JPH07201035A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH07201035A
JPH07201035A JP5349099A JP34909993A JPH07201035A JP H07201035 A JPH07201035 A JP H07201035A JP 5349099 A JP5349099 A JP 5349099A JP 34909993 A JP34909993 A JP 34909993A JP H07201035 A JPH07201035 A JP H07201035A
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Japan
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particles
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magnetic recording
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average particle
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JP5349099A
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English (en)
Inventor
Shigeji Watase
茂治 渡瀬
Yoshio Kawakami
義雄 川上
Hitoshi Hirayama
均 平山
Yukichi Morita
祐吉 森田
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速捲き取り機および高速転写機においての
捲き特性、耐削れ性および転写特性が優れた磁気記録媒
体を提供する。 【構成】 第1成分としての平均粒径が0.4〜0.8
μmである不活性粒子と、第2成分としての平均粒径が
1.0〜1.5μmである不活性粒子と、熱可塑性ポリ
マーとを主成分とした外層を、熱可塑性ポリマーを主成
分とするフィルム層の両面に設け、かつ、外層の平均厚
みと第1成分の不活性粒子の平均粒径との比を1.0〜
2.5、外層の平均厚みと第2成分の不活性粒子の平均
粒径との比を0.5〜1.0として二軸配向ポリエステ
ルフィルムからなる可撓性支持体となし、このような可
撓性支持体上に磁性層を設けて磁気記録媒体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体に係り、特
に捲き特性、耐削れ性、転写特性に優れた磁気記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオテープ、ビデオテープ等の磁
気記録媒体に使用される可撓性支持体としては、引っ張
り強度、引き裂き強度、弾性率、耐熱性等の特性が優れ
ているポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフ
タレートフィルムが従来より使用されている。一方、磁
気記録媒体の磁性層は、その表面が平滑であるほど高密
度記録におけるS/Nが高くなり音質や画質が良好とな
るが、反面、磁性層の走行時の摩擦係数が大きくなり、
繰り返し走行によるS/Nの低下を生じる問題があっ
た。また、例えば、ビデオ用のソフトテープを生産する
場合、ビデオテープは転写機においてマスターテープか
ら記録転写(ダビング)されるが、この記録転写時のS
/Nの低下が画質を悪くする原因となっている。このた
め、可撓性支持体を多層構成とし、表面層に粒子を含有
させることにより、磁気記録媒体のS/N低下を防止
し、かつ耐久性を向上させることが開示されている(特
開平3−207018号、特開平4−138251
号)。
【0003】また、接触するロール等による可撓性支持
体の削れ防止(耐削れ性)、捲き特性の向上を可能とす
る手段として、可撓性支持体に粒径の比較的大きな粒子
を添加することが開示されている(特公平5−4415
号、特公平5−5247号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のソフトテープの
生産においてはノーマルモードでの転写が主流であった
が、近年、3倍モードを使用した高速転写への移行が進
み、S/N低下(画質低下)防止を主とした転写特性の
更なる向上、および、接触するロール等による可撓性支
持体の削れ防止(耐削れ性)の更なる向上が要求されて
いる。また、磁気記録媒体の加工工程において使用され
る高速捲き取り機における捲き特性および使用時におけ
る2次捲き姿の向上が要求されている。
【0005】しかしながら、上述のような従来の多層構
造で表面層に粒子を含有する可撓性支持体を用いた磁気
記録媒体は、粒子の含有量が大きく粒子の脱落が生じ、
上記の特性をバランスよく具備したものとは言えなかっ
た。また、大きな粒子を添加した可撓性支持体を使用し
た磁気記録媒体では、製造工程において耐カレンダー削
れ性の低下に伴う粒子の脱落が起こり、製造工程の汚
染、耐久性および転写特性の低下、磁性層のドロップア
ウトの増加を生じるという問題があった。
【0006】本発明は上述のような実情に鑑みてなされ
たものであり、高速捲き取り機および高速転写機におい
ての捲き特性、耐削れ性および転写特性が優れた磁気記
録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は二軸配向ポリエステルフィルムから
なる可撓性支持体上に磁性層を設けてなる磁気記録媒体
において、前記二軸配向ポリエステルフィルムは熱可塑
性ポリマーを主成分とするフィルム層と、該フィルム層
の両面に設けられた外層とを少なくとも有し、前記外層
は第1成分としての平均粒径が0.4〜0.8μmであ
る不活性粒子と、第2成分としての平均粒径が1.0〜
1.5μmである不活性粒子と、熱可塑性ポリマーとを
主成分とし、かつ、前記外層の平均厚みと前記第1成分
の不活性粒子の平均粒径との比が1.0〜2.5、前記
外層の平均厚みと前記第2成分の不活性粒子の平均粒径
との比が0.5〜1.0であるような構成とした。
【0008】磁気記録媒体における高速転写性と捲き特
性、耐削れ性の両立は、従来の単層ポリエステルフィル
ムに粒径の大きな粒子を添加した可撓性支持体を用いて
も達成することができない。しかし、フィルム層の両面
に形成された外層に含有される第1成分の不活性粒子お
よび第2成分の不活性粒子の平均粒径、および外層の厚
みと上記平均粒径との関係を特定の範囲とすることによ
り、不活性粒子自体の脱落が防止され、かつ、不活性粒
子による外層表面の突起がシャープで高さが均一とな
り、捲き特性、耐削れ性と高速転写性を兼ね備えた磁気
記録媒体が可能となる。
【0009】図1は、本発明の磁気記録媒体の一例を示
す概略断面図である。図1において、磁気記録媒体1は
二軸配向ポリエステルフィルムからなる可撓性支持体2
と、この可撓性支持体2上に設けられた磁性層5とを備
えている。可撓性支持体2である二軸配向ポリエステル
フィルムは熱可塑性ポリマーを主成分とするフィルム層
3と、このフィルム層3の両面に設けられた外層4とを
備えた3層構造のフィルムである。そして、外層4には
第1成分の不活性粒子Aと第2成分の不活性粒子Bが分
散含有される。
【0010】本発明において、フィルム層3および外層
4に使用される熱可塑性ポリマーは、テレフタル酸、ナ
フタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族カルボン酸
と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブチレングリコール等とを重縮合さ
せて得ることのできる芳香族ポリエステルである。この
ような熱可塑性ポリマーの代表的なものとして、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート(PEN)等が挙げられる。また、フ
ィルム層3に使用する熱可塑性ポリマーと外層4に使用
する熱可塑性ポリマーの組み合わせは任意に設定するこ
とができ、例えば、外層4にPETを使用しフィルム層
3にPENを使用する組み合わせ、外層4にPENを使
用しフィルム層3にPETを使用する組み合わせ等とす
ることができる。また、フィルム層3あるいは外層4
に、2種以上の熱可塑性ポリマーを使用してもよい。
【0011】尚、本発明においてフィルム層3に使用さ
れる熱可塑性ポリマーは、バージンポリマーに限定され
ず、再生ポリマーであってもよい。
【0012】フィルム層3は上記のような熱可塑性ポリ
マーの他に、防錆剤、帯電防止剤等の無機および有機添
加剤や、カーボンブラック等の粒子を添加してもよい。
また、再生ポリマーに含有される滑剤は、0.001〜
10重量%の範囲で含有することができる。そして、フ
ィルム層3の厚みは、磁気記録媒体の用途に応じて3〜
75μm程度とすることができる。
【0013】外層4に分散含有される第1成分の不活性
粒子Aは、その平均粒径aが0.4〜0.8μmの範囲
にある不活性粒子である。不活性粒子Aの平均粒径aが
0.4μm未満であると、磁気記録媒体の捲き特性およ
び耐削れ性が不十分となり、0.8μmを超えると、磁
気記録媒体の転写特性が低下するため好ましくない。ま
た、外層4における不活性粒子Aの含有量は、500〜
10000ppm、好ましくは1000〜7000pp
mの範囲である。不活性粒子Aの含有量が500ppm
未満の場合、捲き特性および耐削れ性の向上効果が不十
分となり、10000ppmを超えると、可撓性支持体
の滑り性がよくなりすぎて、磁気記録媒体の捲き特性が
低下して好ましくない。また、外層4に分散含有される
第2成分の不活性粒子Bは、その平均粒径bが1.0〜
1.5μm、好ましくは1.0〜1.3μmの範囲にあ
る不活性粒子である。不活性粒子Bの平均粒径bが1.
0μm未満であると、捲き特性向上に効果がなく、1.
5μmを超えると、捲き特性は良好となるが磁気記録媒
体の転写特性が低下するため好ましくない。また、外層
4における不活性粒子Bの含有量は、10〜1000p
pm、好ましくは10〜500ppmの範囲である。不
活性粒子Bの含有量が10ppm未満の場合、捲き特性
の向上効果が不十分となり、1000ppmを超える
と、磁気記録媒体の捲き特性は良好であるが、転写特性
および耐削れ性が低下して好ましくない。
【0014】本発明においては、外層4の平均厚みt
と、上記のような第1成分の不活性粒子Aの平均粒径a
および第2成分の不活性粒子Bの平均粒径bとを特定の
範囲に設定するものである。
【0015】すなわち、外層4の平均厚みtと第1成分
の不活性粒子Aの平均粒径aとの比(t/a)を1.0
〜2.5、好ましくは1.0〜2.0の範囲内とするこ
とが好ましい。比(t/a)が1.0未満であると、不
活性粒子Aによる外層4表面の突起がシャープになりす
ぎ、磁性層5の転写特性が不良となる。また、比(t/
a)が2.5を超えると、外層4中で不活性粒子Aが重
なり、外層4のうねり成分が増加して捲き特性向上の効
果が得られない。
【0016】一方、外層4の平均厚みtと第2成分の不
活性粒子Bの平均粒径bとの比(t/b)は0.5〜
1.0の範囲内とすることが好ましい。比(t/b)が
0.5未満であると、不活性粒子Bの約半分が外層4か
ら突出するため耐削れ性が不十分となり、また、1.0
を超えると、外層表面に形成される突起が小さすぎて捲
き特性向上の効果が得られない。
【0017】ここで、上述の平均粒径の測定方法は、磁
気記録媒体を熱硬化性エポキシ樹脂で包埋し、ダイアモ
ンドカッターにて薄く切断したサンプルを透過型電子顕
微鏡(TEM)(日本電子(株)製 JEM100C
X)にて観察し、観察場所を変えて粒子数500個以上
から平均値を求めるものである。また、外層の平均厚み
の測定方法は、磁気記録媒体を熱硬化性エポキシ樹脂で
包埋し、ダイアモンドカッターにて薄く切断したサンプ
ルを上記のTEMにて観察し、観察場所を変えて外層の
10箇所の厚さから平均値を求めるものである。
【0018】本発明において第1成分の不活性粒子Aと
して使用することができる粒子としては、炭酸カルシウ
ム粒子、球状シリカ粒子、二酸化チタン粒子、カオリン
粒子、有機粒子、架橋高分子粒子等を挙げることができ
る。
【0019】また、第2成分の不活性粒子Bとして使用
することができる粒子としては、炭酸カルシウム粒子、
球状シリカ粒子、有機粒子等を挙げることができる。こ
れらの不活性粒子の中では、特に有機粒子が好ましく、
不活性粒子Bとして無機粒子のみを使用した場合に比べ
耐削れ性がより向上する。すなわち、3層構造の可撓性
支持体2を構成する外層4に上記のような平均粒径の不
活性粒子Bを含有させることにより、外層4には大きな
ボイドが発生しており、このため、単層構造の可撓性支
持体に不活性粒子Bを含有させる場合に比べて粒子の脱
落度が大きくなる。この不具合点を改良する手段とし
て、上述のように不活性粒子Bとして有機粒子を使用す
ることが好ましい。有機粒子からなる不活性粒子Bを使
用することにより、外層の熱可塑性ポリマーと不活性粒
子Bとの親和性が向上するため、不活性粒子Bとして無
機粒子のみを使用した場合に比べてボイドが小さくな
る。したがって、上記のように、(外層厚みt/平均粒
径b)を0.5〜1.0の範囲に設定しても、不活性粒
子Bの脱落を防止することができる。
【0020】上記のような有機粒子としては、下記の化
1あるいは化2に示されるような分子構造のシリコン樹
脂粒子(R1 、R2 およびR3 は、それぞれ炭素数1〜
7のアルキル基、フェニル基等の炭化水素基である)を
挙げることができる。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】 尚、外層4には、上記のような第1成分の不活性粒子
A、第2成分の不活性粒子Bおよび熱可塑性ポリマーの
他に、必要に応じて1次粒径0.1μm以下のα−Al
23 、γ−Al23 、θ−Al23 δ−Al2
3 等を500〜10000ppmの範囲で含有させるこ
とができる。
【0023】上述のようなフィルム層3と外層4の3層
構造の二軸配向ポリエステルフィルムは、例えば、以下
のように製造することができる。まず、粒子を実質的に
含有しないフィルム層用の熱可塑性ポリマーと、所定の
粒子を含有した外層用の熱可塑性ポリマーとを準備し、
これらを公知の共押出し機(3層用の矩形の合流ブロッ
クを有する共押出し機等)により3層共押出しを行い、
静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャステ
ィングドラムに巻きつけて冷却固化することにより、フ
ィルム層の両面に外層を備えた3層構造の未延伸フィル
ムを作成する。この共押出しにおける吐出量を調節する
ことにより、未延伸フィルムの総厚さ、外層の厚さを制
御する。次に、この未延伸フィルムを長手方向(MD方
向)に2.5〜5.0倍延伸して一軸延伸フィルムと
し、さらに、この一軸延伸フィルムを100℃に加熱し
ながら延伸速度2000%/分程度で幅方向に2.5〜
4.0倍延伸した後、定長下で熱処理することにより、
二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0024】本発明の磁気記録媒体を構成する磁性層5
に用いられる磁性粉末は特に限定はされない。磁性粉末
としては、例えば、γ−Fe23 、Co含有γ−Fe
23 、Fe34 、Co含有Fe34 、CrO2
バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の酸
化物微粉末、Fe、Co、Ni、Co−Fe、Co−F
e−Ni、Co−Ni、Co−Mn、Co−Si、Co
−Au、Co−Pt等の金属あるいは合金微粉末、炭化
鉄等がいずれも使用可能である。これらの磁性粉末を用
いた磁性層の形成は、磁性粉末をバインダ中に分散した
磁性塗料を可撓性支持体上に塗布、乾燥することにより
行うことができる。この場合、バインダとしては、公知
の各種樹脂バインダはいずれも使用可能である。さら
に、溶媒は特に制限はなく、例えば、シクロヘキサノ
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン系、トルエン等の芳香族系等の各種溶媒を目的に
応じて適宜選択することができる。磁性塗料には、必要
に応じて無機微粒子、潤滑剤等の各種添加剤を含有させ
てもよい。また、磁性層として、真空蒸着法、スパッタ
リング法等により上記の磁性金属を可撓性支持体上に直
接成膜することにより、金属薄膜型の磁性層を形成して
もよい。
【0025】磁性層の厚みは、塗布型磁性層の場合は
0.1〜6μm程度であり、この磁性層の30〜92重
量%を磁性粉末が占めるような構成が好ましい。また、
近年行われているように磁性塗料を湿潤状態で多層塗布
して多層構造の磁性層を設けてもよい。この場合、非磁
性液、樹脂の溶解液等も使用可能であり、磁性層の層構
成も適宜選択することができる。また、金属薄膜型の磁
性層の場合、磁性層の厚みは0.1〜0.4μm、特に
0.15〜0.25μm程度が好ましい。
【0026】本発明の磁気記録媒体は、60℃における
MD方向(磁気記録媒体の搬送方向)の熱収縮率が0.
5%以下であることが好ましい。上述のように、本発明
では可撓性支持体を構成する外層に第2成分である不活
性粒子Bが含有されており、このため外層表面に形成さ
れる突起は従来の磁気記録媒体のおいて形成されている
突起よりもシャープである。したがって、60℃におけ
るMD方向の熱収縮率が0.5%を超えると、可撓性支
持体上に磁性層を形成した後の捲き取り状態での熱硬化
時において捲き締まりが生じ、磁性層の表面性が相対向
する外層の突起形状の影響を受けて低下する、いわゆる
裏写りが激しくなり、結果として磁気記録媒体の転写特
性の低下を生じてしまう。
【0027】ここで、60℃におけるMD方向の熱収縮
率は、60℃雰囲気中に磁気記録媒体(サンプル長=1
0cm)を1時間放置して自由熱収縮させて、その後、
下記の式にしたがって算出する。
【0028】熱収縮率=(原長−収縮後の長さ)/原長
×100(%)
【0029】
【作用】外層に含有される第1成分の不活性粒子および
第2成分の不活性粒子の平均粒径、および外層の厚みと
上記平均粒径との関係を特定の範囲とし、これにより、
不活性粒子自体の脱落が防止され、かつ、不活性粒子に
よる外層表面の突起がシャープで高さが均一となり、捲
き特性、耐削れ性と高速転写性を兼ね備えた磁気記録媒
体が可能となる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に
説明する。実施例1〜17、比較例1〜15 まず、不活性粒子として炭酸カルシウム粒子(平均粒径
は0.3μm,0.4μm,0.8μm,0.9μm,
1.3μm,1.5μmの6種)、球状シリカ粒子(平
均粒径は1.0μm,1.3μmの2種)、および、下
記の化3に示されるような分子構造のシリコン樹脂粒子
(平均粒径は0.4μm,0.6μm,0.8μm,
0.9μm,1.0μm,1.3μm,1.5μmの7
種)を準備した。
【0031】
【化3】 第1成分の不活性粒子および第2成分の不活性粒子とし
て下記の表1および表2に示される組み合わせの不活性
粒子を、表1および表2に示される含有量で含有するエ
チレングリコールスラリーを調製し、テレフタル酸ジメ
チルとエステル交換反応を行わせた後、重縮合し、不活
性粒子を所定量含有するポリエチレンテレフタレート
(PET)のチップを作成して外層用の熱可塑性ポリマ
ーAとした。また、常法によって、実質的に粒子を含有
しないPETを製造し、これをフィルム層用の熱可塑性
ポリマーBとした。
【0032】次に、これらの熱可塑性ポリマーA、Bを
それぞれ180℃で3時間減圧乾燥し、それぞれを2台
の押し出し機に供給し、300℃で溶融しながら上記2
種の熱可塑性ポリマーを3層用の矩形の合流ブロックで
合流積層し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30
℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化した。
これにより、熱可塑性ポリマーBからなるフィルム層の
両面に熱可塑性ポリマーAからなる外層を備えた3層構
造の未延伸フィルムを作成した。この共押出しにおい
て、吐出量を調節することにより、未延伸フィルムの総
厚さ、熱可塑性ポリマーAからなる外層の厚さを制御し
た。
【0033】次に、この未延伸フィルムを温度80℃に
てロールの周速差を利用して長手方向(MD方向)に
2.5〜5.0倍延伸して一軸延伸フィルムとした。さ
らに、ステンタを用いて上記の一軸延伸フィルムを10
0℃に加熱しながら延伸速度2000%/分で幅方向に
2.5〜4.0倍延伸した後、定長下で200℃にて5
秒間熱処理することにより、可撓性支持体としての3層
構造の二軸配向PET(厚さ14μm)を得た。
【0034】このようにして作成した二軸配向PETの
外層の平均厚み、および外層と第1成分の不活性粒子の
平均粒径との比、外層と第2成分の不活性粒子の平均粒
径との比をそれぞれ測定して、下記の表1および表2に
示した。
【0035】また、各二軸配向PETの耐カレンダー削
れ性を下記のように評価し、結果を下記の表1および表
2に示した。
【0036】(耐カレンダー削れ性の評価方法)磁性層
を形成していない状態の二軸配向PETに下記の条件で
カレンダー加工を施す。
【0037】 ・カレンダー装置:スチールロール/ナイロンロール、
5段 ・加工速度:100m/分 ・加工温度:95℃ ・加工圧力:200kg/cm ・加工長 :10000m そして、10000m走行後、カレンダーロールの表面
付着状態を下記の基準にしたがって目視で評価した。
【0038】◎…ロール上に二軸配向PETから脱落し
た付着物が非常に少ない。
【0039】○…ロール上に二軸配向PETから脱落し
た付着物が少ない。
【0040】△…ロール上に二軸配向PETから脱落し
た付着物が多い。
【0041】×…ロール上に二軸配向PETから脱落し
た付着物が非常に多い。
【0042】次に、磁性層を形成するために下記の組成
の磁性塗料を用意した。
【0043】 (磁性塗料の組成) Co−被着γ−Fe23 (比表面積(BET値)35m2 /g) … 100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 … 12重量部 ポリウレタン … 8重量部 α−Al23 … 3重量部 カーボンブラック … 1重量部 ミリスチン酸 … 0.5重量部 ステアリン酸 … 0.5重量部 メチルエチルケトン … 80重量部 シクロヘキサノン … 80重量部 トルエン … 40重量部 上記の組成の磁性塗料をボールミル中で十分混合した
後、ポリイソシアネート化合物を加え、30分間攪拌混
合した後、上述のように作成した各二軸配向PETフィ
ルムの片面に磁場を印加しながら磁性塗料をグラビアコ
ーティング法により塗布し乾燥した。そして、カレンダ
ー加工を施した後、12.7mm幅にスリットして磁気
記録媒体とした。比較例16 不活性粒子として、平均粒径0.3μmの球状シリカ粒
子のみを外層に含有させた他は、上述の実施例と同様に
して下記の表3に示される条件で3層構造の二軸配向P
ETを作成した。この二軸配向PETに対して、上述の
耐カレンダー削れ性の評価を行い、結果を下記の表3に
示した。次に、二軸配向PET上に上述の実施例と同様
にして磁性層を形成し磁気記録媒体を得た。比較例17 不活性粒子として、平均粒径0.3μmの二酸化チタン
粒子、同じく平均粒径0.5μmの球状シリカ粒子を外
層に含有させた他は、上述の実施例と同様にして下記の
表3に示される条件で3層構造の二軸配向PETを作成
した。この二軸配向PETに対して、上述の耐カレンダ
ー削れ性の評価を行い、結果を下記の表3に示した。次
に、この二軸配向PET上に上述の実施例と同様にして
磁性層を形成し磁気記録媒体を得た。比較例18 不活性粒子として、平均粒径0.3μmの球状シリカ粒
子および平均粒径0.7μmの球状シリカ粒子を、下記
の表3に示される含有量で含有するPETのチップを上
述の実施例と同様に作成し、このPETチップを用いて
単層構造の二軸配向PET(厚さ14μm)を得た。こ
の二軸配向PETに対して、上述の耐カレンダー削れ性
の評価を行い、結果を下記の表3に示した。次に、この
二軸配向PET上に上述の実施例と同様にして磁性層を
形成し磁気記録媒体を得た。比較例19 不活性粒子として、平均粒径0.25μmの球状シリカ
粒子および平均粒径0.6μmの球状シリカ粒子を、下
記の表3に示される含有量で含有するPETのチップを
上述の実施例と同様に作成し、このPETチップを用い
て単層構造の二軸配向PET(厚さ14μm)を得た。
このようにして作成した二軸配向PETに対して、上述
の耐カレンダー削れ性の評価を行い、結果を下記の表3
に示した。次に、この二軸配向PET上に上述の実施例
と同様にして磁性層を形成し磁気記録媒体を得た。
【0044】以上のようにして作成した磁気記録媒体
(実施例1〜17、比較例1〜19)について、熱収縮
率、HIFI特性(転写特性)、捲き特性、耐削れ性を
以下のようにして測定、評価し、結果を下記の表1乃至
表3に示した。
【0045】(熱収縮率の測定方法)60℃雰囲気中に
磁気記録媒体(サンプル長=10cm)を1時間放置し
て自由熱収縮させて、その後、下記の式にしたがって算
出した。
【0046】熱収縮率=(原長−収縮後の長さ)/原長
×100(%) (HIFI特性の測定方法) ミラーマザーテープの作成 SONY(株)製MMV5000Vにおいて入力信号な
しで(HIFIAUDIO ON)にし、ミラーマザー
テープに記録した。
【0047】転写 SONY(株)製HSP800においてで作成したミ
ラーマザーテープから各磁気記録媒体(実施例1〜1
7、比較例1〜19)に転写を行った。
【0048】HIFI出力測定 転写を行った各磁気記録媒体を、日本ビクター(株)製
BR7000Aを用いて再生し、ヒューレットパッカー
ド社製スペクトラムアナライザー3585Aにて、1.
3MHzの出力を計測し、標準テープ(TDK(株)
製)の出力を0dBとして、その差を実測値で示した。
この標準対比の実測値は以下のように評価することがで
きる。
【0049】・標準対比+2dBより高い…極めて優れ
た転写特性を備える。
【0050】・標準対比+1〜2dB…磁気記録媒体と
してなんら問題なく実用に供し得る。
【0051】・標準対比+1dB未満…3倍モードの高
速転写に供し得ない。
【0052】(捲き特性の評価方法)SONY(株)製
HSP800において、転写後の捲き姿(2次捲き)を
下記の基準で目視評価(4段階)した。
【0053】◎…捲き乱れがない。
【0054】○…ほとんど捲き乱れがない。
【0055】△…若干捲き乱れが確認される。
【0056】×…かなり捲き乱れが発生する。
【0057】(耐削れ性)SONY(株)製HSP80
0にて転写したパンケーキから、オタリ社製高速巻き取
り機T−320を用いてカセット状態に巻き取った磁気
記録媒体の可撓性支持体面の傷の状態を下記の基準で目
視評価(4段階)した。
【0058】◎…可撓性支持体面に傷がほとんど発生し
ていない。
【0059】○…可撓性支持体面に浅い傷が若干発生し
ている。
【0060】△…可撓性支持体面に傷がかなり発生して
いる。
【0061】×…可撓性支持体面に傷が多数発生してい
る。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】 表1乃至表3から明らかなように、本発明の磁気記録媒
体(実施例1〜17)は、可撓性支持体自体の耐カレン
ダー削れ性が高く、また、熱収縮率が小さいため、高速
転写機や高速捲き取り機においてのHIFI特性(転写
特性)、捲き特性および耐削れ性に優れている。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によればフ
ィルム層の両面に形成された外層に含有される第1成分
の不活性粒子および第2成分の不活性粒子の平均粒径、
および外層の厚みと上記平均粒径との関係を特定の範囲
とすることにより、不活性粒子自体の脱落が防止され、
かつ、不活性粒子による外層表面の突起がシャープで高
さが均一となり、高速転写性、捲き特性および耐削れ性
を高いレベルで兼ね備えた磁気記録媒体が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例を示す概略断面図
である。
【符号の説明】 1…磁気記録媒体 2…可撓性支持体 3…フィルム層 4…外層 5…磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 祐吉 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向ポリエステルフィルムからなる
    可撓性支持体上に磁性層を設けてなる磁気記録媒体にお
    いて、前記二軸配向ポリエステルフィルムは熱可塑性ポ
    リマーを主成分とするフィルム層と、該フィルム層の両
    面に設けられた外層とを少なくとも有し、前記外層は第
    1成分としての平均粒径が0.4〜0.8μmである不
    活性粒子と、第2成分としての平均粒径が1.0〜1.
    5μmである不活性粒子と、熱可塑性ポリマーとを主成
    分とし、かつ、前記外層の平均厚みと前記第1成分の不
    活性粒子の平均粒径との比が1.0〜2.5、前記外層
    の平均厚みと前記第2成分の不活性粒子の平均粒径との
    比が0.5〜1.0であることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 前記外層は、前記第1成分の不活性粒子
    を500〜10000ppmの範囲で含有することを特
    徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記外層は、前記第2成分の不活性粒子
    を10〜1000ppmの範囲で含有することを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記第2成分の不活性粒子は、有機粒子
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    かに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 60℃におけるMD方向の熱収縮率が
    0.5%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求
    項4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
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