JPH0723522B2 - 鉄系形状記憶合金 - Google Patents

鉄系形状記憶合金

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JPH0723522B2
JPH0723522B2 JP27909392A JP27909392A JPH0723522B2 JP H0723522 B2 JPH0723522 B2 JP H0723522B2 JP 27909392 A JP27909392 A JP 27909392A JP 27909392 A JP27909392 A JP 27909392A JP H0723522 B2 JPH0723522 B2 JP H0723522B2
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JP
Japan
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shape memory
alloy
iron
martensite
memory alloy
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JP27909392A
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善郎 芦田
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄系形状記憶合金に関
する。
【0002】
【従来の技術】形状記憶合金は、その特異な機能を利用
して、工業、エネルギー、医学等種々の分野への応用展
開が期待される金属材料であつて、既に一部ではその実
用化も試みられている。形状記憶現象及び擬弾性現象
は、熱弾性マルテンサイト変態を起こす合金に現われる
ものであつて、かかる現象を示す金属材料は、主として
非鉄合金において多く見出されているが、鉄系合金にお
いても、Fe-25 原子%PtとFe-30 原子%Pdとが熱弾性マ
ルテンサイトになり、完全な形状記憶現象を示すことが
知られている。
【0003】更に、最近になつて、Fe-Ni-Co-Ti 合金を
オーステナイト域で時効処理、即ち、オースエイジした
後、低温に冷却するとき、シン・プレート (thin plat
e) ・マルテンサイト組織が形成され(日本金属学会秋
期大会一般講演概要第216頁(1982年9月))、更
に、この合金が形状記憶現象を示すことも見出されてい
る。この合金は鉄系合金であるために製造が容易である
と共に、比較的安価であり、実用性の高い形状記憶合金
であるが、一方、この合金においては、オースエイジす
るとき、オーステナイト粒界に粒界反応型の析出物とし
て、η相の Ni3Ti(以下、η-Ni3Tiと称する。)が析出
することも既に知られている(日本金属学会春期大会一
般講演概要第198頁及び306頁(1984年4月))。
【0004】本発明者らは、上記合金を特にその機械的
性質に及ぼす上記析出物の影響なる観点から更に鋭意研
究した結果、この析出物が粒界に存在するとき、合金の
延性を低めることを見出した。形状記憶合金において延
性が低いことは、繰返し変形に対して旧粒界が脆弱であ
ることにつながり、かくして、粒界破壊しやすいことと
なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはFe-Ni-Co
-Ti 系形状記憶合金における上記した問題を解決するた
めに、この合金をオースエイジしたときに現われる形状
記憶性を阻害することなく、このオースエイジ中に生じ
るη-Ni3Tiの粒界析出を防止し、若しくは抑制する添加
元素について鋭意広範に研究した結果、合金中のTi量
によつてその適正な添加量は必ずしも同じではないが、
概してAl、Mo、W、Nb及びBよりなる群から選ば
れる1種を単独添加し、又は2種以上を複合添加するこ
とによつて、前記η-Ni3Tiの粒界析出を効果的に防止す
ることができ、かくして、延性が改善されると共に、形
状記憶性にすぐれる鉄系形状記憶合金を得ることができ
ることを見出して、本発明に至つたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による鉄系形状記
憶合金は、重量%で (a) Ni 31〜35%、 Co 8〜15%、及び Ti 2.5〜6.5%に加えて、 (b) Al 1.5〜10.0%、 Mo 0.5 〜5.0%、 W 1.0〜5.0%、 Nb 0.5〜5.0%、及び B 0.002〜0.010% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、及び残
部鉄及び不可避的不純物よりなることを特徴とする。
【0007】シン・プレート・マルテンサイトは、完全
双晶マルテンサイトであること、及び変態歪による応力
がオーステナイト母相中では弾性変形によつて緩和さ
れ、塑性変形が起こらないことに特徴を有する。このよ
うなシン・プレート・マルテンサイトの生成には、母材
強度(降伏強さ)が大きいこと、又は剛性率が小さいこ
とが有利であり、このような場合、変態歪による母相の
塑性変形が起こり難いからである。また、変態時の容積
変化、変態シアー量が少ないときも、変態に伴う母相へ
の歪が小さくなるので、塑性変形が起こり難くなる。更
に、マルテンサイトの正方晶率(tetragonality)が大き
いこともシン・プレート・マルテンサイトの生成に有利
である。この正方晶率が大きくなるほど、マルテンサイ
トの (112)双晶変形のシアー量が小さくなり、双晶界面
エネルギーが低下する。これらはマルテンサイト晶内で
の双晶の形成を容易にし、密度を大きくする作用があ
る。また、正方晶率が大きいほど、変態シアー量は小さ
くなり、母相の塑性変形が起こり難い。
【0008】シン・プレート・マルテンサイトの生成に
有利な他の要因は、マルテンサイトの生成温度、即ち、
Ms点が低いことである。Ms点が低いほど、マルテン
サイト晶での双晶変形がすべり変形に比べて起こりやす
いからである。また、母材の強度も上昇し、塑性変形し
難くなる。本発明による形状記憶合金において、Ni、
Co及びTiは、合金にシン・プレート・マルテンサイ
トを生成させるために前記範囲にあることが必要であ
り、その範囲をはずれる組成によつては、合金はシン・
プレート・マルテンサイトを生成せず、従つて、形状記
憶性を示さない。特に、NiはMs点を低くするのに効
果がある。Tiはオースエイジにより母相オーステナイ
ト中に規則(ordered)γ'-Ni3Ti を均一微細に析出させ
て、母相を強化し、或いはマルテンサイトの正方晶の出
現等に効果がある。また、Coは母材のキユリー点を上
昇させ、Ms点との差を大きくすることにより、変態容
積変化を小さくし、更に、母相の剛性率を低下させるの
に有効である。
【0009】上記のようにFe-Ni-Co-Ti 合金をオースエ
イジすると、オーステナイト粒内にγ' 相の Ni3Tiが微
細に析出するが、この粒内における析出が飽和すると、
本来、Ni3Ti の安定相はη-Ni3Tiであるから、γ'-Ni3T
i はη-Ni3Tiに変化する。この場合の変化はセパレート
・ニュークレーシヨン(separate nucleation) にて起こ
り、核生成位置は粒界である。即ち、γ'-Ni3Ti として
析出したNi及びTiが再度、マトリツクスに固溶し、
粒界に移動して、最終安定相であるη-Ni3Tiとして再析
出するのである。
【0010】本発明による形状記憶合金は、上述したN
i、Co及びTiに加えて、Al、Mo、W、Nb及び
Bよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
する。これら元素Al、Mo、W、Nb及びBは、いず
れも、Ni及びTiの拡散を妨げることによつて、η-N
i3Tiの粒界析出を防止する。更に、Al及びNbはγ'-
Ni3Ti を安定化し、Bはη-Ni3Tiの粒界析出核生成を抑
制する。また、Mo及びNbは、合金の形状記憶性を高
めるのみならず、オーステナイト強度を高める結果、合
金の形状回復力を強める効果を有する。
【0011】上述した効果を有効に発現させるためのこ
れら元素の適正な添加量は、合金におけるTi量に依存
する。本発明による合金は、Tiを2.5〜6.5%の範囲
で含むものである。上述した効果を有効に得るために、
本発明においては、上記元素の添加量は、Alは1.5〜
10.0%の範囲、好ましくは1.5〜6.5%の範囲であ
り、Moは0.5 〜5.0%の範囲、Wは1.0〜5.0%の範
囲、Nbは0.5〜5.0%の範囲、Bは0.002〜0.01
0%の範囲である。
【0012】本発明による鉄系形状記憶合金は、前記所
定の組成を有する合金を900〜1200℃に加熱して
溶体化処理後、500〜800℃の温度で100時間以
下のオースエイジ処理を施すことにより製造することが
でき、冷却又は応力付加に対応して、シン・プレート・
マルテンサイトを生成させる。即ち、本発明による合金
は、ある温度以下で任意の方法により変形を与えた後、
加熱時にマルテンサイトが母相へ戻る逆変態の終了温度
Af点以上の温度に加熱することによつて、形状が変形
前に復元する形状記憶性を示す。
【0013】
【実施例】表1及び表2に示すように、Fe-Ni-Co-Ti 合
金を基本合金とし、これにAl、Mo、W、Nb及び/
又はBを添加した合金を真空溶解法にて製造し、鍛造、
圧延して厚さ5mm、幅70mm及び長さ1000mmの板を
製造し、供試材とした。この供試材を1150℃で1時
間加熱して溶体化処理した後、空冷し、この後、700
℃で4時間オースエイジして、η-Ni3Tiの析出状況を観
察した。また、上記オースエイジ処理後、厚さ1mm、幅
5mm及び長さ50mmの平板に切出し、液体窒素中で−1
96℃の温度にて曲げ角度100°のV字型に曲げ変形
を行ない、この後、室温中に取出して平板に戻る度合に
よつて形状回復率を調べ、また、形状回復力を調べた。
更に、別に上記オースエイジ処理後、引張試験片を作製
し、常温にて引張試験を行なつて伸びを測定した。結果
を表1及び表2に示す。
【0014】従来合金として表1に示すものは、Fe-Ni-
Co-Ti 系基本合金であり、オーステナイト粒界に多くの
η-Ni3Tiが析出しており、伸びも極めて低い。比較合金
3及び4においては、Al量の添加量が不足するため
に、粒界に尚僅かのη-Ni3Tiが析出している。このよう
な従来合金及び比較合金に対して、本発明による合金に
よれば、粒界にはη-Ni3Tiの析出が認められないので、
伸びも20%以上であり、形状記憶性も殆どが100%
を示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】このように、本発明の合金によれば、η
-Ni3Tiの粒界析出が防止されるために、延性が著しく改
善されると共に、伸びも大きく、形状記憶合金として実
用性が高い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で (a) Ni 31〜35%、 Co 8〜15%、及び Ti 2.5〜6.5%に加えて、 (b) Al 1.5〜10.0%、 Mo 0.5 〜5.0%、 W 1.0〜5.0%、 Nb 0.5〜5.0%、及び B 0.002〜0.010% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、及び残
    部鉄及び不可避的不純物よりなることを特徴とする鉄系
    形状記憶合金。
JP27909392A 1992-10-19 1992-10-19 鉄系形状記憶合金 Expired - Lifetime JPH0723522B2 (ja)

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