JPH07223060A - 金属の連続鋳造における湯面位置の調整方法 - Google Patents

金属の連続鋳造における湯面位置の調整方法

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JPH07223060A
JPH07223060A JP1911894A JP1911894A JPH07223060A JP H07223060 A JPH07223060 A JP H07223060A JP 1911894 A JP1911894 A JP 1911894A JP 1911894 A JP1911894 A JP 1911894A JP H07223060 A JPH07223060 A JP H07223060A
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誠治 古橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属の連続鋳造において、鋳型内の湯面を目標
位置に正確に調整する方法の提供。 【構成】溶融金属を鋳型内に供給する浸漬ノズル(2)
と、内部冷却が可能な構造の鋳型(1) と、鋳型を周回す
るコイル(3) とを備え、高周波電源から高周波電流をコ
イルに供給する金属の連続鋳造装置を用いる連続鋳造方
法において、上記コイルを湯面の目標位置から下には密
に巻き、湯面の目標位置から上方には前記の目標位置か
ら下に巻いた巻き方よりも粗に巻いて配置し、コイルに
流れる電流の共振周波数を検出し、その共振周波数が予
め定めた値になるように溶融金属の供給速度を調整して
湯面を目標位置に保つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳型内の溶融金属に高
周波電磁場を作用させて電磁力を付与し誘導加熱を行う
連続鋳造装置を用いる方法において、浸漬ノズルから供
給される溶融金属の鋳型内における湯面位置を検知して
常に湯面位置が目標位置にあるように溶融金属の供給速
度を調整して安定した鋳造を可能とする湯面位置の調整
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】精錬炉で溶製された溶融金属を浸漬ノズ
ルを用いて鋳型内に供給して連続鋳造を行う場合、湯面
位置が変動すると未溶融のフラックスがパウダー状の
ままで鋳型と鋳片間に巻き込まれて、鋳片の表面性状に
悪影響を及ぼす。初期凝固部の位置が乱れるため鋳片
の表面に疵が発生することがある。従って、湯面位置を
目標位置に保持することが、良好な鋳片を製造するため
には必要である。
【0003】従来、湯面を検知して湯面位置を調整する
ために超音波、マイクロウェーブ、レーザーおよび渦流
センサー等の距離計が使用されてきた。ところが超音
波、マイクロウェーブは精度の点で問題があり、現在で
はほとんど使用されていない。
【0004】これらの中で、主に使用されているのはレ
ーザーと渦流センサーである。しかしレーザー法はフラ
ックス層の影響を受けやすいので応答性が悪い。一方、
渦流センサーは鋳型の形状によって感度に影響を受ける
が応答性や精度もよく、最近ではほとんどの連続鋳造装
置においてこの渦流センサーが用いられている。ただ
し、鋳型の断面が小径の場合には渦流センサーを設置す
る上で寸法上困難な場合がある。
【0005】特開平1−266952号公報には図3で示すよ
うに鋳型内に埋め込んだコイルと、それに接続されたコ
イルのインダクタンスを測定する測定器と、この測定器
の測定値に基づいて鋳型内の湯面位置を検出する位置検
出器と、を備えた連続鋳造機用鋳型の溶融金属を供給す
る部分が開示されている。この連続鋳造機用鋳型を用い
て連続鋳造を行う場合の湯面位置検出方法では、コイル
が鋳型内に埋め込んであるので数kHzのオーダーの周波
数を持つ電流を印加すると銅製鋳型内での表皮効果によ
る磁場の大きな減衰により検知感度が低下し、鋳型内の
湯面位置を精度よく検知することは困難と考えられる。
【0006】また、特開平3−275257号公報には、連続
鋳造用鋳型の外周にコイルを配し、このコイルに高周波
電流を供給しながらLC回路の共振現象を利用して高周
波電源の共振周波数を検出し、その共振周波数が予め定
めた値になるように原料の供給速度を調整し、静水圧を
一定にする、即ち、湯面位置を一定にする連続鋳造方法
が開示されている。しかし、この湯面位置の制御方法
は、浸漬ノズルを用いた連続鋳造方法に適用するもので
はない。
【0007】一方、特開平4−138843号公報には、図2
に示すように、溶融金属を鋳型内に供給する耐火物製浸
漬ノズル2と、溶融金属を凝固させる内部水冷構造の金
属製冷却鋳型1と、メニスカス相当位置に高周波電流を
通電するために鋳型1を周回するコイル3を備えた連続
鋳造装置であって、鋳型1はその上部に鋳造方向に延び
た複数のスリットにより分割された内部冷却が可能な構
造のセグメント部分4を有し、通電コイル3にはLC回
路の共振現象を利用して高周波電流を供給することを特
徴とする金属の連続鋳造装置および鋳造方法が開示され
ている。
【0008】この連続鋳造鋳型を用いた鋳造方法は、鋳
型中心方向への電磁力により湯面を盛り上げ、潤滑剤で
あるフラックスの流入を促進し、また初期凝固部の直接
加熱により、オシレーションマーク等の発生の起点であ
るシェルの張り出し等を抑制し、最終的に表面性状の優
れた鋳片を高速で製造するものである。
【0009】しかし、この連続鋳造装置においても湯面
変動が生じると、鋳片の表面に発生する欠陥の原因とな
る未溶融のフラックスの巻き込みや疵の発生が起こり、
安定な操業が困難となる。さらにこの鋳造方法において
初期凝固部(シェル)へ電磁力を効果的に印加し、均一
な表面性状の鋳片を定常的に製造するためには、初期凝
固部に対してコイルによって発生させる電磁場の印加位
置を一定に保つ必要がある。これまでにコイルと湯面の
相対位置により、電磁場が鋳片の表面性状に与える影響
が異なることが知られており、コイル上端近傍にメニス
カスが存在する場合に表面性状を改善する効果が大きい
ことがわかっている。したがって、湯面位置の変動を防
ぎ、メニスカス近傍が常にコイルの上端に位置するよう
に鋳造を行うことが表面性状の優れた鋳片を安定して製
造するためには必要である。
【0010】図2の連続鋳造装置において、湯面位置の
調整のために前述した渦流センサーを適用すると、セン
サーが磁場の影響を直接受けてしまいノイズの発生やセ
ンサー部の誘導加熱が生じる可能性がある。そこで、渦
流センサーを上端が開放で、かつ浸漬ノズルを用いる図
2の連続鋳造装置で作動するかどうかをテストして確認
した。図14に示すように鋳型の上端近傍に渦流センサー
18を設置して、鋳型内に高周波電磁場を印加させた状態
で模擬湯面19(ステンレス鋼製の円盤)の位置を上下に
変化させた際の渦流センサー18の出力を測定した。その
結果を図15に示す。高周波磁場内でのセンサー出力はか
なり低下し、小さな磁場であるにもかかわらずセンサー
として機能しないことがわかった。
【0011】そこで、図2に示した連続鋳造装置を対象
にし、メニスカス位置に配したコイルに流れる電流の共
振周波数を測定し、湯面位置の調整を行う方法 (前述の
特開平3−275257号公報に記載の方法) を適用して溶融
状態の錫を用いて湯面位置と共振周波数の対応関係を小
型のモデル鋳造機により調べた。湯面位置は電磁力によ
り盛り上がった頂上をレーザー距離計で測定し、連続的
に上下させて共振周波数を周波数計で同時に測定した。
実験条件を以下に示す。
【0012】 鋳型 :内径45mm、縦長 170mm、内面はNiメッキ
層 (厚さ 200μm) スリット :長さ 110mm×12本、スリット幅 0.2mm 通電コイル :直径8mmのコイルを鋳型の外周に湯面目
標位置から下方に30mmの範囲に3回巻いた 発振条件 :コイル電流実効値 2000AT 共振周波数 18.5 〜19.5kHzの間で変化 使用金属 :錫 (融点 232℃) 引き抜き速度:30mm/min 結果を図6に示す。図示のように湯面位置の変化と共振
周波数の変化は一応の対応関係を示した。しかし、湯面
がコイル上端を超えた場合は共振周波数の変化率が極端
に小さくなり、検知感度が低下している。鋳造時におい
て、湯面の目標位置を鋳片の表面性状を改善する効果が
大きいコイル上端に設定した場合、何らかの原因で湯面
がそれを超えると、湯面位置を測定する精度が低下し正
確に湯面位置を目標位置に調整することが困難となる。
【0013】湯面位置の検知感度を向上するために単純
にメニスカス上方にもコイルの巻き数を増やし、検知範
囲を増やすことも考えられるが、メニスカス位置がコイ
ル内に存在することになり、メニスカス近傍に印加され
る磁場分布が変化し、メニスカスがコイル上端に存在す
る場合と比べて鋳片の表面性状を改善する効果が低減す
ることになる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、溶融
金属を鋳型内に供給する浸漬ノズルと、内部冷却が可能
な鋳型と、鋳型を周回するコイルとを備えた金属の連続
鋳造装置(例えば図2に示した装置)を用いて連続鋳造
する場合において、メニスカス近傍に印加される磁場分
布を湯面検知用コイルを設けていない場合の磁場分布と
比べてあまり変化させることなく、かつ湯面位置を正確
に検知して常に湯面目標位置にあるように調整する方法
を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の「金属の
連続鋳造における湯面位置の調整方法」を要旨とするも
のである。
【0016】溶融金属を鋳型内に供給する浸漬ノズル
と、内部冷却が可能な構造の鋳型と、鋳型を周回するコ
イルとを備え、高周波電源から高周波電流をコイルに供
給する金属の連続鋳造装置を用いる連続鋳造方法におい
て、上記コイルを湯面の目標位置から下には密に巻き、
湯面の目標位置から上方には前記の目標位置から下に巻
いた巻き方よりも粗に巻いて配置し、コイルに流れる電
流の共振周波数を検出し、その共振周波数が予め定めた
値になるように溶融金属の供給速度を調整することを特
徴とする金属の連続鋳造における湯面位置の調整方法。
【0017】なお上記の「湯面位置」とは図13で示すよ
うに湯面の最も高い部分の位置のことである。また、
「コイルを湯面の目標位置から下には密に巻き、湯面の
目標位置から上方には前記の目標位置から下に巻いた巻
き方よりも粗に巻いて配置し」とは、図4に示すような
1本のコイルを湯面の目標位置から下には密に巻き(後
述する電磁場印加用コイル3-1 のことである。)、湯面
の目標位置から上方には電磁場印加用コイル3-1 の巻き
方と比較すると粗に巻く(後述する湯面検知用コイル3-
2 のことである。)ということを意味している。ただ
し、湯面の目標位置は、図6、図7、図8および図9で
示すように電磁場印加用コイル3-1 の最も上端のコイル
よりも高い場合もあれば、図13で示すように電磁場印加
用コイル3-1の最も上端のコイルよりも若干低い場合も
ある。
【0018】
【作用】本発明方法を1つの実施例に基づき説明する。
【0019】図1は本発明方法を適用できる一つの例と
しての連続鋳造装置の断面図を示したものである。鋳造
方向に複数本のスリットにより分割された内部水冷構造
のセグメント部4を有する鋳型1の外周に通電コイル3
を設けてある。溶融金属のメニスカス相当位置には電磁
場を印加するための高周波通電コイル3-1が密に数ター
ン巻かれており、さらにメニスカス上方には湯面位置を
検知するためのコイル3-2が電磁場印加用コイル3-1と
比較すると粗に巻いてある。電磁場印加用コイル3-1と
湯面検知用コイル3-2は別個のものではなく図4に示す
ような一体のコイルである。
【0020】鋳型1内には浸漬ノズル2から溶融金属5
が供給される。溶融金属5上には粉末または顆粒状のフ
ラックス6が投入され、この一部が溶融金属5の熱によ
って溶融し、溶融フラックス層8を形成する。溶融した
フラックスの一部は鋳型1と凝固シェル7との間に流れ
込む。操業時には鋳型1にオシレーションと呼ばれる微
少振動を与えることによりフラックスの流入を促進して
いる。
【0021】さらに鋳型外周の通電コイル3に高周波電
源装置(図示せず)から高周波電流を供給して、鋳型内
の溶融金属5の初期凝固部近傍に電磁力を印加すること
によってメニスカスを湾曲させる。そうすると溶融金属
表面と鋳型との隙間が大きく、かつ深くなるのでフラッ
クスの流入を促進することができる。さらに、溶融金属
5に生じる誘導電流によって発生するジュール熱が緩冷
却鋳造をもたらし、割れ防止、オシレーションマークの
軽減等の鋳片の表面性状を改善する効果が得られる。
【0022】本発明の湯面位置の調整方法は上記のよう
な連続鋳造を行っている際に通電コイル3に流れる高周
波電流の共振周波数を検知し、湯面が目標位置にある場
合の共振周波数と比較してその差を小さくするように溶
融金属の供給速度を調整することによって湯面位置を目
標位置に保とうとするものである。
【0023】共振周波数が湯面位置の変化にともない対
応して変化する原理を以下に示す。
【0024】鋳型、溶融金属およびコイルを含めた並列
共振回路を考えると、この回路のインピーダンスZは式
(1)のように表される。
【0025】
【数1】
【0026】Rは回路全体の抵抗、R1 は高周波通電コ
イルを含めた発振器の抵抗、R2 は鋳型と溶融金属を含
めた負荷の抵抗、Lは回路全体のインダクタンス、L1
は高周波通電コイルを含めた発振器のインダクタンス、
2 は、鋳型と溶融金属を含めた負荷のインダクタン
ス、ωは交流の角振動数、Cは回路のキャパシタンス、
Mは発振器と負荷の間の相互インダクタンスである。
【0027】この回路は電圧と電源電流の位相が同じと
いう共振条件、つまり、式(1) の虚数部が零となる条件
において共振する。したがって共振周波数は式(2) のよ
うに表される。
【0028】
【数2】
【0029】ここで、鋳型内の湯面位置が変わると、鋳
型と溶融金属を含めた自己インダクタンスL2 が変化
し、結果的に回路のインダクタンスL、そして最終的に
共振周波数f0 が変化することになる。そのことを図5
に模式的に示す。つまりLC回路においてはCは一定で
あるが、高周波コイルの位置より湯面位置が上昇する
と、Lが減少し共振周波数fは増加する。逆に高周波コ
イルの位置より湯面位置が下降すると、Lは増加し結果
的に共振周波数fは減少することになる。原理的には渦
流センサーと同等であるが、構造上、渦流センサー法と
異なっており、コイル内で湯面位置の変化を検知するた
め、渦流センサー以上の応答性および精度が得られるこ
とになる。
【0030】しかし、湯面の目標位置を鋳片の表面性状
を改善する効果が大きくなる電磁場印加用コイル上端付
近とした場合において、この位置にのみコイルを巻いた
だけでコイル上方に湯面検知用コイルを巻いていないと
きは、電磁場印加用コイルの上方での共振周波数の検知
感度が低下するので電磁場印加領域のみの検知範囲だけ
では正確に湯面位置の調整を行うことは不可能である。
例えば、湯面が何らかの原因で電磁場印加用コイルの上
方に上昇し、さらにそこでの検知感度の低下によって湯
面位置の調整が遅れた場合には、鋳型上端から溶融金属
が溢れる可能性が考えられる。
【0031】そこで、電磁場印加部近傍(メニスカス相
当位置)の磁場強度を低下させることなく、またエネル
ギー的にも損失のないように、初期凝固部つまり電磁場
印加部にはコイルを密に巻き、さらに湯面の目標位置の
上方には湯面位置を共振周波数で検知することができる
必要十分なだけのコイルを粗に巻けば、それほど大きく
は電磁場の分布を変更させることなく効果的に電磁場を
印加でき、かつ湯面を正確に検知し、湯面位置の調整を
行うことができる。
【0032】本発明方法によれば、あらかじめ湯面の目
標位置に湯面がある場合の共振周波数f0 を確認してお
き、操業時において湯面検知用コイルが検知する共振周
波数fがf0 より大きくなった場合はスライディングゲ
ート11の閉じ量を大きくして溶融金属の供給速度を減少
し、逆に共振周波数fがf0 より小さくなった場合はス
ライディングゲート11を開いて溶融金属の供給速度を増
加することにより、湯面を目標位置に常に保っておくこ
とができる。
【0033】湯面位置が安定すれば、未溶融のフラック
スの溶融金属と鋳型との間隙への巻き込みが低減し、表
面性状に最も影響する初期凝固部に与える電磁力や誘導
加熱が印加される領域も一定となるので鋳造方向に均一
で良好な表面性状を有する鋳片の製造が可能となる。
【0034】なお、図1に示した連続鋳造装置はスリッ
トが鋳型上端まで存在する構造のものであるが、鋳型上
端の強度確保のために鋳型の上端にはスリットがない構
造の連続鋳造装置であっても本発明方法を適用すること
ができる。また、図1に示すような溶融金属を供給する
連続鋳造装置のみならず、固体金属を鋳型内に供給し溶
解した後に凝固させる連続鋳造装置においても鋳型の外
周に湯面検知用コイルを設けることにより本発明方法を
適用することができる。
【0035】
【実施例1】湯面検知用コイルの最適な巻き数および巻
く位置について検討した。用いたコイルと実験条件を次
に示す。実験方法は湯面位置をレーザー光線で計測しな
がら湯面を連続的に上下させ、その時のコイルに流れる
電流の共振周波数を同時に測定した。
【0036】 鋳型 :内径45mm、長さ 170mm、内面はNiメッキ
層 (厚さ 200μm) スリット :長さ 110mm×12本、スリット幅 0.2mm 通電コイル :図6、図7、図8および図9に示すよう
な(a)、(b)、(c)および(d)の4種類の巻き
方について測定した。なお、使用したコイルは直径が8
mmの銅製のものである。電磁場印加用コイルは湯面の目
標位置(基準点)から下方30mmの範囲に3回巻いた。
(a)は電磁場印加用コイルのみ巻いたものである。
【0037】(b)は湯面検知用コイルを目標位置(基
準点)から15mm上方に1回巻いたものである。
【0038】(c)は湯面検知用コイルを目標位置(基
準点)から30mm上方に1回巻いたものである。
【0039】(d)は湯面検知用コイルを目標位置(基
準点)から15mm上方と30mm上方にそれぞれ1回づつ巻い
たものである。
【0040】なお、湯面検知用コイルは、図4に示すよ
うに電磁場印加用コイルから繋がっているものである。
湯面の目標位置は鋳片の表面性状の向上を図るために電
磁場印加用コイルの上端に設定してある。
【0041】 発振条件 :コイル電流実効値 2000AT 共振周波数 16.0 〜19.5kHzの間で変化 使用金属 :錫 (融点 232℃) 湯面移動速度:30mm/min 4種類のコイルの巻き方において測定した湯面位置と共
振周波数の関係を図6、図7、図8および図9に示し
た。
【0042】図6の(a) のような電磁場印加用コイルの
みを巻いたものは、目標位置から下に40mmの範囲内での
湯面の変動には共振周波数の変化率が大きく、湯面の変
動に対応して共振周波数も変化している。しかし、湯面
が目標位置を超えて10mm程度の高さになると、共振周波
数の変化率は極端に小さくなり、湯面の上昇に対応して
共振周波数は上昇していないので(a) の巻き方では湯面
が目標位置を超えると正確には湯面の位置を検知できな
いことがわかる。図7の(b) のように巻いたものは、湯
面が目標位置を中心として上下20mmの範囲内ではあらゆ
る高さに変動した場合でも、共振周波数の変化率は大き
くかつ湯面の変動に良く対応して共振周波数は変化して
いることがわかる。上下20mmの範囲を超えると共振周波
数の変化率は小さくなるものの湯面と共振周波数は1対
1の対応をしているので共振周波数を測定することによ
って湯面の位置を検知することができる。
【0043】図8の(c) のように巻いたものは、湯面が
目標位置から20mmを超えたあたりで、湯面が上昇してい
るのにも拘わらず共振周波数の変化率が小さくなってい
るので検知の精度が落ちるものの、その他の範囲では湯
面の変動に対応して共振周波数も変化しているので湯面
の位置を検知することができ、湯面検知用コイルを設け
ていない(a) と比べると検知能力がより優れていること
がわかる。図9の(d)のように巻いたものは、湯面が目
標位置から上に35mm程度の範囲にある場合には、共振周
波数の変化率も大きく湯面位置に変動に対応して周波数
も変化しているので、湯面位置を正確に検知できること
ができる。湯面が目標位置から下に20〜40mm程度の範囲
にある場合には、湯面の変動に対応して共振周波数の変
化率は小さくなっているものの湯面と共振周波数は1対
1の対応をしているので共振周波数を測定することによ
って湯面の位置を検知することができる。
【0044】次に(a) 、(b) 、(c) および(d) の4種類
のコイルの巻き方をした鋳型の外周のコイルに高周波電
流を流した際の磁場分布を測定した。その結果を図16に
示した。図中の実線は湯面検知用コイルを設けていない
(a) の巻き方をした場合の鋳型の内部に印加される磁場
分布を示したものである。溶融金属のメニスカス位置に
磁場を印加して良好な表面性状を持った鋳片を製造する
ためにはこの磁場分布が理想的である。図16の結果より
(b) の磁場分布が最も(a) のそれと近いことがわかる。
【0045】従って、(b) 、(c) および(d) のコイルの
巻き方の中では(a) の磁場分布とあまり違いがなくかつ
湯面の検知も優れているのは、(b) の巻き方をしたもの
であることがわかった。
【0046】
【実施例2】次に実機サイズの連続鋳造装置を用いて手
動で湯面の高さを変化させて鋼の丸断面鋳片の製造を行
った。その際、コイルに流れる高周波電流の共振周波数
を測定した。図1に示す装置を用い下記の条件で連続鋳
造を行った。但し、この実験では図中のスライディング
ゲート11の開閉制御装置17と周波数カウンタ14の接続を
遮断してある。
【0047】 鋳型 :内径 185mm、肉厚30mm、長さ 750mm、内面
はNiメッキ層 (厚さ 200μm) スリット :長さ 125mm×32本、スリット幅 0.2mm 通電コイル:電磁場印加用コイルは湯面目標位置近傍か
ら下方に4ターン巻いた。湯面検知用コイルは最も上側
の電磁場印加用コイルから上方に15mmの位置に1ターン
巻いた。ただしコイルは10mm×10mmの角型の銅製のもの
を使用した。
【0048】 発振条件 :コイル電流実効値 10000AT 共振周波数25.4〜25.7kHzでの間で変化 鋼 種 :亜包晶鋼 (C=0.12%、Mn=0.65%、Si=0.30%、P=0.02%、
S=0.02%、Al=0.01%) 鋳造速度 :2.0 m/min 測定した共振周波数と湯面位置の対応関係を図10に示
す。ただし、湯面位置は確認できないため、ビデオ画面
からフラックスの厚みも含めた位置として推測した。鋳
造中の共振周波数を測定した結果、コイルに流れる電流
の共振周波数の値によって鋳造中の湯面位置を正確に把
握できることがわかった。従来、この連続鋳造装置にお
いては湯面位置を調整する有効な手段がなく、鋳造中は
かなり湯面の位置が変動している。しかし、本発明方法
を用いれば鋳造中における湯面の位置を正確に把握で
き、湯面の目標位置からのずれによって溶融金属の供給
速度を調整できるので湯面を目標位置に保っておくこと
ができることが本実施例から確認できた。
【0049】また、本実施例から一般に連続鋳造が困難
であり、縦割れ等の表面欠陥が多く存在する亜包晶鋼で
あっても、本発明方法を適用することによって、若干の
湯面位置の変化によって鋳片の表面性状の改善効果が小
さい箇所があるものの全体としては鋳片の表面に発生す
る縦割れを大きく低減することができることを確認し
た。
【0050】
【実施例3】次にコイルに流れる高周波電流の共振周波
数を検知することによって湯面の位置を調整する制御シ
ステムを構築し、実際に鋳造中の湯面位置の調整を行っ
た。
【0051】実験条件および実験装置は上記実施例2と
同じである。但し、この実験では図1中のスライディン
グゲート11の開閉制御装置17と周波数カウンタ14は接続
してあり、湯面位置の制御システムは作動している。
【0052】湯面位置を検知して湯面を目標位置に調整
するために使用した制御システムを図11に示す。共振周
波数fはクロック13を組み合わせた周波数カウンタ14を
用いて6桁程度まで正確に計測する。周波数カウンタ14
にはプリセット機能が付いており、目標位置に湯面があ
る場合の共振周波数f0 をここに設定する。目標位置に
湯面がある場合の共振周波数f0 の値は、あらかじめ模
擬鋳片を使用して求めるか、鋳造開始時に湯面が目標位
置に達した時点の共振周波数を測定し、その値をf0
して周波数カウンタ14にプリセットする。
【0053】連続鋳造の操業中にfがf0 より高くなっ
た場合は、浸漬ノズルから鋳型内に供給されている溶融
金属の量が多く、適正湯面レベルを超えている時であ
る。この時は、レジスタ15、ソリッドステートリレーS
SR1 を介してスライディングゲート上のゲート駆動モ
ータ16を閉じる方向に駆動して浸漬ノズルから供給する
溶融金属の量を共振周波数fがf0 に等しくなるまで低
下させ、適正な湯面位置に復帰させる。
【0054】fとf0 がほぼ同じ値に保たれている間
は、湯面は目標位置にあるので、スライディングゲート
の開度はそのまま保持して安定した鋳造を継続する。
【0055】共振周波数fがf0 より低くなった場合に
は、上記とは逆に湯面が低下した状態であり、SSR2
を介してスライディングゲートのゲート駆動モーター16
を開く方向に駆動し、溶融金属の供給量を増やして適正
な湯面位置に復帰させる。図12は上記のようなフィード
バック制御を実施した際の湯面位置と共振周波数fを測
定した結果を示したものである。図から、湯面位置を適
正に制御できることと、湯面位置が適正である場合の共
振周波数fの変化は数十Hz以下であることがわかる。鋳
造された鋳片を観察すると、表面には縦割れやオシレー
ションマーク等の欠陥の発生がかなり低減しており、全
面にわたって極めて良好な表面性状が得られていた。こ
のことから電磁力が有効に湯面近傍に印加されていたこ
とがわかる。
【0056】
【発明の効果】本発明方法によれば、鋳型内の溶融金属
に高周波電磁場を作用させる連続鋳造装置を用いる鋳造
方法において、湯面検知用コイルを電磁場印加用コイル
の上方に粗く巻くことによって、湯面位置を精度よく検
知し、湯面を目標位置に保ったままの鋳造が可能とな
る。これによって、溶融金属の初期凝固部に付与する電
磁力の付与位置を一定にすることができ、優れた表面性
状を有する鋳片を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用する連続鋳造装置において、
鋳型に溶融金属を供給する部分の縦断面を表す図であ
る。
【図2】湯面検知用コイルを具備していない連続鋳造装
置において、(a) は鋳型に溶融金属を供給する部分の右
半分の縦断面、(b) は鋳型に溶融金属を供給する部分の
横断面を表す図である。
【図3】従来の湯面位置を検知する方法を適用する連続
鋳造装置において、鋳型に溶融金属を供給する部分の縦
断面を表す図である。
【図4】本発明方法における電磁場印加用コイルと湯面
検知用コイルの巻き方を表す図である。
【図5】湯面位置の変化に伴うインダクタンスと共振周
波数の関係を表す図である。
【図6】湯面検知用コイルを巻かなかった場合(a) の湯
面位置と共振周波数の関係を表す図である。
【図7】湯面検知用コイルを目標位置( 基準点) から15
mm上方に1回巻いた場合(b) の湯面位置と共振周波数の
関係を表す図である。
【図8】湯面検知用コイルを目標位置( 基準点) から30
mm上方に1回巻いた場合(c) の湯面位置と共振周波数の
関係を表す図である。
【図9】湯面検知用コイルを目標位置( 基準点) から15
mm上方と30mm上方にそれぞれ1回づつ巻いた場合(d) の
湯面位置と共振周波数の関係を表す図である。
【図10】湯面位置の調整を行わない場合の湯面位置と共
振周波数の関係を表す図である。
【図11】湯面位置を制御するシステムを表す図である。
【図12】湯面位置の制御を行った場合の湯面位置と共振
周波数の関係を表す図である。
【図13】本発明でいう湯面位置を表す図である。
【図14】高周波磁場中での渦流センサーによる湯面位置
の検知方法を示す図である。
【図15】高周波磁場中での渦流センサーによる湯面位置
の検知結果を示す図である。
【図16】鋳型内の磁束密度分布を表す図である。
【符号の説明】
1 鋳型 2 浸漬ノズル
3 コイル 3-1電磁場印加用コイル 3-2湯面検知用コイル
4 セグメント 5 溶融金属 6 フラックス
7 凝固シェル 8 溶融フラックス層 9 レードル
10 タンディシュ 11 スライディングゲート 12 電源
13 クロック 14 周波数カウンタ 15 レジスタ
16 ゲート駆動モータ 17 開閉制御装置 18 渦流センサー
19 模擬湯面

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融金属を鋳型内に供給する浸漬ノズル
    と、内部冷却が可能な構造の鋳型と、鋳型を周回するコ
    イルとを備え、高周波電源から高周波電流をコイルに供
    給する金属の連続鋳造装置を用いる連続鋳造方法におい
    て、上記コイルを湯面の目標位置から下には密に巻き、
    湯面の目標位置から上方には前記の目標位置から下に巻
    いた巻き方よりも粗に巻いて配置し、コイルに流れる電
    流の共振周波数を検出し、その共振周波数が予め定めた
    値になるように溶融金属の供給速度を調整することを特
    徴とする金属の連続鋳造における湯面位置の調整方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100862769B1 (ko) * 2002-08-30 2008-10-13 주식회사 포스코 쌍롤형 박판주조기의 휘발성 증기가스 포집기를 이용한고망간 주편 제조방법
CN102822642A (zh) * 2011-04-06 2012-12-12 株式会社尼利可 熔融金属液位测定装置

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CN102822642B (zh) * 2011-04-06 2015-09-09 株式会社尼利可 熔融金属液位测定浸渍喷嘴和熔融金属液位测定装置

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