JPS6251917B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、非火薬性の無害で発煙性能に優れた
白色発煙剤の組成物に関するものである。

一般に白色発煙剤は、建物における室内の気密
性や煙感知器の作動状態、あるいは排煙管の流通
および漏洩、または密閉型コンテナの気密性等の
点検、保守に供されるものである。ところが従来
の白色発煙剤の組成物としては、亜鉛粉末または
酸化亜鉛とヘキサクロロエタンのような有機塩化
物を反応させて得られる白色塩化亜鉛の白煙や、
あるいは燐と酸化剤を反応させて得られる酸化燐
または塩化燐の白煙が用いられていたが、これら
はいずれも多少の毒性と腐触性等が生じる欠点が
あつた。一方、毒性のない白煙剤としては、過塩
素酸カリウムと有機または無機燃料と反応させて
白色塩化カリウムの白煙が得られるが、これは火
薬類締法において、火薬と定義され、その取扱い
に制限がある。

本発明は、上記の点に鑑みて提供するもので、
無害、無臭で且つ火薬ではなく、取扱いが安全な
白色発煙剤を得ることを目的とする。

上記目的を達成するために本発明は、発煙成分
としてフタル酸ジブチルを用い、これを木粉に吸
収せしめ、さらに硝酸アンモニウムを添加させた
ことを要旨とする。

本発明に関連して、白色煙の光学的実験を行つ
たところ、元来透明な液体においても、空気との
屈折率が大きければ、0.1〜10μｍの微粒子の場
合は、光を乱射して白色の煙として観測されるこ
とを見出した。本発明においては、白色発煙源と
して無毒で屈折率の高い高沸点油を微粒子化させ
ることにした。しかしながら、高沸点油を霧吹き
の方法で機械的に噴霧させても微粒子とならず、
ほとんど白煙にはならない。一方、外部加熱蒸発
方法によると白煙化するが、発煙に時間がかかり
すぎ、且つ発煙効率が悪い。また、ワセリンやワ
ツクスのような石油類の油は、空気中で加熱を続
けると、発煙が中断して発火燃焼を開始するので
危険である。そこで数多くの高沸点油の中で発火
の危険性が少なく、本発明の目的に適切な沸点を
有するものを実験により求めたところ、フタル酸
ジブチルが最適であつた。なお、フタル酸ジエチ
ルも良好ではあつたが、発煙効果が前記フタル酸
ジブチルよりも悪く、且つ価格も２倍程高価であ
る。

次に、火薬以外の方法でフタル酸ジブチルを直
径0.1〜10μｍの大きさに効率よく蒸発させる方
法が問題となつた。アスベストやケイ藻土に油を
含浸させたものを燻蒸させた場合、発煙効果は良
くない結果が出た。

ところが、本発明においては、木粉にフタル酸
ジブチルを含浸させ、さらに硝酸アンモニウムを
添加して混合した組成物を、硝石を含浸させた紙
を介して着火すると、短時間に非常によく白色煙
を大量に発生し続けることを見出した。なお、硝
酸アンモニウムの働きは、火源を取除いた後も自
己発煙を続けさせるものである。また木粉は、前
記硝酸アンモニウムによつて酸素供給を受けなが
ら燃焼する温度でフタル酸ジブチルを燻蒸するも
ので、原料としては桐の粉末が好ましい。

次に本発明の実施例を示す。

実施例 １ フタル酸ジブチル 25〜45％ 木粉（桐） 35〜45％ 肥料用硝酸アンモニウム 20〜35％ 上記の組成になるように、木粉にフタル酸ジブ
チルを含浸させ、さらに肥料用硝酸アンモニウム
を添加した混合物をよく均一に混合し、これを直
径５cm、高さ15cmのブリキ製缶に充填し、その中
央上部に硝石含浸紙を埋め込み、これにマツチで
点火すると、多量の白色煙が２分間発煙し続け
た。前記の白色発煙は、無毒・無臭で無刺激であ
るから、全くの無害である。そして発煙効果を比
較するために、既販の白色発煙筒と本発明の実施
例による組成物とを、10ｍ間隔に配置して同時に
着火したところ、発煙性と発煙時間ともにほぼ同
一の効果が得られた。

従つて、本発明は白色発煙剤の組成物は、発煙
効果において優れており、且つ無毒、無臭、無刺
激であるから、公害のおそれが全くなく、しかも
火薬類ではないため取扱いが安全であり、この種
の白色発煙剤の組成物として新規有益である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 発煙成分としてフタル酸ジブチルを用い、こ
   れを木粉に吸収せしめ、さらに硝酸アンモニウム
   を添加したことを特徴とする白色発煙剤の組成
   物。