JPH07233183A - 新規鉄4核錯体及びその製造方法 - Google Patents
新規鉄4核錯体及びその製造方法Info
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- JPH07233183A JPH07233183A JP6027037A JP2703794A JPH07233183A JP H07233183 A JPH07233183 A JP H07233183A JP 6027037 A JP6027037 A JP 6027037A JP 2703794 A JP2703794 A JP 2703794A JP H07233183 A JPH07233183 A JP H07233183A
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- Y02E60/36—Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】 下記一般式(1)
Mp Rq [Fe4 (O)2 (A)r (dpta)2 ]・kX…(1)
式中、M及びRは1価または2価のカチオンであり、A
は中性または窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のアニオ
ン性の配位子であり、dptaは1,3−ジアミノ−2
−ヒドロキシプロパン−四酢酸の残基であり、Xは結晶
溶媒であり、p,q及びrは、式 mp+nq−ra=
2を満足する数であって、ここで、mはカチオンMの価
数であり、nはカチオンRの価数であり、aはアニオン
性配位子の価数(絶対値)であり、p及びrはそれぞれ
1以上で6以下の数、qは4以下の数であり、qはAが
中性配位子の場合ゼロであるものとし、kは30以下の
数である、で表される新規鉄4核錯体。 【効果】 この錯体は、水の電気分解における水素の発
生向上剤、イオン交換体及び窒素酸化物或いは硫黄酸化
物等を捕集する可逆的吸着剤として有用である。
は中性または窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のアニオ
ン性の配位子であり、dptaは1,3−ジアミノ−2
−ヒドロキシプロパン−四酢酸の残基であり、Xは結晶
溶媒であり、p,q及びrは、式 mp+nq−ra=
2を満足する数であって、ここで、mはカチオンMの価
数であり、nはカチオンRの価数であり、aはアニオン
性配位子の価数(絶対値)であり、p及びrはそれぞれ
1以上で6以下の数、qは4以下の数であり、qはAが
中性配位子の場合ゼロであるものとし、kは30以下の
数である、で表される新規鉄4核錯体。 【効果】 この錯体は、水の電気分解における水素の発
生向上剤、イオン交換体及び窒素酸化物或いは硫黄酸化
物等を捕集する可逆的吸着剤として有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規鉄4核錯体及びそ
の製造法に関するものである。
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄の錯体としては種々のものが知
られているが、鉄4核錯体としては、僅かに下記式
(4) Na6 [Fe4 (O)2 (CO3 )2 (dpta)2 ]・〜20H2 O…(4) で表されるものが知られている程度である(D.L.J
ameson 他,J.Am.Chem.Soc.,1
09,740−746(1987))。また鉄4核錯体
については、その化学構造も未だ不明である点が多い。
られているが、鉄4核錯体としては、僅かに下記式
(4) Na6 [Fe4 (O)2 (CO3 )2 (dpta)2 ]・〜20H2 O…(4) で表されるものが知られている程度である(D.L.J
ameson 他,J.Am.Chem.Soc.,1
09,740−746(1987))。また鉄4核錯体
については、その化学構造も未だ不明である点が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、3価の
鉄の水溶性塩類と、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシ
プロパン−四酢酸とを水性媒体中で混合し、これに1価
または2価の金属カチオンと窒素、硫黄、炭素或いはリ
ンのオキシ酸のアニオン性の配位子を含む水溶性塩類を
酸性乃至弱アルカリ性の条件下で反応させる時には、特
異な配位子を含有する新規な鉄4核錯体が得られること
を見いだした。
鉄の水溶性塩類と、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシ
プロパン−四酢酸とを水性媒体中で混合し、これに1価
または2価の金属カチオンと窒素、硫黄、炭素或いはリ
ンのオキシ酸のアニオン性の配位子を含む水溶性塩類を
酸性乃至弱アルカリ性の条件下で反応させる時には、特
異な配位子を含有する新規な鉄4核錯体が得られること
を見いだした。
【0004】本発明者らは、更に上記鉄4核錯体を加水
分解するときには、ノニオン性配位子を含有する鉄4核
錯体が得られることを見いだした。
分解するときには、ノニオン性配位子を含有する鉄4核
錯体が得られることを見いだした。
【0005】即ち、本発明の目的は、新規な錯体構造を
有し、水の電気分解における水素の発生向上剤、イオン
交換体及びその他の材料として有用な鉄4核錯体及びそ
の製造方法を提供するにある。
有し、水の電気分解における水素の発生向上剤、イオン
交換体及びその他の材料として有用な鉄4核錯体及びそ
の製造方法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記一
般式(1) Mp Rq [Fe4 (O)2 (A)r (dpta)2 ]・kX…(1) 式中、M及びRは1価または2価のカチオンであり、A
は中性または窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のアニオ
ン性の配位子であり、dptaは1,3−ジアミノ−2
−ヒドロキシプロパン−四酢酸の残基であり、Xは結晶
溶媒であり、p,q及びrは、式 mp+nq−ra=
2を満足する数であって、ここで、mはカチオンMの価
数であり、nはカチオンRの価数であり、aはアニオン
性配位子の価数(絶対値)であり、p及びrはそれぞれ
1以上で6以下の数、qは4以下の数であり、qはAが
中性配位子の場合ゼロであるものとし、kは30以下の
数である、で表される新規鉄4核錯体が提供される。
般式(1) Mp Rq [Fe4 (O)2 (A)r (dpta)2 ]・kX…(1) 式中、M及びRは1価または2価のカチオンであり、A
は中性または窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のアニオ
ン性の配位子であり、dptaは1,3−ジアミノ−2
−ヒドロキシプロパン−四酢酸の残基であり、Xは結晶
溶媒であり、p,q及びrは、式 mp+nq−ra=
2を満足する数であって、ここで、mはカチオンMの価
数であり、nはカチオンRの価数であり、aはアニオン
性配位子の価数(絶対値)であり、p及びrはそれぞれ
1以上で6以下の数、qは4以下の数であり、qはAが
中性配位子の場合ゼロであるものとし、kは30以下の
数である、で表される新規鉄4核錯体が提供される。
【0007】本発明によればまた、3価の鉄の水溶性塩
類と、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四
酢酸とを水性媒体中で混合し、これに1価または2価の
金属カチオンと窒素、硫黄、炭素或いはリンのオキシ酸
のアニオン性の配位子を含む水溶性塩類を酸性乃至弱ア
ルカリ性の条件下で反応させ、必要により濃縮後、水混
和性極性有機溶媒を添加して、結晶を析出させることを
特徴とする鉄4核錯体の製造方法が提供される。
類と、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四
酢酸とを水性媒体中で混合し、これに1価または2価の
金属カチオンと窒素、硫黄、炭素或いはリンのオキシ酸
のアニオン性の配位子を含む水溶性塩類を酸性乃至弱ア
ルカリ性の条件下で反応させ、必要により濃縮後、水混
和性極性有機溶媒を添加して、結晶を析出させることを
特徴とする鉄4核錯体の製造方法が提供される。
【0008】上記の方法で得られた鉄4核錯体を、ノニ
オン性配位子の存在下にアルカリ、水或いは酸で加水分
解することにより、ノニオン性配位子を含む鉄4核錯体
を製造することができる。
オン性配位子の存在下にアルカリ、水或いは酸で加水分
解することにより、ノニオン性配位子を含む鉄4核錯体
を製造することができる。
【0009】本発明によれば更に、3価の鉄の水溶性塩
類と、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四
酢酸とを水性媒体中で混合し、これをアルカリと反応さ
せ、必要により濃縮後、水混和性極性有機溶媒を添加し
て、結晶を析出させることを特徴とする水を配位子とし
て含む鉄4核錯体の製造方法が提供される。
類と、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四
酢酸とを水性媒体中で混合し、これをアルカリと反応さ
せ、必要により濃縮後、水混和性極性有機溶媒を添加し
て、結晶を析出させることを特徴とする水を配位子とし
て含む鉄4核錯体の製造方法が提供される。
【0010】
【作用】本発明による典型的な鉄4核錯体、即ち、下記
式(2) Na2 (H5 O2 )2 [Fe4 (O)2 (NO2 )2 (dpta)2 ]・kX…(2) で表される化合物のオルテップ(ORTEP)図を図1
に示す。また、鉄4骨格のORTEP図を図2に、また
鉄イオン周りの歪んだ6配位八面体構造のORTEP図
を図3に示す。
式(2) Na2 (H5 O2 )2 [Fe4 (O)2 (NO2 )2 (dpta)2 ]・kX…(2) で表される化合物のオルテップ(ORTEP)図を図1
に示す。また、鉄4骨格のORTEP図を図2に、また
鉄イオン周りの歪んだ6配位八面体構造のORTEP図
を図3に示す。
【0011】この図から明らかなとおり、この化合物
は、4個の鉄イオンが、オキソ、アルコキソ、及びオキ
シ酸のアニオン基(図1の場合ニトロ基)で混合架橋さ
れた鉄(III) 4核錯体であることが明らかである。
は、4個の鉄イオンが、オキソ、アルコキソ、及びオキ
シ酸のアニオン基(図1の場合ニトロ基)で混合架橋さ
れた鉄(III) 4核錯体であることが明らかである。
【0012】鉄(III) イオン周りは、歪んだ6配位八面
体構造で、dptaの解離したヒドロキソ基が2個の鉄
を架橋し、更にこの2核ユニットをオキソ基とM−O−
N−O−M’(M=M’=Fe)の珍しい架橋構造のニ
トロ基が配位して4核構造を保持している。
体構造で、dptaの解離したヒドロキソ基が2個の鉄
を架橋し、更にこの2核ユニットをオキソ基とM−O−
N−O−M’(M=M’=Fe)の珍しい架橋構造のニ
トロ基が配位して4核構造を保持している。
【0013】図4の反応スキームに示すとおり、1,3
−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸は、3価
の鉄イオンと反応して、オクタデンテートリガンドを形
成し、これに亜硝酸塩が反応して、本発明の鉄4核錯体
となる。
−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸は、3価
の鉄イオンと反応して、オクタデンテートリガンドを形
成し、これに亜硝酸塩が反応して、本発明の鉄4核錯体
となる。
【0014】ニトロ基の金属M(M=Fe)への配位を
考えると、図5に示すとおり、I、II、III 、IV、V及
びIVの6個の場合があり得るのであるが、本発明の鉄4
核錯体では、これらの内VIの配位をとるのであって、こ
れは真に意外のことであった。
考えると、図5に示すとおり、I、II、III 、IV、V及
びIVの6個の場合があり得るのであるが、本発明の鉄4
核錯体では、これらの内VIの配位をとるのであって、こ
れは真に意外のことであった。
【0015】前記一般式(1)において、カチオンMは
アルカリ金属カチオンであるのが一般的であるが、反応
物(または配位子)であるオクタデンテートリガンドに
作用させる塩類として、他の1価または2価のカチオン
の塩類を用いればこのカチオン類をカチオンMとして組
み込みうることは当業者に自明であろう。また、組み込
むアニオン性配位子Aも亜硝酸根に限定されず、オクタ
デンテートリガンドがアニオンによる架橋構造を生じや
すいことから、これに作用させる塩類として、他の窒素
のオキシ酸の塩や、炭素のオキシ酸、硫黄のオキシ酸の
塩或いはリンのオキシ酸の塩を用いればこのアニオン類
をアニオンAとして組み込みうることも当業者には自明
であろう。
アルカリ金属カチオンであるのが一般的であるが、反応
物(または配位子)であるオクタデンテートリガンドに
作用させる塩類として、他の1価または2価のカチオン
の塩類を用いればこのカチオン類をカチオンMとして組
み込みうることは当業者に自明であろう。また、組み込
むアニオン性配位子Aも亜硝酸根に限定されず、オクタ
デンテートリガンドがアニオンによる架橋構造を生じや
すいことから、これに作用させる塩類として、他の窒素
のオキシ酸の塩や、炭素のオキシ酸、硫黄のオキシ酸の
塩或いはリンのオキシ酸の塩を用いればこのアニオン類
をアニオンAとして組み込みうることも当業者には自明
であろう。
【0016】酸性条件で析出させたとき、生じる結晶の
カチオンRは、式(2)に示すとおり、オキソニウムイ
オンであるのが一般的である。しかしながら、このオキ
ソニウムイオンは当然イオン交換性であり、結晶析出に
際して、他のカチオンを存在させれば、このカチオンを
一般式(1)のカチオンRとして組み込むことができ
る。
カチオンRは、式(2)に示すとおり、オキソニウムイ
オンであるのが一般的である。しかしながら、このオキ
ソニウムイオンは当然イオン交換性であり、結晶析出に
際して、他のカチオンを存在させれば、このカチオンを
一般式(1)のカチオンRとして組み込むことができ
る。
【0017】本発明の他の態様では、一般式(1)にお
いて、配位子Aとしてノニオン性の配位子Aを組み込む
ことができる。即ち、式(2)の鉄4核錯体を水に溶解
して加水分解させると、式(3) Na2 [Fe4 (O)2 (H2 O)4 (dpta)2 ]・kX…(3) で表される鉄4核錯体が生成する。この加水分解に際し
て、アルコール類等のノニオン性配位子を存在させるこ
とにより、ノニオン性配位子を組み込むことができる。
いて、配位子Aとしてノニオン性の配位子Aを組み込む
ことができる。即ち、式(2)の鉄4核錯体を水に溶解
して加水分解させると、式(3) Na2 [Fe4 (O)2 (H2 O)4 (dpta)2 ]・kX…(3) で表される鉄4核錯体が生成する。この加水分解に際し
て、アルコール類等のノニオン性配位子を存在させるこ
とにより、ノニオン性配位子を組み込むことができる。
【0018】本発明の鉄4核錯体は水溶性であり、種々
の有用性を有する。例えば、この鉄4核錯体は水の加水
分解において、水素の還元電位を低下させる一種の減極
剤として有用である。
の有用性を有する。例えば、この鉄4核錯体は水の加水
分解において、水素の還元電位を低下させる一種の減極
剤として有用である。
【0019】図6及び図7は、0.1モルの硫酸ナトリ
ウム水溶液(pH 5.90)及びこの水溶液に本発明
の鉄4核錯体(式(3)のもの)を添加した溶液(pH
7.72)について電気分解を行い、陰極への印加電
圧(V VS S.C.E.、横軸)と電流(A、縦軸)との関
係をプロットしたものである。図8及び図9は、溶液の
pHの影響を見るために、0.1モルの硫酸ナトリウム
水溶液に0.1モル苛性ソーダを配合してpHを9.0
1とした溶液、及び硫酸ナトリウムに本発明の鉄4核錯
体を添加してpH 8.08とした溶液について、同様
の電気分解を行ったサイクリックボルタメトリーの結果
を示したものであり、陰極への印加電圧(V、VS S.C.
E.、横軸)と電流(A、縦軸)との関係をプロットした
ものである。
ウム水溶液(pH 5.90)及びこの水溶液に本発明
の鉄4核錯体(式(3)のもの)を添加した溶液(pH
7.72)について電気分解を行い、陰極への印加電
圧(V VS S.C.E.、横軸)と電流(A、縦軸)との関
係をプロットしたものである。図8及び図9は、溶液の
pHの影響を見るために、0.1モルの硫酸ナトリウム
水溶液に0.1モル苛性ソーダを配合してpHを9.0
1とした溶液、及び硫酸ナトリウムに本発明の鉄4核錯
体を添加してpH 8.08とした溶液について、同様
の電気分解を行ったサイクリックボルタメトリーの結果
を示したものであり、陰極への印加電圧(V、VS S.C.
E.、横軸)と電流(A、縦軸)との関係をプロットした
ものである。
【0020】一般に、電気分解の場合、電圧が分解電圧
に達するまでは流れる電流は殆どゼロであり、電圧が分
解電圧を越えてから電流が上昇し、電気分解が行われる
ようになるものであり、硫酸ナトリウム溶液について白
金電極をもちいた場合の分解電圧はおおよそ1.2V程
度であるが、図7及び図9の結果によると、本発明の鉄
4核錯体を添加した場合、印加電圧がゼロを少し超えた
あたりから、電流が著しく増加しており、水の電解電圧
を低下させて水素の発生を容易にできるという予想外の
効果が明らかである。
に達するまでは流れる電流は殆どゼロであり、電圧が分
解電圧を越えてから電流が上昇し、電気分解が行われる
ようになるものであり、硫酸ナトリウム溶液について白
金電極をもちいた場合の分解電圧はおおよそ1.2V程
度であるが、図7及び図9の結果によると、本発明の鉄
4核錯体を添加した場合、印加電圧がゼロを少し超えた
あたりから、電流が著しく増加しており、水の電解電圧
を低下させて水素の発生を容易にできるという予想外の
効果が明らかである。
【0021】本発明の鉄4核錯体はまた、鉄を含有する
水溶性の化合物であるから、鉄剤や種々の磁性材料の中
間体として有用であり、またカチオン類に対するイオン
交換体として有用である。
水溶性の化合物であるから、鉄剤や種々の磁性材料の中
間体として有用であり、またカチオン類に対するイオン
交換体として有用である。
【0022】本発明の鉄4核錯体を合成する反応では、
窒素の酸化物(NOx)及び硫黄の酸化物(SOx)の
分子内への固定と、アルカリによる分解(溶液としての
放出)及び再生とが同時に行われるので、この鉄4核錯
体は、窒素の酸化物(NOx)及び硫黄の酸化物(SO
x)の同時吸着剤としても有用である。
窒素の酸化物(NOx)及び硫黄の酸化物(SOx)の
分子内への固定と、アルカリによる分解(溶液としての
放出)及び再生とが同時に行われるので、この鉄4核錯
体は、窒素の酸化物(NOx)及び硫黄の酸化物(SO
x)の同時吸着剤としても有用である。
【0023】
【発明の好適態様】本発明では、キレート化剤として、
種々のアミノ酸類の中でも、1,3−ジアミノ−2−ヒ
ドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸を使用
する。このものは、下記式(4) で表される構造を有しており、本発明の配位構造を形成
するものである。
種々のアミノ酸類の中でも、1,3−ジアミノ−2−ヒ
ドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸を使用
する。このものは、下記式(4) で表される構造を有しており、本発明の配位構造を形成
するものである。
【0024】3価の鉄塩としては、水溶性の鉄塩(III)
であれば任意のものが使用される。一般には、硝酸第二
鉄、塩化第二鉄、臭化第二鉄、アンモニウム鉄みょうば
ん等が使用されるが、硝酸第二鉄が好適なものである。
であれば任意のものが使用される。一般には、硝酸第二
鉄、塩化第二鉄、臭化第二鉄、アンモニウム鉄みょうば
ん等が使用されるが、硝酸第二鉄が好適なものである。
【0025】鉄塩(III) と1,3−ジアミノ−2−ヒド
ロキシプロパン−四酢酸との反応は、前記式(1)の化
学量論的量比、即ち2:1のモル比で進行する。勿論、
1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸基
準の量比を高める目的で鉄塩(III) を過剰に使用するこ
とは許容できる。この反応は、水性媒体中で、一般に常
温乃至100℃、特に40乃至80℃の温度で行うこと
ができる。反応時間は、温度によっても相違するが、一
般に30分乃至10時間程度が適当である。
ロキシプロパン−四酢酸との反応は、前記式(1)の化
学量論的量比、即ち2:1のモル比で進行する。勿論、
1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸基
準の量比を高める目的で鉄塩(III) を過剰に使用するこ
とは許容できる。この反応は、水性媒体中で、一般に常
温乃至100℃、特に40乃至80℃の温度で行うこと
ができる。反応時間は、温度によっても相違するが、一
般に30分乃至10時間程度が適当である。
【0026】次いでこの反応混合物に、1価または2価
の金属カチオンと窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のア
ニオン性の配位子を含む水溶性塩類を酸性条件下で反応
させる。
の金属カチオンと窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のア
ニオン性の配位子を含む水溶性塩類を酸性条件下で反応
させる。
【0027】1価のカチオンとしては、ナトリウム、カ
リウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグ
ネシウム、バリウム、ストロンチウム等のアルカリ土類
金属、銅、亜鉛等が挙げられる。窒素のオキシ酸として
は、硝酸、亜硝酸等が、硫黄のオキシ酸としては、硫
酸、亜硫酸、次亜硫酸、二硫酸(ピロ硫酸)等が、炭素
のオキシ酸としては炭酸、シュウ酸が、またリンのオキ
シ酸としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリ
ン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられる。
リウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグ
ネシウム、バリウム、ストロンチウム等のアルカリ土類
金属、銅、亜鉛等が挙げられる。窒素のオキシ酸として
は、硝酸、亜硝酸等が、硫黄のオキシ酸としては、硫
酸、亜硫酸、次亜硫酸、二硫酸(ピロ硫酸)等が、炭素
のオキシ酸としては炭酸、シュウ酸が、またリンのオキ
シ酸としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリ
ン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられる。
【0028】後段の反応に使用する塩中の酸根は、用い
た鉄塩(III)中に酸根として含まれる酸(A)に比し
て、電離度の小さい酸、即ち酸強度の小さい酸(B)の
酸根であることが好ましく、例えば、用いた鉄塩(III)
が硝酸塩である場合には、亜硝酸塩や亜硫酸塩、亜リン
酸塩等を用いるのがよい。カチオンはアルカリ金属であ
ることが好ましい。
た鉄塩(III)中に酸根として含まれる酸(A)に比し
て、電離度の小さい酸、即ち酸強度の小さい酸(B)の
酸根であることが好ましく、例えば、用いた鉄塩(III)
が硝酸塩である場合には、亜硝酸塩や亜硫酸塩、亜リン
酸塩等を用いるのがよい。カチオンはアルカリ金属であ
ることが好ましい。
【0029】後段の反応は、全段の反応と同じ温度条件
下に、化学量論的量以上の上記塩を添加して行うことが
できる。反応は、酸性条件下に行うのがよく、一般に反
応系のpHは組み込むアニオン配位子の種類によっても
相違するが、例えば亜硝酸アニオンの場合3乃至5の範
囲、炭酸アニオンの場合8乃至10の範囲内にあるのが
望ましい。
下に、化学量論的量以上の上記塩を添加して行うことが
できる。反応は、酸性条件下に行うのがよく、一般に反
応系のpHは組み込むアニオン配位子の種類によっても
相違するが、例えば亜硝酸アニオンの場合3乃至5の範
囲、炭酸アニオンの場合8乃至10の範囲内にあるのが
望ましい。
【0030】反応後の溶液を、必要により濃縮し、これ
に水混和性極性溶媒を添加して、鉄4核錯体を析出させ
る。水混和性極性溶媒としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の
非プロトン性極性溶媒が適しているが、鉄4核錯体を選
択的に析出しうるものであれば、他の水混和性極性溶媒
も使用しうる。
に水混和性極性溶媒を添加して、鉄4核錯体を析出させ
る。水混和性極性溶媒としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の
非プロトン性極性溶媒が適しているが、鉄4核錯体を選
択的に析出しうるものであれば、他の水混和性極性溶媒
も使用しうる。
【0031】本発明による鉄4核錯体は、再結晶法等の
それ自体公知の精製法で生成することができ、また、後
述する例に示すとおり、水−DMF混合溶液を使用する
ことにより、単結晶の形で得ることもできる。
それ自体公知の精製法で生成することができ、また、後
述する例に示すとおり、水−DMF混合溶液を使用する
ことにより、単結晶の形で得ることもできる。
【0032】上記の方法で得られた鉄4核錯体を、ノニ
オン性配位子の存在下に加水分解することにより、ノニ
オン性配位子を含む鉄4核錯体を製造することができ、
この加水分解反応を、水中で行えば、一般式(3)の鉄
4核錯体が合成される。
オン性配位子の存在下に加水分解することにより、ノニ
オン性配位子を含む鉄4核錯体を製造することができ、
この加水分解反応を、水中で行えば、一般式(3)の鉄
4核錯体が合成される。
【0033】加水分解反応は、水に溶解するのみでも進
行し、必要によりアルカリや酸を用いて行うことができ
る。アルカリとしては、炭酸ナトリウムが好適に使用さ
れるが、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等を用いることもできる。また、酸としては、塩
酸、硝酸、硫酸等を使用できる。生成溶液の濃縮や非溶
媒添加による鉄4核錯体の析出は、前の方法と同様であ
る。
行し、必要によりアルカリや酸を用いて行うことができ
る。アルカリとしては、炭酸ナトリウムが好適に使用さ
れるが、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等を用いることもできる。また、酸としては、塩
酸、硝酸、硫酸等を使用できる。生成溶液の濃縮や非溶
媒添加による鉄4核錯体の析出は、前の方法と同様であ
る。
【0034】本発明による鉄4核錯体は、前記一般式
(1)で示される分子構造を有する。その化学構造の詳
細は、既に指摘したとおりであり、また詳細な結晶構造
は、後述する実施例に示すとおりである。
(1)で示される分子構造を有する。その化学構造の詳
細は、既に指摘したとおりであり、また詳細な結晶構造
は、後述する実施例に示すとおりである。
【0035】図10は、本発明の式(2)のニトロ基配
位鉄4核錯体(A)、dpta配位子(B)及び亜硝酸
ナトリウム(C)の赤外吸収スペクトルであるが、この
鉄4核錯体は、原料のIRスペクトルとは全く異なった
スペクトルを示すことが明らかである。
位鉄4核錯体(A)、dpta配位子(B)及び亜硝酸
ナトリウム(C)の赤外吸収スペクトルであるが、この
鉄4核錯体は、原料のIRスペクトルとは全く異なった
スペクトルを示すことが明らかである。
【0036】式(3)の水配位鉄4核錯体に亜硝酸ナト
リウムを作用させると、式(2)の鉄4核錯体が復元す
る。図11は、本発明の式(2)のニトロ基配位鉄4核
錯体(A)、水配位鉄4核錯体(B)及び水配位鉄4核
錯体に亜硝酸ナトリウムを再び作用させたもの(C)の
赤外吸収スペクトルであるが、水配位型の鉄4核錯体は
大部分、ニトロ基配位型に戻っていることが明らかであ
る。
リウムを作用させると、式(2)の鉄4核錯体が復元す
る。図11は、本発明の式(2)のニトロ基配位鉄4核
錯体(A)、水配位鉄4核錯体(B)及び水配位鉄4核
錯体に亜硝酸ナトリウムを再び作用させたもの(C)の
赤外吸収スペクトルであるが、水配位型の鉄4核錯体は
大部分、ニトロ基配位型に戻っていることが明らかであ
る。
【0037】本発明の鉄4核錯体は、緑色の結晶であ
る。図12は、式(2)の鉄4核錯体の可視部吸収スペ
クトルである。
る。図12は、式(2)の鉄4核錯体の可視部吸収スペ
クトルである。
【0038】
【実施例】本発明の実施例を次に示す。
【0039】実施例1 [合成法]硝酸鉄(III) の水溶液に、H2 dpta
(1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢
酸)を加え、60℃で2時間攪拌した。黄褐色の反応液
を同じ温度に保ちながら、亜硝酸ナトリウムを徐々に添
加した。反応液は、1M硝酸によってpH4.0以下に
調整した。減圧濃縮後、DMF(ジメチルホルムアミ
ド)を加えて緑色の化合物を鉄に対して約70%の収率
で得た。 I.R.:1395,945,930,750,685
cm-1.図10A。 元素分析:Found(%);C,21.65.H,4.0
2.N,7.07. Calcd(%);C,22.17.H,3.88.N,
7.05,forNa2(H5 O2 )2[Fe4(NO2 )2
(O)2(dpta)2]・5H2O.
(1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢
酸)を加え、60℃で2時間攪拌した。黄褐色の反応液
を同じ温度に保ちながら、亜硝酸ナトリウムを徐々に添
加した。反応液は、1M硝酸によってpH4.0以下に
調整した。減圧濃縮後、DMF(ジメチルホルムアミ
ド)を加えて緑色の化合物を鉄に対して約70%の収率
で得た。 I.R.:1395,945,930,750,685
cm-1.図10A。 元素分析:Found(%);C,21.65.H,4.0
2.N,7.07. Calcd(%);C,22.17.H,3.88.N,
7.05,forNa2(H5 O2 )2[Fe4(NO2 )2
(O)2(dpta)2]・5H2O.
【0040】[結晶解析]測定・解析には、緑色の微小
で偏平な単結晶を水−DMF混合溶液から合成した。単
斜晶系、空間群P21 /mの結晶で、格子定数はa=1
0.885(2),b=20.354(6),c=11.736(1),オングストロ
ーム,β=100.93(1)゜であった。また、dx=1.55,d
m=1.54であった。測定はAFC5R,CuKα線を用
い、重原子法によって解析した。構造の精密化には Ful
l Matrix 最小二乗法を用いた。全計算は、TEXAN によ
って実行した。水素原子を含まないR=8.6%の段階
での錯イオンの ORTEP 図を図1に示した。
で偏平な単結晶を水−DMF混合溶液から合成した。単
斜晶系、空間群P21 /mの結晶で、格子定数はa=1
0.885(2),b=20.354(6),c=11.736(1),オングストロ
ーム,β=100.93(1)゜であった。また、dx=1.55,d
m=1.54であった。測定はAFC5R,CuKα線を用
い、重原子法によって解析した。構造の精密化には Ful
l Matrix 最小二乗法を用いた。全計算は、TEXAN によ
って実行した。水素原子を含まないR=8.6%の段階
での錯イオンの ORTEP 図を図1に示した。
【0041】鉄(III) イオン周りは歪んだ6配位八面体
構造で、dhpta の解離したヒドロキソ基が2つの鉄を架
橋し、さらにその2核ユニットをオキソ基とM-O-N-O-
M’(M=M’=Fe)の珍しい架橋構造のニトロ基が配位し
て4核構造を保持していることが判明した。
構造で、dhpta の解離したヒドロキソ基が2つの鉄を架
橋し、さらにその2核ユニットをオキソ基とM-O-N-O-
M’(M=M’=Fe)の珍しい架橋構造のニトロ基が配位し
て4核構造を保持していることが判明した。
【0042】実施例2 実施例1で製造した鉄4核錯体を水中に溶解し、液中の
pHが10.5になるように炭酸ソーダを添加して、褐
色の溶液を製造した。この溶液にDMFを添加し、緑色
の化合物を合成した。 赤外線吸収スペクトル: 図11Bに示す。 元素分析:Found(%);C,20.54.H,4.7
1.N,4.26. Calcd(%);C,20.97.H,4.96.N,
4.45,forNa2 [Fe4 (O)2 (dpta)2 (H2
O)4 ]・14H2O.
pHが10.5になるように炭酸ソーダを添加して、褐
色の溶液を製造した。この溶液にDMFを添加し、緑色
の化合物を合成した。 赤外線吸収スペクトル: 図11Bに示す。 元素分析:Found(%);C,20.54.H,4.7
1.N,4.26. Calcd(%);C,20.97.H,4.96.N,
4.45,forNa2 [Fe4 (O)2 (dpta)2 (H2
O)4 ]・14H2O.
【0043】この結晶は、三斜晶系、空間群P1- の結
晶で、格子定数はa=11.588, b=12.876,c=11.30
9,オングストローム,α=95.78゜、β=116.33゜、γ
=77.81であった。また、V=1478.1(オングストロー
ム-3),Z=1、dm=1.826であった。
晶で、格子定数はa=11.588, b=12.876,c=11.30
9,オングストローム,α=95.78゜、β=116.33゜、γ
=77.81であった。また、V=1478.1(オングストロー
ム-3),Z=1、dm=1.826であった。
【0044】実施例3 硝酸鉄(III) の水溶液に、H5 dpta(1,3−ジア
ミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸)を加え、60
℃で2時間攪拌した。この溶液に、7乃至10モル倍の
炭酸ソーダを添加した。褐色の溶液を減圧濃縮後、DM
F(ジメチルホルムアミド)を加えて、実施例2と同じ
組成及び結晶の緑色の化合物を得た。
ミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸)を加え、60
℃で2時間攪拌した。この溶液に、7乃至10モル倍の
炭酸ソーダを添加した。褐色の溶液を減圧濃縮後、DM
F(ジメチルホルムアミド)を加えて、実施例2と同じ
組成及び結晶の緑色の化合物を得た。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、3価の鉄の水溶性塩類
と、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢
酸とを水性媒体中で混合し、これに1価または2価の金
属カチオンと窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のアニオ
ン性の配位子を含む水溶性塩類を酸性条件下で反応させ
ることにより、特異な配位子を含有する新規な鉄4核錯
体が得られる。また上記鉄4核錯体を加水分解するとき
には、水等のノニオン性配位子を含有する鉄4核錯体が
得られる。
と、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢
酸とを水性媒体中で混合し、これに1価または2価の金
属カチオンと窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のアニオ
ン性の配位子を含む水溶性塩類を酸性条件下で反応させ
ることにより、特異な配位子を含有する新規な鉄4核錯
体が得られる。また上記鉄4核錯体を加水分解するとき
には、水等のノニオン性配位子を含有する鉄4核錯体が
得られる。
【0046】この新規な鉄4核錯体は、水の電気分解に
おける水素の発生向上剤、イオン交換体及びその他の材
料として有用であり、また窒素酸化物或いは更に硫黄酸
化物等を捕集する可逆的吸着剤としても有用である。
おける水素の発生向上剤、イオン交換体及びその他の材
料として有用であり、また窒素酸化物或いは更に硫黄酸
化物等を捕集する可逆的吸着剤としても有用である。
【図1】本発明による式(2)の化合物のオルテップ
(ORTEP)図である。
(ORTEP)図である。
【図2】式(2)の化合物における鉄4骨格を示すオル
テップ図である。
テップ図である。
【図3】式(2)の化合物における鉄イオン周りの歪ん
だ6配位八面体構造を示すオルテップ図である。
だ6配位八面体構造を示すオルテップ図である。
【図4】1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−
四酢酸は、3価の鉄イオンと反応して、オクタデンテー
トリガンドを形成する反応スキームを示す説明図であ
る。
四酢酸は、3価の鉄イオンと反応して、オクタデンテー
トリガンドを形成する反応スキームを示す説明図であ
る。
【図5】ニトロ基の金属M(M=Fe)への配位の仕方
を示す説明図である。
を示す説明図である。
【図6】0.1モルの硫酸ナトリウム水溶液(pH
5.90)について電気分解を行い、陰極への印加電圧
(V VS S.C.E.、横軸)と電流(A、縦軸)との関係を
プロットしたもサイクリックボルタメトリーのグラフで
ある。
5.90)について電気分解を行い、陰極への印加電圧
(V VS S.C.E.、横軸)と電流(A、縦軸)との関係を
プロットしたもサイクリックボルタメトリーのグラフで
ある。
【図7】0.1モルの硫酸ナトリウム水溶液に本発明の
鉄4核錯体(式(3)のもの)を添加した溶液(pH
7.72)について電気分解を行った同様のサイクリッ
クボルタメトリーのグラフである。
鉄4核錯体(式(3)のもの)を添加した溶液(pH
7.72)について電気分解を行った同様のサイクリッ
クボルタメトリーのグラフである。
【図8】溶液のpHの影響を見るために、0.1モルの
硫酸ナトリウム水溶液に苛性ソーダを配合してpHを
9.01とした溶液について電気分解を行った同様のサ
イクリックボルタメトリーのグラフである。
硫酸ナトリウム水溶液に苛性ソーダを配合してpHを
9.01とした溶液について電気分解を行った同様のサ
イクリックボルタメトリーのグラフである。
【図9】硫酸ナトリウムに本発明の鉄4核錯体を添加し
てpH 8.08とした溶液について、同様の電気分解
を行ったサイクリックボルタメトリーの結果を示したグ
ラフである。
てpH 8.08とした溶液について、同様の電気分解
を行ったサイクリックボルタメトリーの結果を示したグ
ラフである。
【図10】本発明の式(2)のニトロ基配位鉄4核錯体
(A)、dpta配位子(B)及び亜硝酸ナトリウム
(C)の赤外吸収スペクトルである。
(A)、dpta配位子(B)及び亜硝酸ナトリウム
(C)の赤外吸収スペクトルである。
【図11】本発明の式(2)のニトロ基配位鉄4核錯体
(A)、水配位鉄4核錯体(B)及び水配位鉄4核錯体
に亜硝酸ナトリウムを再び作用させたもの(C)の赤外
吸収スペクトルである。
(A)、水配位鉄4核錯体(B)及び水配位鉄4核錯体
に亜硝酸ナトリウムを再び作用させたもの(C)の赤外
吸収スペクトルである。
【図12】式(2)の鉄4核錯体の可視部吸収スペクト
ルである。
ルである。
Claims (8)
- 【請求項1】 下記一般式(1) Mp Rq [Fe4 (O)2 (A)r (dpta)2 ]・kX…(1) 式中、M及びRは1価または2価のカチオンであり、 Aは中性または窒素、硫黄或いはリンのオキシ酸のアニ
オン性の配位子であり、dptaは1,3−ジアミノ−
2−ヒドロキシプロパン−四酢酸の残基であり、Xは結
晶溶媒であり、 p,q及びrは、式 mp+nq−ra=2を満足する
数であって、ここで、mはカチオンMの価数であり、n
はカチオンRの価数であり、aはアニオン性配位子の価
数(絶対値)であり、p及びrはそれぞれ1以上で6以
下の数、qは4以下の数であり、qはAが中性配位子の
場合ゼロであるものとし、 kは30以下の数である、で表される鉄4核錯体。 - 【請求項2】 式(1)中、Aが亜硝酸アニオン配位子
である請求項1記載の鉄4核錯体。 - 【請求項3】 式(1)中、Mがアルカリ金属イオンで
ある請求項1記載の鉄4核錯体。 - 【請求項4】 式(1)中、Rがオキソニウムイオン、
アンモニウムイオン、有機カチオンまたは金属カチオン
である請求項1記載の鉄4核錯体。 - 【請求項5】 下記式(2) Na2 (H5 O2 )2 [Fe4 (O)2 (NO2 )2 (dpta)2 ]・kX…(2) で表される請求項1記載の鉄4核錯体。
- 【請求項6】 下記式(3) Na2 [Fe4 (O)2 (H2 O)4 (dpta)2 ]・kX …(3) で表される請求項1記載の鉄4核錯体。
- 【請求項7】 3価の鉄の水溶性塩類と、1,3−ジア
ミノ−2−ヒドロキシプロパン−四酢酸とを水性媒体中
で混合し、これに1価または2価の金属カチオンと窒
素、硫黄、炭素或いはリンのオキシ酸のアニオン性の配
位子を含む水溶性塩類を酸性乃至弱アルカリ性の条件下
で反応させ、必要により濃縮後、水混和性極性有機溶媒
を添加して、結晶を析出させることを特徴とする鉄4核
錯体の製造方法。 - 【請求項8】 請求項7記載の方法で得られた鉄4核錯
体を、ノニオン性配位子の存在下に加水分解することを
特徴とするノニオン性配位子を含む鉄4核錯体の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02703794A JP3589477B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | 新規鉄4核錯体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02703794A JP3589477B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | 新規鉄4核錯体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07233183A true JPH07233183A (ja) | 1995-09-05 |
JP3589477B2 JP3589477B2 (ja) | 2004-11-17 |
Family
ID=12209879
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02703794A Expired - Fee Related JP3589477B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | 新規鉄4核錯体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3589477B2 (ja) |
-
1994
- 1994-02-24 JP JP02703794A patent/JP3589477B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3589477B2 (ja) | 2004-11-17 |
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