JPH07211283A - 質量分析計における分析管のイオン源 - Google Patents

質量分析計における分析管のイオン源

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JPH07211283A
JPH07211283A JP6004863A JP486394A JPH07211283A JP H07211283 A JPH07211283 A JP H07211283A JP 6004863 A JP6004863 A JP 6004863A JP 486394 A JP486394 A JP 486394A JP H07211283 A JPH07211283 A JP H07211283A
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Megumi Nakamura
恵 中村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 質量分析計における分析管のイオン源であっ
て、イオン源1、特にイオン化室15の温度を、分析す
べき物質が熱分解を起さない程度の温度(約50℃以
下)に低下できる分析管のイオン源を提供することを目
的とする。 【構成】 フィラメントマウント12で支持されたフィ
ラメント11並びにエレクトロンリペラ13、グリッド
14、イオン化室15およびエレクトロンコレクタ16
を構成する電極を配置してなる質量分析計における分析
管のイオン源において、フィラメントマウント12並び
にエレクトロンリペラ13、グリッド14、イオン化室
15およびエレクトロンコレクタ16の構成電極が熱伝
導率の優れた絶縁物17を介して熱伝導率の優れた金属
フランジ18に固定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、質量分析計の分析管
のイオン源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のイオン源を装着した質量分析計の
分析管は図4に示したように、分析しようとする物質を
イオン化するイオン源1と、イオンを質量電荷比に分離
する分析部2、及び分離されたイオンを検出するイオン
検出部3により構成される。イオン源1で生成されたイ
オンが分析部2に導かれ、分析部2で質量電荷比に分離
され、イオン検出部3により検出される。そして、この
型の分析管は通常、イオン源1が分析部2に固定されて
いる。
【0003】前記イオン源1の詳細を図5(断面図)お
よび図6(側面図)に示した。図5、図6において、フ
ィラメントマウント12に固定されたフィラメント11
に電流を流してフィラメント11を加熱し、その表面か
ら熱電子を放出させる。エレクトロンリペラ(電子反発
電極)13とグリッド(電子収束電極)14によりイオ
ン化室15の中に熱電子を導き、あらかじめイオン化室
15の中に導入している分析すべき物質を熱電子により
イオン化する。イオン化に使われなかった電子は、エレ
クトロンコレクタ(電子収集電極)16で回収する。ま
た、イオン化された物質は、イオンフォーカス(イオン
集中電極)20、エレクトロンサプレッサ(電子遮断電
極)21で分析部に導く。なお、図中19はセラミッ
ク、22はイオン源ステム、23は分析部の四重極ロッ
ドである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図4、図5、図6に示
した従来のイオン源では、フィラメント11の輻射熱や
熱電子の拡散によって、グリッド14、イオン化室15
が熱せられ(イオン化室内壁:100〜150℃)、分
析すべき物質が熱分解を起こし、ノイズ成分になるとい
う欠点があった。
【0005】この発明は前述した点を鑑みてなされたも
ので、その目的とする処は、構造を改良することによ
り、イオン源1、特にイオン化室15の温度を、分析す
べき物質が熱分解を起こさない程度の温度(約50℃以
下)に低下できる分析管のイオン源を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、図2および図3に示すこの発明のイオン源は、下記
の構造を有するイオン源である。
【0007】フィラメント11及びフィラメントマウ
ント12を、エレクトロンリペラ13で覆う。
【0008】フィラメントマウント12、エレクトロ
ンリペラ13、グリッド14、イオン化室15、及びエ
レクトロンコレクタ16等を、熱伝導率の優れた絶縁物
17を介してアルミニウムフランジ18などの熱伝導率
の優れた金属フランジに固定する。
【0009】即ちこの発明は、フィラメントマウントで
支持されたフィラメント並びにエレクトロンリペラ、グ
リッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタを構成
する電極を配置してなる質量分析計における分析管のイ
オン源において、前記フィラメントおよびフィラメント
マウントがエレクトロンリペラ構成電極で覆われている
ことを特徴とする質量分析計における分析管のイオン源
である。
【0010】また、前記フィラメントマウント並びにエ
レクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレク
トロンコレクタの構成電極が熱伝導率の優れた絶縁物を
介して熱伝導率の優れた金属フランジに固定されている
ことを特徴とする質量分析計における分析管のイオン源
である。
【0011】前記において、熱伝導率の優れた絶縁物と
しては、セラミック、樹脂が使用可能である。
【0012】また熱伝導率の優れた金属フランジとして
は、アルミニウム(合金を含む)フランジ、銅(合金を
含む)フランジが使用可能である。
【0013】
【作用】この発明の質量分析計における分析管のイオン
源によれば以下の如くの作用がある。
【0014】フィラメント11及びフィラメントマウ
ント12を、エレクトロンリペラ13で覆うことによ
り、フィラメント11からの熱輻射や熱電子の拡散によ
って、グリッド14、イオン化室15が熱っせられるこ
とを防ぐことができ、分析すべき物質が熱分解してしま
うことを防ぐことができる。
【0015】フィラメントマウント12、エレクトロ
ンリペラ13、グリッド14、イオン化室15、及びエ
レクトロンコレクタ16等を、熱伝導率の優れた絶縁物
17を介して熱伝導率の優れた金属フランジに固定する
ことにより、各部品で発生した熱を速やかに大気中に逃
がし、イオン化室を含む各部品の温度を下げることがで
き、分析すべき物質が熱分解してしまうことを防ぐこと
ができる。
【0016】
【実施例】図1はこの発明のイオン源の一実施例を装着
した質量分析計の分析管の構成図を図示したもので、1
はイオン源、2は分析部、3はイオン検出部である。
【0017】イオン源1の詳細を図2(断面図)および
図3(側面図)に示した。11はフィラメント、12は
フィラメントマウント、13はエレクトロンリペラ、1
4はグリッド、15はイオン化室、16はエレクトロン
コレクタ、17は熱伝導率の優れた絶縁物(本実施例で
はセラミック)、18はアルミニウムフランジである。
なお、19はセラミック、20はイオンフォーカス、2
1はエレクトロンサプレッサ、22はイオン源ステム、
23は分析部の四重極ロッドである。
【0018】これらを動作するには、アルミニウムフラ
ンジ18を真空容器に接続することによりイオン源を真
空容器内に配置し、真空容器を真空排気する。
【0019】次にフィラメントマウント12、エレクト
ロンリペラ13、グリッド14、イオン化室15、エレ
クトロンコレクタ16、イオンフォーカス20、エレク
トロンサプレッサ21、四重極ロッド23の各部品を電
源装置に結線し、所定の電流・電圧を印加する。
【0020】図1・図2・図3に示したような実施例の
構造は、以下のような作用をする。
【0021】フィラメント11及びフィラメントマウ
ント12を、エレクトロンリペラ13で覆うことによ
り、フィラメント11からの熱輻射や熱電子の拡散によ
って、グリッド14、イオン化室15が熱っせられるこ
とを防ぐことができ、分析すべき物質が熱分解してしま
うことを防ぐことができる。
【0022】フィラメントマウント12、エレクトロ
ンリペラ13、グリッド14、イオン化室15、及びエ
レクトロンコレクタ16を、熱伝導率100[W/m・
K]以上の絶縁物(実施例ではセラミック)17を介し
てアルミニウムフランジ18に固定することにより、各
部品で発生した熱をアルミニウムフランジ18を通して
速やかに大気中に逃がし、イオン化室を含む各部品の温
度を下げることができ、分析すべき物質が熱分解してし
まうことを防ぐことができる。
【0023】なお、図2で示したイオン源のイオン化室
15のA点とB点の温度は、下記の表1の通りであっ
た。
【0024】
【表1】
【0025】イオン化室15の側壁を低温に維持できる
ことが確認できた。またエミッション電流を増加しても
大きな温度上昇が起らないことも確認できた。
【0026】尚、フィラメント11及びフィラメントマ
ウント12を、エレクトロンリペラ13で覆うことによ
り、熱電子を効率良くイオン化室に導くことができ、イ
オン化効率を上げることができる。
【0027】
【発明の効果】この発明によれば、フィラメントからの
輻射熱や熱電子の拡散を防ぐために、また、イオン源内
で発生する熱を効率よく放熱するために構造を改良した
ので、イオン化室15の温度を低温に維持することがで
きる。このことによって、分析すべき物質が熱分解を起
こさない分析管のイオン源を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を装着した分析管の断面概略
図。
【図2】同じく実施例の断面図。
【図3】同じく実施例の平面図。
【図4】従来のイオン源を装着した分析管の断面概略
図。
【図5】同じく従来のイオン源の断面図。
【図6】同じく従来のイオン源の平面図。
【符号の説明】
1 イオン源 2 分析部 3 イオン検出部 11 フィラメント 12 フィラメントマウント 13 エレクトロンリペラ 14 グリッド 15 イオン化室 16 エレクトロンコレクタ 17 絶縁物 18 アルミニウムフランジ 19 セラミック 20 イオンフォーカス 21 エレクトロンサプレッサ 22 イオン源ステム 23 四重極ロッド

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメントマウントで支持されたフィ
    ラメント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン
    化室およびエレクトロンコレクタを構成する電極を配置
    してなる質量分析計における分析管のイオン源におい
    て、前記フィラメントおよびフィラメントマウントがエ
    レクトロンリペラ構成電極で覆われていることを特徴と
    する質量分析計における分析管のイオン源。
  2. 【請求項2】 フィラメントマウント並びにエレクトロ
    ンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコ
    レクタの構成電極が熱伝導率の優れた絶縁物を介して熱
    伝導率の優れた金属フランジに固定されている請求項1
    記載の質量分析計における分析管のイオン源。
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