JPH07233751A - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents
内燃機関の燃料噴射量制御装置Info
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Abstract
プン制御中での空燃比制御外乱に対する補正を行うよう
になされ、しかも、空燃比制御精度向上を図ることがで
き、また、良好な運転性を保持することができるととも
に、排出ガス成分の悪化を可及的に防止することのでき
る内燃機関の燃料噴射量制御装置を提供すること。 【構成】 内燃機関の回転数及び吸入空気量、あるいは
吸入管内圧力に基づいて内燃機関の運転状態を検出する
運転状態検出手段401と、該運転状態検出手段401
により検出された運転状態に基づいてキャニスタパージ
量を計算するパージ制御量計算手段404と、キャニス
タパージによる外乱の影響を取り込み空燃比フィードバ
ック制御により所望の空燃比制御に対する偏差を学習す
る空燃比学習計算手段402と、前記空燃比学習計算手
段402により学習された偏差を記憶する記憶手段40
3と、前記空燃比フィードバック制御による空燃比偏差
と前記学習された偏差の結果に基づいた補正量により燃
料噴射量を求める燃料噴射量計算手段405と、とを備
えてなる。
Description
制御装置に関し、特に、空燃比フィードバック制御と空
燃比オープン制御の切り替え可能な内燃機関の燃料噴射
量制御装置に関する。
量もしくは吸気管内圧力と内燃機関の回転数から基本燃
料噴射量を計算するとともに、内燃機関の排気管に設置
された酸素センサの出力に基づいて基本燃料噴射量を補
正し、内燃機関に供給される燃料を予め定められた目標
空燃比、例えば理論空燃比となるようにフィードバック
制御が行われている。例えば、キャニスタパージ等の空
燃比制御外乱が生じても前記酸素センサの出力信号に基
づいて、空燃比が理論空燃比になるように燃料噴射量を
補正する係数(以下α信号と称す)をコントロールユニ
ット内で計算し、この値に応じて所望の空燃比となるよ
うに空燃比フィードバック制御が行われている。したが
って、例えば、キャニスタパージが理論空燃比より濃い
場合には、キャニスタパージを行わない場合に比べ、燃
料噴射量を減少させるようなα信号が出力される。
ては、例えば特開平2−70953号公報にも記載され
ているように、前記α信号の標準値に対する偏差を計算
し、α信号が標準値に安定するように運転領域毎に補正
を行うとともに、これを学習するようにした技術が知ら
れている。このような技術によれば、空燃比制御外乱が
生じても、これをコントロールユニット内で検知、補
正、学習することにより、空燃比制御外乱及び運転領域
に関わらず安定した燃料噴射供給が行えるとともに、最
適な空燃比制御を得ることができる。
如き従来の内燃機関の燃料噴射量制御装置においては、
酸素センサが活性化する空燃比フィードバック制御範囲
内でなされ得るものであって、フィードバック制御を行
わない空燃比オープン制御、例えば空燃比希薄燃焼(リ
ーンバーン)制御等の場合には、前記キャニスタパージ
等の空燃比制御外乱の影響を直接受けるので空燃比制御
精度が大きく損なわれてしまう。
比オープン制御を行う場合のタイムチャートの一例であ
る。図13において、まず、内燃機関の空燃比は、空燃
比フィードバック制御により理論空燃比に制御され、そ
の後、空燃比オープン制御移行条件が成立するためオー
プン制御が行なわれる。オープン制御移行後は、キャニ
スタパージの外乱により、それまでの学習値とは別個に
制御を行わなければならない。すなわち、オープン制御
中に吸入空気と共に内燃機関に供給されるキャニスタか
らのパージ空気中のガソリン蒸気濃度が経時変化するた
め、空燃比が徐々に変化していく。キャニスタパージ中
のガソリン濃度が低くなると、パージ空燃比Lean曲
線(図13の破線で示す)で示すように、空燃比がリー
ンとなり、失火やトルクダウン等により内燃機関の運転
性が悪化してしまう。他方、キャニスタパージ中のガソ
リン濃度が高くなると、パージ空燃比Rich曲線(図
13の一点鎖線で示す)で示すように、空燃比がリッチ
となり、内燃機関排出ガス成分が悪化してしまう。
の学習補正量は空燃比オープン制御では更新されないの
で、空燃比オープン制御中に空燃比制御外乱が経時変化
した場合には、適正な補正が行えないのみならず、運転
性の低下及び排出ガスの悪化等が発生するという問題点
があった。ところで、パージ中のガソリン濃度は、気
温、ガソリン量、ガソリン性状等多くの因子に影響さ
れ、その濃度の予測は大変困難である。このことから、
内燃機関の空燃比オープン制御移行時には、空燃比制御
外乱の影響を迅速かつ的確に認識し適切な補正を行うの
みならず、オープン制御中も空燃比外乱の経時変化に応
じた燃料噴射量等を調整する必要がある。
たものであって、パージの影響による空燃比変化は空燃
比フィードバック制御中のみに知ることができることに
着目し、空燃比フィードバック制御中にパージの影響を
検知するとともに、オープン制御中の供給燃料噴射量に
反映する方法を採ることにした。そこで、本発明の目的
は、新たに部品を追加することなく、空燃比オープン制
御中での空燃比制御外乱に対する補正を行うようになさ
れ、しかも、空燃比制御精度向上を図ることができ、ま
た、良好な運転性を保持することができるとともに、排
出ガス成分の悪化を可及的に防止することのできる内燃
機関の燃料噴射量制御装置を提供することにある。
く、本発明に係わる内燃機関の燃料噴射量制御装置は、
基本的には、内燃機関の回転数及び吸入空気量、あるい
は吸入管内圧力に基づいて内燃機関の運転状態を検出す
る運転状態検出手段と、該運転状態検出手段により検出
された運転状態に基づいてキャニスタパージ量を計算す
るパージ制御量計算手段と、キャニスタパージによる外
乱の影響を取り込み空燃比フィードバック制御により所
望の空燃比制御に対する偏差を学習する空燃比学習計算
手段と、前記空燃比学習計算手段により学習された偏差
を記憶する記憶手段と、前記空燃比フィードバック制御
による空燃比偏差と前記学習された偏差の結果に基づい
た補正量により燃料噴射量を求める燃料噴射量計算手段
と、とを備えたことを特徴としている。
ンサを用いて空燃比を検出する手段と、内燃機関の吸入
空気量もしくは吸気管内圧力を検出する手段と、前記酸
素センサの出力により目標空燃比からの偏差を検出する
手段と、内燃機関の回転数及び前記吸入空気量、あるい
は吸気管内圧力に基づいて内燃機関の運転状態を検出す
る手段と、該運転状態検出手段により検出された運転状
態に基づいて燃料噴射量を決定する手段と、前記運転状
態からキャニスタパージ量を決定する手段と、前記空燃
比の目標値からの偏差を学習する手段と、該学習された
偏差量学習値を運転状態に応じて所定の割合で分割する
とともに、各々別々の要素として学習する手段と、キャ
ニスタパージによる空燃比制御を運転領域毎に算出する
手段と、前記酸素センサ出力値による空燃比偏差量と前
記偏差量学習値に基づいて空燃比オープン制御により燃
料噴射量を補正する手段と、を備えたことを特徴として
いる。
においては、空燃比制御外乱の影響は、空燃比フィード
バック制御中の目標空燃比からの偏差量と外乱の制御量
を検知することにより求められる。そして、酸素センサ
出力値による空燃比偏差量と偏差量学習値に基づいて、
空燃比オープン制御により運転状態に応じて燃料噴射量
を補正する。また、外乱がオープン制御中に経時変化す
る場合、所定時間経過後、影響量を再学習することで長
期の良好な運転性を確保することが出来る。
明する。先ず、本発明に係わる内燃機関の燃料噴射量制
御装置の全体構成について説明する。図1は本発明が適
用される内燃機関システムの全体システム図、図2は制
御装置の入出力仕様を示す内部回路ブロック図の一例で
ある。
吸気側には、エアクリーナ1で濾過された内燃機関18
への吸入空気質量の(流量)を検出するエアフローセン
サ(熱式空気流量計)2が設けられている。エアクリー
ナ1からの吸気系導通路(吸気管)は、ダクト31、コ
レクタ20を介して、内燃機関18の各シリンダに接続
された各吸気管32、32、…に接続されている。そし
て、ダクト31とコレクタ20の接続部近傍には、吸気
流量を制御するスロットルバルブ30を収容するスロッ
トルボディ4が形成されている。また、ダクト31に
は、スロットルバルブ30をバイパスする空気流量を制
御することによりアイドル時の回転数を制御するアイド
ル・スピード・コントロール(ISC:Idle Speed Con
trol)バルブ3が設けられている。内燃機関18が吸入
すべき空気は、エアクリーナ1の入口から取り入れら
れ、ダクト31、エアフローセンサ2を介して、スロッ
トルボディ4またはISCバルブ3を通ってコレクタ2
0に入る。ここで吸気は、内燃機関18の各シリンダに
接続された各吸気管32、…に分配されシリンダ内に導
かれる。
には、後述するコントロールユニット7の制御信号によ
り開閉制御されるスワール・コントロール・バルブ(S
CV)17が設けられ、その作用により吸入空気は渦流
(スワール)に形成されてシリンダに吸入される。吸気
管32の吸気口21に設けられた燃料噴射のためのイン
ジェクタ(燃料噴射弁)5は、配管33を介して燃料タ
ンク11に接続されており、配管33には、燃料タンク
11から吸引・加圧された噴射用供給燃料をインジェク
タ5に吐出するための燃料ポンプ10、燃料ダンパ2
2、燃料フィルタ23が設置されている。また、燃料配
管系には、インテーク・マニホールドの負圧に対しイン
ジェクタ5に加えられる燃圧が常に一定値になるように
調整する燃圧レギュレータ(プレッシャーレギュレー
タ)12が設けられている。
らの信号を受け、この信号に基づいて所定の演算処理を
行い、燃料供給量制御、ISC空気制御、点火時期制御
等の制御を行うものである。エアフローセンサ2からは
空気流量を表す信号が出力され、水温センサ13からは
冷却水の温度を表す信号が出力され、コントロールユニ
ット7に入力されるようになっている。さらに、前記ス
ロットルボディ4にはスロットルバルブ30の開度を検
出するスロットルセンサ(絞り弁開度センサ)24が取
り付けてあり、その出力もコントロールユニット7に入
力されるようになっている。
火プラグ14に分配するディストリビュータ6、点火コ
イル19、点火プラグ14が設けられている。ディスト
リビュータ6にはクランク角度センサ(図示せず)が内
蔵されており、クランク軸の回転位置を表す基準信号R
EFと回転速度(回転数)検出用の角度信号POSとが
出力され、これらの信号はコントロールユニット7に入
力されるようになっている。点火プラグ14はコントロ
ールユニット7からの制御信号により点火コイル19で
発生した高電圧の電気エネルギーを導き、吸入バルブ3
4aを介してシリンダに吸入された混合気を着火、爆
発、燃焼させ、排気バルブ34bを介して排出させるよ
うになっている。
ィ4を連結する配管にはチャコールキャニスタ9が配設
されており、チャコールキャニスタ9は燃料タンク11
内で発生した燃料蒸気(ベーパ)を一旦吸着し、パージ
バルブ8により運転状態に応じて所望の量パージされる
ようになっている。排気管35には、触媒16とその上
流に酸素濃度センサ15が設けられ、該酸素センサ15
は、実際の空燃比が理論空燃比に対して、濃い状態か薄
い状態かを検出しており、この出力信号もコントロール
ユニット7に入力されるようになっている。
に示すように、各種センサからの小信号をアクチュエー
タ駆動の大信号に変換するドライバ回路201、入出力
信号をデジタル演算処理を行えるようなアナログ−デジ
タル信号に変換するインターフェース(入出力)回路2
02、デジタル演算処理を行うマイクロコンピュータも
しくはそれに準ずる演算回路を保有する演算回路20
3、演算回路203の演算処理に用いる定数、変数、並
びにプログラムを格納するための不揮発性のROM20
4及び揮発性のRAM204の2種類のメモリ、並びに
揮発性のRAM205の内容を保持するバックアップ回
路206からなる。本図示例では、内燃機関の運転状態
を検出する、熱式空気流量計2、絞り弁開度センサ2
4、酸素濃度センサ15、クランク角度センサ等の各種
センサからの信号を入力として取り込み、所定の演算処
理を実行し、この演算結果として算定された各種制御信
号を出力し、燃料噴射弁5、点火コイル19、ISCバ
ルブ3に所定の制御信号を供給し、燃料噴射料制御、点
火制御、ISC制御を遂行するものである。
ブロックの一例を示したものである。ブロック401で
内燃機関の回転数と吸入空気量もしくは吸入負圧と冷却
水温度と電源電圧を検出するセンサ出力に基づいて、例
えば、負荷、回転数、冷却水温度、バッテリー電圧等の
内燃機関の運転状態を検出する。ブロック404では、
運転状態に基づいてキャニスタパージ量を求める。ブロ
ック402では、キャニスタパージによる外乱の影響を
取り込み空燃比フィードバック制御により所望の空燃比
制御に対する偏差を学習し、ブロック403にて記憶す
る。ブロック405では、ブロック401から404の
結果に基づいた補正量により燃料噴射量を求める。
量制御装置により空燃比オープン制御を行った場合の燃
料噴射量制御の詳細について説明する。図4は本発明に
基づいて空燃比外乱に対する燃料噴射制御を行った場合
のジェネラルフローチャートの一例である。本実施例に
おける制御は、所定時間毎に実行される。先ず、ブロッ
ク401では、空燃比制御がオープン制御を行っている
か否かを判断する。オープン制御中であれば、ブロック
402にて、パージによる外乱が空燃比に与える影響が
無視できるまでの時間を計測するため、オープン制御中
で且つ空燃比外乱が発生可能な時間TIMEをカウント
する。このように空燃比外乱が十分に安定可能な時間を
設定することにより、空燃比外乱の影響を十分に取り込
むことができ、外乱の影響を誤判定することを防止す
る。ブロック403では、TIMEが所定値TALPH
A#を超えているか否かを判定することにより、外乱が
空燃比に与える影響が無視できる状態となったかを判断
する。TALPHA#値はオープン制御中の経時変化す
る空燃比外乱がオープン制御空燃比制御精度に悪影響を
及ぼさないような値を選定し予め設定すればよい。TI
ME≧TALPHA#であれば、空燃比に対するパージ
の影響度を検定する必要があると判断し、ブロック40
4にて、オープン制御を中止せしめ、空燃比フィードバ
ック制御を行う。
御が収束しているかを判断する。これは、後にブロック
406で外乱の影響度を計算する際、制御中心が確保さ
れていることを判定するためのものである。各領域の学
習値が収束していなければ、制御中心を確保するため、
学習制御を行う。ブロック406では、空燃比外乱の影
響を示す値MALPHAT(α係数の平均値)の値の計
算を開始する。具体的には、MALPHATは、フィー
ドバック係数の制御中心からのずれ具合により外乱の影
響を検知するものである。MALPHATは計算に時間
を要するため、ブロック407でMALPHAT計算が
終了したかを判断する。ブロック408では、前記MA
LPHAT値に基づいて外乱の量に応じた燃料噴射量補
正値を求め、ブロック409にて前記燃料噴射量補正値
に基づいて再度空燃比オープン制御を許可する。
制御中の空燃比外乱要因の経時変化に対応するためにオ
ープン制御間の時間を用いたが、本発明は、前記実施例
に限定されるものではなく、種々の設計変更を行うこと
ができる。たとえば、時間カウントに代えて、オープン
制御中の内燃機関回転数の総和、オープン制御間の吸入
空気量、あるいは、オープン制御中の空燃比制御に対す
る外乱制御の総量(例えばキャニスタパージ制御の場合
には総パージ量)を用いることができ、同等の性能が得
られる。
チャートに基づいた空燃比制御を行ったときのタイムチ
ャートの一例である。前述したように、所望の空燃比に
対する偏差を表すALPHAが学習収束するALPHA
=1.0まで学習を行うとともに、その学習期間は、空
燃比制御外乱、例えばキャニスタパ−ジをカットする。
これにより、構成部品の個体ばらつき、環境条件による
制御中心の偏差を吸収し、制御中心を確保する。学習制
御が収束したのを判断した後、学習制御を禁止すると同
時に外乱となる制御を施し(パージ許可)、空燃比偏差
の平均値を表す値MALPHATを算出する。本実施例
では、ALPHAにリーン補正の比例制御分(P分)が
付加される直前の値αmax とリッチ補正のP分が付加さ
れる直前の値αmin の所定個所の平均値から、MALP
HATを求めている。
法のジェネラルフローチャートの一例を示す。MALP
HATは、外乱の影響を正確に求める必要性から、算出
時には空燃比フィードバック制御が適正かつ安定した状
態で行われていなければならない。すなわち、酸素セン
サが正常に機能するとともに、運転状態が過渡状態のと
きは算出フローから除外しなければならない。酸素セン
サが正常に機能しているか否かを判断する手段の一例と
して、フィードバック制御中の酸素センサの反転周期を
検出する方法がある。以下、その方法を用いてMALP
HATを算出するフローの詳細について説明する。
取り、ブロック602にて酸素センサの反転周期TO2
が所定値KTO2 #以下であるか否かを判断する。KT
O2#値は、空燃比フィードバック制御が適正且つ緻密
に行われている状態の酸素センサ反転周期と同等の値を
用いることが望ましい。酸素センサ反転周期TO2 が所
定値KTO2 #よりも大きい場合は、空燃比フィードバ
ック制御が適正でないと判断し、計算をキャンセルす
る。ブロック603では、図5で示したように、空燃比
偏差ALPHAが反転する毎のALPHAの最大値α
max 、最小値αminの平均値MALPを算出する。
ックが安定していないときは前記MALPの値が変動す
るので、ブロック604では、安定した状態で外乱の影
響を検出するために前回のMALP値との相対差ΔMA
LPを求める。そして、ブロック605でΔMALPが
所定値KMALP#より大きい時は、空燃比フィードバ
ックが安定していないと判断し、以下の計算を行わずフ
ローを終了する。他方、ブロック604でΔMALP値
が所定値KALP#以下であることを判断すと、ブロッ
ク606でスロットルセンサ(絞り弁開度センサ)出力
値TVOを読み込み、ブロック607で単位時間あたり
のTVO変化値ΔTVOが所定値KTVO#以下である
か判断する。ΔTVO値がKTVO値を超え、運転状態
が過渡状態のときは、同じく空燃比フィードバックが安
定していないと判断し、以下の計算を行わずフローを終
了する。ブロック607の判定には、前記TVO以外に
も、単位時間あたりの回転変動や内燃機関の負荷変動を
検出しても同等の性能が得られる。また、それら複数を
判定条件としても同等の性能が得られる。
値を基に、下記の式(1)によりMALPHAを求め
る。 MALPHA(new)=x×MALPHA(old)+(1−x)×MALP ……(1) ここで、偏差αは複雑に変化し、それに伴ってMALP
HAの値も変動するため、式(1)においては、前回の
MALPHA値に対し重み付け係数xを乗算し、前記M
ALPに(1−x)を乗算する。この計算を繰り返すこ
とによって、外乱の影響度を表すMALPHA値の平均
化をはかることができる。
に、MALPとMALPHAの値を所定回数記憶エリア
に記憶させる。ブロック610では、空燃比外乱の影響
度を表すMALPHA値の信頼性を高めるために、所定
時間TALPHA#間のMALPHAの平均値であるM
ALPHAを求める。最終的には、このMALPHA値
を用いて空燃比外乱の影響度として用いる。
MALPHATを燃料噴射量に補正するには、燃料噴射
量に乗じるCOEFを下記の式(2)とすることで所望
の空燃比が得られる。ただし、COEF(old) は、空燃
比外乱に対する補正を含まないその他の補正係数であ
る。 COEF(new)=COEF(old)×MALPHAT ……(2) 図6の説明では、外乱の影響を求めるために、ブロック
608とブロック610にて変数の平滑化を行っている
が、内燃機関の特性から、どちらかの処理を除外しても
よい。もしくは、空燃比フィードバック安定度の良好な
内燃機関の場合、ブロック608とブロック610の両
方の処理を除外してもよい。
運転領域に同一の場合の例について説明したが、以下
に、空燃比外乱の影響が運転領域毎により異なる例につ
いて説明する。外乱の影響度が運転領域により異なって
いる場合、それぞれの領域で、外乱の影響度を表す前記
MALPHA値を適用することは出来ない。図7に空燃
比制御外乱をキャニスタパージを例としたときの運転領
域毎の影響度を示したグラフを示す。パージ率PARJ
は、吸入空気量Qaに対するパージ量Qpの割合であ
り、下記の式(3)により定義される。
変量制御手段を用い、式(3)に従って該パージ量Qp
を吸入空気量Qaに比例させて制御可能なパージ率制御
領域である。領域Bは、パージバルブの全開等によりパ
ージ量Qpの可変制御手段が上限となり(Qaが最大値
に到達する)、吸入空気量Qaに比例したパージ率制御
が不可能な領域である。また、領域Cは、パージを行わ
ない領域である。
が同一であることから、同一のMALPHA値を用いる
ことができる。また、領域Cでは、パージを行わないこ
とから、MALPHA値を1.0とすればよい。同時に
その他のキャニスタパージカット条件時も領域Cと同一
の制御にすればよい。それに対し、領域Bにおいては、
可変制御手段によってパージ率Qpが最大量に到達する
と、吸入空気量Qaをそれ以上増加させることはできな
いので、パージ率PARJは物理的にパージ率制御が行
えない。しかも、パージバルブ全開時には、パージ量Q
pは内燃機関の吸入負圧に依存するので吸入負圧が大気
側に近づくに伴い、パージ率PARJは低下してしま
う。
量に到達していない運転領域Aでキャニスタパージの影
響度MALPHATを算出しても、前記パージ率制御不
可能運転領域Bではパージ率PARJが異なるため、領
域Aで得たMAPLHA値をそのまま領域Bで適用する
ことはできない。そこで、空燃比外乱の影響度が運転領
域毎に異なる場合、運転領域毎に補正する必要がある。
そのような補正を行う手段として、各運転条件下でのパ
ージ率PARJを求めるとともに、そのパージ率PAR
Jに対する前記ALPHA値の変動量を求めることによ
り、各運転条件下でのパージ率に応じた燃料噴射量補正
値を算出することができる。
フローチャートである。本図示例で示したフローは、図
6のブロック603以降のフローからの変更である。ブ
ロック801でキャニスタパージ中かを判断し、パージ
カット中であれば以下の計算を行わずフローを終了す
る。ブロック802では、任意の運転領域でのパージ率
PARJの値を求めるために必要なパージ量を可変制御
するパージバルブの開口面積PASを求める。PAS
は、パージバルブの駆動信号に対する開口面積のテーブ
ルTPASを検索することで求めることが出来る。パー
ジバルブの開弁特性が電源電圧値、雰囲気温度により影
響される場合は、電源電圧または冷却水温度を検出し、
前記PAS値を補正すればよい。ブロック803では、
前記PAS値に基づいて、パージ率PARJを下記の式
(4)により算出する。
ら、定数PAC#とバルブ開口面積PASと内燃機関の
負荷を表す値TPの平方根を乗じ、内燃機関の空気量Q
a値で割ることにより関数式化され、パージ率PARJ
を求めることができる。なお、本実施例では、式(4)
によりパージ率を求めることを説明したが、他の例とし
て、パージ率PARJは回転数と内燃機関の負荷に依存
するため、回転数軸と負荷軸により構成されるマップを
設定し、予め明確にしたパージ率に相当する定数を設定
することによりこれを検索してもよい。
により異なることから、ブロック804で、図6で説明
したαmin とαmax の平均値を前記PARJで除算す
る。これにより、単位パージ率に対する偏差ALPHA
の変化量が得られ、各運転条件でのパージ率に応じた燃
料噴射量補正値を算出することが出来る。その後、図6
のブロック604以降のフローへと継続していく。
れた外乱の補正係数MALPHATに対する燃料噴射量
補正方法の一例について説明する。燃料噴射量補正ルー
チンのブロック901で空燃比オープン制御か否かを判
断し、オープン制御でない場合には以下の処理を行わず
フローを終了する。ブロック902では、外乱補正係数
MALPHATとパージ率PARJを読み込む。次に、
ブロック903で燃料噴射量に乗じる数COEF(old)
にMALPHATとPRAJを乗じ、これをCOEF
(new) として、以下燃料噴射に用いる。
ン制御の目標空燃比が異なり、フィードバック制御から
オープン制御へ、もしくは、オープン制御からフィード
バック制御への切り替え時に運転性に悪影響を及ぼす場
合には、これを回避する必要がある。図10は、これに
対応する方法の一例を示すタイムチャートである。これ
は、前述したように、オープン制御をTALPHA#間
行った後の状態からを想定したものである。オープン制
御から急激にフィードバック制御に戻した場合、空燃比
段差相当のトルク段差が生じ運転性に悪影響を及ぼすこ
とから、燃料噴射量補正値を所定時間TIALP1#毎
に所定値MALPD1#ずつ徐々に空燃比をフィードバ
ック制御目標空燃比まで変化させる。フィードバック制
御に入ってから前記MALPHAを算出し、再度オープ
ン制御許可条件成立後、運転性を確保するため、燃料噴
射量補正値を所定時間TIALP2#毎に所定値MAL
PU1#ずつ徐々に空燃比をオープン制御目標空燃比ま
で変化させる。これにより、空燃比制御切り替え時に急
激なトルク段差が生じなくなり、円滑な運転性を実現す
ることができる。
いた空燃比制御切り替え時に運転性を確保するための方
法の一例を示すジェネラルフローチャートである。本実
施例のフローは、図4のブロック403とブロック40
4間に挿入されるものである。ブロック1101では、
燃料噴射量補正値となる空燃比制御外乱影響MALPH
ATを下記の式(5)を用いて算出する。 MALPHAT(new)=MALPHAT(old)×MALPD1# ……(5)
運転性による評価により決定すればよい。ブロック11
02では、式(5)によりMALPHAT値=1.0と
なる外乱の影響補正クリアかを判断する。ブロック11
03では、MALPHAT値がクリアとなった時点で、
空燃比偏差補正係数ALPHA(α)をALPRET#
となるまで戻す。これは、空燃比外乱の経時変化等によ
り空燃比に対する影響度が影響度MALPHATを求め
たオープン制御移行直前(フィードバック制御)と異っ
ていることがあるため、空燃比外乱の経時変化がリッチ
サイドでもリーンサイドに変化していてもフィードバッ
ク制御移行時の大きな空燃比段差は生じないように設定
する。ALPRET#値は、実験により最適値を選定す
ればよい。ブロック1104にて空燃比制御をフィード
バック制御に戻す。次に、ブロック1105で再度MA
LPHATを算出するとともに、ブロック1106でM
ALPHAT値の計算終了を判断する。ブロック110
7では、空燃比オープン制御移行条件が成立した時点
で、燃料噴射量補正値となる空燃比制御外乱影響MAL
PUを下記の式(5)を用いて算出する。 MALPU(new)=MALPU(old)×MALPU1# ……(6)
実験による運転性による評価により決定すればよい。ブ
ロック1107にて、前記MALPU値がブロック11
06で求めたMALPHAT値となるまで式(5)の計
算を行い、MALPU=MALPHATとなった時点で
計算を終了する。これにより、内燃機関は、空燃比制御
切り替えにより運転性は損なわれず、しかも、オープン
制御時の実空燃比が所望の値に制御できる。ブロック1
109では、以上で求めた燃料噴射量補正値に基づいて
空燃比オープン制御許可を行う。
ードバック制御切り替え時に燃料噴射量補正値を徐々に
変化させることを説明したが、本発明は、空燃比の変化
に限定されず、それ以外にも、例えば、点火時期を変化
させてもよい。また、補助空気制御バルブによる空気量
制御を行っても同等の性能が得られる。例えば、空燃比
制御切り替え時に、点火時期を一旦遅角させ、徐々に最
適点火時期(MBT)に戻すとよい。補助空気量制御の
場合、空燃比制御切り替えにより出力トルクが増加する
ならば、補助空気量をトルク変化量に相当する空気量を
低下させればよく、出力トルクが低下する方向ならば、
補助空気量をトルク変化量に相当する空気量を増加させ
ればよい。
関の燃料噴射量制御装置を従来技術との比較で評価した
特性図であり、空燃比オープン制御後空燃比外乱要因を
徐々にリーン化させたときの結果である。図12におい
て、従来のシステムでは、一定時間経過後空燃比許容上
限値(例えば出力空燃比A/F=25.0)を上回り、
オーバリーンとなり失火等により運転性悪化に至ってし
まう。一方、本発明を導入したシステムにあっては、従
来システムと同様に時間経過に伴い空燃比はリーン化す
るが、パージ等の外乱の影響が許容上限値に至る以前に
フィードバック制御が行われ、そのフィードバック制御
により外乱の影響を認識した後、再度オープン制御が行
われるようになっており、しかも、再度オープン制御に
移行したときの空燃比の値は所定値となっているので、
内燃機関の運転性の保持の観点のみならず排気ガス成分
量の低減に関する規制の観点からみても、共に許容範囲
内とすることが可能となる。
外乱の経時変化に迅速かつ的確に対応した空燃比制御が
行えるとともに、空燃比学習を用いないで空燃比外乱の
影響燃料噴射量補正係数を算出するようにしたので、長
期の所要時間を要する従来の方法に対し、短期間で且つ
精度よく外乱の影響を認識することができる。
明によれば、新たに部品を追加することなく、空燃比オ
ープン制御中での空燃比制御外乱に対する補正を行うよ
うになされ、しかも、空燃比制御精度向上を図ることが
でき、また、良好な運転性を保持することができるとと
もに、排出ガス成分の悪化を可及的に防止することがで
きる。
全体の構成図。
回路ブロック。
量制御装置の概念を表す燃料噴射量設定ブロックの一
例。
ャート。
ローチャート。
値算出のジェネラルフローチャート。
のジェネラルフローチャート。
チャート。
フローチャート。
例。
タイムチャートの一例。
機関制御装置(コントロールユニット)、15…酸素セ
ンサ
Claims (9)
- 【請求項1】 内燃機関の回転数及び吸入空気量、ある
いは吸入管内圧力に基づいて内燃機関の運転状態を検出
する運転状態検出手段と、 該運転状態検出手段により検出された運転状態に基づい
てキャニスタパージ量を計算するパージ制御量計算手段
と、 キャニスタパージによる外乱の影響を取り込み空燃比フ
ィードバック制御により所望の空燃比制御に対する偏差
を学習する空燃比学習計算手段と、 前記空燃比学習計算手段により学習された偏差を記憶す
る記憶手段と、 前記空燃比フィードバック制御による空燃比偏差と前記
学習された偏差の結果に基づいた補正量により燃料噴射
量を求める燃料噴射量計算手段と、 とを備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御
装置。 - 【請求項2】 酸素センサを用いて空燃比を検出する手
段と、 内燃機関の吸入空気量もしくは吸気管内圧力を検出する
手段と、 前記酸素センサの出力により目標空燃比からの偏差を検
出する手段と、 内燃機関の回転数及び前記吸入空気量、あるいは吸気管
内圧力に基づいて内燃機関の運転状態を検出する手段
と、 該運転状態検出手段により検出された運転状態に基づい
て燃料噴射量を決定する手段と、 前記運転状態からキャニスタパージ量を決定する手段
と、 前記空燃比の目標値からの偏差を学習する手段と、 該学習された偏差量学習値を運転状態に応じて所定の割
合で分割するとともに、各々別々の要素として学習する
手段と、 キャニスタパージによる空燃比制御を運転領域毎に算出
する手段と、 前記酸素センサ出力値による空燃比偏差量と前記偏差量
学習値に基づいて空燃比オープン制御により燃料噴射量
を補正する手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装
置。 - 【請求項3】 前記空燃比偏差量は、前記酸素センサの
反転周期を算出するとともに、該酸素センサが反転する
毎に記憶エリアに所定数記憶する手段と、 前記酸素センサ出力値により得られる目標空燃比からの
偏差を偏差補正値が反転する毎に平均値を算出するとと
もに、記憶エリアに記憶する手段と、 前記目標空燃比からの偏差の平均値の変動値を算出する
とともに、前記記憶エリアに所定数記憶する手段と、 を用いて算出するようにしたことを特徴とする請求項2
記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 【請求項4】 前記空燃比オープン制御により燃料噴射
量を補正する手段は、請求項3から得られる偏差の平均
値を基にした燃料噴射量補正値により補正を行うことを
特徴とする請求項2記載の内燃機関の燃料噴射量制御装
置。 - 【請求項5】 空燃比オープン制御から空燃比フィード
バック制御への切り替え時に、前記空燃比オープン制御
期間中における、時間、総吸入空気量、内燃機関回転数
の総和、または空燃比制御外乱の総制御量のうち、少な
くとも一つのパラメータに基づいて空燃比フィードバッ
ク制御に移行せしめる手段を備えたことを特徴とする請
求項2記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 【請求項6】 前記空燃比制御外乱の総制御量は、キャ
ニスタパージの総パージ量であることを特徴とする請求
項5記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 【請求項7】 請求項4の燃料噴射量補正値を段階的に
変化させる手段により空燃比フィードバック制御とオー
プン制御の切り替えを行うようにしたことを特徴とする
請求項2記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 【請求項8】 点火時期を所定値遅角させた後、所望の
点火時期に段階的に変化させる手段により空燃比フィー
ドバック制御とオープン制御の切り替えを行うようにし
たことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の燃料噴射
量制御装置。 - 【請求項9】 補助空気制御弁開度を段階的に変化させ
る手段により空燃比フィードバック制御とオープン制御
の切り替えを行うようにしたことを特徴とする請求項2
記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。
Priority Applications (2)
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1997
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