JPH07209464A - 軽水炉用核燃料 - Google Patents

軽水炉用核燃料

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JPH07209464A
JPH07209464A JP6017737A JP1773794A JPH07209464A JP H07209464 A JPH07209464 A JP H07209464A JP 6017737 A JP6017737 A JP 6017737A JP 1773794 A JP1773794 A JP 1773794A JP H07209464 A JPH07209464 A JP H07209464A
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JP
Japan
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fuel
light water
nuclear fuel
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JP6017737A
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Yasuyoshi Gunji
康義 軍司
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Nuclear Fuel Industries Ltd
Original Assignee
Nuclear Fuel Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高燃焼度が得られ、LOCA時等の事故にお
いても燃料温度が極めて低くなって安全性が向上でき、
再処理時の負担が軽くなり、柔軟な炉心設計が可能とな
る等の従来のPWR又はBWR用燃料にない優れた特徴
を有する軽水炉用核燃料を得る。 【構成】 被覆粒子燃料10を用いた軽水炉用核燃料であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えば沸騰水型と加圧水
型のように、減速材として、また冷却用に軽水を利用し
ている軽水炉用の核燃料に関し、特に、被覆粒子燃料を
用いた軽水炉用核燃料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軽水炉とは、減速材として軽水を利用し
ている低濃縮二酸化ウラン(UO2 )燃料や酸化プルト
ニウムとの混合酸化物燃料を用いる原子炉であり、沸騰
水型原子炉(以下、BWRと記す)と、加圧水型原子炉
(以下、PWRと記す)とがある。
【0003】現在、原子炉の主流である軽水炉の燃料
は、二酸化ウラン等の核燃料を直径約1cmの円柱ペレ
ット状にしたものを金属製の被覆管(ジルカロイ材)で
覆って封入して燃料棒とし、これを束ねて集合体にし、
被覆管の外側に冷却材(水)の流路を設けたものが使用
されている。
【0004】このような燃料は中心温度が高くなり、核
分裂によって生成するFP(fissionproduct) ガスの放
出量が増えるので、燃料棒の内圧制限から燃焼度が高く
設定できず、高々50〜60GWd/t程度である。また、
冷却材喪失事故(LOCA)時には、被覆管温度が1200
℃以下とするような緊急炉心冷却装置(ECCS)系を
備えることが必要である。
【0005】具体的には、従来のペレット状核燃料を被
覆管で封入した燃料棒の持つ欠点としては、(a) 高燃焼
度化,(b) 事故の安全性,(c) 廃棄物の問題が挙げられ
ている。個々の問題点は以下の通りである。
【0006】(a) 高燃焼度化 核燃料の有効利用を図るために高燃焼度化を行う場合、
燃料棒を細径化して本数を増やし、燃料棒単位長さ当た
りの出力(W/cm)を下げる方法が一般的に行われて
いる。これにより、燃料温度が低くなり、FPガス放出
量も低下するため、高燃焼度でも燃料棒内圧が設計値以
下に抑えることができる。例えば、BWR用燃料集合体
の場合、7×7から8×8、更に、9×9へと燃料棒本
数を増やしている。
【0007】ところが、この方法で単位長さ当たりの出
力を下げようとすると、使用するジルカロイが増えるこ
とになり、使用済み燃料集合体からの放射性廃棄物の増
加を招く等の欠点がある。また、相対的に被覆管の直径
も小さくなるので、集合体設計や製造が難しくなる。従
って、燃料本数を増やして高燃焼度化を目指す方法には
限界があった。
【0008】(b) 事故の安全性 現行の燃料形態では、二酸化ウランの熱伝導度が低いた
め、燃料中心温度が高くなり、FPガス放出量も増加す
るので、高燃焼度になるにつれて燃料棒内に放出される
FPガス量が増える。このため、燃料棒が破損した場合
の外部放出放射能が大きい。
【0009】また、原子炉の圧力バウンダリが破損し、
炉心の冷却材が喪失するような冷却材喪失事故(LOC
A)を想定した場合、被覆管温度が上昇する。このよう
な事故時でも被覆管最高温度が制限値(1200℃)を越え
ないように、大掛かりな緊急炉心冷却装置(ECCS)
が設けられている。
【0010】(c) 廃棄物としての被覆管 原子炉から取出された燃料要素は、燃料ペレットを分離
するため再処理工程での被覆管切断作業を必要とする。
これは再処理工程の増加やコストの増加を招く。また、
切断された被覆管は放射性廃棄物として処分されるが、
燃料要素に使用する被覆管の増大は、放射性廃棄物の容
量増加を招き、核燃料サイクルのコストの増大につなが
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】一方、燃料を含む炉心
構造を黒鉛で作り、ヘリウム等の気体を冷却材として高
い出口温度の冷却材を取出せるように設計された原子炉
として、高温ガス冷却炉がある。この炉では、直径1mm
以下の粒子状燃料核を数層の炭素やケイ素等で被覆した
被覆粒子燃料が用いられていて、燃料温度が低く高燃焼
度が達成できる。現在運転中のものには、ペブルベッド
型の燃料を用いたAVR炉、プリズム型の燃料要素を用
いたフォート・セント・ヴレイン(Fort St.Vrain) 炉等
がある。
【0012】本発明は、例えば高燃焼度が得られ、LO
CA時等の事故においても燃料温度が極めて低くなって
安全性が向上できる高く、再処理時の負担が軽くなり、
柔軟な炉心設計が可能となる等の従来のPWR又はBW
R用燃料にない優れた特徴を有する軽水炉用核燃料を得
ることを目的とし、更に、これらに加えて、高い温度で
の運転が可能となり、従来から用いられているPWRや
BWR炉心の設計的な変更を行わずに用いることがで
き、燃料の装荷及び離脱を簡便に行うことができ、冷却
効率又は放熱性能が更に向上され、熱出力の平坦化が図
れ、熱応力が緩和される等の優れた特徴を有する軽水炉
用核燃料を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載の発明
に係る軽水炉用核燃料では、被覆粒子燃料を用いたもの
である。
【0014】本請求項2に記載の発明に係る軽水炉用核
燃料では、請求項1に記載の軽水炉用核燃料において、
前記被覆粒子燃料が、核燃料焼結球と該核燃料焼結球を
被覆した1層以上の無機材料製の被覆層とを備えた被覆
燃料粒子を有したものである。
【0015】本請求項3に記載の発明に係る軽水炉用核
燃料では、請求項2に記載の軽水炉用核燃料において、
前記被覆燃料粒子が、直径 0.3mm〜1.2 mmの核燃料
焼結球と、該核燃料焼結球を被覆するスェリング吸収や
FPガス溜めとしての低密度熱分解炭素層と、該低密度
熱分解炭素層を被覆する気体状FP保持層としての高密
度熱分解炭素層と、該高密度熱分解炭素層を被覆する固
体状FPのバリアーとしての炭化ケイ素層と、該炭化ケ
イ素層を被覆する炭化ケイ素層の保護のための高密度熱
分解炭素層とを備えたものである。
【0016】本請求項4に記載の発明に係る軽水炉用核
燃料では、請求項2に記載の軽水炉用核燃料において、
前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
中に分散させた球状成形体からなり、該球状成形体がチ
ャンネルボックス内に充填されてなるものである。
【0017】本請求項5に記載の発明に係る軽水炉用核
燃料では、請求項2に記載の軽水炉用核燃料において、
前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
中に分散させた中空成形体からなり、該中空成形体が金
属製又は黒鉛製の筒内に装填されてなるものである。
【0018】本請求項6に記載の発明に係る軽水炉用核
燃料では、請求項2に記載の軽水炉用核燃料において、
前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
中に分散させたチャンネルボックス型の成形体からな
り、該チャンネルボックス型の成形体が冷却材の流通孔
を穿設されてなるものである。
【0019】本請求項7に記載の発明に係る軽水炉用核
燃料では、請求項2に記載の軽水炉用核燃料において、
前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
中に分散させた柱状の成形体からなり、該柱状の成形体
が冷却材を流通する多数の流通孔を側壁部に備えた金属
製筒内に装填されてなるものである。
【0020】本請求項8に記載の発明に係る軽水炉用核
燃料では、請求項2に記載の軽水炉用核燃料において、
前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
中に分散させた筒状の成形体からなり、該筒状の成形体
が冷却材を流通する多数の流通孔を側壁部に備えた金属
製外筒と冷却材が流通する多数の流通孔を側壁部に備え
た金属製内筒との間に装填されてなるものである。
【0021】本請求項9に記載の発明に係る軽水炉用核
燃料では、請求項2に記載の軽水炉用核燃料において、
前記被覆粒子燃料が、前記被覆燃料粒子をマトリックス
中に分散させたロッド状成形体からなり、該ロッド状成
形体がチャンネルボックス内に装填されてなるものであ
る。
【0022】
【作用】本発明においては、被覆粒子燃料を用いた軽水
炉用核燃料である。このため、高燃焼度が得られ、LO
CA等の事故においても燃料温度が極めて低くなって安
全性が向上できる。また、再処理時の負担が軽くなり、
柔軟な炉心設計が可能となる。
【0023】何故なら、ペレット状の核燃料を金属製の
被覆管で覆って封入するものでないため、熱伝導度が高
くなり、燃料中心温度を低くすることができる。このた
め、高燃焼度が達成できる。また、被覆粒子燃料を用い
るため、FPガス放出量も減少し、LOCA等の事故時
の安全性も向上させることができる。更に、被覆粒子燃
料は、焙焼して被覆層を除去することができるため、再
処理時の負担が軽くなる。また、具体的に後述するよう
に、被覆粒子燃料を種々の形状・形態として炉心に装荷
できるため、柔軟な炉心設計が可能となる。
【0024】本発明の軽水炉で用いる被覆粒子燃料とし
ては、高温ガス冷却炉で用いることのできる被覆粒子燃
料や、それを基にして改良した被覆粒子燃料を用いるこ
とができる。
【0025】具体的な被覆粒子燃料としては、核燃料焼
結球と,該核燃料焼結球を被覆した1層以上の無機材料
製の被覆層とを備えた被覆燃料粒子を有したものを用い
ることができる。例えば、ウラン燃料やプルトニウムと
の混合酸化物燃料よりなる核燃料焼結球に、熱分解炭素
やケイ素等の無機材料製の被覆層を被覆した被覆燃料粒
子を用いることが可能である。
【0026】従って、材料が全て炭素等の無機材料であ
るため、熱伝導度が高く、更に、例えば1000℃以上の高
温(炭素の融点は3500℃)に耐えることができる。具体
的には、二酸化ウラン等の核燃料焼結球を包む熱伝導の
よい炭素やケイ素等の無機材料の被覆層を熱が伝わるの
で、燃料コンパクトで1つの物質と見たみかけの熱伝導
度は、例えば、二酸化ウランでは、ペレット状の核燃料
の熱伝導度の10倍以上になり、燃料温度が低くなる。
具体的には、例えば、軽水炉の平均線出力密度(W/c
m)に対し、二酸化ウランペレットの中心温度が1800℃
であるのに対し、被覆粒子燃料を用いた場合には 550℃
以下と、1000℃以上低い値となる。
【0027】更に、熱伝導度が高いため、燃料中心温度
を低くすることができ、高い温度での運転が可能とな
る。このため、高い燃焼効率での運転が可能となる。具
体的には、この被覆粒子燃料を用いた原子炉では、例え
ば 200GWd/t程度又はそれ以上の燃焼度まで達成可
能であり、更に後述するように燃料温度を抑制できるの
で、更に高い燃焼度の達成が可能である。
【0028】更に、個々の核燃料焼結球は炭素やケイ素
等の無機材料で被覆されており、燃焼にともない発生す
るFPガスはこの被覆層内に閉じ込められる。従って、
例えLOCAのような事故時の安全性が向上される。ま
た、再処理時の負担が軽くなること、及び柔軟な炉心設
計が可能となることは前述の通りである。
【0029】具体的な好ましい被覆燃料粒子としては、
二酸化ウラン、窒化ウラン、炭化ウランの核燃料焼結球
に、炭素、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム等で2〜4層
に被覆した被覆燃料粒子を用いることができる。
【0030】更に具体的には、直径 0.3mm〜1.2 mm
の核燃料焼結球と、該核燃料焼結球を被覆するスェリン
グ吸収やFPガス溜めとしての低密度熱分解炭素層と、
該低密度熱分解炭素層を被覆する気体状FP保持層とし
ての高密度熱分解炭素層と、該高密度熱分解炭素層を被
覆する固体状FPのバリアーとしての炭化ケイ素層と、
該炭化ケイ素層を被覆する炭化ケイ素層の保護のための
高密度熱分解炭素層とを備えたものがある。
【0031】即ち、核燃料焼結球を被覆する第1層には
燃料核のスェリング吸収やFPガス溜めとしての低密度
熱分解炭素層を、第2層には気体状FP保持層としての
高密度熱分解炭素層を、第3層には固体状FPのバリア
ーとしての炭化ケイ素層を、第4層には炭化ケイ素層の
保護のための高密度熱分解炭素層を設けてある。
【0032】本発明の軽水炉用核燃料に用いる被覆粒子
燃料は、前述の被覆燃料粒子をマトリックスで種々の形
状,形態に固めて燃料コンパクトとし、これを種々の形
態で炉心に装荷するものである。即ち、被覆燃料粒子を
マトリックス中に分散して、一定形状に成形加工して燃
料コンパクトとして炉心に装荷する。また、場合によっ
ては、この燃料コンパクトを炉心に装荷可能な燃料形態
に加工して用いる。
【0033】尚、マトリックスとしては、(1) 熱伝導性
のよいこと、(2) 粒子とマトリックスとの結合が適度で
被覆層に損傷を与えないこと、(3) 黒鉛スリーブとの相
互作用がないこと、(4) 冷却材中の不純物と粒子の反応
を防止すること、(5) FPの拡散障壁となること等の要
求から、黒鉛,カーボン,AlN(アルミ・ナイトライ
ド)等が良好であるが、前述の(1) 〜(5) の特徴の全て
に優れた黒鉛が最も好ましい。
【0034】尚、本発明の軽水炉用核燃料に用いる被覆
粒子燃料は、マトリックスに黒鉛を使用した場合には、
黒鉛と水蒸気の反応を避けるために、燃料コンパクトの
表面に黒鉛と水蒸気の反応を阻害する被膜成形が形成さ
れることもある。好ましくは、熱伝導製が高く、処理操
作の容易なAl2O3, SiC, TiO2, ZrO2等からなるセラミッ
クコーティング処理等の加工を行う。
【0035】さて、具体的な被覆粒子燃料を原子炉に装
荷する場合の燃料形態・燃料形状としては、種々の形態
・形状の被覆粒子燃料がある。その具体例として後述の
ものが挙げられるが、これら具体例に限らず、種々の変
更が可能である。
【0036】先ず第1の具体例として、被覆粒子燃料
は、前記被覆燃料粒子をマトリックス中に分散させた球
状成形体からなり、該球状成形体がチャンネルボックス
内に充填されてなるものである。即ち、被覆燃料粒子を
黒鉛マトリックス中に分散させて直径 1.0〜3.0 cm程
度の球状に成形した被覆粒子燃料を、BWRで用いられ
るチャンネルボックス内に充填し、球と球の隙間を冷却
材が流れるようにしたものである。
【0037】この第1の被覆粒子燃料では、従来の原子
炉炉心の設計的変更を行わずとも、本被覆粒子燃料を装
荷でき、燃焼度の効率を向上させ、安全性を向上させる
ことができる。また、球状であるので、冷却効果が向上
し、高い効率の燃焼を行うことができる。尚、球状成形
体の外面部は、前述の黒鉛と水蒸気の反応を阻害するセ
ラミックコーティング処理を行う。
【0038】第2の具体例として、被覆粒子燃料は、前
記被覆燃料粒子をマトリックス中に分散させた中空成形
体からなり、該中空成形体が金属製又は黒鉛製の筒内に
装填されてなるものである。即ち、この被覆粒子燃料で
は、被覆燃料粒子を黒鉛マトリックス中に分散させて内
部が中空となった中空成形体を、金属製又は黒鉛製の筒
に装填したものである。冷却材は金属製又は黒鉛製の筒
の外側を流れる。
【0039】また、この第2の被覆粒子燃料は、通常の
BWR又はPWR等で用いられる燃料棒の形態を用いる
ものであるため、従来の原子炉の設計的変更を行わずと
も本燃料を装荷することができる。また、内部の中空部
には冷却材は流れないが、中空部とすることにより被覆
燃料粒子が発する熱が内部にこもらない特徴を有する。
また、内部が中空であるため、熱出力の平坦化が図れ、
熱応力の緩和等の特徴も有する。
【0040】第3の具体例として、被覆粒子燃料は、前
記被覆燃料粒子をマトリックス中に分散させたチャンネ
ルボックス型の成形体からなり、このチャンネルボック
ス型の成形体には冷却材の流通孔が穿設されているもの
である。即ち、この第3の被覆粒子燃料は、通常のBW
R又はPWRで用いる燃料集合体に相当する空間領域を
満たすように成形体を加工するものである。
【0041】これによって、従来の原子炉の設計的変更
を行わずとも本第3の被覆粒子燃料を装荷することがで
きる。また、通常は一本一本の燃料棒を装荷,離脱を行
っていたが、燃料集合体に相当する本第3の被覆粒子燃
料を装荷,離脱すればよく、この操作が容易になる。
尚、冷却材は成形体に穿設された流通孔を通り、燃料が
発する熱を奪う。この流通孔の孔径,数等は本成形体の
発熱量によって種々に変更して、最適なものとする。
【0042】第4の具体例として、被覆粒子燃料は、前
記被覆燃料粒子をマトリックス中に分散させた柱状の成
形体からなり、該柱状の成形体が冷却材を流通する多数
の流通孔を側壁部に備えた金属製筒内に装填されてなる
ものである。即ち、この第4の被覆粒子燃料は、細かい
メッシュ等の多数の流通孔を持った金属製筒の中に燃料
コンパクトを装荷するものである。
【0043】冷却材は多数の流通孔から第4の被覆粒子
燃料に接触し、この被覆粒子燃料の熱を奪う。この第4
の被覆粒子燃料では、成形体の作成が容易で、流通孔を
備えた金属製筒が放熱体となって熱交換性が向上する。
尚、金属製筒の横方向から冷却材を流すように配置する
と熱交換性が更に向上する。
【0044】第5の具体例として、被覆粒子燃料は前記
被覆燃料粒子をマトリックス中に分散させた筒状の成形
体からなり、該筒状の成形体が冷却材を流通する多数の
流通孔を側壁部に備えた金属製外筒と冷却材が流通する
多数の流通孔を側壁部に備えた金属製内筒との間に装填
されてなるものである。
【0045】即ち、この第5の被覆粒子燃料は、前述の
第4の被覆粒子燃料を更に改良したものであり、冷却材
と被覆粒子燃料との熱交換性を向上させるために、冷却
材が流れる金属製内筒の中空流路を設ける。冷却材は金
属外筒の表面と金属内筒の表面とを流れ、熱交換性を更
に向上させる。
【0046】第6の具体例として、被覆粒子燃料は、前
記被覆燃料粒子をマトリックス中に分散させたロッド状
成形体からなり、該ロッド状成形体がチャンネルボック
ス内に装填されてなるものである。即ち、この第6の被
覆粒子燃料は、従来のBWR又はPWR用の燃料棒に相
当するロッド形状に成形体を成形し、通常の燃料棒と同
様に燃料集合体に装荷させるものである。これによっ
て、従来の原子炉を何の設計的変更、装荷・離脱の操作
的変更を加えずとも、効率のよい運転を行うことができ
る。
【0047】以上、具体的に第1〜第6の被覆粒子燃料
に示したように、種々の燃料要素の形状・形態とするこ
とができ、熱・機械設計の面で裕度が増し、柔軟な炉心
設計が可能となる。
【0048】
【実施例】図1は本発明の軽水炉用核燃料に用いられる
被覆燃料粒子の一実施例の構成を示す説明図である。一
部を切り欠いた図に示す通り、被覆燃料粒子(10)は、核
燃料焼結球(11)を中心として、低密度熱分解炭素層(12)
と、高密度熱分解炭素層(13)と、炭化ケイ素層(14)と、
高密度熱分解炭素層(15)との各層を順に被覆してなる。
【0049】具体的には、核燃料焼結球(11)は、直径
0.3mm〜1.2 mmの二酸化ウランの核燃料焼結体から
なる。核燃料としては、二酸化ウラン以外にも、窒化ウ
ラン、炭化ウラン等のウラン燃料が用いられ、更に、ウ
ラン燃料とプルトニウムとの混合酸化物燃料も用いるこ
とができる。
【0050】核燃料焼結球(11)を被覆する第1被覆層の
低密度熱分解炭素層(12)は、低密度熱分解炭素からなる
比較的柔らかい被覆層であり、核燃料焼結球(11)と第2
被覆層の高密度熱分解炭素層(13)の緩衝層として機能す
る。また、スェリング吸収やFPガス溜めとしても機能
する。第2被覆層の高密度熱分解炭素層(13)は、高密度
熱分解炭素からなる緻密な被覆層であり、気体状FPを
保持する層として機能する。
【0051】更に、第3被覆層の炭化ケイ素層(14)は、
炭化ケイ素からなる堅牢な被覆層であり、固体状FPの
バリアーとして機能する。第4被覆層の高密度熱分解炭
素層(15)は、第2被覆層と同じく緻密な被覆層であり、
堅牢であるが脆い炭化ケイ素層(14)の保護として機能す
る。
【0052】尚、最も簡略な被覆燃料粒子の構成として
は、被覆層を低密度熱分解炭素からなる比較的柔らかい
低密度熱分解炭素層(12)の第1被覆層と、高密度熱分解
炭素からなる緻密な高密度熱分解炭素層(13)の第2被覆
層との2層構造としたものがある。また、これらの被覆
燃料粒子の製造には、高圧ガス冷却炉で用いる被覆燃料
粒子の製造方法を用いることができる。具体的には、粉
末冶金法と湿式法とがあるが、後者の方が多く用いられ
る。
【0053】この被覆燃料粒子を用いて被覆粒子燃料を
構成する。図2は本発明の軽水炉用核燃料の一実施例の
構成を示す説明図である。図は燃料の横断面を示し、一
部を切り欠いている。図において、被覆燃料粒子(10)を
黒鉛マトリックス(21)中に分散させて直径 1.0〜3.0 c
m程度の球状に成形した被覆粒子燃料(22)を得た。尚、
被覆粒子燃料(22)の外面部はセラミックコーティング処
理によってセラミックコーティング層(23)が設けられて
いる。
【0054】この被覆粒子燃料(22)を沸騰水型原子炉に
用いられるチャンネルボックス(24)内に装填し、沸騰水
型燃料として使用する。尚、冷却材は、被覆粒子燃料(2
2)間を流れる。また、 235U等の燃料の装荷量は従来の
BWR用燃料と同様とし、炉心熱出力も従来のBWRと
同じとした。
【0055】図3は本発明の軽水炉用核燃料の別の実施
例の構成を示す説明図である。横断面図に示す通り、被
覆燃料粒子(10)を黒鉛マトリックス(31)中に分散させて
中心軸に沿って中空部(35)が形成された筒状の成形体(3
2') を得た。この成形体(32') を、金属製の筒(34)に装
填して被覆粒子燃料(32)を得た。尚、(36)は制御棒案内
管である。
【0056】この被覆粒子燃料(32)では、冷却材は金属
又は黒鉛の筒の外側を流れる。内部の中空部(35)には冷
却材は流れないが、中空部(35)とすることにより被覆燃
料粒子(10)が発する熱が内部にこもらず、熱出力の平坦
化が図れ、熱応力を緩和する等の特徴を有する。
【0057】尚、この被覆粒子燃料(32)は金属製の筒(3
4)に覆われているが、金属製以外にも黒鉛製の筒覆って
もよい。また、この被覆粒子燃料(32)は金属製の筒(34)
で覆っているため、直接的には冷却材とは接触しないの
でセラミックコーティング層の被覆は不要であるが、筒
(34)が破損した場合に備えてセラミックコーティング層
(33)を設けた。
【0058】図4は本発明の軽水炉用核燃料の更に別の
実施例の構成を示す説明図である。図に示す通り、被覆
燃料粒子(10)を黒鉛マトリックス(41)中に分散させて、
燃料集合体の外形の寸法に合わせて、角柱の成形体とし
た被覆粒子燃料(42)を得た。この被覆粒子燃料(42)の長
手方向には、冷却材の流通孔(44)が穿設されたている。
尚、被覆粒子燃料(42)の外面部はセラミックコーティン
グ処理によってセラミックコーティング層(43)が設けら
れている。
【0059】即ち、この被覆粒子燃料(42)は、通常のB
WR又はPWRで用いる燃料集合体に相当する空間領域
を満たすように成形体が加工される。冷却材は成形体の
外側及び穿設された流通孔(44)を通り、燃料が発する熱
を奪う。尚、流通孔(44)の孔径,数等は本成形体の発熱
量によって種々に変更して、最適なものとする。例え
ば、通常のBWRで用いる場合には、燃料に対する孔の
体積率を40〜50%とすることによって、通常のBWRと
同程度の冷却効率が得られる。
【0060】図5は本発明の軽水炉用核燃料の更に別の
実施例の構成を示す説明図である。横断面図に示す通
り、被覆燃料粒子(10)を黒鉛マトリックス(51)中に分散
させて柱状の成形体(52') を得た。尚、成形体(52') の
外面部はセラミックコーティング処理によってセラミッ
クコーティング層(53)が設けられている。この成形体(5
2') を細かいメッシュ孔(流通孔)が形成された筒状体
(54)の内部に装填して被覆粒子燃料(52)を得た。
【0061】即ち、細かいメッシュ孔の多数の流通孔を
持った金属製筒状体(54)の中に燃料コンパクトの成形体
(52') を装填する。冷却材は多数の流通孔から成形体(5
2')に接触して、被覆粒子燃料の熱を奪うだけでなく、
金属製筒状体(54)は、流通孔の分だけ比表面積が大きく
なり、金属製筒状体(54)が一種の放熱体として作用す
る。尚、本発明の被覆粒子燃料(52)は、金属製筒状体(5
4)の横方向から冷却材を流すように配置すると熱交換性
が向上する。
【0062】図6は本発明の軽水炉用核燃料の更に別の
実施例の構成を示す説明図である。横断面図に示す通
り、被覆燃料粒子(10)を黒鉛マトリックス(61)中に分散
させて、内部に中空流路(65)を備えた円筒状の成形体(6
2') を得た。尚、この成形体(62') の外面部及び中空流
路(65)壁面はセラミックコーティング処理によってセラ
ミックコーティング層(63)が設けられている。
【0063】この成形体(62') の外側壁及び中空流路(6
5)壁の各々に、細かいメッシュ孔(流通孔)が形成され
た外金属製筒状体(64)と内金属製筒状体(66)とを被覆し
て被覆粒子燃料(62)を得た。即ち、本発明の被覆粒子燃
料(62)は、図5に示す被覆粒子燃料(52)を改良したもの
であり、冷却材と被覆粒子燃料との熱交換性を向上させ
るために、冷却材が流れる金属製内筒の中空流路を設け
たものである。冷却材は金属製外筒の表面と金属製内筒
の表面とを流れ、熱交換性が更に向上したものである。
【0064】図7は本発明の軽水炉用核燃料の更に別の
実施例の構成を示す説明図である。図において、被覆燃
料粒子(10)を黒鉛マトリックス(71)中に分散させて、ロ
ッド形状の被覆粒子燃料(72)を得た。尚、被覆粒子燃料
(72)の外面部にはセラミックコーティング処理によって
セラミックコーティング層(73)が設けられている。
【0065】この被覆粒子燃料(72)は、BWR用の燃料
集合体に装荷される燃料棒と同様の外形・寸法を有し、
BWR用燃料集合体のチャンネルボックス(74)内に、装
填されるものである。即ち、本発明の被覆粒子燃料(72)
は従来のBWR用燃料棒に相当するロッド形状に成形体
を成形し、燃料集合体に装荷させるものである。図に示
す通り、本被覆粒子燃料(72)をBWR用の燃料棒と同様
の寸法にし、BWR用燃料集合体のチャンネルボックス
内に装填した。
【0066】尚、以上の各実施例で、黒鉛と水蒸気との
反応を阻害するために施されたセラミックコーティング
層としては、Al2O3, SiC, TiO2, ZrO2等が使用できる
が、これに限られるものではない。
【0067】以上のような種々の軽水炉用の被覆粒子燃
料について、従来の軽水炉用燃料と種々の特性を比較検
討した。図8は図2の被覆粒子燃料を用いた軽水炉(C
p−LWR)の水素対ウランの比による増倍係数の変化
を示す線図である。図において、横軸は水素と 235Uと
の原子個数密度比(N H/N 235U )、縦軸は無限増倍
係数(kinf)の変化を示す。尚、比較としてBWR用燃
料の水素対ウランの比による増倍係数の変化を示した。
【0068】一般に、軽水炉で用いる軽水は、冷却材と
しての役割の他に核的にみれば、出力(増倍係数、
kinf)を上昇させる「減速材」としての効果とkinfを低
下させる「吸収材」としての効果とを合わせ持つ。即
ち、核燃料に対して水の量が小さいと中性子の減速効果
が低くなり、kinfが小さくなる。また、水の量を増やし
ていくと、中性子の減速効果によりkinfが大きくなって
いくが、同時に水による中性子吸収が大きくなり、ある
点で、減速効果より吸収によるkinfの減少が大きくな
る。従って、水素と 235Uとの原子個数密度の割合を変
化させた場合のkinfの変化は上に凸な二次曲線となる。
【0069】一方、通常運転時を考えると、同じ出力を
得られるならばウラン量は少ない方がよいことになる。
従って、上に凸な二次曲線で言えば、山の頂点がその点
に当たる。また、事故などで冷却材が減少した場合に
は、原子炉の反応度が同じだと熱暴走するおそれがある
ので、原子炉の反応度が低下するか、原子炉が停止する
ように設計しなければならない。冷却材が少なくなるこ
とは冷却材の軽水中の水素が低下することを意味し、原
子炉の反応度低下・停止を行うためには増倍係数
(kinf)を下げればよい。
【0070】つまり、水素量の低下時にはkinfを低下す
るように設計する必要がある。従って、上に凸な二次曲
線では、水素量の低下時(左方向)にkinfを下げる(下
方向)範囲は、グラフが右上がりになる範囲となる。即
ち、アンダーモデレーションの領域で固有の安全性が確
保される。
【0071】以上のことより、最適減速領域(少ないウ
ラン量で出力を大きくとれて、冷却喪失事故時等にも安
全性が確保できる範囲)は二次曲線の山の左側になる
が、核設計の誤差等を考慮して、山の頂点より低めに設
定する必要がある。また、熱・機械設計等の裕度を考慮
して、ある程度広い範囲を設定する必要がある。
【0072】ところで以上のことを考慮すると、図8に
示す通り、BWR炉心と比べると冷却材ボイド係数の変
化は穏やかである。従って、最適減速領域の最大値は、
200(山のピーク,kinf=1.5 )で、最小値50(kinf
最大値より 0.1程度低くなる値)であるが、設計誤差等
を考慮して、これより狭い範囲を設計範囲として、水素
ウラン-235の原子個数密度の比の下限を50,好ましくは
70、上限を 200、好ましくは 170とすればよいことが判
った。
【0073】従って、本発明の軽水炉用燃料は、通常の
軽水炉用の燃料に比べて、高燃焼度が達成でき、またL
OCA時の安全性も向上させることができることが確認
された。
【0074】また、図9は図2の被覆粒子燃料を用いた
軽水炉の燃焼度による増倍係数の変化を示す線図であ
る。図において、横軸は燃焼度(GWd/t)、縦軸は
無限増倍係数(kinf)の変化を示す。図において、BW
R燃料集合体の取出す平均燃焼度を約35GWd/tとす
ると、Cp−LWRでは同一 235U量で約 100GWd/
tとなり、高燃焼度炉心化が可能である。
【0075】即ち、図9でのBWR燃料の燃焼度をみる
と、燃焼度が35Gd/tで、kinf=0.9 程度になる。こ
のときの燃焼による反応度損失はkinf=1.3 →0.9 で、
0.4になる。一方、Cp−LWRでは、0→35Gd/t
での反応度損失は、図からki nf=1.5 →1.28で0.22であ
る。
【0076】kinf=1.5 が0.9 になる燃焼度は、比例関
係から求めると、 ( 1.5 - 1.28 ):35= ( 1.5 - 0.9 ):x より、x≒95Gd/t、約 100GWd/tとなる。
【0077】尚、軽水炉に比べて、本発明のCp−LW
Rでは、 238Uから 239Puへの転換割合が高いので、
燃焼による反応度損失が小さく(BWRで0.4に対し
てCp−LWRで0.22)、ウラン量、水素量(冷却
材)及び炭素量の割合を適正化すれば、更に高燃焼度化
を図れる。
【0078】更に、図2に示した被覆粒子燃料を用いた
軽水炉用核燃料の熱水力特性をみた。図10は図2に示
した被覆粒子燃料の半径と燃料中心部温度との関係を示
す線図である。図において、横軸は出力密度(w/c
c)、縦軸は燃料中心温度(℃)である。図11は図2
に示した被覆粒子燃料の半径と表面熱流速の関係を示す
線図である。図において、横軸は出力密度(w/c
c)、縦軸は表面熱流速(w/cm2 )である。
【0079】図10に示す通り、BWRにおける燃料ペ
レットの最大体積出力密度約 500w/cc(線出力密度
(燃料棒単位当たりの出力)に換算すると 440w/c
m))に相当するペブルの体積出力密度は約 300w/c
cであり、この時の燃料最高温度は、ペブルの半径を
1.0cmとすると約 470℃、ペブルの半径が 1.5cmの
場合でも約 700℃であり、BWRの燃料最高温度 1,600
℃と比べて非常に低いことが確認できた。
【0080】一方、図11に示す通り、燃料表面熱流速
は、ペブルの半径を 1.0cmとすると約 100w/cm
2 、ペブルの半径が 1.5cmの場合でも 140w/cm2
であり、BWR燃料の最大表面熱流速の 110w/cm2
と同程度である。
【0081】以上のように、図2に示した被覆粒子燃料
は、被覆粒子燃料のみかけ上の熱伝導度は軽水炉の10倍
以上あり、1600℃でも燃料は健全であり、従来の燃料棒
に比べて高温まで耐える。従って、ECCS等の非常用
冷却系も簡略化できる等の優れた特性を有することが確
認できた。尚、図3〜図7に示した被覆粒子燃料につい
ても、同様に従来の軽水炉用燃料と比較して種々の良好
な特性を有することも確認できた。
【0082】以上により、本発明の軽水炉用被覆粒子燃
料は軽水炉に装荷された場合に、優れた特性をもって使
用できることが可能である。本発明の軽水炉用の被覆粒
子燃料の具体的な特性としては、以下のものがある。
【0083】1.従来の燃料での最大燃焼度は50GWd
/t程度であるが、被覆粒子燃料を用いることにより、
最高燃焼度は、例えば 200GWd/t以上とすることが
でき、燃料の有効利用が図れる。
【0084】2.従来の燃料に比べて燃料核の直径を小
さくできるので、燃料中心温度を低くすることができ
る。
【0085】3.従来の燃料棒を用いた燃料では、放出
されたFPガスは燃料棒内に閉じ込められている。万一
燃料棒が破損した場合は蓄積されたFPガスが外部に放
出する。これに対して被覆粒子燃料は、1本の燃料棒の
二酸化ウランを1012個の小球に分離し、一つ一つがF
Pガスを閉じ込める。従って、万一被覆層が破断しても
外部へ放出されるFP量は少なく、また炭素等の無機材
料を使用するため、高温まで健全性を保持できる。
【0086】4.被覆材に炭素を用いた場合は熱容量が
大きいので固有の安全性が高い炉心が成立する。
【0087】5.冷却材喪失事故(LOCA)を想定し
たとき、従来の燃料では、燃料ペレットの熱伝導度が低
いため燃料ペレットに熱が蓄積される。また、被覆管材
であるZrと水との反応により熱が発生し、被覆管温度
が上昇する。一方、被覆粒子燃料を用いると、みかけの
熱伝導率がよいので、温度上昇を低く抑えることができ
る。
【0088】6.従来の燃料では、燃料再処理時の被覆
管(ジルカロイ材)の切断処理にコストや時間がかか
り、また放射性廃棄物の量が多い。被覆管を使用しない
被覆粒子燃料炉心の場合、被覆層を焙焼することにより
炭素ガス等で除去することが可能であり、再処理時の負
荷が軽くなり、放射性廃棄物量が減少する。
【0089】7.種々の燃料要素の形状・形態とするこ
とができ、熱・機械設計の面で裕度が増し、柔軟な炉心
設計が可能となる。
【0090】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、被覆粒子
燃料を用いた軽水炉用核燃料である。このため、ペレッ
ト状の核燃料を金属製の被覆管で覆って封入するもので
ないため、熱伝導度が高くなり、燃料中心温度を低くす
ることができる。このため、高燃焼度が達成できる。ま
た、被覆粒子燃料を用いるため、FPガス放出量も減少
し、LOCA等の事故時の安全性も向上させることがで
きる。更に、被覆粒子燃料は、焙焼して被覆層を除去す
ることができるため、再処理時の負担が軽くなる。ま
た、具体的に後述するように、被覆粒子燃料を種々の形
状・形態として炉心に装荷できるため、柔軟な炉心設計
が可能となる。
【0091】具体的な被覆粒子燃料としては、核燃料焼
結球と,該核燃料焼結球を被覆した1層以上の無機材料
製の被覆層とを備えた被覆燃料粒子を有したものを用い
ることができる。従って、材料が全て炭素等の無機材料
であるため、熱伝導度が高く、更に、例えば1000℃以上
の高温(炭素の融点は3500℃)に耐えることができる。
更に、熱伝導度が高いため、燃料中心温度を低くするこ
とができ、高い温度での運転が可能となる。このため、
更に高い燃焼効率での運転が可能となる。
【0092】また、具体的な被覆燃料粒子としては、直
径 0.3mm〜1.2 mmの核燃料焼結球と、該核燃料焼結
球を被覆するスェリング吸収やFPガス溜めとしての低
密度熱分解炭素層と、該低密度熱分解炭素層を被覆する
気体状FP保持層としての高密度熱分解炭素層と、該高
密度熱分解炭素層を被覆する固体状FPのバリアーとし
ての炭化ケイ素層と、該炭化ケイ素層を被覆する炭化ケ
イ素層の保護のための高密度熱分解炭素層とを備えたも
のがある。これらの被覆燃料粒子の製造には、高圧ガス
冷却炉で用いる被覆燃料粒子の製造方法を用いることが
できる。
【0093】具体的な第1の被覆粒子燃料は、前記被覆
燃料粒子をマトリックス中に分散させた球状成形体から
なり、該球状成形体がチャンネルボックス内に充填され
てなるものであるため、従来の原子炉炉心の設計的変更
を行わずとも、本燃料を装荷でき、燃焼度の効率を向上
させ、安全性を向上させることができる。また、球状で
あるので、冷却効果が向上し、高い効率の燃焼を行うこ
とができる。
【0094】また、第2の被覆粒子燃料は、前記被覆燃
料粒子をマトリックス中に分散させた中空成形体からな
り、該中空成形体が金属製又は黒鉛製の筒内に装填され
てなるものであるため、従来の原子炉の設計的変更を行
わずとも本燃料を装荷することができる。また、内部の
中空部には冷却材は流れないが、中空部とすることによ
り被覆燃料粒子が発する熱が内部にこもらない特徴を有
する。また、内部が中空であるため、熱出力の平坦化が
図れ、熱応力の緩和等の特徴も有する。
【0095】更に、第3の被覆粒子燃料は、前記被覆燃
料粒子をマトリックス中に分散させたチャンネルボック
ス型の成形体からなり、このチャンネルボックス型の成
形体には冷却材の流通孔が穿設されているものであるた
め、従来の原子炉の設計的変更を行わずとも本燃料を装
荷することができる。また、通常は一本一本の燃料棒を
装荷,離脱を行っていたが、燃料集合体に相当する本燃
料を装荷,離脱すればよく、この操作が容易になる。
【0096】また、第4の被覆粒子燃料は、前記被覆燃
料粒子をマトリックス中に分散させた柱状の成形体から
なり、該柱状の成形体が冷却材を流通する多数の流通孔
を側壁部に備えた金属製筒内に装填されてなるものであ
るため、成形体の作成が容易で、流通孔を備えた金属製
筒が放熱体となって熱交換性が向上する。
【0097】更に、第5の被覆粒子燃料は前記被覆燃料
粒子をマトリックス中に分散させた筒状の成形体からな
り、該筒状の成形体が冷却材を流通する多数の流通孔を
側壁部に備えた金属製外筒と冷却材が流通する多数の流
通孔を側壁部に備えた金属製内筒との間に装填されてな
るものであるため、冷却材は金属外筒の表面と金属内筒
の表面とを流れ、熱交換性を更に第4の被覆粒子燃料よ
りも向上させる。
【0098】また、第6の被覆粒子燃料は、前記被覆燃
料粒子をマトリックス中に分散させたロッド状成形体か
らなり、該ロッド状成形体がチャンネルボックス内に装
填されてなるものであるため、従来の原子炉を何の設計
的変更、装荷・離脱の操作的変更を加えずとも、効率の
よい運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軽水炉用核燃料に用いられる被覆燃料
粒子の一実施例の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の軽水炉用核燃料の一実施例の構成を示
す説明図である。
【図3】本発明の軽水炉用核燃料の別の実施例の構成を
示す説明図である。
【図4】本発明の軽水炉用核燃料の更に別の実施例の構
成を示す説明図である。
【図5】本発明の軽水炉用核燃料の更に別の実施例の構
成を示す説明図である。
【図6】本発明の軽水炉用核燃料の更に別の実施例の構
成を示す説明図である。
【図7】本発明の軽水炉用核燃料の更に別の実施例の構
成を示す説明図である。
【図8】図2の被覆粒子燃料を用いた軽水炉(Cp−L
WR)の水素対ウランの比による増倍係数の変化を示す
線図である。
【図9】図2の被覆粒子燃料を用いた軽水炉の燃焼度に
よる増倍係数の変化を示す線図である。
【図10】図2に示した被覆粒子燃料の半径と燃料中心
部温度との関係を示す線図である。
【図11】図2に示した被覆粒子燃料の半径と表面熱流
速の関係を示す線図である。
【符号の説明】
(10)…被覆燃料粒子、 (11)…核燃料焼結球、 (12)…低密度熱分解炭素層、 (13)…高密度熱分解炭素層、 (14)…炭化ケイ素層、 (15)…高密度熱分解炭素層、 (21)(31)(41)(51)(61)(71)…黒鉛マトリックス、 (22)(32)(42)(52)(62)(72)…被覆粒子燃料、 (23)(33)(43)(53)(63)(73)…セラミックコーティング
層、

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆粒子燃料を用いたことを特徴とする
    軽水炉用核燃料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の軽水炉用核燃料におい
    て、 前記被覆粒子燃料は、核燃料焼結球と該核燃料焼結球を
    被覆した1層以上の無機材料製の被覆層とを備えた被覆
    燃料粒子を有したことを特徴とする軽水炉用核燃料。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の軽水炉用核燃料におい
    て、 前記被覆燃料粒子は、直径 0.3mm〜1.2 mmの核燃料
    焼結球と、該核燃料焼結球を被覆するスェリング吸収や
    FPガス溜めとしての低密度熱分解炭素層と、該低密度
    熱分解炭素層を被覆する気体状FP保持層としての高密
    度熱分解炭素層と、該高密度熱分解炭素層を被覆する固
    体状FPのバリアーとしての炭化ケイ素層と、該炭化ケ
    イ素層を被覆する炭化ケイ素層の保護のための高密度熱
    分解炭素層とを備えたことを特徴とする軽水炉用核燃
    料。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の軽水炉用核燃料におい
    て、 前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
    中に分散させた球状成形体からなり、該球状成形体がチ
    ャンネルボックス内に充填されてなることを特徴とする
    軽水炉用核燃料。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の軽水炉用核燃料におい
    て、 前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
    中に分散させた中空成形体からなり、該中空成形体が金
    属製又は黒鉛製の筒内に装填されてなることを特徴とす
    る軽水炉用核燃料。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の軽水炉用核燃料におい
    て、 前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
    中に分散させたチャンネルボックス型の成形体からな
    り、該チャンネルボックス型の成形体が冷却材の流通孔
    を穿設されてなることを特徴とする軽水炉用核燃料。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の軽水炉用核燃料におい
    て、 前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
    中に分散させた柱状の成形体からなり、該柱状の成形体
    が冷却材を流通する多数の流通孔を側壁部に備えた金属
    製筒内に装填されてなることを特徴とする軽水炉用核燃
    料。
  8. 【請求項8】 請求項2に記載の軽水炉用核燃料におい
    て、 前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
    中に分散させた筒状の成形体からなり、 該筒状の成形体が冷却材を流通する多数の流通孔を側壁
    部に備えた金属製外筒と冷却材が流通する多数の流通孔
    を側壁部に備えた金属製内筒との間に装填されてなるこ
    とを特徴とする軽水炉用核燃料。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載の軽水炉用核燃料におい
    て、 前記被覆粒子燃料は、前記被覆燃料粒子をマトリックス
    中に分散させたロッド状成形体からなり、該ロッド状成
    形体がチャンネルボックス内に装填されてなることを特
    徴とする軽水炉用核燃料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003533683A (ja) * 2000-05-16 2003-11-11 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 一体鋳造型燃料要素と前記要素を用いた高速スペクトル沸騰水型原子炉
US7587018B2 (en) * 2003-10-24 2009-09-08 Areva Np Inc. Process for manufacturing enhanced thermal conductivity oxide nuclear fuel and the nuclear fuel
JP2012503193A (ja) * 2008-09-18 2012-02-02 コミッサリア ア レネルジ アトミック エ オ エネルジ オルターネイティブ 高熱伝導率を有する核燃料クラッディング及びその製造方法
JP2017072480A (ja) * 2015-10-07 2017-04-13 株式会社東芝 燃料ペレット、核燃料棒、燃料集合体、及び燃料ペレットの製造方法

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