JPH07194687A - 医療用コラーゲンマトリックス及びその製造法 - Google Patents

医療用コラーゲンマトリックス及びその製造法

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JPH07194687A
JPH07194687A JP5355179A JP35517993A JPH07194687A JP H07194687 A JPH07194687 A JP H07194687A JP 5355179 A JP5355179 A JP 5355179A JP 35517993 A JP35517993 A JP 35517993A JP H07194687 A JPH07194687 A JP H07194687A
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collagen
matrix
silver
protein
medical
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JP5355179A
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English (en)
Inventor
Tsuguyoshi Taira
嗣良 平
Shinichiro Morita
真一郎 森田
Kazuya Matsuda
和也 松田
Toshiro Hayashi
壽郎 林
Yoshito Ikada
義人 筏
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gunze Ltd
Original Assignee
Gunze Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は抗菌性を有する医療用コラーゲンマ
トリックス並びにその製造法の提供に関し、長期にわた
る細菌抑制効果を備えた、特に人工皮膚、創傷被覆材等
の医用材料として用いて好適なものである。 【構成】 本発明は、その構成において、プロテイン銀
を担持して成ること、マトリックスが微細な3次元構造
を有すること、マトリックスが化学的に架橋されている
ことに特徴を有する医療用コラーゲンマトリックスであ
り、コラーゲンを化学的に架橋させるに際し、プロテイ
ン銀が付加された状態にてこれを行うことに特徴を有す
る医療用コラーゲンマトリックスの製造法の提供に関す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性を有する医療用
コラーゲンマトリックス並びにその製造法に関し、長期
にわたる細菌増殖抑制効果を備えた、特に、人工皮膚、
創傷被覆材等の医用材料として用いて好適なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】コラーゲンは生体親和性がよく、加工性
に優れることから従来より広汎な医療用途、例えば溶液
状で使用する充填材、粉末状あるいは綿状にした止血
材、不織布状にした創傷被覆材、スポンジ状に成型した
人工皮膚などに利用されている。然しながら、かかるコ
ラーゲンは細菌に対する汚染、或は、細菌の増殖性が極
めて高いため、創をより悪化させたり、場合によっては
コラーゲン自体を急速に融解してしまう問題を生ずる。
このためその使用に際しては、例えば、充填材や止血材
においては感染の恐れのない部位での使用、或は、創傷
被覆材においては予め抗生物質や抗菌剤溶液に浸した
後、適用することが行われている。
【0003】また、近時実用化段階にあるコラーゲンス
ポンジとシリコーンフィルムからなる人工皮膚(例え
ば、文献:日形会誌6:221〜231(1986)記
載)においては、スポンジ層に周辺組織から線維芽細胞
が侵入し、これを足場として疑似真皮様の組織が再生さ
れるまでに相当長期の日数を要するため、例えば、抗生
物質を含有した生体分解性高分子からなるポリマーをコ
ラーゲンスポンジ層に化学的、或は、物理的に組み込
み、これが長期にわたって持続、作用するよう構成した
抗生物質徐放型の人工皮膚が提案され、効果が確認され
ている。(文献:熱傷第14巻第4号 1988:12
参照)然しながら、かかる方法によるものは、抗生物質
に対する耐性菌の出現の可能性があること、更には、構
造が非常に複雑なことから製造技術、コスト上の問題が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる点、長
期にわたる抗菌効果の持続性を有すると共に、安全且
つ、コスト的にも安価な医療用コラーゲンマトリックス
を提供するもので、特に、治療に長期の日数を要する創
傷被覆材、人工皮膚等に用いて好適なものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、その構
成において、プロテイン銀を担持して成ること、マトリ
ックスが微細な3次元構造を有すること、マトリックス
が化学的に架橋されていることに特徴を有する医療用コ
ラーゲンマトリックスであり、コラーゲンを化学的に架
橋させるに際し、プロテイン銀が付加された状態にてこ
れを行うことに特徴を有する医療用コラーゲンマトリッ
クスの製造法の提供に関する。
【0006】
【作用】本発明は、コラーゲンマトリックスに医療用殺
菌剤として用いられるプロテイン銀を担持させた構成で
あるため、これが長期にわたって銀イオン、プロテイン
銀として放出され、その殺菌、制菌効果によって細菌、
雑菌の繁殖が抑制される。即ち、コラーゲンどプロテイ
ン銀のタンパク部分に化学架橋が導入されて担持され、
これによって長期の安定した徐放効果が得られ、また、
かかる架橋程度をコントロールすることによって任意の
徐放性を付与することができる特徴を有する。また、そ
の製法においては、人工皮膚として多孔質コラーゲンス
ポンジを製造する架橋工程において、プロテイン銀を存
在させるという、極めて簡単な方法によってこれが可能
であるため、安価に、しかも、高度な技術を要すること
なく製造できる特徴を有する。
【0007】本発明を構成するコラーゲンは皮膚、腱、
或は、動物、ヒト等の由来を問わないし、変性コラーゲ
ン、線維化コラーゲン等、その構造にかかわらず目的を
達することができるが、特に、医用材料としての用途を
考慮した場合、抗原性を低下させる目的で末端のテロペ
プタイドを酵素的に除去したアテロコラーゲンの使用が
好ましい。
【0008】一方、これに担持されるプロテイン銀は銀
塩が有する殺菌力を残しつつ、銀塩自体のもつ刺激性を
軽減する目的で作られたもので、そのプロテイン部分に
ついては銀塩と沈殿を生じうるものであればどのような
ものでも使用可能である。一般的にはペプトン、アルブ
ミン、プロテオース等が用いられるが、本発明において
マトリックスとして用いているコラーゲン、或は、ゼラ
チンであってもよい。コラーゲンマトリックスに対する
プロテイン銀の含有量については、その用途、或は、感
染の状態によって決定すればよいが、当該用途において
は、その使用量が多過ぎると銀による毒性が懸念される
ため、より好ましくは、乾燥コラーゲン重量に対し、
1.5〜30重量%の範囲にあるのが好ましい。
【0009】プロテイン銀をコラーゲンに担持させる方
法としては、両者を混合した後、攪拌し、凍結乾燥して
3次元構造のスポンジ状マトリックスとした後、熱脱水
架橋し、更に化学的架橋する方法、或は、3次元に構成
したコラーゲンマトリックスに対しプロテイン銀を噴
霧、流下する等して添加し、或は、プロテイン銀溶液に
浸漬させる等の方法により付加した後、化学的架橋する
方法が例示でき、このような処理によってプロテイン銀
が架橋され、担持されたミクロポーラスな3次元構造の
抗菌性マトリックスが得られる。かかる化学架橋剤とし
てはグルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、カルボジイミド等の中から撰択して用いることが
でき、従来より知られるところの方法、条件によって架
橋処理を行う。尚、その際、架橋剤の使用濃度を変える
ことによって、また、前記したプロテイン銀の使用量を
変えることによって目的に応じた任意の性能、即ち、抗
菌効果、持続性の異なるマトリックスを得ることができ
る。かかる点、一般的に架橋度が高まると徐放量は減少
し、高濃度のプロテイン銀を用いると抗菌(制菌)効果
は高まる。以下、実施例を挙げて説明する。
【0010】
【実施例1】 <プロテイン銀含有コラーゲンマトリックスの調整>2
%コラーゲン溶液を希塩酸溶液で希釈し、0.3重量%
(pH3.0)の溶液とした。この溶液にプロテイン銀
溶液及びクロロホルムを加え、機械的に高速で10分間
撹拌し、泡立てた。尚、プロテイン銀は乾燥コラーゲン
重量に換算し3.0,5.0重量%となるように加え、
濃度の異なる2区とした。次いで、得られたクリーム状
の溶液を型枠に流し込み、−40℃で急速に凍結後真空
凍結乾燥し、3次元構造を有するコラーゲンスポンジを
2区を得た。これに分子内架橋を導入する目的で105
℃、24時間の真空熱乾燥処理を行った。 <プロテイン銀含有コラーゲンスポンジの化学架橋>上
記により得られたコラーゲンスポンジを1区当たり2つ
に分割し、それぞれグルタルアルデヒド濃度0.2,
1.0%の2区の溶液(0.05N酢酸)に5℃で24
時間浸漬し、化学架橋を導入した。次いでグルタルアル
デヒド除去のため、蒸留水を用いて洗浄し、−135℃
で急速凍結後真空凍結乾燥し、最終的に処理条件の異な
る4区のスポンジ状コラーゲンマトリックスを得た。 <プロテイン銀溶出試験>3%,5%のプロテイン濃度
で処理し、0.2,1.0%濃度のグルタルアルデヒド
で化学架橋した前記4区の試験区に対しプロテイン銀溶
出試験を行った。尚、表1には、かかる各試験区の初期
性能を、表2、表3にはそれぞれの経時的溶出結果を示
した。初期性能における含有銀は、試料をコラゲナーゼ
(10μg/ml)で酵素分解した後、島津(株)製の
原子吸光/フレーム分光光度計AA−640型にて測定
したものであり、経時的プロテイン銀の溶出量は、0.
05MPBS(pH7.4,34℃)50ミリリットル
中に試料を浸漬し、緩やかに振とうさせながら前記した
原子吸光計で測定したものである。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】以上の結果は、28日間ほぼコンスタント
に一定量の銀の溶出があったことを示し、長期的に一定
の効果が持続することを表す。また、グルタールアルデ
ヒドの使用量の多いほど銀の溶出量か少なく、これは架
橋度と銀の溶出量に相関関係があることを示し、また、
架橋度によってその溶出量のコントロールが可能である
こどを示唆する。即ち、各試験区の初期におけるプロテ
イン銀の包含効率(B/A)が、グルタールアルデヒド
濃度0.2%においては0.42〜0.46,1.0%
においては0.48〜0.50と、その使用量によって
差があり、後者の方が架橋度が高いことを示す。また、
かかる値が全試験区ともほぼ0.5であることから、コ
ラーゲンどプロテイン銀のタンパク部分にはほぼ一定の
化学架橋が導入されていることが理解できる。 <ハローテスト>直径9cmのシャーレに作成した寒天
培地に緑膿菌(10)を播種した後、直径1cmに打
ち抜いた1.0,3.0,5.0%のプロテイン銀を含
む、前記実施例で得たコラーゲンマトリックスを置き、
生理食塩水80μlを滴下した。このシャーレを37℃
で一晩培養し、形成されたハロー(透明帯幅)を測定し
た。その結果を表4に示す。尚、ハローは以下の式に従
い求めた。 透明帯幅=試料幅と透明帯の総計−試料幅/2 尚、対照区はプロテイン銀使用濃度1.0,グルタール
アルデヒド使用量0.2%の条件の他は前記実施例と同
条件で処理したものである。
【0015】
【表4】
【0016】以上の結果は、プロテイン銀が1.0%で
は形成されたハローはないが、3%以上であるとハロー
が形成され、その使用量に比例してその効果が大きいこ
とがわかる。尚、抗菌性はハロー形成の大きいほど高
く、その効果も大きいが、かかるハローの形成がなくて
も、例えば、当接部に抗菌効果が発現さる場合もあり、
このような場合、前記した持続性の結果と併せて、用途
によってはこれの適用が可能である。尚、本発明の応用
として、その素材としてコラーゲン溶液に代えてゼラチ
ン溶液を用い、前記したと同じ方法、手段によってマト
リックスを得れば、同様の抗菌性を有するゼラチンマト
リックスが得られ、これは例えば、癒着防止膜として用
いて好適である。
【0017】
【発明の効果】以上の結果より、本発明のコラーゲンマ
トリックスは、抗菌性を必要とし、更にその効果の持続
性が長期にわたつて要求される医用材料、特に、細菌に
よって汚染されてる可能性の高い、外傷や熱傷で欠損し
た皮膚組織を再生するための人工皮膚、創傷被覆材等の
素材として好適に用いることができる。また、その目
的、用途によっては、これをゲル状として用いることも
できる。
フロントページの続き (72)発明者 林 壽郎 京都府京都市左京区聖護院川原町53番地 京都大学生体医療工学研究センター内 (72)発明者 筏 義人 京都府宇治市五ケ庄広岡谷2番地182

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロテイン銀を担持して成ることを特徴
    とする医療用コローゲンマトリックス。
  2. 【請求項2】 マトリックスが微細な3次元構造を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の医療用コラーゲンマ
    トリックス。
  3. 【請求項3】 マトリックスが化学的に架橋されている
    ことを特徴とする請求項2記載の医療用コラーゲンマト
    リックス。
  4. 【請求項4】 コラーゲンを化学的に架橋させるに際
    し、プロテイン銀が付加された状態にて行うことを特徴
    とする医療用コラーゲンマトリックスの製造法。
JP5355179A 1993-12-28 1993-12-28 医療用コラーゲンマトリックス及びその製造法 Pending JPH07194687A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000202017A (ja) * 1999-01-20 2000-07-25 Ruian Pharmaceutic Co Ltd 骨充填剤材料とその製造方法
JP2013536048A (ja) * 2010-08-26 2013-09-19 ライフセル コーポレーション 抗菌生物学的メッシュのための受動的方法

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