JPH0722747U - ハンディ型吸入器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使い勝手のよいハンディ型吸入器の提供。 【構成】 吸入器は、薬剤の霧化手段１０と、この霧化
手段１０により霧化状態にされた薬剤を放出するノズル
１２と、把持用ケース１４とを有している。ケース１４
は、小径円筒部１４ａと、大径円筒部１４ｂと、底部１
４ｃとを有し、上端側が開口した有底筒状に形成された
ものであって、小径円筒部１４ａと大径円筒部１４ｂと
を側面側で結合した略瓢箪形の横断面を有している。霧
化手段１０は、ケース１０内の大径円筒部１４ｂ側に内
蔵されていて、圧電振動子１０ａと振動液とを有してい
る。ノズル１２は、透明なゴム状部材から構成されてい
て、基部側をカバー４６の第１環状突起４６ｅに嵌着す
ることにより取り付けられる。このとき、基部の嵌着状
態を変えることにより、霧化された薬剤の放出方向が任
意に選択できるようになっている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ハンディ型吸入器に関し、特に、その使用勝手を向上させる技術 に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

鼻および喉を治療する際に用いられる器具として吸入器が知られており、この 種の吸入器は、例えば、初期感冒やアレルギー性鼻炎などの治療に活用されてい る。このような治療に用いられる吸入器は、薬剤に熱や振動を加えることにより 霧化状態にして患者に吸入させるものであって、ハンディ型と据え置き型とが市 販されている。

【０００３】 ところで、ハンディ型の吸入器は、手軽に携帯できることから各種の形状が提 案されており、例えば、実開昭５７−５１５４１号公報，実開昭６１−１０９５ ４５号公報，実開平４−７５７５０号公報などにその構造例が開示されている。 実開昭５７−５１５４１号公報に示されている吸入器は、霧化手段が内蔵される 筒状のケースを備え、このケースは、その横断面が小径半円と大径半円とを接線 で結んだ筒形状になっていて、このケースの上部側の小径半円側に霧化された薬 剤を放出するノズルが固定状態に設けられている。

【０００４】 このような構造の吸入器では、使用する際には、ケースの大径半円側を握って 、小径円側に設けられたノズルを鼻や喉に臨ませることになる。また、実開昭６ １−１０９５４５号公報に示されている吸入器は、霧化手段が内蔵されているケ ースが略箱形に形成され、ケースの幅は、後端から前端側に向けて先細まり状に 形成され、前端側の側面に霧化された薬剤を放出するノズルが固定状態に設けら れている。

【０００５】 このような構造の吸入器では、使用する際には、ケースの後端側を握って、先 細まり状に形成された前端側のノズルを鼻や喉に臨ませることになる。さらに、 実開平４−７５７５０号公報に示されている吸入器は、霧化手段が内蔵される円 筒状のケースを備え、このケースの上部側に霧化された薬剤を放出するノズルが 固設されている。

【０００６】 このような構造の吸入器では、使用する際には、円筒状のケースを握って、ノ ズルを鼻や喉に臨ませることになる。しかしながら、このような構造の従来のハ ンディ型吸入器には、以下に説明するような技術的課題があった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

すなわち、前述した公報に開示されている吸入器では、ノズルがいずれも固定 されているので、大径半円側の部分やケースの後端部分または円筒状のケースを 握って使用することになる。ところが、この種の吸入器は、大人だけでなく子供 も使用するが、前述した公報に開示されている吸入器の構造では、大径半円側の 部分やケースの後端部分または円筒状のケースからなる把持部を、例えば、大人 が使用する大きさに設定すると、子供が使用する際には、大きすぎて把持し難い ものとなり、逆に、把持部を子供用に設定すると、大人には使用し難い形状とな り、使い勝手の面で改良すべき余地があった。

【０００８】 本考案は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的 とするところは、大人から子供まで使用することができる使い勝手に優れたハン ディ型吸入器を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、薬剤の霧化手段と、この霧化手段により 霧化状態された薬剤が放出されるノズルとを有するハンディ型吸入器であって、 前記霧化手段が内蔵される筒状の把持用ケースを備え、この把持用ケースは、小 径円筒部と大径円筒部とを側面側で結合した略瓢箪形横断面を有し、前記ノズル を、霧化状態にされた薬剤の放出方向を変更可能に前記ケースの上端面側に装着 したことを特徴とする。

【００１０】 前記把持用ケースには、前記小径円筒部と大径円筒部とを結合した部分に前記 霧化手段の操作スイッチを設けることができる。また、前記把持用ケースには、 前記操作スイッチに隣接して表示灯を設けることができる。

【００１１】

【作用】

上記構成のハンディ型吸入器によれば、この把持用ケースは、小径円筒部と大 径円筒部とを側面側で結合した略瓢箪形横断面を有しているので、大人は、大径 円筒部側を握ることができるとともに、子供は、小径円筒部側を握ることができ る。このとき、ノズルは、霧化状態された薬剤の放出方向を変更可能にケースの 上端面側に装着されるので、握った状態に合わせて、霧化状態された薬剤の放出 方向を変えることができる。

【００１２】 請求項２の構成によれば、把持用ケースには、小径円筒部と大径円筒部とを結 合した部分に霧化手段の操作スイッチが設けられているので、ケースを握った状 態で指先でスイッチを操作することができる。また、請求項３の構成によれば、 把持用ケースには、操作スイッチに隣接して表示灯が設けられているので、スイ ッチの操作を直ちに確認することができる。

【００１３】

【実施例】

以下本考案の好適な実施例について添附図面を参照して詳細に説明する。図１ から図６は、本考案にかかるハンディ型吸入器の一実施例を示している。同図に 示す吸入器は、薬剤の霧化手段１０と、この霧化手段１０により霧化状態にされ た薬剤を放出するノズル１２と、把持用ケース１４とを有している。ケース１４ は、小径円筒部１４ａと、大径円筒部１４ｂと、底部１４ｃとを有し、上端側が 開口した有底筒状に形成されたものであって、小径円筒部１４ａと大径円筒部１ ４ｂとを側面側で結合した略瓢箪形の横断面を有している。

【００１４】 霧化手段１０は、ケース１０内の大径円筒部１４ｂ側に内蔵されていて、圧電 振動子１０ａと振動液１０ｂとを有している。圧電振動子１０ａは、ケース１０ の開口端を閉塞する蓋板１６に支持される中空筒体１８の下端に保護シート１９ および取付板２０を介して、中空筒体１８の下端を閉塞するように固着されてい る。振動液１０ｂは、例えば、蒸留水から構成され、圧電振動子１０ａの上面に 設けられた保護シート１９と接触するようにして、中空筒体１８の中間位置にフ ィルム状シート２２を溶着することにより、筒体１８内に封入されている。

【００１５】 中空筒体１８は、略瓢箪形に形成された蓋板１６の一端側（ケース１０の大径 円筒部１４ｂ側）に、その上端が上方に突出するように固設され、蓋板１６の他 端側（ケース１０の小径円筒部１４ａ側）には、貫通孔２４が穿設されている。 この貫通孔２４には、下方からモータ２６の回転軸が挿通され、挿通された回転 軸には、上方からエンペラ２８が嵌着される。

【００１６】 モータ２６およびエンペラ２８は、ケース１４の小径円筒部１４ａの内周径よ りも小さい直径を有していて、霧化された薬剤をノズル１２側に向けて送りだす 風を創出するものであって、モータ２６には、基板３１に搭載された制御回路を 介して電力が供給される。なお、この実施例では、圧電素子１０ａおよびモータ ２６の駆動用電力は、図示は省略しているが、ケース１４内に内蔵される２次電 池により行われる。

【００１７】 中空筒体１８が蓋板１６の上方に突出した部分には、薬剤を収納する薬皿３２ がその内面側に嵌着される。この実施例の薬皿３２は、図７にその詳細を示すよ うに、下方に傾斜した底面を有していて、フィルム状シート２２との間にゲルソ ニック剤３４が介在される。このゲルソニック剤３４は、振動の伝達を改善して 薬剤の霧化効率を向上させるものであって、ポリマー，加湿剤，水，保存料，界 面活性剤などから構成されている。

【００１８】 一方、ケース１４の前面側には、１つの大径貫通孔１４ｄと、その上部側に２ つの小径貫通孔１４ｅとが形成されている。また、ケース１４の小径円筒部１４ ａの側面下端には、１つの円形貫通孔１４ｆが形成されている。大径貫通孔１４ ｄは、その背面側に挿入される基板３６に支持された操作スイッチ３８が挿入さ れるものであって、挿入されるスイッチ３８には、スイッチカバー４０が装着さ れる。

【００１９】 小径貫通孔１４ｅの背面側は、基板３６に支持された表示灯４０が配置され、 この表示灯４０は、具体的には、２個の発光ダイオードから構成されていて、こ の２個の発光ダイオードがカバー４２を介して小径貫通孔１４ｅに臨むように設 けられている。なお、２個の発光ダイオードは、一方が操作スイッチ３８のオン ，オフに対応して点滅し、他方が２次電池の充電時に点灯する。

【００２０】 円形貫通孔１４ｆの背面側には、２次電池に接続されたコネクタ４４が取り付 けられていて、このコネクタ４４には、商用電源に接続されるアダプタが２次電 池を充電する際に挿入される。以上の構成により、操作スイッチ３８は、ケース １４の小径円筒部１４ａと大径円筒部１４ｂとを結合した部分に配置され、この 操作スイッチ３８に近接して表示灯４０が設けられている。

【００２１】 蓋体１６は、ケース１４の上端開口端に、その上面側の一部が突出するように して嵌着固定されるものであり、この突出した部分には、その上方から透明なカ バー４６が嵌着される。カバー４６は、下端が開口し、横断面がケース１４と同 じ瓢箪形に形成され、ケース１４の小径円筒部１４ａと大径円筒部１４ｂとに対 応した径を有する小径周壁部４６ａおよび大径周壁部４６ｂと、天井部４６ｃと を有している。

【００２２】 大径周壁部４６ｂの中心上の天井部４６ｃには、これを貫通する円形透孔４６ ｄが設けられるとともに、その周辺に上方に突出する第１環状突起４６ｅが設け られているとともに、第１環状突起４６ｅの外側において下方に突出する第２環 状突起４６ｆが設けられている。 また、小径周壁部４６ａの中心上は、円形透孔４６ｇが形成され、この円形透 孔４６ｇの内周側には、小径周壁部４６ａに繋がる円弧壁４６ｈが形成され、こ の円弧壁４６ｈと対向する部分の小径周壁部４６ａに円弧状の切欠部４６ｉが形 成されている。さらに、小径周壁部４６ａの内周面には、切欠部４６ｉが設けら れた高さ位置において、内方に突出する円弧状張出部４６ｊが形成され、この張 出部４６ｊの上面には、円弧状突起４６ｋが一体に突設されている。

【００２３】 またさらに、円弧壁４６ｈの内周面には、その周方向に沿って所定の間隔をお いて、複数のノッチ溝４６ｌが形成されている。円形透孔４６ｄの外周に設けら れた第２環状突起４６ｆには、その下方から霧化薬剤の整流部材４８が装着され る。この整流部材４８は、中空筒体１８の上端側に嵌着されるフランジ部４８ａ と、このフランジ部４８ａの内周に一体に突設され、上端側が第２環状突起４６ ｆに嵌着される両端が開口した中空筒部４８ｂと、この中空筒部４８ｂの内周面 に固着されたドーム部４８ｃと、中空筒部４８ｂの対向する部分に設けられた一 対のスリット孔４８ｄとから構成されている。

【００２４】 このように構成された整流部材４８では、薬皿３２から霧化した薬剤は、上方 に移動してドーム部４８ｃに衝突する。そして、ドーム部４８ｃの球面状の内面 に衝突した薬剤は、その後ドーム部４８ｃの中心に向かって反射し、下方から順 次移動してくる薬剤とドーム部４８ｃ内で混合された後に、ドーム部４８ｃの下 端を迂回するようにして、中空筒部４８ｂの内周面とドーム部４８ｃの外周面と の間を、スリット孔４８ｄを介して導入されるエンペラ２８で創出された風に乗 ってノズル１２側に送りだされる。

【００２５】 円形透孔４６ｇ内には、風量調整部材５０が装着される。風量調整部材５０は 、キャツプ状に形成されたものであって、その周壁５０ａの内周面には、フィル タ５２が配置されるとともに、周壁５０ａには、周方向に延びる孔５０ｂと、ス ライドつまみ５０ｃが設けられている。この風量調整部材５０は、周壁５０ａの 下端内周を円弧状突起４６ｋに嵌合してカバー４６に位置決め装着され、スライ ドつまみ５０ｃを介してこれを周方向に移動させることにより、孔５０ｂが切欠 部４６ｉに露出する部分の長さを変化させることで、エンペラ２８で惹起する風 の量を調整する。

【００２６】 なお、このような調整状態において、風量調整部材５０の周壁５０ａの外面に は、図示省略の突起が設けられていて、この突起がノッチ溝４６ｌに順次嵌合す ることにより孔５０ｂと切欠部４６ｉとの相互の位置関係が固定される。ノズル １２は、本実施例では透明なゴム状部材から構成されていて、基部側をカバー４ ６の第１環状突起４６ｅに嵌着することにより取り付けられる。

【００２７】 このとき、基部の嵌着状態を変えることにより、霧化された薬剤の放出方向が 任意に選択できるようになっている。また、本実施例の場合には、ノズル１２が 軟質なゴム状部材で構成されているので、ノズル１２を第１環状突起４６ｅに嵌 着した状態でこれを回転することでも放出方向の向きが変えられる。カバー４６ の天井部４ｃの外周縁には、カバー４６の上方から装着されるキャップ５４と嵌 合可能な切除部４６ｍが形成されている。キャップ５４は、ケース１４の横断面 と同様な断面形状の周壁部５４ａと、天井部５４ｂとを有している。

【００２８】 天井部５４ｂの上面側には、ケース１４の下端面に設けられた略瓢箪形の凸部 １４ｇと嵌合可能な凹部５４ｃが形成されている。さて、以上のように構成され たハンディ型吸入器では、薬皿３２内に薬剤を載せて、操作スイッチ３８をオン 状態にすることにより、圧電振動子１０ａの振動が振動液１０ｂを介して薬剤に 伝達されて、薬剤が霧化状態にされ、霧化状態の薬剤がエンペラ２８で惹起され る風によって、ノズル１２から放出される。

【００２９】 このとき、本実施例の吸入器では、把持用ケース１４は、小径円筒部１４ａと 大径円筒部１４ｂとを側面側で結合した略瓢箪形横断面を有しているので、大人 は、大径円筒部１４ｂ側を握ることができるとともに、子供は、小径円筒部１４ ａ側を握ることができる。このとき、ノズル１２は、霧化状態された薬剤の放出 方向を変更可能にケースの上端面側に装着されるので、握った状態に合わせて、 霧化状態された薬剤の放出方向を変化させることができ、吸入器の使い勝手が非 常に良くなる。

【００３０】 この場合、この種の吸入器では、通常、右利きの人が大部分を占めるので、図 １に示したように、操作スイッチ３８が設けられた方を前面として、その右側に 大径円筒部１４ｂを配置するが、本実施例の場合には、左利きの人がこの部分を 握っても、ノズル１２の方向が簡単に変えられるので、利き腕による使用の不便 さもなくなる。

【００３１】 また、前述した従来の吸入器では、ノズルの方向が固定されていたので、一方 の手で吸入器を握りノズを喉ないしは鼻に向けると、手を吸入器の後方に廻すよ うにして握らなければならず、かなり不自然な状態を強いられるが、本実施例の 吸入器では、ノズル１２からの霧化された薬剤の放出方向が任意に選択できるの で、不自然な状態での使用も回避することができる。

【００３２】 さらに、把持用ケース１４には、小径円筒部１４ａと大径円筒部１４ｂとを結 合した部分に霧化手段の操作スイッチ３８が設けられているので、ケース１４を 握った状態で指先でスイッチ３８を操作することができる。また、把持用ケース １４には、操作スイッチ３８に隣接して表示灯４０が設けられているので、スイ ッチ３８の操作を直ちに確認することができる。

【００３３】 なお、上記実施例では、薬剤の霧化手段１０として、圧電振動子１０ａと密封 された振動液１０ｂとで構成したものを例示したが、本考案の実施はこれに限定 されるものではなく、例えば、ヒータなどの加熱手段であってもよい。

【００３４】

【考案の効果】

以上、実施例で詳細に説明したように、本考案にかかるハンディ型吸入器によ れば、１つの吸入器を大人から子供まで広範囲に使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかるハンディ型吸入器の一実施例を
示す分解斜視図である。

【図２】図１の吸入器を組立ててキャップを取り外した
状態の正面図である。

【図３】図２の右側面図である。

【図４】図２の左側面図である。

【図５】図２の下面図である。

【図６】図２の上側面図である。

【図７】図２の要部断面図である。

【符号の説明】

１０ 霧化手段 １２ ノズル １４ ケース １４ａ 小径円筒部 １４ｂ 大径円筒部 １６ 蓋板 ２６ モータ ２８ エンペラ ３２ 薬皿 ３４ 操作スイッチ ４０ 表示灯

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 柴崎 真衛 埼玉県北本市朝日１丁目243番地 株式会 社エー・アンド・デイ開発・技術センター 内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 薬剤の霧化手段と、この霧化手段により
   霧化状態された薬剤が放出されるノズルとを有するハン
   ディ型吸入器であって、 前記霧化手段が内蔵される筒状の把持用ケースを備え、
   この把持用ケースは、小径円筒部と大径円筒部とを側面
   側で結合した略瓢箪形横断面を有し、 前記ノズルを、霧化状態にされた薬剤の放出方向を変更
   可能に前記ケースの上端面側に装着したことを特徴とす
   るハンディ型吸入器。
2. 【請求項２】 前記把持用ケースには、前記小径円筒部
   と大径円筒部とを結合した部分に前記霧化手段の操作ス
   イッチが設けられていることを特徴とする請求項１記載
   のハンディ型吸入器。
3. 【請求項３】 前記把持用ケースには、前記操作スイッ
   チに隣接して表示灯が設けられていることを特徴とする
   請求項２記載のハンディ型吸入器。