JPH0719785A - 熱交換パイプおよび熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】比較的薄い板厚のアルミニューム・ブレーシン
グシートを用いることを前提として、ロー付け強度の確
保を得るとともに、ドレン水の集溜と、熱伝達抵抗水膜
の形成を阻止して、熱交換性能および耐蝕性の向上を図
った熱交換パイプと、この熱交換パイプを備えた熱交換
器を提供する。 【構成】複数の凹部１１と、複数の凸部１２がそれぞれ
設けられたアルミニューム・ブレージングシート２Ａ，
２Ｂ相互の、各凹凸部を当接するとともに、互いの当接
面を接合し、これらシート相互間に熱交換媒体の流路１
０を形成し、上記各凹凸部の双方に切欠き孔部１３，１
４を設けた熱交換パイプ２。細線フィン部７を備え、こ
の細線フィン部と熱交換パイプ貫通部との間に、熱交換
空気の流通抵抗をなす邪魔片部８を備えたフィン１。こ
れらフィンと熱交換パイプとで熱交換器が構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たとえば空気調和機に
配備され、内部に熱交換媒体である冷媒を導通させる熱
交換パイプ、およびこの熱交換パイプとフィンとからな
り、被空調室空気と熱交換作用をなす熱交換器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】たとえば空気調和機に備えられる熱交換
器は、種々の形態があり、それぞれの条件に適応した状
態で用いられるが、基本的には、互いに狭小の間隙を存
して並設される複数枚のフィンと、これらフィンに互い
に平行に、かつ貫通して設けられる複数本の熱交換パイ
プとを具備している。

【０００３】近時、熱交換効率の向上および製造コスト
の低減を目的として、予め、ロー材がクラッドされたア
ルミニューム・ブレーシングシートからなる熱交換パイ
プの採用が図られている。

【０００４】これは、複数の凹部と、複数の凸部がそれ
ぞれ設けられたアルミニューム・ブレージングシートを
所望の方法によってチューブ状に折り曲げて各凹凸部を
当接させるとともに、互いの当接面を接合してなる。

【０００５】完成されたパイプの断面形状は偏平管と同
一であり、部分的に凹凸部の接合部があるから、熱交換
媒体である冷媒は、これら接合部周囲の空間部である流
路を流れる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記アルミ
ニューム・ブレーシングシートは、板厚がさほど厚いも
のではないので、ロー付け強度を確実に保持することが
困難であり、信頼性に不安が残る。

【０００７】そこで、たとえば特開平４−２０７９４号
公報には、対向する凹凸部の一方に切欠き部を設けて、
この切欠き部を介して対向する凹凸部の壁面と接合する
技術が開示されている。

【０００８】あるいは、対向する凹凸部の一方に切欠き
部、他方に切欠き部に嵌入する突起部を設けて、互いの
壁面を接合することにより、より強固な接着固定をなし
ている。

【０００９】しかるに、この種の熱交換器を備える空気
調和機は、暖房運転と冷房運転との切換えが可能で、冷
却器として作用させると、フィンばかりでなく熱交換パ
イプの表面に空気中の水分が凝縮し、凝縮水（以下、ド
レン水と呼ぶ）が生成されて付着滞留する。

【００１０】特に、フィンは垂直方向に立てて並べられ
るので、ドレン水は直ちに流下するが、熱交換パイプは
これと直交する方向である、水平方向に延出され、しか
も偏平管状をなす。

【００１１】したがって、熱交換パイプの上面側には、
ドレン水が付着したまま、流下し難い。それに加えて、
上記特開平４−２０７９４号公報の熱交換パイプには凹
陥状の接合部が形成されているから、ここにドレン水が
溜り易い。

【００１２】経時変化により、接合部にドレン水による
熱伝達抵抗水膜が形成され、しかも接合部は、多数設け
られるところから、熱交換効率に悪影響を及ぼす。もし
くは、不純物によりパイプが浸蝕されるという、不具合
の発生がある。

【００１３】一方、上記フィンについても問題が残され
ている。

【００１４】すなわち、熱交換効率の向上を目的とし
て、フィンの熱交換パイプ貫通部相互間に、互いに平行
に、細長い矩形状で、かつ多数の切起しからなる細線フ
ィン部を設けることが提案されている。

【００１５】すなわち、細線フィン部を構成する切起し
は、フィン板面から両側に突出していて、フィン相互間
に導かれる熱交換空気と接触し易い状態となる。したが
って、細線フィン部に熱交換空気を集中して導くことを
前提として、熱交換効率の向上が図れる。

【００１６】しかしながら、フィンにおける熱交換パイ
プ貫通部と上記細線フィン部との間は、そのまま平板状
に残されていて、通風抵抗にならない。その反面、上述
したように細線フィン部は、フィン板面から両側に突出
する切起しであるから、大なる通風抵抗を有する。

【００１７】多くの熱交換空気の導通が必要な細線フィ
ン部より、通風抵抗の小さい熱交換パイプ貫通部と細線
フィン部との間に熱交換空気がより多く、かつ円滑に導
かれてしまい、熱交換効率に悪影響を及ぼしている。

【００１８】本発明は、上述したような事情に鑑みなさ
れたものであり、その第１の目的とするところは、比較
的薄い板厚のアルミニューム・ブレーシングシートを用
いることを前提として、ロー付け強度の確保を得るとと
もに、ドレン水の集溜と、熱伝達抵抗水膜の形成を阻止
して、熱交換効率および耐蝕性の向上を図った熱交換パ
イプを提供しようとするものである。

【００１９】第２の目的とするところは、細線フィン部
を備えたフィンの熱交換効率の向上を図り、熱交換パイ
プと併せて、熱交換性能の向上を得られる熱交換器を提
供しようとするものである。

【００２０】

【課題を解決するための手段】上記第１の目的を満たす
ため、第１の発明の熱交換パイプは、複数の凹部と、複
数の凸部がそれぞれ設けられたアルミニューム・ブレー
ジングシートを所望の方法によってチューブ状に折り曲
げて各凹凸部を当接させるとともに、互いの当接面を接
合し、これらアルミニューム・ブレージングシート相互
間に熱交換媒体の流路を形成し、上記各凹凸部の双方に
切欠きを設けた。

【００２１】第２の発明の熱交換器は、互いに狭小の間
隙を存して並設される複数枚のフィンと、これらフィン
に互いに平行に、かつ貫通して設けられる複数本の熱交
換パイプとを具備し、上記フィンは、上記熱交換パイプ
の貫通部間に、互いに平行に、細長い矩形状で、かつ多
数の切起しからなる細線フィン部を備え、かつこの細線
フィン部と熱交換パイプ貫通部との間に、熱交換空気の
流通抵抗をなす邪魔片部を設け、上記熱交換パイプは、
複数の凹部と、複数の凸部がそれぞれ設けられたアルミ
ニューム・ブレージングシートを所望の方法によってチ
ューブ状に折り曲げて各凹凸部を当接させるとともに、
互いの当接面を接合し、これらアルミニューム・ブレー
ジングシート相互間に熱交換媒体の流路を形成し、上記
各凹凸部の双方に切欠きを設けてなる。

【００２２】

【作用】第１の発明では、アルミニューム・ブレージン
グシート相互の各凹凸部を接合するので、ロー付け強度
の付与がなされ、シート相互がより強固に密着する。そ
して、熱交換作用に伴ってドレン水が生成されても、接
合部の切欠きから流下して溜まることがない。

【００２３】第２の発明では、細線フィン部に熱交換空
気を集中して導くことができ、フィンの熱交換効率がよ
くなり、熱交換パイプにはドレン水が溜まらず、排水性
に優れる。

【００２４】

【実施例】図１に示すように、熱交換器が形成される。

【００２５】これは図において、垂直方向に立設され、
かつ幅方向に狭小の間隙を存して並べられる多数枚のフ
ィン１…と、このフィン１…に上下に間隙を存して並設
され、それぞれ水平方向に貫通する複数本の熱交換パイ
プ２…と、これら熱交換パイプ２…のフィン１…両側端
から突出する端部に亘って連結される第１のヘッダパイ
プ３Ａおよび第２のヘッダパイプ３Ｂとから構成され
る。

【００２６】第１，第２のヘッダパイプ３Ａ，３Ｂは、
その上下端部が閉塞され、内部は図示しない仕切板によ
って仕切られる。第１のヘッダパイプ３Ａのみ、導入管
４と導出管５が接続される。この熱交換器を空気調和機
に用いる場合は、導入，導出管４，５とも、所定の冷凍
サイクル機器に連通される。

【００２７】しかして、被空調室空気である熱交換空気
は、熱交換器の一側面から吹込まれ、各フィン１…相互
の間隙と、各熱交換パイプ２…相互の間隙を導通し、熱
交換器の他側面から吹出される。

【００２８】このとき、導入管４から第１のヘッダパイ
プ３Ａに導びかれ、かつ各熱交換パイプ２…に導かれる
冷媒と熱交換作用がなされる。冷媒は、第２のヘッダパ
イプ３Ｂから所定の流路を介して、導出管５に導かれる
こととなる。

【００２９】つぎに、上記フィン１と、熱交換パイプ２
について詳述する。

【００３０】図４（Ａ）に示すように、上記フィン１
は、予め、ロー材がクラッドされたアルミニューム・ブ
レーシングシートを用いることとし、縦長の帯板状をな
す。

【００３１】その一側端から略Ｕ字状に形成される取付
用切欠部６…が、たとえばプレス加工により設けられ
る。この取付用切欠部６…は、フィン１の上下方向に沿
って所定間隔を存して複数設けられている。

【００３２】なお、上記取付用切欠部６の周縁に沿って
一体に、ここでは図示しない鍔部を折曲形成すると、後
述する熱交換パイプ２とのロー付け接合面がより大にな
り、強固になって、信頼性を確保できることは言う迄も
ない。

【００３３】フィン１の各取付用切欠部６，６の相互間
には、細線フィン部７が設けられる。この細線フィン部
７は、たとえばプレス加工により、上下方向に細長い矩
形状の切起し片７ａ…，７ｂ…を、フィン板面の前後
に、交互に突出させてなる。

【００３４】さらに、細線フィン部７と取付用切欠部６
との間には、全て同一の面方向に揃えられ、かつ同一高
さに切起し形成される邪魔片部８…が設けられる。これ
ら邪魔片部８の先端縁に、隣接するフィン１が当接し
て、互いの位置決めがなされ、フィン１，１相互の間隙
が保持される。

【００３５】同図（Ｂ）に示すように、細線フィン部７
は多くの切起し片部からなっているところから、熱交換
空気に対する抵抗となって、本来、熱交換空気が導かれ
難い反面、上記邪魔片部８がない状態では、単なる平板
であって熱交換空気は円滑に流通してしまう。

【００３６】しかしながら、本発明のごとく、細線フィ
ン部７と取付用切欠部６との間に邪魔片部８を設けるこ
とにより、これが熱交換空気を衝止し、通風抵抗とな
る。細線フィン部７と取付用切欠部６との間の部分Ｓに
は熱交換空気が導かれ難くなり、その結果、ほとんどの
熱交換空気は上記細線フィン部７に導かれて、熱交換さ
れる。

【００３７】つぎに、上記熱交換パイプ２について詳述
する。

【００３８】図１および図２に示すように、上記熱交換
パイプ２は、偏平管であって、その幅方向一側端から上
記取付用切欠部６に嵌挿され、炉中ロー付けの手段で上
記フィン１に固着される。

【００３９】内部に流路室１０が形成されていて、この
熱交換パイプ２の両端部が上記各ヘッダパイプ３Ａ，３
Ｂに接続され、各ヘッダパイプ３Ａ，３Ｂの仕切られた
室に連通して、冷媒が導びかれるようになっている。

【００４０】熱交換パイプ２を構成する素材は、予め、
ロー材がクラッドされたアルミニューム・ブレージング
シート（以下、シートと称する）からなり、これを所望
の方法によってチューブ状に折り曲げて、ロー付け接合
してなる。

【００４１】この折曲されたシートの一方の面２Ａに
は、複数の凹部１１が所定間隔を存して一体に成形され
ており、他方の面２Ｂには、上記凹部１１と同一位置
に、かつ同一寸法形状の凸部１２が一体に成形されてい
る。

【００４２】そして、パイプ２の成形にあたっては、各
面２Ａ，２Ｂの開放端を曲成した上、重ね合わせる。同
時に、複数の凹部１１と、複数の凸部１２との位置を正
確に合わせて当接保持し、炉中ロー付けのごとき手段
で、互いの当接面を接合固着してなる。

【００４３】なお、一方の面２Ａの凹部１１には、たと
えば円形状の切欠きである孔部１３が設けられる。他方
の面２Ｂの凸部１２には、凹部１１の孔部１３よりも若
干小さな直径の切欠きである孔部１４が設けられる。

【００４４】炉中ロー付けにあたって、各面２Ａ，２Ｂ
の凹部１１と凸部１２を接合するが、このとき各孔部１
３，１４の中心軸を同一位置に合わせる。したがって、
凸部１２側の孔部１４周辺部分が、凹部１１側の孔部１
３内周に露出する。

【００４５】この状態でロー付けがなされるので、ロー
は凹凸部１１，１２の当接面および、これらの周部に沿
って溶融し、かつ凝固して固着する。そしてさらに、互
いの孔部１３，１４周辺部が露出するところから、ここ
にも溶融したローが凝固して固着する。

【００４６】したがって、凹凸部１１，１２相互の密着
固定ばかりでなく、孔部１３，１４相互の密着固定も付
加されることになり、より密着強度が増大する。

【００４７】実際の熱交換作用時には、フィン１および
熱交換パイプ２の表面に空気中の水分が凝縮して、ドレ
ン水が生成され、付着する。上記フィン１は垂直方向に
立てて並べられるので、付着したドレン水は直ちに流下
する。

【００４８】熱交換パイプ２は、偏平管で、しかも水平
方向に延出されるから、その上面に付着したドレン水は
直ちに流下し難いばかりか、凹部１１に導かれる。

【００４９】しかるに、この凹部１１に設けられる孔部
１３は、凸部１２に設けられる孔部１４と連通し、結
局、パイプ２を貫通しているから、ここに導かれドレン
水は直ちに流下して溜ることがない。

【００５０】したがって、ドレン水による熱伝達抵抗水
膜が凹部１１に形成されることもなく、かつ凹部が多数
設けられることによる熱交換効率への悪影響がなく、不
純物によるパイプ２の浸蝕もない。

【００５１】なお、上記実施例においては、フィン１に
設けた邪魔片部８は、熱交換空気を衝止するよう設けた
が、これに限定されるものではなく、図５に示すよう
な、邪魔片部８ａを備えたフィン１Ａであってもよい。

【００５２】上記邪魔片部８ａは、熱交換空気の導通方
向に対してある程度傾いて設けられている。この傾き方
向の設定は、一旦受けた熱交換空気を、上記細線フィン
部７に案内するのに都合の良いように設ける。すなわ
ち、より多くの熱交換空気が細線フィン部７に導かれ、
さらに熱交換効率の向上を図れる。

【００５３】なお、この種の熱交換器は必ずしも空気調
和機に用いられるものではなく、熱交換作用を必要とす
る装置全てに適用される。

【００５４】

【発明の効果】以上説明したように、第１の発明の熱交
換パイプは、複数の凹部と、複数の凸部がそれぞれ設け
られたアルミニューム・ブレージングシート相互の、各
凹凸部を当接するとともに、互いの当接面を接合し、各
凹凸部の双方に切欠きを設けたから、比較的薄い板厚の
アルミニューム・ブレーシングシートを用いても、ロー
付け強度の確保を得るとともに、ドレン水の集溜と、熱
伝達抵抗水膜の形成を阻止して、熱交換効率および耐蝕
性の向上を図れる効果を奏する。

【００５５】第２の発明の熱交換器は、フィンの熱交換
パイプ貫通部間に細線フィン部を設け、この細線フィン
部と熱交換パイプ貫通部との間に、熱交換空気の流通抵
抗をなす邪魔片部を設け、熱交換パイプは凹凸部の双方
に切欠きを設けたから、フィンの細線フィン部に集中し
て熱交換空気を導くことができ、この熱交換効率の向上
を図れ、熱交換パイプはロー付け強度の増大およびドレ
ン排水性が向上し、全体的に熱交換性能の向上を図れる
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す、熱交換パイプの一部
を拡大した縦断面図。

【図２】同実施例の、熱交換パイプの一部斜視図。

【図３】同実施例の、熱交換器の斜視図。

【図４】（Ａ）は、同実施例の、フィンの一部斜視図。
（Ｂ）は、フィンに対する熱交換空気の流通特性を示す
図。

【図５】他の実施例の、フィンの一部正面図。

【符号の説明】

１１…凹部、１２…凸部、２Ａ，２Ｂ…アルミニューム
・ブレージングシート、１０…流路、２…熱交換パイ
プ、１３，１４…切欠き（孔部）、１…フィン、７…細
線フィン部，８…邪魔片部。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の凹部と、複数の凸部がそれぞれ設け
   られたアルミニューム・ブレージングシート相互の、各
   凹凸部を当接するとともに、互いの当接面を接合し、こ
   れらアルミニューム・ブレージングシート相互間に熱交
   換媒体の流路を形成してなる熱交換パイプにおいて、 上記各凹凸部の双方に切欠きを設けたことを特徴とする
   熱交換パイプ。
2. 【請求項２】互いに狭小の間隙を存して並設される複数
   枚のフィンと、 これらフィンに互いに平行に、かつ貫通して設けられる
   複数本の熱交換パイプとを具備した熱交換器において、 上記フィンは、上記熱交換パイプの貫通部間に、互いに
   平行に、細長い矩形状で、かつ多数の切起しからなる細
   線フィン部と、この細線フィン部と熱交換パイプ貫通部
   との間に、熱交換空気を細線フィン部に導く邪魔片部が
   設けられ、 上記熱交換パイプは、複数の凹部と、複数の凸部がそれ
   ぞれ設けられたアルミニューム・ブレージングシート相
   互の、各凹凸部を当接するとともに、互いの当接面を接
   合し、これらアルミニューム・ブレージングシート相互
   間に熱交換媒体の流路を形成し、上記各凹凸部の双方に
   切欠きが設けられることを特徴とする熱交換器。