JPH07237996A - ダイヤモンド膜の形成方法、ダイヤモンド膜を被覆した工具の製造方法及びダイヤモンド膜を被覆した工具 - Google Patents

ダイヤモンド膜の形成方法、ダイヤモンド膜を被覆した工具の製造方法及びダイヤモンド膜を被覆した工具

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JPH07237996A
JPH07237996A JP2949294A JP2949294A JPH07237996A JP H07237996 A JPH07237996 A JP H07237996A JP 2949294 A JP2949294 A JP 2949294A JP 2949294 A JP2949294 A JP 2949294A JP H07237996 A JPH07237996 A JP H07237996A
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Kazuaki Kurihara
和明 栗原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は被処理基板へのダイヤモンド膜の被
覆方法とその方法による工具の製造方法及びダイヤモン
ド工具に関し、被処理基板に対し優れた密着強度を有す
るダイヤモンド被覆方法とダイヤモンド被覆工具の提供
を目的とする。 【構成】 被処理基板9の表面に、ダイヤモンド粒子15
を所要厚みに付着させる工程と、前記ダイヤモンド粒子
15の各相互の空隙に前記被処理基板9と同一材料、被処
理基板9と密着性の良い金属、セラミックス材料の少な
くとも一つをマトリックス材16として含浸させることに
より中間層14を形成する工程と、該中間層14の前記ダイ
ヤモンド粒子15を露出させる工程と、前記露出処理を施
した被処理基板9にガスを供給して露出したダイヤモン
ド粒子15上にダイヤモンド膜13の合成を行う工程とを含
むことを特徴とするダイヤモンド膜の形成方法であっ
て、この形成方法を用いてダイヤモンド膜を被覆した工
具の製造方法およびダイヤモンド膜を被覆した工具が実
現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被処理基板に対するダ
イヤモンド膜の被覆方法、及びそのダイヤモンド膜を付
刃工具に利用するダイヤモンド膜を被覆した工具の製造
方法、及びダイヤモンド膜を被覆した工具に関する。
【0002】ダイヤモンドはビッカース硬度 10000と地
球上で最も硬い材料であり、ヤング率も高く耐磨耗性,
化学的安定性にも優れている。このような優れた性質の
ため、ダイヤモンドは工具材料としてハイテク産業に必
要不可欠な存在であり、その製造方法の開発が期待され
ている。
【0003】
【従来の技術】ダイヤモンドの合成法としては高圧合成
法と低圧合成法とがある。ここで、高圧合成法は比較的
サイズの大きな単結晶を育成するのに適した方法である
が、装置が大掛りであり、成長速度が著しく遅く、その
ため高コストになる問題がある。
【0004】これに対して低圧合成法にはマイクロ波プ
ラズマ気相成長法〔略してマイクロ波プラズマCVD(c
hemical vapor deposition)法〕があり、被処理基板上
に微結晶の形で製膜できる点に特徴がある。然し、気相
成長法(CVD法)で成長させたダイヤモンド膜はどの
基板を用いた場合でも密着力は極めて小さいという問題
がある。
【0005】そこでこの対策として、 被処理基板上にマトリックス材としてタングステン
・カーバイト(WC)や,モリブデン・カーバイト(MoC) な
どの炭化物からなる中間層を設け、物理化学的な方法に
より密着力を向上する方法。 被処理基板面を凹凸にし、この窪みにダイヤモンド
膜を引っ掛けるアンカー効果により機械的に密着力を向
上させる方法。
【0006】などが試みられている。然し、について
は良い結果が得られていない。また、の方法について
も従来のマイクロ波プラズマCVD法では、核発生密度
と成膜速度が共に低く、その為ダイヤモンド膜が被処理
基板面の凹凸を埋めて充分なアンカー効果を発揮する程
の厚さまでに成長させることは困難であり、そのため成
功していない。
【0007】一方、発明者等はダイヤモンド膜の気相合
成手段としてDCプラズマジェットCVD法を開発し、
新しいダイヤモンド膜の合成方法(特公平4-77710 号)
を提供している。
【0008】そしてこの方法を使用すれば、製膜速度が
200 μm/Hと大きく、然も核発生密度が高いために微
細な凹凸を伴う表面上に均一なダイヤモンド膜を高速に
被覆することができる。
【0009】図4は従来のDCプラズマジェットCVD
装置の概略構成図を示すもので、構成と操作を述べると
次のようになる。なお、構成,動作の説明を理解し易く
するために全図を通じて同一部分には同一符号を付して
その重複説明を省略する。
【0010】反応室1の上部にはプラズマジェット2を
形成するための陽極3と陰極4があり、この間を通って
原料ガス5が供給されている。また、陽極3と陰極4と
を繋いで直流電源7があり、反応室1の下部には排気口
8がある。また、被処理基板9は冷却水10によって水冷
されている載置台11の上にセットされている。
【0011】さて、ダイヤモンドのCVD成長を行うに
は、陽極3と陰極4の間から水素H2と炭化水素,例えば
メタンCH4 との混合ガスを原料ガス5として反応室1の
中に供給すると共に、排気系を動作して排気口8より排
気し、反応室1の中を低真空に保持した状態で陽陰極間
にアーク12を生じさせ、この熱により原料ガス5を分解
させてプラズマ化させると、炭素プラズマを含むプラズ
マジェット2は被処理基板9に当たり、微結晶からなる
ダイヤモンド膜13を被処理基板9の上に成長合成させる
ことができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】気相合成ダイヤモンド
を用いた工具が開発されているが、この気相合成ダイヤ
モンド膜は被処理基板に対して密着力が極めて小さいと
いう問題点がある。そこで炭化物等の中間層をダイヤモ
ンド膜の下に設けて化学的に密着力を上げようとの試み
があるが成功していない。
【0013】密着性を向上させる方法の一つに、ダイヤ
モンド膜の被着面がダイヤモンド下地ならば密着性良く
ダイヤモンドが気相成長すること(吉川,NEW DIAMOND
vo1.3(2),1987)を利用し、ダイヤモンド粒子を分散させ
た焼結体を下地に用いる方法(特開平4-297045号)があ
る。
【0014】しかし、ダイヤモンド合成に際しては通常
基板温度は700 ℃以上必要であり、この温度でも安定な
下地材(被処理基板上に形成する中間層)、例えばモリ
ブデンの粒子をマトリックス材とし、このマトリックス
材とダイヤモンド粒子との混合体を焼結手段で製造しよ
うとすると、焼結温度は1600℃程度が必要となる。この
ため、焼結の際の高温により分散粒子であるダイヤモン
ド粒子とマトリックス材とが反応してしまい、ダイヤモ
ンドが消滅してしまったり、ダイヤモンド粒子とマトリ
ックス材との結合が悪くなってしまい、良い結果が得ら
れていない。
【0015】本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、被処理基板に対して高い密着力で気相合成
ダイヤモンドを被覆できるダイヤモンド膜の被覆方法を
提供するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記問題点は図2に示す
ように、被処理基板9の表面に、ダイヤモンド粒子15を
所要厚みに付着させる工程と、前記ダイヤモンド粒子15
の各相互の空隙に前記被処理基板9と同一材料、被処理
基板9と密着性の良い金属、セラミックス材料の少なく
とも一つをマトリックス材16として含浸させることによ
り中間層14を形成する工程と、該中間層14の前記ダイヤ
モンド粒子15を露出させる工程と、前記露出処理を施し
た被処理基板9にガスを供給して露出したダイヤモンド
粒子15上にダイヤモンド膜13の合成を行う工程とを含む
ダイヤモンド膜の形成方法によって解決され、この形成
方法を用いてダイヤモンド膜を被覆した工具の製造方法
およびダイヤモンド膜を被覆した工具が実現する。
【0017】
【作用】図1は本発明によるダイヤモンド被覆膜の断面
の構造を示すもので、9は被処理基板、13はダイヤモン
ド膜、14は中間層、15はダイヤモンド粒子、16はマトリ
ックス材である。また、図2は本発明のダイヤモンド膜
の製造工程を示す断面図である。以下、形成工程図に沿
って図1のダイヤモンド膜の被覆方法の説明を行う。
【0018】最初の工程〔1〕で耐熱性を有するモリブ
デンやタングステン等の材質からなる被処理基板9の表
面に、ダイヤモンド粒子15を例えば溶剤に懸濁して塗布
乾燥することにより所要厚みに付着させる。
【0019】なお、塗布する前に、その被処理基板9の
表面に粗面処理を施すことで中間層14と被処理基板9の
表面との密着力をアンカー効果により増強させることが
できる。
【0020】工程〔2〕で塗布されたダイヤモンド粒子
及び被処理基板9の表面の各相互の空隙を後述する従来
の化学気相含浸手段により被処理基板9と同一材料、ま
たは被処理基板9と密着性の良い金属、若しくはセラミ
ックス材料の少なくとも一つをマトリックス材16として
含浸させることにより被処理基板9に密着した中間層14
を形成する。
【0021】含浸手段として例えば、化学気相含浸手段
は焼結に比べ低い温度( 例えばタングステンの場合は約
700 ℃) で含浸が可能であり、ダイヤモンド粒子15とマ
トリックス材16との熱反応を抑えることができ、かつ前
記のように選ばれたマトリックス材16は被処理基板9に
対し容易に密着する。
【0022】この化学気相含浸手段によるマトリックス
材16の含浸では、ダイヤモンド粒子15の下層迄完全に緻
密な膜は得られないので、化学気相含浸処理後にさらに
高温静水圧加圧(HIP;Hydrostatic Isothermal Pre
ss)処理、即ち、静水圧機を用いて例えばアルゴンガス
を1000℃、2000気圧程度に圧縮した高温度雰囲気を作
り、この雰囲気中に被処理基板9を置いて含浸したマト
リックス材16を更にダイヤモンド粒子相互間の間隙に押
し込むことにより密着力を増加させることができる。
【0023】この化学気相含浸処理によりダイヤモンド
粒子15はマトリックス材16の中に埋もれてしまうため、
中間層14の表層部のダイヤモンド粒子15を露出させる目
的で工程〔3〕の研磨やエッチング処理が必要となる。
この際、ダイヤモンド粒子15が抜け落ちないように注意
して研磨量やエッチング量の加工条件を設定する必要が
ある。また、エッチング方法としてはダイヤモンド合成
で利用する水素プラズマを用いる方法もある。
【0024】表層部のダイヤモンド粒子15の露出加工後
に工程〔4〕で、公知のダイヤモンド膜13の気相合成が
行われる。この気相合成によるダイヤモンド膜13の形成
方法については特に制限はなく、従来の気相合成による
ダイヤモンド膜13の形成に慣用されている方法、例えば
マイクロ波プラズマCVD法,熱フィラメント法,プラ
ズマジェット法などの化学蒸着法等を利用することがで
き、特に発明者等が開発したDCプラズマジェットCV
D法(特公平4-77710号) は、高い成膜速度が得られる
ので好ましい。
【0025】
【実施例】以下図2の本発明のダイヤモンド膜の製造工
程を示す断面図により第一の実施例を詳細に説明する。
【0026】工程〔1〕では、被処理基板9として耐熱
性を有するモリブデン製で外形10×10×2mm の付刃工具
用のチップを用いた。このチップの表面に平均粒径3μ
m のダイヤモンド粒子15を溶剤に懸濁して厚み約20μm
に塗布乾燥して付着させた。塗布乾燥以外に付着させる
手段として、例えば被処理基板9とダイヤモンド粒子15
をそれぞれ逆極性に帯電させ、吹付け手段等により静電
的に付着させる方法もある。
【0027】塗布するダイヤモンド粒子15の粒径は0.1
μm から100 μm が好ましい。0.1μm 以下では化学気
相含浸手段のガスが浸透しにくく、緻密な膜が得られな
い。100 μm 以上では表面の凹凸が大きくなりすぎて、
次工程で中間層14の表面の平坦性が得られない。
【0028】工程〔2〕では、従来の化学気相含浸手
段、例えば蒸発器、加熱器、炉心管等からなる化学気相
含浸装置を用いてタングステンの化学気相含浸を行っ
た。化学気相含浸手段は文献「S.M.Gupte and J.A.Tsam
opoulos,Forced- Flow ChemicalVapor Infiltration of
Porous Ceramic Materials,J. Electro-chem .Soc.,Vo
l.137,No.11,pp.3675-3682,November,1990.」に解説さ
れているが、構成と操作を要約すると次のようになる。
【0029】図5は従来の化学気相含浸装置の概略構成
図を示す。図において、21は石英ガラス等にて形成する
炉心管、22は炉心管21の内部を加熱するためのヒータ、
23は炉心管21の内部を排気する排気系、24は蒸発器( バ
ブラー)であって、ここでは被処理基板9と密着性の良
い金属としてタングステンをマトリックス材とするため
6弗化タングステンWF6 の液体26を蒸発器24の容器内に
満たしている。6弗化タングステンWF6 の代わりに被処
理基板9と同質材料のモリブデンを含む液体を使用する
こともできる。25a と25b は流量調整弁を示す。
【0030】操作は炉心管21の内部にダイヤモンド粒子
を溶剤に懸濁して塗布した被処理基板9をセットし、水
素ガスH2を左端から送りこみ、流量調整弁25a を切り換
えて水素ガスH2のみを炉心管21に通し、ヒータ22による
水素ガスH2の高温環境で被処理基板9を加熱する。次に
流量調整弁25b を切り換えて水素ガスH2を蒸発器24に送
り込み、6弗化タングステンWF6 の蒸気を炉心管21の内
部に送り込むことにより、次式の反応によりタングステ
ンを被処理基板9の表面に被着したダイヤモンド粒子の
相互間の間隙及び被処理基板9の表面との間隙に密着す
るように含浸させた。
【0031】
【化1】
【0032】なお、セラミックス材料例えばタングステ
ンカーバイトWCをマトリックス材として用いる場合は、
前記6弗化タングステンWF6 の液体26を満たした蒸発器
24に水素ガスH2とメタンガスCH4 の混合ガスを送り込む
ことによりタングステンカーバイトWCを化学的に生成
し、含浸させることができる。被処理基板9と同一材
料、被処理基板9と密着性の良い金属、セラミックス材
料の組み合わせをマトリックス材16として用いる場合
は、対応する蒸発器24と供給ガスの分配装置を設置すれ
ばよい。
【0033】6弗化タングステンを使用する場合、基板
温度は700 ℃である。化学気相含浸後、1000℃で1時間
の焼き鈍しを行った。この程度の温度ならばダイヤモン
ド粒子と含浸するタングステン及び被処理基板9の表面
との間に温度による反応は発生しない。
【0034】また、被処理基板9の表面にダイヤモンド
粒子15を塗布する前に、その被処理基板9の表面を粗面
処理、例えばブラスト処理(アルミナ粒子等の研磨材を
加えた水などを圧縮空気等に混合して強力に吹きつける
表面処理)等の手段で粗面に加工する処理を施し、中間
層14と被処理基板9の表面との密着力をアンカー効果を
利用して増強することができる。
【0035】工程〔3〕では、平均粒径0.5 μm のアル
ミナ研磨材を用いて中間層の表面を約2μm 程研磨した
後に、硝酸によりさらに1μm ほどタングステンの表層
をエッチングし、表層部に存在するダイヤモンド粒子を
露出させた後、純水で超音波洗浄した。
【0036】工程〔4〕では、図4に示す従来の気相合
成手段、例えば反応室内で原料ガスを陽極と陰極間のア
ーク放電領域を通過させてプラズマジェットを生成させ
る手段と、そのプラズマジェットの照射を受ける水冷式
被処理基板載置台等から構成されるDCプラズマジェッ
トCVD装置に被処理基板9をセットし、水素のみで放
電させ、水素のプラズマジェットを照射した。基板温度
を900 ℃にして1分経過後、メタンガスを導入して厚さ
30μm のダイヤモンド膜を製膜した。製膜条件は、水素
流量50リットル/min,メタン濃度5%,圧力50Torr,放
電電力10KWである。
【0037】次に前述のダイヤモンド被覆方法を用いて
形成したチップを利用した付刃工具の実施例について説
明する。図3は本発明の工具の一例の構成図であって、
(a) は分解図,(b)は外観図を示す。図において、17は付
刃バイトであって、工具鋼等で形成された工具の母体と
なるシャンク(取付具)18と、直接切削作用を行なうチ
ップ(刃先)19と、チップ19をシャンク18に鑞付け熔着
するための媒体となる銅板20とから構成されている。
【0038】チップ19は耐熱性のよいタングステンやモ
リブデン等の金属からなり、その表面に前述のダイヤモ
ンド被覆方法で形成した中間層14とダイヤモンド膜13を
積層して製造する。チップ19の裏側は銅板20を介在させ
てシャンク(取付具)18の付刃部分となる段差部に鑞付
け熔着して製造する。
【0039】このようにして形成されたチップを用いて
切削試験を行った。切削条件は被削材Al−12%Si合金(A
C8A-T6),切削方法外周長手連続旋削,切削速度1000m/mi
n,送り0.2mm/rev ,切込み0.5 mmである。その結果、10
000mの切削でも逃げ面磨耗幅は数μm 程度であった。
【0040】同様の切削試験を従来の焼結ダイヤモンド
バイトを用いて行ったところ、10000mの切削で逃げ面磨
耗幅は数10μm であった。これによりダイヤモンド膜の
密着性と、工具寿命の進歩性が実証された。
【0041】次に、図2を共用して第二の実施例を詳細
に説明する。工程〔1〕では、被処理基板9として耐熱
性を有するモリブデン製でφ5mmのドリルの付刃として
用いるチップを利用した。このチップの表面に平均粒径
5μm のダイヤモンド粒子を溶剤に懸濁して厚さ約20μ
m に塗布した。
【0042】工程〔2〕では、第一の実施例と同様に図
3に示す化学気相含浸装置を用い、チップと同質材料の
モリブデンの化学気相含浸を行った。原料ガスは6弗化
モリブデンと水素で、次式の反応によりモリブデンを被
処理基板9の表面に付着されたダイヤモンド粒子の相互
間およびチップの表面の間隙に含浸させた。
【0043】
【化2】
【0044】基板温度は700 ℃である。化学気相含浸
後、さらに1000℃、2000気圧で高温静水加圧を行った。
この加圧処理により含浸したモリブデンは更にダイヤモ
ンド粒子の相互間およびチップの表面とのの間隙に押し
込まれることになり、機械的な密着力が増加する効果が
ある。
【0045】工程〔3〕では、中間層の表面を硝酸によ
り約5μm ほどモリブデンをエッチングし、純水で超音
波洗浄した。工程〔4〕では、図4に示す従来のDCプ
ラズマジェットCVD装置に被処理基板9をセットし、
厚さ20μm のダイヤモンド膜を製膜した。製膜条件は、
水素流量50リットル/min,メタン濃度5%,圧力50Tor
r,放電電力10KWである。
【0046】次にこのチップを刃先部分に鑞付け溶着し
たドリルを用いて切削試験を行った。切削条件は被削材
炭素繊維強化プラスチック,厚さ20mm,回転数3000rpm
である。その結果、2000個の孔の加工後も逃げ面磨耗幅
は数μm 程度であった。
【0047】同様の切削試験を従来の超硬ドリルを用い
て行ったところ、10個の孔の加工でも逃げ面磨耗幅は数
100 μm に達した。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、従来法に比べて大幅な密着強度の改善が可能と
なり、ダイヤモンドの超硬性と耐熱性を利用してバイ
ト,ドリル,エンドミル,ボンディングツール等の工具
の寿命を飛躍的に伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるダイヤモンド被覆膜の断面の構
造を示す図
【図2】 本発明のダイヤモンド膜の形成工程を示す断
面図
【図3】 本発明の工具の一例の構成図
【図4】 従来のDCプラズマジェットCVD装置の概
略構成図
【図5】 従来の化学気相含浸装置の概略構成図
【符号の説明】
9 被処理基板 13 ダイヤモンド膜 14 中間層 15 ダイヤモンド粒子 16 マトリックス材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理基板(9)の表面に、ダイヤモンド
    粒子(15)を所要厚みに付着させる工程と、 前記ダイヤモンド粒子(15)の各相互の空隙に前記被処理
    基板(9)と同一材料、被処理基板(9)と密着性の良い金
    属、セラミックス材料の少なくとも一つをマトリックス
    材(16)として含浸させることにより中間層(14)を形成す
    る工程と、 該中間層(14)の前記ダイヤモンド粒子(15)を露出させる
    工程と、 前記露出処理を施した被処理基板(9)にガスを供給して
    露出したダイヤモンド粒子(15)上にダイヤモンド膜(13)
    の合成を行う工程と、 を含むことを特徴とするダイヤモンド膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 被処理基板(9)の表面に、ダイヤモンド
    粒子(15)を所要厚みに付着させる工程と、 前記ダイヤモンド粒子(15)の各相互の空隙に前記被処理
    基板(9)と同一材料、被処理基板(9)と密着性の良い金
    属、セラミックス材料の少なくとも一つをマトリックス
    材(16)として含浸させることにより中間層(14)を形成す
    る工程と、 該中間層(14)の前記ダイヤモンド粒子(15)を露出させる
    工程と、 前記露出処理を施した被処理基板(9)にガスを供給して
    露出したダイヤモンド粒子(15)上にダイヤモンド膜(13)
    の合成を行なう工程と、 を含むことを特徴とするダイヤモンド膜を被覆した工具
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 ダイヤモンド粒子(15)を所要厚みに付着
    させた被処理基板(9)と、 前記ダイヤモンド粒子(15)の各相互の空隙に前記被処理
    基板(9)と同一材料、被処理基板(9)と密着性の良い金
    属、セラミックス材料の少なくとも一つをマトリックス
    材(16)として含浸させることにより形成する中間層(14)
    と、 該中間層(14)の前記ダイヤモンド粒子(15)を露出させ、
    前記露出処理を施した被処理基板(9)にガスを供給して
    露出したダイヤモンド粒子(15)上に合成を行なったダイ
    ヤモンド膜(13)と、 からなることを特徴とするダイヤモンド膜を被覆した工
    具。
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JP2005320208A (ja) * 2004-05-10 2005-11-17 Ibiden Co Ltd 炭素複合部材

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