JPH07225113A - 位置ずれ及びギャップ検出方法 - Google Patents

位置ずれ及びギャップ検出方法

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JPH07225113A
JPH07225113A JP5054615A JP5461593A JPH07225113A JP H07225113 A JPH07225113 A JP H07225113A JP 5054615 A JP5054615 A JP 5054615A JP 5461593 A JP5461593 A JP 5461593A JP H07225113 A JPH07225113 A JP H07225113A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 面内位置ずれ検出と共に、露光中でも安定継
続的に直接2つの物体の間隙を直接検出することが可能
な位置ずれ検出方法を提供する。 【構成】 周波数のわずかに異なる(f1、f2)2つの単色
光の組を2組(計4 光束)用い、これらの各組の2光束
については光軸の片側で該光軸に対して入射 角の異な
る(θ1<θ2)方向からであって且つ組間では光軸の両側
で反転対称となる方向(白抜き矢印のf1とf2の組と斜線
書きのf1′とf2′の組は光軸に対 し図面上左右反転対
称になっている)から夫々マスクM及びウェハWの各回折
格子32a、32bに入射させ、光軸の夫々両側対称な位置か
ら4ビーム以上の光ヘテロダイン干渉させた回折光を取
り出し、両回折格子のX方向位置ずれ 及びZ方向位置ず
れによる光路差変動量に基づき生じる光ヘテロダイン検
出信号の位相からX 方向及びZ方向の2次元位相変動量
を分離算出し、両M、Wの変位量を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体超微細加工装
置(SORアライナ・ステッパ、液晶ステッパ等のプロ
キシミティ露光装置)や感光基板に露光されたパターン
の重ね合せ精度を測定するレジストレーション超精密測
定等において光ヘテロダイン干渉光を利用する位置ずれ
検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロン放射光リソグラフィ用ア
ライナ等では、マスクとウェハの2つの物体を精密に位
置合わせして、0.15〜0.30μmの微細パターン
を転写する為、これら2つを対向させ、数十μmの微小
間隙で精密に近接させ、互いに平行に設定する必要があ
る。この時にその位置ずれ検出や間隙検出に要求される
条件には、次の(1)〜(3)のようなものがある。
【0003】(1) シンクロトロン放射光照射中の露光状
態において、常に継続して位置ずれ検出及び間隙ずれ検
出ができること。 (2) 各プロセス条件として挙げられるウェハレジストの
反射率の変動、パターンの非対称性、塗布むら等の条件
変化に対応できること。 (3) マスク、ウェハ間の多重干渉による強度信号の変化
に対しても検出精度が劣化しないこと。
【0004】又シンクロトロン放射光用マスクは、マス
クパターンの転写されているメンブレン膜(SiC、S
iN)が1〜2μm程度の薄膜で作製されており、その
ためウェハと接触した場合高価なマスクを破損する虞が
あり、間隙検出の確実性と安定した間隙制御が要求され
ることになる。
【0005】このような背景から位置ずれ検出や間隙検
出には様々な方法が提案されている。例えば、マスク
面及びウェハ面に対し顕微鏡を直接対向させてオートフ
ォーカスをかけ、両間の間隙を測定するオートフォーカ
ス(AF)パターン投影法や、二重回折格子法等に見
られるマスクの回折光と反射面であるウェハとの反射回
折光の強度分布信号に基ずいて所定の間隙を測定する光
学的な方法、実用化されているシンクロトロン放射光
用アライナに搭載されている間隙測定器として、大気の
ゆらぎ(温度、気圧、湿度)変動に起因する誤差を受け
にくく、高精度で且つ安定した静電容量センサ(マイク
ロセンス)を使用する方法、比較的精度が良好で検出
範囲長が1000μm程度と長く、寸法直線性の優れた
過電流センサを使用する方法もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のオートフォー
カスパターン投影法は、安定して行なうことができる
が、フォーカスの再現性や凹凸パターン等に見られる合
焦面(ジャストピント)位置変動が問題となる。
【0007】またの光学的な方法は、マスク・ウェハ
の多重干渉の悪影響を受け易く、且つ各プロセス条件に
よるウェハ反射率の変化や、マスク・ウェハ間の多重干
渉に起因する強度変動及びプロセスの膜厚不均一等によ
り回折強度信号のS/N比が低下し、十分に安定した間
隙(ギャップ)制御を行なうことは困難であった。
【0008】更にの静電容量センサを使用する方法は
微小変位を数ミクロンという高精度な範囲で測定可能で
あるが、検出範囲長が狭く、高価である等の欠点があ
る。
【0009】加えての過電流センサを使用する方法
は、上記静電容量センサと共に、マスクパターン面を直
接計測するものではなく、実際には回転・あおり微動機
構を備えたマスク・ウェハ縦型ステージ面の2点〜4点
を非接触で測定し、歪ゲージ付きピエゾ素子(圧電素
子)と弾性板バネでステージ面全体の平行出しを行なう
等、露光中のマスク・ウェハの間隙を継続して直接検出
しているわけではない。
【0010】本発明は従来技術の以上の様な問題に鑑み
創案されたもので、面内位置ずれ検出と共に、露光中で
も安定継続的に直接2つの物体の間隙を直接検出するこ
とが可能な位置ずれ検出方法を提供せんとするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】ここで本発明の構成を説
明する前に、本願における回折格子から得られる回折光
の回折次数につき予め定義しておく。
【0012】図1及び図2は反射回折格子の入射角・回
折角の符合の状態を示している。まず周波数fの単色光
が格子ピッチPの反射回折格子32に対し、光軸から入射
角θiの傾きを持って入射した場合、正反射となる回折
次数m、n=0の回折光を中心にそれより光軸側に回折す
るものはm、n=−1、−2、−3……というようにマイ
ナス次数又その反対側に回折するものはm、n=+1、+
2、+3……というようにプラス次数(これらの回折次
数に対応する回折角をθm、θnとする)になる。この時
の入射角θiと回折角θm、θnとの関係は、回折格子の
基礎公式により、次式数9及び数10の様になる。
【0013】
【数9】 sinθm−sinθi=m・λ/P
【0014】
【数10】 sinθn−sinθi=n・λ/P
【0015】以上の定義を基に本発明の位置ずれ検出方
法につき説明すると、図3に示される様に、周波数のわ
ずかに異なる(即ち、f1、 f2の)2つの単色光の組
を2組(即ち計4光束)用い、これらの各組の2光束に
ついては光軸の片側で該光軸に対して入射角の異なる
(即ちθ1とθ2であってθ1<θ2)方向からであって且
つ該組間では前記光軸の両側で反転対称となる方向(即
ち、白抜き矢印のf1とf2の組と斜線書きのf1′と
2′の組は光軸に対し図面上左右反転対称になってい
る)から夫々第1の物体M及び第2の物体Wの各回折格
子32a、32b(これらの格子ピッチはPとする)に入射さ
せ、光軸の夫々両側対称な位置から4ビーム以上の光ヘ
テロダイン干渉させた回折光を取り出し、両回折格子の
X方向位置ずれ及びZ方向位置ずれによる光路差変動量
に基づき生じる光ヘテロダイン検出信号の下式数1及び
数2、数3及び数4、数5及び数6、又は数7及び数8
の組に示される位相φxz及びφxz′からこれらのいずれ
かの組の2式の和と差によってX方向及びZ方向の2次
元位相変動量φx及びφzを夫々分離算出することで、両
物体M、Wの変位量を求めることを基本的特徴としてい
る。
【0016】
【数1】φxz=φx+φz
【0017】
【数2】φxz′=φx−φz
【0018】
【数3】φxz=−φx−φz
【0019】
【数4】φxz′=−φx+φz
【0020】
【数5】φxz=φx+φz
【0021】
【数6】φxz′=−φx+φz
【0022】
【数7】φxz=−φx−φz
【0023】
【数8】φxz′=φx−φz
【0024】上記発明法のように、光軸に対して夫々そ
の片側に右シフト及び左シフトした2光束の2組を左右
反転対称な4光束にして同時に入射させると、図4
(a)に示されるように、周波数f1の光束と周波数f2
の光束が光軸の右側にシフトした組から得られる2以上
の光ヘテロダイン干渉された回折光は光軸の左側に左傾
きの状態となって得られ、他方同図(b)に示されるよ
うに、周波数f1の光束と周波数f2の光束が光軸の左側
にシフトした別の組から得られる2以上の光ヘテロダイ
ン干渉された回折光は光軸の右側に右傾きの状態となっ
て得られることになる。こうして得られた干渉回折光か
ら検出されるビート信号には、両物体M、WにX方向
(面内方向)のずれがある場合、左傾きの回折光由来の
ビート信号及び右傾きの回折光由来のビート信号共、参
照信号に対して常に一定方向に位相のずれ(位相変動
量)φxを生じ、またZ方向のずれ(即ちその間隙にず
れ)がある場合、左傾きの回折光由来のビート信号と右
傾きの回折光由来のビート信号では、参照信号に対して
反対方向に位相のずれφzを生じる。その結果実際に検
出される右傾きの回折光由来のビート信号の参照信号に
対する位相のずれφxzは前記数1、数3、数5、数7で
示されたものが得られ、また左傾きの回折光由来のビー
ト信号の参照信号に対する位相のずれφxz′は前記数
2、数4、数6、数8で示されたものが得られることに
なる。従って、いずれかの組の両式の和と差から、X方
向及びZ方向の2次元位相変動量φx及びφzを夫々分離
算出することが可能となる。
【0025】また本発明の構成では、組となる2光束が
光軸の片側から入射されることになるため、両光束間が
接近しており、その間の大気のゆらぎは検出精度にほと
んど影響がない。また後に説明するように、各組の2光
束の入射角度の差を大きくすれば、Z方向の光路差変化
量が大きくなって、同方向の検出分解能が向上すること
になる。
【0026】
【実施例】以下本発明法の具体的実施例につき詳述す
る。
【0027】図5及び図6はマスクMとウェハWの位置
ずれ検出を行なう本発明法の実施に使用される光学系装
置構成の一例を示す斜視図と、該光学系光路詳細図であ
る。
【0028】図5において、まず2波長直交偏光レーザ
光源12より偏光面が直交し、且つ周波数がわずかに異な
る(f1、f2)単色レーザ光(即ち、周波数f1成分に
ついては→で表わすP偏光、又周波数f2成分について
は↑で表わすS偏光)を発生させる。10は該光源12のコ
ントローラであり、電気的な処理を施して第1REF11
aから|f1−f2|の周波数の参照ビート信号が出力さ
れるようになる。尚、該光源12については音響光学素子
(AOM)2つからなる周波数シフタ等で2周波数のも
のを得る構成に置き換えてもよい。
【0029】この光源12から射出されたアライメント光
は通常3〜4%程度レーザ射出口で楕円偏光になってお
り、これをλ/4板13という位相板(回転補正光学部
品)によって2周波成分の直交状態をより正しい姿勢に
直す。そしてアライメント光のビームは偏光ビームスプ
リッタ(PBS)14に至り、そこからS偏光(f2周波
数)成分がλ/2板15に至る。λ/2板15に対して結晶
軸と45°の方向から入射させ、周波数f2のS偏光を
90°回転させたf1周波数と同じP偏光にする。該λ
/2板15より出たf2周波数のP偏光は、ミラー16によ
り光路を変へ、f2周波数のアライメントビームは図上
Z方向、X方向に移動可能であり、あおりやθ回転もで
きるミラー17により光軸方向を変えてレンズ18に至る。
このレンズ18は組となる光束の間隔を所望の間隔に調整
する。
【0030】一方、偏光ビームスプリッタ14を透過した
P偏光の周波数f1のアライメントビームは、レンズ20
に至る。このレンズ20は他の組の光束の間隔を所望の間
隔に調整する。レンズ18及びレンズ20で光束間の間隔調
整されたレーザービームは入射位置が調整され、無偏光
ビームスプリッタNPBS22に夫々入射される。この無
偏光ビームスプリッタNPBS22上で2組のビームの光
軸両側における間隔は後に所望の回折次数(+1、0)
(0、−1)(−1、0)(0、+1)の干渉回折光が
重ならずに得られる間隔になるようミラー17により調整
される。また後述の対物レンズ31による回折格子32への
入射照明角度は、各組の周波数f1とf2のビーム間隔で
決定するので精密に調整する。無偏光ビームスプリッタ
NPBS22の反射透過面はあおりや回軸により2光束の
波面を調整でき、2光束の波面が同一になるように波面
収差を取り除く。無偏光ビームスプリッタNPBS22に
入射された周波数f1とf2の両アライメントビームは、
平行光束として一緒に2方向に分岐される。
【0031】分岐された一方の2光束の組はそのままも
う一つの無偏光ビームスプッリタNPBS25に至る。更
にミラー23に至ったもう一方の周波数f1とf2の2光束
は光軸方向を変え、更にミラー24に至って再度光軸方向
を変え、X方向、Z方向に回転・あおりが可能な該ミラ
ー24により所定量ずらし、前記無偏光ビームスプッリタ
NPBS25上で4光束のビーム(f2121)配置と
なり、2組の光束が光軸に対して左右反転対称になるよ
う精密に調整する。もし光軸に対して横ずれが発生する
と非テレセントリック状態になり、結像面となる回折格
子32で微小なずれが発生し、2組の検出範囲長が異なっ
てしまう。図上無偏光ビームスプリッタNPBS25より
左側に射出される4光束は他軸用としたが、もしキュー
ブ状でミラー面が2カ所あるビームスプッリタが作成で
きるのであれば、置き換えることが望ましい。
【0032】無偏光ビームスプリッタNPBS25より射
出された4光束は、その2組が光軸に対して夫々左右反
転対称な配置となり、レンズ26に至る。レンズ26、28、
31、33は両テレセントリック光学系になっていて、視野
絞りAS27の像がマスクM、ウェハWの回折格子32上に
像を作る共役(結像)関係になっている。このようなテ
レセントリック配置により視野絞りAS27の像が回折格
子32上に結像すると、デフォーカス(焦点位置ずれ)が
あってもその像の結像倍率が一定となる。例えば光学系
の傾きやレンズの偏心があった場合発生する視野絞りA
S27からのフランホーファー回折像は、アライメント誤
差要因になるが、両テレセントリック光学系で結像され
ているので、その影響がより低減できる。レンズ26より
射出された4光束は該レンズ26の後面焦点位置に配置さ
れた視野絞りAS27上で4光束が平行交差するように絞
り込まれて、視野絞り径のアライメントビームが成形射
出され、レンズ28の後面焦点位置にある後述の瞳面EP
70で4光束の平行光となる。この4光束平行光はレンズ
28から射出され光軸に対して平行に進み、対物レンズ31
の前面焦点位置にあり回折格子32のフーリエ変換像が得
られる瞳面EP70で集光されあたかも点光源のようにな
る。この瞳面EP70上の4光束の並びはレンズ26、28に
より反転されるので、4光束の並びが(f2121
から(f1212)となり、逆位置になる。
【0033】全てP偏光(→)である4光束は偏光ビー
ムスプリッタPBS29を透過し、λ/4板30に至る。こ
のλ/4板30を通過した4光束は左回りの円偏光とな
り、対物レンズ31に平行光としてのビーム径を拡大して
進む。ここを透過した4光束は図7に示されるように、
この対物レンズ31によって各組の光束とも光軸に対して
外側の角度θ2、内側の角度θ1で入射照明される。この
ような入射照明が行われる時、各組の2光束は光軸に対
し瞳面EP70上でFb・sinθ2とFb・sinθ1
位置に配置されており(Fbは対物レンズ31の後面焦点
距離である)、これらの組間では光束が光軸に対して左
右反転対称となる角度で回折格子32に入射照明されるこ
とになる。
【0034】更に本実施例では次のような受光光学系で
干渉回折光を受光する。2組の2光束を照明して得られ
る回折光は前記図7に示されるような状態となる。即ち
入射角度θ1、θ2と反対方向の正反射光(0次光)を中
心として高次の回折光が前記ピッチP間隔に並び、且つ
前記ミラー24の調整によって2光束の干渉光2組が混入
することなく回折される。この図面では干渉ビート信号
が得られる回折次数(+1、0)(0、−1)(−1、
0)(0、+1)のみを明記してある。ここでビート信
号を検出している干渉回折光は上記の4光束としたが、
これはレンズ31の有効径によって決めたもので、高NA
(開口比)のレンズであれば更に高次の干渉回折光を集
光することが可能である。
【0035】次に以上の入射照明光と干渉回折光のアイ
ソレーション(分離)方法について説明する。得られる
回折光は光軸に対称な角度で回折され、入射時の円偏光
と逆に回る右回りの円偏光となり、対物レンズ31で集光
される。干渉4光束は平行光となり、λ/4板30を通過
すると、偏光方向がS偏光(↑)(図6では紙面に垂直
な偏光・で図示)となり、入射時とその偏光方向を変
え、偏光ビームスプリッタPBS29の分離面で反射され
る。ここで偏光ビームスプリッタPBS29とλ/4板30
によって入射光と回折光が完全に分離される。進行方向
を変えた反射回折光はその前面焦点距離が瞳面EP70上
にあるレンズ33に至り、更にその後面焦点距離の位置に
あるピンホールの開いた視野絞り35で結像する。この位
置は前記視野絞りAS27と共役(結像)関係にある。レ
ンズ33、34はアホーカル系拡大レンズであり、前面の結
像面を拡大してリレーするものである。この拡大像はレ
ンズ34の後面でフーリエ像となる。
【0036】レンズ34を通過した4光束は穴開きミラー
36により中央の(0、−1)(−1、0)次回折光のみ
が通過し、他の光束は反射される。通過した2光束はそ
のまま四分割ディテクタ37に至る。四分割ディテクタ37
面上では前記回折格子32の像が拡大投影された面であ
り、ここでウェハWとマスクMの夫々のビート信号が分
離され、夫々の検出面で受光される。一方穴開きミラー
36で反射された(+1、0)(0、+1)次の回折光は
別の4分割ディテクタ38、39により夫々受光される。
【0037】本実施例に示すように、光軸片側に左シフ
トした光束の組と光軸他側に右シフトした光束の組を左
右反転対称な4光束にして、図8に示すようにマスクM
及びウェハWの各回折格子32に入射照明すると、光軸に
対して対称な位置に(+1、0)(0、−1)(−1、
0)(0、+1)次回折光をマスクM・ウェハW共に得
る。前記図4(b)に示されたように、光軸に対して左
シフトした入射光の組については、反射の法則により光
軸に対して入射方向と逆向きの右傾きの回折光が得られ
る。同様に光軸に対して右シフトした入射光について
は、同図(a)に示すように、左傾きした回折光が得ら
れる。このように4光束照明したのは2次元方向(X方
向、Z方向)の位相変化を同時に測定するためであり、
2光束の組を2組にして光軸に対し対称に入射照明した
のは得られるΔx、Δzの移動量に対応する位相量を同
量にするためである。
【0038】次に本実施例において、光軸に対して対称
位置に(+1、0)(0、−1)(−1、0)(0、+
1)次の回折光が得られることを説明する。前記図7
は、ウェハWに形成された回折格子に対する入射光と
(−3次〜+3次)までの回折光をもって、2波長の干
渉モデルを示す原理説明図である。本実施例では同図
(f)に示すように、その回折格子32のデューティー比
として、1次回折効率が一番良い(P−a)/P=1/
2の1:1のものを用いた。同図(c)(d)に示すも
のは、前記回折格子32からの(−3次〜+3次)までの
対物レンズ31で集光できる次数の周波数f1、f2のm
次、n次回折光の強度分布である。
【0039】まず光軸から左側にシフトした2光束(周
波数f1、f2)の組から説明する。同図(e)に示した
対物レンズ31の前面焦点距離にある瞳面EP70は、回折
格子32のフーリエ変換像が得られる面であり、照明系の
光学配置ではこの面で点光源となるよう4光束を絞り込
む。外側入射角度θ2で入射する周波数f1の照明光(白
抜き矢印)は回折格子32に入射照明され、その正反射光
(0次光)が瞳面EP70上で光軸に対して入射位置と反
対位置に戻る。この位置を中心にして、同図(d)の
(R1)に示されるように、−3次〜+3次の回折光が
得られる。同様に内側入射角度θ1で入射する周波数f2
の照明光(白抜き矢印)も回折格子32に入射照明され、
その正反射光は瞳面EP70上で光軸に対して入射位置と
反対位置に正反射光(0次光)が戻り、同図(d)の
(R2)に示されるように、これを中心として+3次〜
−3次の回折光が得られる。この時、瞳面EP70上での
周波数f1の入射照明光(白抜き矢印)と同周波数f2
入射照明光(白抜き矢印)の間隔は、この回折光のうち
(m=−1、n=0)次及び(m=0、n=+1)次の
回折光が干渉する(重なり合う)ように設定する。この
ような状況にして得られる(−1、0)次及び(0、+
1)次の干渉回折光は光軸に対して右傾き回折光位置
(黒実線矢印)に得られ、光軸より右側にずれる。
【0040】一方もう一組の周波数f1′、f2′の2光
束(斜線塗りの矢印)の組も、その入射照明時に光軸か
ら右にシフトしており、従って光軸を中心に前記の場合
と反転した位置にその干渉回折光が得られる。即ち同図
(c)の(L1、L2)に示すように、その(+1、
0)次及び(0、−1)次の干渉回折光は光軸に対して
左傾き回折光位置(斜線塗りした矢印)に得られ、瞳面
EP70上光軸より左側にずれる。
【0041】以上のようにして得られた左傾き、右傾き
の干渉回折光は、同図(b)に示すように夫々の干渉回
折光が重なり合うことなく光軸に対して対称位置に得ら
れ、該干渉回折光を検出するディテクタ37乃至39の手前
では、同図(a)に示すように分離されて夫々別々に検
出することが可能となる。
【0042】次にΔx方向の位相変動量とΔz方向の位
相変動量を所定の式の和と差により分離する原理につい
て説明する。図9乃至図11は、入射角をθとした左右
対称入射照明の場合(Symmetric、図9)と、
入射角をθ1、θ2として入射照明光が右にシフトした左
非対称の場合(Left、図10)と、同様な条件で入
射照明光が左にシフトした右非対称の場合(Righ
t、図11)とにおける−1次の干渉回折光の状態を示
している。同時に微小変動量ΔxとΔzがあった場合に
おける前記参照信号に対するビート信号の位相移動方向
を、黒塗りの矢印と白抜きの矢印とでこれらの図面に併
せて示した。
【0043】これらの図面から明らかなように、Δx方
向の移動に対しての位相移動方向が3つの場合とも同一
方向である。これは移動に伴う光路長変化が、後述の図
12及び図13に示すように、周波数f1のものの光路
長が周波数f2のものの光路長より常に長くなることか
ら判断できる。即ち周波数f2の照明光を基準にした時
の周波数f1の照明光に対する光路差[L(1)−L
(2)]は、L(1)の光路長>L(2)の光路長とな
るため、常に正になり、従って位相移動方向が常に同一
方向になる。
【0044】これに対してΔzの移動に対して左右対称
入射の場合、周波数f1及びf2の入射照明光の光路長変
動量は常に等しく、光路差[L(1)−L(2)]は0
となり、振幅強度については変化するが、位相は変化せ
ず、位相ずれは起きない。これが、左右対称光学配置に
するとΔzギャップ方向に対する変動に対し、影響を受
けない利点であった。
【0045】左非対称や右非対称の場合、取り出された
回折光の各組のビート信号の位相の変化は(参照信号に
対して)同方向であるが、入射照明光の入射角(光軸か
らの傾き方)の違いによって夫々のΔz移動に伴う位相
変動量が異なる(白抜き矢印の大きさが異なる)ことに
なると共に、両組間では夫々のビート信号の位相の向き
が逆になる(白抜き矢印→→と←←)。
【0046】以上のような場合の光路長変化の様子を、
図12及び図13により具体的に示す。これらの図面は
周波数f1のビームと周波数f2のビームがΔx及びΔz
分のマスクMの移動に伴い、位置PからP′に移動した
時の光路長L(1)とL(2)を示したものである。こ
れらの図面ではその時発生する入射光の光路変化長を丸
1、丸A2、丸A1′、丸A2′で、また回折光の光路変
化量を丸B1、丸B2、丸B1′、丸B2′及び丸C1、丸
2、丸C1′、丸C2′で各示し、光路長は太い実線で
表した。このうち回折光の光路長は丸B1と丸B2及び丸
1と丸C2(図12)、更に丸B1′と丸B2′及び丸C
1′と丸C2′(図13)で、同一方向に同長だけ発生す
る光路長で、光路差[L(1)−L(2)]に寄与して
おらず、光路差の算出から除くことができる。即ち光路
差は周波数f1、f2の入射光に対して発生する光路長丸
1と丸A2、及び丸A1′と丸A2′の差を考えれば良
い。
【0047】そこでまず振幅が略等しく周波数がわずか
に異なっており(数10KHz〜数100KHz)、且
つ同一方向に進行する2つの波u1とu2の重ね合わせを
考える。
【0048】u1、u2は下式数11及び数12の様な光
波に書ける。
【0049】
【数11】 1=a1exp{i[ω1t−2πL(1)/λ1−φR(1)]}
【0050】
【数12】 2=a2exp{i[ω2t−2πL(2)/λ2−φR(2)]} ここで a1、a2 ……u1、u2の振幅 ω1 ……u1の角周波数 ω2 ……u2の角周波数 λ1、λ2 ……u1、u2の波長 φR(1)、φR(2) ……u1、u2の初期位相(一定
値) L(1) ……u1の光路長 L(2) ……u2の光路長
【0051】又ビート周波数(うなり)は振幅の変動の
繰り返し周波数で下式数13で表わせる。
【0052】
【数13】 Δf=(ω1−ω2)/2π
【0053】u1とu2の2つの波の振幅の和を2乗して
波の重ね合せ強度を求めると次式数14が得られる。
【0054】
【数14】
【0055】上記数14の[L(1)/λ1−L(2)
/λ2]項から光路差[L(1)−L(2)]の変化に
よって位相項の遅れや進みが出ることがわかる。
【0056】光ヘテロダインアライメント方式ではこの
位相差の測定を行なうことになるが、この位相差は±18
0゜以内と角度検出範囲が固定されてしまうため、数1
4の[ L(1)/λ1−L(2)/λ2]の項で示され
る光路差[L(1)−L(2)]が検出範囲と位相の進
み・遅れの方向を左右する項目となる。使用される2つ
の周波数f1、f2のレーザ光はわずかに波長が異なり、
ビート信号の周波数(f1−f2)は約2.4×105
zで、光周波数約5×1014Hzに比べ十分小さいの
で、光速をCとするとビート周波数Δfは|C/λ1
C/λ2|であり、Δf《Cであるため、レーザ波長
は、λ1=λ2≒λとおける。従って、2π[L(1)/
λ1−L(2)/λ2]の項は2π[L(1)−L
(2)]/λと置き換えることができる。
【0057】次に図12及び図13を基に図7の場合の
1周波数成分の−1次回折光とf2周波数成分の0次回
折光及びf1周波数成分の 0次回折光とf2周波数成分
の+1次回折光(図12の場合)、更にf1周波数成分
の 0次回折光とf2周波数成分の−1次回折光及びf1
周波数成分の+1次回折光とf2周波数成分の0次回折
光(図13の場合)で得られる光路差[L(1)−L
(2)]を求めてみる。
【0058】図12や図13のように、左シフト入射さ
せ或いは右シフト入射させることで、光軸に対して右傾
き或いは左傾きした状態で回折光が取り出された場合
(右非対称或いは左非対称)、左右がアンバランスにな
り、入射角が実際にはθ1、θ2であることから、Δzの
変位に対しても光路差が発生する。
【0059】この図12は左シフト入射光による右傾き
回折光の光路長変化(R)とその光路差を、また図13
は右シフト入射光による左傾き回折光の光路長変化
(L)とその光路差が各示されている。前述のように、
θ1、θ2は光軸に対しての入射光に対する夫々の入射角
度であり、内側入射角度θ1<外側入射角度θ2となる。
その角度差が大きくなれば、入射光の光路差が増大し、
それだけ分解能が向上することになる。
【0060】両図における光路長丸A1丸A1′は周波数
1の入射光の光路長を、丸A2丸A2′は周波数f2の入
射光の光路長を、また丸B1丸C1及び丸B1′丸C1′更
に丸B2丸C2及び丸B2′丸C2′は周波数f1とf2の回
折光の光路長を各示している。前述のように光路差は
[L(1)−L(2)]であり、上記回折方向の光路長
は回折方向丸B1と丸B2及び丸C1と丸C2(図12)、
更に丸B1′と丸B2′及び丸C1′と丸C2′(図13)
が同方向且つ同長なので光路差の計算から除くことがで
きる。また両図とも回折光と光軸との回折角度は明記し
ていない。このことは、周波数f1、f2の入射光の入射
角度で光路差が明記できることを示している。
【0061】そこでマスクMがPの位置からP′の位置
に移動した時、図12における周波数f1とf2の入射光
についての光路長L(1)とL(2)、即ち丸A1と丸
2は共に長くなり、これらを夫々求めると、次式数1
5及び数16の様になる。
【0062】
【数15】 L(1)=Δz/cosθ2+(Δx−Δz・tan
θ2)sinθ2 =Δx・sinθ2+Δz・cosθ2
【0063】
【数16】 L(2)=Δz/cosθ1+(Δx−Δz・tan
θ1)sinθ1 =Δx・sinθ1+Δz・cosθ1
【0064】以上の2式から周波数f2の入射光を基準
にしてみた光路差は次式数17の様になる。
【0065】
【数17】 L(1)−L(2)=−(sinθ1−sinθ2)Δx
−(cosθ1−cosθ2)Δz
【0066】上記式の右辺第1項はΔxに関する項で、
sinθの差で示され、また第2項はΔzに関する項
で、cosθの差で示され、θ1<θ2なので、(sin
θ1−sinθ2)の項は負、また(cosθ1−cos
θ2)の項は正であり、それ故、−を入れると、前者は
正、また後者は負を示すことになる。前記数14の2π
/λ[L(1)−L(2)]の項が光路差変動による位
相項(−180゜〜+180゜)になるので、Δx、Δ
zの位相項変化量は、前記数17式と同様に、下式数1
8の様に表すことができる。
【0067】
【数18】 φxz′=φx−φz
【0068】同様に図13において、PからP′に移動
した時の光路長を求めると、L(1)及びL(2)の光
路長、即ち丸A1′と丸A2′は共に短くなり、次式数1
9及び数20の様になる。
【0069】
【数19】 L(1)=Δz/cosθ1−(Δx+Δz・tan
θ1)sinθ1 =−Δx・sinθ1+Δz・cosθ1
【0070】
【数20】 L(2)=Δz/cosθ2−(Δx+Δz・tan
θ2)sinθ2 =−Δx・sinθ2+Δz・cosθ2
【0071】よって光路L(2)を基準にしてみた光路
差[L(1)−L(2)]は、次式数21の様になる。
【0072】
【数21】 L(1)−L(2)=−(sinθ1−sinθ2)Δx
+(cosθ1−cosθ2)Δz
【0073】これを前記数18式と同様に位相変化量で
表すと、次式数22式に示すようになる。
【0074】
【数22】 φxz=φx+φz
【0075】本実施例では、同時に左シフト及び右シフ
トした照明光の入射を行なっているため、前記数18式
と数22式との和より位相変動量φxが、またその差よ
り位相変動量φzが分離して測定することができる。
【0076】以上のように、左右対称入射の時はその入
射角がθ1=θ2=θとなり、Δzに関する項が0とな
る。またΔxに関する項は2Δx・sinθとなる。即
ちΔx、Δzの移動に伴い、X方向の光路長は、周波数
1の入射光については長くなり、周波数f2の入射光に
ついては短くなるのに対し、Z方向の光路長について
は、周波数f1及びf2とも長くなるが変化量は同じであ
る。
【0077】一方、光軸片側に左シフト及び右シフトし
た各光束の入射により右非対称及び左非対称の回折光を
得ている場合、非対称になることによって前記数17及
び数21の第2項のΔzに関する項が(cosθ1−c
osθ2)のθ1とθ2の傾き差に比例した量だけ発生
し、入射角θ1とθ2の非対称の組を、光軸に対し2組対
称(本実施例では左右反転対称だが、本発明では左右対
称とすることもできる)に入射照明することにより、逆
方向[(cosθ1−cosθ2)の前に付く±が相違す
る]に同量[(cosθ1−cosθ2)]だけ発生させ
ることができる。また数17及び数21の第1項はΔx
に関して−(sinθ1−sinθ2)となり、傾き角に
関係なくΔxの進行方向と同じ方向になる。
【0078】この時のΔxの検出範囲は(sinθ1
sinθ2)というsin差になり、またΔzについて
言えばその検出範囲は(cosθ1−cosθ2)という
cos差になるため、Δxの検出範囲は左右対称入射の
場合と比べて狭くなるものの、反面その検出分解能は向
上し、またΔzに関しては検出が可能となるばかりでは
なく、更にθ1とθ2の角度差を大きくすれば、検出分解
能がより向上することになる。
【0079】以上の実施例構成を参考に4光束の入射配
置パターンを考えてみると、図14に示すようになる。
即ち同図(a)の配置は前記図6の場合を、また同図
(b)の配置は前記(a)の周波数f1とf2を入れ換え
た配置の場合を、同図(c)の配置は中心2光束が同一
周波数f2(図6の配置の右シフト入射を反転させた)
の場合を、更に同図(d)の配置は中心2光束が同じく
同一周波数f1(図6の配置の左シフト入射を反転させ
た)の場合(前記図5及び図6の場合に倍率1倍のビー
ムエキスパンダであるレンズ40、41をミラー23、24の間
に入れ左シフト入射を反転させている)を示している。
この時の位相項変化量を併せて同図に示す(前記数1〜
数8と同じ)。
【0080】ここで参照信号の位相をφ0とすると、例
えば図14(a)の配置の場合の該参照信号との位相差
は下式数23及び数24となり、その差を取れば数25
となって、参照信号の項が消去できる。これは1方向に
限り参照信号との相対位相差を取らなくても両信号の位
相差が算出できることを意味する。従って1方向のみ
(X方向のみ又はZ方向のみ)の測定であれば、参照信
号光学系を設置しなくても良いことになり、回折格子か
らのビート信号差から直接相対位相差が算出できること
になる。また単純に差で2φとなるので、分解能は2倍
となる。
【0081】
【数23】 φxz=(φx+φz)−φ0
【0082】
【数24】 φxz′=(φx−φz)−φ0
【0083】
【数25】 φxz−φxz′=φx+φz−φ0−(φx−φz−φ0)=2
φz
【0084】以上の実施例は(+1、0)(0、−1)
(−1、0)(0、+1)次の回折光による光ヘテロダ
イン干渉を利用するものであったが、図15(a)も同
じ次数の回折光による光ヘテロダイン干渉を利用するも
のを示している。しかしこの場合は2組の干渉回折光が
ディテクタ手前の同一位置に混入結合して重なり合って
いる。この例では2組の干渉縞が重なり、ビート信号が
複雑となって好ましくない。但し光軸から上下にずらし
たり、光学系にシャッタ等を入れ、交互に使用すれば使
用可能となる。また同図(b)は有効レンズ径からはみ
出した場合を示しており、4光束の入射は非常に困難で
あることが分かる。このようにして見ると上記本実施例
の構成は、レンズ有効径を考えた場合、周波数f1とf2
の間隔接近させ易く、また2組の光束がより光軸に対し
て対称に接近するので、大気のゆらぎ(温度、気圧、湿
度)による屈折率の変動に起因するアライメント誤差を
より低減できる配置であることが分かる。
【0085】尚、実際のデバイス製作工程ではレジスト
の塗布むらや非対称堆積形状の問題が発生するが、本構
成によればそのような場合でも位置ずれ検出が有効に行
える。
【0086】ウェハW上の回折格子32は各層プロセスを
経てレジストが塗布される。通常レジストは回転塗布さ
れるので、段差形状を成す回折格子上のレジスト堆積形
状は非対称となることが避けられず、同様にレジストの
塗布むらも発生する。図16は非対称パターンの横ずれ
Δεと膜厚むらΔdの状態を示している。ビート信号は
2光束(周波数f1とf2)の波面の揃った時の高速の干
渉縞発生(目には見えない)により得られる。しかしレ
ジストに非対称性や歪が生じると、ビート信号のS/N
比は低下する。またレジストの塗布むらにより歪が発生
し、干渉縞の本数が多くなり過ぎると、ビート信号は検
出不能となる。このように非対称パターンや塗布むらは
アライメント誤差要因となり、アライメント誤差を招
く。前記図16の中心より左右にΔε横ずれした回折格
子32のレジスト50堆積とレジスト50の塗布むらΔdより
発生する位相誤差をΔψεとすると、下式数26に示す
ような位相誤差が発生する。
【0087】
【数26】 Δψε=(2π/λ)(n−1)2・(Δε±Δd) 但しλ:波長 n:レジストの屈折率
【0088】本発明では誤差位相が加算され、位相
φxz、φxz′は下式数27及び数28に示すようにな
り、更にその差(φxz−φxz′)を取ると、次式数29
に示すようになる。
【0089】
【数27】 φxz=(φx+φz)+Δψε
【0090】
【数28】 φxz′=(φx−φz)+Δψε
【0091】
【数29】 φxz−φxz′=φx+φz+Δψε−(φx−φz+Δψ
ε)=2φz
【0092】従って差を取る方向の誤差成分は除去でき
る。しかし和を取る方は逆に誤差が加算されてしまうの
で、差の方を利用すれば方向別誤差を除去できる。同様
にウェハWの反りにより発生する誤差要因に対しても有
効である。
【0093】一方、ウェハWとマスクMは数十μmに平
行近接して配置されるため、2光束入射照明によって両
間の間隙に多重反射が発生する。図17に本願構成で位
置ずれ検出を行った時のマスクMとウェハW間の多重干
渉モデルを示す。この場合も多重干渉の一方の項は差を
取ることにより、その誤差を取り除くことができる。
【0094】
【発明の効果】以上詳述した本発明の位置ずれ検出方法
によれば、面内位置ずれ検出と共に、露光中でも安定継
続的に直接2つの物体の間隙を直接検出することができ
るようになる。尚、本位置ずれ検出方法を用いれば、装
置の走査・振動状態の測定や試料等の検出物体の振動の
測定を行なう振動検出方法乃至装置にも適用することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光軸左側入射時の回折光回折次数の説明図であ
る。
【図2】同じく光軸右側入射時の回折光回折次数の説明
図である。
【図3】光軸片側にθ1、θ2の入射角で周波数f1、f2
の照明光の組を2組該光軸に対し両側反転対称の位置か
ら入射せしめた時の干渉回折光の状態を示す本発明構成
の一例を示す説明図である。
【図4】右シフト入射照明及び左シフト入射照明した場
合の回折光ヘテロダイン位置と位相移動方向を示す説明
図である。
【図5】本発明法の実施に使用される光学系装置構成の
一例を示す斜視図である。
【図6】該光学系光路詳細図である。
【図7】上記本実施例で照明光を入射し、フーリエ変換
レンズにより回折格子に該光の照射を行なった時の光ヘ
テロダイン干渉モデルを示す説明図である。
【図8】光軸片側に左シフト及び右シフトした2光束の
組2組を左右反転対称な4光束にしてマスク及びウェハ
の各回折格子に入射照明した時の斜視図である。
【図9】入射角をθとした左右対称入射照明の場合にお
ける0次と−1次の干渉回折光の状態を示す説明図であ
る。
【図10】入射角をθ1、θ2として入射照明光が光軸右
側にシフトした左非対称の場合における干渉回折光の状
態を示す説明図である。
【図11】入射角をθ1、θ2として入射照明光が光軸左
側にシフトした右非対称の場合における干渉回折光の状
態を示す説明図である。
【図12】本実施例において左シフト入射照明した場合
の光路L(1)と光路L(2)間の光路差を示す説明図であ
る。
【図13】本実施例において右シフト入射照明した場合
の光路L(1)と光路L(2)間の光路差を示す説明図であ
る。
【図14】本発明構成で実施可能な4光束の入射配置パ
ターンを示す説明図である。
【図15】干渉回折光がディテクタ手前で混入結合する
例及びレンズ有効径からはみ出る例を示す説明図であ
る。
【図16】非対称レジストパターンの横ずれ及び膜厚む
らの状態を示す断面図である。
【図17】本願構成で位置ずれ検出を行った時のマスク
MとウェハW間の多重干渉モデルを示す説明図である。
【符号の説明】
31 フーリエ変換レンズ 32 回折格子 37、39 4分割ディテクタ 70 瞳面EP M マスク W ウェハ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 位置ずれ及びギャップ検出方法
【特許請求の範囲】
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体超微細加工装
置(SORアライナ・ステッパ、液晶ステッパ等のプロ
キシミティ露光装置)や感光基板に露光されたパターン
の重ね合せ精度を測定するレジストレーション超精密測
定等において光ヘテロダイン干渉光を利用する位置ずれ
及びギャップ検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロン放射光リソグラフィ用ア
ライナ等では、マスクとウェハの2つの物体を精密に位
置合わせして、0.15〜0.30μmの微細パターン
を転写する為、これら2つを対向させ、数十μmの微小
ギャップで精密に近接させ、互いに平行に設定する必要
がある。この時にその位置ずれ検出やギャップ検出に要
求される条件には、次の(1)〜(3)のようなものがある。
【0003】(1) シンクロトロン放射光照射中の露光状
態において、常に継続して位置ずれ検出及びギャップ
出ができること。 (2) 各プロセス条件として挙げられるウェハレジストの
反射率の変動、パターンの非対称性、塗布むら等の条件
変化に対応できること。 (3) マスク、ウェハ間の多重干渉による強度信号の変化
に対しても検出精度が劣化しないこと。
【0004】又シンクロトロン放射光用マスクは、マス
クパターンの転写されているメンブレン膜(SiC、S
iN)が1〜2μm程度の薄膜で作製されており、その
ためウェハと接触した場合高価なマスクを破損する虞が
あり、ギャップ検出の確実性と安定したギャップ制御が
要求されることになる。
【0005】このような背景から位置ずれ検出やギャッ
検出には様々な方法が提案されている。例えば、マ
スク面及びウェハ面に対し顕微鏡を直接対向させてオー
トフォーカスをかけ、両間のギャップを測定するオート
フォーカス(AF)パターン投影法や、二重回折格子
法等に見られるマスクの回折光と反射面であるウェハと
の反射回折光の強度分布信号に基ずいて所定のギャップ
を測定する光学的な方法、実用化されているシンクロ
トロン放射光用アライナに搭載されているギャップ測定
器として、大気のゆらぎ(温度、気圧、湿度)変動に起
因する誤差を受けにくく、高精度で且つ安定した静電容
量センサ(マイクロセンス)を使用する方法、比較的
精度が良好で検出範囲長が1000μm程度と長く、寸
法直線性の優れた過電流センサを使用する方法もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のオートフォー
カスパターン投影法は、安定して行なうことができる
が、フォーカスの再現性や凹凸パターン等に見られる合
焦面(ジャストピント)位置変動が問題となる。
【0007】またの光学的な方法は、マスク・ウェハ
の多重干渉の悪影響を受け易く、且つ各プロセス条件に
よるウェハ反射率の変化や、マスク・ウェハ間の多重干
渉に起因する強度変動及びプロセスの膜厚不均一等によ
り回折強度信号のS/N比が低下し、十分に安定した
ャップ制御を行なうことは困難であった。
【0008】更にの静電容量センサを使用する方法は
微小変位を数ミクロンという高精度な範囲で測定可能で
あるが、検出範囲長が狭く、高価である等の欠点があ
る。
【0009】加えての過電流センサを使用する方法
は、上記静電容量センサと共に、マスクパターン面を直
接計測するものではなく、実際には回転・あおり微動機
構を備えたマスク・ウェハ縦型ステージ面の2点〜4点
を非接触で測定し、歪ゲージ付きピエゾ素子(圧電素
子)と弾性板バネでステージ面全体の平行出しを行なう
等、露光中のマスク・ウェハのギャップを継続して直接
検出しているわけではない。
【0010】本発明は従来技術の以上の様な問題に鑑み
創案されたもので、面内位置ずれ検出と共に、露光中で
も安定継続的に直接2つの物体のギャップを直接検出す
ることが可能な位置ずれ及びギャップ検出方法を提供せ
んとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】ここで本発明の構成を説
明する前に、本願における回折格子から得られる回折光
の回折次数につき予め定義しておく。
【0012】図1及び図2は反射回折格子の入射角・回
折角の符合の状態を示している。まず周波数fの単色光
が格子ピッチPの反射回折格子32に対し、光軸から入射
角θiの傾きを持って入射した場合、正反射となる回折
次数m、n=0の回折光を中心にそれより光軸側に回折す
るものはm、n=−1、−2、−3……というようにマイ
ナス次数又その反対側に回折するものはm、n=+1、+
2、+3……というようにプラス次数(これらの回折次
数に対応する回折角をθm、θnとする)になる。この時
の入射角θiと回折角θm、θnとの関係は、回折格子の
基礎公式により、次式数9及び数10の様になる。
【0013】
【数9】
【0014】
【数10】
【0015】以上の定義を基に本発明の位置ずれ及びギ
ャップ検出方法につき説明すると、図3に示される様
に、周波数のわずかに異なる(即ち、f1、 f2の)2
つの単色光の組を2組(即ち計4光束)用い、これらの
各組の2光束については光軸の片側で該光軸に対して入
射角の異なる(即ちθ1とθ2であってθ1<θ2)方向か
らであって且つ該組間では前記光軸の両側で反転対称と
なる方向(即ち、白抜き矢印のf1とf2の組と斜線書き
のf1′とf2′の組は光軸に対し図面上左右反転対称に
なっている)から夫々第1の物体M及び第2の物体Wの
各回折格子32a、32b(これらの格子ピッチはPとする)
に入射させ、光軸の夫々両側対称な位置から4ビーム以
上の光ヘテロダイン干渉させた回折光を取り出し、両回
折格子のX方向位置ずれ及びZ方向ギャップによる光路
差変動量に基づき生じる光ヘテロダイン検出信号の下式
数1及び数2、数3及び数4、数5及び数6、又は数7
及び数8の組に示される位相変動量Δφxz及びΔφxz
からこれらのいずれかの組の2式の和と差によってX方
向及びZ方向の2次元位相変動量Δφx及びΔφzを夫々
分離算出することで、両物体M、Wの変位量を求めるこ
とを基本的特徴としている。
【0016】[数1]Δφxz=Δφx+Δφz、Δφxz=Δφx+Δφz
【0017】[数2]Δφxz′=Δφx−Δφz、Δφxz′=Δφx−Δφz
【0018】[数3]Δφxz=−Δφx−Δφz、Δφxz=−Δφx−Δφz
【0019】[数4]Δφxz′=−Δφx+Δφz、Δφxz′=−Δφx+Δφz
【0020】[数5]Δφxz=Δφx+Δφz、Δφxz=Δφx+Δφz
【0021】[数6]Δφxz′=−Δφx+Δφz、Δφxz′=−Δφx+Δφz
【0022】[数7]Δφxz=−Δφx−Δφz、Δφxz=−Δφx−Δφz
【0023】[数8]Δφxz′=Δφx−Δφz、Δφxz′=Δφx−Δφz
【0024】上記発明法のように、光軸に対して夫々そ
の片側に右シフト及び左シフトした2光束の2組を左右
反転対称な4光束にして同時に入射させると、図4
(a)に示されるように、周波数f1の光束と周波数f2
の光束が光軸の右側にシフトした組から得られる2以上
の光ヘテロダイン干渉された回折光は光軸の左側に左傾
きの状態となって得られ、他方同図(b)に示されるよ
うに、周波数f1の光束と周波数f2の光束が光軸の左側
にシフトした別の組から得られる2以上の光ヘテロダイ
ン干渉された回折光は光軸の右側に右傾きの状態となっ
て得られることになる。こうして得られた干渉回折光か
ら検出されるビート信号には、両物体M、WにX方向
(面内方向)のずれがある場合、左傾きの回折光由来の
ビート信号及び右傾きの回折光由来のビート信号共、参
照信号に対して常に一定方向に位相のずれ(位相変動
量)Δφxを生じ、またZ方向のギャップにずれがある
場合、左傾きの回折光由来のビート信号と右傾きの回折
光由来のビート信号では、参照信号に対して反対方向に
位相のずれΔφzを生じる。その結果実際に検出される
右傾きの回折光由来のビート信号の参照信号に対する位
相のずれΔφxzは前記数1、数3、数5、数7で示され
たものが得られ、また左傾きの回折光由来のビート信号
の参照信号に対する位相のずれΔφxz′は前記数2、数
4、数6、数8で示されたものが得られることになる。
従って、いずれかの組の両式の和と差から、X方向及び
Z方向の2次元位相変動量Δφx及びΔφzを夫々分離算
出することが可能となる。
【0025】また本発明の構成では、組となる2光束が
光軸の片側から入射されることになるため、両光束間が
接近しており、その間の大気のゆらぎは検出精度にほと
んど影響がない。また後に説明するように、各組の2光
束の入射角度の差を大きくすれば、Z方向の光路差変化
量が大きくなって、同方向の検出分解能が向上すること
になる。
【0026】
【実施例】以下本発明法の具体的実施例につき詳述す
る。
【0027】図5及び図6はマスクMとウェハWの位置
ずれ及びギャップ検出を行なう本発明法の実施に使用さ
れる光学系装置構成の一例を示す斜視図と、該光学系光
路詳細図である。
【0028】図5において、まず2波長直交偏光レーザ
光源12より偏光面が直交し、且つ周波数がわずかに異な
る(f1、f2)単色レーザ光(即ち、周波数f1成分に
ついては→で表わすP偏光、又周波数f2成分について
は↑で表わすS偏光)を発生させる。10は該光源12のコ
ントローラであり、電気的な処理を施して第1REF11
aから|f1−f2|の周波数の参照ビート信号が出力さ
れるようになる。尚、該光源12については音響光学素子
(AOM)2つからなる周波数シフタ等で2周波数のも
のを得る構成に置き換えてもよい。
【0029】この光源12から射出されたアライメント光
は通常3〜4%程度レーザ射出口で楕円偏光になってお
り、これをλ/4板13という位相板(回転補正光学部
品)によって2周波成分の直交状態をより正しい姿勢に
直す。そしてアライメント光のビームは偏光ビームスプ
リッタ(PBS)14に至り、そこからS偏光(f2周波
数)成分がλ/2板15に至る。λ/2板15に対して結晶
軸と45°の方向から入射させ、周波数f2のS偏光を
90°回転させたf1周波数と同じP偏光にする。該λ
/2板15より出たf2周波数のP偏光は、ミラー16によ
り光路を変へ、f2周波数のアライメントビームは図上
Z方向、X方向に移動可能であり、あおりやθ回転もで
きるミラー17により光軸方向を変えてレンズ18に至る。
このレンズ18と次のレンズ19はビームエキスパンダを構
成していて、組となる光束の間隔を所望の間隔に調整す
る。
【0030】一方、偏光ビームスプリッタ14を透過した
P偏光の周波数f1のアライメントビームは、レンズ20
に至る。このレンズ20と次のレンズ21は、前記レンズ18
及びレンズ19と同様ビームエキスパンダを構成してい
て、他の組の光束の間隔を所望の間隔に調整する。レン
ズ18、19及びレンズ20、21で光束間の間隔調整された
ーザビームは入射位置が調整され、無偏光ビームスプリ
ッタNPBS22に夫々入射される。この無偏光ビームス
プリッタNPBS22上で2組のビームの光軸両側におけ
る間隔は後に所望の回折次数(+1、0)(0、−1)
(−1、0)(0、+1)の干渉回折光が重ならずに得
られる間隔になるようミラー17により調整される。また
後述の対物レンズ31による回折格子32への入射照明角度
は、各組の周波数f1とf2のビーム間隔で決定するので
精密に調整する。無偏光ビームスプリッタNPBS22の
反射透過面はあおりや回軸により2光束の波面を調整で
き、2光束の波面が同一になるように波面収差を取り除
く。無偏光ビームスプリッタNPBS22に入射された周
波数f1とf2の両アライメントビームは、平行光束とし
て一緒に2方向に分岐される。
【0031】分岐された一方の2光束の組はそのままも
う一つの無偏光ビームスプッリタNPBS25に至る。更
にミラー23に至ったもう一方の周波数f1とf2の2光束
は光軸方向を変え、更にミラー24に至って再度光軸方向
を変え、X方向、Z方向に回転・あおりが可能な該ミラ
ー24により所定量ずらし、前記無偏光ビームスプッリタ
NPBS25上で4光束のビーム(f2121)配置と
なり、2組の光束が光軸に対して左右反転対称になるよ
う精密に調整する。もし光軸に対して横ずれが発生する
と非テレセントリック状態になり、結像面となる回折格
子32で微小なずれが発生し、2組の検出範囲長が異なっ
てしまう。図上無偏光ビームスプリッタNPBS25より
左側に射出される4光束は他軸用としたが、もしキュー
ブ状でミラー面が2カ所あるビームスプッリタが作成で
きるのであれば、置き換えることが望ましい。
【0032】無偏光ビームスプリッタNPBS25より射
出された4光束は、その2組が光軸に対して夫々左右反
転対称な配置となり、レンズ26に至る。レンズ26、28、
31、33は両テレセントリック光学系になっていて、視野
絞りAS27の像がマスクM、ウェハWの回折格子32上に
像を作る共役(結像)関係になっている。このようなテ
レセントリック配置により視野絞りAS27の像が回折格
子32上に結像すると、デフォーカス(焦点位置ずれ)が
あってもその像の結像倍率が一定となる。例えば光学系
の傾きやレンズの偏心があった場合発生する視野絞りA
S27からのフランホーファ回折像は、アライメント誤差
要因になるが、両テレセントリック光学系で結像されて
いるので、その影響がより低減できる。レンズ26より射
出された4光束は該レンズ26の後面焦点位置に配置され
た視野絞りAS27上で4光束が平行交差するように絞り
込まれて、視野絞り径のアライメントビームが成形射出
され、レンズ28の後面焦点位置にある後述の瞳面EP70
で4光束の平行光となる。この4光束平行光はレンズ28
から射出され光軸に対して平行に進み、対物レンズ31の
前面焦点位置にあり回折格子32のフーリエ変換像が得ら
れる瞳面EP70で集光されあたかも点光源のようにな
る。この瞳面EP70上の4光束の並びはレンズ26、28に
より反転されるので、4光束の並びが(f2121
から(f1212)となり、逆位置になる。
【0033】全てP偏光(→)である4光束は偏光ビー
ムスプリッタPBS29を透過し、λ/4板30に至る。こ
のλ/4板30を通過した4光束は左回りの円偏光とな
り、対物レンズ31に平行光としてのビーム径を拡大して
進む。ここを透過した4光束は図7に示されるように、
この対物レンズ31によって各組の光束とも光軸に対して
外側の角度θ2、内側の角度θ1で入射照明される。この
ような入射照明が行われる時、各組の2光束は光軸に対
し瞳面EP70上でFb・Sinθ2とFb・Sinθ1
位置に配置されており(Fbは対物レンズ31の後面焦点
距離である)、これらの組間では光束が光軸に対して左
右反転対称となる角度で回折格子32に入射照明されるこ
とになる。
【0034】更に本実施例では次のような受光光学系で
干渉回折光を受光する。2組の2光束を照明して得られ
る回折光は前記図7に示されるような状態となる。即ち
入射角度θ1、θ2と反対方向の正反射光(0次光)を中
心として高次の回折光が前記ピッチP間隔に並び、且つ
前記ミラー24の調整によって2光束の干渉光2組が混入
することなく回折される。この図面では干渉ビート信号
が得られる回折次数(+1、0)(0、−1)(−1、
0)(0、+1)のみを明記してある。ここでビート信
号を検出している干渉回折光は上記の4光束としたが、
これはレンズ31の有効径によって決めたもので、高NA
(開口比)のレンズであれば更に高次の干渉回折光を集
光することが可能である。
【0035】次に以上の入射照明光と干渉回折光のアイ
ソレーション(分離)方法について説明する。得られる
回折光は光軸に対称な角度で回折され、入射時の円偏光
と逆に回る右回りの円偏光となり、対物レンズ31で集光
される。干渉4光束は平行光となり、λ/4板30を通過
すると、偏光方向がS偏光(↑)(図6では紙面に垂直
な偏光・で図示)となり、入射時とその偏光方向を変
え、偏光ビームスプリッタPBS29の分離面で反射され
る。ここで偏光ビームスプリッタPBS29とλ/4板30
によって入射光と回折光が完全に分離される。進行方向
を変えた反射回折光はその前面焦点距離が瞳面EP70上
にあるレンズ33に至り、更にその後面焦点距離の位置に
あるピンホールの開いた視野絞り35で結像する。この位
置は前記視野絞りAS27と共役(結像)関係にある。レ
ンズ33、34はアホーカル系拡大レンズであり、前面の結
像面を拡大してリレーするものである。この拡大像はレ
ンズ34の後面でフーリエ像となる。
【0036】レンズ34を通過した4光束は穴開きミラー
36により中央の(0、−1)(−1、0)次回折光のみ
が通過し、他の光束は反射される。通過した2光束はそ
のまま四分割ディテクタ37に至る。四分割ディテクタ37
面上では前記回折格子32の像が拡大投影された面であ
り、ここでウェハWとマスクMの夫々のビート信号が分
離され、夫々の検出面で受光される。一方穴開きミラー
36で反射された(+1、0)(0、+1)次の回折光は
別の4分割ディテクタ38、39により夫々受光される。
【0037】本実施例に示すように、光軸片側に左シフ
トした光束の組と光軸他側に右シフトした光束の組を左
右反転対称な4光束にして、図8に示すようにマスクM
及びウェハWの各回折格子32に入射照明すると、光軸に
対して対称な位置に(+1、0)(0、−1)(−1、
0)(0、+1)次回折光をマスクM・ウェハW共に得
る。前記図4(b)に示されたように、光軸に対して左
シフトした入射光の組については、反射の法則により光
軸に対して入射方向と逆向きの右傾きの回折光が得られ
る。同様に光軸に対して右シフトした入射光について
は、同図(a)に示すように、左傾きした回折光が得ら
れる。このように4光束照明したのは2次元方向(X方
向、Z方向)の位相変化を同時に測定するためであり、
2光束の組を2組にして光軸に対し対称に入射照明した
のは得られるΔx、Δzの移動量に対応する位相変動
を同量にするためである。
【0038】次に本実施例において、光軸に対して対称
位置に(+1、0)(0、−1)(−1、0)(0、+
1)次の回折光が得られることを説明する。前記図7
は、ウェハWに形成された回折格子に対する入射光と
(−3次〜+3次)までの回折光をもって、2波長の干
渉モデルを示す原理説明図である。本実施例では同図
(f)に示すように、その回折格子32のデューティ比と
して、1次回折効率が一番良い(P−a)/P=1/2
の1:1のものを用いた。同図(c)(d)に示すもの
は、前記回折格子32からの(−3次〜+3次)までの対
物レンズ31で集光できる次数の周波数f1、f2のm次、
n次回折光の強度分布である。
【0039】まず光軸から左側にシフトした2光束(周
波数f1、f2)の組から説明する。同図(e)に示した
対物レンズ31の前面焦点距離にある瞳面EP70は、回折
格子32のフーリエ変換像が得られる面であり、照明系の
光学配置ではこの面で点光源となるよう4光束を絞り込
む。外側入射角度θ2で入射する周波数f1の照明光(白
抜き矢印)は回折格子32に入射照明され、その正反射光
(0次光)が瞳面EP70上で光軸に対して入射位置と反
対位置に戻る。この位置を中心にして、同図(d)の
(R1)に示されるように、−3次〜+3次の回折光が
得られる。同様に内側入射角度θ1で入射する周波数f2
の照明光(白抜き矢印)も回折格子32に入射照明され、
その正反射光は瞳面EP70上で光軸に対して入射位置と
反対位置に正反射光(0次光)が戻り、同図(d)の
(R2)に示されるように、これを中心として+3次〜
−3次の回折光が得られる。この時、瞳面EP70上での
周波数f1の入射照明光(白抜き矢印)と同周波数f2
入射照明光(白抜き矢印)の間隔は、この回折光のうち
(m=−1、n=0)次及び(m=0、n=+1)次の
回折光が干渉する(重なり合う)ように設定する。この
ような状況にして得られる(−1、0)次及び(0、+
1)次の干渉回折光は光軸に対して右傾き回折光位置
(黒実線矢印)に得られ、光軸より右側にずれる。
【0040】一方もう一組の周波数f1′、f2′の2光
束(斜線塗りの矢印)の組も、その入射照明時に光軸か
ら右にシフトしており、従って光軸を中心に前記の場合
と反転した位置にその干渉回折光が得られる。即ち同図
(c)の(L1、L2)に示すように、その(+1、
0)次及び(0、−1)次の干渉回折光は光軸に対して
左傾き回折光位置(斜線塗りした矢印)に得られ、瞳面
EP70上光軸より左側にずれる。
【0041】以上のようにして得られた左傾き、右傾き
の干渉回折光は、同図(b)に示すように夫々の干渉回
折光が重なり合うことなく光軸に対して対称位置に得ら
れ、該干渉回折光を検出するディテクタ37乃至39の手前
では、同図(a)に示すように分離されて夫々別々に検
出することが可能となる。
【0042】次にΔx方向の位相変動量とΔz方向の位
相変動量を所定の式の和と差により分離する原理につい
て説明する。図9乃至図11は、入射角をθとした左右
対称入射照明の場合(Symmetric、図9)と、
入射角をθ1、θ2として入射照明光が右にシフトした左
非対称の場合(Left、図10)と、同様な条件で入
射照明光が左にシフトした右非対称の場合(Righ
t、図11)とにおける−1次の干渉回折光の状態を示
している。同時に微小変動量ΔxとΔzがあった場合に
おける前記参照信号に対するビート信号の位相移動方向
を、黒塗りの矢印と白抜きの矢印とでこれらの図面に併
せて示した。
【0043】これらの図面から明らかなように、Δx方
向の移動に対しての位相移動方向が3つの場合とも同一
方向である。これは移動に伴う光路長変化が、後述の図
12及び図13に示すように、周波数f1のものの光路
長が周波数f2のものの光路長より常に長くなることか
ら判断できる。即ち周波数f2の照明光を基準にした時
の周波数f1の照明光に対する光路差[L(1)−L
(2)]は、L(1)の光路長>L(2)の光路長とな
るため、常に正になり、従って位相移動方向が常に同一
方向になる。
【0044】これに対してΔzの移動に対して左右対称
入射の場合、周波数f1及びf2の入射照明光の光路長変
動量は常に等しく、光路差[L(1)−L(2)]は0
となり、振幅強度については変化するが、位相は変化せ
ず、位相ずれは起きない。これが、左右対称光学配置に
するとΔzギャップ方向に対する変動に対し、影響を受
けない利点であった。
【0045】左非対称や右非対称の場合、取り出された
回折光の各組のビート信号の位相の変化は(参照信号に
対して)同方向であるが、入射照明光の入射角(光軸か
らの傾き方)の違いによって夫々のΔz移動に伴う位相
変動量が異なる(白抜き矢印の大きさが異なる)ことに
なると共に、両組間では夫々のビート信号の位相の向き
が逆になる(白抜き矢印→→と←←)。
【0046】以上のような場合の光路長変化の様子を、
図12及び図13により具体的に示す。これらの図面は
周波数f1のビームと周波数f2のビームがΔx及びΔz
分のマスクMの移動に伴い、位置PからP′に移動した
時の光路長L(1)とL(2)を示したものである。こ
れらの図面ではその時発生する入射光の光路変化長を丸
1、丸A2、丸A1′、丸A2′で、また回折光の光路変
化量を丸B1、丸B2、丸B1′、丸B2′及び丸C1、丸
2、丸C1′、丸C2′で各示し、光路長は太い実線で
表した。このうち回折光の光路長は丸B1と丸B2及び丸
1と丸C2(図12)、更に丸B1′と丸B2′及び丸C
1′と丸C2′(図13)で、同一方向に同長だけ発生す
る光路長で、光路差[L(1)−L(2)]に寄与して
おらず、光路差の算出から除くことができる。即ち光路
差は周波数f1、f2の入射光に対して発生する光路長丸
1と丸A2、及び丸A1′と丸A2′の差を考えれば良
い。
【0047】そこでまず振幅が略等しく周波数がわずか
に異なっており(数10KHz〜数100KHz)、且
つ同一方向に進行する2つの波u1とu2の重ね合わせを
考える。
【0048】u1、u2は下式数11及び数12の様な
動方程式に書ける。
【0049】
【数11】
【0050】
【数12】
【0051】又ビート周波数(うなり)は振幅の変動の
繰り返し周波数で下式数13で表わせる。
【0052】
【数13】
【0053】u1とu2の2つの波の振幅の和を2乗して
波の重ね合せ強度を求めると次式数14が得られる。
【0054】
【数14】
【0055】上記数14の[L(1)/λ1−L(2)
/λ2]項から光路差[L(1)−L(2)]の変化に
よって位相項の遅れや進みが出ることがわかる。
【0056】光ヘテロダインアライメント方式ではこの
位相差の測定を行なうことになるが、この位相差は±18
0゜以内と角度検出範囲が固定されてしまうため、数1
4の[ L(1)/λ1−L(2)/λ2]の項で示され
る光路差[L(1)−L(2)]が検出範囲と位相の進
み・遅れの方向を左右する項目となる。使用される2つ
の周波数f1、f2のレーザ光はわずかに波長が異なり、
ビート信号の周波数(f1−f2)は約2.4×105
zで、光周波数約5×1014Hzに比べ十分小さいの
で、光速をCとするとビート周波数Δfは|C/λ1
C/λ2|であり、Δf《Cであるため、レーザ波長
は、λ1=λ2≒λとおける。従って、2π[L(1)/
λ1−L(2)/λ2]の項は2π[L(1)−L
(2)]/λと置き換えることができる。
【0057】次に図12及び図13を基に図7の場合の
1周波数成分の−1次回折光とf2周波数成分の0次回
折光及びf1周波数成分の 0次回折光とf2周波数成分
の+1次回折光(図12の場合)、更にf1周波数成分
の 0次回折光とf2周波数成分の−1次回折光及びf1
周波数成分の+1次回折光とf2周波数成分の0次回折
光(図13の場合)で得られる光路差[L(1)−L
(2)]を求めてみる。
【0058】図12や図13のように、左シフト入射さ
せ或いは右シフト入射させることで、光軸に対して右傾
き或いは左傾きした状態で回折光が取り出された場合
(右非対称或いは左非対称)、左右がアンバランスにな
り、入射角が実際にはθ1、θ2であることから、Δzの
変位に対しても光路差が発生する。
【0059】この図12は左シフト入射光による右傾き
回折光の光路長変化(R)とその光路差を、また図13
は右シフト入射光による左傾き回折光の光路長変化
(L)とその光路差が各示されている。前述のように、
θ1、θ2は光軸に対しての入射光に対する夫々の入射角
度であり、内側入射角度θ1<外側入射角度θ2となる。
その角度差が大きくなれば、入射光の光路差が増大し、
それだけ分解能が向上することになる。
【0060】両図における光路長丸A1丸A1′は周波数
1の入射光の光路長を、丸A2丸A2′は周波数f2の入
射光の光路長を、また丸B1丸C1及び丸B1′丸C1′更
に丸B2丸C2及び丸B2′丸C2′は周波数f1とf2の回
折光の光路長を各示している。前述のように光路差は
[L(1)−L(2)]であり、上記回折方向の光路長
は回折方向丸B1と丸B2及び丸C1と丸C2(図12)、
更に丸B1′と丸B2′及び丸C1′と丸C2′(図13)
が同方向且つ同長なので光路差の計算から除くことがで
きる。また両図とも回折光と光軸との回折角度は明記し
ていない。このことは、周波数f1、f2の入射光の入射
角度で光路差が明記できることを示している。
【0061】そこでマスクMがPの位置からP′の位置
に移動した時、図12における周波数f1とf2の入射光
についての光路長L(1)とL(2)、即ち丸A1と丸
2は共に長くなり、これらを夫々求めると、次式数1
5及び数16の様になる。
【0062】
【数15】
【0063】
【数16】
【0064】以上の2式から周波数f2の入射光を基準
にしてみた光路差は次式数17の様になる。
【0065】
【数17】
【0066】上記式の右辺第1項はΔxに関する項で、
sinθの差で示され、また第2項はΔzに関する項
で、cosθの差で示され、θ1<θ2なので、(sin
θ1−sinθ2)の項は負、また(cosθ1−cos
θ2)の項は正であり、それ故、−を入れると、前者は
正、また後者は負を示すことになる。前記数14の2π
/λ[L(1)−L(2)]の項が光路差変動による位
相項(−180゜〜+180゜)になるので、Δx、Δ
zの位相変動量は、前記数17式と同様に、下式数18
の様に表すことができる。
【0067】
【数18】
【0068】同様に図13において、PからP′に移動
した時の光路長を求めると、L(1)及びL(2)の光
路長、即ち丸A1′と丸A2′は共に短くなり、次式数1
9及び数20の様になる。
【0069】
【数19】
【0070】
【数20】
【0071】よって光路L(2)を基準にしてみた光路
差[L(1)−L(2)]は、次式数21の様になる。
【0072】
【数21】
【0073】これを前記数18式と同様に位相変動量
表すと、次式数22式に示すようになる。
【0074】
【数22】
【0075】本実施例では、同時に左シフト及び右シフ
トした照明光の入射を行なっているため、前記数18式
と数22式との和より位相変動量Δφxが、またその差
より位相変動量Δφzが分離して測定することができ
る。
【0076】以上のように、左右対称入射の時はその入
射角がθ1=θ2=θとなり、Δzに関する項が0とな
る。またΔxに関する項は2Δx・sinθとなる。即
ちΔx、Δzの移動に伴い、X方向の光路長は、周波数
1の入射光については長くなり、周波数f2の入射光に
ついては短くなるのに対し、Z方向の光路長について
は、周波数f1及びf2とも長くなるが変化量は同じであ
る。
【0077】一方、光軸片側に左シフト及び右シフトし
た各光束の入射により右非対称及び左非対称の回折光を
得ている場合、非対称になることによって前記数17及
び数21の第2項のΔzに関する項が(cosθ1−c
osθ2)のθ1とθ2の傾き差に比例した量だけ発生
し、入射角θ1とθ2の非対称の組を、光軸に対し2組対
称(本実施例では左右反転対称だが、本発明では左右対
称とすることもできる)に入射照明することにより、逆
方向[(cosθ1−cosθ2)の前に付く±が相違す
る]に同量[(cosθ1−cosθ2)]だけ発生させ
ることができる。また数17及び数21の第1項はΔx
に関して−(sinθ1−sinθ2)となり、傾き角に
関係なくΔxの進行方向と同じ方向になる。
【0078】この時のΔxの検出範囲は(sinθ1
sinθ2)というsin差になり、またΔzについて
言えばその検出範囲は(cosθ1−cosθ2)という
cos差になるため、Δxの検出範囲は左右対称入射の
場合と比べて狭くなるものの、反面その検出分解能は向
上し、またΔzに関しては検出が可能となるばかりでは
なく、更にθ1とθ2の角度差を大きくすれば、検出分解
能がより向上することになる。
【0079】以上の実施例構成を参考に4光束の入射配
置パターンを考えてみると、図14に示すようになる。
即ち同図(a)の配置は前記図6の場合を、また同図
(b)の配置は前記(a)の周波数f1とf2を入れ換え
た配置の場合を、同図(c)の配置は中心2光束が同一
周波数f2(図6の配置の右シフト入射を反転させた)
の場合を、更に同図(d)の配置は中心2光束が同じく
同一周波数f1(図6の配置の左シフト入射を反転させ
た)の場合(前記図5及び図6の場合に倍率1倍のビー
ムエキスパンダであるレンズ40、41をミラー23、24の間
に入れ左シフト入射を反転させている)を示している。
この時の位相変動量を併せて同図に示す(前記数1〜数
8と同じ)。
【0080】ここで参照信号の位相をφ0とすると、例
えば図14(a)の配置の場合の該参照信号との位相変
動量は下式数23及び数24となり、その差を取れば数
25となって、参照信号の項が消去できる。これは1方
向に限り参照信号との相対位相差を取らなくても両信号
の位相差が算出できることを意味する。従って1方向の
み(X方向のみ又はZ方向のみ)の測定であれば、参照
信号光学系を設置しなくても良いことになり、回折格子
からのビート信号差から直接相対位相差が算出できるこ
とになる。また単純に差で2Δφとなるので、分解能は
2倍となる。
【0081】
【数23】
【0082】
【数24】
【0083】
【数25】
【0084】以上の実施例は(+1、0)(0、−1)
(−1、0)(0、+1)次の回折光による光ヘテロダ
イン干渉を利用するものであったが、図15(a)も同
じ次数の回折光による光ヘテロダイン干渉を利用するも
のを示している。しかしこの場合は2組の干渉回折光が
ディテクタ手前の同一位置に混入結合して重なり合って
いる。この例では2組の干渉縞が重なり、ビート信号が
複雑となって好ましくない。但し光軸から上下にずらし
たり、光学系にシャッタ等を入れ、交互に使用すれば使
用可能となる。また同図(b)は有効レンズ径からはみ
出した場合を示しており、4光束の入射は非常に困難で
あることが分かる。このようにして見ると上記本実施例
の構成は、レンズ有効径を考えた場合、周波数f1とf2
の間隔接近させ易く、また2組の光束がより光軸に対
して対称に接近するので、大気のゆらぎ(温度、気圧、
湿度)による屈折率の変動に起因するアライメント誤差
をより低減できる配置であることが分かる。
【0085】尚、実際のデバイス製作工程ではレジスト
の塗布むらや非対称堆積形状の問題が発生するが、本構
成によればそのような場合でも位置ずれ及びギャップ
出が有効に行える。
【0086】ウェハW上の回折格子32は各層プロセスを
経てレジストが塗布される。通常レジストは回転塗布さ
れるので、段差形状を成す回折格子上のレジスト堆積形
状は非対称となることが避けられず、同様にレジストの
塗布むらも発生する。図16は非対称パターンの横ずれ
Δεと膜厚むらΔdの状態を示している。ビート信号は
2光束(周波数f1とf2)の波面の揃った時の高速の干
渉縞発生(目には見えない)により得られる。しかしレ
ジストに非対称性や歪が生じると、ビート信号のS/N
比は低下する。またレジストの塗布むらにより歪が発生
し、干渉縞の本数が多くなり過ぎると、ビート信号は検
出不能となる。このように非対称パターンや塗布むらは
アライメント誤差要因となり、アライメント誤差を招
く。前記図16の中心より左右にΔε横ずれした回折格
子32のレジスト50堆積とレジスト50の塗布むらΔdより
発生する位相誤差をΔψεとすると、下式数26に示す
ような位相誤差が発生する。
【0087】
【数26】
【0088】本発明では誤差位相が加算され、位相変動
量ΔφxzΔφxz′は下式数27及び数28に示すよう
になり、更にその差(Δφxz−Δφxz′)を取ると、次
式数29に示すようになる。
【0089】
【数27】
【0090】
【数28】
【0091】
【数29】
【0092】従って差を取る方向の誤差成分は除去でき
る。しかし和を取る方は逆に誤差が加算されてしまうの
で、差の方を利用すれば方向別誤差を除去できる。同様
にウェハWの反りにより発生する誤差要因に対しても有
効である。
【0093】一方、ウェハWとマスクMは数十μmに平
行近接して配置されるため、2光束入射照明によって両
間のギャップに多重反射が発生する。図17に本願構成
で位置ずれ及びギャップ検出を行った時のマスクMとウ
ェハW間の多重干渉モデルを示す。この場合も多重干渉
の一方の項は差を取ることにより、その誤差を取り除く
ことができる。
【0094】
【発明の効果】以上詳述した本発明の位置ずれ及びギャ
ップ検出方法によれば、面内位置ずれ検出と共に、露光
中でも安定継続的に直接2つの物体のギャップを直接検
出することができるようになる。尚、本位置ずれ及びギ
ャップ検出方法を用いれば、装置の走査・振動状態の測
定や試料等の検出物体の振動の測定を行なう振動検出方
法乃至装置にも適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光軸左側入射時の回折光回折次数の説明図であ
る。
【図2】同じく光軸右側入射時の回折光回折次数の説明
図である。
【図3】光軸片側にθ1、θ2の入射角で周波数f1、f2
の照明光の組を2組該光軸に対し両側反転対称の位置か
ら入射せしめた時の干渉回折光の状態を示す本発明構成
の一例を示す説明図である。
【図4】右シフト入射照明及び左シフト入射照明した場
合の回折光ヘテロダイン位置と位相移動方向を示す説明
図である。
【図5】本発明法の実施に使用される光学系装置構成の
一例を示す斜視図である。
【図6】該光学系光路詳細図である。
【図7】上記本実施例で照明光を入射し、フーリエ変換
レンズにより回折格子に該光の照射を行なった時の光ヘ
テロダイン干渉モデルを示す説明図である。
【図8】光軸片側に左シフト及び右シフトした2光束の
組2組を左右反転対称な4光束にしてマスク及びウェハ
の各回折格子に入射照明した時の斜視図である。
【図9】入射角をθとした左右対称入射照明の場合にお
ける0次と−1次の干渉回折光の状態を示す説明図であ
る。
【図10】入射角をθ1、θ2として入射照明光が光軸右
側にシフトした左非対称の場合における干渉回折光の状
態を示す説明図である。
【図11】入射角をθ1、θ2として入射照明光が光軸左
側にシフトした右非対称の場合における干渉回折光の状
態を示す説明図である。
【図12】本実施例において左シフト入射照明した場合
の光路L(1)と光路L(2)間の光路差を示す説明図であ
る。
【図13】本実施例において右シフト入射照明した場合
の光路L(1)と光路L(2)間の光路差を示す説明図であ
る。
【図14】本発明構成で実施可能な4光束の入射配置パ
ターンを示す説明図である。
【図15】干渉回折光がディテクタ手前で混入結合する
例及びレンズ有効径からはみ出る例を示す説明図であ
る。
【図16】非対称レジストパターンの横ずれ及び膜厚む
らの状態を示す断面図である。
【図17】本願構成で位置ずれ及びギャップ検出を行っ
た時のマスクMとウェハW間の多重干渉モデルを示す説
明図である。
【符号の説明】 31 フーリエ変換レンズ 32 回折格子 37、39 4分割ディテクタ 70 瞳面EP M マスク W ウェハ
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/027 H01S 3/00 F

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数のわずかに異なる2つの単色光の
    組を2組用い、これらの各組の2光束については光軸の
    片側で該光軸に対して入射角の異なる方向からであって
    且つ該組間では前記光軸の両側で反転対称となる方向か
    ら、夫々第1の物体及び第2の物体の各回折格子にこれ
    ら2組の光束を入射させ、光軸の夫々両側対称な位置か
    ら4ビーム以上の光ヘテロダイン干渉させた回折光を取
    り出し、両回折格子のX方向位置ずれ及びZ方向位置ず
    れによる光路差変動量に基づき生じる光ヘテロダイン検
    出信号の下式数1及び数2、数3及び数4、数5及び数
    6、又は数7及び数8の組に示される位相φxz及び
    φxz′からこれらのいずれかの組の2式の和と差によっ
    てX方向及びZ方向の2次元位相変動量φx及びφzを夫
    々分離算出することを特徴とする位置ずれ検出方法。 【数1】 φxz=φx+φz 【数2】 φxz′=φx−φz 【数3】 φxz=−φx−φz 【数4】 φxz′=−φx+φz 【数5】 φxz=φx+φz 【数6】 φxz′=−φx+φz 【数7】 φxz=−φx−φz 【数8】 φxz′=φx−φz
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