JP3548968B2 - 質量分析計における分析管のイオン源 - Google Patents
質量分析計における分析管のイオン源 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、質量分析計の分析管のイオン源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のイオン源を装着した質量分析計の分析管は図4に示したように、分析しようとする物質をイオン化するイオン源1と、イオンを質量電荷比に分離する分析部2、及び分離されたイオンを検出するイオン検出部3により構成される。イオン源1で生成されたイオンが分析部2に導かれ、分析部2で質量電荷比に分離され、イオン検出部3により検出される。そして、この型の分析管は通常、イオン源1が分析部2に固定されている。
【0003】
前記イオン源1の詳細を図5(断面図)および図6(側面図)に示した。図5、図6において、フィラメントマウント12に固定されたフィラメント11に電流を流してフィラメント11を加熱し、その表面から熱電子を放出させる。エレクトロンリペラ(電子反発電極)13とグリッド(電子収束電極)14によりイオン化室15の中に熱電子を導き、あらかじめイオン化室15の中に導入している分析すべき物質を熱電子によりイオン化する。イオン化に使われなかった電子は、エレクトロンコレクタ(電子収集電極)16で回収する。また、イオン化された物質は、イオンフォーカス(イオン集中電極)20、エレクトロンサプレッサ(電子遮断電極)21で分析部に導く。なお、図中19はセラミック、22はイオン源ステム、23は分析部の四重極ロッドである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図4、図5、図6に示した従来のイオン源では、フィラメント11の輻射熱や熱電子の拡散によって、グリッド14、イオン化室15が熱せられ(イオン化室内壁:100〜150℃)、分析すべき物質が熱分解を起こし、ノイズ成分になるという欠点があった。
【0005】
この発明は前述した点を鑑みてなされたもので、その目的とする処は、構造を改良することにより、イオン源1、特にイオン化室15の温度を、分析すべき物質が熱分解を起こさない程度の温度(約50℃以下)に低下できる分析管のイオン源を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、図2および図3に示すこの発明のイオン源は、下記の構造を有するイオン源である。
【0007】
▲1▼フィラメント11及びフィラメントマウント12を、エレクトロンリペラ13で覆う。
【0008】
▲2▼フィラメントマウント12、エレクトロンリペラ13、グリッド14、イオン化室15、及びエレクトロンコレクタ16等を、熱伝導率の優れた絶縁物17を介してアルミニウムフランジ18などの熱伝導率の優れた金属フランジに固定する。
【0009】
即ち本願が提案する発明は、フィラメントマウントで支持されたフィラメント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタを構成する電極を配置してなる質量分析計における分析管のイオン源において、フィラメントマウント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタの構成電極が熱伝導率の優れた絶縁物を介して熱伝導率の優れた金属フランジに固定されていることを特徴とする質量分析計における分析管のイオン源である。
【0010】
また、本願が提案する他の発明は、フィラメントマウントで支持されたフィラメント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタを構成する電極を配置してなる質量分析計における分析管のイオン源において、前記フィラメントおよびフィラメントマウントがエレクトロンリペラ構成電極で覆われていると共に、フィラメントマウント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタの構成電極が熱伝導率の優れた絶縁物を介して熱伝導率の優れた金属フランジに固定されていることを特徴とする質量分析計における分析管のイオン源である。
【0011】
前記において、熱伝導率の優れた絶縁物としては、セラミック、樹脂が使用可能である。
【0012】
また熱伝導率の優れた金属フランジとしては、アルミニウム(合金を含む)フランジ、銅(合金を含む)フランジが使用可能である。
【0013】
【作用】
この発明の質量分析計における分析管のイオン源によれば以下の如くの作用がある。
【0014】
フィラメントマウント12、エレクトロンリペラ13、グリッド14、イオン化室15、及びエレクトロンコレクタ16等を、熱伝導率の優れた絶縁物17を介して熱伝導率の優れた金属フランジに固定することにより、各部品で発生した熱を速やかに大気中に逃がし、イオン化室を含む各部品の温度を下げることができ、分析すべき物質が熱分解してしまうことを防ぐことができる。
【0015】
フィラメント11及びフィラメントマウント12を、エレクトロンリペラ13で覆うことにより、フィラメント11からの輻射熱や熱電子の拡散によって、グリッド14、イオン化室15が熱っせられることを防ぐことができ、分析すべき物質が熱分解してしまうことを防ぐことができる。
そこで、フィラメントおよびフィラメントマウントをエレクトロンリペラ構成電極で覆うと共に、フィラメントマウント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタの構成電極を熱伝導率の優れた絶縁物を介して熱伝導率の優れた金属フランジに固定することにより、分析すべき物質が熱分解してしまうことを防ぐ効果が重畳される。
【0016】
【実施例】
図1はこの発明のイオン源の一実施例を装着した質量分析計の分析管の構成図を図示したもので、1はイオン源、2は分析部、3はイオン検出部である。
【0017】
イオン源1の詳細を図2(断面図)および図3(側面図)に示した。11はフィラメント、12はフィラメントマウント、13はエレクトロンリペラ、14はグリッド、15はイオン化室、16はエレクトロンコレクタ、17は熱伝導率の優れた絶縁物(本実施例ではセラミック)、18はアルミニウムフランジである。なお、19はセラミック、20はイオンフォーカス、21はエレクトロンサプレッサ、22はイオン源ステム、23は分析部の四重極ロッドである。
【0018】
これらを動作するには、アルミニウムフランジ18を真空容器に接続することによりイオン源を真空容器内に配置し、真空容器を真空排気する。
【0019】
次にフィラメントマウント12、エレクトロンリペラ13、グリッド14、イオン化室15、エレクトロンコレクタ16、イオンフォーカス20、エレクトロンサプレッサ21、四重極ロッド23の各部品を電源装置に結線し、所定の電流・電圧を印加する。
【0020】
図1・図2・図3に示したような実施例の構造は、以下のような作用をする。
【0021】
▲1▼フィラメント11及びフィラメントマウント12を、エレクトロンリペラ13で覆うことにより、フィラメント11からの熱輻射や熱電子の拡散によって、グリッド14、イオン化室15が熱っせられることを防ぐことができ、
分析すべき物質が熱分解してしまうことを防ぐことができる。
【0022】
▲2▼フィラメントマウント12、エレクトロンリペラ13、グリッド14、イオン化室15、及びエレクトロンコレクタ16を、熱伝導率100[W/m・K]以上の絶縁物(実施例ではセラミック)17を介してアルミニウムフランジ18に固定することにより、各部品で発生した熱をアルミニウムフランジ18を通して速やかに大気中に逃がし、イオン化室を含む各部品の温度を下げることができ、分析すべき物質が熱分解してしまうことを防ぐことができる。
【0023】
なお、図2で示したイオン源のイオン化室15のA点とB点の温度は、下記の表1の通りであった。
【0024】
【表1】
【0025】
イオン化室15の側壁を低温に維持できることが確認できた。またエミッション電流を増加しても大きな温度上昇が起らないことも確認できた。
【0026】
尚、フィラメント11及びフィラメントマウント12を、エレクトロンリペラ13で覆うことにより、熱電子を効率良くイオン化室に導くことができ、イオン化効率を上げることができる。
【0027】
【発明の効果】
この発明によれば、フィラメントからの輻射熱や熱電子の拡散を防ぐために、また、イオン源内で発生する熱を効率よく放熱するために構造を改良したので、イオン化室15の温度を低温に維持することができる。このことによって、分析すべき物質が熱分解を起こさない分析管のイオン源を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を装着した分析管の断面概略図。
【図2】同じく実施例の断面図。
【図3】同じく実施例の平面図。
【図4】従来のイオン源を装着した分析管の断面概略図。
【図5】同じく従来のイオン源の断面図。
【図6】同じく従来のイオン源の平面図。
【符号の説明】
1 イオン源
2 分析部
3 イオン検出部
11 フィラメント
12 フィラメントマウント
13 エレクトロンリペラ
14 グリッド
15 イオン化室
16 エレクトロンコレクタ
17 絶縁物
18 アルミニウムフランジ
19 セラミック
20 イオンフォーカス
21 エレクトロンサプレッサ
22 イオン源ステム
23 四重極ロッド
Claims (2)
- フィラメントマウントで支持されたフィラメント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタを構成する電極を配置してなる質量分析計における分析管のイオン源において、フィラメントマウント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタの構成電極が熱伝導率の優れた絶縁物を介して熱伝導率の優れた金属フランジに固定されていることを特徴とする質量分析計における分析管のイオン源。
- フィラメントマウントで支持されたフィラメント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタを構成する電極を配置してなる質量分析計における分析管のイオン源において、前記フィラメントおよびフィラメントマウントがエレクトロンリペラ構成電極で覆われていると共に、フィラメントマウント並びにエレクトロンリペラ、グリッド、イオン化室およびエレクトロンコレクタの構成電極が熱伝導率の優れた絶縁物を介して熱伝導率の優れた金属フランジに固定されていることを特徴とする質量分析計における分析管のイオン源。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00486394A JP3548968B2 (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | 質量分析計における分析管のイオン源 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00486394A JP3548968B2 (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | 質量分析計における分析管のイオン源 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07211283A JPH07211283A (ja) | 1995-08-11 |
JP3548968B2 true JP3548968B2 (ja) | 2004-08-04 |
Family
ID=11595516
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00486394A Expired - Lifetime JP3548968B2 (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | 質量分析計における分析管のイオン源 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3548968B2 (ja) |
-
1994
- 1994-01-20 JP JP00486394A patent/JP3548968B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07211283A (ja) | 1995-08-11 |
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