JPH07224734A - 燃料添加剤供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車用内燃機関の燃料系へ供給する燃料添
加剤供給装置を、電気的に制御をすることなく、簡単な
構成でコストをかけずに実現する。 【構成】 燃料タンクへの燃料通路３の供給口の近傍に
添加剤の蓄えられる添加剤タンク１を設け、この添加剤
タンク１と燃料通路３とは連通路２で接続し、この連通
路２の途中に添加剤計量室14を設ける。添加剤計量室14
の上流側には逆止弁17を設け、下流側には圧力弁16を設
ける。また、この添加剤計量室14にはビストン13を設
け、このビストン13をリンク43によってフューエルリッ
ド４に連結する。そして、フューエルリッド４の開動作
でピストン13を押して添加剤計量室14内を加圧して添加
剤を排出し、フューエルリッド４の閉動作でピストン13
を引っ張り、添加剤計量室14内を減圧して、添加剤タン
ク１から添加剤をこの計量室14内に引き入れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は燃料添加剤供給装置に関
し、特に、内燃機関の燃料に添加剤を供給する燃料添加
剤供給装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、火花式機関において純粋なガソリ
ンの代替燃料として、ガソリンに別の燃料、例えばアル
コールを混入した混合燃料を使用することが試みられて
いる。フレキシブルフューエルビークル（ＦＦＶ）は、
このアルコールがどのような割合でガソリンに混合され
ても走行できる車両として知られている。

【０００３】ところで、アルコールをガソリンに混合し
た燃料を使用できる機関では、燃料系にこのアルコール
によって溶け出す金属系のもの（例えば、ハンダ付け用
の松脂等）があると、これが燃料中に溶け析出してトラ
ブルが発生したり、また、アルコール自体で燃料噴射弁
が摩耗する等の問題点がある。そして、この問題点は燃
料中に所定濃度の添加剤を混入させることによって緩和
されることが分かっている。

【０００４】従来、自動車用内燃機関の燃料系へ水、ア
ンチノッキング剤、異種燃料等の添加剤を供給する装置
は数多く提案されている。例えば、本出願人が既に提案
した実開昭６０−１９０９６４号公報に記載の燃料添加
剤供給装置には、エンジンを停止し、燃料を供給する際
に、燃料の供給量を検出して、その供給量に対応した添
加剤を添加剤装噴射ノズルから燃料タンク内に供給する
という燃料添加剤供給装置が開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実開昭
６０−１９０９６４号公報において本出願人が提案した
燃料添加剤供給装置では、添加剤の燃料タンク内への噴
射を電気的に制御しているため、装置の構成が複雑にな
ると共に、コストが増大するという問題点が残ってい
る。

【０００６】そこで、本発明は、自動車用内燃機関の燃
料系へ水、アンチノッキング剤、異種燃料等の添加剤を
供給する装置を、電気的に制御をすることなく、簡単な
構成でコストをかけずに実現することを目的としてい
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の第１の形態の燃料添加剤供給装置は、燃料貯蔵部に
燃料を供給する際に、この燃料貯蔵部への燃料供給口を
覆うフューエルリッドの開閉動作を利用して燃料中に添
加剤を混合する燃料添加剤供給装置であって、添加剤の
蓄えられる添加剤タンクと、前記燃料貯蔵部と添加剤タ
ンクとを結ぶ連通路と、この連通路の途中に設けられる
添加剤計量室と、この添加剤計量室の上流側に設けら
れ、前記添加剤タンクから添加剤計量室への添加剤の流
入のみを許容する一方向弁と、前記添加剤計量室の下流
側に設けられ、前記添加剤計量室内の圧力が所定圧力に
達すると開く弁と、前記フューエルリッドに連結され、
フューエルリッドの開動作で前記添加剤計量室内を加圧
し、フューエルリッドの閉動作で前記添加剤計量室内を
減圧する圧力調整機構とを備えることを特徴としてい
る。

【０００８】また、前記目的を達成する本発明の第２の
形態の燃料添加剤供給装置は、燃料貯蔵部に燃料を供給
する際に、この燃料貯蔵部への燃料供給口を覆うフュー
エルリッドの開閉動作を利用して燃料中に添加剤を混合
する燃料添加剤供給装置であって、添加剤の蓄えられる
添加剤タンクと、前記燃料貯蔵部と添加剤タンクとを結
ぶ連通路と、この連通路の途中に設けられる添加剤計量
室と、この添加剤計量室の上流側に設けられ、前記添加
剤タンクから添加剤計量室への添加剤の流入のみを許容
する一方向弁と、前記添加剤計量室の下流側に設けら
れ、前記添加剤計量室内の圧力が所定圧力に達すると開
く弁と、前記フューエルリッドに連結され、フューエル
リッドの開動作で前記添加剤計量室内を減圧し、フュー
エルリッドの閉動作で前記添加剤計量室内を加圧する圧
力調整機構とを備えることを特徴としている。

【０００９】さらに、前記目的を達成する本発明の第３
の形態の燃料添加剤供給装置は、燃料貯蔵部に燃料を供
給する際に、この燃料貯蔵部の液面の変化を利用して燃
料中に添加剤を混合する燃料添加剤供給装置であって、
添加剤の蓄えられる添加剤タンクと、前記燃料貯蔵部と
添加剤タンクとを結ぶ連通路と、この連通路の途中に設
けられる添加剤計量室と、この添加剤計量室の上流側に
設けられ、前記添加剤タンクから添加剤計量室への添加
剤の流入のみを許容する一方向弁と、前記添加剤計量室
の下流側に設けられ、前記添加剤計量室内の圧力が所定
圧力に達すると開く弁と、前記燃料貯蔵部の液面の上下
動に追従するフロート手段を有し、液面低下時のフロー
ト手段の下降動作で前記添加剤計量室内を減圧し、液面
上昇時のフロート手段の上昇動作で前記添加剤計量室内
を加圧する圧力調整機構とを備えていることを特徴とし
ている。

【００１０】

【作用】本発明の第１の形態の燃料添加剤供給装置によ
れば、燃料貯蔵部に燃料を供給する際に、この燃料貯蔵
部への燃料供給口を覆うフューエルリッドが開けられた
時に、このフューエルリッドに連絡された圧力調整機構
によって添加剤計量室が加圧されて添加剤計量室の下流
側に設けられた弁が開くので、添加剤計量室内の添加剤
が燃料貯蔵部に供給される。また、燃料の供給が終了し
てフューエルリッドが閉じられた時に、圧力調整機構に
よって添加剤計量室が減圧されるので、添加剤タンクか
ら添加剤計量室に添加剤が入る。また、本発明の第２の
形態の燃料添加剤供給装置によれば、燃料貯蔵部に燃料
を供給する際に、この燃料貯蔵部への燃料供給口を覆う
フューエルリッドが開けられた時に、このフューエルリ
ッドに連絡された圧力調整機構によって添加剤計量室が
減圧されるので、添加剤タンクから添加剤計量室に添加
剤が入る。また、燃料の供給が終了してフューエルリッ
ドが閉じられた時に、圧力調整機構によって添加剤計量
室が加圧されて添加剤計量室の下流側に設けられた弁が
開くので、添加剤計量室内の添加剤が燃料貯蔵部に供給
される。更に、本発明の第３の形態の燃料添加剤供給装
置によれば、燃料貯蔵部の燃料の液面が低下すると、こ
の液面の上下動に追従するフロートの下降動作で添加剤
計量室が減圧されるので、添加剤タンクから添加剤計量
室に添加剤が入る。また、燃料の供給が行われて燃料の
液面が上昇すると、液面の上下動に追従するフロートの
上昇動作で添加剤計量室が加圧されるので、添加剤計量
室内の添加剤が燃料貯蔵部に供給される。

【００１１】

【実施例】以下添付図面を用いて本発明の実施例を詳細
に説明する。図１は本発明の第１の実施例の燃料添加剤
供給装置１０１の構成を示す透視構成図であり、この実
施例では自動車のフューエルリッド４の近傍に燃料添加
剤供給装置１０１が設けられている。図において、１は
燃料添加剤であるオレイン酸（界面活性剤の一種）を蓄
えておくオレイン酸タンク、２はオレイン酸タンク１か
らオレイン酸を供給するオレイン酸供給管、３は図示し
ない燃料タンクに接続する燃料通路であり、その先端開
口部にはキャップ５が取り付けられていて、このキャッ
プ５はフューエルリッド４の裏側の空間６内に位置して
いる。

【００１２】オレイン酸タンク１と燃料通路３とを連通
するオレイン酸供給通路２の途中にはシリンダ１０が設
けられており、このシリンダ１０内には、オリフィス１
１の設けられた隔壁１２とシリンダ１０内を摺動可能な
ピストン１３によって仕切られたオレイン酸計量室１４
が形成されている。このピストン１３はシリンダ１０内
の圧力を調整する圧力調整機構の一部を構成している。
そして、このオレイン酸計量室１４に逆止弁１７を介し
てオレイン酸供給管２が接続されている。また、隔壁１
２に設けられたオリフィス１１はオレイン酸計量室１４
内の圧力が所定圧力以上になった時に開弁する圧力弁１
６によって塞がれており、この圧力弁１６と燃料通路３
とがオレイン酸供給管２で接続されている。

【００１３】一方、前述の圧力調整機構はフューエルリ
ッド４の開閉を利用してシリンダ１０内の圧力を調整す
るものであり、ピストン１３とフューエルリッド４との
間にブラケット１５、リンク４３、およびブラケット４
２が設けられて構成されている。ブラケット１５は、シ
リンダ１０内に設けられたピストン１３のオレイン酸計
量室１４と反対側の端面に突設されており、このブラケ
ット１５は、フューエルリッド４の裏面に設けられたブ
ラケット４２とリンク４３で接続されている。また、ブ
ラケット４２は、フューエルリッド４が開けられてフュ
ーエルリッド４がその回転軸４１を中心にして回転した
時に、フューエルリッド４の裏面側にある空間６内に入
り込む側のフューエルリッド４の裏面に設けられてい
る。

【００１４】図２(a) は図１に示した燃料添加剤供給装
置１０１の構成を模式的に表した構成図である。従っ
て、図２において、図１の構成部材と同じ構成部材には
同じ符号が付されている。この実施例では、フューエル
リッド４が閉じられている状態では、隔壁１２とピスト
ン１３で仕切られたオレイン酸計量室１４には給油時に
加えられる適正な量のオレイン酸が入っている。

【００１５】この状態から、図２(b) に示すように、給
油のためにフューエルリッド４が開けられ、フューエル
リッド４がその回転軸４１を中心にして回転すると、ブ
ラケット４２が空間６内に移動し、リンク４３、ブラケ
ット１５を介してピストン１３がシリンダ１０内に没入
される。このピストン１３の移動時には逆止弁１７は閉
じるので、ピストン１３の移動によってオレイン酸計量
室１４内の圧力が上昇し、圧力弁１６が開く。この結
果、オレイン酸計量室１４内のオレイン酸がオリフィス
１１を通り、オレイン酸供給管２を通じて燃料通路３内
に排出され、図示しない燃料タンクに供給される。

【００１６】この後、燃料通路３のキャップ５が外さ
れ、燃料通路３を通じて燃料タンクに燃料の供給が行わ
れる。この実施例では、フューエルリッド４を開けた時
に添加剤であるオレイン酸が燃料通路３に供給され、そ
の後から燃料通路３に燃料が供給されるので、燃料通路
３の壁面に付着したオレイン酸も燃料によって燃料タン
ク内に確実に入ることになり、燃料と添加剤との混合性
が良い。

【００１７】そして、燃料供給が終了し、燃料通路３に
キャップ５が取り付けられた後にフューエルリッド４が
閉じられると、ビストン１３が図２(a) の位置に戻る方
向に移動し、オレイン酸計量室１４内の圧力が低下す
る。この結果、圧力弁１６が閉じ、逆止弁１７が開弁す
るので、オレイン酸タンク１からオレイン酸供給通路２
を通じてオレイン酸がオレイン酸計量室１４内に供給さ
れる。フューエルリッド４が完全に閉じられた図２(a)
の状態では、オレイン酸計量室１４内がオレイン酸で満
たされ、次回の燃料供給時にオレイン酸を燃料タンクに
供給できる状態となる。

【００１８】図３(a) は本発明の第２の実施例の燃料添
加剤供給装置１０２の模式的な構成を示す構成図であ
り、図１，図２で説明した第１の実施例の燃料添加剤供
給装置１０１と同じ構成部材には同じ符号が付されてい
る。この実施例の燃料添加剤供給装置１０２が図１，図
２の実施例の燃料添加剤供給装置１０１と異なる点は、
圧力調整機構を構成するフューエルリッド４の裏面側に
設けられるブラケット４２の取り付け位置のみである。

【００１９】図１，図２の実施例の燃料添加剤供給装置
１０１では、フューエルリッド４が開けられた時に、ブ
ラケット４２はフューエルリッド４の裏面側の空間６内
に入るような位置に取り付けられていたが、図３の実施
例におけるブラケット４２は、フューエルリッド４が開
けられた時に、フューエルリッド４と共に空間６から出
ていく位置に取り付けられている。

【００２０】従って、図３(b) に示すように、フューエ
ルリッド４が開けられると、ブラケット４２が空間６の
外側に移動するので、ピストン１３がオレイン酸計量室
１４を減圧する側に移動し、逆止弁１７が開弁する。こ
の結果、オレイン酸タンク１からオレイン酸供給通路２
を通じてオレイン酸がオレイン酸計量室１４内に供給さ
れる。フューエルリッド４が完全に開けられた図２(b)
の状態では、オレイン酸計量室１４内がオレイン酸で満
たされる。

【００２１】この状態で、キャップ５が外されて燃料通
路３を通じて燃料が供給され、燃料の供給が終了した後
は再びキャップ５が閉じられ、フューエルリッド４が閉
じられる。フューエルリッド４が閉じられると、ブラケ
ット４２が空間６側に移動し、リンク４３、ブラケット
１５を介してピストン１３がシリンダ１０内に没入され
る。このピストン１３の移動時には逆止弁１７は閉じる
ので、ピストン１３の移動によってオレイン酸計量室１
４内の圧力が上昇して圧力弁１６が開く。この結果、オ
レイン酸計量室１４内のオレイン酸がオリフィス１１を
通り、オレイン酸供給管２を通じて燃料通路３内に排出
され、図示しない燃料タンクに供給される。

【００２２】図４(a) は本発明の第３の実施例の燃料添
加剤供給装置１０３の模式的な構成を示す構成図であ
り、図３で説明した第２の実施例の燃料添加剤供給装置
１０２と同じ構成部材には同じ符号が付されている。こ
の実施例の燃料添加剤供給装置１０３が図３の実施例の
燃料添加剤供給装置１０２と異なる点は、シリンダ１０
内を移動するピストン１３を中空の弁体１８に変更し
て、圧力弁１６と逆止弁１７とを省略した点のみであ
る。

【００２３】すなわち、この実施例の燃料添加剤供給装
置１０３では、燃料通路３の上方にシリンダ１０が位置
し、更に、オレイン酸タンク１がこのシリンダ１０の上
方に位置しており、オレイン酸タンク１内のオレイン酸
が自然落下で燃料通路３に供給されるようになってい
る。そして、オレイン酸タンク１と燃料通路３の途中に
オレイン酸の自然落下量を規定するシリンダ１０が設け
られている。

【００２４】図４(a) に示すフューエルリッド４が閉じ
られた状態では、中空の弁体１８によってオレイン酸タ
ンク１とオレイン酸計量室１４とを結ぶオレイン酸供給
管２が閉じられており、オレイン酸計量室１４と燃料通
路３とを結ぶオレイン酸供給管２は連通している。この
状態から、図４(b) に示すように、フューエルリッド４
が開けられると、ブラケット４２の空間６側への移動に
よって中空の弁体１８が移動し、オレイン酸タンク１と
オレイン酸計量室１４を結ぶオレイン酸供給管２が連通
し、オレイン酸計量室１４と燃料通路３とを結ぶオレイ
ン酸供給管２が閉じる。この結果、オレイン酸タンク１
内のオレイン酸が、オレイン酸供給管２を通じてオレイ
ン酸計量室１４に自然落下し、オレイン酸計量室１４内
がオレイン酸で満たされる。この状態でキャップ５が外
されて燃料が燃料通路３を通じて燃料タンクに供給され
る。

【００２５】燃料の供給が終了し、キャップ５が閉じら
れてフューエルリッド４が閉じられると、図４(c) に示
すようにブラケット４２が空間６側に移動し、リンク４
３、ブラケット１５を介して中空の弁体１８が移動し、
オレイン酸タンク１とオレイン酸計量室１４を結ぶオレ
イン酸供給管２が閉じられ、オレイン酸計量室１４と燃
料通路３とを結ぶオレイン酸供給管２が連通する。この
結果、オレイン酸計量室１４内のオレイン酸が自然落下
によりオレイン酸供給管２を通じて燃料通路３内に排出
され、図示しない燃料タンクに供給される。

【００２６】以上説明した実施例では、フューエルリッ
ド４の開閉動作毎に一定量（例えば、０．６cc／回）の
オレイン３が機械的に燃料タンクに供給される。これら
の実施例のオレイン酸計量室１４の容量は、オレイン酸
濃度が少なくとも０．００１％になるように決めれば良
い。また、フューエルリッド４がオープナの誤った操作
により、僅かに開いた状態では、オレイン酸が供給され
ないように、装置のばね定数等を設定すれば良い。

【００２７】図５(a) は本発明の第４の実施例の燃料添
加剤供給装置１０４の構成を示す燃料タンクの縦断面図
であり、前述の実施例と同じ構成部材には同じ符号が付
されている。従って、図において、１はオレイン酸タン
ク、２はオレイン酸供給管、３は燃料通路、５はキャッ
プ、１６は圧力弁、１７は逆止弁である。この実施例で
は自動車の燃料タンク７の近傍に燃料添加剤供給装置１
０４が設けられており、燃料タンク７の内部にオレイン
酸供給管２の途中に設けられたシリンダ２０が位置して
いる。また、燃料タンク７内には燃料の液面を検出する
ためのフロートアーム９と、このフロートアーム９の先
端に取り付けられて液面に浮かぶフロート８とがある。

【００２８】このシリンダ２０内には、シリンダ２０内
を摺動可能で、かつ、シリンダ２０内の圧力を調整する
圧力調整機構の一部をなすピストン２１によって仕切ら
れたオレイン酸計量室２５が形成されている。このオレ
イン酸計量室２５は、逆止弁１７が設けられたオレイン
酸供給管２を介してオレイン酸タンク１に接続され、ま
た、圧力弁１６が設けられたオレイン酸供給管２を介し
て燃料タンク７に接続されている。

【００２９】一方、前述の圧力調整機構はフロート８の
上下動を利用してシリンダ２０内の圧力を調整するもの
であり、ピストン２１とフロート８に接続されたフロー
トアーム９との間にブラケット２３、ピストンアーム２
２、およびブラケット２４が設けられて構成されてい
る。ブラケット２３はシリンダ２０内に設けられたピス
トン２１のオレイン酸計量室２５と反対側の端面に突設
されており、このブラケット２３は、フロートアーム９
に設けられたブラケット２４とピストンアーム２２で接
続されている。

【００３０】図５(b) は燃料タンク７内の燃料量が減少
した状態を示したものである。燃料タンク７内の燃料が
減少して液面が低下すると、フロート８が液面の低下に
追従して下がるので、フロートアーム９が回転し、ピス
トンアーム２２を介してこのフロートアーム９に接続す
るピストン２１が液面側に移動し、オレイン酸計量室２
１内の圧力が低下し、逆止弁１７が開弁する。この結
果、オレイン酸タンク１からオレイン酸供給通路２を通
じてオレイン酸がオレイン酸計量室２５内に供給され
る。

【００３１】この状態で、キャップ５が外されて燃料通
路３を通じて燃料が供給されると、燃料タンク７内の液
面が上昇する。すると、図５(c) に示すように、フロー
ト８が上昇し、フロートアーム９が燃料タンク７の天井
に近づく側に移動するので、ピストンアーム２２を介し
てピストン２１がシリンダ２１内に没入される。このピ
ストン２１の移動時には逆止弁１７は閉じるので、ピス
トン２１の移動によってオレイン酸計量室２５内の圧力
が上昇し、圧力弁１６が開く。この結果、オレイン酸計
量室２５内のオレイン酸がオレイン酸供給管２を通じて
燃料タンク７内に供給される。

【００３２】図６(a) は本発明の第５の実施例の燃料添
加剤供給装置１０５の構成を示す燃料タンク７の縦断面
図であり、図５に示した実施例の燃料添加剤供給装置１
０４と同じ構成部材には同じ符号が付されている。この
実施例の燃料添加剤供給装置１０５が図５の実施例の燃
料添加剤供給装置１０４と異なる点は、シリンダ２０が
燃料タンク７の底部側まで延長されている点と、シリン
ダ２０内を移動するピストン２１が燃料タンク７内に満
たされる液体よりも軽く、液面の上下動に追従してシリ
ンダ２０内を移動する点である。従って、この実施例で
は圧力調整機構はピストン２１のみによって構成されて
いる。

【００３３】この実施例では、燃料タンク７内の燃料が
減少して液面が低下すると、ピストン２１が液面の低下
に追従して下がり、オレイン酸計量室２５内の圧力が低
下し、逆止弁１７が開弁する。この結果、オレイン酸タ
ンク１からオレイン酸供給通路２を通じてオレイン酸が
オレイン酸計量室２５内に供給される。そして、キャッ
プ５が外されて燃料通路３を通じて燃料が供給され、燃
料タンク７内の液面が上昇すると、ピストン２１が上昇
して逆止弁１７が閉じる。この結果、第４の実施例の燃
料添加剤供給装置１０４と同様に、ピストン２１の移動
によってオレイン酸計量室２５内の圧力が上昇し、圧力
弁１６が開き、オレイン酸計量室２５内のオレイン酸が
オレイン酸供給管２を通じて燃料タンク７内に供給され
る。

【００３４】この実施例の燃料添加剤供給装置１０４で
は、燃料の減少に伴って逆止弁１７を介してオレイン酸
計量室２５内にオレイン酸が入り、燃料の供給量に応じ
てオレイン酸計量室２５内のオレイン酸が燃料タンク７
内に排出されるので、燃料供給量に見合ったオレイン酸
の量を供給することができる。そして、燃料中の添加剤
の濃度が適切に保たれるので、例えば、アルコール混合
燃料を使用した時のインジェクタのニードルとノズル本
体との摺動部の潤滑が改善され、インジェクタの噴射量
の変動が改善される。この結果、アイドル不安定、始動
不良、排気ガスの有害成分の増大等を低減することがで
きる。

【００３５】図６(b) は図６(a) に示した燃料添加剤供
給装置１０５の変形例を示すものであり、燃料タンク７
内にオリフィス２７の設けられた仕切壁２６を設け、車
両の傾きによって燃料タンク７が傾いても、シリンダ２
０の液面が直ぐには変化しないようにしたものである。
また、図６(c) は図６(b) の仕切壁２６の構成の別の例
を示すものであり、仕切壁２６で囲まれたサブタンク２
８内への燃料の出入りの速度を遅くし、車両の傾きによ
って燃料タンク７が傾いても、サブタンク２８内の液面
が直ぐには変化しないようにしたものである。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
自動車用内燃機関の燃料系へ水、アンチノッキング剤、
異種燃料等の添加剤を供給する燃料添加剤供給装置を、
電気的に制御をすることなく、簡単な構成でコストをか
けずに実現することができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例の燃料添加剤供給装置の
構成を示す透視図である。

【図２】(a) は図１の第１の実施例の燃料添加剤供給装
置の構成を模式的に表した構成図、(b) は(a) の装置の
添加剤供給時の動作を説明する説明図である。

【図３】(a) は本発明の第２の実施例の燃料添加剤供給
装置の構成を模式的に表した構成図、(b) は(a) の装置
の添加剤計量動作を説明する説明図、(c) は(a) の装置
の添加剤供給動作を説明する説明図である。

【図４】(a) は本発明の第３の実施例の燃料添加剤供給
装置の構成を模式的に表した構成図、(b) は(a) の装置
の添加剤計量動作を説明する説明図、(c) は(a) の装置
の添加剤供給動作を説明する説明図である。

【図５】(a) は本発明の第４の実施例の燃料添加剤供給
装置の構成を示す燃料タンクの縦断面図、(b) は(a) の
装置の添加剤計量動作を説明する説明図、(c) は(a) の
装置の添加剤供給動作を説明する説明図である。

【図６】(a) は本発明の第４の実施例の燃料添加剤供給
装置の構成を示す燃料タンクの縦断面図、(b) は(a) の
装置の変形実施例の構成を示す構成図、(c) は(b) の仕
切壁の変形実施例の構成を示す燃料タンクの水平断面図
である。

【符号の説明】

１…オレイン酸タンク ２…オレイン酸供給管 ３…燃料通路 ４…フューエルリッド ５…キュップ ６…空間 ７…燃料タンク ８…フロート ９…フロートアーム １０，２０…シリンダ １１，２７…オリフィス １２…隔壁 １３，２１…ピストン １４，２５…オレイン酸計量室 １５，２３．２４，４２…ブラケット １６…圧力弁 １７…逆止弁 １８…中空の弁体 ２２…ピストンアーム ２６…仕切壁 ２８…サブタンク ４１…回転軸 ４３…リンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０２Ｍ 25/022

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料貯蔵部に燃料を供給する際に、この
   燃料貯蔵部への燃料供給口を覆うフューエルリッドの開
   閉動作を利用して燃料中に添加剤を混合する燃料添加剤
   供給装置であって、 添加剤の蓄えられる添加剤タンクと、 前記燃料貯蔵部と添加剤タンクとを結ぶ連通路と、 この連通路の途中に設けられる添加剤計量室と、 この添加剤計量室の上流側に設けられ、前記添加剤タン
   クから添加剤計量室への添加剤の流入のみを許容する一
   方向弁と、 前記添加剤計量室の下流側に設けられ、前記添加剤計量
   室内の圧力が所定圧力に達すると開く弁と、 前記フューエルリッドに連結され、フューエルリッドの
   開動作で前記添加剤計量室内を加圧し、フューエルリッ
   ドの閉動作で前記添加剤計量室内を減圧する圧力調整機
   構と、 を備えることを特徴とする燃料添加剤供給装置。
2. 【請求項２】 燃料貯蔵部に燃料を供給する際に、この
   燃料貯蔵部への燃料供給口を覆うフューエルリッドの開
   閉動作を利用して燃料中に添加剤を混合する燃料添加剤
   供給装置であって、 添加剤の蓄えられる添加剤タンクと、 前記燃料貯蔵部と添加剤タンクとを結ぶ連通路と、 この連通路の途中に設けられる添加剤計量室と、 この添加剤計量室の上流側に設けられ、前記添加剤タン
   クから添加剤計量室への添加剤の流入のみを許容する一
   方向弁と、 前記添加剤計量室の下流側に設けられ、前記添加剤計量
   室内の圧力が所定圧力に達すると開く弁と、 前記フューエルリッドに連結され、フューエルリッドの
   開動作で前記添加剤計量室内を減圧し、フューエルリッ
   ドの閉動作で前記添加剤計量室内を加圧する圧力調整機
   構と、 を備えることを特徴とする燃料添加剤供給装置。
3. 【請求項３】 燃料貯蔵部に燃料を供給する際に、この
   燃料貯蔵部の液面の変化を利用して燃料中に添加剤を混
   合する燃料添加剤供給装置であって、 添加剤の蓄えられる添加剤タンクと、 前記燃料貯蔵部と添加剤タンクとを結ぶ連通路と、 この連通路の途中に設けられる添加剤計量室と、 この添加剤計量室の上流側に設けられ、前記添加剤タン
   クから添加剤計量室への添加剤の流入のみを許容する一
   方向弁と、 前記添加剤計量室の下流側に設けられ、前記添加剤計量
   室内の圧力が所定圧力に達すると開く弁と、 前記燃料貯蔵部の液面の上下動に追従するフロート手段
   を有し、液面低下時のフロート手段の下降動作で前記添
   加剤計量室内を減圧し、液面上昇時のフロート手段の上
   昇動作で前記添加剤計量室内を加圧する圧力調整機構
   と、 を備えることを特徴とする燃料添加剤供給装置。