JPH07223877A - セラミックス−金属接合体及びその製造方法 - Google Patents
セラミックス−金属接合体及びその製造方法Info
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- JPH07223877A JPH07223877A JP1628294A JP1628294A JPH07223877A JP H07223877 A JPH07223877 A JP H07223877A JP 1628294 A JP1628294 A JP 1628294A JP 1628294 A JP1628294 A JP 1628294A JP H07223877 A JPH07223877 A JP H07223877A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 急激な熱ショックや機械的な衝撃によって
も、クラックや破壊を起こすことのない、各種構造部材
として有用な、高強度、高信頼性、セラミックス−金属
接合体を提供する。 【構成】 セラミックスとして、Si3 N4 :SiC微
粒子=70〜90:30〜10(体積比)及びTiC及
び/又はTiN微粒子0.1〜1体積%のSi3N4 −
SiC−TiC,TiN粒子分散複合セラミックスを用
い、接合界面に熱処理により窒化物、炭化物、酸化物の
混合相を生成させて、ロウ材を介して鉄又は鉄合金と接
合する。加熱接合後の冷却速度を30〜200℃/mi
nとする。 【効果】 耐摩耗性、耐食性、耐久性、摺動性に優れる
上に、高強度かつ高靭性の粒子分散複合セラミックスを
用いて、著しく高強度で信頼性に優れた軽量セラミック
ス−金属接合体が安価に提供される。
も、クラックや破壊を起こすことのない、各種構造部材
として有用な、高強度、高信頼性、セラミックス−金属
接合体を提供する。 【構成】 セラミックスとして、Si3 N4 :SiC微
粒子=70〜90:30〜10(体積比)及びTiC及
び/又はTiN微粒子0.1〜1体積%のSi3N4 −
SiC−TiC,TiN粒子分散複合セラミックスを用
い、接合界面に熱処理により窒化物、炭化物、酸化物の
混合相を生成させて、ロウ材を介して鉄又は鉄合金と接
合する。加熱接合後の冷却速度を30〜200℃/mi
nとする。 【効果】 耐摩耗性、耐食性、耐久性、摺動性に優れる
上に、高強度かつ高靭性の粒子分散複合セラミックスを
用いて、著しく高強度で信頼性に優れた軽量セラミック
ス−金属接合体が安価に提供される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス−金属接合
体及びその製造方法に係り、特に、軽量で、耐久性、耐
摩耗性、強度等に優れ、機械や自動車等の構造部材とし
て有用な高性能セラミックス−金属接合体及びその製造
方法に関する。
体及びその製造方法に係り、特に、軽量で、耐久性、耐
摩耗性、強度等に優れ、機械や自動車等の構造部材とし
て有用な高性能セラミックス−金属接合体及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】機械や自動車等の構造部材としては、耐
久性、耐摩耗性、強度等の特性に優れると共に、軽量な
材料が要求されており、このような要求特性を満たすも
のとして、高性能なセラミックス材料と金属材料との接
合部材が提案されている。
久性、耐摩耗性、強度等の特性に優れると共に、軽量な
材料が要求されており、このような要求特性を満たすも
のとして、高性能なセラミックス材料と金属材料との接
合部材が提案されている。
【0003】セラミックス−金属接合体の製造技術の研
究における歴史は長く、従来、多くの研究がなされてい
る。例えば、接合に用いるロウ材や、セラミックスと金
属との間に介在させるインサート材の選定についての研
究がなされている。
究における歴史は長く、従来、多くの研究がなされてい
る。例えば、接合に用いるロウ材や、セラミックスと金
属との間に介在させるインサート材の選定についての研
究がなされている。
【0004】現在、ロウ材としては、セラミックス及び
金属の界面のヌレ性を良くすることができるAg−Cu
系のロウ材が主に用いられている。また、Ag−Cu系
ロウ材にセラミックスに対して活性なTiを添加したロ
ウ材も多く用いられている。
金属の界面のヌレ性を良くすることができるAg−Cu
系のロウ材が主に用いられている。また、Ag−Cu系
ロウ材にセラミックスに対して活性なTiを添加したロ
ウ材も多く用いられている。
【0005】一方、インサート材は、セラミックスと金
属との間にはさみ込んで両者の熱膨張率の差を緩和する
ものである。即ち、セラミックスは接合時の加熱によ
り、セラミックスと金属との熱膨張率の差に起因する熱
応力を受けて割れが発生するため、この熱応力の緩和の
ために、各種のインサート材を1層又は2層に介在させ
ている。例えば、特開昭60−96584号公報に開示
されるセラミックスと金属の接合方法においては、セラ
ミックスとしてSi3 N4 ,SiCを用い、金属とセラ
ミックスの接合時の熱膨張差による割れを防止するため
にインサート材を用いている。
属との間にはさみ込んで両者の熱膨張率の差を緩和する
ものである。即ち、セラミックスは接合時の加熱によ
り、セラミックスと金属との熱膨張率の差に起因する熱
応力を受けて割れが発生するため、この熱応力の緩和の
ために、各種のインサート材を1層又は2層に介在させ
ている。例えば、特開昭60−96584号公報に開示
されるセラミックスと金属の接合方法においては、セラ
ミックスとしてSi3 N4 ,SiCを用い、金属とセラ
ミックスの接合時の熱膨張差による割れを防止するため
にインサート材を用いている。
【0006】従来、このインサート材としては、Ni,
Cu,Mo,Nbが用いられている。
Cu,Mo,Nbが用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来においては、セラ
ミックスとしてモノリシックなセラミックス(例えばS
i3 N4 ,Al2 O3 ,ムライト,SiC)を用いてい
るため、熱応力に対する靭性が不足し、接合強度の大き
なセラミックス−金属接合体は得られなかった。
ミックスとしてモノリシックなセラミックス(例えばS
i3 N4 ,Al2 O3 ,ムライト,SiC)を用いてい
るため、熱応力に対する靭性が不足し、接合強度の大き
なセラミックス−金属接合体は得られなかった。
【0008】また、従来のセラミックス材料では、構造
部材としての耐摩耗性、耐久性、耐食性、摺動性等の要
求特性を十分に満たすことができなかった。
部材としての耐摩耗性、耐久性、耐食性、摺動性等の要
求特性を十分に満たすことができなかった。
【0009】一方、接合時の熱応力の緩和のためには、
前述の如く、セラミックスと金属との間に各種のインサ
ート材を1層又は2層に介在させることが行なわれてい
るが、十分な効果は得られていない。接合強度をより一
層高めるために、セラミックスの表面をメタライズした
り、溶射するなどの方法も採用されている。
前述の如く、セラミックスと金属との間に各種のインサ
ート材を1層又は2層に介在させることが行なわれてい
るが、十分な効果は得られていない。接合強度をより一
層高めるために、セラミックスの表面をメタライズした
り、溶射するなどの方法も採用されている。
【0010】しかしながら、メタライズや溶射法を採用
したものでも、高温における接着強度が低く、かつ、腐
食に対しても弱いという欠点がある。特に、溶射法で
は、セラミックスと溶射面との界面の接合強度が低く、
また、その溶射表面が多孔質となるため、ロウ材との均
密な接合は不可能である。
したものでも、高温における接着強度が低く、かつ、腐
食に対しても弱いという欠点がある。特に、溶射法で
は、セラミックスと溶射面との界面の接合強度が低く、
また、その溶射表面が多孔質となるため、ロウ材との均
密な接合は不可能である。
【0011】本発明は上記従来の問題点を解決し、急激
な熱ショックや機械的な衝撃によっても、クラックや破
壊を起こすことのない、各種構造部材として有用な、高
強度、高信頼性、セラミックス−金属接合体を提供する
ことを目的とする。
な熱ショックや機械的な衝撃によっても、クラックや破
壊を起こすことのない、各種構造部材として有用な、高
強度、高信頼性、セラミックス−金属接合体を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1のセラミックス
−金属接合体は、セラミックスと金属とをロウ材を用い
て接合してなるセラミックス−金属接合体において、該
セラミックスが、Si3 N4 をマトリックス相とし、S
iC微粒子とTiC及び/又はTiN微粒子とが分散し
た粒子分散複合セラミックスであって、Si3 N4 とS
iC微粒子とをSi3 N4 :SiC微粒子=70〜9
0:30〜10(体積比)の割合で含み、かつ、TiC
及び/又はTiNをSi3 N4 及びSiC微粒子の合計
に対して0.1〜1体積%含み、前記金属は鉄又は鉄合
金であって、かつ、該セラミックスの接合界面は熱処理
により窒化物と炭化物と酸化物との混合相となっている
ことを特徴とする。
−金属接合体は、セラミックスと金属とをロウ材を用い
て接合してなるセラミックス−金属接合体において、該
セラミックスが、Si3 N4 をマトリックス相とし、S
iC微粒子とTiC及び/又はTiN微粒子とが分散し
た粒子分散複合セラミックスであって、Si3 N4 とS
iC微粒子とをSi3 N4 :SiC微粒子=70〜9
0:30〜10(体積比)の割合で含み、かつ、TiC
及び/又はTiNをSi3 N4 及びSiC微粒子の合計
に対して0.1〜1体積%含み、前記金属は鉄又は鉄合
金であって、かつ、該セラミックスの接合界面は熱処理
により窒化物と炭化物と酸化物との混合相となっている
ことを特徴とする。
【0013】請求項2のセラミックス−金属接合体の製
造方法は、請求項1に記載のセラミックス−金属接合体
を製造する方法であって、前記セラミックスの被接合面
を酸化雰囲気中で熱処理して窒化物と炭化物と酸化物と
の混合相を生成させた後、該セラミックスをロウ材を介
して金属と積層して加熱した後、該加熱温度から200
℃までを30〜200℃/minの冷却速度で冷却する
ことを特徴とする。
造方法は、請求項1に記載のセラミックス−金属接合体
を製造する方法であって、前記セラミックスの被接合面
を酸化雰囲気中で熱処理して窒化物と炭化物と酸化物と
の混合相を生成させた後、該セラミックスをロウ材を介
して金属と積層して加熱した後、該加熱温度から200
℃までを30〜200℃/minの冷却速度で冷却する
ことを特徴とする。
【0014】即ち、セラミックスと金属との接合では、
セラミックスの破壊が最大のネックとなっていたが、従
来のセラミックス材料では、接合時の熱応力に十分に耐
えうるものは少なかった。本発明者らは、高耐久性、高
靭性の新規セラミックス材料を開発し、これをセラミッ
クス−金属接合体のセラミックス材料を用いることによ
り、本発明を完成させた。
セラミックスの破壊が最大のネックとなっていたが、従
来のセラミックス材料では、接合時の熱応力に十分に耐
えうるものは少なかった。本発明者らは、高耐久性、高
靭性の新規セラミックス材料を開発し、これをセラミッ
クス−金属接合体のセラミックス材料を用いることによ
り、本発明を完成させた。
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。
【0016】まず、本発明で用いられる粒子分散複合セ
ラミックスについて説明する。
ラミックスについて説明する。
【0017】本発明に係る粒子分散複合セラミックス
は、Si3 N4 マトリックス相に第2成分としてSiC
微粒子が、第3成分としてTiC及び/又はTiN微粒
子が、それぞれ、下記の割合で分散してなるものであ
る。なお、TiC及び/又はTiN微粒子の割合は、S
i3 N4 とSiC微粒子との合計に対する割合である。
は、Si3 N4 マトリックス相に第2成分としてSiC
微粒子が、第3成分としてTiC及び/又はTiN微粒
子が、それぞれ、下記の割合で分散してなるものであ
る。なお、TiC及び/又はTiN微粒子の割合は、S
i3 N4 とSiC微粒子との合計に対する割合である。
【0018】Si3 N4 :SiC微粒子=70〜90:
30〜10(体積比) TiC及び/又はTiN微粒子=0.1〜1体積% ここで、Si3 N4 の体積比が70未満では複合材とし
ての特性が得られず、また、強度が著しく低下する。9
0を超えると相対的に第2,3成分の割合が低減し、第
2,3成分粒子を複合化させることによる本発明の効果
が十分に得られない。SiC微粒子の複合化により、靭
性や強度、耐摩耗性の向上が図れるが、このSiC微粒
子の体積比が10未満では、この改善効果が十分に得ら
れず、30を超えると焼結性が悪くなる。従って、Si
3 N4 :SiC微粒子=70〜90:30〜10(体積
比)とする。
30〜10(体積比) TiC及び/又はTiN微粒子=0.1〜1体積% ここで、Si3 N4 の体積比が70未満では複合材とし
ての特性が得られず、また、強度が著しく低下する。9
0を超えると相対的に第2,3成分の割合が低減し、第
2,3成分粒子を複合化させることによる本発明の効果
が十分に得られない。SiC微粒子の複合化により、靭
性や強度、耐摩耗性の向上が図れるが、このSiC微粒
子の体積比が10未満では、この改善効果が十分に得ら
れず、30を超えると焼結性が悪くなる。従って、Si
3 N4 :SiC微粒子=70〜90:30〜10(体積
比)とする。
【0019】TiC及び/又はTiN微粒子は、SiC
微粒子の複合化による特性向上効果を更に高め、より一
層の高靭性化を図る作用を奏し、その割合がSi3 N4
とSiC微粒子の合計に対して0.1体積%未満では、
この作用が十分に得られず、1体積%を超えると焼結性
に問題を生じる。従って、TiC及び/又はTiN微粒
子の割合は0.1〜1体積%とする。
微粒子の複合化による特性向上効果を更に高め、より一
層の高靭性化を図る作用を奏し、その割合がSi3 N4
とSiC微粒子の合計に対して0.1体積%未満では、
この作用が十分に得られず、1体積%を超えると焼結性
に問題を生じる。従って、TiC及び/又はTiN微粒
子の割合は0.1〜1体積%とする。
【0020】本発明において、Si3 N4 マトリックス
相中に分散している各微粒子は、それぞれ下記粒径範囲
のナノ粒子であることが好ましい。
相中に分散している各微粒子は、それぞれ下記粒径範囲
のナノ粒子であることが好ましい。
【0021】SiC微粒子の粒径:50〜500nm TiC及び/又はTiN微粒子の粒径:50〜700n
m このような粒子分散複合セラミックスは例えば次のよう
にして製造される。即ち、まず、粒径0.05〜0.5
μm程度のSi3 N4 粉末と、上記粒径範囲のSiC微
粒子とTiC及び/又はTiN微粒子とをボールミル等
により5〜10時間程度連続的に均一分散混合する。こ
の混合に当り、分散性を良くするために、有機系の分散
剤を用いることができる。
m このような粒子分散複合セラミックスは例えば次のよう
にして製造される。即ち、まず、粒径0.05〜0.5
μm程度のSi3 N4 粉末と、上記粒径範囲のSiC微
粒子とTiC及び/又はTiN微粒子とをボールミル等
により5〜10時間程度連続的に均一分散混合する。こ
の混合に当り、分散性を良くするために、有機系の分散
剤を用いることができる。
【0022】得られた混合原料を、ホットプレス法、常
圧焼結、HIP等により焼結して、高密度粒子分散複合
セラミックスを得ることができる。
圧焼結、HIP等により焼結して、高密度粒子分散複合
セラミックスを得ることができる。
【0023】このような粒子分散複合セラミックスを用
いて接合体を製造するに当り、セラミックスとロウ材と
のヌレ性を良くし、より強固な接合体とするために、セ
ラミックスの被接合面を酸化雰囲気中(空気中)で熱処
理して、セラミックス中に酸素を拡散させて、接合界面
のセラミックス中のN及び/又はCの一部をOに置換
し、接合界面に、窒化物、炭化物、酸化物の3相混合層
を生成させる。
いて接合体を製造するに当り、セラミックスとロウ材と
のヌレ性を良くし、より強固な接合体とするために、セ
ラミックスの被接合面を酸化雰囲気中(空気中)で熱処
理して、セラミックス中に酸素を拡散させて、接合界面
のセラミックス中のN及び/又はCの一部をOに置換
し、接合界面に、窒化物、炭化物、酸化物の3相混合層
を生成させる。
【0024】この混合相の生成のための熱処理は100
0〜1200℃で30分〜1時間の条件で行なうことが
でき、これにより、セラミックスの接合界面に、窒化
物,炭化物,酸化物の混合相を生成させることができ
る。なお、この混合相中の酸化物の割合は20〜40重
量%、概ね30重量%程度とすることにより、最良の接
合強度を得ることができる。
0〜1200℃で30分〜1時間の条件で行なうことが
でき、これにより、セラミックスの接合界面に、窒化
物,炭化物,酸化物の混合相を生成させることができ
る。なお、この混合相中の酸化物の割合は20〜40重
量%、概ね30重量%程度とすることにより、最良の接
合強度を得ることができる。
【0025】本発明においては、このようにして熱処理
により接合界面に窒化物,炭化物,酸化物混合相を生成
させた粒子分散複合セラミックスを用いてロウ材を介在
させて金属との接合を行なう。
により接合界面に窒化物,炭化物,酸化物混合相を生成
させた粒子分散複合セラミックスを用いてロウ材を介在
させて金属との接合を行なう。
【0026】ロウ材としては、市販のAg系ロウ材を用
いることができ、Ag−Cu系、又はAg−Cu−Ti
系のものを用いることができる。このロウ材の厚さは1
00μm以下、特に70〜100μmとすることにより
良好な接合強度が得られる。
いることができ、Ag−Cu系、又はAg−Cu−Ti
系のものを用いることができる。このロウ材の厚さは1
00μm以下、特に70〜100μmとすることにより
良好な接合強度が得られる。
【0027】本発明において、接合される金属は、鉄又
は鉄合金である。鉄合金の場合、その組成に特に制限は
ない。実用的なものとしては、炭素鋼やクロム鋼が挙げ
られる。
は鉄合金である。鉄合金の場合、その組成に特に制限は
ない。実用的なものとしては、炭素鋼やクロム鋼が挙げ
られる。
【0028】本発明においては、このような鉄又は鉄合
金と、前述の熱処理を施した粒子分散複合セラミックス
とをロウ材を介して配置し、真空電気炉内にて加熱す
る。接合温度は800〜1200℃とし、加圧力は0.
1〜1.0kg/cm2 ,接合時間は30〜60分,接
合雰囲気は約10-4Torrとするのが好ましい。
金と、前述の熱処理を施した粒子分散複合セラミックス
とをロウ材を介して配置し、真空電気炉内にて加熱す
る。接合温度は800〜1200℃とし、加圧力は0.
1〜1.0kg/cm2 ,接合時間は30〜60分,接
合雰囲気は約10-4Torrとするのが好ましい。
【0029】本発明においては、このような加熱処理
後、加熱温度から200℃までの温度に到る冷却速度
を、30〜200℃/minに制御する。このような冷
却速度で冷却することにより、接合される粒子分散複合
セラミックスと金属の熱膨張率の差による収縮差を小さ
くして、高強度な接合体を得ることができる。
後、加熱温度から200℃までの温度に到る冷却速度
を、30〜200℃/minに制御する。このような冷
却速度で冷却することにより、接合される粒子分散複合
セラミックスと金属の熱膨張率の差による収縮差を小さ
くして、高強度な接合体を得ることができる。
【0030】なお、このような冷却速度に調整するため
に、真空炉内でN2 ガス、Arガス又はH2 ガス等で冷
却しても良い。更に、温度が低下した時点(300℃程
度)で油中に投入して常温まで冷却しても良い。これに
より、接合部の全面に亘って巣のない良好な接合体が得
られる。
に、真空炉内でN2 ガス、Arガス又はH2 ガス等で冷
却しても良い。更に、温度が低下した時点(300℃程
度)で油中に投入して常温まで冷却しても良い。これに
より、接合部の全面に亘って巣のない良好な接合体が得
られる。
【0031】
【作用】本発明者らは、従来のモノリシックなSi3 N
4 とは全く特性の異なる粒子分散複合セラミックスを開
発した。この材料はSi3 N4 −SiC−TiC及び/
又はTiNの3成分(又は4成分)系であり、高強度、
高靭性で耐食性、耐摩耗性、摺動特性に優れている。
4 とは全く特性の異なる粒子分散複合セラミックスを開
発した。この材料はSi3 N4 −SiC−TiC及び/
又はTiNの3成分(又は4成分)系であり、高強度、
高靭性で耐食性、耐摩耗性、摺動特性に優れている。
【0032】本発明においては、セラミックスのマトリ
ックス相として、Si3 N4 を用い、これに靭性や強
度、耐摩耗性を付与するため、SiC微粒子を第2成分
として分散させた。更に、この第2成分の複合特性を高
めるために、第3成分としてのTiC及び/又はTiN
微粒子を分散させ、目的を十分に満足する粒子分散複合
セラミックスを開発した。
ックス相として、Si3 N4 を用い、これに靭性や強
度、耐摩耗性を付与するため、SiC微粒子を第2成分
として分散させた。更に、この第2成分の複合特性を高
めるために、第3成分としてのTiC及び/又はTiN
微粒子を分散させ、目的を十分に満足する粒子分散複合
セラミックスを開発した。
【0033】本発明に係る粒子分散複合セラミックスに
おいては、Si3 N4 マトリックス相の中に第2,第3
成分の微粒子が分散して、内部応力を誘起した状態にな
っているため極めて強度、靭性が高い材料となってい
る。
おいては、Si3 N4 マトリックス相の中に第2,第3
成分の微粒子が分散して、内部応力を誘起した状態にな
っているため極めて強度、靭性が高い材料となってい
る。
【0034】しかして、本発明に係る粒子分散複合セラ
ミックスは、従来のSi3 N4 単味材料やSi3 N4 −
SiCの2成分系の材料にくらべて強度特性が優れてい
るため、接合材料の素材として極めて優れたものとなっ
ている。
ミックスは、従来のSi3 N4 単味材料やSi3 N4 −
SiCの2成分系の材料にくらべて強度特性が優れてい
るため、接合材料の素材として極めて優れたものとなっ
ている。
【0035】ところで、金属とセラミックスを接合する
に当り、金属とセラミックスの両方に相性の良い接合用
ロウ材を用いるが、この場合、特にセラミックスとロウ
材との接合強度が重要な因子となる。即ち、セラミック
スはロウ材に対するヌレ性が悪く、このため接合力が十
分でない。
に当り、金属とセラミックスの両方に相性の良い接合用
ロウ材を用いるが、この場合、特にセラミックスとロウ
材との接合強度が重要な因子となる。即ち、セラミック
スはロウ材に対するヌレ性が悪く、このため接合力が十
分でない。
【0036】本発明では、このセラミックスとロウ材と
の接合をより強固なものとするために、セラミックスの
接合界面に熱処理を施し、部分的に酸化物を生じさせ、
接合界面に窒化物,炭化物,酸化物の3相を混在させ
る。一方で、ロウ材として、Ag−Cu−Ti系のもの
を用いた場合、ロウ材中のTi成分は酸素との親和性が
強く、このためロウ材中に酸素が拡散し、従来にはない
強力な接合強度が得られる。
の接合をより強固なものとするために、セラミックスの
接合界面に熱処理を施し、部分的に酸化物を生じさせ、
接合界面に窒化物,炭化物,酸化物の3相を混在させ
る。一方で、ロウ材として、Ag−Cu−Ti系のもの
を用いた場合、ロウ材中のTi成分は酸素との親和性が
強く、このためロウ材中に酸素が拡散し、従来にはない
強力な接合強度が得られる。
【0037】また、金属とセラミックスを接合する場
合、セラミックスとロウ材との熱膨張率の違いが接合強
度に大きな影響を及ぼす。従来のモノリシックなセラミ
ックス材料では、この熱膨張差による応力に十分に耐え
られず、クラックが入ったり破壊することが多かった。
本セラミックス材料は、粒子分散複合材料でセラミック
スに内部応力を誘起させて高靭化しているため、従来の
セラミックスに比較して靭性が大きく、金属材との接合
にも十分に耐えられるものである。
合、セラミックスとロウ材との熱膨張率の違いが接合強
度に大きな影響を及ぼす。従来のモノリシックなセラミ
ックス材料では、この熱膨張差による応力に十分に耐え
られず、クラックが入ったり破壊することが多かった。
本セラミックス材料は、粒子分散複合材料でセラミック
スに内部応力を誘起させて高靭化しているため、従来の
セラミックスに比較して靭性が大きく、金属材との接合
にも十分に耐えられるものである。
【0038】しかも、本発明においては、加熱接合後の
冷却時に、特定の冷却条件を採用することにより、金属
母材に相変態を生起させ、体積膨張を引き起こす。これ
により、金属の見掛けの熱膨張率はセラミックスの熱膨
張率に近いものとなり、冷却時のセラミックスと金属と
の収縮差が小さくなる。この収縮差の低減効果によって
も、より一層高強度な接合体を得ることができる。
冷却時に、特定の冷却条件を採用することにより、金属
母材に相変態を生起させ、体積膨張を引き起こす。これ
により、金属の見掛けの熱膨張率はセラミックスの熱膨
張率に近いものとなり、冷却時のセラミックスと金属と
の収縮差が小さくなる。この収縮差の低減効果によって
も、より一層高強度な接合体を得ることができる。
【0039】従来のモノリシックな材料では靭性が低
く、熱処理による接合効果は十分ではないが、本発明に
係る粒子分散複合セラミックスによれば、従来からある
安価なロウ材を用いて、インサート材を用いることな
く、高い接合強度を有するセラミックス−金属接合体を
得ることができる。
く、熱処理による接合効果は十分ではないが、本発明に
係る粒子分散複合セラミックスによれば、従来からある
安価なロウ材を用いて、インサート材を用いることな
く、高い接合強度を有するセラミックス−金属接合体を
得ることができる。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
説明する。
【0041】なお、以下の実施例において用いた材料は
次の通りである。
次の通りである。
【0042】 Si3 N4 (宇部興産社製):平均粒径0.3μm SiC(イビデン社製):平均粒径300nm TiC(日本新金属社製):平均粒径200nm TiN(日本新金属社製):平均粒径200nm 実施例1〜3、比較例1〜3 まず、表1に示す割合でSi3 N4 とSiCとTiC及
び/又はTiNとをボールミルにより約10時間混合し
た後(ただし、比較例1ではSiCのみ)、1700℃
で2時間ホットプレス焼結して、厚さ2mm,直径30
mmの焼結体を得た。なお、得られた焼結体の物性は表
1に示す通りであった。得られたセラミックス焼結体の
被接合面を1200℃で30分間、大気圧下で電気炉内
にて熱処理し、酸化物を約30重量%含む窒化物、炭化
物、酸化物混合相を生成させた(ただし、比較例2では
この熱処理を行なわなかった。)。
び/又はTiNとをボールミルにより約10時間混合し
た後(ただし、比較例1ではSiCのみ)、1700℃
で2時間ホットプレス焼結して、厚さ2mm,直径30
mmの焼結体を得た。なお、得られた焼結体の物性は表
1に示す通りであった。得られたセラミックス焼結体の
被接合面を1200℃で30分間、大気圧下で電気炉内
にて熱処理し、酸化物を約30重量%含む窒化物、炭化
物、酸化物混合相を生成させた(ただし、比較例2では
この熱処理を行なわなかった。)。
【0043】一方、金属として、高さ30mm,直径3
0mm,内厚2mmの中空円筒形状の炭素鋼(S45
C)を準備した。
0mm,内厚2mmの中空円筒形状の炭素鋼(S45
C)を準備した。
【0044】セラミックス焼結体と炭素鋼との間に、厚
さ30μmのAg−Cu−Ti系ロウ材(三菱マテリア
ル(株)製)を挟み込み、電気炉内で接合した。接合条
件は、10-4Torrの真空雰囲気で加熱温度870
℃,加圧力0.1kg/cm2,処理時間60分とし
た。
さ30μmのAg−Cu−Ti系ロウ材(三菱マテリア
ル(株)製)を挟み込み、電気炉内で接合した。接合条
件は、10-4Torrの真空雰囲気で加熱温度870
℃,加圧力0.1kg/cm2,処理時間60分とし
た。
【0045】その後、N2 ガスを用いて冷却し、100
℃/minの冷却速度で冷却した。ただし、比較例3で
はN2 ガスを用いず、冷却速度は20℃/minとし
た。
℃/minの冷却速度で冷却した。ただし、比較例3で
はN2 ガスを用いず、冷却速度は20℃/minとし
た。
【0046】各セラミックス−金属接合体について、接
合強度等を調べ結果を表1に示した。
合強度等を調べ結果を表1に示した。
【0047】表1より明らかなように、本発明に係る粒
子分散複合セラミックスは高靭性、高硬度かつ高強度で
ある。また、このような粒子分散複合セラミックスを用
いることにより、高強度接合体が得られる。これに対し
て、Si3 N4 単相のもの(比較例1)、本発明に係る
粒子分散複合セラミックスを用いたものであっても、熱
処理を施していないもの(比較例2)、冷却条件が異な
るもの(比較例3)では高強度接合体を得ることはでき
ない。
子分散複合セラミックスは高靭性、高硬度かつ高強度で
ある。また、このような粒子分散複合セラミックスを用
いることにより、高強度接合体が得られる。これに対し
て、Si3 N4 単相のもの(比較例1)、本発明に係る
粒子分散複合セラミックスを用いたものであっても、熱
処理を施していないもの(比較例2)、冷却条件が異な
るもの(比較例3)では高強度接合体を得ることはでき
ない。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のセラミック
ス−金属接合体及びその製造方法によれば、耐摩耗性、
耐食性、耐久性、摺動性に優れる上に、高強度かつ高靭
性の粒子分散複合セラミックスを用いて、著しく高強度
で信頼性に優れた軽量セラミックス−金属接合体が安価
に提供される。
ス−金属接合体及びその製造方法によれば、耐摩耗性、
耐食性、耐久性、摺動性に優れる上に、高強度かつ高靭
性の粒子分散複合セラミックスを用いて、著しく高強度
で信頼性に優れた軽量セラミックス−金属接合体が安価
に提供される。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【表1】
Claims (2)
- 【請求項1】 セラミックスと金属とをロウ材を用いて
接合してなるセラミックス−金属接合体において、 該セラミックスが、Si3 N4 をマトリックス相とし、
SiC微粒子とTiC及び/又はTiN微粒子とが分散
した粒子分散複合セラミックスであって、Si3 N4 と
SiC微粒子とをSi3 N4 :SiC微粒子=70〜9
0:30〜10(体積比)の割合で含み、かつ、TiC
及び/又はTiNをSi3 N4 及びSiC微粒子の合計
に対して0.1〜1体積%含み、 前記金属は鉄又は鉄合金であって、かつ、 該セラミックスの接合界面は熱処理により窒化物と炭化
物と酸化物との混合相となっていることを特徴とするセ
ラミックス−金属接合体。 - 【請求項2】 請求項1に記載のセラミックス−金属接
合体を製造する方法であって、 前記セラミックスの被接合面を酸化雰囲気中で熱処理し
て窒化物と炭化物と酸化物との混合相を生成させた後、
該セラミックスをロウ材を介して金属と積層して加熱し
た後、該加熱温度から200℃までを30〜200℃/
minの冷却速度で冷却することを特徴とするセラミッ
クス−金属接合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1628294A JPH07223877A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | セラミックス−金属接合体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1628294A JPH07223877A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | セラミックス−金属接合体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07223877A true JPH07223877A (ja) | 1995-08-22 |
Family
ID=11912203
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1628294A Withdrawn JPH07223877A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | セラミックス−金属接合体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07223877A (ja) |
-
1994
- 1994-02-10 JP JP1628294A patent/JPH07223877A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010508 |