JPH07235917A - ダイバーシチ受信機 - Google Patents

ダイバーシチ受信機

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JPH07235917A
JPH07235917A JP6325792A JP32579294A JPH07235917A JP H07235917 A JPH07235917 A JP H07235917A JP 6325792 A JP6325792 A JP 6325792A JP 32579294 A JP32579294 A JP 32579294A JP H07235917 A JPH07235917 A JP H07235917A
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transmission path
circuit
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frequency offset
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Hirotsugu Kubo
博嗣 久保
Takayuki Nagai
孝幸 永易
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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  • Error Detection And Correction (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Radio Transmission System (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部から位相不確定性を除去するための信号
を入力することなく、安定して最大比合成ダイバーシチ
を実現する。 【構成】 伝送路推定回路5は、アンテナ1からアンテ
ナNまでのN系統の受信信号と加算判定回路4の出力す
る判定値を入力し、N系統の受信信号それぞれに対して
伝送路特性を推定する。N系統の受信信号それぞれに対
して、複素共役回路2は伝送路特性の複素共役値を出力
し、乗算回路3は複素共役値と受信信号との乗算値を出
力する。更に、加算判定回路4はN個の乗算値を加算
し、この結果を利用して判定値を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は自動車電話をはじめと
するディジタルデータ伝送に用いるダイバーシチ受信機
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】まず、この発明に関する技術的背景につ
いて説明する。
【0003】符号間干渉(以下ISIと称する)を有す
る伝送路について説明する。伝送路に対して{In}な
る送信情報系列を送信した場合、この送信情報系列は伝
送路でISIと加法的白色ガウス雑音(以下AWGNと
称する)wnを受けて、受信側ではrnなる受信信号とな
る。ここで、サフィックスnは時刻を表現する。このr
nは、(1)式で表現できる。
【0004】
【数1】
【0005】ここで、Lは伝送路メモリ長、ci,n は伝
送路特性を構成する時刻nにおける第i番目のタップ係
数を示し、ISIが存在しない場合はL=0となり、c
nと表現する。図11はISIを有した伝送路のモデル
(L=2)を示す。In がシフトレジスタのような遅延
素子に入力されタップ係数が乗算されて加算される。こ
こで、c0,n以外はISI成分である。ここで、符号化
を導入した場合は、Inが符号化系列である。
【0006】G. D. Forney, Jr著の“Maxmum-likelihoo
d sequence estimation of digitalsequence in the pr
esence of intersymbol interference”(IEEE Trans.
Information Theory, vol. IT-18, pp.363-378,May 197
2)に示されたビタビアルゴリズムを用いた最尤系列推
定の説明を順次行う。
【0007】ステートとトレリス図について説明する。
ステートとは状態を示すものである。受信信号rn に
は、In-1 やIn-2 がc1,n とc2,n の係数を有して含
まれる。つまり、現在の送信系列を推定するためには過
去の送信系列も考慮する必要がある。この過去の送信系
列の組み合わせがステートに相当し、遅延回路が1シン
ボル周期(L=1)であればステート“0”とステート
“1”の2種類、図11のように遅延回路が2シンボル
周期(L=2)であればステート“00”,ステート
“01”,ステート“10”とステート“11”の4種
類が用意される。このように、ステートとは送信系列の
組合せで表現され、ビタビアルゴリズムのメモリ長をV
とする(通常はV=Lであるが、この発明においてはV
は任意の値とする。つまり、V>0でL=0という場合もあ
る)と、時刻n及び時刻n−1のステートxn 及びxn-
1 はそれぞれ、(2)、(3)式で表現できる。
【0008】
【数2】
【0009】つまり、2つのステートのうちIn-1 から
In-V+1 のV−1個の送信系列は同一値となる。この性
質を利用して図12のトレリス図が作成できる。先にも
述べたように、アルファベットサイズ(信号の取り得る
点数)をUとし、信号が0と1の2値をとる場合(U=
2)、ステートの個数MはM=Uv=22=4となる。す
なわち、本例は、In を0,1とし、Vを2としたの
で、xnは00,10,01,11の4ステートでトレ
リスが構成される。また、トレリス図における線分xn
/xn-1は枝と呼ばれる。この枝は一意的にInからIn-
Vの送信系列を決定する。それゆえ、VをLと設定した
場合、(1)式で示されたrnの推定値(レプリカ)を
一意的に推定できる。
【0010】次に枝メトリックについて説明する。枝メ
トリックとは、受信信号と各ステートで再生された受信
信号のレプリカの誤差電力のことである。この誤差電力
はステートの生起確率に関係している。枝xn/xn-1に
より決定されるInからIn-Vの送信系列の推定値In-i
[xn/xn-1](0≦i≦L)からrnのレプリカhn
[xn/xn-1]を以下のように作成できる。
【0011】
【数3】
【0012】ここで、ci,nの推定値はgi,n とした。
実際の受信信号rnと枝xn/xn-1により決定されるレ
プリカhn[xn/xn-1]の差en[xn/xn-1]は、一
種の確からしさを表現し、このen[xn/xn-1]の2
乗電力は枝メトリックEn[xn/xn-1]と呼ばれ以下
のように表現できる。
【0013】
【数4】
【0014】つまり、枝xn/xn-1により一意的に枝メ
トリックEn[xn/xn-1]が決定できる。
【0015】次にパスメトリックについて説明する。パ
スメトリックとは、生き残り系列パス上にあるステート
に対応する枝メトリックをすべて合計したものである。
つまり、枝xn/xn-1により一意的に決定される枝メト
リックEn[xn/xn-1]を全ての枝について加算した
ものをパスメトリックと呼び、時刻nのパスメトリック
Fn[xn/xn-1]は以下のように表現できる。
【0016】
【数5】
【0017】パスメトリックFn [xn /xn-1 ]は、
(6)式に示すような、逐次的な処理で算出可能であ
る。つまり現時刻がnである場合、「現在の受信信号に
対する確からしさ」は枝メトリックEn[xn/xn-
1]、「過去のステートに繋がる生き残り系列に対して
計算されて保存された確からしさ」はパスメトリックF
n-1[xn-1/xn-2]、「現在のステートに繋がる生き
残り系列に対して計算される確からしさ」はパスメトリ
ックFn[xn/xn-1]に対応する。
【0018】次にACS処理について説明する。ACS
とはAdd-Compare-Select(加算比較選択)の略である。
加算処理とは、上記(6)式に示したパスメトリックに
枝メトリックを加算する操作である。比較処理とは、各
ステートに対してアルファベットサイズU(送信信号が
0,1の場合はU=2)のパスメトリックが作成される
ため、U個のメトリックを比較する操作である。最尤系
列推定全体としては、M個のステートにU個の枝が存在
するためS(=M×U)個のパスメトリックがが作成さ
れる。選択処理とは、各ステートにおける比較処理の結
果から各ステート毎にパスメトリックの最も小さいもの
を選択し、選択したパスメトリックに対応する系列を生
き残りパスとして選択する操作である。
【0019】たとえば、図12はトレリス格子の一例を
示すが、このトレリス格子には2つの枝が入力されてい
るが、まずこの2つの枝に対して(6)式の加算処理を
行う。次に、2つのパスメトリックを比較して小さい方
の枝を選択する。これが比較選択であり、選択された枝
に繋がるパスが生き残りパスと呼ばれ、選択されなかっ
たパスは棄却される。
【0020】以上がビタビアルゴリズムを用いた最尤系
列推定の説明である。なお、ブロック図による詳細な動
作説明については後述する。このように、G. D. Forney
により示された最尤系列推定は、シンボルレートの受信
信号を入力して次のように動作する。推定した伝送路特
性に基づいて、受信信号を入力し、生起する可能性のあ
る送信系列の組み合わせである各々の「ステート」に対
する「確からしさ」と過去の「ステート」に繋がる「生
き残り系列」に対してすでに計算され記憶された「確か
らしさ」から、現在の各々の「ステート」に対する最も
生起する可能性の高い系列を「生き残り系列」として記
憶するというACS処理をすべてのステートに対して行
うビタビアルゴリズムを用いて、全ての入力信号系列を
入力した後、最終的に残った唯一の「生き残り系列」
(最尤系列)を送信した信号系列として判定する。
【0021】次に伝送路特性の推定について説明する。
伝送路特性の推定は、実際の伝送路を図11に示したよ
うにモデル化し、図10(a)のような推定伝送路モデ
ルのタップ係数を推定する操作である。まずトレーニン
ング系列という既知の系列から伝送路特性を推定する手
法について説明する。長さがKで十分にランダムなトレ
ーニンング系列が存在する場合、タップ係数ci の推定
値gi は、(7)式として算出できる。
【0022】
【数6】
【0023】ここで、*は複素数共役を示す。ただし、
トレーニンング系列が十分にランダムでない場合は決定
論的正規方程式(近似的なWiner-Hopfの方程式)を解く
必要がある。また、タップ係数ci,n が時間的に変動す
る際には、LMS(Least Mean Square)アルゴリズム
やRLS(Recursive Least Squares)アルゴリズム等
の適応アルゴリズムを用いる必要がある。
【0024】以下、LMSアルゴリズムについて説明す
る。Wiener解の近似解を逐次的に求めるアルゴリズムの
中にLMSアルゴリズムがある。これは、受信信号とそ
のレプリカの2乗誤差値が最小になるように、タップ係
数を調整するものであり、以下のように表現できる。
【0025】
【数7】
【0026】ここで、特に、δはステップサイズ、In
は参照入力(reference input)と呼ばれる。なおここ
で、L=0と設定することにより、ISIのない伝送路
に対応することも可能である。なお、LMSアルゴリズ
ムはそれ単体ではAFC機能を有していない。
【0027】フェージングについて簡単に説明する。フ
ェージングとは、周辺の地形や建物等により、電波が反
射、 回折、散乱等を受け受信波の包絡線や位相がラン
ダムに変動するものである。特に、陸上移動通信におい
ては、レイリーフェージングと呼ばれるフェージングが
発生する。このフェージングは位相は一様分布し、包絡
線はレイリー分布するものであり、包絡線電力は平均電
力より20dBや30dB程度小さくなることがある。
この現象をフェードと呼び、フェード時にはビット誤り
率特性が大幅に劣化することがある。
【0028】ダイバーシチ受信機について説明する。ダ
イバーシチ受信機は複数のアンテナを準備し(ここでは
N本とする)、N系統の受信信号を合成することにより
データを判定するものである。例えば図14のような構
成の受信機ではアンテナがN本あり、N系統の受信信号
が得られる。ダイバーシチ受信においては、このN系統
の受信信号の雑音成分及び包絡線成分ができるだけ互い
に無相関となるようにN本のアンテナを設定する。上述
のようなフェージング下において、N本のアンテナの包
絡線電力の変動を独立とした場合は、N本のアンテナが
同時にフェードする確率を大幅に削減できる。これがフ
ェージング下でのダイバーシチの効果である。
【0029】ここでは検波後合成ダイバーシチと呼ばれ
る種類のダイバーシチについて説明する。図14におい
てN=2とおき、2系統のアンテナ1及びアンテナ2か
ら受信される受信信号がそれぞれr(1)nとr(2)nである
とし、電力で正規化した値をR(1)nとR(2)nとする。ま
た、2系統の受信信号の包絡線電力がa(1)nとa(2)nで
あり、キャリア位相がγ(1)nとγ(2)nである場合につい
て、等利得合成法と最大比合成法について述べる。等利
得合成法は、包絡線電力に拘らず合成信号を(10)式
として作成し、最大比合成法は合成信号を(11)式と
して包絡線電力で重みを付けて出力する。
【0030】
【数8】
【0031】つまり、最大比合成法は片方のアンテナの
受信レベルが小さい場合はこれに対する重みを小さく
し、雑音の影響を抑圧することができる。
【0032】次にキャリア位相同期回路について説明す
る。なお、簡単のため、送信される情報は2相PSKと
仮定する。図13に示すようにキャリア位相同期回路は
受信信号を2逓倍する。つまり、受信信号rnをcnIn
+wnとすると、2逓倍値は、
【0033】
【数9】
【0034】となる。ここで、In=exp(jΘn)(Θn=
0,π)、cn=Cn exp(jγn)とおく(Cnは正数とす
る)と、(13)式の関係が成立する。
【0035】
【数10】
【0036】ここで、exp(2jΘn)=1を利用した。こ
の際にrn2の平均をとることにより、rn2の平均はCn2
exp(2jγn)の平均に漸近する。いまcn2In2の平均の
キャリア位相角をβとすると、γnはβ/2またはβ/2+
πのどちらかとなる。この現象を位相不確定性という。
通常この位相不確定性を除去するためのβ/2またはβ/2
+πの選択は、前もって既知の送信系列等を利用して推
定することが多い。
【0037】次に軟判定について簡単に説明する。符号
化の一種に畳み込み符号化があり、畳み込み符号の最適
復号法には最尤系列推定と同じくビタビアルゴリズムが
用いられる。このビタビアルゴリズムの入力には、0ま
たは1というような2値量子化した(硬判定という)デ
ータでなく、信頼度も含んだ例えば0.1や0.9等というデ
ータ(軟判定という)を入力した方が良好な誤り率特性
を示す。それゆえ、畳み込み符号の復号には軟判定デー
タを用いることが望ましい。
【0038】次に、従来のダイバーシチ受信機の一例に
ついて説明する。図14は従来例1のダイバーシチ受信
機の動作を説明するためのブロック図であり、この例
は、奥村他監修“移動通信の基礎”、(電子情報通信学
会1986)記載の最大比合成ダイバーシチを実現する
ものである。
【0039】図において、1−1〜Nはアンテナ受信信
号入力端子、33−1〜Nはアンテナ受信信号の位相同
期情報入力端子、34−1〜Nは上記アンテナ受信信号
入力端子1−1〜Nにそれぞれ接続された包絡線検出回
路、35−1〜Nは上記アンテナ受信信号入力端子1−
1〜N、および位相同期情報入力端子33−1〜Nにそ
れぞれ接続された位相検出回路、36−1〜Nはこの位
相検出回路35−1〜N、および上記アンテナ受信信号
入力端子1−1〜Nに接続された移相回路、37−1〜
Nはこの移相回路36−1〜Nおよび上記包絡線検出回
路34−1〜Nの出力がそれぞれ入力される増幅回路、
38はこの増幅回路37−1〜Nの出力を加算する加算
回路、39はこの加算回路38の出力を判定し送信され
たデータの判定値を出力する判定回路である。なお、6
は判定値出力端子である。
【0040】図13は上記位相検出回路36−1〜Nの
内部を示すブロック図であり、図において、40は上記
アンテナ受信信号入力端子1−1〜Nに接続される信号
入力端子、41は上記位相同期情報入力端子33−1〜
Nに接続される位相同期情報入力端子、42は逓倍回
路、43は平均回路、44は分周回路、45は位相不確
定性除去回路、46は位相情報出力端子である。
【0041】次に動作について説明する。各包絡線検出
回路34−1〜Nは、それぞれ各アンテナ入力端子1−
1〜Nから入力される受信信号から包絡線電力を検出し
て出力する。位相検出回路36−1〜Nは、位相同期情
報入力端子41からの位相同期情報を用い、アンテナ入
力端子1−1〜Nから入力される受信信号の位相を検出
して出力する。
【0042】移相回路35−1〜Nはこの位相検出回路
36−1〜Nの出力する位相に従って、各信号アンテナ
入力端子1−1〜Nから入力される受信信号を移相し、
出力する。増幅回路37−1〜Nは上記各包絡線検出回
路34−1〜Nからそれぞれ包絡線電力を入力し、これ
に基づいて各移相回路35−1〜N出力を増幅して出力
する。加算回路38は、各増幅回路37−1〜Nまでの
N個の出力を加算して出力し、この加算回路38出力を
判定回路39が判定して判定値を判定値出力端子6から
出力する。
【0043】ここで、上記位相検出回路36−1〜Nの
動作を図13を用いて説明する。逓倍回路42は、それ
ぞれ各アンテナ入力端子1−1〜Nから入力される受信
信号を受信信号入力端子40から入力し、例えば2相P
SKであれば2逓倍、4相PSKであれば4逓倍して出
力する。この逓倍回路42出力は平均回路43で平均化
され、分周回路44において、例えば2相PSKであれ
ば2分周、4相PSKであれば4分周される。上述のキ
ャリア位相同期回路の説明で述べたように、平均回路4
3出力は2相PSKであれば2、4相PSKであれば4
の位相不確定性を有する。従って、位相不確定性除去回
路45は、位相同期情報入力端子33−1〜Nからの位
相同期情報を位相同期情報入力端子41から入力し、こ
れに基づいて位相不確定性を除去して位相情報出力端子
46から出力する。
【0044】上述の位相同期情報は、通常データ系列に
等間隔で挿入されるユニークワードを用いて作成される
ことが多い。しかし、誤りが連続するような伝送路(例
えばフェージング伝送路)では、ユニークワードを用い
て推定したキャリア位相が誤ってしまい、ユニークワー
ドなしで位相不確定性を除去する必要が発生する。ユニ
ークワードなしで推定したキャリア位相は、各アンテナ
毎にランダムな位相不確定性を有し、その組み合わせは
アルファベットサイズがUの場合は、UN通りとなる。
正しくダイバーシチ合成ができるようなキャリア位相の
組み合わせは、このうちU通りである。
【0045】これは、例えば検波後ダイバーシチの説明
で示したように2相PSK、アンテナpの正しいキャリ
ア位相をγ(p)と仮定すると、推定したキャリア位相の
組み合わせが、γ(1)(2),…,γ(N)とγ(1)+π,γ
(2)+π,…,γ(N)+πの場合は正しくダイバーシチ合成
ができることから明かとなる。ただし、γ(1)+π,γ(2
)+π,…,γ(N)+πの場合は判定値が逆転してしまう。
つまり、判定値にはU個の位相不確定性が存在する。以
上より、上記従来例1では、ユニークワードなしで正し
くダイバーシチ合成ができる確率は、1/(UN-1)で
あり、アンテナの本数が多い場合は、ユニークワードな
しで正しくダイバーシチ合成を実現できることはほとん
どない。
【0046】次に、従来の最尤系列推定装置について説
明する。図15は従来の最尤系列推定装置のブロック図
である。図において、1は受信信号入力端子、7−2は
枝メトリック作成回路B、8−1〜MはACS回路、1
0は判定値作成回路、12は伝送路特性入力端子であ
る。
【0047】図16は上記枝メトリック作成回路B7−
2の内部を示すブロック図であり、図において、11は
上記受信信号入力端子1に接続される受信信号入力端
子、13は各枝メトリックに対応するS個の判定値の候
補の組み合わせパタンを有するパタンテーブル、14−
B1〜BSは枝メトリック計算回路B、15−1〜Sは
枝メトリック出力端子である。
【0048】図17は上記枝メトリック計算回路B14
−B1〜BSの内部を示すブロック図であり、19はパ
タン入力端子16から入力される上記パタンテーブル1
3からのパタンと伝送路特性入力端子12からの伝送路
特性とが入力され、受信信号のレプリカを出力するレプ
リカ作成回路、20はこのレプリカ作成回路19が出力
する受信信号のレプリカと受信信号入力端子11を介し
て入力される上記受信信号入力端子1からの受信信号と
が入力され、この2値の2乗誤差値を枝メトリックとし
て枝メトリック出力端子22から出力する2乗誤差作成
回路である。
【0049】また、図18は上記ACS回路8−1〜M
のひとつを示すブロック図であり、図において、29−
1〜Uは枝メトリック入力端子、30−1〜Uはパスメ
トリック作成回路1、31はメトリックパス選択回路、
32はメトリックパス出力端子である。
【0050】次に最尤系列推定装置の動作について図1
5を用いて説明する。枝メトリック作成回路B7−2
は、受信信号を受信信号入力端子1から、伝送路特性を
伝送路特性入力端子12から入力して、S個の枝メトリ
ックを作成する。(S=U×M)
【0051】ここで上記枝メトリック作成回路B7−2
の動作について図16、図17を用いて説明する。枝メ
トリック作成回路B7−2においてパタンテーブル13
は各枝メトリックに対応するS個の判定値の候補の組み
合わせパタンを出力する。各枝メトリック計算回路B1
4−B1〜BSのレプリカ作成回路19は、パタンテー
ブル13が出力したパタンをパタン入力端子16から、
また伝送路特性を伝送路特性入力端子12からそれぞれ
入力し、受信信号のレプリカを作成する。
【0052】2乗誤差作成回路20は、このレプリカ作
成回路19からの受信信号のレプリカと受信信号入力端
子11からの受信信号とを入力して、この2値の2乗誤
差値を枝メトリックとして枝メトリック出力端子15−
1〜Sから出力する。以上のようにして枝メトリック作
成回路B7−2からはS個の枝メトリックが出力され
る。
【0053】このS個の枝メトリックは、次に各ACS
回路8−1〜Mに、それぞれU個ずつ入力され、このA
CS回路8−1〜Mはステートに対応する生き残りパス
とパスメトリックを出力する。(S=U×M) 次にACS回路8−1〜Mの動作について図18を用い
て説明する。なお、M個のACS回路8−1〜Mは1時
刻過去のパスメトリック及び生き残りパスを共有して、
互いにアクセス可能であるものとする。パスメトリック
作成回路30−1〜Uは、枝メトリック入力端子29−
1〜Uから対応する枝メトリックを入力し、さらに1時
刻過去のパスメトリックを入力し、これらから現時刻の
パスメトリックを作成する。
【0054】メトリックパス選択回路31は、各パスメ
トリック作成回路30−1〜UからU系統の現時刻のパ
スメトリックを入力し、このうちの1つのパスメトリッ
クを選択するとともに、相当する1時刻過去の生き残り
パスを入力し、これを更新した後、選択した現時刻のパ
スメトリックと生き残りパスをメトリックパス出力端子
32から出力する。このようにしてACS回路8−1〜
Mから出力されるM組の現時刻のパスメトリックと生き
残りパスは、判定値作成回路10に入力される。判定値
作成回路10はパスメトリックをもとにして判定値を決
定し、判定値を判定値出力端子6から出力する。
【0055】次に、従来例2のダイバーシチ受信機の一
例について説明する。この例は、浜田他著“空間ダイバ
ーシチ受信とビタビ等化器による移動通信のビット誤り
率改善効果”、(電子情報通信学会無線通信システム研
究会資料RCS92−29、1992)記載の最尤系列
推定によりダイバーシチを実現するものである。なお、
図において、先に述べた構成要素と同一の符号を付した
ものは同一または相当のものである。図19はダイバー
シチ受信機のブロック図である。図中、1−1〜Nはア
ンテナ受信信号入力端子、12−1〜Nはアンテナ伝送
路特性入力端子、7−3は枝メトリック作成回路Cであ
る。
【0056】図20は上記枝メトリック作成回路C7−
3の内部を示すブロック図であり、図において、11−
1〜Nはアンテナ受信信号入力端子、12−1〜Nはア
ンテナ伝送路特性入力端子、14−C1〜CSは枝メト
リック計算回路Cである。
【0057】図21は上記枝メトリック計算回路14−
C1〜CSの内部を示すブロック図であり、図におい
て、19−1〜Nはレプリカ作成回路、20−1〜Nは
2乗誤差作成回路1、21は加算回路である。
【0058】次にこの従来例2のダイバーシチ受信機の
動作について図19を用いて説明する。枝メトリック作
成回路C7−3は、アンテナ受信信号入力端子1−1〜
NからN本の各アンテナに対応したN系統の受信信号
を、またアンテナ伝送路特性入力端子12−1〜Nから
N本の各アンテナに対応したN系統の伝送路特性をそれ
ぞれ入力し、S個の枝メトリックを作成する。このS個
の枝メトリックはACS回路8−1〜Mに入力され、以
降は図15に説明した動作と同様である
【0059】ここで、上記枝メトリック作成回路C7−
3の動作について図20、図21を用いて説明する。枝
メトリック作成回路C7−3中の各枝メトリック計算回
路14−C1〜CSが、アンテナ受信信号入力端子1−
1〜NからN本の各アンテナに対応したN系統の受信信
号を、またアンテナ伝送路特性入力端子12−1〜Nか
らN本の各アンテナに対応したN系統の伝送路特性をそ
れぞれ入力する以外は図16と同様である。
【0060】各枝メトリック計算回路14−C1〜CN
の動作について図21を用いて説明する。各レプリカ作
成回路19−1〜Nには、パタン入力端子16からパタ
ンテーブル13が出力したパタン、およびそれぞれ対応
したアンテナ伝送路特性入力端子12−1〜Nからアン
テナ受信信号に対応する伝送路特性が入力され、これら
からそれぞれのアンテナ受信信号のレプリカを作成す
る。そして、このアンテナ受信信号のレプリカと、各ア
ンテナ受信信号入力端子11−1〜Nからの各アンテナ
受信信号とが2乗誤差作成回路20−1〜Nに入力さ
れ、各アンテナに対応するこれらの値の2乗誤差値を出
力する。加算回路21は、各アンテナに対応するN個の
2乗誤差値を入力して、その総和を枝メトリックとして
枝メトリック出力端子22から出力する。このような動
作により出力される枝メトリックは、(14)式であら
わされる。
【0061】
【数11】
【0062】ここで、L=0とおくと、
【0063】
【数12】
【0064】なる関係となる。
【0065】また、この従来例では、伝送路特性を外部
から入力している。実際には、伝送路の推定の説明のと
ころで述べたように、データ系列に等間隔で挿入される
トレーニング系列を用いて伝送路推定を行う。ここで、
トレーニング系列の間隔が長く、伝送路特性の変動が激
しい場合は安定して動作することが困難となる。
【0066】
【発明が解決しようとする課題】従来例1のダイバーシ
チ受信機は、外部から位相不確定性を除去するための情
報を入力しなければ安定してダイバーシチ合成を行うこ
とができないこと、更に、AFC機能がないため周波数
オフセットが存在する下では特性が劣化するという問題
点があった。また従来例2のダイバーシチ受信機は、外
部から伝送路特性を入力する必要があり、伝送路特性の
変動が激しい場合安定に動作しないこと、更に、AFC
機能がないため周波数オフセットが存在する下では特性
が劣化するという問題点があった。
【0067】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、外部から位相不確定性を除去す
るための情報を入力することなく、伝送路特性の変動が
激しい場合でも安定に動作する、あるいは外部から伝送
路特性を入力することができない場合にも動作できる、
更に、AFC機能を与えることにより周波数オフセット
による特性劣化を抑圧できる、加えて、受信信号の合成
が最大比合成であるなど性能の向上したダイバーシチ受
信機を提供することを目的とする。
【0068】
【課題を解決するための手段】請求項1に係わるダイバ
ーシチ受信機は、N本のアンテナから受信したN系統の
受信信号と、N本のアンテナから受信したN系統の受信
信号それぞれに対する伝送路特性とを入力し、この伝送
路特性、上記受信信号に基づき送信されたデータの推定
値である判定値を出力するデータ判定手段と、この判定
値と上記N系統の受信信号を入力して、N系統の受信信
号に対する伝送路特性を推定し、上記データ判定手段に
出力する伝送路推定手段を備えたものである。
【0069】請求項2に係わるダイバーシチ受信機は、
上記データ判定手段を、上記N系統の受信信号それぞれ
に対する伝送路特性の複素共役値を算出する複素共役算
出手段、この複素共役値と上記受信信号とをそれぞれ乗
算する乗算手段、この乗算手段から出力されるN個の乗
算値を加算し、この加算値をもとに判定値を出力する加
算データ判定手段により構成したものである。
【0070】請求項3に係わるダイバーシチ受信機は、
M個のステート(状態)からなるトレリス格子に基づい
て、送信されたデータの推定値である判定値を出力する
データ判定手段を備え、N系統の受信信号と、ステート
につながる生き残りパスと、ステートにつながる枝の始
点のステートにおいて推定されるN系統の受信信号それ
ぞれに対する伝送路特性を入力し、枝メトリックを作成
して上記データ判定手段に出力する枝メトリック作成手
段、それぞれのステートに対応する生き残りパスと、N
系統の受信信号とを入力し、各ステートに対応するN系
統の伝送路特性を推定して上記枝メトリック作成手段に
出力する伝送路推定手段をそれぞれのステートに対して
備えたものである。
【0071】請求項4に係わるダイバーシチ受信機は、
上記枝メトリック作成手段を、生き残りパスとN系統の
受信信号とこれに対応する伝送路特性とを入力し、各系
統の受信信号に対して受信信号とそのレプリカの2乗誤
差を作成しその総和をとった枝メトリックを出力する枝
メトリック計算手段により構成したものである。
【0072】請求項5に係わるダイバーシチ受信機は、
上記枝メトリック作成手段を、N系統の受信信号とこれ
に対応する伝送路特性とを入力し、複数のタップ係数に
より構成される伝送路特性の特定のタップ係数を選択
し、各タップに関するデータを作成するタップ用データ
作成手段、このタップ用データ作成手段から出力される
各タップ用データに基づいて枝メトリックを出力する枝
メトリック計算手段により構成したものである。
【0073】請求項6に係わるダイバーシチ受信機は、
上記タップ用データ作成手段を、N系統の受信信号に対
応する伝送路特性から、それぞれN系統の受信信号に対
するレプリカを作成し、このレプリカとN系統の受信信
号との誤差を作成する誤差作成手段、N個のN系統の受
信信号に対する伝送路特性から指定のタップを選択し
て、そのタップ値の複素共役をとった値と、上記誤差作
成手段から出力されるN個の誤差値をそれぞれ乗算する
乗算手段、この乗算手段から出力されるN個の乗算結果
をそれぞれ入力して、指定タップ用データを作成するデ
ータ作成手段により構成したものである。
【0074】請求項7に係わるダイバーシチ受信機は、
請求項1または2のダイバーシチ受信機において、受信
信号と上記データ判定手段からの判定値とに基づき伝送
路特性を推定する伝送路推定手段と、受信信号と上記判
定値とに基づき受信信号の周波数オフセットを推定する
周波数オフセット推定手段と、この周波数オフセット推
定手段が推定した周波数オフセットに基づき上記伝送路
推定手段が推定する伝送路特性に位相回転を施し伝送路
特性として出力する伝送路特性位相回転手段を備えたも
のである。
【0075】請求項8に係わるダイバーシチ受信機は、
請求項3ないし6のダイバーシチ受信機において、受信
信号と上記ステートにつながる生き残りパスとに基づき
伝送路特性を推定する伝送路推定手段と、受信信号と上
記ステートにつながる生き残りパスとに基づき受信信号
の周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定手
段と、この周波数オフセット推定手段が推定した周波数
オフセットに基づき上記伝送路推定手段が推定する伝送
路特性に位相回転を施し伝送路特性として出力する伝送
路特性位相回転手段を備えたものである。
【0076】請求項9に係わるダイバーシチ受信機は、
請求項7または8の周波数オフセット推定手段におい
て、定常位相誤差を算出してこの定常位相誤差を利用し
て周波数オフセットを推定する周波数オフセットを推定
する手段を備えたものである。
【0077】請求項10に係わるダイバーシチ受信機
は、請求項7または8の周波数オフセット推定手段にお
いて、受信信号と判定値の複数シンボル遅延検波結果か
ら複数シンボル間の位相変化を算出し、この位相変化か
ら周波数オフセットを推定する周波数オフセットを推定
する手段を備えたものである。
【0078】請求項11に係わるダイバーシチ受信機
は、上記データ判定値として軟判定値を出力する手段を
備えたものである。
【0079】
【作用】請求項1及び請求項2記載の発明においては、
データ判定手段により得られる判定値をもとにして伝送
路推定手段が伝送路推定を行うので、従来のようにアン
テナ毎の相対的なキャリア位相差がランダムにならず
に、一定となり、この伝送路推定に基づいてデータ判定
手段が送信されたデータの判定値を出力することによ
り、安定して最大比合成ダイバーシチを実現できる。
【0080】請求項3の発明においては、ステート毎に
アンテナ毎の伝送路推定をシンボル毎に行うことによ
り、伝送路特性の変動が高速であってもその変動に追随
可能となる。
【0081】請求項4記載の発明においては、枝メトリ
ックを簡単に作成することができる。
【0082】さらに、請求項5及び請求項6記載の発明
においては、各タップ係数に分離して枝メトリックを作
成するようにしたことにより、伝送路メモリが0の場合
の受信信号の合成が最大比合成であるダイバーシチ受信
機を提供することが可能となる。
【0083】請求項7から請求項10記載の発明におい
ては、自動周波数制御を実現できるため周波数オフセッ
トが存在する伝送路においても良好な受信が行える。
【0084】請求項11記載の発明においては、軟判定
出力を出力するようにしたことにより、ビタビ復号時の
ビット誤り率特性を大幅に改善することができる。
【0085】
【実施例】
実施例1.以下この発明の実施例について説明する。な
お、図において、先に述べた構成要素と同一の符号を付
したものは同一または相当のものである。図1はこの発
明のダイバーシチ受信機の一実施例を示すブロック図で
ある。
【0086】図1において、2−1〜Nは複素共役値を
算出する複素共役回路、3−1〜Nはこの複素共役回路
2−1〜Nから出力される複素共役値と、アンテナ受信
信号入力端子1−1〜Nからの受信信号を乗算する乗算
回路、4はこれら各乗算回路3−1〜Nが出力する乗算
値を加算し、その加算結果から、送信されたデータの推
定値である判定値を出力する加算判定回路、5はこの加
算判定回路4が出力する判定値と、アンテナ受信信号入
力端子1−1〜Nからの受信信号とから、各アンテナ対
応の伝送路特性を出力する伝送路推定回路である。
【0087】次に動作について説明する。なお、従来例
と同一の符号を付したものは同様の動作である。この実
施例で従来例と相違する部分は、ダイバーシチ合成した
信号により得られる判定値を用いてN本のアンテナの受
信信号からそれぞれのアンテナに対応する伝送路特性を
推定する部分であり、この部分を重点的に説明する。
【0088】伝送路推定回路5は、加算判定回路4が出
力する判定値、およびアンテナ受信信号入力端子1−1
〜NからN系統の受信信号を入力し、各アンテナ毎の伝
送路特性(N個)の推定値を出力する。各複素共役回路
2−1〜Nは、この伝送路推定回路5が出力するアンテ
ナ伝送路特性の複素共役値を算出し、各乗算回路3−1
〜Nに出力する。
【0089】各乗算回路3−1〜Nは、この各複素共役
回路2−1〜Nからのアンテナ伝送路特性の複素共役値
とアンテナ受信信号入力端子1−1〜Nからの受信信号
とを乗算して加算判定回路4に出力する。加算判定回路
4は、乗算回路3−1〜NからN個の各乗算結果を加算
し、この加算結果から、送信されたデータの推定値であ
る判定値を判定し、判定値出力端子6から出力する。
【0090】以上の動作を具体的に説明する。図1にお
いて、時刻nにおける受信信号に関して、アンテナ1の
受信信号をr(1)n、アンテナNの受信信号をr(N)nとす
る。また時刻nにおける伝送路特性のタップ係数に関し
て、アンテナ1の受信信号に対する推定タップ係数はg
(1)n、アンテナNの受信信号に対する推定タップ係数は
(N)nとする。加算判定回路4は、(16)式の加算値
を算出する。
【0091】
【数13】
【0092】そして、送信変調信号が例えば2相PSK
であれば、上記加算値が0以上の場合は判定値Jnを+
1、0未満の場合は判定値Jnを−1として出力する。
なお、この際の判定値としては硬判定値のみでなく上述
した軟判定値を出力することも可能である。軟判定値出
力が要求される場合は、例えば(16)式のような上記
加算値を出力する。
【0093】次に伝送路推定回路5は、この判定値Jn
を用いて伝送路特性の推定値をN本のアンテナそれぞれ
に対して算出する。ここではLMSアルゴリズムを用い
る場合を説明する。伝送路推定回路5は、この上記判定
値Jnを用いて(17)式により推定タップ係数をN本
のアンテナそれぞれに対して算出する。
【0094】
【数14】
【0095】以上のように、この実施例1では、各アン
テナそれぞれに対する伝送路特性と受信信号とからダイ
バーシチ合成を行い、その結果を利用して送信されたデ
ータの推定値である判定値を出力するとともに、このダ
イバーシチ合成結果を利用した判定値と各アンテナに対
する受信信号とから、各アンテナ毎の伝送路の特性を推
定し、この推定値を各アンテナ毎の伝送路特性としてそ
の複素共役と受信信号を乗算して総和をとるという形
で、ダイバーシチ合成のために用いることにより、最大
比合成ダイバーシチを実現することが可能である。
【0096】上記実施例によれば、各アンテナに対する
受信信号のキャリア位相や包絡線振幅を統一的に表現で
きる伝送路特性を用いてダイバーシチ合成を行い、かつ
そのダイバーシチ合成の結果を利用した判定値を用いて
伝送路特性を推定したことにより、判定値出力には位相
不確定性が存在するが、N本のアンテナに対する伝送路
特性には相対的な位相誤差が存在しないため、外部から
位相不確定性を除去するための情報を入力することな
く、安定して最大比合成ダイバーシチ受信機を提供で
き、その結果ビット誤り率特性が改善できる。
【0097】さらに、上述の説明では伝送路推定LMS
アルゴリズムを用いた場合を示したがRLSアルゴリズ
ムをはじめとする適応アルゴリズムにより伝送路推定を
行うようにしてもよい。このように、適応アルゴリズム
を用い、受信信号の1シンボル毎に伝送路推定を行うよ
うにすれば、伝送路特性の変動が高速である場合でもそ
の変動に追随可能である。
【0098】さらに、軟判定値を出力することにより、
後続のビタビ復号器のビット誤り率特性を改善すること
ができる。
【0099】実施例2.図2はこの発明のダイバーシチ
受信機の実施例2を示すブロック図である。なお、従来
例と同一の符号を付したものは同様のものである。この
実施例2で従来例2(図17)と相違する部分は、ステ
ート毎に伝送路推定回路9−1を設けた部分、および枝
メトリック算出手法が異なる部分であり、この部分を重
点的に説明する。
【0100】図2において、7−1はアンテナ受信信号
入力端子1−1〜Nよりアンテナ1からアンテナNまで
の受信信号を入力するとともに、伝送路推定回路9−1
〜Mよりステート1からステートMに相当する伝送路特
性を入力し、これらに基づき枝メトリックを作成する枝
メトリック作成回路Aである。8−1〜Mはこの枝メト
リック作成回路A7−1からの枝メトリックを入力する
とともに、1時刻過去のパスメトリック及び生き残りパ
スを入力し、ACS処理を行うことにより、各ステート
に対応する現時刻のパスメトリックと生き残りパスを出
力するACS回路であり、ステート毎に対応して設けら
れている。
【0101】9−1〜Mは各ACS回路8−1〜Mから
各ステートに対応した生き残りパスを入力するととも
に、アンテナ受信信号入力端子1−1〜Nから全てのア
ンテナ1〜Nの受信信号を入力し、各ステート毎に、ア
ンテナ1からアンテナNに対応したN個の伝送路特性を
それぞれ出力する伝送路推定回路である。
【0102】すなわち、例えば伝送路推定回路9−1か
らはステート1に対応したアンテナ1からアンテナNま
でのN個の伝送路特性が出力され、伝送路推定回路9−
MからはステートMに対応したアンテナ1からアンテナ
NまでのN個の伝送路特性が出力される。この伝送路推
定回路は各ステートに対応してM個設けられている。
【0103】図3は上記枝メトリック作成回路A7−1
の内部を示すブロック図であり、12−1−1〜Nはス
テート1に対応するアンテナ1からNの伝送路特性が入
力される伝送路特性入力端子であり、上記伝送路推定回
路9−1から出力される伝送路特性が入力される。同様
に12−M−1〜NはステートMに対応するアンテナ1
からNの伝送路特性が入力される伝送路特性入力端子で
あり、上記伝送路推定回路9−Mから出力される伝送路
特性が入力される。そして各ステート毎にアンテナ1〜
Nの伝送路特性入力端子の組がある。14−A1〜AS
はこれら伝送路特性入力端子より入力されるアンテナ1
からNの伝送路特性、受信信号入力端子11−1〜Nか
らのアンテナ1〜Nの受信信号、パターンテーブル13
からの出力が入力される枝メトリック計算回路である。
【0104】図4はこの枝メトリック計算回路14−A
1〜ASの内部を示すブロック図であり、図において、
23−0〜Lは各タップ用のデータ計算回路、24は加
算回路である。
【0105】図5は上記各タップ用計算回路23−0〜
Lの内部を示すブロック図であり、図において、19−
1〜Nはレプリカ作成回路、25−1〜Nは誤差作成回
路、26−1〜Nは複素共役乗算回路、27は加算2乗
回路、28はタップ用データ出力端子である。
【0106】図10(a)(b)は上記レプリカ作成回
路19−1〜Nの動作を説明するための説明図であり、
図において、50はシフトレジスタ、52は加算回路、
53−1は第0の推定タップ係数、53−2は第1の推
定タップ係数、53−3は第2の推定タップ係数、54
はレプリカ出力端子、55は符号変換回路である。
【0107】次に動作について図2を用いて説明する。
枝メトリック作成回路A7−1は、アンテナ受信信号入
力端子1−1〜Nから、アンテナ1からNまでの受信信
号を入力するとともに、伝送路推定回路9−1〜Mから
それぞれステート1からMに相当する伝送路特性を入力
する。そしてこれらから枝メトリックを出力する。
【0108】ここで、この枝メトリック作成回路A7−
1の動作について図3を用いて説明する。従来例2(図
20)との相違は、枝メトリック計算回路14−A1〜
ASが、アンテナ1からアンテナNまでの全アンテナに
対応した伝送路特性を各ステート毎に入力している点で
ある。すなわち、枝メトリック計算回路14−A1は、
伝送路特性入力端子12−1−1〜Nより、アンテナ1
からアンテナNまでのステート1の伝送路特性を入力し
ており、枝メトリック計算回路14−ASは、伝送路特
性入力端子12−M−1〜Nより、アンテナ1からアン
テナNまでのステートMの伝送路特性を入力しており、
同様にその間の各枝メトリック計算回路は各ステートに
対応した全アンテナの伝送路特性を入力している。
【0109】このような構成の枝メトリック作成回路A
7−1ではパタンテーブル13より、各枝メトリックに
対応するS個の判定値の候補の組み合わせパタンが出力
され、それぞれ対応する枝メトリック計算回路に入力さ
れる。この枝メトリック計算回路14−A1〜ASは、
図4のような構成になっており、このパタンがパタン入
力端子16より各タップ用データ計算回路23−0〜L
に入力される。各タップ用データ計算回路23−0〜L
にはこの他にアンテナ受信信号入力端子11−1〜Nか
らアンテナ1〜Nの受信信号、アンテナ伝送路特性入力
端子12−1〜Nからアンテナ1〜Nの伝送路特性が入
力される。そして、これら入力された値から枝メトリッ
ク値に用いる各タップ用のデータを計算する。
【0110】ここで上記タップデータ計算回路23−0
〜Lの動作について図5の例を用いて説明する。図5に
おいて、パタン入力端子16より入力されたパターンテ
ーブル13からのパタンは各レプリカ作成回路19−1
〜Nに入力される。各レプリカ作成回路19−1〜Nに
はこの他に、アンテナ伝送路特性入力端子12−1〜N
から各アンテナ毎の伝送路特性が入力され、これら入力
値によりレプリカを作成する。
【0111】このレプリカ作成回路19−1〜Nにおけ
るレプリカ作成の動作を、図10(a)(b)の例を用
いて説明する。パタン入力端子16から入力されるパタ
ンはシフトレジスタ50に入力され、1シンボル周期の
遅延を順次与えられてそれぞれ出力される。この出力は
それぞれ、アンテナ伝送路特性入力端子12−1から入
力される第0の推定タップ係数53−1、第1の推定タ
ップ係数53−2、第2の推定タップ係数53−3とそ
れぞれ乗算され、加算回路52に出力される。
【0112】加算回路52は、この各タップ出力を入力
して加算し、その総和をレプリカとしてレプリカ出力端
子54より出力する。なお、図10(b)の符号変換回
路55は必要に応じて、パタン入力端子16から入力さ
れるパタンに対して、畳み込み符号をはじめとする符号
化を施しシフトレジスタ50に出力するものである。こ
の時LMSアルゴリズムの参照データとしては符号化を
施したデータが入力される。
【0113】このようにして作成されたレプリカは、図
5に示すように各誤差作成回路25−1〜Nに入力され
る。各誤差作成回路25−1〜Nでは、各レプリカ作成
回路19−1〜Nからレプリカを入力するとともに、各
アンテナ受信信号入力端子11−1〜Nからアンテナ受
信信号をそれぞれ入力し、これらの誤差を各複素共役乗
算回路26−1〜Nに出力する。
【0114】複素共役乗算回路26−1〜Nでは、各ア
ンテナ伝送路特性入力端子12−1〜Nからアンテナ伝
送路特性のうち予め指定されたタップ係数のみを入力し
この値の複素共役値を算出し、この複素共役値と上記各
誤差作成回路25−1〜Nから入力した誤差とを乗算し
て加算2乗回路27に出力する。加算2乗回路27で
は、複素共役乗算回路26−1〜Nからの値を加算した
後2乗し、各タップ用のデータとしてタップデータ出力
端子28から出力する。
【0115】このようにして求められた各タップ用のデ
ータは図4のタップデータ計算回路23−0〜Lから加
算回路24に出力される。加算回路24は、タップ0用
データ〜タップL用データまで(L+1)個のデータを
入力し加算し、枝メトリック出力端子22から出力す
る。以上のようにして得られた枝メトリック出力端子2
2からの出力は、図3の各枝メトリック計算回路14−
A1〜ASからの出力となり、これらが枝メトリック出
力端子15−1〜Sから枝メトリックとして出力され
る。
【0116】なお、図5に示した枝メトリック計算回路
は、図3の発明におけるダイバーシチ受信機にも適用可
能である。なおここで、レプリカ作成回路としては、図
10(b)の形を用いることもできる。
【0117】上述の枝メトリックは(18)式で示され
る。
【0118】
【数15】
【0119】(18)式の枝メトリックは、L=0とお
くと、(19)式となり、効果が明確となる。
【0120】
【数16】
【0121】(19)式は、(20)式に最も近いIn
を判定値として選択することと等価であり、この操作は
最大比合成ダイバーシチに相当する。
【0122】
【数17】
【0123】なお、判定値作成回路6が出力する判定値
としては、硬判定値のみでなく上述の軟判定値を出力す
ることも可能である。
【0124】このように、実施例2で述べたダイバーシ
チ受信機は、ビタビアルゴリズムのステート毎に例えば
LMSアルゴリズムやRLSアルゴリズム等によりシン
ボル毎に伝送路推定を行うようにしたため、伝送路特性
の変動が高速である場合でもその変動に追随可能であ
る。
【0125】更に、上述のようにして枝メトリックを作
成することにより、伝送路メモリが0の場合には受信信
号の合成が最大比合成となる。
【0126】更に、軟判定値を出力することにより、後
続のビタビ復号器のビット誤り率特性を改善することが
できる。つまり、前述した実施例1の利点を供与でき
る。
【0127】また、枝メトリック計算回路としては、図
21で説明した構成で実現することが可能である。ただ
し、伝送路特性は各枝メトリック計算回路において前も
って決定されている特定のステートが使用される。
【0128】実施例3.次に実施例3について説明す
る。受信信号に周波数オフセットが存在する伝送路の場
合、伝送路特性の推定にも周波数オフセットを考慮する
必要がある。この実施例はこの周波数オフセットを推定
することでその影響を抑えるものである。
【0129】図6は例えば図2における伝送路推定回路
9の具体的な実現例を示したものであり、図において、
先に述べた構成要素と同一の符号を付したものは同一ま
たは相当のものである。図6において、60は受信信号
入力端子、61はACS回路8−Mから出力される生き
残りパスが入力される生き残りパス入力端子、62は推
定された伝送路特性を出力する伝送路特性出力端子、6
3は受信信号、生き残りパスに基づき伝送路特性を推定
する伝送路特性推定回路、64は周波数オフセット推定
回路A65により推定される周波数オフセットに基づき
伝送路特性推定回路63の出力する伝送路特性を回転す
る伝送路特性位相回転回路である。なお、周波数オフセ
ット推定回路A65は受信信号、生き残りパス、伝送路
特性から周波数オフセットを推定するものである。
【0130】図7は上記周波数オフセット推定回路A6
5の実現例を示したものである。図7において、66は
複素乗算回路A、67は複素共役回路A、68は複素乗
算回路B、69は複素共役回路B、70は逆正接回路、
71は重みづけ加算回路、72は周波数オフセット保持
回路、73は上記伝送路特性位相回転回路64が出力す
る伝送路特性が入力される伝送路特性入力端子、74は
周波数オフセット出力端子である。
【0131】次に動作について図6を用いて説明する。
伝送路特性推定回路63は、LMSアルゴリズム等の適
応アルゴリズムに従って、受信信号入力端子60からの
受信信号と、生き残りパス入力端子61からの生き残り
パスから伝送路特性を推定する。
【0132】一方、周波数オフセット推定回路A65
は、受信信号入力端子60からの受信信号と、生き残り
パス入力端子からの生き残りパスと、上記伝送路特性推
定回路63からの伝送路特性とから、周波数オフセット
を推定する。この周波数オフセット推定回路A65によ
り推定された周波数オフセットに基づき、伝送路特性位
相回転回路64は伝送路特性推定回路63が推定した伝
送路特性に位相回転を施し、出力する。
【0133】図7を用いて周波数オフセット推定回路A
65の動作について説明する。複素共役回路A67は生
き残りパス入力端子61からの生き残りパスの複素共役
をとって出力する。複素乗算回路A66はこの複素共役
回路A67からの生き残りパスの複素共役値と、受信信
号入力端子60からの受信信号受信信号とを乗算して出
力する。
【0134】複素共役回路B69は伝送路特性入力端子
73からの伝送路特性の複素共役をとって出力する。複
素乗算回路B68はこの複素共役回路B69から出力さ
れる伝送路特性の複素共役値と、上記複素乗算回路A6
6の出力値を乗算して出力する。
【0135】逆正接回路70はこの複素乗算回路B68
の出力値の逆正接をとり定常位相誤差を出力する。重み
づけ加算回路71は、この定常位相誤差と周波数オフセ
ット保持回路72が出力する周波数オフセットの保持値
とを入力し、これらの重みづけ加算を行って周波数オフ
セットの更新値を出力する。
【0136】周波数オフセット保持回路72は、重みづ
け加算回路71が出力する周波数オフセットの更新値を
入力して、これを周波数オフセットとして保持するとと
もに、周波数オフセット出力端子74に出力する。以上
のような動作により(21)式に示す周波数オフセット
の推定値が求められる。
【0137】
【数18】
【0138】この周波数オフセットが推定値として上記
伝送路特性位相回転回路64に入力され、伝送路特性に
位相回転が施されるものである。なお、この位相回転が
施された伝送路特性は、伝送路特性推定回路63に与え
られ、次の伝送路特性の推定に用いられる。
【0139】以上のように、周波数オフセットを推定
し、この周波数オフセットに従って伝送路特性に位相回
転を与えることにより、周波数オフセットを考慮した伝
送路特性の推定がなされ、伝送路特性が存在する伝送路
でも安定して動作することができる。
【0140】実施例4.次に実施例4について説明す
る。上述のように、受信信号に周波数オフセットが存在
する伝送路の場合周波数オフセットを考慮するが、この
実施例はこの周波数オフセット推定時の雑音による影響
を抑えることができるものである。
【0141】図8は例えば図2における伝送路推定回路
9の具体的な実現例を示したものであり、図6との相違
点は周波数オフセット推定に伝送路特性を利用しないと
ころである。先に述べた構成要素と同一の符号を付した
ものは同一または相当のものである。図8において、7
5は周波数オフセット推定回路Bである。
【0142】図9はこの周波数オフセット推定回路B7
5の実現例を示したものである。図9において、76は
Yシンボル遅延回路A、77はYシンボル遅延回路B、
78は複素乗算回路C、79は複素共役回路C、80は
は平均化回路、81は1/Y回路である。
【0143】次に動作について図8を用いて説明する。
図8と図6の相違点は、周波数オフセット推定に伝送路
特性を利用しないところであり、周波数オフセット推定
回路B75は、受信信号と判定値を入力して周波数オフ
セットを出力する。
【0144】図9を用いて周波数オフセット推定回路B
75の動作について説明する。Yシンボル遅延回路A7
6は受信信号に対してYシンボル分の遅延を与えて出力
する。複素共役回路A67はこの受信信号のYシンボル
遅延データに関する複素共役値を出力する。
【0145】複素乗算回路A66は、複素共役回路A6
7からのYシンボル分遅延データに関する複素共役値と
受信信号との乗算結果を出力する。一方、Yシンボル遅
延回路B77は生き残りパス入力端子61からの生き残
りパスに対してYシンボル分の遅延を与えて出力する。
複素共役回路B64は生き残りパスのYシンボル分遅延
データに関する複素共役値を出力する。
【0146】複素乗算回路B68は、生き残りパスのY
シンボル分遅延データに関する複素共役値と生き残りパ
スとの乗算結果を出力する。複素共役回路C79は、複
素乗算回路B68が出力する乗算結果の複素共役値を出
力する。複素乗算回路C78は、複素乗算回路A66の
出力と複素共役回路C79の出力との複素乗算結果を出
力する。
【0147】逆正接回路70は、複素乗算回路C78出
力の逆正接をとり、Yシンボル離れたシンボル間に生じ
る位相変化を出力する。平均化回路80はこの位相変化
を入力してこれを平均化し、上記シンボル間に生じる雑
音の影響の少ない位相変化を出力する。1/Y回路81
はこの位相変化を1/Yして周波数オフセット値として
周波数オフセット出力端子74に出力する。以上のよう
な動作により(22)式に示す周波数オフセットの推定
値が求められる。
【0148】
【数19】
【0149】このように、実施例4では、Yシンボル離
れたシンボル間の位相変化から周波数オフセットを推定
しているので、1シンボルあたりの雑音の影響が平均化
されて少なくなるため高精度に周波数オフセット値を推
定でき、この周波数オフセット値に従って伝送路特性に
位相回転を与えることにより、周波数オフセットが存在
する伝送路でも安定して動作することができる。
【0150】なお、上記実施例3、4では伝送路特性推
定回路63の入力として、受信信号とASC回路からの
生き残りパスとを入力して伝送路特性を推定するものに
ついて説明したが、同様の構成で、受信信号と図1の加
算判定回路4からの判定値とを入力して伝送路特性を推
定することも可能である。
【0151】また、上記各手段はソフトウェアによる信
号処理により実現することも可能である。さらに上記実
施例はいずれもN本のアンテナを有するものについて説
明したが、Nは1でもよい。
【0152】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、
ダイバーシチ受信機において次のことが可能となる効果
がある。 (a)外部から位相不確定性を除去する情報を入力する
ことなく、安定してダイバーシチ合成を実現できる。 (b)伝送路特性の変動が高速である場合でもその変動
に追随可能である。
【0153】さらに請求項2の発明によれば、ダイバー
シチ合成を最大比合成ダイバーシチとすることができ
る。
【0154】また請求項3の発明によれば、ダイバーシ
チ受信機において次のことがが可能となる効果がある。 (a)ビタビアルゴリズムに従って動作する最尤系列推
定に関して、ダイバーシチ合成を実現することができ
る。 (b)伝送路特性の変動が高速である場合でもその変動
に追随可能となる。
【0155】さらに請求項4の発明によれば、簡単な演
算で枝メトリックを作成でき、ダイバーシチ合成の精度
を向上させることができる。
【0156】さらに請求項5の発明によれば、タップ毎
に分離して枝メトリックを作成することにより、ダイバ
ーシチ合成の精度を向上させることができる。
【0157】さらにまた請求項6の発明によれば、伝送
路メモリが0の場合には受信信号のダイバーシチ合成を
最大比合成とできる。
【0158】また請求項7から10の発明によれば、自
動周波数制御ができ、周波数オフセットが存在する下で
も安定して動作が可能である。また請求項11の発明に
よれば、ダイバーシチ受信機において、軟判定値を出力
することにより、後続のビタビ復号器のビット誤り率特
性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に係わるダイバーシチ受信
機のブロック図。
【図2】この発明の実施例2に係わるダイバーシチ受信
機のブロック図。
【図3】この発明の実施例2に係わる枝メトリック作成
回路のブロック図。
【図4】この発明の実施例2に係わる枝メトリック計算
回路のブロック図。
【図5】この発明の実施例2に係わるタップ用計算回路
のブロック図。
【図6】この発明の実施例3に係わる伝送路推定回路の
ブロック図。
【図7】この発明の実施例3に係わる周波数オフセット
推定回路のブロック図。
【図8】この発明の実施例4に係わる伝送路推定回路の
ブロック図。
【図9】この発明の実施例4に係わる周波数オフセット
推定回路のブロック図。
【図10】レプリカ作成回路の説明図。
【図11】伝送路のモデル図。
【図12】トレリス格子の説明図。
【図13】従来の位相検出回路のブロック図。
【図14】従来例1のダイバーシチ受信機のブロック
図。
【図15】従来の最尤系列推定装置のブロック図。
【図16】従来の最尤系列推定装置の枝メトリック作成
回路のブロック図。
【図17】従来の最尤系列推定装置の枝メトリック計算
回路のブロック図。
【図18】従来の最尤系列推定装置のACS回路のブロ
ック図。
【図19】従来例2のダイバーシチ受信機のブロック
図。
【図20】従来例2のダイバーシチ受信機の枝メトリッ
ク作成回路のブロック図。
【図21】この発明の一実施例及び従来例2のダイバー
シチ受信機の枝メトリック計算回路のブロック図。
【符号の説明】
1−1〜N アンテナ受信信号入力端子 2−1〜N 複素共役回路 3−1〜N 乗算回路 4 加算判定回路 5 伝送路推定回路 6 判定値出力端子 7−1 枝メトリック作成回路A 7−2 枝メトリック作成回路B 7−3 枝メトリック作成回路C 8−1〜M ACS回路 9−1〜M 伝送路推定回路 10 判定値作成回路 11−1〜N 受信信号入力端子 12−1〜N ステート1伝送路特性入力端子 12−M〜N ステートM伝送路特性入力端子 13 パタンテーブル 14−A1〜AS 枝メトリック計算回路A 14−B1〜BS 枝メトリック計算回路B 14−C1〜CS 枝メトリック計算回路C 15−1〜S 枝メトリック出力端子 16 パタン入力端子 19−1〜N レプリカ作成回路 20−1〜N 2乗誤差作成回路 21 加算回路 22 枝メトリック出力端子 23−0〜L タップ用データ計算回路 24 加算回路 25−1〜N 誤差作成回路 26−1〜N 複素共役乗算回路 27 加算2乗回路 28 タップ用データ出力端子 29−1〜U 枝メトリック入力端子 30−1〜U パスメトリック作成回路 31 メトリックパス選択回路 32 メトリックパス出力端子 50 シフトレジスタ 51−1 第0の実際のタップ係数 51−2 第1の実際のタップ係数 51−3 第2の実際のタップ係数 52 加算回路 53−1 第0の推定タップ係数 53−2 第1の推定タップ係数 53−3 第2の推定タップ係数 54 レプリカ出力端子 55 符号変換回路 60 受信信号入力端子 61 判定値入力端子 62 伝送路特性出力端子 63 伝送路特性推定回路 64 伝送路特性位相回転回路 65 周波数オフセット推定回路A 66 複素乗算回路A 67 複素共役回路A 68 複素乗算回路B 69 複素共役回路B 70 逆正接回路 71 重みづけ加算回路 72 周波数オフセット保持回路 73 伝送路特性入力端子 74 周波数オフセット出力端子 76 Yシンボル遅延回路A 77 Yシンボル遅延回路B 78 複素乗算回路C 79 複素共役回路C 80 平均化回路 81 1/Y回路

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の要素を有することを特徴とするダ
    イバーシチ受信機。(a)N本のアンテナから受信した
    N系統の受信信号と、N本のアンテナから受信したN系
    統の受信信号それぞれに対する伝送路特性とを入力し、
    この伝送路特性、上記受信信号に基づき送信されたデー
    タの推定値である判定値を出力するデータ判定手段、
    (b)このデータ判定手段が出力する上記判定値と上記
    N系統の受信信号とを入力して、上記N系統の受信信号
    に対する伝送路特性を推定し、上記データ判定手段に出
    力する伝送路推定手段。
  2. 【請求項2】 請求項1のダイバーシチ受信機のデータ
    判定手段が、以下の要素を有することを特徴とするダイ
    バーシチ受信機。(a)上記N系統の受信信号それぞれ
    に対する伝送路特性の複素共役値を算出する複素共役算
    出手段、(c)この複素共役算出手段から出力される複
    素共役値と上記受信信号とをそれぞれ乗算する乗算手
    段、(b)この乗算手段から出力されるN個の乗算値を
    加算し、この加算値をもとに送信されたデータの推定値
    である判定値を出力する加算データ判定手段。
  3. 【請求項3】 M個のステート(状態)からなるトレリ
    ス格子に基づいて、送信されたデータの推定値である判
    定値を出力するデータ判定手段を備え、以下の要素を有
    することを特徴とするダイバーシチ受信機。(a)N系
    統の受信信号と、ステートにつながる生き残りパスと、
    ステートにつながる枝の始点のステートにおいて推定さ
    れるN系統の受信信号それぞれに対するステート数分の
    伝送路特性を入力して各枝に対応する枝メトリックを作
    成し、上記データ判定手段に出力する枝メトリック作成
    手段、(b)それぞれのステートに対応する生き残りパ
    スと、N系統の受信信号とを入力し、各ステートに対応
    するN系統の伝送路特性をそれぞれ推定して上記枝メト
    リック作成手段に出力する伝送路推定手段。
  4. 【請求項4】 請求項3の枝メトリック作成手段が、以
    下の要素を有することを特徴とするダイバーシチ受信
    機。(a)N系統の受信信号と、対応するステートにつ
    ながる生き残りパスと、対応するステートの枝の始点の
    ステートでのN系統の受信信号に対応する伝送路特性と
    を入力し、受信信号のレプリカを作成するレプリカ作成
    手段、(b)N系統の受信信号と、これに対応する受信
    信号のレプリカを入力して、N系統の受信信号それぞれ
    に対して2乗誤差値を算出し、N系統の2乗誤差値の総
    和を枝メトリックとして出力する枝メトリック計算手
    段。
  5. 【請求項5】 請求項3の枝メトリック作成手段が、以
    下の要素を有することを特徴とするダイバーシチ受信
    機。(a)N系統の受信信号と、N系統の受信信号に対
    応する伝送路特性とを入力し、複数のタップ係数により
    構成される伝送路特性の特定のタップ係数を選択し、伝
    送路特性の各タップに関するデータを作成するタップ用
    データ作成手段、(b)このタップ用データ作成手段か
    ら出力される各タップ用データに基づいて枝メトリック
    を出力する枝メトリック計算手段。
  6. 【請求項6】 請求項5のタップ用データ作成手段が、
    以下の要素を有することを特徴とするダイバーシチ受信
    機。(a)N系統の受信信号に対応する伝送路特性か
    ら、それぞれN系統の受信信号に対するレプリカを作成
    し、このレプリカとN系統の受信信号との誤差を作成す
    る誤差作成手段、(b)N個のN系統の受信信号に対す
    る伝送路特性から指定のタップを選択して、そのタップ
    値の複素共役をとった値と、上記誤差作成手段から出力
    されるN個の誤差値をそれぞれ乗算する乗算手段、
    (c)この乗算手段から出力されるN個の乗算結果をそ
    れぞれ入力して、指定タップ用データを作成するデータ
    作成手段。
  7. 【請求項7】 請求項1または2のダイバーシチ受信機
    において、受信信号と上記データ判定手段からの判定値
    とに基づき伝送路特性を推定する伝送路推定手段と、受
    信信号と上記判定値とに基づき受信信号の周波数オフセ
    ットを推定する周波数オフセット推定手段と、この周波
    数オフセット推定手段が推定した周波数オフセットに基
    づき上記伝送路推定手段が推定する伝送路特性に位相回
    転を施し伝送路特性として出力する伝送路特性位相回転
    手段を備えたことを特徴とするダイバーシチ受信機。
  8. 【請求項8】 請求項3ないし6のダイバーシチ受信機
    において、受信信号と上記ステートにつながる生き残り
    パスとに基づき伝送路特性を推定する伝送路推定手段
    と、受信信号と上記ステートにつながる生き残りパスと
    に基づき受信信号の周波数オフセットを推定する周波数
    オフセット推定手段と、この周波数オフセット推定手段
    が推定した周波数オフセットに基づき上記伝送路推定手
    段が推定する伝送路特性に位相回転を施し伝送路特性と
    して出力する伝送路特性位相回転手段を備えたことを特
    徴とするダイバーシチ受信機。
  9. 【請求項9】 請求項7または8の周波数オフセット推
    定手段が、以下の要素を有することを特徴とするダイバ
    ーシチ受信機。(a)受信信号と、上記判定値あるいは
    上記ステートにつながる生き残りパスと、伝送路特性と
    を入力して、受信信号と伝送路特性の間に存在する定常
    位相誤差を推定する定常位相誤差推定手段、(b)この
    定常位相誤差推定手段が出力する定常位相誤差を入力し
    て、周波数オフセットを出力する周波数オフセット計算
    手段。
  10. 【請求項10】 請求項7または8の周波数オフセット
    推定手段が、以下の要素を有することを特徴とするダイ
    バーシチ受信機。(a)受信信号を入力してYシンボル
    分の遅延を与える受信信号遅延手段、(b)判定値ある
    いはステートにつながる生き残りパスを入力してYシン
    ボル分の遅延を与える判定値遅延手段、(c)上記受信
    信号遅延手段と、上記判定値遅延手段からの出力に基づ
    いて、Yシンボル離れたシンボル間に生じた位相変化を
    推定する位相変化推定手段、(d)位相変化推定手段が
    推定した位相変化を入力し、これを平均化することによ
    り周波数オフセットを推定する周波数オフセット計算手
    段。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のダイバーシチ受
    信機において、データ判定値として軟判定値を出力する
    手段を備えたことを特徴とするダイバーシチ受信機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001076101A1 (fr) * 2000-04-03 2001-10-11 Sanyo Electric Co., Ltd. Radio
WO2002009315A1 (fr) * 2000-07-24 2002-01-31 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Appareil recepteur et procede de reception pour communication radio

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