JPH0721904A - 冷陰極装置 - Google Patents

冷陰極装置

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Publication number
JPH0721904A
JPH0721904A JP16445893A JP16445893A JPH0721904A JP H0721904 A JPH0721904 A JP H0721904A JP 16445893 A JP16445893 A JP 16445893A JP 16445893 A JP16445893 A JP 16445893A JP H0721904 A JPH0721904 A JP H0721904A
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JP
Japan
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electrode
cold cathode
emitter electrode
light
cathode device
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JP16445893A
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English (en)
Inventor
Masumi Nakamichi
眞澄 中道
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電場電子を放出するための印加電圧の低減化を
図り、かつ多数のエレメントを構成したときにも配線本
数を大幅に低減できる冷陰極装置を提供する。 【構成】エミッタ電極2とゲート電極4との間に強い電
界を与えて電場放出電子を取り出す冷陰極デバイスにお
いて、エミッタ電極2のコーン部3に、その材料の有す
る仕事関数よりも低い光エネルギーを照射する赤外線発
光素子(光照射部)7を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、駆動電圧の低減化、及
び配線本数の低減化を図った冷陰極装置に関し、特に、
新規高精細カラーディスプレイ、及び高信頼マイクロ真
空管に対して極めて有効なものである。
【0002】
【従来の技術】冷陰極デバイスの従来の技術は、C.
A.SPINDTにより、1968年に提案されてい
る。この提案以降種々の改良がなされ、駆動電圧の低減
化が研究されてきた。
【0003】この冷陰極デバイスは、空間電場電子放出
による効果を利用しているため、材料本来の持つ物性値
及び空間電場を有効に高くする必要がある。そのため、
従来より微細化、高精度化といった製作加工上の観点か
らアプローチがなされてきた。その結果、従来は数百ボ
ルト程度必要であった駆動電圧が、現在では数十ボルト
程度にまで低減されている。
【0004】しかしながら、近時では、電子回路のさら
なる低消費化、小型化が要望されており、駆動電圧のさ
らなる低電圧化が急務となっている。
【0005】図9は、従来方式に基づく冷陰極デバイス
の断面形状を示している。
【0006】同図において、符号81はサファイア等で
形成された基板で、この基板81上に、コーン部82を
含むエミッタ電極83が、モリブデン等で形成されてい
る。そして、コーン部82を除くエミッタ電極83上
に、絶縁層84を介して、同じモリブデン等で形成され
たゲート電極85が形成されている。
【0007】このように形成された電場電子放出型冷陰
極部を10-6TORRオーダの真空容器に入れ、ゲート
電極85と対向させてアノード電極86を配置する。そ
して、エミッタ電極83に対してVG の電圧をゲート電
極85に印加する。
【0008】エミッタ電極83に接続されているコーン
部82は、三角錐又は三角柱の形に形成されており、か
つゲート電極85と極めて接近して配置されている。
【0009】図11は、このような構成の冷陰極デバイ
スにおける電子の挙動についてのエネルギーダイヤグラ
ムを示している。
【0010】同図において、エミッタ電極83とゲート
電極85とが同じ金属で形成されているとした場合、双
方とも同じ仕事関数ΦM を持つため、狭い真空層δを介
して配置した構成となる。ただし、各電極のフェルミレ
ベルをそれぞれEFMe 、EFM g として考える。
【0011】また図12は、ゲート電極85にバイアス
電圧VB を印加した場合のエネルギーダイアグラムを示
しており、バイアス電圧VB を作用させることで、真空
層の厚みが無バイアス時にδであったものに対してδB
となり、真空層の厚みが薄くなっていることが分る。真
空層の厚みが薄くなれば、エミッタ電極83側からゲー
ト電極85側への電子のトンネル確率が高くなることが
予測できる。つまり、真空電場電子放出が容易に起こる
ことになる。
【0012】この場合、図9に戻って、エミッタ電極8
3のコーン部82より出射される電子は、全部ゲート電
極85に流れ込む。このとき、この冷陰極に対向するア
ノード電極86に電圧VA を印加すれば、ゲート電極8
5に流れていた電子流の一部をアノード電極86側に引
き寄せることができる。当然のことながら、エミッタ電
圧VG とアノード電圧VA の適度な設定により、アノー
ド電極86に到達する電子の割合を調整することができ
る。
【0013】仮に、アノード電極86の電子ビームの照
射領域に蛍光体を配置すれば、ブラウン管と同様に発光
することはもちろんである。また、エミッタ電圧VG
外部より信号電圧を重畳すると、アノード電極86に流
れる電子流を変調させることも可能である。
【0014】現状では、この様に構成された冷陰極の多
数個を一つのブロックとし、このブロックを多数配置し
たコールドカソードとして提案され、試作検討されてい
る。
【0015】この様子を示すのが図10であり、基板8
8上に多数の冷陰極が一つのブロック87をなして構成
されている。
【0016】図13は、四極構造の冷陰極の例を示して
おり、その原理は図9に示す三極構造のものと同様であ
る。
【0017】すなわち、基板91上に、絶縁体92を介
してエミッタ電極93、ゲート電極94、及びアノード
電極95が、それぞれ設計された間隔で配置されてい
る。これを上部より見たのが図14である。図14にお
いて、エミッタ電極93の先端は細く鋭利な形状に形成
されており、強い電界強度をゲート電極94との間に発
生できる形状となっている。そして、バイアスプレート
96への印加電圧を制御することで、電子ビームのゲー
ト電極94又はアノード電極95に達する比率を変える
ことができる。
【0018】このように、ゲート電圧VG 、アノード電
圧VA を変えることにより、エミッタ電流とアノード電
流の比率を変えることができ、従来の真空管動作も可能
となる。本動作は、電子の空間移動速度に基づくため、
高速信号応答を持つと想像できる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の冷陰極デバイスにおいては、いづれにしてもエミッタ
電極より、電場により電子を取り出すため、エミッタ電
極とゲート電極との間には強い電界を必要としていた。
つまり、冷陰極型電子放出コーンの材料、形状設計、加
工作製上の精度上の限界等から来る物理的空隙に打ち勝
つため、強い印加電圧が必要であった。そのため、エミ
ッタ電極とゲート電極との間でアーク放電が起こり、コ
ーン部分の破損を引き起こしたり、エミッタ電流の変動
を来たして、実用的価値が低下するといった問題があっ
た。
【0020】また、このような電子放出用冷陰極エレメ
ントは微小間隙で多数個配列され、使用されるのが普通
である。当然のことながら、各々のエレメントに対して
電気配線が施され、必要に応じて、電圧を印加して使用
されているのが実状である。つまり、各冷陰極に対して
は個別の配線(電源ライン及び、信号ライン等)が必要
であり、莫大な配線数となり、ディスプレー装置として
の展開を疎外する一因となっていた。例えば、図10に
示すような各ブロックを一つのエレメントとして取り扱
った場合には、数百本〜数千本の配線が必要となり、こ
れらを基板上に構成しようとすると極めて大きなスペー
スを必要とすることはもちろん、電気配線的にも複雑化
を極めていた。
【0021】以上に述べたように、冷陰極デバイスを実
用化するためには、絶縁破壊の防止策と多数配線の低減
化が最大の課題であった。
【0022】本発明はかかる実情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、電場電子を放出するための印加電圧の
低減化を図るとともに、多数のエレメントを構成した時
にも配線本数を大幅に低減することのできる冷陰極装置
を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】導体又は半導体表面に1
7 V/ cm程度以上の強い電界を作用させると、導体又
は半導体表面より電子が薄いポテンシャル障壁をトンネ
ル効果で透過し、放出されることが電場放出効果として
広く知られている。
【0024】図15乃至図18には、このメカニズムの
説明がなされており、図15に示す冷陰極部分の断面図
のA切断面での詳細を示しているのが、図16である。
【0025】エミッタ電極83のコーン部82とゲート
電極85との間には、間隔に逆比例した強い電界が働
く。図16中には等電位面を実線で記入している。
【0026】図17は、エミッタ電極83のコーン部8
2とゲート電極85との間に電圧を印加した時の狭い真
空層に作用するポテンシャル障壁の状況を示している。
【0027】エミッタ電極83のコーン部82より自由
電子が真空層に取り出されるためには、エミッタ電極8
3の金属材料のもつ仕事関数Φ以上のエネルギーを必要
とするが、障壁が数100Å以下と薄い場合、トンネル
効果により、仕事関数より低いエネルギーしか持たない
電子でも、ある確率(Tt)でこの障壁を透過すること
が知られている。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】ただし、m*:金属中電子の有効質量、
h:プランク定数、E:電子の持つ運動エネルギーであ
る。
【0031】上記各式によれば、伝導電子が金属側から
ポテンシャル障壁内を通り抜ける確率Ttは、ポテンシ
ャル障壁の厚み(すなわち、図17中のZ0 〜Z1
幅)と、電子の持つエネルギーの大きさ〔eF(Z)−
E〕とが大きく作用していることが分かる。高いトンネ
ル確率を得るためには、強い電界をかけて(すなわち、
図17中の電界強度FZ を大きくして)、ポテンシャル
の壁厚(Z0 〜Z1 )を小さくすることが有効と言え
る。
【0032】これを冷陰極デバイス構造に反映するに
は、エミッタ電極83のコーン部82とゲート電極85
とを極めて接近させて構成する必要がある。しかしなが
ら、現在の加工技術では、1μm前後のエアーギャップ
で構成するのが限度である。
【0033】そこで、この電子放出用エミッタ部分に、
仕事関数Φよりも小さい光エネルギーEを有する光線
(一般には、赤色から近赤外線)を照射することで、エ
ミッタ金属中の自由電子の持つ運動エネルギーを、実質
的に持つ運動エネルギーに光エネルギーhνを加えたエ
ネルギーとして考えることができる(コンプトン効果に
よる)。従って、図18に示すように、ΨE (Z)で示
される電子は、ポテンシャル壁の厚み(Z0 ′〜
1 ′)を透過すれば良く、図17で示されたポテンシ
ャル壁の厚み(Z0 〜Z1 )に比べて非常に薄い障壁と
なっている。
【0034】本発明は、上記のような観点より、以下の
ような構成とする。すなわち、本発明の冷陰極装置は、
エミッタ電極とゲート電極との間に強い電界を与えて電
場放出電子を取り出す冷陰極デバイスにおいて、エミッ
タ電極部にその材料の有する仕事関数よりも低い光エネ
ルギーを照射する光照射部を設けたものである。
【0035】また、本発明の冷陰極装置は、エミッタ電
極とゲート電極との間に、光照射部より照射される光エ
ネルギーを案内する光導波路層を設けたものである。
【0036】また、本発明の冷陰極装置は、光学的に透
明な基材上にエミッタ電極を形成するとともに、この透
明基材中に、光照射部から照射された光エネルギーをエ
ミッタ電極に向けて反射する反射部を設けたものであ
る。
【0037】また、本発明の冷陰極装置は、光学的に透
明な基材上に金属/絶縁体/金属構造のエミッタ電極及
びカソード電極を形成するとともに、この透明基材中
に、光照射部から照射された光エネルギーをエミッタ電
極に向けて反射する反射部を設けたものである。
【0038】また、本発明の冷陰極装置は、光学的に透
明な基材上にショットキー型電極を形成するとともに、
この透明基材中に、光照射部から照射された光エネルギ
ーを電極に向けて反射する反射部を設けたものである。
【0039】
【作用】従来技術で構成した冷陰極デバイスの最大の問
題点は、高い駆動電圧を必要とすることである。そこ
で、エミッタ電極部の構成材料のもつ仕事関数より低い
エネルギーを有する光を、エミッタ電極部に照射するこ
とで、真空障壁層の壁を実効的に薄くすることができる
ため、電子のトンネル確率を高めることが可能となる。
このような手法により、低い印加電圧のもとで高い電場
電子放出を得ることを実現した。
【0040】これは、一定直流電圧をエミッタ電極とゲ
ート電極との間に印加しておき、光照射によりエミッシ
ョン電流を制御することも可能となることを意味してい
る。
【0041】つまり、一定の光を照射しておけば、低い
印加電圧でエミッション電流を制御することができる。
このように、従来の冷陰極に対し、光を併用することに
より、エミッタ電極の電圧の低減化が可能となるため、
絶縁体破壊やエミッション電流の変動も低減でき、冷陰
極線デバイスの品質の向上と長寿命化が図れる。さら
に、この冷陰極の多数アレイを考えた場合、単に共通で
エミッタ、ゲート間に直流電圧を印加しておき、目的と
する箇所に目的とする時間だけ光ビームを照射すること
でエミッション電流を得ることが可能となる。つまり、
光ビーム走査型の冷陰極線アレイを得ることが可能とな
ったため、配線本数を大幅に低減することができるもの
である。
【0042】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0043】図1は、本発明の冷陰極装置の基本的な構
造を示しており、請求項1,2に対応している。
【0044】すなわち、絶縁性基板1上に、モリブデン
等の高融点導電材料でエミッタ電極2を形成する。そし
て、そのエミッタ電極2上に、Si 2 やA1 2 3
の透光性でかつ電気絶縁性の高い誘電体材料(絶縁層)
6を形成し、この誘電体材料6の上に、エミッタ電極2
と同様な材料でゲート電極4を形成する。さらに、アノ
ード電極5をエミッタ電極2のコーン部3の直上に配置
する。
【0045】そして、エミッタ電極2に対し、ゲート電
極4とアノード電極5とにそれぞれ電圧VGL、VALを印
加し、これら全体を10-6TORR前後の真空雰囲気中
に設置する。これにより、エミッタ電極2のコーン部3
より電子放出が可能となる。このとき、VGLとVALとを
変調することで、放出電子流の大きさを変えることがで
きる。
【0046】ここで、絶縁層6の側面に赤外線発光素子
7等を配置し、この赤外線発光素子7の光線を、絶縁層
6の内部を伝播させてエミッタ電極2のコーン部3に照
射させることで、上記したコンプトン効果が電界効果に
重畳され、電子流の放出効率が大幅に改善されることに
なる。その結果、VGLを低減することができるととも
に、赤外線発光素子7に流す電流を直接変調することに
より、放出電子流を制御することも可能となる。
【0047】上記の構成によれば、エミッタ電極材料と
ゲート電極材料が同じ材質の金属で形成され、かつ空隙
間隔δで接近配置されるため、図11に示すものと同様
となり、エミッタ電極2とゲート電極4の各フェルミレ
ベルEFMe ,EFMg は一致している。なお、このときの
仕事関数をΦM とする。
【0048】また、図12には、エミッタ電極2とゲー
ト電極4とに電圧VB を印加した状態を示しているが、
空隙部に電圧VB を印加することにより、大きな電界が
作用している。この図から分かるように、エミッタ電極
のフェルミレベルEFMe より空隙部を見た場合、この隙
間はδB となり、図11での無バイアス時に較べてより
狭くなっていることが分かる。さらに本発明では、図1
に示すようにエネルギーhνを有する光を照射するた
め、エミッタ側の自由電子の持つエネルギーは、EFMe
+hνと高くなる。このときの空隙幅は、δBPと極めて
狭くなる。
【0049】そのため、前述したように、電子のトンネ
ル確率は空隙幅に依存するため、光照射により、電子放
出の度合を制御することが可能となる。
【0050】図2は、本発明による冷陰極装置を用いた
表示装置の利用例を示しており、請求項3に対応してい
る。
【0051】すなわち、反射ミラー11を備えた光ガイ
ド基板12上に、エミッタ電極13及び電子放出部(コ
ーン部)14を形成している。このエミッタ電極13に
は、下部の光ガイド基板12から照射される光を通すた
めの窓15が開けられている。そして、この窓15の直
上に、コーン部14を取り囲む形で、赤外光に対し透明
なSi 2 やA12 3 等の電気絶縁部16が形成さ
れ、この電気絶縁部16の上に、ゲート電極17が形成
されている。
【0052】さらに、コーン部14の直上に、ある特定
の間隔を離して、光の三原色に相当する蛍光体18と透
明導電膜19とを備えた透明基板(アノード)20が、
スクリーンとして配置されている。
【0053】また、光ガイド基板12には、その一側面
に光照射部22が設けられている。この光照射部22
は、LED23と、LED23より出射された光をコリ
メート化等するための光学レンズ24と、光ガイド基板
12の下部に分散配置された反射ミラー11,11・・
・に光を照射するための光偏向器25とで構成されてい
る。そして、LED23より出射された光は、光学レン
ズ24を通ってコリメート化され、次の光偏向器25を
経由して各反射ミラー11,11・・・に照射されるよ
うになっている。
【0054】次に、上記構成の冷陰極装置の動作につい
て説明する。
【0055】図示は省略しているが、エミッタ電極13
を基準にして、ゲート電極17とアノード電極20とに
は電圧が印加される。このとき、エミッタ電極13よ
り、上述の原理に基づいて電子放出が起こる。この電子
は、電圧が印加されているため、一部はアノード電極2
0に到達し、その残りはゲート電極17に到達する。
【0056】アノード電極20に到達した電子は、その
前面に配置されている蛍光体18に照射されることとな
り、現状のブラウン管同様に各蛍光体18をその固有の
色相で発光させることができる。この発光色は、アノー
ド電極(スクリーン)20の反対面より観察されること
になる。
【0057】従来、このような動作は全て電気的な動作
であり、エミッタ電極とゲート電極との間、及びエミッ
タ電極とアノード電極との間に作用させる電圧は、通常
数10ボルトから100ボルトが必要となり、高電界の
働く部分で絶縁破壊が多発して、実用性を阻害してい
た。さらに、各エミッタ電極13にそれぞれ電気配線が
必要となることから、ディスプレイを考えた場合、膨大
な数の配線を必要とした。
【0058】本実施例によれば、従来の方式に加え、光
ガイド基板12の内部を通して、エミッタ材料の有する
仕事関数より低いエネルギーを持つ光を走査・照射する
ことで、低電圧駆動と駆動配線数の大幅な低減を達成し
た。
【0059】つまり、光偏向器25を通して光ガイド基
板12に入射された光は反射ミラー11に当たって反射
され、エミッタパターンの窓15を通ってゲート電極1
7の裏面で再度反射され、エミッタ電極13のコーン部
14に照射される。ここで、コンプトン効果、及びエミ
ッタ電極13とゲート電極17との間の高電界の相乗効
果により、上述のように高い効率で電子放出を達成でき
る。つまり、数ボルト程度で動作できる低電圧化が図れ
るとともに、エミッタ電極13とゲート電極17との間
の電圧を共通で一定電圧に印加し、照射光の走査・変調
を行うことにより、放出電子ビームの制御が可能とな
る。そのため、配線本数を大幅に低減することができ
る。
【0060】なお、本実施例では、電子線を放出・加速
するために、当然のことながら冷陰極デバイス全体の系
を10-6TORR前後の真空に保持する必要がある。
【0061】また、これまで述べてきた実施例は、放出
電子を空間で加速させるため、10 -6TORR前後の真
空中にデバイス全体を維持する必要がある。そのため、
真空容器の気密性や電気的絶縁を考慮する必要があっ
た。
【0062】そこで、以下の実施例では、真空を必要と
しない構造の冷陰極装置を提供するものである。
【0063】図3は、このような真空を必要としない冷
陰極装置の構造の一例を示しており、請求項4に対応し
ている。
【0064】すなわち、反射ミラー31を備えた光ガイ
ド基板32の上部に歯状の凹凸面を形成し、この凹凸面
上にエミッタ電極としての金属薄膜33を形成する。そ
して、その凸部上に、数百オングストロームの薄い絶縁
膜34を介して、アノード電極35を金属薄膜で形成す
る。ここで、エミッタ電極33とアノード電極35とは
薄膜の絶縁層341を介して対峠するため、MIM(金
属/絶縁体/金属)構造を構成する。
【0065】図4に、このMIM構造部分の拡大図を示
す。
【0066】アノード電極35に直接接して蛍光体ドッ
ト36が配置され、この蛍光体ドット36の周辺全体が
絶縁膜34で囲まれて、透明電極37に接続されてい
る。そして、この透明電極37の上に、薄いガラス基板
38が配置された構成となっている。
【0067】また、光ガイド基板32には、その一側面
に光照射部39が設けられている。この光照射部39
は、LED40と、LED40より出射された光を光ガ
イド基板32の下部に分散配置された反射ミラー31,
31・・・に照射するための光偏向器41とで構成され
ている。そして、LED40より出射された光は、光偏
向器41を経由して各反射ミラー31,31・・・に照
射され、各反射ミラー31,31・・・で反射されて、
各MIM型エミッタ部に照射されるようになっている。
【0068】このとき、エミッタ電極33は薄膜構成と
しているため、十分なコンプトン効果が期待される。そ
のため、エミッタ電極33とアノード電極35との間で
の電界効果が相乗され、極めて低電圧でエミッタ電極3
3から電子放出が行われる。
【0069】一方、アノード電極35は電子散乱として
も働くため、電子の平均自由行程程度の厚みに設定する
必要があり、約200〜300Å程度が良い。
【0070】エミッタ電極33からの放出電子は、アノ
ード電極35を通過して蛍光体36を励起し、発光させ
る。この発光は、透明電極37及びガラス基板38を透
過し、外部に放射される。
【0071】ここで述べた、MIM構造でのエネルギー
ダイヤグラムを図5に示す。
【0072】同図(a)は、絶縁膜34が極めて厚い場
合を示しており、エミッタ電極33のフェルミレベルE
Fe、仕事関数ΦMe 、アノード電極35のフェルミレベ
ルE Fe、仕事関数ΦMa をそれぞれ示している。各電極
が同じ材料で構成されていれば、これらは同じ値を持つ
ことは当然である。
【0073】同図(b)は、絶縁膜34が1000Å以
下と極めて薄い場合を示しており、特に、EFe>EFa
達成され、MIM構造が実現されている。この状態で、
エミッタ電極33とアノード電極35との間に電圧を印
加した状況を示すのが同図(c)であり、絶縁膜34に
強い電界が作用していることが分かる。
【0074】エミッタ電極33のフェルミレベルE
Feで、この絶縁膜34の厚みはδB になっている。これ
は、無バイアス時の絶縁膜34の厚みδよりずっと薄く
なっており、上述のように、電子のトンネル確率は向上
する。
【0075】本実施例では、エミッタ電極33に、仕事
関数ΦMeより低いエネルギーhνを持つ光を照射してい
るため、絶縁層34の厚みはδBPとさらに薄くなり、電
子流の大きさを大幅に向上させることができるととも
に、この光(エネルギーhν)の変調でエミッション電
流を操作することが可能となる。
【0076】図6は、上記した図4に示すMIM構造に
対し、ショットキー接合による例を示しており、請求項
5に対応している。
【0077】すなわち、反射ミラー51を備えた光ガイ
ド基板52の上部に、シリコン又はGaAsからなる半
導体層53が形成され、この半導体層53の上に、ショ
ットキー接合を構成できる金属電極54が形成されてい
る。そして、この金属電極54の上に、蛍光体ドット5
5がSi02 やA12 3 などの誘電体材料56で取り
囲まれた形で形成され、さらにその最上部に、光を透過
させることのできるガラス基板もしくは誘電体膜58
が、透明電極57を介して形成されている。
【0078】また、光ガイド基板52には、その一側面
に光照射部59が設けられている。この光照射部59
は、LED60と、LED60より出射された光を光ガ
イド基板52の下部に分散配置された反射ミラー51,
51・・・に照射するための光偏向器61とで構成され
ている。そして、LED60より出射された光は、光偏
向器61を経由して各反射ミラー51,51・・・に照
射され、各反射ミラー51,51・・・で反射されて、
半導体層53に照射される。なお、図7は、図6に示す
電極部の拡大図を示している。
【0079】また、図8は、ショットキー接合構造での
エネルギーダイヤグラムを示しており、同図(a)は、
金属電極54と半導体層53との界面で発生するショッ
トキー接合の概要を示している。
【0080】すなわち、同図(a)には、フェルミレベ
ルEFM、仕事関数ΦM を持つ金属と、フェルミレベルE
FS、仕事関数ΦS なる化学親和力を持つ半導体との接合
を示しており、Ecは伝導帯を示す。同図(b)には、
この両者が接したときのエネルギー関係を示している。
当然のことながらフェルミレベルが一致するものの、真
空レベルの差よりショットキー障壁の発生がある。この
接合にバイアス電圧V R を作用させると、金属側を基準
にした場合、EFSは−qVR だけ変動する。
【0081】その結果、EFM近辺の自由電子は、障壁幅
δB をトンネル効果で透過することとなる。ところが、
本実施例では電極側からみた自由電子のエネルギーが、
hνだけ高くなっている。従って、ショットキー障壁の
高い箇所をトンネル効果で透過することとなり、当然障
壁幅もδBPと狭くなったところを透過するため、電子の
トンネル確率も高く、かつ強い電界により、大きな加速
度が得られる。
【0082】ここで、上記説明に対応する形状として、
図7に示すように半導体層53の下部面にメサエッチを
かけ、凹部を形成して光の照射部を作り、その反対面
(図面上では上部)に薄い金属層でショットキー電極を
形成している。
【0083】上記各実施例の冷陰極装置によれば、自己
発光型の平面ディスプレイ等への応用展開が期待でき
る。
【0084】
【発明の効果】本発明の冷陰極装置は、冷陰極デバイス
に光照射を行う構成とすることにより、コンプトン効果
を併用することで駆動電圧を大幅に低減することがで
き、かつエミッタ部分の絶縁破壊を防止できる。また、
エミッタ電極とゲート電極とに共通の電圧を与えておい
て光照射を行うことで、所定の冷陰極部を駆動すること
が可能となる。そのため、光走査により所定の位置を選
択的に動作させることができるとともに、配線本数を大
幅に低減することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷陰極装置の基本的な構造の断面形状
を示す概略構成図である。
【図2】本発明による冷陰極装置を用いた表示装置の断
面形状を示す概略構成図である。
【図3】真空を必要としない冷陰極装置の構造の断面形
状の一例を示す概略構成図である。
【図4】MIM構造の電極部を拡大した概略構成図であ
る。
【図5】MIM構造でのエネルギーダイヤグラムを示す
図である。
【図6】ショットキー接合による冷陰極装置の構造の断
面形状の一例を示す概略構成図である。
【図7】ショットキー接合構造の電極部を拡大した概略
構成図である。
【図8】ショットキー接合構造でのエネルギーダイヤグ
ラムを示す図である。
【図9】従来方式に基づく冷陰極デバイスの断面形状を
示す概略構成図である。
【図10】冷陰極の多数個を一つのブロックとして多数
配置した構成を示す概略図である。
【図11】電子の挙動についてのエネルギーダイヤグラ
ムを示す図である。
【図12】電子の挙動についてのエネルギーダイヤグラ
ムを示す図である。
【図13】四極構造の冷陰極の断面形状の一例を示す概
略構成図である。
【図14】図13に示す冷陰極の平面図である。
【図15】冷陰極装置の基本的な構造の断面形状を示す
概略構成図である。
【図16】図15に示す冷陰極装置のA部断面図であ
る。
【図17】エミッタ電極とゲート電極との間に電圧を印
加したときの狭い真空層に作用するポテンシャル障壁の
状況を示す図である。
【図18】エミッタ電極に光を照射したときの真空層に
作用するポテンシャル障壁の状況を示す図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 エミッタ電極 4 ゲート電極 5 アノード電極 6 誘電体材料(絶縁層) 7 赤外線発光素子 11,31,51 反射ミラー 12,32,52 光ガイド基板 22,39,59 光照射部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エミッタ電極とゲート電極との間に強い
    電界を与えて電場放出電子を取り出す冷陰極デバイスに
    おいて、エミッタ電極部にその材料の有する仕事関数よ
    りも低い光エネルギーを照射する光照射部が設けられた
    ことを特徴とする冷陰極装置。
  2. 【請求項2】 エミッタ電極とゲート電極との間に、前
    記光照射部より照射される光エネルギーを案内する光導
    波路層が設けられたことを特徴とする請求項1記載の冷
    陰極装置。
  3. 【請求項3】 光学的に透明な基材上にエミッタ電極が
    形成されるとともに、この透明基材中に、前記光照射部
    から照射された光エネルギーを前記エミッタ電極に向け
    て反射する反射部が設けられたことを特徴とする請求項
    1記載の冷陰極装置。
  4. 【請求項4】 光学的に透明な基材上に金属/絶縁体/
    金属構造のエミッタ電極及びカソード電極が形成される
    とともに、この透明基材中に、前記光照射部から照射さ
    れた光エネルギーを前記エミッタ電極に向けて反射する
    反射部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の冷
    陰極装置。
  5. 【請求項5】 光学的に透明な基材上にショットキー型
    電極が形成されるとともに、この透明基材中に、前記光
    照射部から照射された光エネルギーを前記電極に向けて
    反射する反射部が設けられたことを特徴とする請求項1
    記載の冷陰極装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005027172A1 (ja) * 2003-09-16 2005-03-24 Sumitomo Electric Industries, Ltd. ダイヤモンド電子放出素子およびこれを用いた電子線源
JP2005149865A (ja) * 2003-11-14 2005-06-09 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 電界放出装置、電界放出基板、駆動装置およびディスプレイ
JP2010257898A (ja) * 2009-04-28 2010-11-11 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology 電子放出装置および電子放出方法
US7872781B2 (en) 2007-03-16 2011-01-18 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Artifact scanning with infrared radiation generated within a cold cathode lamp

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