JPH07228821A - 撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品 - Google Patents
撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品Info
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- JPH07228821A JPH07228821A JP26612494A JP26612494A JPH07228821A JP H07228821 A JPH07228821 A JP H07228821A JP 26612494 A JP26612494 A JP 26612494A JP 26612494 A JP26612494 A JP 26612494A JP H07228821 A JPH07228821 A JP H07228821A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 撥水性に優れ、水滴やそれに付随する汚れな
どが付着しにくい含フッ素樹脂表面を有する物品の提
供。 【構成】 平均粒子径40μm以下の含フッ素樹脂粒子
相互の積み重なりにより形成された最大IPA拡散径が
8mm以上である非定形多孔質体からなり、且つ転水角
の正接値が50/500以下であることを特徴とする撥
水性含フッ素樹脂表面を有する物品。上記物品の多孔質
体は電子顕微鏡写真に示すように、非定形な含フッ素樹
脂構造体と空隙から構成されている。
どが付着しにくい含フッ素樹脂表面を有する物品の提
供。 【構成】 平均粒子径40μm以下の含フッ素樹脂粒子
相互の積み重なりにより形成された最大IPA拡散径が
8mm以上である非定形多孔質体からなり、且つ転水角
の正接値が50/500以下であることを特徴とする撥
水性含フッ素樹脂表面を有する物品。上記物品の多孔質
体は電子顕微鏡写真に示すように、非定形な含フッ素樹
脂構造体と空隙から構成されている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水性に優れ、水滴や
それに付随する汚れなどが付着しにくい含フッ素樹脂表
面を有する物品に関するものである。
それに付随する汚れなどが付着しにくい含フッ素樹脂表
面を有する物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】産業機器や家庭用機器等の表面に、撥水
性、耐侯性や防汚性等の特性を付与することが要求され
ている。このような表面特性を持たせるために、従来物
品表面をブラストやエッチングで粗面化しさらにプライ
マー等で処理した後、非粘着性に優れたポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)等の含フッ素樹脂粒子を含有
したエナメル等の塗料を塗装し、乾燥後350〜400
℃で焼成処理を行い、物品表面に含フッ素樹脂を塗装す
る方法が多く用いられてきた。
性、耐侯性や防汚性等の特性を付与することが要求され
ている。このような表面特性を持たせるために、従来物
品表面をブラストやエッチングで粗面化しさらにプライ
マー等で処理した後、非粘着性に優れたポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)等の含フッ素樹脂粒子を含有
したエナメル等の塗料を塗装し、乾燥後350〜400
℃で焼成処理を行い、物品表面に含フッ素樹脂を塗装す
る方法が多く用いられてきた。
【0003】ところで物品の撥水性は形成材質の撥水特
性のみならず表面状態によっても大きく影響されること
が知られている。そこで近年物品のより高い撥水性を求
めて、物品表面に存在する微小突起によって実際の表面
積を見かけの表面積より大きくして水との見かけの接触
角を大きくする試みがなされている。
性のみならず表面状態によっても大きく影響されること
が知られている。そこで近年物品のより高い撥水性を求
めて、物品表面に存在する微小突起によって実際の表面
積を見かけの表面積より大きくして水との見かけの接触
角を大きくする試みがなされている。
【0004】例えば特開平4- 239633号公報に
は、微粒子及びシリケートグラスが混合された凹凸を有
する層とフロロカーボン基及びシロキサン基を含むポリ
マー膜層をシロキサン結合によって化学結合させて、表
面が凹凸の撥水撥油性の膜を形成する方法が開示されて
いる。
は、微粒子及びシリケートグラスが混合された凹凸を有
する層とフロロカーボン基及びシロキサン基を含むポリ
マー膜層をシロキサン結合によって化学結合させて、表
面が凹凸の撥水撥油性の膜を形成する方法が開示されて
いる。
【0005】また特開平4- 283268号公報には、
分子量8000〜10000程度のポリテトラフルオロ
エチレンオリゴマーをメッキ液中に分散して、オリゴマ
ーをメッキ膜に共析させて撥水性の金属複合体を形成す
ることが記されている。
分子量8000〜10000程度のポリテトラフルオロ
エチレンオリゴマーをメッキ液中に分散して、オリゴマ
ーをメッキ膜に共析させて撥水性の金属複合体を形成す
ることが記されている。
【0006】特開平6−122838号公報では、分子
量500〜20000程度の低分子量ポリテトラフルオ
ロエチレン粉末をアクリルシリコン樹脂に混入分散させ
た撥水性塗料及び塗装方法が開示されている。
量500〜20000程度の低分子量ポリテトラフルオ
ロエチレン粉末をアクリルシリコン樹脂に混入分散させ
た撥水性塗料及び塗装方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしシロキサン結合
による方法では一度凹凸な層を形成した後にシロキサン
結合により撥水膜を形成する工程が必要となり、またメ
ッキ法では撥水膜を形成する物品としてメッキ作業ので
きるものに限定される欠点があった。更にアクリルシリ
コン樹脂に低分子量PTFEを混入分散させる方法も末
端までフッ素化された特殊な低分子量PTFEが必要で
あった。
による方法では一度凹凸な層を形成した後にシロキサン
結合により撥水膜を形成する工程が必要となり、またメ
ッキ法では撥水膜を形成する物品としてメッキ作業ので
きるものに限定される欠点があった。更にアクリルシリ
コン樹脂に低分子量PTFEを混入分散させる方法も末
端までフッ素化された特殊な低分子量PTFEが必要で
あった。
【0008】このような状況に鑑み、本発明の発明者ら
は特定の粒子径を有する高分子量含フッ素樹脂粒子相互
の積み重なりにより非定形多孔質体を形成させることに
より優れた撥水性が付与されることを見出し、本発明を
完成した。
は特定の粒子径を有する高分子量含フッ素樹脂粒子相互
の積み重なりにより非定形多孔質体を形成させることに
より優れた撥水性が付与されることを見出し、本発明を
完成した。
【0009】従って本発明は、撥水性及び防汚性を従来
技術より飛躍的に高めた含フッ素樹脂表面を有する物品
を提供することを目的とする。
技術より飛躍的に高めた含フッ素樹脂表面を有する物品
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は平均粒子径40
μm以下の含フッ素樹脂粒子相互の積み重なりにより形
成された最大IPA拡散径が8mm以上である非定形多
孔質体からなり、且つ転水角の正接値が50/500以
下であることを特徴とする撥水性含フッ素樹脂表面を有
する物品である。
μm以下の含フッ素樹脂粒子相互の積み重なりにより形
成された最大IPA拡散径が8mm以上である非定形多
孔質体からなり、且つ転水角の正接値が50/500以
下であることを特徴とする撥水性含フッ素樹脂表面を有
する物品である。
【0011】上記撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品
は、以下の製造法に限定されるものではないが、例えば
平均粒子径40μm以下の含フッ素樹脂粒子又は該含フ
ッ素樹脂粒子を含有する水、有機液体又はその混合分散
液を物品に塗着し、含フッ素樹脂粒子が互いに接触しう
る状態のもとで該粒子を表面融着させる方法、膜形成補
助剤により表面接着させる方法又は非溶融状態で固定さ
せる方法等によって製造することができる。
は、以下の製造法に限定されるものではないが、例えば
平均粒子径40μm以下の含フッ素樹脂粒子又は該含フ
ッ素樹脂粒子を含有する水、有機液体又はその混合分散
液を物品に塗着し、含フッ素樹脂粒子が互いに接触しう
る状態のもとで該粒子を表面融着させる方法、膜形成補
助剤により表面接着させる方法又は非溶融状態で固定さ
せる方法等によって製造することができる。
【0012】(含フッ素樹脂粒子)本発明の含フッ素樹
脂としては、分子内に少なくとも1以上のフッ素原子を
含んだ熱可塑性樹脂であり、例えばポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン・
ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂やテ
トラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニル
エーテル)共重合体(PFA:パーフルオロアルキル基
としてC1 〜C5 )樹脂などのパーフルオロ樹脂が好ま
しい。
脂としては、分子内に少なくとも1以上のフッ素原子を
含んだ熱可塑性樹脂であり、例えばポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン・
ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂やテ
トラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニル
エーテル)共重合体(PFA:パーフルオロアルキル基
としてC1 〜C5 )樹脂などのパーフルオロ樹脂が好ま
しい。
【0013】パーフルオロ樹脂の中でも10万以上の分
子量を有する樹脂がより好ましい。これらの樹脂として
市販されている汎用品樹脂を使用することが経済的に有
利である。
子量を有する樹脂がより好ましい。これらの樹脂として
市販されている汎用品樹脂を使用することが経済的に有
利である。
【0014】(非定形多孔質体)含フッ素樹脂表面が、
形成物質である含フッ素樹脂固有の撥水性より高い撥水
性を発揮するためには、水滴との接触面積をより小さく
するような表面構造をとることが好ましい。このために
本発明の物品は、平均粒子径40μm以下の含フッ素樹
脂粒子が積み重なって形成されたミクロンオーダーの空
隙を有する多孔質体に物品表面が覆われていることが必
要である。
形成物質である含フッ素樹脂固有の撥水性より高い撥水
性を発揮するためには、水滴との接触面積をより小さく
するような表面構造をとることが好ましい。このために
本発明の物品は、平均粒子径40μm以下の含フッ素樹
脂粒子が積み重なって形成されたミクロンオーダーの空
隙を有する多孔質体に物品表面が覆われていることが必
要である。
【0015】本発明の多孔質体は、定まった形状を持つ
ものではなく、含フッ素樹脂粒子が不規則に積み重なっ
た結果、電子顕微鏡写真(図1、図2)に示すように非
定形な含フッ素樹脂構造体と空隙から構成されるもので
ある。そしてその構造体中には平均粒子径40μm以下
の個々の含フッ素樹脂粒子が観察できることが本発明非
定形多孔質体の特徴である。これに対し本発明とは異な
る含フッ素樹脂表面を有する物品は図3のように全面が
融着して、空隙が存在せず、多孔質体が形成されていな
い。
ものではなく、含フッ素樹脂粒子が不規則に積み重なっ
た結果、電子顕微鏡写真(図1、図2)に示すように非
定形な含フッ素樹脂構造体と空隙から構成されるもので
ある。そしてその構造体中には平均粒子径40μm以下
の個々の含フッ素樹脂粒子が観察できることが本発明非
定形多孔質体の特徴である。これに対し本発明とは異な
る含フッ素樹脂表面を有する物品は図3のように全面が
融着して、空隙が存在せず、多孔質体が形成されていな
い。
【0016】(平均粒子径)このような含フッ素樹脂の
多孔質体は、これを形成する含フッ素樹脂粒子の平均粒
子径(d50)が40μm以下であることが必要である。
つまり含フッ素樹脂の平均粒子径が40μm以下である
一次粒子又はこれらの一次粒子の凝集粒子であっても良
い。これ以上の一次粒子径では形成される多孔質体の空
隙が大きいため、該空隙内に水が浸透しやすく、空気と
水が置換されてしまうため撥水性に適した多孔質体とは
ならない。また積み重なりに適したより好ましい粒子径
は塗着方法によっても相違するが、スプレー塗装では
0. 1〜20μmの粒子径が、また静電塗装においては
20〜30μmの粒子径が好適である。用いる含フッ素
樹脂粒子径や凝集粒子径の選択により多孔質体の空隙の
大きさを制御することができる。
多孔質体は、これを形成する含フッ素樹脂粒子の平均粒
子径(d50)が40μm以下であることが必要である。
つまり含フッ素樹脂の平均粒子径が40μm以下である
一次粒子又はこれらの一次粒子の凝集粒子であっても良
い。これ以上の一次粒子径では形成される多孔質体の空
隙が大きいため、該空隙内に水が浸透しやすく、空気と
水が置換されてしまうため撥水性に適した多孔質体とは
ならない。また積み重なりに適したより好ましい粒子径
は塗着方法によっても相違するが、スプレー塗装では
0. 1〜20μmの粒子径が、また静電塗装においては
20〜30μmの粒子径が好適である。用いる含フッ素
樹脂粒子径や凝集粒子径の選択により多孔質体の空隙の
大きさを制御することができる。
【0017】具体的に用いる粒子としては、乳化重合か
ら直接得られた平均粒子径0. 2μm程度のコロイド粒
子、コロイド粒子をエタノール等で凝集させたいわゆる
二次粒子である凝集粒子、この凝集粒子を乾燥して再度
粉砕した粒子や懸濁重合から得られた40μmを越える
粒子を粉砕しても、一次粒子径が40μm以下であれば
よい。
ら直接得られた平均粒子径0. 2μm程度のコロイド粒
子、コロイド粒子をエタノール等で凝集させたいわゆる
二次粒子である凝集粒子、この凝集粒子を乾燥して再度
粉砕した粒子や懸濁重合から得られた40μmを越える
粒子を粉砕しても、一次粒子径が40μm以下であれば
よい。
【0018】(厚さ)物品表面に存在する多孔質体があ
まり薄ければ水滴が基材表面に接触してしまい撥水性が
発揮されないおそれがあり、また多孔質体があまり厚け
れば物品表面の強度が低くなり物品としての実用上望ま
しくない。従って非定形多孔質体として通常0. 5μm
〜500μmの厚みが適当である。
まり薄ければ水滴が基材表面に接触してしまい撥水性が
発揮されないおそれがあり、また多孔質体があまり厚け
れば物品表面の強度が低くなり物品としての実用上望ま
しくない。従って非定形多孔質体として通常0. 5μm
〜500μmの厚みが適当である。
【0019】(最大IPA拡散径)本発明物品の多孔質
性は含フッ素樹脂表面にイソプロピルアルコール(IP
A)を一滴落とし、そのIPAが多孔質体に拡散浸透し
た最大径を測定することにより比較することができる。
多孔質ではないPTFEの切削シートでは滴下時の径が
そのままであるのに対して、本発明のような多孔質体で
はIPAが多孔質体内に浸透することによって滴下時よ
りもIPAの径が拡大する。本発明の撥水性物品は、最
大IPA拡散径が8mm以上であることで特徴づけられ
るが、好ましくは16mm以上より好ましくは20mm
以上である。
性は含フッ素樹脂表面にイソプロピルアルコール(IP
A)を一滴落とし、そのIPAが多孔質体に拡散浸透し
た最大径を測定することにより比較することができる。
多孔質ではないPTFEの切削シートでは滴下時の径が
そのままであるのに対して、本発明のような多孔質体で
はIPAが多孔質体内に浸透することによって滴下時よ
りもIPAの径が拡大する。本発明の撥水性物品は、最
大IPA拡散径が8mm以上であることで特徴づけられ
るが、好ましくは16mm以上より好ましくは20mm
以上である。
【0020】(撥水性)本発明の物品表面は多孔質体に
覆われているため優れた撥水性を示す。例えば撥水性の
素材であるPTFEでも切削フィルムの場合は水との接
触角が約110度であるのに対して、本発明の撥水性物
品は水との接触角が通常150度以上である。
覆われているため優れた撥水性を示す。例えば撥水性の
素材であるPTFEでも切削フィルムの場合は水との接
触角が約110度であるのに対して、本発明の撥水性物
品は水との接触角が通常150度以上である。
【0021】(転水角度)本発明のような高撥水性の物
品表面においては従来の接触角測定では撥水性の比較が
困難である。そこで後述する方法で転水角度つまり水滴
を物品表面に滴下した時に表面に付着せずに表面上を水
滴が転がる物品表面の最小角度を測定し、これを転水角
度としてその正接値(tangent )で表し、撥水性の尺度
とした。例えばPTFEの切削フィルムは、接触角法で
は約110度が測定されているが転水角度では約120
/500の値を示す。本発明の物品表面の転水角は50
/500以下を示すことにより特徴づけられる。
品表面においては従来の接触角測定では撥水性の比較が
困難である。そこで後述する方法で転水角度つまり水滴
を物品表面に滴下した時に表面に付着せずに表面上を水
滴が転がる物品表面の最小角度を測定し、これを転水角
度としてその正接値(tangent )で表し、撥水性の尺度
とした。例えばPTFEの切削フィルムは、接触角法で
は約110度が測定されているが転水角度では約120
/500の値を示す。本発明の物品表面の転水角は50
/500以下を示すことにより特徴づけられる。
【0022】(基材物品)本発明の撥水性含フッ素樹脂
表面を形成する場合、基材物品としては従来含フッ素樹
脂塗装が行われている鉄、アルミ等の金属板の他、含フ
ッ素樹脂粒子を含む分散液を乾燥させる処理温度、一般
的には100℃以上の温度に耐える材料であれば、各種
プラスチック、木材、紙その他の材料も選択することが
可能である。そしてこれらの基材に前処理として接着層
やプライマー層を形成させた後に含フッ素樹脂粒子を積
み重ねてもよい。
表面を形成する場合、基材物品としては従来含フッ素樹
脂塗装が行われている鉄、アルミ等の金属板の他、含フ
ッ素樹脂粒子を含む分散液を乾燥させる処理温度、一般
的には100℃以上の温度に耐える材料であれば、各種
プラスチック、木材、紙その他の材料も選択することが
可能である。そしてこれらの基材に前処理として接着層
やプライマー層を形成させた後に含フッ素樹脂粒子を積
み重ねてもよい。
【0023】(製造方法)本発明の撥水性含フッ素樹脂
表面を有する物品は平均粒子径40μm以下の含フッ素
樹脂粒子相互の積み重なりにより形成され、最大IPA
拡散径が8mm以上である非定形多孔質体からなり、且
つ転水角の正接値が50/500以下であれば、フッ素
樹脂粒子相互の積み重なりはいかなる方法、形態による
ものでも良く、種々の実施態様が考えられる。そして本
発明の撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品を製造する
方法としては、限定されるものではないがそれらの各実
施態様により次のような方法が挙げられる。
表面を有する物品は平均粒子径40μm以下の含フッ素
樹脂粒子相互の積み重なりにより形成され、最大IPA
拡散径が8mm以上である非定形多孔質体からなり、且
つ転水角の正接値が50/500以下であれば、フッ素
樹脂粒子相互の積み重なりはいかなる方法、形態による
ものでも良く、種々の実施態様が考えられる。そして本
発明の撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品を製造する
方法としては、限定されるものではないがそれらの各実
施態様により次のような方法が挙げられる。
【0024】例えば平均粒子径40μm以下の含フッ素
樹脂粒子又は該含フッ素樹脂粒子を含有する水、有機液
体又はその混合分散液を物品表面に塗着し、含フッ素樹
脂粒子が互いに接触しうる状態のもとで該粒子を表面融
着させる方法、膜形成補助剤により接着させる方法又は
非溶融状態で物品表面に固定させる方法等によって製造
することができる。
樹脂粒子又は該含フッ素樹脂粒子を含有する水、有機液
体又はその混合分散液を物品表面に塗着し、含フッ素樹
脂粒子が互いに接触しうる状態のもとで該粒子を表面融
着させる方法、膜形成補助剤により接着させる方法又は
非溶融状態で物品表面に固定させる方法等によって製造
することができる。
【0025】以下に本発明の一実施態様である、含フッ
素樹脂粒子の表面融着により含フッ素樹脂粒子相互の積
み重なりを形成させた撥水性含フッ素樹脂表面を有する
物品を製造する方法を説明する。表面融着とは、粒子表
面における部分的な粒子同志の融着である。粒子が実質
的に粒子形状を保持し得る温度つまり該含フッ素樹脂の
DSC測定による融解開始温度以上、かつ融解終了温度
以下の温度で含フッ素樹脂粒子相互を融着させると、樹
脂粒子により形成された空隙が消失せずかつ多孔質体に
適当な強度を与えることができる。
素樹脂粒子の表面融着により含フッ素樹脂粒子相互の積
み重なりを形成させた撥水性含フッ素樹脂表面を有する
物品を製造する方法を説明する。表面融着とは、粒子表
面における部分的な粒子同志の融着である。粒子が実質
的に粒子形状を保持し得る温度つまり該含フッ素樹脂の
DSC測定による融解開始温度以上、かつ融解終了温度
以下の温度で含フッ素樹脂粒子相互を融着させると、樹
脂粒子により形成された空隙が消失せずかつ多孔質体に
適当な強度を与えることができる。
【0026】(塗着)塗着とは、塗料に用いられる方法
にて、含フッ素樹脂粒子又は含フッ素樹脂粒子を含有す
る分散液を物品表面上に付着させることをいう。物品表
面に平均粒子径40μm以下の含フッ素樹脂粒子を塗着
する方法としては、スプレー塗装、静電塗装または浸漬
などが挙げられる。より具体的な方法を述べれば、平均
粒子径0. 2μm程度の乳化重合から得らた含フッ素樹
脂分散液をスプレー塗装する方法が挙げられる。このス
プレー塗装の過程において含フッ素樹脂粒子相互の積み
重なりにより多孔質体が形成されるし、この塗着条件に
より空隙の大きさを制御することができる。また水性分
散液にエタノール等の凝集剤を加えて粒子を凝集させた
後、スプレー塗装してもよい。平均粒子径が25μm程
度であるPFA又はFEPの粉体塗料はそのまま静電塗
装することができる。
にて、含フッ素樹脂粒子又は含フッ素樹脂粒子を含有す
る分散液を物品表面上に付着させることをいう。物品表
面に平均粒子径40μm以下の含フッ素樹脂粒子を塗着
する方法としては、スプレー塗装、静電塗装または浸漬
などが挙げられる。より具体的な方法を述べれば、平均
粒子径0. 2μm程度の乳化重合から得らた含フッ素樹
脂分散液をスプレー塗装する方法が挙げられる。このス
プレー塗装の過程において含フッ素樹脂粒子相互の積み
重なりにより多孔質体が形成されるし、この塗着条件に
より空隙の大きさを制御することができる。また水性分
散液にエタノール等の凝集剤を加えて粒子を凝集させた
後、スプレー塗装してもよい。平均粒子径が25μm程
度であるPFA又はFEPの粉体塗料はそのまま静電塗
装することができる。
【0027】(分散媒)本発明の撥水性物品の製造に
は、乳化重合から直接得られたコロイド粒子、さらには
これをエタノールで凝集させた凝集粒子や懸濁重合から
得られた粒子を粉砕した粒子が使用される。これらの粒
子を用いて非定形多孔質体を形成するためには、粒子が
物品に塗着する時点では液体中に分散していることが好
ましい。
は、乳化重合から直接得られたコロイド粒子、さらには
これをエタノールで凝集させた凝集粒子や懸濁重合から
得られた粒子を粉砕した粒子が使用される。これらの粒
子を用いて非定形多孔質体を形成するためには、粒子が
物品に塗着する時点では液体中に分散していることが好
ましい。
【0028】含フッ素樹脂粒子で形成された非定形多孔
質体に多量の界面活性剤が含まれる場合は、多孔質体中
に水滴が吸収されやすい状態となり、撥水性が発現され
ない。そのためスプレー塗装等によって含フッ素樹脂粒
子を含む分散液を塗装する場合分散媒は界面活性剤を含
まないものが好ましいが、実質的に撥水性に影響を与え
ないので、含フッ素樹脂を乳化重合で製造する場合に乳
化剤として用いられる量程度の界面活性剤を含むことが
できる。
質体に多量の界面活性剤が含まれる場合は、多孔質体中
に水滴が吸収されやすい状態となり、撥水性が発現され
ない。そのためスプレー塗装等によって含フッ素樹脂粒
子を含む分散液を塗装する場合分散媒は界面活性剤を含
まないものが好ましいが、実質的に撥水性に影響を与え
ないので、含フッ素樹脂を乳化重合で製造する場合に乳
化剤として用いられる量程度の界面活性剤を含むことが
できる。
【0029】分散媒は非引火性及び環境衛生の面から水
が好ましく、この場合エタノールの添加により含フッ素
樹脂粒子を凝集することができる。
が好ましく、この場合エタノールの添加により含フッ素
樹脂粒子を凝集することができる。
【0030】(表面融着温度)物品表面に塗着させた含
フッ素樹脂粒子を相互に表面融着させることによって非
定形多孔質体が得られるが、平均粒子径40μm以下の
含フッ素樹脂粒子相互の表面融着により多孔質体を形成
させて、かつ膜自体の強度及び物品との付着強度を増加
させるためには、熱処理温度を厳密に調節することが必
要である。
フッ素樹脂粒子を相互に表面融着させることによって非
定形多孔質体が得られるが、平均粒子径40μm以下の
含フッ素樹脂粒子相互の表面融着により多孔質体を形成
させて、かつ膜自体の強度及び物品との付着強度を増加
させるためには、熱処理温度を厳密に調節することが必
要である。
【0031】物品に含フッ素樹脂粒子を含んだ分散液を
塗着した後、温度を上昇させていくと、分散媒が蒸発し
て残留した含フッ素樹脂粒子が積み重なり物品上に非定
形多孔質体が形成される。DSC測定による融解開始温
度以下では、粒子相互はまだ表面融着していないので空
隙率が大きいため、撥水性は高いが強度が弱い。融解開
始温度以上になると粒子相互の表面が融着し、空隙率は
徐々に低下し、撥水性も表面融着前に比べると若干低下
するが、強度は増大する。しかしさらに温度をあげ、融
解終了温度以上で長時間加熱すると含フッ素樹脂粒子は
全面融着して多孔質体は消滅し、表面は平滑となり、撥
水性は著しく低下していく。粒子相互の表面融着を行う
時間は通常10分以上あれば充分であり、特に15〜2
0分間程度が望ましい。
塗着した後、温度を上昇させていくと、分散媒が蒸発し
て残留した含フッ素樹脂粒子が積み重なり物品上に非定
形多孔質体が形成される。DSC測定による融解開始温
度以下では、粒子相互はまだ表面融着していないので空
隙率が大きいため、撥水性は高いが強度が弱い。融解開
始温度以上になると粒子相互の表面が融着し、空隙率は
徐々に低下し、撥水性も表面融着前に比べると若干低下
するが、強度は増大する。しかしさらに温度をあげ、融
解終了温度以上で長時間加熱すると含フッ素樹脂粒子は
全面融着して多孔質体は消滅し、表面は平滑となり、撥
水性は著しく低下していく。粒子相互の表面融着を行う
時間は通常10分以上あれば充分であり、特に15〜2
0分間程度が望ましい。
【0032】多孔質体を保持するために2種以上の含フ
ッ素樹脂粒子、例えば多孔質形成粒子としてPTFE樹
脂、補助材として熱溶融性のPFA樹脂やFEP樹脂を
用いることもできるが、その場合の表面融着は、融解終
了温度の高いPTFE樹脂を基準として、PTFE樹脂
の融解開始温度以上、かつ融解終了温度以下の温度で行
われる。
ッ素樹脂粒子、例えば多孔質形成粒子としてPTFE樹
脂、補助材として熱溶融性のPFA樹脂やFEP樹脂を
用いることもできるが、その場合の表面融着は、融解終
了温度の高いPTFE樹脂を基準として、PTFE樹脂
の融解開始温度以上、かつ融解終了温度以下の温度で行
われる。
【0033】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明する。なお実施例に用いた原料含フッ素樹脂
粒子の種類、温度測定法、塗装法、製品の物性測定法等
は以下のとおりである。
体的に説明する。なお実施例に用いた原料含フッ素樹脂
粒子の種類、温度測定法、塗装法、製品の物性測定法等
は以下のとおりである。
【0034】(1)原料含フッ素樹脂粒子 原料として用いた含フッ素樹脂を表1に示す。ここでT
1 :融解開始温度,Tpeak:融解ピーク温度,T2 :融
解終了温度(℃)である。
1 :融解開始温度,Tpeak:融解ピーク温度,T2 :融
解終了温度(℃)である。
【0035】
【表1】
【0036】<平均粒子径測定法> ・平均粒子径5〜300μmの粉末については マイクロトラック法:LEEDS&NORTHRUP社
製 マイクロトラック粒度分析計model7991−
01により測定。 ・平均粒子径0. 5μm以下の粒子については 濁度法:島津マルチパーパス自己分光光度計(ハロゲン
ランプ)により測定。
製 マイクロトラック粒度分析計model7991−
01により測定。 ・平均粒子径0. 5μm以下の粒子については 濁度法:島津マルチパーパス自己分光光度計(ハロゲン
ランプ)により測定。
【0037】(2)DSC融解温度測定法 パーキンエルマー社製DSC7型示差走査熱量計を使用
した。試料5mgをひょう量して専用のアルミパンに入
れ、専用のクリンパーによってクリンプした後DSC本
体に収納し昇温を開始する。200℃から380℃まで
10℃/分で昇温し、この時得られる融解曲線から融解
開始温度(T1 )、融解ピーク温度(Tpeak)そして融
解終了温度(T2 )を求めた。
した。試料5mgをひょう量して専用のアルミパンに入
れ、専用のクリンパーによってクリンプした後DSC本
体に収納し昇温を開始する。200℃から380℃まで
10℃/分で昇温し、この時得られる融解曲線から融解
開始温度(T1 )、融解ピーク温度(Tpeak)そして融
解終了温度(T2 )を求めた。
【0038】(3)塗装法 <スプレー塗装>口径0. 6mmのノズルにて3kg/cm2
Gの空気圧で厚み2mm×幅50mm×長さ100mm
のアルミ板にスプレー塗装した。 <静電塗装>静電塗装機(小野田セメント(株)製GX
- 200T)と静電粉体塗装ガン(小野田セメント
(株)製GX- 107)を用いて、粉体を塗装電圧10
Kv(負)、吐出量約50g/min にて25cm離れているア
ースされた厚み2mm×幅50mm×長さ100mmの
アルミ板に静電吹き付け塗装した。
Gの空気圧で厚み2mm×幅50mm×長さ100mm
のアルミ板にスプレー塗装した。 <静電塗装>静電塗装機(小野田セメント(株)製GX
- 200T)と静電粉体塗装ガン(小野田セメント
(株)製GX- 107)を用いて、粉体を塗装電圧10
Kv(負)、吐出量約50g/min にて25cm離れているア
ースされた厚み2mm×幅50mm×長さ100mmの
アルミ板に静電吹き付け塗装した。
【0039】(4)転水角測定法 長さ550mmの板の一方を上げることによって傾斜を
つくり、この上に多孔質体を形成したアルミ板 (幅5
0mm長さ100mm)を置いて、この表面8mm上の
ノズルから蒸留水の0. 05gの水滴を落とす。この水
滴が表面に落ちた後止まらずにその傾斜に沿って転がり
落ちる最小の傾斜を水平距離500mmに対し上がった
距離(mm)即ち、傾斜角の正接値で表す。
つくり、この上に多孔質体を形成したアルミ板 (幅5
0mm長さ100mm)を置いて、この表面8mm上の
ノズルから蒸留水の0. 05gの水滴を落とす。この水
滴が表面に落ちた後止まらずにその傾斜に沿って転がり
落ちる最小の傾斜を水平距離500mmに対し上がった
距離(mm)即ち、傾斜角の正接値で表す。
【0040】(5)多孔性測定法(最大イソプロピルア
ルコール拡散径テスト) 非定形多孔質体にIPAをマイクロシリンジを用いて
0. 01ml滴下し、液の最大拡散径(mm)を測定す
る。多孔質のものは、IPAが塗膜内に浸透し滴下時の
直径から直径20mm程度まで拡散するのに対して、P
TFEの切削シートでは初期の直径約5. 0mmのまま
である。
ルコール拡散径テスト) 非定形多孔質体にIPAをマイクロシリンジを用いて
0. 01ml滴下し、液の最大拡散径(mm)を測定す
る。多孔質のものは、IPAが塗膜内に浸透し滴下時の
直径から直径20mm程度まで拡散するのに対して、P
TFEの切削シートでは初期の直径約5. 0mmのまま
である。
【0041】[実施例1]乳化重合から得られたPFA
水性分散液(平均粒子径0. 17μm)をアルミ板にス
プレー塗装した。これを120℃で20分間乾燥した
後、310℃にて20分間熱処理して撥水性PFA樹脂
表面を有する物品を得た。得られた物品の表面の電子顕
微鏡写真は図1に示すとおり、微小粒子径のPFA樹脂
粒子が相互に積み重なり、樹脂粒子間に空隙が形成さ
れ、不規則な形状の多孔質体となっている。またこの表
面の転水角度は1/500であった。なお最大イソプロ
ピルアルコール拡散径は、23mmであった。
水性分散液(平均粒子径0. 17μm)をアルミ板にス
プレー塗装した。これを120℃で20分間乾燥した
後、310℃にて20分間熱処理して撥水性PFA樹脂
表面を有する物品を得た。得られた物品の表面の電子顕
微鏡写真は図1に示すとおり、微小粒子径のPFA樹脂
粒子が相互に積み重なり、樹脂粒子間に空隙が形成さ
れ、不規則な形状の多孔質体となっている。またこの表
面の転水角度は1/500であった。なお最大イソプロ
ピルアルコール拡散径は、23mmであった。
【0042】このような非定形多孔質体に水滴を滴下し
た場合、水滴は非定形多孔質体の突起部分のみで含フッ
素樹脂と接触するので、極めて撥水性が高く、水に対す
る濡れ角度はおよそ150度以上であった。他の実施例
の結果と共に表2に示す。
た場合、水滴は非定形多孔質体の突起部分のみで含フッ
素樹脂と接触するので、極めて撥水性が高く、水に対す
る濡れ角度はおよそ150度以上であった。他の実施例
の結果と共に表2に示す。
【0043】[実施例2]乳化重合から得られたFEP
水性分散液(平均粒子径0. 16μm)3gに水2gと
エタノール2gを加え超音波にて混合凝集した後、アル
ミ板にスプレー塗装した。これを120℃にて20分間
乾燥した後260℃にて20分間熱処理して撥水性FE
P樹脂表面を有する物品を得た。この表面の転水角度は
3/500であった。最大イソプロピルアルコール拡散
径は、20mmであった。
水性分散液(平均粒子径0. 16μm)3gに水2gと
エタノール2gを加え超音波にて混合凝集した後、アル
ミ板にスプレー塗装した。これを120℃にて20分間
乾燥した後260℃にて20分間熱処理して撥水性FE
P樹脂表面を有する物品を得た。この表面の転水角度は
3/500であった。最大イソプロピルアルコール拡散
径は、20mmであった。
【0044】[実施例3]乳化重合から得られたPTF
E水性分散液(平均粒子径0. 22μm)に水を加えて
固形分23wt% に希釈した。これをアルミ板にスプレー
塗装した。これを120℃にて20分間乾燥した後更に
340℃にて20分間熱処理して撥水性PTFE樹脂表
面を有する物品を得た。この表面の転水角度は1/50
0であった。最大イソプロピルアルコール拡散径は、1
6mmであった。
E水性分散液(平均粒子径0. 22μm)に水を加えて
固形分23wt% に希釈した。これをアルミ板にスプレー
塗装した。これを120℃にて20分間乾燥した後更に
340℃にて20分間熱処理して撥水性PTFE樹脂表
面を有する物品を得た。この表面の転水角度は1/50
0であった。最大イソプロピルアルコール拡散径は、1
6mmであった。
【0045】[実施例4]乳化重合から得られたPFA
水性分散液(平均粒子径0. 17μm)1gとPTFE
モールディングパウダー(平均粒径26μm)1gをエ
タノール5gに分散混合し、アルミ板にスプレー塗装し
た。これを120℃にて20分間乾燥した後、350℃
にて20分間熱処理して撥水性含フッ素樹脂表面を有す
る物品を得た。この表面の転水角度は12/500であ
った。最大イソプロピルアルコール拡散径は、8mmで
あった。
水性分散液(平均粒子径0. 17μm)1gとPTFE
モールディングパウダー(平均粒径26μm)1gをエ
タノール5gに分散混合し、アルミ板にスプレー塗装し
た。これを120℃にて20分間乾燥した後、350℃
にて20分間熱処理して撥水性含フッ素樹脂表面を有す
る物品を得た。この表面の転水角度は12/500であ
った。最大イソプロピルアルコール拡散径は、8mmで
あった。
【0046】本実験においては融点の異なる2種類の含
フッ素樹脂粒子を原料として用い、350℃にて熱処理
したため、PFA樹脂は溶融したが、高融点のPTFE
樹脂の融解終了温度以下であったため、PTFEの多孔
質体が形成され、強度、撥水性ともに優れた表面を有す
る物品が得られた。
フッ素樹脂粒子を原料として用い、350℃にて熱処理
したため、PFA樹脂は溶融したが、高融点のPTFE
樹脂の融解終了温度以下であったため、PTFEの多孔
質体が形成され、強度、撥水性ともに優れた表面を有す
る物品が得られた。
【0047】[実施例5]PFA粉体塗料(平均粒径2
5μm)をアルミ板に静電塗装して310℃で20分間
焼成した。得られた物品の表面の電子顕微鏡写真は図2
に示すとおり、微小粒子径のPFA樹脂粒子が相互に積
み重なり、樹脂粒子間に空隙を有する、多孔質体を形成
している。この表面の転水角度は7/500であった。
最大イソプロピルアルコール拡散径は、20mmであっ
た。
5μm)をアルミ板に静電塗装して310℃で20分間
焼成した。得られた物品の表面の電子顕微鏡写真は図2
に示すとおり、微小粒子径のPFA樹脂粒子が相互に積
み重なり、樹脂粒子間に空隙を有する、多孔質体を形成
している。この表面の転水角度は7/500であった。
最大イソプロピルアルコール拡散径は、20mmであっ
た。
【0048】[比較例1]PFA粉体塗料(平均粒径6
3μm)をアルミ板に静電塗装して310℃で20分間
焼成した。この表面の転水角度は23/500であっ
た。最大イソプロピルアルコール拡散径は、16mmで
あった。
3μm)をアルミ板に静電塗装して310℃で20分間
焼成した。この表面の転水角度は23/500であっ
た。最大イソプロピルアルコール拡散径は、16mmで
あった。
【0049】[比較例2]乳化重合から得られたPFA
水性分散液(平均粒子径0. 17μm)をアルミ板にス
プレー塗装した。120℃で20分間乾燥した後、融解
終了温度以上の360℃で20分間熱処理してPFA樹
脂表面を有する物品を得た。得られた物品の表面の電子
顕微鏡写真は図3に示すとおり、PFA樹脂粒子が全面
融解して樹脂粒子間には空隙がなく、多孔質体になって
いない。この表面の転水角度は150/500であっ
た。最大イソプロピルアルコール拡散径は5. 0mmで
あった。
水性分散液(平均粒子径0. 17μm)をアルミ板にス
プレー塗装した。120℃で20分間乾燥した後、融解
終了温度以上の360℃で20分間熱処理してPFA樹
脂表面を有する物品を得た。得られた物品の表面の電子
顕微鏡写真は図3に示すとおり、PFA樹脂粒子が全面
融解して樹脂粒子間には空隙がなく、多孔質体になって
いない。この表面の転水角度は150/500であっ
た。最大イソプロピルアルコール拡散径は5. 0mmで
あった。
【0050】[比較例3]界面活性剤を粒子重量に対し
て3. 6%含有したPTFE水性分散液(平均粒子径
0. 22μm)を水にて固形分20wt% まで希釈してア
ルミ板にスプレー塗装した。これを120℃にて20分
間乾燥してPTFE樹脂表面を有する物品を得た。この
表面の転水角度は、膜に水滴が吸収されて測定不能であ
った。
て3. 6%含有したPTFE水性分散液(平均粒子径
0. 22μm)を水にて固形分20wt% まで希釈してア
ルミ板にスプレー塗装した。これを120℃にて20分
間乾燥してPTFE樹脂表面を有する物品を得た。この
表面の転水角度は、膜に水滴が吸収されて測定不能であ
った。
【0051】[比較例4]乳化重合から得られたPFA
水性分散液(平均粒子径0. 17μm)3gに水2gと
エタノール2gを混合し凝集させた後、アルミ板にスプ
レー塗装した。これを120℃にて20分間乾燥した
後、360℃にて20分間焼成してPFA樹脂表面を有
する物品を得た。この表面の転水角度は115/500
であった。最大イソプロピルアルコール拡散径は、5.
0mmであった。
水性分散液(平均粒子径0. 17μm)3gに水2gと
エタノール2gを混合し凝集させた後、アルミ板にスプ
レー塗装した。これを120℃にて20分間乾燥した
後、360℃にて20分間焼成してPFA樹脂表面を有
する物品を得た。この表面の転水角度は115/500
であった。最大イソプロピルアルコール拡散径は、5.
0mmであった。
【0052】[比較例5]PFA粉体塗料(平均粒径2
5μm)をアルミ板に静電塗装して360℃で20分間
焼成してPFA樹脂表面を有する物品を得た。この表面
の転水角度は115/500であった。最大イソプロピ
ルアルコール拡散径は、5. 0mmであった。
5μm)をアルミ板に静電塗装して360℃で20分間
焼成してPFA樹脂表面を有する物品を得た。この表面
の転水角度は115/500であった。最大イソプロピ
ルアルコール拡散径は、5. 0mmであった。
【0053】[比較例6]PTFEモールディングパウ
ダー(平均粒径26μm)を圧縮成形し焼成したビレッ
トから厚み0. 1mmのフィルムを切削した。この表面
の転水角度は120/500であった。最大イソプロピ
ルアルコール拡散径は、5. 0mmであった。
ダー(平均粒径26μm)を圧縮成形し焼成したビレッ
トから厚み0. 1mmのフィルムを切削した。この表面
の転水角度は120/500であった。最大イソプロピ
ルアルコール拡散径は、5. 0mmであった。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明の非定形多孔質体からなる撥水性
含フッ素樹脂表面を有する物品は高い撥水性を示すので
電極の撥水等の工業用途及び電線、碍子や建築用タイル
の防汚、雪害・ 着氷・ 塩害防止のため建築や土木用途に
広く利用できる。
含フッ素樹脂表面を有する物品は高い撥水性を示すので
電極の撥水等の工業用途及び電線、碍子や建築用タイル
の防汚、雪害・ 着氷・ 塩害防止のため建築や土木用途に
広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた本発明物品の撥水性含フ
ッ素樹脂表面の電子顕微鏡写真である。
ッ素樹脂表面の電子顕微鏡写真である。
【図2】 実施例5で得られた本発明物品の撥水性含フ
ッ素樹脂表面の電子顕微鏡写真である。
ッ素樹脂表面の電子顕微鏡写真である。
【図3】 比較例2で得られた物品の含フッ素樹脂表面
の電子顕微鏡写真である。
の電子顕微鏡写真である。
Claims (3)
- 【請求項1】 平均粒子径40μm以下の含フッ素樹脂
粒子相互の積み重なりにより形成された最大IPA拡散
径が8mm以上である非定形多孔質体からなり、且つ転
水角の正接値が50/500以下であることを特徴とす
る撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品。 - 【請求項2】 含フッ素樹脂粒子がポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン・
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(P
FA)樹脂又はテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体(FEP)樹脂である請求項1記
載の撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品 - 【請求項3】 含フッ素樹脂粒子の分子量が10万以上
である請求項1〜2記載の撥水性物品。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26612494A JPH07228821A (ja) | 1993-12-22 | 1994-10-06 | 撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品 |
PCT/JP1994/002163 WO1995017477A1 (fr) | 1993-12-22 | 1994-12-21 | Article dote d'une surface en fluororesine hydrophobe et procede de production dudit article |
EP95903914A EP0696623A4 (en) | 1993-12-22 | 1994-12-21 | ARTICLE HAVING A HYDROPHOBIC FLUORORESIN SURFACE AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME |
US08/507,228 US5968642A (en) | 1993-12-22 | 1994-12-21 | Article having a water-repellent fluororesin surface, and method for manufacturing the same |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34549793 | 1993-12-22 | ||
JP5-345497 | 1993-12-22 | ||
JP26612494A JPH07228821A (ja) | 1993-12-22 | 1994-10-06 | 撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07228821A true JPH07228821A (ja) | 1995-08-29 |
Family
ID=26547312
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26612494A Pending JPH07228821A (ja) | 1993-12-22 | 1994-10-06 | 撥水性含フッ素樹脂表面を有する物品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07228821A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017002269A (ja) * | 2015-06-15 | 2017-01-05 | 富士重工業株式会社 | 混合塗料、翼、および防除氷システム |
-
1994
- 1994-10-06 JP JP26612494A patent/JPH07228821A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017002269A (ja) * | 2015-06-15 | 2017-01-05 | 富士重工業株式会社 | 混合塗料、翼、および防除氷システム |
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