JPH07232987A

JPH07232987A - 着火薬およびその製造方法

Info

Publication number: JPH07232987A
Application number: JP4770694A
Authority: JP
Inventors: Masahiro Shimada; 正弘島田; Takashi Mera; 孝士米良; Seizo Tanaka; 清造田中
Original assignee: Sanko Kagaku Kogyo KK; Sanko Chemical Industry Co Ltd
Current assignee: Sanko Kagaku Kogyo KK; Sanko Chemical Industry Co Ltd
Priority date: 1994-02-22
Filing date: 1994-02-22
Publication date: 1995-09-05
Anticipated expiration: 2019-07-07
Also published as: JP3540833B2

Abstract

(57)【要約】【目的】炎の発生が殆どなく、燠の状態で存在する時間
が長く、着火性に優れ、破損し難く、しかも、効率的か
つ安全に製造することが出来、特に、病害虫駆除剤の燻
煙化における燃焼剤の着火薬として好適な着火薬および
その製造方法を提供する。【構成】水に不溶ないしは難溶性の酸化剤、還元剤およ
び燃焼調製剤より成る燃焼性粉剤をニトロセルロースに
よって無機繊維に担持して成る着火薬。この着火薬は、
上記の各成分と水溶性有機溶剤を混合して泥状混合液を
調製し、当該泥状混合液に無機繊維マットを浸漬させて
無機繊維マットに泥状混合液を担持させ、泥状混合液を
担持した無機繊維マットを水中に浸漬し、水溶性有機溶
剤を溶解除去することにより泥状混合液を固化して燃焼
性粉剤およびニトロセルロースを無機繊維マットに担持
させ、次いで、無機繊維マットをその乾燥前に所定の寸
法に切断する方法にて製造される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、着火薬およびその製造
方法に関するものであり、詳しくは、特に、病害虫駆除
剤の燻煙化における燃焼剤の着火薬として好適な着火薬
およびその製造方法に関するものである。

【０００２】従来より、燃焼剤にて病害虫駆除剤を燻煙
化することにより、温室やビニルハウス等に生息する病
害虫を駆除する方法が知られている。例えば、本出願人
によって提案された特開平２−２１２４０３号公報に
は、病害虫駆除剤の煙化方法およびその装置が提案され
ている。そして、上記の燃焼剤としては、例えば、過塩
素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ニトロ化合物、
過酸化物の一種または二種以上とこれに還元剤として多
糖類を含む糖類を含有する混合物が使用される。

【０００３】

【従来の技術】ところで、病害虫駆除剤の燻煙化は、着
火薬によって発生する熱で燃焼剤を発煙させることによ
って行われるため、着火薬は極めて重要であるにも拘わ
らず、未だ、その十分な検討は行われていない状況にあ
る。例えば、上記の公開公報には、マッチ薬と擦り板と
の組み合わせから成る着火手段が開示されているが、マ
ッチ薬の場合、主にその着火で出る炎によって燻煙剤に
着火させるために熱ロスが大きく、しかも、固体燃焼の
状態（燠の状態）で存在することが殆どないために燃焼
剤の着火を確実に行うことが出来ない等の問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、炎の発生が殆ど
なく、燠の状態で存在する時間が長く、着火性に優れ、
破損し難く、しかも、効率的かつ安全に製造することが
出来、特に、病害虫駆除剤の燻煙化における燃焼剤の着
火薬として好適な着火薬およびその製造方法を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、着火薬の安全
な製造方法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第１
の要旨は、水に不溶ないしは難溶性の酸化剤、還元剤お
よび燃焼調製剤より成る燃焼性粉剤をニトロセルロース
によって無機繊維に担持して成ることを特徴とする着火
薬に存し、第２の要旨は、水に不溶ないしは難溶性の酸
化剤、還元剤および燃焼調製剤より成る燃焼性粉剤、ニ
トロセルロース、水溶性有機溶剤を混合して泥状混合液
を調製し、当該泥状混合液に無機繊維マットを浸漬させ
て無機繊維マットに泥状混合液を担持させ、泥状混合液
を担持した無機繊維マットを水中に浸漬し、水溶性有機
溶剤を溶解除去することにより泥状混合液を固化して燃
焼性粉剤およびニトロセルロースを無機繊維に担持さ
せ、次いで、無機繊維マットをその乾燥前に所定の寸法
に切断することを特徴とする着火薬の製造方法に存す
る。

【０００６】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本
発明の着火薬について説明する。本発明において、酸化
剤、還元剤および燃焼調製剤としては、例えば、花火の
材料成分として使用されている各種の酸化剤、還元剤お
よび燃焼調製剤の中から水に不溶ないしは難溶性のもの
を適宜選択して使用することが出来る。例えば、酸化剤
としては四三酸化鉛、還元剤としては珪素鉄、燃焼調製
剤としては油煙が好適に使用されるが、これらの例に限
定されるものではない。例えば、酸化剤としては、過酸
化カルシウム、過酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化バリウ
ム、過酸化バリウム、酸化鉛、酸化鉄、酸化クロム等、
還元剤としては、珪素、亜鉛、アルミニウム等、燃焼調
製剤としては、松炭、麻炭、桐炭などを使用することも
出来る。

【０００７】本発明において、ニトロセルロースとして
は、特に制限されないが、低窒素量のものが好適に使用
される。また、無機繊維としては、ガラス繊維、アスベ
スト繊維、アルミナ繊維などが使用される。

【０００８】本発明の着火薬は、酸化剤、還元剤および
燃焼調製剤より成る燃焼性粉剤をニトロセルロースによ
って無機繊維に担持してものである。ニトロセルロース
は主としてバインダーとして作用し、また、無機繊維は
その絡み合いによって比較的ポーラスなマトリックスを
形成するための担体として作用する。

【０００９】酸化剤、還元剤および燃焼調製剤の各割合
は、主に酸化剤と還元剤の組み合わせてによって酸素平
衡が大きく異なるために一概には決定できず、上記の組
み合わせごとに適宜選択される。四三酸化鉛と珪素鉄と
油煙の組み合わせの場合、通常、１００：１０〜１０
０：１〜２０（重量比）、好ましくは、１００：２０〜
６０：５〜１０（重量比）の範囲とされる。一方、燃焼
性粉剤とニトロセルロースとの割合は、通常、１００：
５〜３０（重量比）、好ましくは、１００：５〜２０
（重量比）の範囲とされる。無機繊維は、着火薬の後述
する製造方法に従い、マットとして使用される。この場
合、マット１ｍ²当たりの前記成分の担持量は、通常１
〜１５Ｋｇ、好ましくは３〜１０Ｋｇの範囲とされる。

【００１０】次に、本発明の着火薬の製造方法について
説明する。本発明の製造方法は、水に不溶ないしは難溶
性の酸化剤、還元剤および燃焼調製剤より成る燃焼性粉
剤、ニトロセルロース、水溶性有機溶剤を混合して泥状
混合液を調製し、当該泥状混合液に無機繊維マットを浸
漬させて無機繊維マットに泥状混合液を担持させ、泥状
混合液を担持した無機繊維マットを水中に浸漬し、水溶
性有機溶剤を溶解除去することにより泥状混合液を固化
して燃焼性粉剤およびニトロセルロースを無機繊維に担
持させ、次いで、無機繊維マットをその乾燥前に所定の
寸法に切断することを特徴とする。斯かる製造方法によ
れば、燃焼性粉剤およびニトロセルロースを含む泥状混
合液の固化を水中で行い、また、燃焼性粉剤およびニト
ロセルロースを担持した無機繊維マットの切断をその乾
燥前に行うため、燃焼や爆発など危険を回避して安全に
着火薬を製造することが出来る。

【００１１】先ず、第１工程において、酸化剤、還元剤
および燃焼調製剤より成る燃焼性粉剤、ニトロセルロー
ス、水溶性有機溶剤を混合して泥状混合液を調製する。
水溶性有機溶剤としては、メタノール等の低級アルコー
ル、アセトン等の低級ケトンが好適に使用される。水溶
性有機溶剤の使用割合は、特に制限されないが、通常、
燃焼性粉剤とニトロセルロースの合計量に対し、０．３
〜１．０重量倍の範囲から選択される。

【００１２】上記の泥状混合液の調製において、各成分
の添加順序は特に制限されないが、水溶性有機溶剤とニ
トロセルロースの溶液に燃焼調製剤を添加して混合し、
得られた混合液に酸化剤と還元剤との混合物を添加して
混合するのがよい。

【００１３】次に、第２工程において、泥状混合液に無
機繊維マットを浸漬させて無機繊維マットに泥状混合液
を担持させる。浸漬処理は、泥状混合液を収容した容器
内に無機繊維マットを浸漬し、容器内で無機繊維マット
を適宜動かし、無機繊維マットに泥状混合液を十分担持
させる。無機繊維マットとしては、自由厚さが１〜５ｍ
ｍ程度のものが好適に使用される。

【００１４】次に、第３工程において、泥状混合液を担
持した無機繊維マットを水中に浸漬し、水溶性有機溶剤
を溶解除去する。これにより、泥状混合液は直ちに固化
し燃焼性粉剤およびニトロセルロースは無機繊維マット
に担持される。また、水溶性有機溶剤の溶解除去によ
り、無機繊維マットに担持される燃焼性粉剤およびニト
ロセルロースのマトリックスはポーラス状態となる。上
記の水中浸漬は、１０〜２０分の短時間で十分であり、
また、泥状混合液の固化を促進するため、必要に応じ、
流水条件下に行ってもよい。

【００１５】次に、第４工程において、無機繊維マット
をその乾燥前に所定の寸法に切断する。通常、幅は１〜
２０ｍｍとされ、長さは使用態様により適宜決定され
る。無機繊維マットの切断は、乾燥前の含水状態で行わ
れるため、発火や燃焼などの恐れがなく安全に行うこと
が出来る。切断後の乾燥は、通常、４０〜８０℃の温度
で１〜３時間行えば十分である。

【００１６】本発明の着火薬は、無機繊維マットを使用
した上記の製造方法の他、無機繊維チョップスランドを
使用し、酸化剤、還元剤および燃焼調製剤より成る燃焼
性粉剤、ニトロセルロース、水溶性有機溶剤、無機繊維
チョップスランドの泥状混合物をノズル口から水中に押
し出す方法によって製造することも出来る。斯かる製造
方法によれば、ノズル口の断面形状に従い、着火薬の断
面形状を例えば星型とすることが出来る。斯かる断面形
状の着火薬は、その鋭角部を利用し、着火薬に対する着
火を一層容易に行うことが出来る。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。

【００１８】実施例１メタノール１９５０ｇにニトロセルロース３５０ｇを溶
解し、これに油煙１６０ｇを添加して混合した。得られ
た混合液に四三酸化鉛２４７０ｇと珪素鉄１０６０ｇと
の混合物を添加して十分に混合して泥状混合液を調製し
た。この泥状混合液に厚さ３ｍｍのガラス繊維マットを
浸漬させてガラス繊維マットに泥状混合液を担持させ
た。

【００１９】次いで、泥状混合液を担持したガラス繊維
マットを水中に１５分間浸漬し、メタノールを溶解除去
することにより泥状混合液を固化した。その後、直ち
に、ガラス繊維マットを厚さ３ｍｍ、幅５ｍｍの寸法に
切断した。長さは１００ｍｍとした。そして、６０℃の
温度で２時間乾燥して着火薬を得た。

【００２０】上記の着火薬は、ガラス繊維を含有してい
るために破損し難い特徴を有していた。また、その先端
にライターで火を着けて着火試験を行った結果、着火性
は良好であり、しかも、着火による炎の発生は殆どな
く、また、燠の状態の維持時間は比較的長いことが確認
された。

【００２１】また、特開平２−２１２４０３号公報に記
載された病害虫駆除剤の煙化装置に上記の着火薬をセッ
トして燃焼試験を行った。すなわち、アルミニウムの薄
膜に熱可塑性樹脂層を設けた積層シートのヒートシール
によって製袋化され、その内部には二室が直列に形成さ
れ且つ各室を連通する連通孔が形成されている袋状容器
を使用し、下段の容室に燃焼剤を充填すると共に上記の
着火薬をセットし、上段の容室に助燃剤が混合された病
害虫駆除剤を充填した。

【００２２】燃焼剤としては、過塩素酸アンモニウム１
０重量％、硝酸カリウム５重量％、乳糖３０重量％、タ
ルク５５重量％から成る混合物を使用し、助燃剤が混合
された病害虫駆除剤としては、Ｎ′−ジクロルフルオロ
メチルチオ−Ｎ，Ｎ′−ジメチルチオ−Ｎ′−フェニル
スルファミド（商品名「ユーパレン」）４０重量％、硝
酸グアニジン１１重量％、低窒素ニトロセルロース２０
重量％、タルク２９重量％の混合物から成る顆粒（約５
ｍｍ）を使用した。

【００２３】上記の着火薬は、燃焼剤に埋没しその一部
が袋状容器から露出する状態にセットした。袋状容器の
上部に上段の容室に連通する開口部を形成し、着火薬に
ライターで火を着けた結果、燃焼剤に確実に着火するこ
とが出来、病害虫駆除剤を良好に燻煙化することが出来
た。

【００２４】

【発明の効果】以上説明した本発明によれば、炎の発生
が殆どなく、燠の状態で存在する時間が比較的長く、着
火性に優れ、破損し難く、しかも、安全かつ効率的に製
造することが出来、特に、病害虫駆除剤の燻煙化におけ
る燃焼剤の着火薬として好適な着火薬が提供される。ま
た、本発明によれば、水に不溶ないしは難溶性の酸化
剤、還元剤および燃焼調製剤を使用したことにより、燃
焼性粉剤、ニトロセルロース、水溶性有機溶剤から成る
泥状混合液の無機繊維マット上の固化を水中にて迅速に
行うことが出来、しかも、着火薬の必要な切断も含水状
態で行うことが出来る。従って、本発明の製造方法は、
製造効率が高く且つ安全性に優れる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者田中清造東京都千代田区霞が関三丁目２番６号三光化学工業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】水に不溶ないしは難溶性の酸化剤、還元
剤および燃焼調製剤より成る燃焼性粉剤をニトロセルロ
ースによって無機繊維に担持して成ることを特徴とする
着火薬。
【請求項２】燃焼性粉剤とニトロセルロースとの割合
が１００：５〜３０（重量比）である請求項１に記載の
着火薬。
【請求項３】酸化剤が四三酸化鉛、還元剤が珪素鉄、
燃焼調製剤が油煙であり、これらの各割合が１００：１
０〜１００：１〜２０（重量比）である請求項１又は２
に記載の着火薬。
【請求項４】病害虫駆除剤の燻煙化における燃焼剤の
着火薬である請求項１〜３の何れかに記載の着火薬。
【請求項５】水に不溶ないしは難溶性の酸化剤、還元
剤および燃焼調製剤より成る燃焼性粉剤、ニトロセルロ
ース、水溶性有機溶剤を混合して泥状混合液を調製し、
当該泥状混合液に無機繊維マットを浸漬させて無機繊維
マットに泥状混合液を担持させ、泥状混合液を担持した
無機繊維マットを水中に浸漬し、水溶性有機溶剤を溶解
除去することにより泥状混合液を固化して燃焼性粉剤お
よびニトロセルロースを無機繊維マットに担持させ、次
いで、無機繊維マットをその乾燥前に所定の寸法に切断
することを特徴とする請求項１〜４の何れかに記載の着
火薬の製造方法。