JPH07241052A - 回転電機の制御基板支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ステップモータのような小型回転電機の外面に
制御基板を取りつけるに際し、簡単で正確な位置決めが
できる位置決め装置を得ることを目的とする。 【構成】電線を巻回したボビンを巻き芯とその両端に設
けた円板部とで構成し、その円板部の一方に端子を支持
するためのピン支持部を一体に成形すると共に、円板部
の他方に基板支持部を成形し、その基板支持部の途中を
折り曲げてピン支持部の頂部へ係脱可能に連結し、前記
基板支持部の根部とピン支持部との間にピン支持部の頂
面に連続する平坦な制御基板の支持面を形成し、前記ピ
ン支持部と基板支持部との間を相互に係合可能な係合手
段を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はステップモータその他
の小型電動機を含む回転電機を制御するのに使用される
制御基板を、機械的な本体部分、特に、その固定子をな
す電磁コイルのボビンを利用して支持するための支持装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種の小型回転電機に使用さ
れる固定子巻線は、ヨークによって保持されたボビンに
巻回されており、その電線の端末はボビンの成形時に一
体的に結合された端子ピンに接続されている。他方、回
転電機の一種である前記用途に供されるステップモータ
は、駆動軸の回転速度や回動角を正確に制御するため、
制御基板に形成された制御回路を有し、それから供給さ
れるパルス電力によって所定の角速度で駆動され、且
つ、所定の角度位置で停止するよう駆動される。

【０００３】他方、電気回路を構成する電気基板はよく
知られるように、絶縁体からなる板材の表面に銅板をメ
ッキし、回路図で覆った後、エッチングして作られてお
り、基板上に形成された配線の上には独立した部品を結
合するための細い結合孔が所々に形成されている。そこ
で、前記した小型のステップモータのような回転電機は
図６で示すように、励磁コイルＡの巻線と制御基板Ｂと
を結線するため、励磁コイルＡのボビンＣに巻線の端子
が結合される端子ピンＰを設け、その端子ピンＰの先端
を前記基板Ｂに形成した結合孔Ｄに挿入しハンダ付けす
ると同時に、電磁コイル上に制御基板を固定している。

【０００４】そこで、制御基板Ｂを端子ピンＰにハンダ
付けする際、前記制御基板Ｂの姿勢や位置を正確に保つ
ため、図６で示すような、２個が一対となっている補助
台座ＥをボビンＣに取り付け、それら補助台座Ｅによっ
て制御基板Ｂの両端を支えることが行われ、あるいは、
図中、仮想線で示した特製の支持枠Ｇを用いて制御基板
ＢとボビンＣとの関係を定めた上でハンダ付けすること
が行われている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た補助台座Ｅ、Ｅを用いる方法は、それ自体の組み立て
のための工数を要する上、回転電機自体の部品点数が増
すことによって製品のコストを押し上げていた。また、
特製の支持枠を用いても、制御基板ＢとボビンＣとの相
互位置や角度を正確に保って設置する作業は、相当に高
度な注意力を必要とし生産性の向上にも限度があった。
また、人間の注意力に頼って生産するため品質の向上に
も一定の限度があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は上記した課題
を解決するため、電線を巻回したボビンに、端子ピンを
支持するピン支持部を一体的に成形すると共に、そのピ
ン支持部の近傍に基板支持部を並設し、その基板支持部
の途中を折り曲げてピン支持部の頂部に連結し、前記基
板支持部の根部とピン支持部との間にピン支持部の頂面
に連続する平坦な制御基板の支持面を形成したものであ
る。より具体的には、電線を巻回したボビンに、端子ピ
ンを支持するピン支持部を突設すると共に、そのピン支
持部の近傍に基板支持部を並設し、その基板支持部の途
中に折り曲げ手段を設けると共に、前記ピン支持部と基
板支持部との間に相互に係合可能な係合手段を設けたも
のである。

【０００７】

【作用】基板支持部を折り曲げ手段によって略直角方向
へ折り曲げると、その先端部がピン支持部の側面に対向
する位置まで折り曲がる。そこで係合操作を加えること
により、ピン支持部と基板支持部とが連結される。そし
て、基板支持部の折り曲がった部分がピン支持部の頂面
に連続する平坦な面となる。よって、、ピン支持部に支
持した端子ピンと連結される基板がそれによって支持可
能となる。

【０００８】

【実施例】以下、図示の実施例によって、この発明を説
明する。図１中、１０は回転電機であり、具体的にはス
テッピングモータである。ステッピングモータ１０はい
わゆるクローポール形であり、環状の円板の内外から側
方に屈曲させた爪部１１を有するヨーク１２によって励
磁コイルたる電磁コイル２０を備えている。電磁コイル
２０はヨーク１２によって支持された合成樹脂製のボビ
ン２１と、ボビン２１に巻回された電線からなる巻線２
２とで構成されている。前記したヨーク１２は背中合わ
せに２個が設けられており、ヨーク１２とその一端に溶
接された環状の軸受板１３によって固定子が構成されて
いる。前記軸受板１３は環状の鉄板で作られ、その中心
孔には焼結金属とそれに含浸させた潤滑油で作られた無
給油式の軸受１４が溶接されている。

【０００９】３０は前記軸受１４に支持されたステッピ
ングモータ１０の出力軸であり、出力軸３０には円筒状
のスリーブ４１と、その外周にに圧入された筒形のマグ
ネットロータ４２が設けられ、それらによって回転子が
形成されている。マグネットロータ４２は公知のよう
に、円周方向に所定のピッチで磁極が着磁されており、
電磁コイル２０と協働して出力軸３０を所定の速度で、
且つ、所定の角度だけ回転させる。

【００１０】この実施例において、電磁コイル２０の巻
き線２２、２２はボビン２１に電線を巻回したものであ
り、その末端はボビン２１に支持した端子ピン２３にハ
ンダ付けされている。前記ボビン２１は図２、図４ある
いは図３、図５などで示すように、巻き芯２１ａとその
両端部に形成された環状の円板部２１ｂとで構成され、
前記巻線２２は両円板部２１ｂ、２１ｂに挟まれた巻き
芯２１ａの部分に巻回されている。

【００１１】円板部２１ｂの一方には円周方向と軸方向
とに共に突出して形成した端子ピン２３を支持するため
のピン支持部２４が、また、他方には制御基板２５を支
持するため円周方向へ伸びる基板支持部２６とがそれぞ
れ一体的に成形され設けられている。なお、この実施例
ではその結合孔１５に前記端子ピン２３の先端部が挿通
されハンダ付けされている。

【００１２】ピン支持部２４は円板部２１ｂから軸方向
へ突出した部分に３本の端子ピン２３が成形の際にイン
サートされている。端子ピン２３の上端と下端とはそれ
ぞれピン支持部２４から上下に突出しており、前記巻線
２２の末端は端子ピン２３の下側へ突出した部分に結線
されている。ピン支持部２４の軸方向内側には円板部２
１ｂの円形の外周面から外方の伸びた部分に、後述する
基板支持部２６の先端部が係合するための係合部２４ａ
が形成してある。

【００１３】基板支持部２６はピン支持部２４を有しな
い側の円板部２１ｂから放射方向へ伸びる板状をなし、
その中間位置に折り曲げ手段たる切り込み２７が形成さ
れている。切り込み２７は図示のように軸方向の外面に
Ｖ字形に切り込まれており、切り込み２７から外方へ伸
びる部分２６ａがピン支持部２４側へ折れ曲がるように
なっている。２８は前記外方へ伸びる部分２６ａの端部
に形成された係合部であり、しっかりと係合できるよう
前記ピン支持部２４の両側に対称形に配置されている。
そして、係合部の形状は前記凸形をなす係合部２４ａの
逆形に作られている。すなわち、それらは互いに弾性変
形によって係合および係脱するもので、図２で示す当初
の位置から外方へ伸びる部分２６ａを折り曲げ、図３で
示す位置に達したときに上から押し込んで係合させ得る
構成となっている。

【００１４】次に、上記実施例によるステッピングモー
タ１０の組み立て方法を説明する。まず、巻線２２を巻
いたボビン２１を手で持ち、基板支持部２６の遊端を指
で押さえ、折り曲げ手段たる切り込み２７を境にして略
直角に折り曲げると、その頂面がピン支持部２４の側面
にほゞ接する位置に達する。そこで、外方へ伸びる部分
２６ａの端部を一層強く押し付ければ、係合部２４ａと
係合部２８とは少しづつ弾性変形して凹部と凸部とが互
いに係合する。かくて、ボビン２１の一方の円板部２１
ｂと他方の円板部２１ｂとの間が切り込み２７から外方
へ伸びる部分２６ａによって橋架され、その上面に制御
基板２５を乗せるための平坦な面が形成される。

【００１５】前記端子ピン２３と制御基板２５とを結線
するには、図３で示すように、支持面２９の上部に制御
基板２５を運び、電磁コイル２０から導出された端子ピ
ン２３の上に結合孔１５を移動させて挿通し、ついで、
制御基板２５を支持面２９の上に置き、位置と姿勢を決
めて結合孔１５と端子ピン２３とを半田付けして両者を
結合する。

【００１６】よって、この発明によれば、ボビン２１自
体に制御基板２５を支持する上向きの支持面２９が形成
したものであるから、治具その他の工具を用いて支持面
２９を作る場合に比して、作業が簡単であり、かつ、そ
の支持面２９の位置や姿勢の精度が高い。

【００１７】なお、上記実施例では係合部２４ａ側を凸
とし係合部２８を凹としたが、この関係はどちらを凸、
あるいは凹とすることも可能である。また、ピン支持部
２４と基板支持部２６はボビン２１の円板部２１ｂの一
方と他方とに分けて設ける必要はなく、一方に両部２
４、２６を共に設けることも可能であり、この発明の概
念に包含される。

【００１８】

【発明の効果】この発明は以上のように、制御基板の支
持面はボビンの一方の円板部に設けた基板支持部を折り
曲げて形成するから、ボビンの成形と同時に制御基板の
支持面が形成され、支持面のための特別な部材を必要と
せず、構造が簡単で、且つ、製造が容易になる。また、
ピン支持部と基板支持部は比較的薄いボビンの円板部に
形成されているにも拘わらず、基板支持部の先端が折れ
曲がってピン支持部と係合するので、相互に補強されて
剛性が増す。更に、．基板支持部の遊端が制御基板を支
持するピン支持部の頂面と連らなる平面を形成するか
ら、制御基板を端子ピン支持部に係合させれば、その状
態で支持され、格別の位置決めを必要としないなど、電
磁コイルと制御基板とを結合する作業を効率よく行うこ
とができる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示すステッピングモータ
の一部を破断して示す正面図である。

【図２】その要部であるボビンを拡大し、ピン支持部と
基板支持部との係合を解き開放させた状態で示す拡大正
面図である。

【図３】ピン支持部と基板支持部とを係合させた状態で
示す図２相当の拡大正面図である。

【図４】図２相当の要部の外観図である。

【図５】図３相当の要部の外観図である。

【図６】従来の装置を示す図１相当の正面図である。

【符号の説明】

１０・・・・ステッピングモータ １１・・・・爪部 １２・・・・ヨーク １３・・・・軸受板 １４・・・・軸受 １５・・・・結合孔 ２０・・・・電磁コイル（励磁コイル） ２１・・・・ボビン ２１ａ・・・巻き芯 ２１ｂ・・・円板部 ２２・・・・巻線 ２４・・・・ピン支持部 ２５・・・・制御基板 ２６・・・・基板支持部 ２６ａ・・・切り込みから外方へ伸びる部分 ２７・・・・切り込み ２８・・・・係合部 ３０・・・・出力軸 ４０・・・・回転子 ４１・・・・永久磁石

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電線を巻回したボビンを巻き芯とその両端
   に設けた円板部とで構成し、その円板部の一方に端子を
   支持するためのピン支持部を一体に成形すると共に、円
   板部の他方に基板支持部を成形し、その基板支持部の途
   中を折り曲げてピン支持部の頂部へ係脱可能に連結し、
   前記基板支持部の根部とピン支持部との間にピン支持部
   の頂面に連続する平坦な制御基板の支持面を形成し、前
   記ピン支持部と基板支持部との間を相互に係合可能な係
   合手段を設けてなる回転電機の制御基板支持装置。
2. 【請求項２】請求項１において、前記基板支持部の途中
   に設けた折り曲げ手段は基板支持部の側面に切り込まれ
   た切り込みである回転電機の制御基板支持装置。
3. 【請求項３】請求項１において、前記ピン支持部と基板
   支持部との間に形成される係合手段はピン支持部と基板
   支持部との一方に形成した凸部と他方に形成した凹部と
   によって形成されている制御基板支持装置。