JPH07236648A

JPH07236648A - 人工骨材およびその加工方法

Info

Publication number: JPH07236648A
Application number: JP6054379A
Authority: JP
Inventors: Haruo Takashima; 治雄高島
Original assignee: Nidec Sankyo Corp
Current assignee: Nidec Sankyo Corp
Priority date: 1994-03-01
Filing date: 1994-03-01
Publication date: 1995-09-12
Anticipated expiration: 2014-11-22
Also published as: JP2980805B2

Abstract

(57)【要約】【目的】所望の形状に能率的に短時間で三次元加工で
きるようにする。【構成】加工機のチャックに取り付けられ骨材として
使用されることのない保持用ボス部３と所望形状に加工
されて骨材として使用される板状部２とをセラミックス
で一体に焼成し、保持用ボス部３を利用して人工骨材１
を三次元加工機のチャックに取り付け、ワンチャッキン
グで連続的に板状部２に三次元加工を精密に加える得る
ようにしている。そして、要求される人工骨材１’の形
状に周囲の一部４を残して三次元加工機で三次元加工し
た後に、この人工骨材１’と保持用ボス部３及び他の骨
材として使用しない残りの部分４とを手加工による切り
離し、手加工仕上げするようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は人工骨材とその加工方法
に関する。更に詳述すると、本発明は精密な３次元形状
が要求される人工骨材とその加工方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、骨の欠損部や切除した部分の
補綴人工材料としてセラミック系の人工骨材が採用さ
れ、骨のもつ生体の支持機能とか運動機能の回復を図る
ことが行われている。従来のセラミック系人工骨材は、
角材や丸材などのブロックおよび平板や曲面を有する板
材などからなり、所望形状に削り出すことによって使用
されている。通常、人の外見に殆ど影響しない部分では
細かい形状よりも機能が優先されるため、削り出しもお
おまかである程度の形状にすれば足りることから複雑な
３次元形状が要求されることは少ない。しかし、頭蓋骨
特に額や側頭部にあたる部分の骨は、段差や凹凸などが
表面・皮膚に表れ人相を変えたり美貌を損ねるため、厳
密な３次元形状の再現が要求されることから、術中に手
術室内で手加工によるすり合わせによって微調整するこ
とが行われている。

【０００３】例えば、頭蓋骨陥没骨折などの骨折修復術
等では、患者の頭部を切開して頭蓋骨の欠損状態、陥没
状態等を診て補修しなければならない状況を把握すると
一旦頭部を閉じる。そして、頭蓋形成用人工骨材を手加
工によって削りおおまかな形状に仕上げる。その後、再
び頭部を切開して術中に陥没骨折部位の形状や凹凸とす
り合わせながら手加工によって削り精密な三次元形状を
再現するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、難削材
であるセラミック系人工骨材は、削り取る量が多くなる
と、手加工では所望形状におおまかに削り出すのにも可
成りの時間を要し非能率的である。このため、一旦頭部
を切開して補修を必要とする状況を確認してから再建手
術を行うまでにかなりの日数例えば１〜２週間を要する
と共に製作コストが高価なものとなってしまう。しか
も、角材や丸材などのブロックあるいは不規則な曲面を
有する板材などから成る人工骨材から、複雑な三次元形
状を削り出すには手加工でなくとも機械加工であっても
何度も人工骨材を掴み変えなくてはならず精密な３次元
形状を得ることは難しく、再建手術中に骨欠損部に合致
するように再び手加工によって成形して再建するため、
手術に１０数時間から１日といった長時間を要してしま
うものであった。

【０００５】本発明は能率的に短時間で所望の形状に三
次元加工できる人工骨材およびその加工方法を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明者が種々検討した結果、厳密な三次元形状が
要求される頭蓋形成用の人工骨材であっても、周囲の一
部であれば手加工の仕上げで十分に精度が出せること、
また全ての面に精密な加工を施す必要はなく少なくとも
皮膚に影響を与える表面側だけでも精密な加工を補償し
得るものであれば足りることを知見するに至った。

【０００７】そこで、本発明の人工骨材は、加工機械の
チャックに取り付けられ骨材として使用されることのな
い保持用ボス部と所望形状に削り出されて骨材として使
用される板状部とをセラミックスで一体に焼成するよう
にしている。

【０００８】また、本発明の人工骨材は板状部の外周薄
肉面に保持用ボス部を形成するようにしている。

【０００９】更に、本発明の人工骨材は、保持用ボス部
を利用して５軸制御加工装置あるいは３次元加工装置の
チャックに取り付けられ、板状部を３次元加工して所望
形状の人工骨材を得た後、ボス部を含む加工形状外部分
を切断することによって得られる。

【００１０】

【作用】したがって、人工骨材は骨材として残らない保
持用ボス部を利用して加工機例えば三次元加工機のチャ
ックにチャックされる。そして、人工骨材によって補修
しなければならない形状に関するデータに基づいて少な
くとも３軸方向のツールの移動量を決定し、人工骨材の
板状部分に３次元加工を行う。このとき、人工骨材は保
持用ボスによってチャックされているため、掴み直すこ
となくワンチャッキングで三軸方向の加工を連続して実
施できる。ここで、補修形状に関するデータは、頭部を
切開しなくとも、ＣＴスキャンなどで得られる。その
後、保持用ボス部を含む加工形状外部分をやすりなどを
使った手加工で切断することによって所望形状の人工骨
材が加工される。

【００１１】この人工骨材を更に再建手術を行うとき、
補修が必要な部分の形状にすり合わせて細部を手加工で
仕上げ完全に欠損部などに合致するように成形する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の構成を図面に示す実施例に基
づいて詳細に説明する。

【００１３】図１〜図３に本発明の人工骨材の一実施例
を示す。この人工骨材１は、公知あるいは新規の組成か
らなるセラミックを材料とし、人工骨材として使用され
る板状部２と、加工機のチャックに掴まれ人工骨材とし
て使用されることのない保持用ボス部３とを一体に成形
して焼成されている。

【００１４】板状部２の形状は、通常、矩形状をなし、
数ｍｍから数十ｍｍの厚さで縦横の大きさが最長部で６
０〜１００ｍｍ程度のものが好ましい。頭蓋形成用の人
工骨材の場合、医師の経験から、厚さ２０，２５，３０
ｍｍ、幅４０，６０，８０，１００ｍｍ、高さ４０，６
０，８０，１００ｍｍの組み合わせからなる十数種類の
大きさの板状部２を用意して共通の大きさの保持用ボス
部３を一体形成すれば、殆どの患者の頭蓋骨の欠損など
に対応することができる。

【００１５】保持用ボス部３はより好ましくは板状部２
の外周薄肉面（図中符号５ａ，５ｂ，５ｃ及び５ｄで示
される面）のいずれかに形成されている。この場合、機
械加工の後に手加工によって削り出される加工形状外部
分４が表面・皮膚側に影響が表れることがない骨片の周
縁となり、再建のできに影響を与えることがない。ま
た、保持用ボス部３は、三次元加工機のチャック、例え
ば図４に示すような三次元曲面加工用の５軸制御の三次
元加工機（特公平２−３２０８７号参照）のチャックに
把持可能な形状とされている。通常、保持用ボス部３
は、ストレートな棒状を成している。勿論、場合によっ
てはテーパシャンク状に形成されることもある。

【００１６】次に、本発明の人工骨材の加工に用いて好
適な５軸制御加工装置の一例を説明する。この５軸制御
加工装置は、図４に示すように、ベッド１０上をＸ−Ｙ
軸方向に移動可能なコラム１１に対し、加工スピンドル
１２をＺ軸方向すなわち垂直方向に移動自在に支持する
とともに、この加工スピンドル１２の移動域の下の部分
にＹ軸と平行な水平方向の回転軸１４とこの回転軸１４
に対し直交する回転軸１６との相直交する２軸を有する
ワーク保持台２０を設けている。また、回転軸１４に対
し直交する方向で回転する保持軸１６にはワーククラン
プ手段例えばコレットチャック１８などを介して人工骨
材（ワーク）１が装着される。

【００１７】回転軸１４および保持軸１６は、独立にま
た同時に回転することにより、保持軸１６の先端に掴持
された人工骨材１に適切な加工姿勢を与える。またこの
保持軸１６に人工骨材１の保持手段を備えており、加工
時に、人工骨材１を固定状態で保持している。回転軸１
４は、図示していない駆動モータによって駆動され、例
えば１８０度程度の回転角の範囲でのみ回転する。一
方、保持軸１６は回転軸１４と直交する状態で基台１５
に固着されている支持フレーム１９に対し回転自在に支
持されており、モータのような回転割り出し手段によっ
て駆動されるようになっている。尚、基台１５と回転軸
１４とは一体に成形されるか、あるいはボルト止めなど
によって一体化されている。また、本実施例の保持軸１
６は、一端にテーパ状のソケット部を有する中空の軸で
あり、テーパソケット部にテーパシャンク１７で固定さ
れたコレットチャック１８を固定するようにしている。
コレットチャック１８は、その外周のコレットスリーブ
が軸線方向に相対的に移動可能な状態で保持されてい
る。人工骨材１は保持用ボス部３をコレットチャック１
８にクランプさせることによって固定される。このと
き、人工骨材１は所定の方向及び位置に規制されてい
る。

【００１８】このように構成された加工装置によると、
ワーク保持台２０に取り付けられる人工骨材１は、水平
方向の回転軸１４を中心として基台１５をＢ方向に回転
することによって傾斜自在であり、また保持軸１６のＣ
方向の回転運動によって保持軸１６と直交する面上でそ
の方向を変えられるため、自由に姿勢変換でき、複雑な
三次元加工に対応できる。一方、加工スピンドル１２は
コラム１１のＸ−Ｙ軸方向に加えてＺ軸方向に送られる
ため、人工骨材１に対して必要な機械加工ができる状態
に設定される。

【００１９】以上のような構成の人工骨材によると、頭
蓋形成のような厳密な三次元形状が要求される人工骨材
であっても、図４に示す５軸制御加工装置あるいはその
他の三次元加工装置を用いて十分な精度で機械加工によ
って所望形状の人工骨材が製作できる。例えば、頭蓋骨
陥没骨折に対する骨折修復術を例に挙げて説明する。

【００２０】まず、人工骨材によって補修しなければな
らない形状に関するデータを予め入手する。ここで、補
修形状に関するデータは、頭部を切開して実測と観察に
よって得ても良いが、場合によっては頭部を切開しなく
とも、ＣＴスキャンなどで得られる。このデータを用い
て三次元加工機、例えば図４に示す５軸制御加工装置の
ツールの３軸方向の移動量および人工骨材１の姿勢を決
定する。一方、人工骨材１は、保持用ボス部３を利用し
て５軸制御加工装置のワーク保持台２０のコレットチャ
ック１８に装着する。

【００２１】そして、前述の補修形状に関するデータに
基づいて制御される３軸方向（Ｘ，Ｙ，Ｚ軸方向）の送
りと人工骨材１の姿勢制御（Ｂ方向およびＣ方向の回転
運動）によって板状部２に３次元加工を行い所望の形状
に加工する。このとき、人工骨材１は回転軸１４の図示
していない駆動モータの割出し回転によってＢ方向の所
定の傾き角度が割り出されると共に保持軸１６の割出し
回転によってＣ方向の所定の回転角度が割り出され、三
次元加工に備える。一方、加工スピンドル１２はコラム
１１のＸ−Ｙ軸方向の動きの組み合わせと加工スピンド
ル１２自体のＺ軸方向の進退運動により先端の工具１３
に所定の切削回転を与えながら、人工骨材１の板状部２
に必要な切削加工を施す。このように、５軸制御加工装
置は人工骨材１側についての２つの軸１４，１６を中心
とする回転運動および加工スピンドル１２側でのＸ−Ｙ
−Ｚ軸方向の３つの運動との組み合わせによって全体と
して５軸制御の加工を行う。したがって、複雑な三次元
加工が保持用ボス部３への１回のチャッキング動作によ
って、連続的にしかも高精度にロスタイムの少ない状態
で行える。

【００２２】その後、保持用ボス部３を含む加工形状外
部分（図中ハッチングで示される部分）４をやすりなど
を使った手加工で切断することによって、所望形状に加
工された人工骨材１’と保持用ボス部３を含む加工形状
外部分４とが分離される。

【００２３】この人工骨材１’を使って再建手術を行
う。再建手術においては、補修が必要な部分の形状に合
わせて人工骨材１’の細部を更に手加工で仕上げ、完全
に欠損部などに合致するように成形してから再建を行
う。人工骨材１’はその周縁に糸あるいはワイヤを通す
孔をあけ、この孔を利用して周りの頭蓋骨に縫いつける
ようにしている。

【００２４】尚、上述の実施例は本発明の好適な実施の
一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の
要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能であ
る。例えば、本実施例では頭蓋形成用人工骨材について
主に説明しているが、これに特に限定されるものではな
く、その他の骨の補修用材料として使用することも可能
である。また、本実施例では板状部２と保持用ボス部３
とがセラミックによって一体に成形されてから焼成され
ているが、これに特に限定されるものではなく、最終的
に所望形状に加工されて人工骨材として使用される板状
部２と人工骨材としては使用されることのない保持用ボ
ス部３とは別体に形成され、接着ないし分離可能な接合
手段によって一体化されても良い。例えば、図示してい
ないが、板状部２と同じ厚さ、幅の加工形状外部分４と
保持用ボス部３とを金属等で一体に形成し、加工形状外
部分４にセラミックからなる板状部２を接着したり、あ
るいは加工形状外部分４の板状部２と対向する面に針や
ピンを多数形成してこれに板状部２を突き刺して接合す
るようにしても良い。また、本実施例では特公平２−３
２０８７号に開示された５軸制御の三次元曲面加工機を
用いて三次元加工する場合について主に説明したが、こ
れに特に限定されるものではなく、その他の三次元加工
機を用いても良い。

【００２５】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の人工骨材は、加工機のチャックに取り付けられ骨材と
して使用されることのない保持用ボス部と所望形状に加
工されて骨材として使用される板状部とをセラミックス
で一体に焼成しているので、保持用ボス部を利用して三
次元加工機のチャックに取り付けて板状部に三次元加工
を精密に加えることができる。したがって、厳密な三次
元形状が要求される頭蓋形成用の人工骨材のようなもの
であっても、周囲の一部即ち保持用ボス部を残して、他
の部分少なくとも皮膚に影響を与える表面側だけでも精
密な加工を補償し得ると共に短時間に成形でき、かつ残
る周囲の一部も手加工による切り離しの後に手加工仕上
げで十分に精度が出せる。

【００２６】また、板状部の外周薄肉面に保持用ボスを
形成する場合、三次元加工機による厳密な三次元加工後
に手加工によって削り出される加工形状外部分が表面・
皮膚側に影響が表れることがない骨片の周縁となるの
で、精密な形状に加工できなくとも再建に影響を与える
ことがない。

【００２７】更に、保持用ボスを利用して３軸ないし５
軸制御の三次元加工機のチャックに人工骨材を取り付
け、掴み変えることなく１チャッキングで板状部を三次
元加工して保持用ボス部を含む加工形状外部分を残すよ
うにしているので、クランプ証面の狂いがなく精密に三
次元曲面の人工骨材を形成できると共に作業時間も短縮
できる。特に、ＮＣ制御による加工機の使用を可能とす
るため、無人による連続加工が可能となり、再建手術ま
での時間の大幅な短縮と人工骨材の製作コストの大幅な
引き下げを可能とできる。例えば、従来には１〜２週間
を要していたのに対し２〜３時間で再建手術にとりかか
ることも可能となる。

【００２８】また、保持用ボス部の大きさは共通として
板状部の大きさだけを変化させた数種類の人工骨材を用
意することができるので、補修状況に応じた最適な大き
さのものを選択することによって、切削量を最小限に抑
えることができ、加工時間の短縮や加工ツールの消耗を
少なくすることができ、全体としてコストを抑えること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の人工骨材の一実施例を示す正面図であ
る。

【図２】図１の人工骨材の右側面図である。

【図３】図１の人工骨材の平面図である。

【図４】本発明の人工骨材の三次元加工に用いて好適な
５軸制御加工装置の概略構造を示す斜視図である。

【符号の説明】

１人工骨材１’ 所望形状に削られたときの人工骨材２板状部３保持用ボス部４加工形状外部分５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ板状部の外周薄肉面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】加工機械のチャックに取り付けられ骨材
として使用されることのない保持用ボス部と所望形状に
削り出されて骨材として使用される板状部とをセラミッ
クスで一体に焼成したことを特徴とする人工骨材。
【請求項２】前記板状部の外周薄肉面に前記保持用ボ
ス部を形成したことを特徴とする請求項１記載の人工骨
材。
【請求項３】請求項１記載の人工骨材を、保持用ボス
部を利用して５軸制御加工装置のチャックに取り付け、
板状部を３次元加工して所望形状の人工骨材を得た後、
前記保持用ボス部を含む加工形状外部分を切断すること
を特徴とする人工骨材の加工方法。
【請求項４】請求項１記載の人工骨材を、保持用ボス
部を利用して３次元加工装置のチャックに取り付け、板
状部を３次元加工して所望形状の人工骨材を得た後、前
記保持用ボス部を含む加工形状外部分を切断することを
特徴とする人工骨材の加工方法。