まれる残留塩素を除くこと
を主目的とした活性炭浄水器が数年前に発売されたが、
厚生省の調査により、長時間使用しなかった場合に活性
炭中に雑菌が発生し、好ましくないことが明らかになっ
た。この雑菌の流出を抑えるために、活性炭に加えて、
多孔質中空糸膜等を利用して膜濾過を行う浄水器が発売
されているが、この様な浄水器においても、水道の配管
から溶出する鉛等の重金属の陽イオンや、硝酸性窒素、
亜硝酸性窒素等の陰イオン等の溶解イオン性有害物質
は、あまり除去できていないのが現状であった。

【０００３】これら問題点を解決するために、活性炭収
納ユニット、分離濾過膜収納ユニットに、溶解イオン性
有害物質の除去能力の高いイオン交換樹脂収納ユニット
を組合せたカセット式浄水器（実開平３−７９８９号公
報）や、耐圧容器に収納したフィルタ、活性炭、イオン
交換樹脂の順に水道水を流す浄水器（特開昭６１−２５
７２８２号公報）等が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のような構成を有
する浄水器においては、活性炭により、塩素、トリハロ
メタン、溶解イオン性有害物質、農薬等の有機物を除去
し、イオン交換樹脂により溶解イオン性有害物質の除去
を行っている。

【０００５】しかしながら、上記の浄水器では、活性炭
とイオン交換樹脂が別々のカートリッジに充填されてい
るため、例えばイオン交換樹脂を活性炭の入水側に配置
した場合、水道水中に殺菌剤として投入されている塩素
の影響で、イオン交換樹脂が酸化分解され、活性炭で吸
着しきれなかったイオン交換樹脂の分解物が流出するた
め、流出水が着色したり、臭気がつくことがあり、好ま
しくなかった。

【０００６】また、活性炭をイオン交換樹脂の入水側に
配置した場合、イオン交換樹脂に含まれる分解物、低分
子化合物がそのまま流出するため、流出水が着色した
り、臭気がついたりする不都合があった。

【０００７】本発明はこのような状況に鑑み、イオン交
換樹脂と活性炭とを用いた浄水器において、水道水中に
含まれる塩素、トリハロメタン、溶解イオン性有害物
質、細菌類等を有効に除去し、衛生的かつおいしい水を
得ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明による浄水器は、
陽イオン交換樹脂と活性炭からなる第１の浄水槽及び多
孔質中空糸膜からなる第２の浄水槽を有する浄水器に於
て、第１の浄水槽に陽イオン交換樹脂と活性炭とを混合
した濾過体を用いたことを特徴とする。

【０００９】第１の浄水槽と第２の浄水槽との間に流量
センサー、又は定流量弁及び圧力スイッチを設けると、
より正確に濾過体の寿命を把握することができる。

【００１０】また、陽イオン交換樹脂にカルシウム塩型
の陽イオン交換樹脂を用いると、重金属陽イオン等の溶
解イオン性有害物質の除去と同時に、塩交換により、浄
水中にカルシウムイオンを溶離させることができる。

【００１１】更に、陽イオン交換樹脂と活性炭の混合比
率Ｃ／Ｒが下式、１≦Ｃ／Ｒ≦８［Ｃ：活性炭重量（ｇ）、Ｒ：陽イオン交換樹脂容積
（ｍｌ）］を満足すると、より除去効率が良く、長寿命の浄水層が
得られる。

【００１２】更に、使用する活性炭が、性状の異なる２
種以上の活性炭の混合物であると、異なる種類の物質を
バランス良く除去することが可能である。

【００１３】本発明を更に詳細に説明する。本発明によ
る浄水器は、陽イオン交換樹脂と活性炭との混合物を有
する第１の浄水層と、多孔質中空糸膜からなる第２の浄
水層とから構成される。第１の浄水層では活性炭によ
り、塩素、トリハロメタン、溶解イオン性有害物質、農
薬等を除去し、陽イオン交換樹脂により溶解陽イオン性
有害物質を除去する。第２の浄水層においては多孔質中
空糸膜により、粒状有害物質、細菌類等の除去を行う。

【００１４】第１の浄水槽においては、活性炭が、陽イ
オン交換樹脂の酸化分解を促進する水道水中の塩素を除
去するので、イオン交換樹脂の分解が抑制されると同時
に、イオン交換樹脂に含まれている分解物、低分子化合
物を吸着除去するため、浄水器より流出する水は着色、
臭気等がなく、極めておいしい水を得ることができる。

【００１５】本発明で用いる陽イオン交換樹脂は、除去
したい物質に対応するものであれば強酸性陽イオン交換
樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂の何れも用いることがで
きるが、水道水には、例えば配管に用いられている鉛管
から鉛等の重金属陽イオンが溶出し、その多くが中性塩
として溶解していることから、中性塩を分解吸着できる
強酸性陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。

【００１６】カルシウム塩型の強酸性陽イオン交換樹脂
を用いると、塩交換により、日本人に不足しがちである
とともに、水をおいしくするといわれているカルシウム
イオンが水中に溶離するので、更に好ましい。

【００１７】本発明で使用する活性炭は、塩素、トリハ
ロメタン、溶解イオン性有害物質、農薬等の有害物を除
去する能力を持っていれば特に限定されるものではな
く、形態的には粉末状、粒状、繊維状等の活性炭が使用
できる。

【００１８】活性炭の原料は特に限定されるものではな
く、ヤシガラ活性炭、骨炭、木炭系等の天然物系活性
炭、ピッチ系、石油コークス系、樹脂やゴム等の焼成賦
活活性炭等の合成活性炭等を使用でき、活性炭の賦活方
法としては、水蒸気賦活、化学的賦活等の賦活法を用い
ることができるが、コスト面を考えると、水蒸気賦活し
たヤシガラ活性炭が好ましい。

【００１９】更に好ましくは、性状の異なる活性炭を２
種以上使用すると、それぞれの活性炭の吸着、分解能力
の差により、複数の目的物質を同時にバランス良く除去
することが可能である。

【００２０】本発明に用いる活性炭は、抗菌性を付与す
るために銀等の重金属を添着したものでも構わないが、
あまり大量の重金属が溶出するものは好ましくない。抗
菌性を付与したものは比較的好ましく用いられる。

【００２１】本発明の活性炭と陽イオン交換樹脂の混合
比率Ｃ／Ｒは下式を満足するものが好ましい。１≦Ｃ／Ｒ≦８［Ｃ：活性炭重量（ｇ）、Ｒ：陽イオン交換樹脂容積
（ｍｌ）］

【００２２】混合比率Ｃ／Ｒが１未満では、イオン交換
樹脂の吸着能力と活性炭の吸着能力の差が大きくなり、
濾過体の寿命が活性炭のみの律速となるとともに、イオ
ン交換樹脂に含まれる分解物、低分子化合物が、活性炭
で完全には吸着除去されずに流出するため、流出水が着
色したり、臭気がついたりすることがある。

【００２３】また、混合比率Ｃ／Ｒが８を超える場合に
はイオン交換樹脂の吸着能力と活性炭の吸着能力の差が
大きくなり濾過体の寿命が陽イオン交換樹脂のみの律速
となるため、あまり好ましくない。

【００２４】本発明に用いる多孔質中空糸膜は、雑菌等
の微小物質を除去できれば特に限定されるものではな
く、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
系、ポリスルホン系等の多孔質中空糸膜が用いられる。
これらの多孔質中空糸膜は、通水性能を向上するために
例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体（＝エチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体）等で親水化されていること
が好ましい。

【００２５】本発明では、第１の浄水槽と第２の浄水槽
の間に流量センサー、又は定流量弁及び圧力スイッチを
設けることが好ましい。これら装置を設けることによ
り、流量センサーの積算濾過流量若しくは一定流量で流
れていることを検知できる圧力スイッチの積算稼動時間
から、濾過体の寿命を把握することができる。

【００２６】上記の検知手段を第１の浄水槽の入水側に
配した場合、陽イオン交換樹脂、活性炭の圧力損失及び
多孔質中空糸膜の圧力損失により、正確な検知が出来に
くいため、あまり好ましくない。また、検知手段を第２
の浄水槽の出水側に配すると、圧力損失は少ないが、多
孔質中空糸膜通過後に水が滞留し易い場所ができ、雑菌
が発生することがあるため好ましくない。

【００２７】検出手段を第１の浄水層と第２の浄水層の
間に設けると正確かつ衛生的な検知を行うことができ
る。

【００２８】本発明の流量センサ−又は圧力スイッチか
らの信号は制御部及び表示部に浄水器の寿命を知らせる
手段を持ち、光の点灯や音声により知らせるものであ
る。また、本発明の陽イオン交換樹脂、活性炭及び多孔
質中空糸膜以外にも、一次フィルターやセラミック、天
然石等を同時に用いてもよい。

【００２９】

【作用】本発明による浄水器は、第１の浄水層におい
て、活性炭により塩素、トリハロメタン、溶解イオン性
有害物質、農薬等を除去し、陽イオン交換樹脂により溶
解陽イオン性有害物質を除去する。

【００３０】これら陽イオン交換樹脂と活性炭は混合物
として濾過体に用いられているため、活性炭が、イオン
交換樹脂の酸化分解を促進する水道水中の塩素の除去す
ると同時に、イオン交換樹脂に含まれている分解物、低
分子化合物を吸着除去するため、浄水器より流出する水
は着色、臭気等がなく、極めておいしい水を得ることが
できる。

【００３１】

【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。〔実施例１〕本発明による浄水器の一実施例の断面図を
図１に示した。水道水は、入水口６より入水し、第１の
浄水槽２内の活性炭とカルシウム塩型陽イオン交換樹脂
を混合した濾過体４を通過した後、配水管中の流量セン
サー９を経由して、多孔質中空糸膜８を収めた第２の浄
水槽７に入り、多孔質中空糸膜８で濾過された後、浄水
吐水口１１より流出する。

【００３２】陽イオン交換樹脂と活性炭の混合物４を充
填した第１の浄水槽２と多孔質中空糸膜８を収めた第２
の浄水槽７は配水管によってつながれ、外容器１に収納
されている。

【００３３】カルシウム塩型陽イオン交換樹脂として
は、オルガノ（株）製強酸性陽イオン交換樹脂アンバー
ライトＩＲ−１２０Ｂを下記の方法でカルシウム塩型と
したものを用いた。

【００３４】まず、市販のアンバーライトＩＲ−１２０
Ｂを１ｌガラス漏斗に入れ４Ｎ塩酸水溶液１．５ｌ（樹
脂の交換容量の約３倍当量、以下括弧内の当量数は対イ
オン交換樹脂の交換容量）を２００ｍｌ／分の通水速度
で通水した。その後イオン交換水１０ｌを２００ｍｌ／
分の通水速度で通水し洗浄した後、３Ｎ水酸化ナトリウ
ム水溶液２ｌ（約３倍当量）を２００ｍｌ／分の速度で
流し、ナトリウム塩型とした。更に２００ｍｌ／分の通
水速度でイオン交換水１０ｌで洗浄し、４Ｎ塩酸水溶液
１．５ｌ（約３倍当量）通水後イオン交換水１０ｌで洗
浄した。

【００３５】得られた酸型の強酸性陽イオン交換樹脂に
３ｍｏｌ／ｌ塩化カルシウム水溶液１ｌ（約３倍当量）
を１００ｍｌ／分の通水速度で通水した。その後イオン
交換水１０ｌを２００ｍｌ／分の速度で通水洗浄した。
塩化カルシウム溶液並びにイオン交換水通水時の流出液
全てを集めて、キレート滴定法（浄水試験法に準拠）に
てカルシウムイオン濃度を測定し、強酸性陽イオン交換
樹脂に捕捉されているカルシウム量を逆算したところ、
１．９２当量／ｌ−イオン交換樹脂交換されていた。

【００３６】活性炭はクラレケミカル社製クラレコール
Ｔ−ＳＢ４８／１００の高賦活炭を用いた。第１の浄水
槽２には一次側から１５０メッシュのナイロンメッシュ
を貼付した樹脂枠５を設置し、上記活性炭４５０ｇと陽
イオン交換樹脂３００ｍｌを均一に混合した濾過体４を
充填し、樹脂枠５と同様に作製した樹脂枠３を濾過体が
流出しないように挿入した。

【００３７】第２の浄水槽７には親水化を施したポリエ
チレン製多孔質中空糸膜８を２液型ポリウレタン樹脂で
固定し、一端を切断、開放したものを用いた。更に、第
１の浄水槽２と第２の浄水槽７をつなぐ配水管の途中に
羽根車式の流量センサー９を設けた。流量センサー９の
出力信号は表示及び制御部１０にて流量を積算し、浄水
器の寿命表示を行った。

【００３８】得られた浄水器について、通水速度を４ｌ
／分とし、下記の測定を行った。（１）残留塩素除去能力２．０±０．２ｐｐｍ残留塩素含有水を８ｍ³ 通水した
時の流出水の残留塩素濃度をｏ−トリジン法により測定
した。

【００３９】（２）除菌能力 Pseudomonas diminuta IFO 14213 １．７×１０⁷ ヶ／
ｍｌを含む水を６ｌ通水した時の菌数を測定した。

【００４０】（３）鉛除去能力鉛濃度として１５０ｐｐｂに調製した塩化鉛水溶液を８
ｍ³ 通水した時の流出水の鉛濃度を測定した。

【００４１】（４）トリハロメタン除去能力クロロホルムを６０ｐｐｂに調製した溶液を８ｍ³ 通水
した時の流出水のクロロホルム濃度を測定した。

【００４２】（５）カートリッジ寿命表示流量センサーから得た信号の積算流量が８ｍ³ の時点を
カートリッジ寿命とし、その時の積算流量を市販の積算
流量形を用いて測定した。この様にして得られた浄水器
の試験結果を表１に示す。

【００４３】本実施例による浄水器は、残留塩素、細
菌、鉛、トリハロメタンともに、高い除去能力を示し
た。また、カートリッジ寿命表示における結果から分か
るように、市販の流量センサーにより測定した流量と、
流量センサーにより測定した流量はほぼ同じとなり、正
確な流量測定が可能であった。

【００４４】〔実施例２〕活性炭に、クラレケミカル社
製クラレコールＴ−ＳＢ４８／１００の高賦活炭及び低
賦活炭を１：１の重量比で混合したものを用いたこと以
外は、実施例１と全く同様の方法で浄水器を作製した。
この浄水器を用いて、実施例１と同様の条件下で測定を
行った。結果を表１に示す。

【００４５】実施例２においては、性状の異なる２種の
活性炭を使用しており、鉛の除去能力の高い高賦活炭の
減少により、流水中の残存鉛濃度は若干高くなっている
が、トリハロメタンの除去能力の高い低賦活炭の添加に
より、クロロホルムの残存量は低くなっており、鉛とク
ロロホルムをバランス良く除去することが可能であっ
た。

【００４６】

【表１】

【００４７】

【発明の効果】本発明の浄水器は、第１の浄水層に陽イ
オン交換樹脂と活性炭との混合物を用いており、活性炭
により、塩素、トリハロメタン、溶解イオン性有害物
質、農薬等を除去し、陽イオン交換樹脂により溶解陽イ
オン性有害物質を除去し、更に多孔質中空糸膜からなる
第２の浄水層により細菌等の濾過を除去することができ
るため、安全かつ衛生的な水を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の浄水器の一例を示す断面図であ
る。

【符合の説明】

１浄水器外容器２第１の浄水槽３、５樹脂枠４活性炭と陽イオン交換樹脂を混合した混合体６水道水流入口７第２の浄水槽８多孔質中空糸膜９流量センサー１０表示及び制御部１１吐水口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者種池昌彦東京都中央区京橋二丁目３番19号三菱レイヨン株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】陽イオン交換樹脂と活性炭からなる第１の
浄水槽及び多孔質中空糸膜からなる第２の浄水槽を有す
る浄水器に於て、第１の浄水槽に陽イオン交換樹脂と活
性炭とを混合した濾過体を用いたことを特徴とする浄水
器。
【請求項２】第１の浄水槽と第２の浄水槽との間に、流
量センサー、又は定流量弁及び圧力スイッチを設けたこ
とを特徴とする請求項１記載の浄水器。
【請求項３】陽イオン交換樹脂がカルシウム塩型である
ことを特徴とする請求項１記載の浄水器。
【請求項４】陽イオン交換樹脂と活性炭の混合比率Ｃ／
Ｒが下式を満足することを特徴とする請求項１記載の浄
水器。１≦Ｃ／Ｒ≦８［Ｃ：活性炭重量（ｇ）、Ｒ：陽イオン交換樹脂容積
（ｍｌ）］
【請求項５】活性炭が、性状の異なる２種以上の活性炭
の混合物であることを特徴とする請求項１記載の浄水
器。