JPH07195923A - バネ下状態検出装置 - Google Patents

バネ下状態検出装置

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JPH07195923A
JPH07195923A JP35465593A JP35465593A JPH07195923A JP H07195923 A JPH07195923 A JP H07195923A JP 35465593 A JP35465593 A JP 35465593A JP 35465593 A JP35465593 A JP 35465593A JP H07195923 A JPH07195923 A JP H07195923A
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JP
Japan
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equation
detecting
suspension
unsprung
vehicle body
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JP35465593A
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Inventor
Katsuji Yamashita
勝司 山下
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バネ下の状態をバネ下加速度計を用いること
なく検出することで、部品点数の削減、装置の信頼性を
高める。 【構成】 推定器101は、シリンダ圧力センサ91で
検出されるアクチュエータのシリンダ内の圧力と、サス
ペンション変位センサ31で検出されるサスペンション
の変位と、ECUからアクチュエータへ出力されるサー
ボ弁電流信号iv1と、第1ないし第3の上下加速度セン
サ36,37,38で検出される車体の右ドア部、重心
部およびリアトランク部における上下加速度とに基づい
て、バネ下である車輪の上下速度を推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アクティブ型のサス
ペンションを備える車両におけるバネ下の状態を検出す
るバネ下状態検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アクティブ制御を自動車のサスペ
ンションに応用したアクティブサスペンションが現実の
ものとなっている。このアクティブサスペンションは、
車体と車輪との間に油圧シリンダを設け、その油圧を油
圧サーボバルブによって制御するもので、積極的な制振
を実現することができる。
【0003】このアクティブサスペンションでは、乗り
心地と車体姿勢の向上を主な目的としてフィードバック
コントローラの設計がなされている。フィードバックコ
ントローラでは、車両の状態量が全て観測可能であるな
らば、それら状態量を用いて、次式に示す状態フィード
バック; u=Kx …(1) を行なうことで、操作エネルギの制約範囲内で設計者の
希望する任意の制御性能を得ることができる。(1)式
において、xが状態量に相当し、uが操作量である。な
お、アクティブサスペンションの制御系は、可変制御で
あると考える。
【0004】上記状態量xとしては、サスペンション変
位やタイヤたわみ等の相対変位項、車体と各車輪に関す
る絶対速度項、および油圧シリンダの幾つかの状態量が
ある。このアクティブサスペンションでは、これら状態
量の内の車体の絶対速度項を用いて上述した(1)式に
従うフィードバック制御を行なうことで、スカイフック
ダンパの理論に従う制御を実現して、乗り心地を向上す
ることができる。また、相対変位項であるサスペンショ
ン変位を用いてフィードバック制御を行なうことで、車
体姿勢を向上することができる。
【0005】ところで、現在のアクティブサスペンショ
ンは、前述してきた乗り心地と車体姿勢の向上が主な目
的であり、接地性の向上を積極的に狙うものではない。
これに対して、近年、操安性を高める上で、接地性の向
上の要求が高まっており、接地性の向上のためには、車
輪の絶対速度項のフィードバック制御が不可欠であっる
ことが、最近の現代制御理論に基づく研究から明らかに
なりつつある。
【0006】従って、接地性の向上を図るには、車輪の
絶対速度項を検出する手段が必要となるが、これは、車
輪の重心点に加速度計を装着し、それを用いて車輪の上
下加速度を直接計測することで実現できる。そのような
技術が特開昭63−258207号公報に開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記加
速度計(バネ下上下加速度計)の使用は、部品点数が増
え構成が複雑化する問題を招いた。さらに、配線の取り
回しによって断線したり、振動等の悪影響を受け易いと
いうように、バネ下上下加速度計の配置において環境的
な条件が厳しいといった問題もあった。
【0008】この発明は、バネ下の状態によるサスペン
ション制御を行なうことで接地性の向上を図れるという
新たな知見に基づいてなされたものであり、バネ下の状
態をバネ下上下加速度計を用いることなく検出すること
で、前述した問題点を解消することを、その目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のバネ下状態検出
装置は、発明の基本的構成を例示するブロック図である
図1に示すように、車両のバネ下部材とバネ上部材との
間に介装された流体圧アクチュエータM1と、該流体圧
アクチュエータM1の作動圧を所定の指令信号に応じて
調整可能な圧力制御弁M2とを備えた能動型のサスペン
ションSC1を備える車両におけるバネ下の状態を検出
するバネ下状態検出装置であって、前記流体圧アクチュ
エータM1のシリンダ内の圧力を検出するシリンダ圧力
検出手段M3と、前記サスペンションSC1の変位を検
出するサスペンション変位検出手段M4と、前記圧力制
御弁M2から前記流体圧アクチュエータM1へ流れる流
体の流量を検出する流量検出手段M5と、車体BDのロ
ール角速度を検出するロール角速度検出手段M6と、前
記車体BDのピッチ角速度を検出するピッチ角速度検出
手段M7と、前記車体BDの上下方向の速度を検出する
バネ上上下速度検出手段M8と、前記各検出手段M3,
M4,M5,M6,M7,M8で検出された各検出結果
に基づき車輪WHの状態を推定するバネ下状態推定手段
M9とを備えたことを要旨とする。
【0010】なお、この発明のバネ下状態検出装置にお
いて、前記流量検出手段M5は、前記圧力制御弁M2に
入力する指令信号に基づいて前記流量を演算により求め
る演算部を備えた構成としてもよい。
【0011】
【作用】以上のように構成された本発明のバネ下状態検
出装置は、検出手段M3,M4,M5,M6,M7,M
8で検出された流体圧アクチュエータM1のシリンダ内
の圧力と、サスペンションSC1の変位と、圧力制御弁
M2から流体圧アクチュエータM1へ流れる流体の流量
と、車体BDのロール角速度と、車体BDのピッチ角速
度と、車体BDの上下方向の速度とに基づき、バネ下状
態推定手段M9により車輪WHの状態を推定する。この
ため、バネ下状態を検出するセンサを用いずに、車輪W
Hの状態の推定がなされる。
【0012】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明の好適な実施例について説
明する。
【0013】1.サスペンション制御装置のハードウェ
ア構成 図2は、一実施例としてのサスペンション制御装置を搭
載する車両における各部材の配置を示す説明図である。
この図に示すように、車両10のアクティブサスペンシ
ョンには、油圧によって作動するアクチュエータ21,
22,23,24を、左右前後のバネ下部材11,1
2,13,14の各車輪11a,12a,13a,14
aに配置している。そして、アクティブサスペンション
には、センサ群として、バネ下部材11ないし14のバ
ネ上部材16に対する相対的な変位(アクチュエータ2
1ないし24が取り付けられている部位における変位)
を検出するサスペンション変位センサ31,32,3
3,34と、バネ上部材16の一部である車体16aの
右ドア部、重心部およびリアトランク部にそれぞれ設け
られた第1ないし第3の上下加速度センサ36,37,
38と、イグニッションスイッチ41(図4)等を備え
る。
【0014】図3は、アクティブサスペンションの流体
回路の概略構成図である。この図に示すように、この流
体回路には、作動流体としてのオイルを貯留するリザー
バ50を備える。リザーバ50には接続通路52の一端
と、作動流体を排出する排出通路54の一端とが接続さ
れている。接続通路52の他端はエンジン40により駆
動されるポンプ56の吸入側に接続されている。
【0015】ポンプ56は可変容量ポンプであり、その
吐出側には作動流体を供給する供給通路58の一端が接
続されている。供給通路58の他端および排出通路54
の他端は、圧力制御弁である3ポート3位置切換式のサ
ーボ弁60のPポートおよびRポートにそれぞれ連通接
続されている。排出通路54の途中には他の車輪よりの
連通接続部54aが設けられており、その連通接続部5
4aよりもサーボ弁60の側に逆止弁62が設けられて
いる。この逆止弁62はサーボ弁60よりリザーバ50
へ向かう作動流体の流れのみを許すようになっている。
【0016】サーボ弁60のVポートには接続通路70
が接続されている。こうしたサーボ弁60は、外部から
の電気信号を受けて、PポートとVポートとを連通接続
する切換位置60aと、全てのポートの連通を遮断する
切換位置60bと、RポートとVポートとを連通接続す
る切換位置60cとに切替わるようになっている。
【0017】接続通路70の他端は車輪11aないし1
4aに対応して設けられた前記アクチュエータ21ない
し24のシリンダ21a(図3には、左前のバネ下部材
11に対応する部分のみ表示)に連通接続されている。
アクチュエータ21ないし24は一種のシリンダ−ピス
トン装置であり、車輪11aを支持するロアアーム42
aと車体16aとの間に配設され、シリンダ21aに対
し作動流体が給排されることにより対応する部位の車高
を増減するようになっている。なお、バネ下部材11と
は、車輪11a、ロアアーム42a、さらにアッパアー
ム42b等を含むものである。
【0018】シリンダ21aには通路74により気液バ
ネ装置(ガスばね)76が接続されており、通路74の
途中には減衰弁78が設けられている。これらによりガ
スばね76はサスペンションスプリングまたは補助的な
サスペンションスプリングとして作用し、減衰弁78
は、開口面積が一定の絞りからなり、減衰力を発生する
ようになっている。
【0019】供給通路58の途中には、フィルタ80
と、ポンプ56よりサーボ弁60へ向かう作動流体の流
れのみを許す逆止弁82とが設けられている。さらに、
逆止弁82より下流側の供給通路58にはアキュームレ
ータ84が連通接続されている。なお、アキュームレー
タ84よりもサーボ弁60側の構成部品、即ち、サーボ
弁60、接続通路70、減衰弁78、アクチュエータ2
1およびガスばね76等は、各車輪に対応して車輪毎に
それぞれ設けられており、アキュームレータ84に接続
される供給通路58に、それら構成部品は並列に接続さ
れている。
【0020】なお、各アクチュエータ21,22,2
3,24のシリンダ21aには、その内圧を検出するシ
リンダ圧力センサ91,92,93,94(92〜94
については図4参照)が各輪に対応してそれぞれ設けら
れている。
【0021】図4に示すように、前述してきたセンサ
群、即ち、イグニッションスイッチ(IGSW)41、
サスペンション変位センサ31,32,33,34、第
1ないし第3の上下加速度センサ36,37,38、シ
リンダ圧力センサ91,92,93,94等は、サスペ
ンションコントロール装置100に電気的に接続されて
いる。
【0022】サスペンションコントロール装置100
は、各センサ群からの信号を取り込んで各車輪11a,
12a,13a,14aの上下方向の速度を推定する第
1ないし第4の推定器101,102,103,104
と、各センサ群からの信号に加えてそれらの推定結果を
取り込んでアクチュエータ21ないし24のサーボ弁6
0(各輪に対応するサーボ弁を60FL,60FR,6
0RL,60RRで示す)を駆動制御する電子制御ユニ
ット(以下、単にECUと呼ぶ)106とを備える。E
CU106は、マイクロコンピュータを中心とする論理
演算回路として構成されるもので、周知のCPU106
a,ROM106b,RAM106c等を備えている。
【0023】2.推定器の構成 推定器101ないし104について次に説明する。この
推定器101ないし104は、サスペンションの接地性
を決めるのに重要な車輪11aないし14aの上下方向
の速度を、前述した各センサで観測可能な物理量から正
確に推定するもので、所定の数学モデルからその推定を
行なっている。以下、その数学モデルについて詳しく説
明する。
【0024】このサスペンションの油圧系を構成する各
デバイスの運動方程式は、次の(2)ないし(5)式で
表わされる。ここでは、各車輪11aないし14aのう
ちの任意の一輪を第k(k=1,2,3,4)輪と呼ん
で、その第k輪の運動方程式についてのみ示した。な
お、これら各デバイスの非線形特性は、動作点近傍で線
形化されている。
【0025】
【数1】
【0026】ここで、各定数、各変数は次の意味を持
つ。
【数2】
【0027】上記(2)式で示されるサーボ弁60に関
する運動方程式がどのようにして求められたかを、次に
詳しく説明する。サーボ弁60の詳しい構成を図5に示
した。図5に示すように、サーボ弁60は、スリーブ2
01とスプール203とを備えている。スリーブ201
には窓状のポートが3つ設けられており、Pポート20
1aにポンプ56側の供給通路58が、Rポート201
bにドレンへの排出通路54が、Vポート201cにシ
リンダ21aへの接続通路70がそれぞれつながれてい
る。
【0028】上記スリーブ201にはソレノイド205
が一体的に付設されており、このソレノイド205に電
流ivを流すことにより、ロッド207を介してスプー
ル203を図中、左右方向に移動する。この結果、スプ
ール203は、オフセット位置と左右両側の作動位置と
の間で移動制御される。こうした構成のサーボ弁60に
ついての運動方程式は次式(6)で表わされる。
【数3】
【0029】ここで、xv はスプール203の移動量で
あり、Kv はゲイン定数で、Tv は時定数である。
(2)式によれば、ソレノイド205に電流ivを流す
と、スプール203は一次遅れにて移動することがわか
る。この移動を受けて、スプール203の位置により決
まる弁体の開口面積av は次式(7)で示される大きさ
となる。
【0030】
【数4】 ここで、Dv はスプール203の径である。
【0031】スプール203がxv の正方向(図5中、
右方向)に移動したとき、即ち、(7)式で求まる弁体
の開口面積av が値0以上であるとき、スプール203
は左側の作動位置(前述した切換位置60a)に移動
し、供給通路58と接続通路70とが連通する。このと
き、作動流体は供給通路58から接続通路70へ流れる
が、この流量はベルヌイの式より次式(8)に示すよう
に求まる。
【0032】
【数5】 ここで、pp は供給通路58内の圧力、pv は接続通路
70内の圧力、Cv は定数である。
【0033】一方、スプール203がxv の負方向(図
5中、左方向)に移動したとき、即ち、弁体の開口面積
av が値0より小さいとき、スプール203は右側の作
動位置に移動し、排出通路54と接続通路70とが連通
する。このとき、作動流体は接続通路70から排出通路
54へ次式(9)に基づく流量qciだけ流れる。
【0034】
【数6】 ここで、pr は排出通路54内の圧力である。
【0035】(8)式,(9)式を線形化すると、次式
(10)が求まる。
【数7】
【0036】(7)式および(10)式の内容を(6)
式に代入すると次のようになる。
【数8】
【0037】その結果、サーボ弁60の運動方程式は次
式(11)で示すように求まる。
【数9】 この(11)式は、前述した(2)式に相当する。
【0038】次に、(3)式で表わされるアクチュエー
タ21の運動方程式について説明する。アクチュエータ
21の概略構成を図6に示した。図6に示すように、ア
クチュエータ21は、一種のシリンダ−ピストン装置で
あり、このシリンダ21aから流れ出るオイルの流量q
cok とシリンダ21aへ流れ込む流量qcik との差が、
ピストン21bの上下方向の速度、即ち、サスペンショ
ンの変位速度とシリンダの圧力pckとを掛けたものとな
る。この関係を示したのが(3)式で表わされるアクチ
ュエータ21の運動方程式である。
【0039】次に、(4)式で表わされる減衰弁78の
運動方程式について説明する。この減衰弁78は、前述
したように開口面積が一定となる固定絞りであり、流量
が差圧に対して比例する関係を持つ。この関係を示した
のが(4)式で表わされる減衰弁78の運動方程式であ
る。
【0040】次に、(5)式で示されるガスばね76の
運動方程式がどのようにして求められたかを説明する。
ガスばね76は、図7に示すように、アキュムレータ2
20内をダイヤフラム222により上室220aと下室
220bとにより分けて、その上室220aに窒素ガス
を封入して、その窒素ガスの圧縮性をばねとして利用す
るものである。上室220aは断熱変化するものとする
と、そのガスばね76では次式(12)の関係が成立す
る。
【0041】
【数10】
【0042】(12)式において、Pg0は窒素ガスの初
期封入圧を、Vg0は窒素ガスの初期封入体積をそれぞれ
示し、Pairは大気圧を示す。また、上室220aの内
圧pgと下室220bの内圧pa とはダイヤフラム22
2を介して釣り合っていることから、次式(13)の関
係が成立する。
【数11】
【0043】さらに、ガスばね76においては、シリン
ダ21aからガスばね76へ供給されるオイルの流量q
coが、下室220bの体積va の増加側への変化速度と
上室220aの体積vg の減少側への変化と一致するこ
とから、次式(14)の関係が成立する。
【0044】
【数12】
【0045】(12)式を線形化して(13)式に代
入、その後、両辺を微分後、(14)式を代入すると、
次式(15)の関係が成立する。
【0046】
【数13】 この関係を示したのが(5)式で示されるガスばね76
の運動方程式である。
【0047】(3)式および(5)式の積分値を(4)
式に代入することで、qcok,pakを消去し、pckで展
開すれば、第k輪のシリンダ21aの圧力は次式(1
6)で示される。
【0048】
【数14】 但し、vcik は、サーボ弁60からシリンダ21aへの
流入体積である。
【0049】次に、車両の動きを解析するべく、車両の
等価モデルを図8に示した。一般に、車体16aは、左
右、前後、上下の3方向と、各方向を回転軸とする3つ
の回転方向とに自由な剛体であるが、サスペンションの
アクチュエータ21〜24により車体16aの振動制御
を行なう場合、左右、前後の方向と上下方向周りの回転
方向はその動きを調節することができないことから、車
体16aは、その他の上下方向zと、前後方向周りの回
転方向θと、左右方向周りの回転運動ψとに自由な剛体
と考えることができる。
【0050】一方、車輪11a〜14aは、上下方向に
自由な質点と考えることができる。今回は考慮していな
いが、各バネ下部材11〜14はタイヤ11b〜14b
を備えている。また、アクチュエータ21〜24は、車
体16aと車輪11a〜14aとを拘束する条件と考え
ることができる。こうした車両の等価モデルの幾何学的
関係から、車体16aと各車輪11a〜14aとの相対
的な変位速度、即ち、各サスペンション変位速度は、次
の(17)ないし(20)式で表わされる。
【0051】
【数15】
【0052】ここで、各定数、各変数は次の意味を持
つ。
【数16】
【0053】上記(17)ないし(20)式で示される
関係式がどのようにして求められたかを、次に詳しく説
明する。ここでは、左前輪11a側を例に挙げて説明す
る。図9に示すように、車体16aと車輪11aとの間
にはアクチュエータ21が設けられている。その車輪1
1aの上下方向の変位zw1と、車体16aのアッパーサ
ポート部の上下方向の変位zus1 との差は、アクチュエ
ータ21の取り付けられた部位におけるロアアーム42
aと車体16aの相対変位(本実施例におけるサスペン
ション変位)zlus1とアーム比λf (=s2/s1)と
を用いて次式(21)で表わされる。
【数17】
【0054】また、車体16aのアッパーサポート部の
上下方向の変位zus1 は、車体16aの重心点の上下方
向の変位zと、その重心点のθ方向の回転角度変位と、
ψ方向の回転角度変位とを用いて次式(22)で表わさ
れる。
【数18】
【0055】なお、前記変位z、回転角度変位θ,ψの
各時間微分値は、次の(23)ないし(25)式に示す
ように、車体上下速度vz ,車体ロール角速度p,車体
ピッチ角速度qを示すものである。
【0056】
【数19】
【0057】(21)式を微分して、変形すると次式
(26)となる。
【数20】
【0058】また、(22)式を微分して、(23)な
いし(25)式を代入すると、次式(27)の関係が成
り立つ。
【数21】
【0059】(26)式に(27)式を代入することに
より、前述した(17)式が成立することが判る。な
お、左前輪11a以外のその他の部位のサスペンション
変位速度を表わす(18)ないし(20)式について
も、その幾何学的関係から同様にして求めることができ
る。
【0060】そして、(17)ないし(20)式を(1
6)式に代入することでサスペンション変位速度の項を
消去し、バネ下部材11〜14の上下速度で展開するこ
とにより、第k輪の車輪上下速度は次式(28)のよう
になる。
【数22】
【0061】(28)式によれば、第k輪の車輪上下速
度は、第k輪についてのシリンダ圧力pckと、サスペン
ション変位zluskと、サーボ弁60からシリンダ21a
への流量qcik と、その流入体積vcik と、車体ロール
角速度pと、車体ピッチ角速度qと、車体上下速度vz
とから推定できることが判る。
【0062】第k輪についてのシリンダ圧力pckは、シ
リンダ圧力センサ91ないし94により直接検出するこ
とができ、サスペンション変位zluskは、サスペンショ
ン変位センサ31ないし34により直接検出することが
できる。サーボ弁60からシリンダ21aへの流量qci
k および流入体積vcik は、ECU106からサーボ弁
60へ出力される制御電流ivkに基づいて間接的に求め
ることができる。即ち、その制御電流ivkを前述した
(2)式に代入することで、サーボ弁60からシリンダ
21aへの流量qcik を求めることができる。また、流
入体積vcik については、その流量qcik を積分するこ
とで算出することができる。
【0063】車体ロール角速度p,車体ピッチ角速度q
および車体上下速度vz は、第1ないし第3の上下加速
度センサ36,37,38の検出値に基づいて間接的に
それぞれ検出することができる。即ち、第1ないし第3
の上下加速度センサ36,37,38の検出値を次の
(29),(30)式に代入することで、ロール角加速
度およびピッチ角加速度を求め、両角加速度と前記車体
上下加速度vz を積分することにより、車体ロール角速
度p,車体ピッチ角速度qおよび車体上下速度vz を求
めることができる。
【0064】
【数23】
【0065】したがって、シリンダ圧力センサ91〜9
4,サスペンション変位センサ31〜34および第1な
いし第3の上下加速度センサ36〜38の検出信号と、
ECU106から出力されるサーボ弁電流iv1とから、
シリンダ圧力pck,サスペンション変位zlusk,シリン
ダ21aへの流量qcik ,その流入体積vcik ,車体ロ
ール角速度p,車体ピッチ角速度qおよび車体上下速度
vz をそれぞれ算出することができ、これらの変数を
(28)式に代入することにより、車輪上下速度を推定
することができる。これをディスクリートな電子回路で
構成したのが図10に示す第1および第2の推定器10
1,102である。
【0066】図10に示すように、第1の推定器101
は、(29),(30)式で示す変換を実行する第1の
行列変換器101aと、(2)式で示す変換を実行する
第2の行列変換器101bと、(28)式で示す変換を
実行する第3の行列変換器101cと、2つの積分器1
01d、101eとを備えている。第1ないし第3の上
下加速度センサ36〜38から出力される各検出信号が
第1の行列変換器101aに入力され、その第1の行列
変換器101aの出力信号が第1の積分器101dに入
力される。
【0067】ECU106から出力されるサーボ弁電流
信号iv1が第3の行列変換器101cに入力され、その
第3の行列変換器101cの出力信号が第2の積分器1
01eに入力される。両積分器101d,101eの出
力信号と、第2の行列変換器101bの出力信号と、左
前輪11a側のサスペンション変位センサ31およびシ
リンダ圧力センサ91の検出信号とがそれぞれ第3の行
列変換器101cに入力される。こうした構成の推定器
101により、左前輪11aの上下速度を推定すること
ができる。
【0068】一方、第2の推定器102は、前記第2の
行列変換器101b,第2の積分器101e,第3の行
列変換器101cと同じ構成の行列変換器102b,積
分器102eおよび行列変換器102cから構成され
る。前記第1の推定器101と比べると、第1の行列変
換器101aと第1の積分器101dとに相当する構成
がなく、第1の積分器101dの出力信号をこの第2の
推定器102まで渡して行列変換器102cに入力して
いる。
【0069】第2の推定器102においては、ECU1
06から出力されるサーボ弁電流信号iv2が行列変換器
102cに入力され、その行列変換器102cの出力信
号が積分器102eに入力される。積分器102eの出
力信号と、右前輪12a側のサスペンション変位センサ
32およびシリンダ圧力センサ92の検出信号と、前記
第1の推定器101側からの出力信号とがそれぞれ行列
変換器102cに入力される。こうした構成の推定器1
02により、右前輪12aの上下速度を推定することが
できる。
【0070】なお、第3および第4の推定器103,1
04についてはここでは詳しい説明は省略するが、両推
定器103,104は、前記第2の推定器と同じ構成に
より、左右後輪13a,14aの上下速度をそれぞれ推
定することができる。
【0071】3.ECUによるアクティブ制御 第1ないし第4の推定器101〜104の各出力信号
は、ECU106に入力される。ECU106は、前述
してきたセンサ群から出力される信号と第1ないし第4
の推定器101〜104から出力される信号を取り込ん
で、これらに基づいてサーボ弁60を制御する処理を実
行する。
【0072】以下、図11のフローチャートに沿ってそ
のサーボ弁60を制御する処理について説明する。EC
U106は、処理が開始されると、まず、IGSW4
1、サスペンション変位センサ31,32,33,3
4、第1ないし第3の上下加速度センサ36,37,3
8およびシリンダ圧力センサ91,92,93,94か
ら各検出信号を読み込む(ステップS1)。次いで、第
1ないし第4の推定器101〜104から出力される車
輪の上下速度を読み込む(ステップS2)。
【0073】続いて、ステップS1で読み込んだセンサ
群の内のIGSWの信号がオフ状態であるか否かを判別
する(ステップS3)。ここで、オフ状態でないと判別
されると、ステップS1,S2で読み込んだセンサ群の
検出信号と車輪上下速度とを用いてフィードバック制御
の演算を行ない(ステップS4)、その演算結果により
サーボ弁60FL,60FR,60RL,60RRを駆
動する(ステップS5)。ステップS5の実行後、ステ
ップS1に戻りステップS1ないしS5の処理を繰り返
し実行する。一方、ステップS3でIGSWの信号がオ
フ状態であると判別されると、「エンド」に抜けてこの
処理を終える。
【0074】4.実施例の効果 以上、詳述した実施例のバネ下状態検出装置によれば、
バネ下である車輪の上下速度を、シリンダ圧力センサ9
1ないし94で検出されるアクチュエータ21〜24の
シリンダ内の圧力と、サスペンション変位センサ31な
いし34で検出されるサスペンションの変位と、ECU
106からサーボ弁60へ出力されるサーボ弁電流信号
iv1と、第1ないし第3の上下加速度センサ36,3
7,38で検出される車体16aの右ドア部、重心部お
よびリアトランク部における上下加速度と、に基づいて
正確に推定することができる。
【0075】したがって、バネ下状態を直接検出するバ
ネ下加速度計等のセンサを用いる必要がないことから、
部品点数を削減して構成の簡略化を図ることができる。
さらに、配線の取り回しによって断線したり、振動等の
悪影響を受け易いというように、検出手段の配置におい
て環境的な条件が厳しいといったこともなく、装置の信
頼性を高めることができる。
【0076】更に、このサスペンション制御装置におい
ては、その推定結果である車輪の上下速度からフィード
バック制御によりサスペンションの制振を適切に行なう
ことができ、接地性の向上を図ることができる。
【0077】特に、本実施例では、車輪の上下速度の算
出に要する全てのセンサ群を、従来のアクティブサスペ
ンションに使用されるセンサ群と共用しているため、従
来のアクティブサスペンション搭載の車両に適用するに
際し、部品点数や組み付け工数、コストの低減を図るこ
とができる。また、本実施例では、ECU106からサ
ーボ弁60へ出力される制御電流ivkに基づいて間接的
にシリンダ21aへの流量qcik を算出することによ
り、流量検出手段M5を構成していることから、より部
品点数やコストの低減を図ることができる。
【0078】本実施例で示される車両を実際に車速50
km/hで悪路を走行させた場合の第1ないし第4の推定器
101〜104の推定結果を、図12に示した。図12
中、実線は、第1ないし第4推定器101〜104で検
出された車輪の上下速度を示し、破線は、バネ下加速度
計の測定値から求めた車輪の上下速度を示す。図12か
ら判るように、各輪における上下速度の推定値の変動
は、バネ下加速度計から求めた値の変動と非常に良く一
致している。この実験からも、第1ないし第4推定器1
01〜104は、車輪の上下速度を高精度に検出してい
ることが判る。
【0079】なお、前記実施例では、流量検出手段M5
を、制御電流ivkから演算により間接的に流量qcik を
求める構成としていたが、これに換えて、サーボ弁60
とシリンダ21aとを接続する接続通路70にその流量
を検出するフローメータを設け、そのフローメータによ
り直接流量qcik を検出する構成としてもよい。
【0080】また、前記実施例では、バネ下状態推定手
段M9として車輪の上下方向の速度を推定していたが、
これに換えて、車輪の上下方向の加速度等、他の車輪状
態を推定するものであってもよい。
【0081】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように本発明のバネ下状態
検出装置によれば、バネ下である車輪の状態を、流体圧
シリンダ内の圧力と、サスペンションの変位と、圧力制
御弁から流体圧シリンダへ流れる流体の流量と、車体の
ロール角速度と、車体のピッチ角速度と、車体の上下方
向の速度とに基づいて正確に推定することができる。し
たがって、バネ下状態を直接検出するバネ下加速度計等
のセンサを用いる必要がないことから、部品点数を削減
して構成の簡略化を図ることができる。さらに、配線の
取り回しによって断線したり、振動等の悪影響を受け易
いというように、検出手段の配置において環境的な条件
が厳しいといったこともなく、装置の信頼性を高めるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバネ下状態検出装置の基本的構成を例
示するブロック図である。
【図2】本発明の一実施例としてのサスペンション制御
装置を搭載する車両における各部材の配置を示す説明図
である。
【図3】アクティブサスペンションの流体回路の概略構
成図である。
【図4】サスペンションコントロール装置100を中心
とする電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】サーボ弁60の縦断面図である。
【図6】アクチュエータ21の概略構成図である。
【図7】ガスばね76の縦断面図である。
【図8】車両の等価モデルを示す説明図である。
【図9】左前輪11a側におけるアクチュエータ21等
の幾何学的配置を示す説明図である。
【図10】推定器101,102の概略構成を示すブロ
ック図である。
【図11】ECU106で実行されるサスペンション制
御を示すフローチャートである。
【図12】第1ないし第4推定器101〜104で推定
された車輪の上下速度を、バネ下加速度計からの値と比
較して示すグラフである。
【符号の説明】
BD…車体 WH…車輪 SC1…サスペンション M1…流体圧シリンダ M2…圧力制御弁 M3…シリンダ圧力検出手段 M4…サスペンション変位検出手段 M5…流量検出手段 M6…ロール角速度検出手段 M7…ピッチ角速度検出手段 M8…バネ上上下速度検出手段 M9…バネ下状態推定手段 11,12,13,14…車輪 21,22,23,24…アクチュエータ 21a…シリンダ 21b…ピストン 31,32,33,34…サスペンション変位センサ 36,37,38…第1ないし第3の上下加速度センサ 40…エンジン 42…ロアアーム 50…リザーバ 56…ポンプ 60…サーボ弁 62…圧力制御弁 76…ガスばね 80…フィルタ 84…アキュームレータ 91,92,93,94…シリンダ圧力センサ 100…サスペンションコントロール装置 101,102,103,104…推定器 101a,101b,101c…行列変換器 101d,101e…積分器 106…ECU

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のバネ下部材とバネ上部材との間に
    介装された流体圧アクチュエータと、 該流体圧アクチュエータの作動圧を所定の指令信号に応
    じて調整可能な圧力制御弁とを備えた能動型のサスペン
    ションを備える車両におけるバネ下の状態を検出するバ
    ネ下状態検出装置であって、 前記流体圧アクチュエータのシリンダ内の圧力を検出す
    るシリンダ圧力検出手段と、 前記サスペンションの変位を検出するサスペンション変
    位検出手段と、 前記圧力制御弁から前記流体圧アクチュエータへ流れる
    流体の流量を検出する流量検出手段と、 車体のロール角速度を検出するロール角速度検出手段
    と、 前記車体のピッチ角速度を検出するピッチ角速度検出手
    段と、 前記車体の上下方向の速度を検出するバネ上上下速度検
    出手段と、 前記各検出手段で検出された各検出結果に基づき車輪の
    状態を推定するバネ下状態推定手段とを備えたバネ下状
    態検出装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019123848A1 (ja) * 2017-12-20 2019-06-27 三菱自動車工業株式会社 車両のアクティブサスペンション装置
JP2021508644A (ja) * 2018-09-10 2021-03-11 燕山大学Yanshan University アクティブサスペンションに基づく車載運動シミュレーションステージ及びその制御方法

Cited By (3)

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WO2019123848A1 (ja) * 2017-12-20 2019-06-27 三菱自動車工業株式会社 車両のアクティブサスペンション装置
JPWO2019123848A1 (ja) * 2017-12-20 2020-10-22 三菱自動車工業株式会社 車両のアクティブサスペンション装置
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