JPH0720430U - 電磁クラッチ又は電磁ブレ−キ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トルク伝達の２本のガイドピンを有する電磁
クラッチ又は電磁ブレ−キにおいて，ガイドピンと穴の
間のバックラッシュを小さくして，騒音を減少させ，正
確で微細な作動を行うようにする。 【構成】 ２本のガイドピン１ａ，１ｂに係合するア−
マチュア２のピン穴２ｃ，２ｄの少なくとも一方（たと
えば，２ｄ）を半径方向の長穴となるようにする。な
お，長穴はピン穴の双方に形成しても良い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は一般に電磁クラッチ又は電磁ブレ−キに関し，特に，ピンでトルク 伝達を行うようにした型式の小形電磁クラッチ又は電磁ブレ−キの改良構造に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種小型電磁クラッチでは，トルク伝達を２本以上のガイドピンで行 うようになっていた。 その全体構造は，後述する図１に示す半体切断側面図と同様な構造をしている が，２本のガイドピンと，そのガイドピンに係合するア−マチュアのピン穴との 係合関係は図４に示すように構成されている。 後述するように，駆動側（この例ではプ−リ）の回転はプ−リに用意されたガ イドピン１ａ，１ｂからア−マチュア２，ロ−タを介して軸３に伝達されるが， この回転駆動の接，断は後述のコイルへの通電のＯＮ，ＯＦＦによって行われる 。上記と逆にロ−タ側が駆動，プ−リ側が従動でもよい。なお，一方が固定され た場合がブレ−キで，構成は同等なので，ここではクラッチについて述べる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで，上述の従来の構造のものでは，次のような問題点があった。 図４に示すように，ガイドピン１ａ，１ｂはそれぞれア−マチュア２の穴２ａ ，２ｂに係合するが，この係合の隙間は，ガイドピン１ａ，１ｂの位置誤差と穴 ２ａ，２ｂの位置誤差及びア−マチュア２と後述のロ−タとの摩擦によるア−マ チュア２の熱変形を考慮してかなり大きくせざるを得ない。 従って，両者間にかなり大きいバックラッシュが生じ，空転中の騒音の原因と なり，また正確で，微細なトルク伝達ができない。 本考案は従来のものの上記課題（問題点）を解決し，バックラッシュを大幅に 減少できるようにした電磁クラッチ又は電磁ブレ−キを提供することを目的とす る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案では，上記課題を解決するために，トルク伝達の２本のガイドピンを有 する電磁クラッチ又は電磁ブレ−キにおいて，前記ガイドピンに係合するア−マ チュアの一方又は双方のピン穴を半径方向に延びる長穴に形成するようにした。

【０００５】

【作用】

係合する１組のガイドピンと穴の嵌め合いを厳しくすることは容易であり，も う１つの穴を長穴にして円周方向の巾の寸法をガイドピンに対して厳しくするだ けで，長穴の長手方向の寸法及び長穴に係合するガイドピンの位置は精密を要し ないのでこのガイドピン位置及び長穴の加工は容易であり，バックラッシュは大 幅に減少して微小となり，熱による変形は主に半径方向であるから長穴によって 逃がすことができる。

【０００６】

【実施例】

以下図面に示す各実施例により本考案を具体的に説明する。 第１の実施例： 図１は本考案による電磁クラッチの第１の実施例の半体切断側面図，図２は図 １のＡ−Ａ縦断面図を示す。 図１，図２に示すように，ガイドピン１ａ，１ｂはねじ固定されるプ−リ４は 玉軸受５を介して軸３に支持され，ガイドピン１ａはア−マチュア２の長穴２ｄ （この場合，長穴２ｄは中心方向に延びて溝穴になっている）と，又ガイドピン １ｂはア−マチュア２の穴２Ｃと摺動可能に係合されている。 ６は夫々ピン１ａ，１ｂの頭部近くに設けられた止め輪で，この止め輪６によ り，各ピン１ａ，１ｂが図１で右方へ抜け出るのを阻止するようになっている。 板ばね７は放射状に切れ目がある円錐形をしていて，座金８を介してア−マチ ュア２を図で左方へ押している。 ア−マチュア２のプ−リ４と反対側にはキ−９で軸３に固定されたロ−タ１０ ，さらにロ−タ１０に軸受１１を介して支持されるヨ−ク１２及びコイル１３が 配置される。また，ヨ−ク１２からア−ム１４が延びて固定体に固定されるよう になっている。

【０００７】 以上の構成において，コイル１３が無励磁の状態（図１の場合）では，プ−リ ４の回転はピン１ａ，１ｂを介してア−マチュア２が空転するだけであるが，コ イル１３が励磁されると，ア−マチュア２は板ばね７に抗して図１で右方へ動い てロ−タ１０と密着し，ガイドピン１ａ，１ｂからのトルク駆動はア−マチュア ２，ロ−タ１０，軸３へと伝達される。 コイル１３が消磁されると，板ばね７の作用でア−マチュア２はロ−タ１０か ら離れ，トルク駆動は遮断される。 これらの場合，図２に示すようにガイドピン１ｂと穴２ｃとは摺動可能な程度 のしっくりした嵌め合いであり，ガイドピン１ａと長穴２ｄとの円周方向の隙間 も微小であるので，ガイドピン１ａ，１ｂ共に回転によるバックラッシュは殆ど なく，プ−リ４側からの微小な回転も直ちに軸３側へ伝達される。駆動，従動が 逆の場合も同様である。

【０００８】 第２の実施例： 図３は本考案の第２の実施例を示すもので，同図に示すようにア−マチュア２ の穴を２個共，長穴２ｅ，２ｆにしたものである。 本実施例の作用は第１の実施例と同様であるが，両ガイドピンのピッチｐと， 長穴２ｅ，２ｆの長手方向の全長ｍを厳密に保持するという条件が加わる。

【０００９】

【考案の効果】

本考案は上記のように構成されるから，次のような効果を有する。 ピン穴に設けた長穴部分によって摩擦熱による変形は作動に影響しないように 逃されるから，バックラッシュを小さく設定することができるので，空転中のバ ックラッシュ及びこのバックラッシュによる騒音は大幅に減少する。 この結果，従来のものに比べて正確で，微細なトルク伝達が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例である電磁クラッチの半
体切断側面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ縦断面図である。

【図３】本考案の第２の実施例である図２に相当する縦
断面図である。

【図４】従来の電磁クラッチの図２に相当する縦断面図
である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ：ガイドピン ２：ア−マチュア ２ｃ：穴 ２ｄ：長穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トルク伝達の２本のガイドピンを有する
   電磁クラッチ又は電磁ブレ−キにおいて，前記ガイドピ
   ンに係合するア−マチュアの一方又は双方のピン穴を半
   径方向に延びる長穴に形成したことを特徴とする電磁ク
   ラッチ又は電磁ブレ−キ。