JPH07199241A - パルス合成器 - Google Patents

パルス合成器

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Publication number
JPH07199241A
JPH07199241A JP34962493A JP34962493A JPH07199241A JP H07199241 A JPH07199241 A JP H07199241A JP 34962493 A JP34962493 A JP 34962493A JP 34962493 A JP34962493 A JP 34962493A JP H07199241 A JPH07199241 A JP H07199241A
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JP
Japan
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light
porous silicon
pulse
intensity
laser
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JP34962493A
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Inventor
Takahiro Matsumoto
貴裕 松本
Shusuke Mimura
秀典 三村
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構成が簡易で、しかも安価なパルス合成器を
提供する。 【構成】 パルス合成器は、多孔質シリコン膜10を用
いて形成したものである。多孔質シリコンは、入射光の
強度が十分小さいときには、光の吸収が弱く、入射光の
強度がしきい値以上に大きくなると、光の吸収が急に強
くなり、透過光の強度が飽和するという光誘導吸収効果
を有する。多孔質シリコン膜10はたとえば陽極化成法
を用いて作製することができる。かかるパルス合成器で
は、しきい値よりも小さい一定強度のレーザー光L01
所定パルス幅を有するレーザー光L11とを多孔質シリコ
ン膜10に入射させて合成し、レーザー光L11によっ
て、合成された光に対する多孔質シリコン膜10の透過
率を制御することにより、レーザー光L01を所望波形の
光に変えて出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所望波形を持つパルス
光を合成するパルス合成器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザー光から所望波形のパルス
光を得るためにはレーザー波形整形技術等が利用されて
いた。たとえば、パルス合成器としては、回折格子とフ
ーリエ変換光学系とを用いたものがある。このパルス合
成器では、まず、超短光パルスのもつ広い光周波数成分
や深い光変調により生成されたサイドバンド周波数成分
等を回折格子で分波する。そして、フーリエ変換光学系
により周波数領域でそれぞれの位相、強度を制御した後
に、回折格子で合波することにより、所望波形を持つパ
ルス光を生成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
パルス合成器では、周波数成分の生成に電気光学素子等
を使用するため、高い動作電圧を必要とすると共に、非
常に高価なものになってしまうという問題があった。ま
た、多数の光学素子を用いるため、装置が複雑になると
いう問題があった。
【0004】本発明は上記事情に基づいてなされたもの
であり、構成が簡易で、しかも安価なパルス合成器を提
供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1記載の発明は、所望波形の光を合成するパ
ルス合成器において、光誘導吸収効果を有する多孔質シ
リコンを用いて形成したことを特徴とするものである。
【0006】請求項2記載の発明に係るパルス合成器
は、請求項1記載の発明において、前記多孔質シリコン
が、しきい値よりも小さい強度の光が入射したときは光
の吸収が弱く、前記しきい値よりも大きい強度の光が入
射したときは光の吸収が強くなり透過した光の強度が飽
和するという光誘導吸収効果を有することを特徴とする
ものである。
【0007】請求項3記載の発明に係るパルス合成器
は、請求項2記載の発明において、前記しきい値よりも
小さい一定強度の入力光と一又は二以上のパルス光とを
前記多孔質シリコンに入射させて合成し、前記パルス光
によって、前記合成された光に対する前記多孔質シリコ
ンの透過率を制御することにより、前記入力光を所望の
パルス波形の光に変えて出力することを特徴とするもの
である。
【0008】請求項4記載の発明に係るパルス合成器
は、請求項3記載の発明において、前記入力光を二以上
用いることを特徴とするものである。
【0009】請求項5記載の発明に係るパルス合成器
は、請求項1、2、3又は4記載の発明において、前記
多孔質シリコンが、単結晶又は多結晶シリコン上に形成
された後、電解研磨法を施して前記単結晶又は多結晶シ
リコンから剥されたフリースタンディングな膜であるこ
とを特徴とするものである。
【0010】請求項6記載の発明に係るパルス合成器
は、請求項1、2、3、4又は5記載の発明において、
前記多孔質シリコンが、熱酸化多孔質シリコンであるこ
とを特徴とするものである。
【0011】請求項7記載の発明に係るパルス合成器
は、請求項1、2、3、4又は5記載の発明において、
前記多孔質シリコンが、熱窒化多孔質シリコンであるこ
とを特徴とするものである。
【0012】
【作用】本発明者等は、後述する陽極化成法によって作
製した多孔質シリコンが、ある値(しきい値)よりも小
さい強度の光が入射したときは光の吸収が弱く、しきい
値よりも大きい強度の光が入射したときは光の吸収が急
に強くなり、透過した光の強度が飽和するという特性を
備えていることを見出した。すなわち、多孔質シリコン
は、光誘導吸収効果を有する。
【0013】このような光誘導吸収効果を有する多孔質
シリコンに、たとえば、上記しきい値よりも小さい一定
強度の入力光と一又は二以上のパルス光とを入射させ
て、合成する。このとき、パルス光によって、合成され
た光に対する多孔質シリコンの透過率を制御することが
できるので、入力光を所望のパルス波形を持つ光に変え
て出力することができる。したがって、多孔質シリコン
を用いたパルス合成器を作製することが可能である。
【0014】本発明者等は、p型又はn型の単結晶シリ
コン基板(面方位(111)及び(100)、抵抗率
0.05〜1000Ωcm)を、陽極化成法(エチルア
ルコール:弗酸(48%の水溶液)=0:1〜10:1
の水溶液中で、陽極側に単結晶シリコンを接続し、また
陰極側に白金等の電極を接続して、電流密度1mA/c
2 〜200mA/cm2 の電流を流し、単結晶シリコ
ンを加工する方法)で30秒〜60分間処理することに
より、単結晶シリコン基板上に多孔質シリコン層を作製
し、その後、多孔質シリコン層に電解研磨法(上記陽極
化成を行った後、700mA/cm2 程度の電流を流す
ことにより多孔質シリコン層をシリコン基板から剥す方
法)を施すことによって、上記のような光誘導吸収効果
を有するフリースタンディングな多孔質シリコン膜を作
製することができることを見出した。
【0015】また、本発明者等は、p型又はn型の単結
晶シリコン基板(面方位(111)及び(100)、抵
抗率0.05〜1000Ωcm)を、上記の陽極化成法
で30秒〜60分間処理することにより、シリコン基板
上に作製されたままの状態の多孔質シリコン膜も上記の
ような光誘導吸収効果を有することを見出した。
【0016】更に、本発明者等は、p型又はn型の単結
晶シリコン基板(面方位(111)及び(100)、抵
抗率0.05〜1000Ωcm)を、上記の陽極化成法
で30秒〜60分間処理することにより、単結晶シリコ
ン基板上に多孔質シリコン層を作製し、その後、多孔質
シリコン層を高速熱酸化(酸素又は酸素及び窒素雰囲気
中において、400℃〜1200℃で10秒〜120秒
間熱酸化を行う)することによって、上記のような光誘
導吸収効果を有する高速熱酸化多孔質シリコン膜を作製
することができることを見出した。
【0017】更に、本発明者等は、p型又はn型の単結
晶シリコン基板(面方位(111)及び(100)、抵
抗率0.05〜1000Ωcm)を、上記の陽極化成法
で30秒〜60分間処理することにより、単結晶シリコ
ン基板上に多孔質シリコン層を作製し、その後、多孔質
シリコン層を高速熱窒化(窒素、アンモニア又は窒素及
びアンモニア雰囲気中において、400℃〜1200℃
で10秒〜120秒間熱窒化を行う)することによっ
て、上記のような光誘導吸収効果を有する高速熱窒化多
孔質シリコン膜を作製することができることを見出し
た。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は本発明の第一実施例であるパルス合
成器の動作を説明するための図、図2は本実施例に用い
る多孔質シリコンにおける入射光強度と透過光強度との
関係を示す図、図3は本実施例に用いる多孔質シリコン
における入射光強度と透過率との関係を示す図である。
【0019】第一実施例のパルス合成器は、図1に示す
ように、後述の陽極化成法で作製した多孔質シリコン
(porous silicon)膜10を用いて形成したものであ
る。多孔質シリコンを用いてパルス合成器を作製するこ
とが可能である理由は、本発明者等が、多孔質シリコン
に光を入射させたときに入射光強度に応じて光の吸収が
変化すること、すなわち多孔質シリコンが光誘導吸収効
果を有することを見出したことによる。光誘導吸収効果
を有する物質としては、従来から、アモルファス半導体
やカルコゲナイドガラス等が知られている。しかし、多
孔質シリコンは、アモルファス半導体やカルコゲナイド
ガラス等の物質とは異なり、光誘導吸収効果が非常に大
きいという特徴がある。
【0020】図2において、横軸は後述する陽極化成法
によって作製した多孔質シリコンに入射した入射光の強
度であり、縦軸はこの多孔質シリコンを透過した透過光
の強度である。図2からわかるように、入射光の強度が
十分小さいときには、光の吸収が弱く、透過光の強度は
入射光の強度に略比例して大きくなる。しかし、入射光
の強度がある値S以上に大きくなると、光の吸収が急に
強くなり、透過光の強度は入射光の強度が大きくなって
も略一定に保たれ、透過光の強度が飽和するようにな
る。このしきい値Sは、多孔質シリコンの膜厚によって
変化させることができる。たとえば、多孔質シリコンの
膜厚を約20μmとした場合、入射光としてレーザービ
ームを用い、そのビーム直径が50μmであるとする
と、ビーム強度が約150W/cm2 になったときに透
過光の強度の飽和が起こる。また、図3は、図2のグラ
フから、横軸に入射光の強度、縦軸に透過率をとって描
いたグラフである。このように、本発明者等の実験によ
り、多孔質シリコンは光誘導吸収効果を有することが分
かった。この光誘導吸収効果は、入射光によって電子が
価電子帯(valence band)から伝導帯(conduction ban
d )に光励起される光吸収過程により起こるので、光の
吸収は数フェムト秒(10-15 秒)以下の非常に早い立
ち上がりを示す。また、多孔質シリコンのエネルギーギ
ャップは1.6eV程度であるので、かかる光誘導吸収
効果は、波長が約770nm以下の光に対して有効的に
起こる。
【0021】さて、図1に示す多孔質シリコン膜10に
は、CWレーザー(continuous-wave laser )及びパル
スレーザー(pulsed laser)からのレーザー光が入射す
る。CWレーザーは一定強度のレーザー光を連続して発
生する。パルスレーザーは所定パルス幅を有するレーザ
ー光を発生する。CWレーザーからのレーザー光L01
しては、図2及び図3に示すしきい値Sよりも小さい強
度I01を有するものを用いる。また、パルスレーザーか
らのレーザー光L11としては、その最大強度I11とCW
レーザーのレーザー光強度I01との和が、図2及び図3
に示すしきい値Sよりも大きくなるようなものを用い
る。尚、レーザー光L01とレーザー光L11は、多孔質シ
リコン膜10内の同一点を通過するように、それらの光
の軸を設定している。
【0022】次に、第一実施例のパルス合成器の動作に
ついて説明する。まず、図1に示すように、レーザー光
01とレーザー光L11とを多孔質シリコン膜10に入射
させる。すると、レーザー光L11の強度がゼロであると
きには、レーザー光L01の強度がしきい値Sよりも小さ
いので、レーザー光L01は多孔質シリコン膜10でほと
んど吸収されず、大部分がそのまま透過して出力され
る。また、レーザー光L11の強度が最大値をとるときに
は、レーザー光L01とレーザー光L11との強度の和がし
きい値Sよりも大きいので、レーザー光L01は多孔質シ
リコン膜10内でレーザー光L11と合成されて大部分が
吸収される。このため、レーザー光L01はほとんど透過
できない。したがって、レーザー光L01が多孔質シリコ
ン膜10を通過して出力される出力光は、図1に示すよ
うに、レーザー光L01の波形からレーザー光L11の波形
が削り取られたような形状の波形となる。
【0023】次に、本発明の第二実施例について説明す
る。図4は本発明の第二実施例であるパルス合成器の動
作を説明するための図である。第二実施例のパルス合成
器は、図4に示すように、後述の陽極化成法で作製した
多孔質シリコン膜10aを用いて形成したものである。
図4に示す多孔質シリコン膜10aには、CWレーザ
ー、第一パルスレーザー及び第二パルスレーザーからの
レーザー光が入射する。CWレーザーは一定強度のレー
ザー光を連続して発生する。第一パルスレーザーは狭い
パルス幅を有するレーザー光を発生し、第二パルスレー
ザーは広いパルス幅を有するレーザー光を発生する。C
Wレーザーからのレーザー光L02としては、図2及び図
3に示すしきい値Sよりも小さい強度I02を有するもの
を用いる。第一パルスレーザーからのレーザー光L12
しては、その最大強度I12とCWレーザーのレーザー光
強度I02との和が、多孔質シリコンの透過率を50%程
度変化させるものを用い、また、第二パルスレーザーか
らのレーザー光L22も同様に、その最大強度I22とCW
レーザーのレーザー光強度I02との和が、多孔質シリコ
ンの透過率を50%程度変化させるようなものを用い
る。また、第一パルスレーザーからのレーザー光L12
第二パルスレーザーからのレーザー光L22とCWレーザ
ーのレーザー光強度L02とが重なった場合には、多孔質
シリコンの透過率がほぼ0%程度になるように設定す
る。尚、レーザー光L02、レーザー光L12及びレーザー
光L22は、多孔質シリコン膜10a内の同一点を通過す
るように、それらの光の軸を設定している。
【0024】次に、第二実施例のパルス合成器の動作に
ついて説明する。まず、図4に示すように、レーザー光
02、第一レーザー光L12及び第二レーザー光L22を多
孔質シリコン膜10aに入射させる。すると、第一レー
ザー光L12及び第二レーザー光L22の強度がゼロである
ときには、レーザー光L02の強度がしきい値Sよりも小
さいので、レーザー光L02は多孔質シリコン膜10aで
ほとんど吸収されず、大部分がそのまま透過して出力さ
れる。また、第一レーザー光L12の強度がゼロで、第二
レーザー光L22の強度が最大値をとるときには、レーザ
ー光L02と第二レーザー光L22との強度の和はしきい値
Sより下に位置し、多孔質シリコンの透過率を50%程
度に変化させるので、レーザー光L02は多孔質シリコン
膜10a内で第二レーザー光L22と合成されて約50%
吸収される。そして、第一レーザー光L12と第二レーザ
ー光L22の強度がともに最大値をとるときには、レーザ
ー光L02と第一レーザー光L12と第二レーザー光L22
の強度の和がしきい値Sよりも大きいので、レーザー光
02は多孔質シリコン膜10a内で第一レーザー光L12
と第二レーザー光L22と合成されて大部分が吸収され
る。このため、レーザー光L02はほとんど透過できな
い。したがって、レーザー光L02が多孔質シリコン膜1
0aを通過して出力される出力光は、図4に示すよう
に、レーザー光L02の波形から第一レーザー光L12及び
第二レーザー光L22の波形が削り取られたような形状の
波形となる。
【0025】このように、上記第一及び第二実施例のパ
ルス合成器では、CWレーザー及び一又は二つのパルス
レーザーからのレーザー光を、光誘導吸収効果を有する
多孔質シリコン膜に入射させて合成し、パルスレーザー
からのレーザー光によって、合成された光に対する多孔
質シリコン膜の透過率をコントロールすることにより、
CWレーザーからのレーザー光を所望のパルス波形を持
つ光として取り出すことができるので、電気光学素子等
を用いた従来のパルス合成器に比べて、構成が簡易にな
るという利点がある。また、多孔質シリコンの光誘導吸
収効果における光の吸収は非常に早い立ち上がりを示す
ので、第一及び第二実施例のパルス合成器では、高速の
光制御が可能である。
【0026】尚、上記の各実施例では、CWレーザーか
らのレーザー光を一つ用い、パルスレーザーからのレー
ザー光を一つ又は二つ用いた場合について説明したが、
たとえば、CWレーザーからのレーザー光を二つ以上用
い、複数の出力光を同時に取り出すようにしてもよく、
また、パルスレーザーからのレーザー光を三つ以上用い
てもよい。この場合、各CWレーザーからのレーザー光
に対して、一部のパルスレーザーからのレーザー光が多
孔質シリコン膜内の同一点を通過するように、これらの
光の軸を設定することにより、異なる波形を持つ複数の
出力光を同時に取り出すことができる。更に、使用する
光としては、レーザー光以外のものを用いてもよい。
【0027】次に、上記の各実施例において使用する多
孔質シリコンの作製方法について図5及び図6を用いて
説明する。ここで、図5はp型のシリコンを用いた場
合、図6はn型のシリコンを用いた場合についてのもの
である。
【0028】最初に、シリコンがp型である場合につい
て説明する。この場合は、まず、p型単結晶シリコン基
板52((100)面、抵抗率0.05〜1000Ωc
m)の裏面にAl54を蒸着してオーミックコンタクト
をとり、第一中間生成物を作製する。次に、図5に示す
ように、p型単結晶シリコン基板52の表面に多孔質化
したい部分を除いて第一中間生成物をワックス又はテフ
ロン等で覆い、陰極側に白金電極Ptを接続し、また陽
極側にAl54を接続して、白金電極Pt及び第一中間
生成物をエチルアルコール:弗酸(48%の水溶液)=
1:1の溶液(C2 5 OH+HF+H2 O)の中に浸
す。定電流電源を用いて電流密度を1〜200mA/c
2 に固定し約3〜60分間陽極化成を行うことによっ
て多孔質シリコン層を作製し、第二中間生成物を作製す
る。そして、第二中間生成物の表面に付着したワックス
を有機溶剤で溶かし、Al54をエッチングし、純水で
洗浄する。
【0029】本発明者等は、陽極化成を行うための電流
として例えば30mA/cm2 流し、その後、この電流
を700mA/cm2 程度に増加すると、多孔質シリコ
ン層はシリコン基板52から剥がれるという性質がある
ことを見出した。したがって、単体の多孔質シリコンを
取り出したい場合には、まず、陽極化成の後に電流を上
記の値まで増加させることによって簡単に多孔質シリコ
ン層をシリコン基板52から剥す。そして、剥した多孔
質シリコンの膜をそのまま利用するか、または高速赤外
線照射装置を用いて酸素又は酸素及び窒素雰囲気中にお
いて400〜1200℃で10〜120秒間熱酸化した
多孔質シリコン膜を利用する。尚、熱酸化した多孔質シ
リコン膜を利用するのではなく、高速赤外線照射装置を
用いて窒素、アンモニア又は窒素及びアンモニア雰囲気
中において400〜1200℃で10〜120秒間熱窒
化した多孔質シリコン膜を利用してもよい。
【0030】また、シリコンがn型の場合には、陽極化
成を行う際に、図6に示すように、n型単結晶シリコン
基板56上の多孔質シリコンを作製する面にタングステ
ンランプ光を照射することを除けば、p型の場合と同様
であるので、その詳細な説明を省略する。
【0031】本発明者等は、このようにして作製された
多孔質シリコンが、良好な光誘導吸収効果を有すること
を確認した。
【0032】ところで、多孔質シリコンを単体で用いる
よりは、むしろ多くの多孔質シリコンをLSI化して希
望の回路に組むことの方が応用面から見て実際的である
と考えられる。
【0033】多孔質シリコンはたとえば陽極化成法によ
ってシリコン基板上に作り込むことができる。この多孔
質シリコンを形成するための陽極化成のプロセスは容易
にLSI製造プロセスに取り込むことができるので、集
積化された発光素子を光ファイバー等を用いて結合させ
て、この中に多孔質シリコンを組み込んでおくことによ
って、集積化発光素子から任意の光パルス波形を得るこ
とが可能となる。
【0034】尚、本発明は、上記の各実施例に限定され
るものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形
が可能である。たとえば、上記の多孔質シリコンの作製
では、単結晶シリコン基板上に多孔質シリコンを形成す
る場合について説明したが、単結晶シリコン基板の代わ
りに多結晶シリコン基板を用いても、同様に光誘導吸収
効果を有する多孔質シリコンを得ることができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、多孔質シリコンが光誘導吸収効果を有するこ
とにより、多孔質シリコンの透過率の変化を利用して、
所望のパルス波形を持つ光を取り出すことができるの
で、電気光学素子等を用いた従来のものに比べて、構成
が簡易になり、また、製造コストが安く、安定性及び信
頼性が非常に高く、しかも高集積化が容易なパルス合成
器を提供することができる。
【0036】請求項2記載の発明によれば、多孔質シリ
コンは、しきい値よりも小さい強度の光が入射したとき
は光の吸収が弱く、しきい値よりも大きい強度の光が入
射したときは光の吸収が強くなり透過した光の強度が飽
和するという光誘導吸収効果を有することから、多孔質
シリコンの透過率の変化を利用して、所望のパルス波形
を持つ光を取り出すことができるので、電気光学素子等
を用いた従来のものに比べて、構成が簡易になり、ま
た、製造コストが安く、安定性及び信頼性が非常に高
く、しかも高集積化が容易なパルス合成器を提供するこ
とができる。
【0037】請求項3記載の発明によれば、上記しきい
値よりも小さい一定強度の入力光と一又は二以上のパル
ス光とを多孔質シリコンに入射させて合成し、パルス光
によって、合成された光に対する多孔質シリコンの透過
率を制御することにより、入力光を所望のパルス波形の
光に変えて出力することができるので、電気光学素子等
を用いた従来のものに比べて、構成が簡易になり、ま
た、製造コストが安く、安定性及び信頼性が非常に高
く、しかも高集積化が容易なパルス合成器を提供するこ
とができる。
【0038】請求項4記載の発明によれば、上記の各効
果に加えて、入力光を複数用いることにより、複数の出
力光を同時に得ることができるパルス合成器を提供する
ことができる。
【0039】請求項5記載の発明によれば、フリースタ
ンディングな多孔質シリコンを用いることにより、上記
の各効果が優れたパルス合成器を提供することができ
る。
【0040】請求項6記載の発明によれば、多孔質シリ
コンとして熱酸化多孔質シリコンを用いることにより、
上記の各効果がより優れたパルス合成器を提供すること
ができる。
【0041】請求項7記載の発明によれば、多孔質シリ
コンとして熱窒化多孔質シリコンを用いることにより、
上記の各効果がより優れたパルス合成器を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例であるパルス合成器の動作
を説明するための図である。
【図2】本実施例に用いる多孔質シリコンにおける入射
光強度と透過光強度との関係を示す図である。
【図3】本実施例に用いる多孔質シリコンにおける入射
光強度と透過率との関係を示す図である。
【図4】本発明の第二実施例であるパルス合成器の動作
を説明するための図である。
【図5】p型シリコン基板上に陽極化成法によって多孔
質シリコンを作製する方法を説明するための図である。
【図6】n型シリコン基板上に陽極化成法によって多孔
質シリコンを作製する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10,10a 多孔質シリコン膜 52 p型単結晶シリコン基板 54 Al電極 56 n型単結晶シリコン基板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望波形の光を合成するパルス合成器に
    おいて、光誘導吸収効果を有する多孔質シリコンを用い
    て形成したことを特徴とするパルス合成器。
  2. 【請求項2】 前記多孔質シリコンは、しきい値よりも
    小さい強度の光が入射したときは光の吸収が弱く、前記
    しきい値よりも大きい強度の光が入射したときは光の吸
    収が強くなり透過した光の強度が飽和するという光誘導
    吸収効果を有することを特徴とする請求項1記載のパル
    ス合成器。
  3. 【請求項3】 前記しきい値よりも小さい一定強度の入
    力光と一又は二以上のパルス光とを前記多孔質シリコン
    に入射させて合成し、前記パルス光によって、前記合成
    された光に対する前記多孔質シリコンの透過率を制御す
    ることにより、前記入力光を所望波形の光に変えて出力
    することを特徴とする請求項2記載のパルス合成器。
  4. 【請求項4】 前記入力光を二以上用いることを特徴と
    する請求項3記載のパルス合成器。
  5. 【請求項5】 前記多孔質シリコンは、単結晶又は多結
    晶シリコン上に形成された後、電解研磨法を施して前記
    単結晶又は多結晶シリコンから剥されたフリースタンデ
    ィングな膜であることを特徴とする請求項1、2、3又
    は4記載のパルス合成器。
  6. 【請求項6】 前記多孔質シリコンは、熱酸化多孔質シ
    リコンであることを特徴とする請求項1、2、3、4又
    は5記載のパルス合成器。
  7. 【請求項7】 前記多孔質シリコンは、熱窒化多孔質シ
    リコンであることを特徴とする請求項1、2、3、4又
    は5記載のパルス合成器。
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