JPH07233085A - 軟骨組織修復治療剤 - Google Patents
軟骨組織修復治療剤Info
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- JPH07233085A JPH07233085A JP6045270A JP4527094A JPH07233085A JP H07233085 A JPH07233085 A JP H07233085A JP 6045270 A JP6045270 A JP 6045270A JP 4527094 A JP4527094 A JP 4527094A JP H07233085 A JPH07233085 A JP H07233085A
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- Japan
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- cartilage tissue
- bfgf
- reparation
- cartilage
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は関節破壊後の関節修復、骨軟骨欠
損の修復等に用いる軟骨組織修復治療剤を提供すること
にある。 【構成】 塩基性線維芽細胞成長因子および/または
その同族体を有効成分とすることを特徴とする薬剤であ
る。
損の修復等に用いる軟骨組織修復治療剤を提供すること
にある。 【構成】 塩基性線維芽細胞成長因子および/または
その同族体を有効成分とすることを特徴とする薬剤であ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩基性線維芽細胞成長
因子および/またはその同族体を含有する軟骨組織修復
治療剤に関する。更に詳しくは、変形性関節症あるいは
関節炎等による関節破壊後の軟骨組織の修復、及び骨軟
骨欠損の修復に用いる薬剤に関する。
因子および/またはその同族体を含有する軟骨組織修復
治療剤に関する。更に詳しくは、変形性関節症あるいは
関節炎等による関節破壊後の軟骨組織の修復、及び骨軟
骨欠損の修復に用いる薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】半世紀以上にわたる整形外科の歴史の中
で変形性関節症は頻度の高い疾患であったが、最近社会
の高齢化に伴い変形性関節症に対する治療は骨粗鬆症の
それと並び、整形外科における更なる大きな課題となっ
てきている。重度の疼痛を来たし日常生活に支障を及ぼ
すような、手術の対象となる高度な関節変形を伴う変形
性関節症では、関節の一部、もしくは全部を人工物にて
置換することにより関節の再建を行う方法(人工関節置
換術)が採られることが少なくない。ところが耐用年数
が限られている為に若年ないし中年者での変形性関節症
に対する手術方法としては問題が残る。高齢者に対して
もその長期使用による問題点は積在する一方で、その解
決策に苦慮している状況である。そこで可能ならば新陳
代謝を行い得る生体軟骨組織にて再建する方法が最適で
あると考えられる。
で変形性関節症は頻度の高い疾患であったが、最近社会
の高齢化に伴い変形性関節症に対する治療は骨粗鬆症の
それと並び、整形外科における更なる大きな課題となっ
てきている。重度の疼痛を来たし日常生活に支障を及ぼ
すような、手術の対象となる高度な関節変形を伴う変形
性関節症では、関節の一部、もしくは全部を人工物にて
置換することにより関節の再建を行う方法(人工関節置
換術)が採られることが少なくない。ところが耐用年数
が限られている為に若年ないし中年者での変形性関節症
に対する手術方法としては問題が残る。高齢者に対して
もその長期使用による問題点は積在する一方で、その解
決策に苦慮している状況である。そこで可能ならば新陳
代謝を行い得る生体軟骨組織にて再建する方法が最適で
あると考えられる。
【0003】最近になって、Cuevas等は、ラット
関節軟骨損傷に対する塩基性線維芽細胞成長因子の投与
の影響について報告している(Biochem.Biophys.Res.Co
mm.,Vol.156 No.2 page 611-618 ,1988 発行)。しか
し、この報告は塩基性線維芽細胞成長因子の投与によつ
て外傷により傷ついた正常軟骨細胞からなる軟骨組織が
癒着したというものであり、人工関節に変わる生きた組
織による関節再建術を示唆したものではない。
関節軟骨損傷に対する塩基性線維芽細胞成長因子の投与
の影響について報告している(Biochem.Biophys.Res.Co
mm.,Vol.156 No.2 page 611-618 ,1988 発行)。しか
し、この報告は塩基性線維芽細胞成長因子の投与によつ
て外傷により傷ついた正常軟骨細胞からなる軟骨組織が
癒着したというものであり、人工関節に変わる生きた組
織による関節再建術を示唆したものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような軟
骨組織疾患の治療現状に鑑みてなされたものであり、本
発明の目的は、関節破壊後の関節修復、骨軟骨欠損の修
復等に用いる軟骨組織修復治療剤を提供することにあ
る。
骨組織疾患の治療現状に鑑みてなされたものであり、本
発明の目的は、関節破壊後の関節修復、骨軟骨欠損の修
復等に用いる軟骨組織修復治療剤を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、塩基性線
維芽細胞成長因子および/またはその同族体を用いて軟
骨組織修復治療剤として有用な薬剤を開発することに成
功し、本発明を完成するに至った。
維芽細胞成長因子および/またはその同族体を用いて軟
骨組織修復治療剤として有用な薬剤を開発することに成
功し、本発明を完成するに至った。
【0006】塩基性線維芽細胞成長因子(塩基性線維芽
細胞増殖因子ともいう。以下、bFGFという。)は、
脳下垂体、脳、網膜、黄体、副腎、腎、胎盤、前立腺、
胸腺、軟骨肉腫、マクロファージにおいて存在が確認さ
れているペプチド性細胞成長因子である(「細胞成長因
子 Part II」日本組織培養学会編、15〜20頁、朝倉
書店)。FGFは当初、BALB/c3T3細胞などの
線維芽細胞で強い増殖作用を示すこと(D. Gospodarowi
cz: Nature Vol.249: page 123, 1974)から命名された
が、その後、中胚葉由来のほとんどの細胞、特に血管内
皮細胞の増殖を促進すること(D. Gospodarowicz: Nati
onal Cancer Institute Monograph Vol.48: page 109 ,
1978 )、また骨格筋のサテライト細胞の増殖も促進さ
せること(R. E. Allen: Exp. Cell Res. Vol.152: pag
e 154, 1984 )が明らかとなっている。また、近年では
創傷治療におけるbFGFの臨床応用や、血管新生作用
を用いた血管修復等へのFGFの応用も行なわれてい
る。
細胞増殖因子ともいう。以下、bFGFという。)は、
脳下垂体、脳、網膜、黄体、副腎、腎、胎盤、前立腺、
胸腺、軟骨肉腫、マクロファージにおいて存在が確認さ
れているペプチド性細胞成長因子である(「細胞成長因
子 Part II」日本組織培養学会編、15〜20頁、朝倉
書店)。FGFは当初、BALB/c3T3細胞などの
線維芽細胞で強い増殖作用を示すこと(D. Gospodarowi
cz: Nature Vol.249: page 123, 1974)から命名された
が、その後、中胚葉由来のほとんどの細胞、特に血管内
皮細胞の増殖を促進すること(D. Gospodarowicz: Nati
onal Cancer Institute Monograph Vol.48: page 109 ,
1978 )、また骨格筋のサテライト細胞の増殖も促進さ
せること(R. E. Allen: Exp. Cell Res. Vol.152: pag
e 154, 1984 )が明らかとなっている。また、近年では
創傷治療におけるbFGFの臨床応用や、血管新生作用
を用いた血管修復等へのFGFの応用も行なわれてい
る。
【0007】軟骨組織修復治療において、これらのbF
GFおよび/またはその同族体を応用した報告はない。
本発明者らは、これらのbFGFおよび/またはその同
族体が優れた軟骨組織新生ないし再生促進効果を有し、
軟骨組織修復、特に関節軟骨組織修復に有用であること
を見い出した。
GFおよび/またはその同族体を応用した報告はない。
本発明者らは、これらのbFGFおよび/またはその同
族体が優れた軟骨組織新生ないし再生促進効果を有し、
軟骨組織修復、特に関節軟骨組織修復に有用であること
を見い出した。
【0008】本発明におけるbFGFおよび/またはそ
の同族体は、天然あるいは遺伝子組換え技術により微生
物または培養細胞に産生させたものから単離精製するこ
とにより、あるいはそれらを化学的修飾または生物的修
飾することにより得られる。また、bFGFとしては特
にヒトbFGFまたはその同族体が好ましい。
の同族体は、天然あるいは遺伝子組換え技術により微生
物または培養細胞に産生させたものから単離精製するこ
とにより、あるいはそれらを化学的修飾または生物的修
飾することにより得られる。また、bFGFとしては特
にヒトbFGFまたはその同族体が好ましい。
【0009】また本発明の軟骨組織修復治療剤において
は、有効成分としてbFGFの同族体を用いてもよい。
ここで、bFGFの同族体とは、下記またはのポリ
ペプチドを意味する。
は、有効成分としてbFGFの同族体を用いてもよい。
ここで、bFGFの同族体とは、下記またはのポリ
ペプチドを意味する。
【0010】 特定の哺乳動物で産生されるbFGF
と実質的に同一のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
実質的に同一のアミノ酸配列とは、アミノ酸配列中の1
〜6のアミノ酸が別種のアミノ酸により置換されたもの
でbFGFの生物活性を有するものを意味する。
と実質的に同一のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
実質的に同一のアミノ酸配列とは、アミノ酸配列中の1
〜6のアミノ酸が別種のアミノ酸により置換されたもの
でbFGFの生物活性を有するものを意味する。
【0011】 特定の哺乳動物で産生されるbFGF
のN末端および/またはC末端、または上記のポリペ
プチドのN末端および/またはC末端に、追加のアミノ
酸セグメントが追加されたポリペプチド。追加のアミノ
酸セグメントとは、1〜12個のアミノ酸からなり、b
FGFの生物活性または上記のポリペプチドの生物活
性を損なわないものを意味する。
のN末端および/またはC末端、または上記のポリペ
プチドのN末端および/またはC末端に、追加のアミノ
酸セグメントが追加されたポリペプチド。追加のアミノ
酸セグメントとは、1〜12個のアミノ酸からなり、b
FGFの生物活性または上記のポリペプチドの生物活
性を損なわないものを意味する。
【0012】ヒトbFGFはアミノ酸146個のポリペ
プチドであるが、本発明の軟骨組織修復治療剤において
は、ヒトbFGFの同族体(前記の同族体)として、
例えば公表特許公報 平2−504468に記載のアミ
ノ酸146個のポリペプチドを用いてもよい。このポリ
ペプチドは、ヒトbFGFのアミノ酸配列を構成する6
9位のシステイン(Cys)および87位のシステイン
(Cys)がそれぞれセリン(Ser)により置換され
たものである。
プチドであるが、本発明の軟骨組織修復治療剤において
は、ヒトbFGFの同族体(前記の同族体)として、
例えば公表特許公報 平2−504468に記載のアミ
ノ酸146個のポリペプチドを用いてもよい。このポリ
ペプチドは、ヒトbFGFのアミノ酸配列を構成する6
9位のシステイン(Cys)および87位のシステイン
(Cys)がそれぞれセリン(Ser)により置換され
たものである。
【0013】また、前記の同族体として、例えば公表
特許公報 昭63−500843に記載のアミノ酸15
5個のポリペプチドを用いてもよい。このポリペプチド
は、ヒトbFGFのN末端にアミノ酸9個のセグメント
が付加されたものである。
特許公報 昭63−500843に記載のアミノ酸15
5個のポリペプチドを用いてもよい。このポリペプチド
は、ヒトbFGFのN末端にアミノ酸9個のセグメント
が付加されたものである。
【0014】また、N末端にMet-が付加されたアミノ酸
147個のポリペプチドや、公表特許公報 昭63−5
01953に記載のN末端にアミノ酸11個からなるセ
グメントが付加されたアミノ酸157個のポリペプチド
を用いてもよい。
147個のポリペプチドや、公表特許公報 昭63−5
01953に記載のN末端にアミノ酸11個からなるセ
グメントが付加されたアミノ酸157個のポリペプチド
を用いてもよい。
【0015】本発明の軟骨組織修復治療剤においては、
bFGFおよびその同族体をそれぞれ単独で使用しても
よいし、併用してもよい。さらに、bFGFの同族体と
しては前述したように複数種あるが、これらの同族体に
ついても、それぞれ単独で使用してもよいし、併用して
もよい。
bFGFおよびその同族体をそれぞれ単独で使用しても
よいし、併用してもよい。さらに、bFGFの同族体と
しては前述したように複数種あるが、これらの同族体に
ついても、それぞれ単独で使用してもよいし、併用して
もよい。
【0016】なお、生体内におけるbFGFの存在量は
極微量であるため、本発明の軟骨組織修復治療剤を商業
的に安定して供給するうえからは、遺伝子組換え技術に
より大腸菌等の微生物または培養細胞に産生させたbF
GFまたはその同族体を使用することが特に好ましい。
bFGFまたはその同族体(この場合は一般に前記の
ポリペプチド)を産生させるための遺伝子を微生物また
は培養細胞に組み込んだ場合、この微生物または培養細
胞から産生されるものは、一般に、bFGFのN末端お
よび/またはC末端、または上記のポリペプチドのN
末端および/またはC末端に、追加のアミノ酸セグメン
トが付加したもの、すなわち前述したのポリペプチド
である。
極微量であるため、本発明の軟骨組織修復治療剤を商業
的に安定して供給するうえからは、遺伝子組換え技術に
より大腸菌等の微生物または培養細胞に産生させたbF
GFまたはその同族体を使用することが特に好ましい。
bFGFまたはその同族体(この場合は一般に前記の
ポリペプチド)を産生させるための遺伝子を微生物また
は培養細胞に組み込んだ場合、この微生物または培養細
胞から産生されるものは、一般に、bFGFのN末端お
よび/またはC末端、または上記のポリペプチドのN
末端および/またはC末端に、追加のアミノ酸セグメン
トが付加したもの、すなわち前述したのポリペプチド
である。
【0017】かかる本発明の軟骨組織修復治療剤は、上
述したbFGFおよび/またはその同族体を有効成分と
する薬剤である。剤型の具体例としては、bFGFおよ
び/またはその同族体と生理的食塩水および/またはそ
の他の常用の補助剤(ブドウ糖、蔗糖、緩衝液等を含む
液剤、これらの液剤を用いた注射剤、スプレー剤もしし
くはゲル化剤又はbFGFおよび/またはその同族体を
含有したシ−ト製剤もしくはマイクロカプセル製剤等が
挙げられる。
述したbFGFおよび/またはその同族体を有効成分と
する薬剤である。剤型の具体例としては、bFGFおよ
び/またはその同族体と生理的食塩水および/またはそ
の他の常用の補助剤(ブドウ糖、蔗糖、緩衝液等を含む
液剤、これらの液剤を用いた注射剤、スプレー剤もしし
くはゲル化剤又はbFGFおよび/またはその同族体を
含有したシ−ト製剤もしくはマイクロカプセル製剤等が
挙げられる。
【0018】本発明の軟骨組織修復治療剤の投与方法
は、局所投与であっても全身投与であってもよいが、特
に局所投与が好ましい。具体的には、例えば関節手術時
に手術患部に直接投与する方法、あるいは体外より注射
器を用いて疾患部位に注入する方法等により使用するこ
とが出来る。
は、局所投与であっても全身投与であってもよいが、特
に局所投与が好ましい。具体的には、例えば関節手術時
に手術患部に直接投与する方法、あるいは体外より注射
器を用いて疾患部位に注入する方法等により使用するこ
とが出来る。
【0019】本発明の軟骨組織修復治療剤のヒトbFG
Fおよび/またはその同族体の有効投与量は、適応症の
種類、軟骨組織疾患の程度、患者の年齢や健康状態によ
り異なるので特定することは出来ないが、例えば、関節
軟骨組織修復の場合の有効成分の量で、概ね0.1μg
ないし1mg/患部、好ましくは1ないし100μgの
範囲である。投与回数は1回/患部で十分な場合が多い
が、さらに適応症の種類や疾患の程度により2ないし6
回/患部の範囲で投与してもよい。
Fおよび/またはその同族体の有効投与量は、適応症の
種類、軟骨組織疾患の程度、患者の年齢や健康状態によ
り異なるので特定することは出来ないが、例えば、関節
軟骨組織修復の場合の有効成分の量で、概ね0.1μg
ないし1mg/患部、好ましくは1ないし100μgの
範囲である。投与回数は1回/患部で十分な場合が多い
が、さらに適応症の種類や疾患の程度により2ないし6
回/患部の範囲で投与してもよい。
【0020】本発明の軟骨組織修復治療剤は、優れた軟
骨組織修復作用を有しており、例えば(1)変形性関節
症、感染による関節炎後、あるいは慢性関節リウマチ等
膠原病に伴う関節炎後に生じた関節破壊後の関節修復、
(2)外傷性、離断性骨軟骨炎により生じた軟骨欠損の
修復、(3)椎間板変性あるいは椎間板ヘルニア等の脊
椎疾患の治療等に有用であり、各種軟骨組織疾患の治療
に用いられる。
骨組織修復作用を有しており、例えば(1)変形性関節
症、感染による関節炎後、あるいは慢性関節リウマチ等
膠原病に伴う関節炎後に生じた関節破壊後の関節修復、
(2)外傷性、離断性骨軟骨炎により生じた軟骨欠損の
修復、(3)椎間板変性あるいは椎間板ヘルニア等の脊
椎疾患の治療等に有用であり、各種軟骨組織疾患の治療
に用いられる。
【0021】
【実施例】つぎに、製剤例および試験例により本発明の
軟骨組織修復治療剤の製剤および軟骨組織修復作用効果
について説明する。
軟骨組織修復治療剤の製剤および軟骨組織修復作用効果
について説明する。
【0022】 〔製剤例1:bFGF水溶液剤〕 ────────────────────────────── 成 分 量 ────────────────────────────── ヒトbFGF 2.00mg 生理食塩水 全量を2.00mlに調製 ──────────────────────────────
【0023】〔試験例1〕 膝関節組織に及ぼすbFG
Fの影響 10週令のBL系雄性マウス(体重23〜27g)を1
群4ないし5個体として計7群用意し、ペントバルビタ
ールナトリウム液25μlを各個体の腹腔内に投与して
麻酔した。次いで、1群は対照群とし、0.1Mリン酸
緩衝生理食塩水25μlを33ゲージ針のマイクロデイ
スペンサーシリンジを用いて関節腔内に投与した。ま
た、残りの6群は実験群とし、前記製剤例1で調製した
bFGF水溶液剤(濃度5.0mg/ml)を用いて、
それぞれ8、40、200ng、1、5、25μg/関
節に相当する液量を対照群と同様の方法で関節腔内に投
与した。
Fの影響 10週令のBL系雄性マウス(体重23〜27g)を1
群4ないし5個体として計7群用意し、ペントバルビタ
ールナトリウム液25μlを各個体の腹腔内に投与して
麻酔した。次いで、1群は対照群とし、0.1Mリン酸
緩衝生理食塩水25μlを33ゲージ針のマイクロデイ
スペンサーシリンジを用いて関節腔内に投与した。ま
た、残りの6群は実験群とし、前記製剤例1で調製した
bFGF水溶液剤(濃度5.0mg/ml)を用いて、
それぞれ8、40、200ng、1、5、25μg/関
節に相当する液量を対照群と同様の方法で関節腔内に投
与した。
【0024】14日間飼育した後、炭酸ガスで屠殺し、
大腿及び脛骨を含む膝関節部を摘出し中性ホルマリン溶
液で室温下4日間固定した。その後10%ギ酸水溶液で
脱灰し、パラフィン包埋の後にヘマトキシリン−エオジ
ン染色或いはサフランD染色して病理標本を作製し、光
学顕微鏡にて観察した。
大腿及び脛骨を含む膝関節部を摘出し中性ホルマリン溶
液で室温下4日間固定した。その後10%ギ酸水溶液で
脱灰し、パラフィン包埋の後にヘマトキシリン−エオジ
ン染色或いはサフランD染色して病理標本を作製し、光
学顕微鏡にて観察した。
【0025】実験群(bFGF:200ng、1μg及
び25μg投与)の観察結果を図1〜3に、対照群の観
察結果を図4に示した。いずれも6.2倍の倍率で観察
した。実験群においては、(1)200ng投与群(図
1)で既に大腿骨及び脛骨関節表層のサフランD染色性
(濃色)が対照群(図4)に比べ亢進し、bFGF投与
による軟骨基質の活発な増生がみられた。(2)1μg
投与群(図2)では関節表層のサフランD染色性の増加
とともに、滑膜細胞の著しい増殖と一部に軟骨へと分化
する像がみられた。また、(3)25μg投与群(図
3)ではさらに滑膜細胞が増殖して関節腔内を埋め尽く
し広範囲に軟骨が形成されていた。これに対し、対照群
(図4)においては、(4)bFGFに代えて生理的食
塩水を投与したが、関節軟骨のサフランD染色性及び滑
膜細胞の増殖は認められなかつた。
び25μg投与)の観察結果を図1〜3に、対照群の観
察結果を図4に示した。いずれも6.2倍の倍率で観察
した。実験群においては、(1)200ng投与群(図
1)で既に大腿骨及び脛骨関節表層のサフランD染色性
(濃色)が対照群(図4)に比べ亢進し、bFGF投与
による軟骨基質の活発な増生がみられた。(2)1μg
投与群(図2)では関節表層のサフランD染色性の増加
とともに、滑膜細胞の著しい増殖と一部に軟骨へと分化
する像がみられた。また、(3)25μg投与群(図
3)ではさらに滑膜細胞が増殖して関節腔内を埋め尽く
し広範囲に軟骨が形成されていた。これに対し、対照群
(図4)においては、(4)bFGFに代えて生理的食
塩水を投与したが、関節軟骨のサフランD染色性及び滑
膜細胞の増殖は認められなかつた。
【0026】bFGF注入14日目の関節部の軟骨形成
について、病理組織標本から評価した結果を表1に示
す。
について、病理組織標本から評価した結果を表1に示
す。
【0027】 表 1 ─────────────────────────────────── bFGF(ng) 0 8 40 200 1000 5000 25000 ─────────────────────────────────── 匹 数 5 4 4 5 5 4 4 軟骨形成匹数 0 0 0 0 3 4 4 ─────────────────────────────────── bFGFは1μg投与で3/5例に軟骨形成が認めら
れ、それ以上の用量で全例に広範囲な軟骨形成の促進が
認められた。これらの結果、ヒトbFGFは、軟骨組織
疾患治療で重要な軟骨組織の明らかな促進作用を示し
た。
れ、それ以上の用量で全例に広範囲な軟骨形成の促進が
認められた。これらの結果、ヒトbFGFは、軟骨組織
疾患治療で重要な軟骨組織の明らかな促進作用を示し
た。
【0028】
【発明の効果】以上の結果から明かなごとく、ヒトbF
GFは、優れた軟骨組織新生ないし再生作用を有し、軟
骨組織疾患、特に関節軟骨組織疾患の治療に有用である
ことを見いだした。このことより、本発明の軟骨組織修
復治療剤は、例えば(1)変形性関節症、感染による関
節炎後、あるいは慢性関節リウマチ等膠原病に伴う関節
炎後に生じた関節破壊後の関節修復、(2)外傷性、離
断性骨軟骨炎により生じた軟骨欠損の修復、(3)椎間
板変性あるいは椎間板ヘルニア等の脊椎疾患の治療等に
有用であり、各種軟骨組織修復治療に用いられる。
GFは、優れた軟骨組織新生ないし再生作用を有し、軟
骨組織疾患、特に関節軟骨組織疾患の治療に有用である
ことを見いだした。このことより、本発明の軟骨組織修
復治療剤は、例えば(1)変形性関節症、感染による関
節炎後、あるいは慢性関節リウマチ等膠原病に伴う関節
炎後に生じた関節破壊後の関節修復、(2)外傷性、離
断性骨軟骨炎により生じた軟骨欠損の修復、(3)椎間
板変性あるいは椎間板ヘルニア等の脊椎疾患の治療等に
有用であり、各種軟骨組織修復治療に用いられる。
【図1】試験例1における実験群(bFGF200ng
投与)の膝関節の薄切組織標本の顕微鏡による写真図
(×6.2倍)である。
投与)の膝関節の薄切組織標本の顕微鏡による写真図
(×6.2倍)である。
【図2】試験例1における実験群(bFGF1μg投
与)の膝関節の薄切組織標本の顕微鏡による写真図(×
6.2倍)である。
与)の膝関節の薄切組織標本の顕微鏡による写真図(×
6.2倍)である。
【図3】試験例1における実験群(bFGF25μg投
与)の膝関節の薄切組織標本の顕微鏡による写真図(×
6.2倍)である。
与)の膝関節の薄切組織標本の顕微鏡による写真図(×
6.2倍)である。
【図4】試験例1における対照群の膝関節の薄切組織標
本の顕微鏡による写真図(×6.2倍 )である。
本の顕微鏡による写真図(×6.2倍 )である。
Claims (3)
- 【請求項1】 塩基性線維芽細胞成長因子および/また
はその同族体を含有する軟骨組織修復治療剤 - 【請求項2】 塩基性線維芽細胞成長因子および/また
はその同族体を含有する関節軟骨組織修復治療剤 - 【請求項3】 塩基性線維芽細胞成長因子および/また
はその同族体を含有する変形性関節症治療剤
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6045270A JPH07233085A (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | 軟骨組織修復治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6045270A JPH07233085A (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | 軟骨組織修復治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07233085A true JPH07233085A (ja) | 1995-09-05 |
Family
ID=12714627
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6045270A Pending JPH07233085A (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | 軟骨組織修復治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07233085A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003000287A1 (fr) * | 2001-06-26 | 2003-01-03 | Komori, Hiromichi | Traitement d'une hernie |
WO2005087257A1 (ja) * | 2004-03-16 | 2005-09-22 | Kaken Pharmaceutical Co., Ltd. | 架橋ゼラチンゲルを担体とする軟骨組織修復治療剤 |
-
1994
- 1994-02-18 JP JP6045270A patent/JPH07233085A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003000287A1 (fr) * | 2001-06-26 | 2003-01-03 | Komori, Hiromichi | Traitement d'une hernie |
WO2005087257A1 (ja) * | 2004-03-16 | 2005-09-22 | Kaken Pharmaceutical Co., Ltd. | 架橋ゼラチンゲルを担体とする軟骨組織修復治療剤 |
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