JPH07197380A - ガラス織物用経糸糊剤及びそれを用いた糊付ガラス織物のヒートクリーニング方法 - Google Patents

ガラス織物用経糸糊剤及びそれを用いた糊付ガラス織物のヒートクリーニング方法

Info

Publication number
JPH07197380A
JPH07197380A JP5353148A JP35314893A JPH07197380A JP H07197380 A JPH07197380 A JP H07197380A JP 5353148 A JP5353148 A JP 5353148A JP 35314893 A JP35314893 A JP 35314893A JP H07197380 A JPH07197380 A JP H07197380A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sizing agent
warp
glass
thermal decomposition
glass fabric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5353148A
Other languages
English (en)
Inventor
Naotoshi Kawakami
尚利 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP5353148A priority Critical patent/JPH07197380A/ja
Publication of JPH07197380A publication Critical patent/JPH07197380A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0313Organic insulating material
    • H05K1/0353Organic insulating material consisting of two or more materials, e.g. two or more polymers, polymer + filler, + reinforcement
    • H05K1/0366Organic insulating material consisting of two or more materials, e.g. two or more polymers, polymer + filler, + reinforcement reinforced, e.g. by fibres, fabrics

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass Fibres Or Filaments (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子材料用ボード材等の樹脂板の補強材とし
て好適なガラス織物の経糸糊剤であって、従来の経糸糊
剤に比較して一段と脱糊性( 熱分解性) が優れたガラス
織物用経糸糊剤及びそれを用いて糊付けしたガラス織物
のヒートクリーニング方法を提供する。 【構成】 熱分解促進物質を糊剤固形分に対して0.03〜
1重量%添加したガラス織物用経糸糊剤及びそれを用い
て糊付けしたガラス織物を還元雰囲気下に加熱して一次
バインダー及び経糸糊剤を熱分解するヒートクリーニン
グ方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリント回路基板その
他の強化プラスチック製品の補強材として使用されるガ
ラス織物の脱糊性に優れた経糸糊剤及びそれを用いた糊
付ガラス織物のヒートクリーニング方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】現在、ガラス織物はガラス繊維からなる
経糸と緯糸を織機により製織することにより生産され
る。この際用いられるガラス繊維は、Eガラス(電気用
無アルカリガラス)、Dガラス、シリカガラス、石英ガ
ラス等の組成よりなる珪酸質ガラスを複数の連続フィラ
メントよりなるヤーン状に製糸したものであるが、Eガ
ラス系ガラス繊維の生産量は全体の約8割を占め、通常
ガラス繊維といえばEガラス組成物のものを指す程であ
る。Eガラスはアルカリ含有率が低く電気特性、耐熱
性、機械的強度等の諸特性に優れるほか、生産性や経済
性も良好で、プリント回路基板その他の強化プラスチッ
ク製品の補強材等様々な分野に利用されている。
【0003】この主にEガラス繊維からなる経糸ならび
に緯糸は溶融ガラスを紡糸したガラスフィラメントを数
百本集束したものを使用する。紡糸直後のガラス繊維は
ばらけやすく、またガラスフィラメント同士の摩擦によ
って容易に傷つきやすいため、紡糸段階で結合作用と潤
滑作用を持つ集束剤(一次バインダーと呼ぶ。)が付与
されている。紡糸直後のガラス表面には水酸基が非常に
多く存在するため、一次バインダー成分はこれらの基と
親和性があり結合力の高いでんぷんが大部分を占めてお
り、残りはパラフィン等の潤滑性が使われる。
【0004】さらに経糸には、織機での高速な開口運動
や投杼運動による摩擦や衝撃に耐えるための糊剤(経糸
糊剤と呼ぶ。)を付与している。経糸糊剤の作用は経糸
に剛性や滑性を付与することにある。経糸糊剤はガラス
経糸に均一に付与させるため低粘性の溶液状態で使用
し、しかも環境安全性等の理由により水溶液での使用が
望まれており、従って水に可溶な水溶性高分子が専ら使
われる現状にある。一般に経糸糊剤に使われる主剤物質
には各種の水溶性高分子が使われているが、特にポリビ
ニールアルコール系とアクリル樹脂系が最もよく使用さ
れている。これら高分子は、両者とも良好な接着性を示
すものの、アクリル樹脂系は柔らかすぎ、糊膜の機械的
強度が低く、かつ吸湿しやすいため湿度による変化も大
きくまた高価格でもあり、ガラス織物用経糸糊剤として
はポリビニールアルコールが主流となっている。
【0005】このようにして糊付け後製織されたガラス
織物には、後工程で表面処理が施される。この表面処理
は、ガラス織物がプリント回路基板その他の強化プラス
チック製品の補強材として使用される際、ガラス繊維と
樹脂を接着させるカップリング剤をガラス織物表面に被
覆する処理である。この際、ガラス織物表面に一次バイ
ンダーや経糸糊剤が存在すると、カップリング剤を通じ
てのガラスと樹脂の接着力が極端に低下する。そのた
め、一次バインダーや経糸糊剤は、一般に製織後上記表
面処理に先立って除去される。
【0006】一次バインダーや経糸糊剤の除去にはいく
つかの方法があり、湿式と乾式が挙げられる。すなわ
ち、水系で糊抜きする方法と糊剤等を焼却除去する方法
である。また、糊剤等を除去しないですむ方法も提案さ
れている。
【0007】湿式除去法として水系で糊抜きする方法は
従来から主に衣料用織物で用いられてきた。この方法は
乾式法と比較して織物が高温にさらされることがないた
め、織物の強力が低下しないという利点があるものの、
経糸と緯糸がセットされないため動きやすく織物の目曲
がり等が発生する問題点がある。目曲がりを矯正しやす
い衣料用織物はともかくとして、目曲がりを矯正しにく
いガラス織物用としては一般的には実施されていない。
【0008】乾式除去法としては、連続焼却法、バッチ
式焼却法の2つと、両者の組み合わせがある。いずれも
ガラス織物が燃えない性質を生かして、一次バインダー
や経糸糊剤等の糊剤等表面被覆物(以下、単に経糸糊剤
と称する。)を焼却除去する方法である。この乾式糊除
去法はヒートクリーニング方法と呼ばれている。
【0009】連続焼却法は、ガラス織物を加熱炉の中を
通し連続的に焼却除去する方法である。この方法はガラ
ス織物の糊剤等を連続的に焼却除去できるという利点が
ある。しかし、連続法単独で使用する場合、後工程で付
与されるカップリング剤の接着性を阻害しないような量
まで焼却するには800 ℃以上で加熱しなければならな
い。ガラス織物は燃えないものの一般にプリント回路基
板その他の強化プラスチック製品の補強材に使われる代
表的なEガラスの変態点は650 ℃であり、800 ℃以上の
高温にさらされると強度劣化や脆化を起こして補強効果
が低減する。そのため、焼却除去できる量に限界があ
り、単独では実施されない。
【0010】バッチ式焼却法は、ガラス織物をロール状
に巻いて数十〜百数十時間加熱焼却する除去方法であ
る。焼却温度は350 〜420 ℃であり、Eガラスの変態点
以下であるため強度劣化や脆化を起こさず、従来からこ
の方法が用いられてきた。しかし、ガラス織物がロール
状に巻かれているためその内側は外界からの空気供給が
不足となり、酸素不足の状態で加熱される。こういう還
元雰囲気下では糊剤等は分解しにくいため、糊剤の焼却
除去には長時間要する。このことがバッチ式焼却法の重
大な問題点となっている。また、糊剤等に付着むらがあ
り局部的に糊剤が多く付着した場合、還元雰囲気下では
高付着の糊剤がすす状に炭化されて、いつまでも黒くガ
ラス織物を着色する。この着色は美観上問題となるのみ
ならず、炭化した有機物が微量なりとも存在するとプリ
ント回路基板の絶縁不良の原因になるという点でも問題
である。
【0011】このような問題点を解決する方法として、
連続法とバッチ式法を組み合せた二段階焼却法が開発さ
れた。すなわち、本法は、第一段階にてガラス織物を加
熱炉の中を通し連続的に糊剤等を焼却減少させ、第二段
階でガラス織物をロール状に巻いてバッチ式で数十時間
加熱除去する方法である。この方法では第二段階の焼却
時間が百数十時間もかかることがなく、バッチ式法単独
よりも短時間に焼却でき、現在の主流となっている。
【0012】このほかに、糊剤等を除去しないですむ方
法も提案されている。一次バインダーに含浸樹脂と親和
性をもつ糊剤を用いる方法である。この方法では、製織
後一次バインダーを除去する必要がないという利点があ
るが、製織時のガラス糸の毛羽立ちや後処理工程での付
着むらの発生等の問題があり、一般的に普及していな
い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】糊剤としての特性が優
れているのみならず焼却除去に有効なガラス織物用の経
糸糊剤として具備すべき特性条件は、下記のとおりのも
のが挙げられる。 (1)経糸糊剤が水に可溶な水溶性高分子であること。 (2)強い接着性と柔軟性を有すこと。 (3)ガラス表面に被覆した糊膜の機械的性質が湿度に
よって変化しないこと。 (4)ロール状のガラス織物のような還元雰囲気下でも
容易に焼却分解され、すす状に黒く着色しないこと。
【0014】上記したようにポリビニールアルコールや
アクリル系の糊剤はこれまでもっとも主要な経糸糊剤と
して使われてきたが、これらの経糸糊剤は、織物製織ま
でには優れた性能を発揮するものの、焼却分解性が良好
でなく、経糸糊剤の熱分解反応は焼却除去処理の律速段
階となっている。したがって上記の4条件すべてをみた
すような理想的な経糸糊剤はいまだ得られていない。本
発明は、このような課題をすべて解決することができる
優れた性能を有するガラス織物用経糸糊剤及びそれを用
いた糊付ガラス織物のヒートクリーニング方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために鋭意検討した結果、熱分解促進物質を
経糸糊剤に添加して熱分解反応の触媒として用いること
により、かかる目的を達成し得ることを見出し、本発明
に到達した。すなわち、本発明は、熱分解促進物質を糊
剤固形分に対して0.03〜1重量%添加してなることを特
徴とするガラス織物用経糸糊剤を要旨とするものであ
り、また、その経糸糊剤にて糊付けされたガラス織物を
還元雰囲気下に加熱し、経糸糊剤を熱分解することを特
徴とするガラス織物のヒートクリーニング方法を要旨と
するものである。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ガラス織物用経糸糊剤は、前述のように経糸糊剤として
の卓越した性能、すなわち、ガラスに対する強固な接着
性能等の機械的性能に優れるとともに、脱糊性、すなわ
ち、熱分解性能にも優れたものでなければならない。
【0017】本発明のガラス織物用経糸糊剤は、ポリビ
ニールアルコール、水エマルジョン型アクリル樹脂、水
溶性アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビ
ニルピリジン、ポリエチレンオキサイド、でんぷん系炭
水化物、デキストリン、カルボキシメチルセルローズ、
以上各化合物の誘導体又は変性体あるいはこれらの共重
合体又は上記高分子の少なくとも1種以上を含む他の高
分子との共重合体より選ばれた1種以上の親水性高分子
物質を主成分とする糊剤であり、特にポリビニールアル
コールが好適な例として挙げられる。
【0018】ポリビニールアルコールは酢酸ビニルより
の合成時における脱酢酸度(けん化度と呼ぶ。)によっ
て完全けん化物と部分けん化物に分けられるが、ガラス
織物用経糸糊剤にはそのどちらでも好適に使用される。
またポリビニールアルコールは重合度1000以下のものが
ガラス織物用経糸糊剤としてよく使用される。
【0019】ガラス織物用経糸糊剤は上記したポリビニ
ールアルコール等の主剤以外に、糊付けを最も効果的に
するために通常、油剤と併用されることが多い。油剤は
糸に柔軟性や平滑性を持たせたり吸湿性や帯電防止性を
付与させるが、量が多すぎると糊皮膜の強度が低下し接
着性が悪くなるため、目的とする効果に応じて量を調整
する。一般的に添加量は対主剤の重量%で数〜十数%で
ある。油剤の組成はワックス系、オイル系、活性剤系に
大別されるが目的とする効果によって使い分けをする。
【0020】ワックス系としては、パラフィンワック
ス、蝋(高級脂肪酸と高級一価アルコールとからなる固
形エステル)、高級脂肪酸(ステアリン酸、パルミチン
酸等)、ロジン等の固形低融点潤滑物質、オイル系とし
ては、鉱物油(流動パラフィン等)、植物油(パーム
油、コーン油、綿実油等)、合成油(ポリオレフィンオ
リゴマー、ポリフェニルエーテル、二塩基酸エステル、
シリコンオイル等)等の液状潤滑物質、活性剤系として
はポリエチレングリコール変性体等の非イオン界面剤等
が好適な例として挙げられる。平滑性を向上するにはワ
ックス系あるいは活性剤系、柔軟性を向上するにはオイ
ル系、吸湿性や帯電防止性を付与したりワックス系ある
いは活性剤系の溶媒に対する分散性を向上するには活性
剤系が主として使用される。経糸糊剤の主剤としてポリ
ビニールアルコールを使用するときは、そのままでも柔
軟性に富むため、油剤の効果として平滑性が求められ活
性剤系が主に使用される。
【0021】本発明のガラス織物用経糸糊剤における熱
分解促進物質は、極く微量の添加により経糸糊剤の熱分
解を促進する作用を有する物質のことで、特に経糸糊剤
のみならず一次バインダーをも接触熱分解させる機能を
有する触媒が要望される。この熱分解促進物質として
は、鉄、コバルト、ニッケル等の第8族(鉄属)元素の
化合物が好ましく、特に酸化数が+3の上記金属の塩類
等の化合物が好例として挙げられる。また上記金属のな
かでは特に鉄が優れており、なかんずく、第二鉄化合物
が好ましい。これらの具体例としては、硫酸第二鉄、硝
酸第二鉄、炭酸第二鉄、塩酸第二鉄、亜硫酸第二鉄、亜
硫酸第二鉄等があげられる。
【0022】上記した熱分解促進物質はポリビニールア
ルコールやでんぷんの熱分解反応において触媒としての
特徴をあらわす。すなわち、触媒である熱分解促進物質
は常に経糸糊剤と一緒にあるため、ロール状に巻かれた
ガラス織物の中側、すなわち還元雰囲気下においても、
熱分解促進物質がポリビニールアルコールやでんぷんの
主鎖のラジカル切断の活性化エネルギーを下げて、主鎖
切断を大量に進行させ重合度が低下することにより分解
が促進される。さらに、接触分解であり反応温度を下げ
る働きをする。
【0023】経糸糊剤への熱分解促進物質の添加量は0.
03〜1重量%の範囲に調合するのが好ましい。もし熱分
解促進物質の添加量が0.03重量%未満の場合は経糸糊剤
や一次バインダーの熱分解反応への触媒作用が乏しくな
る。一方、熱分解促進物質の添加量が1重量%を越える
と経糸糊剤の滑性が変化し、また、焼却後のガラス織物
に熱分解促進物質が多く残留しガラス織物が着色する問
題が生じる。
【0024】本発明のガラス織物用経糸糊剤は、ポリビ
ニールアルコール等の水溶性高分子物質と油剤に前記熱
分解促進物質をそのまま、あるいは必要に応じてこれに
接着性向上剤、柔軟剤、レベリング剤、ブロッキング防
止剤等の添加剤を配合し、通常の撹拌装置付き溶解槽中
で水または温水、アルコール等の溶剤に溶解させて調整
する。本発明のガラス織物用経糸糊剤をガラス経糸に糊
付けする方法としては、本経糸糊剤を定量ポンプ等にて
定量輸送し、ガラス経糸にディップ槽やロールコータ等
の一般的な塗布法を用いて連続的に塗布する方法が最も
普遍的な方法として採用することができる。
【0025】上記したガラス織物用経糸糊剤を糊付けし
たガラス織物より経糸糊剤を除去するには、ロール状に
巻かれたガラス織物をバッチ式のオーブンに入れ350 〜
420℃で数十時間加熱することによって焼却除去するヒ
ートクリーニング方法を採用するのが好ましい。この
際、従来の熱分解促進物質を含まないガラス織物用経糸
糊剤の場合には、ガラス織物はロール状であるためその
内側は外界からの空気供給が不足となり、酸素不足の状
態で加熱される。こういう還元雰囲気下ではポリビニー
ルアルコール等の糊主剤の主鎖が切断されないため共役
二重結合をへて芳香族化して分解しにくくなるほか、糊
剤がすす状に炭化されて、いつまでも黒くガラス織物に
着色する。一次バインダーの主成分であるでんぷんにつ
いても同様である。そのため、ガラス織物用経糸糊剤の
焼却除去には長時間要している。それに対して、本発明
のガラス織物用経糸糊剤においては、上記機能を有する
熱分解促進物質を含有するため、還元雰囲気下でもポリ
ビニールアルコールやでんぷんの主鎖の熱分解を促進
し、一段と短時間に経糸糊剤や一次バインダーを完全に
焼却消去することができる。
【0026】また、本発明のガラス織物用経糸糊剤は、
現在の主流でもある二段解焼却法、すなわち、第一段階
でガラス織物を600 〜750 ℃の加熱炉の中を通し連続的
に糊剤等を減少させ、第二段階でガラス織物をロール状
に巻いてバッチ式のオーブンに入れ350 〜420 ℃で数十
時間加熱することによって糊剤を焼却除去する焼却法に
も好適に適用される。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施態様を実施例により具体
的に詳述する。
【0028】実施例1 けん化度87%、重合度600 のポリビニールアルコールと
ポリエチレングリコール変性品からなる油剤を10:1の
重量比で調合し、水に5重量%の濃度で完全溶解させ
た。この溶液に硫酸第二鉄を対主剤比率で0.05重量%添
加し、分散溶解させた。この溶液をガラス経糸に塗布し
て乾燥させた後、ロール状に巻き取った。巻き取った後
のロールの巻姿は均整のとれた形状を保っていた。操業
中のブロッキング等の巻取り不良は全く発生しなかっ
た。
【0029】巻き取られたガラス経糸を織機にて製織し
た後、直径30cmのステンレス製の円筒にロール状に巻
き取った。このロール状のガラス織物を回分式のオーブ
ンにて400 ℃で30時間加熱して一次バインダーや経糸糊
剤を焼却除去した。
【0030】焼却除去後のガラス織物について以下の特
性を測定した。焼却除去性を評価する尺度として微量炭
化物による着色すなわち色調と残留炭素量そのものを測
定した。 ・色調:室温(25℃)にて5cm×5cmのガラス織物試料
を32枚重ねてポリエチレン製の袋に入れ、ベンジルアル
コールを浸漬させて泡抜きした後に、試料の色調b*を
色彩色差計で測定した。この色調の測定値は、試料表面
の色合いを評価する尺度であって、CIE(国際照明委
員会)表色系の感覚色度(L*、a*、b*)のうち微
量炭化物による着色度がはっきり表れるb*を対象とし
た。この値が+のときは黄色、−のときは青色の色調を
表す。判定は以下の基準に従った。 ○:b*≦−7.0 、△:−7.0 <b*≦−5.0 、×:−
5.0 <b*
【0031】・残留炭素量:ガラス織物試料500 mgを石
英ボートに入れ重量を測定する。この試料を純酸素中に
おいて820 ℃で1分間焼却し発生した炭酸ガスをガスク
ロマトグラフで定量し、ガラス織物試料に対する比率を
次式にて換算し残留炭素量を算出した。 残留炭素量=ガスクロマトグラフ定量値/ガラス織物試
料重量×100
【0032】また、本発明の経糸糊剤について以下の特
性を測定した。熱分解促進物質添加により経糸糊剤とし
ての基本性能である糊膜強度が低下することがないかど
うかを下記の測定によって確認した。 ・フィルム強度:本経糸糊剤の5重量%水溶液より乾式
流延法にて1g/m2のフィルムを製膜し(乾燥;130 ℃×
5分間)、巾25mm×長さ250 mmに裁断し両端を引張試験
機にチャッキングし、引張速度10mm/分で引張り、破断
強度を測定した。
【0033】比較例1 けん化度87%、重合度600 のポリビニールアルコールと
ポリエチレングリコール変性品からなる油剤を10:1の
重量比で調合し、水に5重量%の濃度で完全溶解させ
た。この溶液をガラス経糸に塗布して乾燥させた後、ロ
ール状に巻き取った。このガラス経糸を実施例1と同様
に、ガラス織物に製織し回分式オーブンで400 ℃で30時
間加熱して一次バインダーや経糸糊剤を焼却除去した。
以上のガラス織物試料について実施例1と同様、色調、
残留炭素量を測定した。以上実施例1及び比較例1の測
定結果を表1にまとめて示した。
【0034】
【表1】
【0035】このような表1の結果から明らかなよう
に、従来使われているガラス織物用経糸糊剤の代表例で
ある比較例1に比べて、本発明の経糸糊剤を用いた実施
例1の熱分解促進物質添加経糸糊剤はフィルム破断強度
が低下しておらず、また色調が著しく良好で残留炭素量
が少なく、本発明の経糸糊剤が、従来品に対して一段と
高性能な組成物であることが判明した。
【0036】実施例2および3ならびに比較例2および
3 本発明の構成物である熱分解促進物質の代表例である硝
酸第二鉄の添加の割合を様々に変えて本発明の範囲に属
する実施例2および3、と本発明の範囲から逸脱する比
較例2および3の配合物を調製し、基本的には実施例1
と同様の操作で経糸糊剤を得た。次いで実施例1と同様
にガラス経糸を作成し、実施例1と同様に、ガラス織物
の製織および焼却除去を行った。
【0037】以上のガラス織物試料について実施例1と
同様、色調、残留炭素量およびフィルム強度を測定し
た。以上実施例2および3ならびに比較例2および3の
測定結果を表2にまとめて示した。
【0038】
【表2】
【0039】表2に示された実施例2および3と比較例
2および3の比較から明らかなように、熱分解促進物質
の添加量が、本発明の範囲から逸脱した場合にはガラス
織物用途には適さない。比較例2のものは色調が悪く残
留炭素量も多いため焼却性が不十分になっている。また
比較例3のものは残留炭素量は低いが色調が悪く着色し
ており、またフィルム破断強度も低下しており問題であ
る。これに対し、本発明の範囲の熱分解促進物質を添加
した実施例1〜3はいずれも優れた性能を有している。
【0040】
【発明の効果】本発明のガラス織物用経糸糊剤は、従来
の経糸糊剤に比較して、経糸糊剤としての基本性能であ
る糊膜強度が低下することがなく、しかも一次バインダ
ーや経糸糊剤の焼却除去性が一段と卓越している。ま
た、本発明のヒートクリーニング方法によると還元雰囲
気においても比較的低温にて容易に糊付ガラス織物から
一次バインダーや経糸糊剤を除去することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/65 15/01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱分解促進物質を糊剤固形分に対して0.
    03〜1重量%配合してなることを特徴とするガラス織物
    用経糸糊剤。
  2. 【請求項2】 糊剤固形分の主成分がポリビニールアル
    コール、水エマルジョン型アクリル樹脂、水溶性アクリ
    ル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピリジ
    ン、ポリエチレンオキサイド、でんぷん系炭水化物、デ
    キストリン、カルボキシメチルセルローズ、上記各化合
    物の誘導体又は変性体あるいはこれらの共重合体又は上
    記高分子の少なくとも1種以上を含む他の高分子との共
    重合体より選ばれた1種以上の親水性高分子物質よりな
    り、熱分解促進物質が第8族(鉄族)元素の化合物であ
    ることを特徴とする請求項1記載のガラス織物用経糸糊
    剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の経糸糊剤
    にて糊付されたガラス織物を還元雰囲気下に加熱し、経
    糸糊剤を熱分解することを特徴とするガラス織物のヒー
    トクリーニング方法。
JP5353148A 1993-12-28 1993-12-28 ガラス織物用経糸糊剤及びそれを用いた糊付ガラス織物のヒートクリーニング方法 Pending JPH07197380A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5353148A JPH07197380A (ja) 1993-12-28 1993-12-28 ガラス織物用経糸糊剤及びそれを用いた糊付ガラス織物のヒートクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5353148A JPH07197380A (ja) 1993-12-28 1993-12-28 ガラス織物用経糸糊剤及びそれを用いた糊付ガラス織物のヒートクリーニング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07197380A true JPH07197380A (ja) 1995-08-01

Family

ID=18428890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5353148A Pending JPH07197380A (ja) 1993-12-28 1993-12-28 ガラス織物用経糸糊剤及びそれを用いた糊付ガラス織物のヒートクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07197380A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6228496B1 (en) 1999-05-26 2001-05-08 Ppg Industries Ohio, Inc. Sizing composition for glass fibers
WO2004003282A1 (ja) * 2002-06-28 2004-01-08 Asahi Fiber Glass Company, Limited ガラス繊維ヤーン用集束剤及びそれを用いたガラス繊維ヤーン
JP2022097698A (ja) * 2018-08-03 2022-06-30 日本電気硝子株式会社 繊維シートの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6228496B1 (en) 1999-05-26 2001-05-08 Ppg Industries Ohio, Inc. Sizing composition for glass fibers
WO2004003282A1 (ja) * 2002-06-28 2004-01-08 Asahi Fiber Glass Company, Limited ガラス繊維ヤーン用集束剤及びそれを用いたガラス繊維ヤーン
JP2022097698A (ja) * 2018-08-03 2022-06-30 日本電気硝子株式会社 繊維シートの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2179104C (en) Use of polyacrylic acid and other polymers as additives in fiberglass formaldehyde based binders
EP1534797B1 (en) Aqueous formaldehyde-free composition and fiberglass insulation including the same
US4483976A (en) Polyester binder fibers
WO2011019598A1 (en) Curable fiberglass binder
JPH07197380A (ja) ガラス織物用経糸糊剤及びそれを用いた糊付ガラス織物のヒートクリーニング方法
CA2142603C (en) Vinyl polymer compatible treated glass-type substrates
CA1175972A (en) Aqueous treating composition for glass fiber yarns and treated yarns
CN114438789B (zh) 一种电子级玻璃纤维布用浆料及其制备方法
JPS59228069A (ja) アクリロニトリル系繊維
JP3259458B2 (ja) シリカアルミナ繊維の製造方法
JP4224869B2 (ja) ガラス繊維織物
JPH02120258A (ja) ガラス繊維用集束剤
JPH04194077A (ja) ポリエステル繊維
US4171403A (en) Glass fiber coated with a hydroxy-ethylated starch, a tertiary amine etherified starch, and a methyl methacrylate latex polymer or co-polymer
JP3009365B2 (ja) 溶融金属用パッキン材とその製造方法
JP4699821B2 (ja) 炭素繊維製造用アクリル繊維油剤
JPS63265839A (ja) ガラス繊維用サイズ剤
US4359503A (en) Mixed polyvalent-monovalent metal coating for carbon-graphite fibers
JPH0474736A (ja) ガラス繊維用処理剤
JPH07279055A (ja) ガラス織物用経糸糊剤
EP0243123B1 (en) Refractory fibers of amorphous alumina and phosphorus pentoxide
JPH05214678A (ja) 経糸糊剤
JPS61270236A (ja) ガラス繊維用集束剤及びその製造方法
JPH10287448A (ja) ガラス繊維ヤ−ン用集束剤
JPH0684257B2 (ja) 無機質繊維製造用原糸油剤