JPH07191133A - 静止物識別型移動体レーダー装置 - Google Patents

静止物識別型移動体レーダー装置

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JPH07191133A
JPH07191133A JP5349569A JP34956993A JPH07191133A JP H07191133 A JPH07191133 A JP H07191133A JP 5349569 A JP5349569 A JP 5349569A JP 34956993 A JP34956993 A JP 34956993A JP H07191133 A JPH07191133 A JP H07191133A
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加奈子 本田
Masatsugu Kamimura
正継 上村
Osamu Isaji
修 伊佐治
Tokio Shinagawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 周波数を変化させながら連続的に電波を前方
に放射して反射波を受信し、前方の静止物や移動物まで
の距離を計測する静止物識別型移動体レーダー装置に関
し、静止物と移動物を簡単な演算処理で識別でき、静止
物に惑わされることなく移動物までの距離を計測できる
静止物識別型移動体レーダー装置を提供することを目的
とする。 【構成】 移動体自身の移動速度を計測する計測手段1
5と、静止物ピークが移動速度に起因して持つ周波数ス
ペクトラム上のシフト量を移動速度に基づいて演算し、
シフト量で2種類の周波数スペクトラムの少なくとも一
方を補正する補正手段16と、補正された2種類の周波
数スペクトラム上の対応するピークにおける補正の効果
を識別して、ピークが静止物か移動物かを識別する識別
手段17とを設けた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、周波数を変化させなが
ら連続的に電波を前方に放射して反射波を受信し、前方
の静止物や移動物までの距離を計測する静止物識別型移
動体レーダー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周波数を変化させながら連続的に電波を
前方に放射して、物標(ターゲット)からの反射波を受
信し、物標までの距離を計測するFM−CW(周波数変
調型連続波)方式の移動体レーダー装置が研究開発され
ている。FM−CW方式は、従来のパルス方式に比較し
て、高周波回路の構成が簡単なため、低コストに製作で
きる。
【0003】そして、FM−CW方式の移動体レーダー
装置を自動車に搭載して、先行車輛までの車間距離を刻
々と計測表示させたり、車間距離に応じてオートクルー
ズ等の自動運転システムを作動させる提案がされてい
る。
【0004】FM−CW方式のレーダー装置では、物標
までの距離に加えて、物標の移動速度も計測できる。物
標までの距離は、レーダー装置と物標の間を往復する電
波の所要時間、すなわち、送出波に対する反射波の検知
遅れ時間(に相当する周波数差)を計測して演算され
る。一方、物標の移動速度は、物標の移動速度に応じて
発生する反射波のドップラー効果、すなわち、送出波の
周波数に対する受信した反射波の周波数偏移量(に相当
する周波数差)を計測して演算される。
【0005】FM−CW方式のレーダー装置では、例え
ば、数10GHzの中心周波数を中心にして数10MHzの
範囲でFM変調したミリ波帯の電波を送出する。また、
送出波と受信波の周波数差から物標の距離と移動速度を
演算する手法として、高速フーリエ変換(FFT)によ
る周波数解析の手法が採用される。
【0006】ここでは、FM変調周期の周波数の上昇区
間と下降区間について、それぞれ送出波と反射波のビー
ト信号が採取される。採取されたビート信号は、それぞ
れ高速フーリエ変換されて2種類の周波数スペクトラム
に変換される。2種類の周波数スペクトラム上の対応す
るピークの周波数を読み取って、物標の距離と移動速度
が演算される。アナログ信号のビート信号をA/D変換
した後は、すべてデジタル演算処理である。
【0007】図5は、FM−CW方式の車載用レーダー
装置の説明図である。図中、(a) は走行状態、(b) は送
受信電波、(c) はビート信号、(d) は周波数スペクトラ
ムを示す。ここでは、静止物を含む前方の複数の物標か
らの反射波が重畳して受信される。
【0008】図5(a) において、自車輛51からは、前
方に向かってFM−CW方式で電波50が送出される。
電波50は、前方に存在する複数の物標、すなわち、先
行車輛52、53、および、カーブに沿って設置された
ガードレール54に反射されて反射波を形成する。
【0009】図5(b) において、図5(a) の送出波55
は、中心周波数f0 を中心にして、変調幅ΔF、繰り返
し周期1/fm でFM変調されている。それぞれの物標
の反射波は、距離成分である時間遅れと相対速度成分で
あるドップラシフトを持って自車輛51に受信される。
送出波のRF信号に受信された反射波のRF信号がミキ
シングされて、図5(c) のようなビート信号が形成され
る。
【0010】図5(c) において、ビート信号の周波数f
b は、自車輛51と物標の相対距離R、相対速度Vを用
いて、 fb =(4・ΔF・fm /c)・R±(2・f0 ・V/c) =fr ±fd …(1) と表される。ここで、fr は、相対距離に応じたビート
周波数、fd は、ドップラシフトに応じたビート周波数
である。
【0011】そして、FM変調周期中、周波数が上昇す
るアップビート区間のビート周波数fup=fr −fd
周波数が下降するダウンビート区間のビート周波数fdn
=fr +fd の関係から、相対距離Rおよび相対速度v
は、 R=(c/2ΔFfm )・(fdn+fup) v=(c/f0 )・(fdn−fup) …(2) と表される。すなわち、アップビート区間とダウンビー
ト区間でそれぞれビート信号の周波数fdn、fupを計測
することにより、相対距離Rおよび相対速度vが求めら
れる。
【0012】ビート信号の計測方法には、高速フーリエ
変換(FFT)による周波数解析の手法を採用してい
る。アップビート区間とダウンビート区間でそれぞれビ
ート信号が採取され、それぞれのビート信号は、FFT
を施されて、それぞれの周波数スペクトラムに変換され
る。そして、2種類の周波数スペクトラムに現れたピー
クのうち、ピーク周波数の近いもの同士を同一物標によ
るものとみなして、ビート信号の周波数fdn、fupを求
める。
【0013】図5(d) において、DSPを用いてビート
信号を高速フーリエ変換して得られた周波数スペクトラ
ムは、とびとびの周波数点(演算点またはデータ点)に
1本づつのスペクトラムデータを配列した離散的な関数
である。データ点の間隔は、車間距離の計測範囲、距離
および相対速度の計測分解能、DSPの演算能力等をバ
ランスさせて定めてある。実用的な例では、計測範囲を
最大200mとして周波数スペクトラムの帯域幅を定
め、演算負荷を著しく高めない範囲で、距離の分解能を
数m、相対速度の分解能を5〜15km程度に確保して
いる。
【0014】そして、例えば、ダウンビート区間の周波
数スペクトラム上のピークP1とアップビート区間の周
波数スペクトラム上のピークP2とが同一物標に対応す
るとみなされる。ピークP1の周波数がfDN、ピークP
2の周波数がfUPと計測されたとき、自車輛51と物標
の相対距離Rは、(2) 式の関係から、 R=k1 (fDN+fUP)/2 k1 =c/ΔFfm …(3) である。また、自車輛51と物標の相対速度vは、 v=k2 (fDN−fUP)/2 k2 =2c/f0 …(4) である。
【0015】なお、ビート信号を周波数解析して周波数
スペクトラムを形成する代表的な手順は、ビート信号を
ローパスフィルターで帯域制限してA/Dコンバータに
より標本化し、DSP(Digital Signal Processer)を
用いて高速フーリエ変換のマトリックス演算処理を行わ
せる手順である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】図5の車載用レーダー
装置は、直近の先行車輛52までの車間距離を計測する
ことを主目的としているが、計測範囲内に停車した先行
車輛や連続した大型の静止物があると、これらの静止物
からの反射波が邪魔になって、先行車輛52までの車間
距離を計測し損なう可能性がある。
【0017】2種類の周波数スペクトラムにおけるピー
ク周波数の近いもの同士を同一物標によるものとみなす
場合、通常の走行状態で、同一車線上を同一方向に走行
する先行車輛を物標として捉えている限り、物標が複数
あっても、別の物標のピークの組合せを同一物標の組合
せと誤認識する可能性は極めて低い。
【0018】しかし、先行車輛が停止していて相対速度
が100km/時近くもある場合、ドップラシフトに応
じたビート周波数fd の影響が無視できなくなり、2種
類の周波数スペクトラムにおける走行している先行車輛
のピークの間隔に、停止した先行車輛のピークが形成さ
れる場合がある。この場合、異なる物標のピークを同一
物標のピークと混同することになり、走行している先行
車輛の実際の値とはかけ離れた相対距離Rが出力され
る。
【0019】さらに、先行車輛のピークが一点であるの
に対して、ガードレール54のような連続した大型の静
止物の場合には、図5(d) のピークQ1、Q2のよう
に、長さに応じた幅広い帯域のピークとなり、このピー
クの上には多数の不安定なピークが形成される。
【0020】従って、走行している先行車輛52、53
のピークがガードレール54のピークに埋もれて識別で
きなくなる場合がある。また、先行車輛52、53のピ
ークをガードレール54のピークの上の不安定なピーク
と混同する場合がある。このような場合、当然、先行車
輛52、53までの実際の値とはかけ離れた車間距離R
が出力される。
【0021】そして、出力された車間距離Rが実際の値
と異なると、走行中の安全を確保するための車載用レー
ダー装置が、逆に運転者の判断を誤らせて危険を高める
おそれがある。また、短い車間距離に対して警報を行う
システムでは、誤動作によって警報が鳴り続ける問題も
起きる。また、車間距離を一定に保って自車輛51の速
度を制御するクルーズコントロール等の自動運転機能を
導入した場合、速度制御の信頼性を確保できないことに
なる。
【0022】ところで、2種類の周波数スペクトラム上
でピーク高さやピーク形状の符合具合(一致の程度)を
調べて対応するピークを探してもよい。しかし、ピーク
高さやピーク形状の符合具合を詳しく調べる演算プログ
ラムを採用すると、演算素子の負荷が増大する。また、
ピーク形状の符合具合を調べた場合、連続した長い静止
物を先行車輛と混同する事態は避け得るが、停止した先
行車輛と走行している先行車輛とを混同する事態は避け
られない。
【0023】本発明は、静止物と移動物を簡単な演算処
理で識別でき、静止物に惑わされることなく移動物まで
の距離を計測できる静止物識別型移動体レーダー装置を
提供することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】図1において、請求項1
の静止物識別型移動体レーダー装置は、周波数を規則的
に変化させた送出電波を被計測物に向かって送出する送
出手段11と、前記被計測物からの反射波を受信した高
周波信号に、そのときの送出電波の高周波信号を積算し
てビート信号を形成する受信手段12と、周波数が上昇
する区間と下降する区間とでそれぞれ前記ビート信号を
高速フーリエ変換して2種類の周波数スペクトラムを形
成する変換手段13と、前記2種類の周波数スペクトラ
ムについて、必要なピークを対応させ、それぞれのピー
クの周波数から前記被計測物までの距離を演算する演算
手段14と、を有して、移動体に搭載される移動体レー
ダー装置において、前記移動体自身の移動速度を計測す
る計測手段15と、静止物ピークが前記移動速度に起因
して持つ周波数スペクトラム上のシフト量を前記移動速
度に基づいて演算し、前記シフト量で前記2種類の周波
数スペクトラムの少なくとも一方を補正する補正手段1
6と、補正された前記2種類の周波数スペクトラム上の
対応するピークにおける前記補正の効果を識別して、ピ
ークが静止物か移動物かを識別する識別手段17と、を
設けたものである。
【0025】請求項2の静止物識別型移動体レーダー装
置は、請求項1の静止物識別型移動体レーダー装置にお
いて、前記補正手段は、演算された前記シフト量を周波
数分解能で割り算して小数以下を四捨五入して前記シフ
ト量を調整する調整手段、を備え、前記2種類の周波数
スペクトラムの一方を調整された前記シフト量だけシフ
トさせる補正手段、であるものである。
【0026】請求項3の静止物識別型移動体レーダー装
置は、請求項1の静止物識別型移動体レーダー装置にお
いて、前記補正手段は、演算された前記シフト量を周波
数分解能で割り算した値を挟む2つのシフト量について
前記2種類の周波数スペクトラムの一方をシフトさせる
補正手段、であるとともに、前記識別手段は、前記2種
類の周波数スペクトラムの一方を補正した2つの周波数
スペクトラムと他方の周波数スペクトラムとにおける前
記補正の効果を識別して、ピークが静止物か否かを識別
する識別手段、であるものである。
【0027】請求項4の静止物識別型移動体レーダー装
置は、請求項1の静止物識別型移動体レーダー装置にお
いて、前記補正手段は、演算された前記シフト量を周波
数分解能で割り算した値を挟む2つのシフト量について
周波数スペクトラムの一方をシフトさせ、それぞれの周
波数点を挟む2つのシフトされたスペクトラム値を補間
演算して、補間型周波数スペクトラムを求める補正手
段、であるとともに、前記識別手段は、前記補間型周波
数スペクトラムと前記2種類の周波数スペクトラムの他
方とにおける前記補正の効果を識別して、ピークが静止
物か否かを識別する識別手段、であるものである。
【0028】請求項5の静止物識別型移動体レーダー装
置は、請求項1の静止物識別型移動体レーダー装置にお
いて、前記補正手段は、前記2種類の周波数スペクトラ
ムを複数づつ蓄積し、それぞれの周波数点でスペクトラ
ム値の過去に遡った重み付き平均値を求めて比較用周波
数スペクトラムを形成する補正手段、であるとともに、
前記識別手段は、前記比較用周波数スペクトラムと前記
2種類の周波数スペクトラムの他方とにおける前記補正
の効果を識別して、ピークが静止物か否かを識別する識
別手段、であるものである。
【0029】請求項6の静止物識別型移動体レーダー装
置は、請求項1の静止物識別型移動体レーダー装置にお
いて、前記補正手段は、前記2種類の周波数スペクトラ
ムのそれぞれについて、1つの周波数点のスペクトラム
値に、両側の周波数点のスペクトラム値を加算した値を
その周波数点のスペクトラム値とした強調型周波数スペ
クトラムを形成する補正手段、であるとともに、前記識
別手段は、前記強調型周波数スペクトラムにおける前記
補正の効果を識別して、ピークが静止物か否かを識別す
る識別手段、であるものである。
【0030】請求項7の静止物識別型移動体レーダー装
置は、請求項1の静止物識別型移動体レーダー装置にお
いて、移動物に関してとは別に、静止物と識別された前
記2種類の周波数スペクトラム上の対応するピークの周
波数を検知して、静止物までの距離を演算する演算手段
と、移動物に関してとは別に、演算された静止物までの
距離のデータを出力する出力手段と、を設けたものであ
る。
【0031】例えば、請求項1の静止物識別型移動体レ
ーダー装置において、移動物までの距離データを表示す
る第1表示手段とは別に設けられ、距離データを数値と
して表示可能な第2表示手段と、静止物と識別された前
記2種類の周波数スペクトラム上の対応するピークの周
波数を検知して、静止物までの距離を演算する演算手段
と、演算された静止物までの距離を第2表示手段に表示
させる制御手段と、を設けたものである。
【0032】
【作用】図1において、請求項1の静止物識別型移動体
レーダー装置では、2種類の周波数スペクトラムの少な
くとも一方の周波数軸を一律にシフトさせ、2種類の周
波数スペクトラムにおける移動体自身の移動速度による
ドップラー効果分を相殺する。これにより、少なくとも
一方が補正された2種類の周波数スペクトラム上では、
対応する静止物のピーク位置(周波数)が一致し、2種
類の周波数スペクトラムのデータを用いた簡単な演算操
作で静止物を識別できる。
【0033】また、図5(a) のガードレール54のよう
な長い静止物のピークを相殺することによって、静止物
のピークに埋もれて識別が困難になっていた移動物のピ
ークを目立たせ、より正確に検知できるようになる。演
算操作の結果から検知した移動物のピーク周波数を用い
た相対距離および相対速度の演算は、シフトの影響を除
去した演算式により求める。
【0034】補正手段16では、例えば、(1) 少なくと
も一方が補正された2種類の周波数スペクトラムを相互
に引き算(対応する個々の周波数点で引き算を実行)す
る。このとき、識別手段17では、差引きの振幅がほぼ
0になるピークを静止物と識別する。また、補正手段1
6では、(2) 少なくとも一方が補正された2種類の周波
数スペクトラムを割り算してもよい。このとき、識別手
段17では、割り算の答えがほぼ1になるピークを静止
物と識別する。
【0035】識別手段17で使用する2種類の周波数ス
ペクトラムは、送出電波の周波数変化の1周期内のビー
ト信号から1つずつを形成してもよい。しかし、周波数
変化は500〜1kHzといった短い時間間隔で連続して
同様に繰り返されるから、複数周期の周波数が上昇する
区間と下降する区間のそれぞれについて平均的な周波数
スペクトラムを演算し、これについて、補正、識別を実
行してもよい。
【0036】演算手段14では、識別された静止物のピ
ークを元々の周波数スペクトラム上には存在しなかった
ものとみなして、移動物についてだけ距離演算すること
ができる。これにより、静止物に邪魔されて移動物(例
えば先行車輛)の距離演算を誤ることはなくなる。しか
し、識別された静止物のピークについて、別途に静止物
の距離を演算して、警報等の利用に供してもよい。
【0037】計測手段15は、静止物識別型移動体レー
ダー装置自体とは独立して設けた速度センサで構成され
る。自動車の場合、既存の対地センサや車輪速センサを
利用してもよい。補正手段16は、移動速度から静止物
の反射波のドップラー効果を演算し、ドップラー効果に
よる周波数偏移量を用いた補正処理を実行する。
【0038】なお、演算手段14における距離計算で
は、図1に示されるように、変換手段13で形成された
周波数スペクトラムを使用して、従来通りの計算式を適
用してもよいが、補正手段16で補正された周波数スペ
クトラムを使用することも可能である。この場合、従来
の計算式にはシフト量に相当した補正が付加される。
【0039】請求項2〜請求項6の静止物識別型移動体
レーダー装置では、周波数スペクトラムが一定のデータ
間隔ごとの離散的なデータ配列であることを考慮して、
補正手段および識別手段における好ましい演算手法を提
案する。すなわち、DSPや演算素子の負荷を高めるこ
となく、ピーク識別の安定性を確保し、静止物の識別と
移動物の計測分解能(距離および相対速度の精度)を確
保する。
【0040】ここでは、2種類の周波数スペクトラムの
少なくとも一方をシフトさせた際に両者のデータ点(周
波数軸上の演算点)を一致させ、離散的なデータ配列同
士の演算操作を可能にする。計測手段で得た速度分だけ
シフトさせた場合、2種類の周波数スペクトラムのデー
タ点が一致することは稀だからである。データ点を一致
させないと、離散的な関数である周波数スペクトラム同
士の演算を実行できないからである。
【0041】請求項2の静止物識別型移動体レーダー装
置では、2種類の周波数スペクトラムの一方をシフトさ
せて静止物に関するドップラー効果分を相殺させる際
に、両者の演算点のずれを四捨五入処理によって揃え
る。すなわち、シフト量が周波数分解能の0.5刻みを
越えていれば、周波数スペクトラムを1つ上のデータ点
までシフトさせる。0.5刻みに満たなければ、1つ下
のデータ点までのシフトに留める。
【0042】請求項3の静止物識別型移動体レーダー装
置では、2種類の周波数スペクトラムの一方をシフトさ
せて静止物に関してドップラー効果分を相殺する際に、
演算値のある「データ点の間隔」を挟む2種類のシフト
量(2つのデータ点)に相当させて2種類の周波数スペ
クトラムを形成する。この2種類の周波数スペクトラム
は、それぞれ他方の周波数スペクトラムに引き算(また
は割り算)される。そして、(1) 静止物がより明確に識
別された周波数スペクトラムを採用する、(2)2種類の
周波数スペクトラムのいずれかででも静止物と判断され
たピークや連続ピークをすべて静止物とみなす、等の識
別操作を行う。
【0043】請求項4の静止物識別型移動体レーダー装
置では、演算されたシフト量だけシフトさせた一方の周
波数スペクトラム、または、他方の周波数スペクトラム
の一方について、2つのデータ点のデータを補間して、
他方の周波数スペクトラムの周波数点に位置するデータ
を形成する。この操作をすべてのデータ点で繰り返すこ
とにより、引き算(または割り算)に供する周波数スペ
クトラムが形成される。
【0044】このとき、補間演算前の状態でピークのパ
ワーが大きい方の周波数スペクトラムについて補間演算
処理を行うことが望ましい。補間演算処理を行うと、隣
接する2つの周波数点のデータが平均される等して、ピ
ークの先鋭度が低下するからである。2種類の周波数ス
ペクトラムについて、ピークの先鋭度の差を減少させた
後に引き算(割り算)を行えば、静止物の部分での答え
が0(1)に近くなって、静止物を誤判断する可能性が
低くなる。
【0045】請求項5の静止物識別型移動体レーダー装
置では、送出電波の周波数変化が短い時間間隔で連続し
て同様に繰り返されることを利用して、現在から過去に
遡った複数周期から補正、識別用の2種類の周波数スペ
クトラムを形成する。これにより、1周期の周波数変化
から取り出した2つの周波数スペクトラムだけを利用す
る場合よりも、静止物の識別の誤りが低下し、また、移
動物のピークと一時的な雑音の影響とを混同する可能性
も低下する。
【0046】そして、現在から過去に遡った複数周期の
周波数が上昇する区間と下降する区間とについて、それ
ぞれ各周波数点のデータの単純な平均演算を行うのでは
なくて、現在から過去に向かって重みを減じた重み付き
平均演算を採用している。これにより、現在の静止物、
移動物の影響が強調される。
【0047】請求項6の静止物識別型移動体レーダー装
置では、周波数スペクトラム上の低いピーク(移動物ま
たは静止物)を強調して、ピークを識別し損なわないよ
うにしている。静止物や移動物のピークは、複数の周波
数点に渡って形成されている(複数の周波数点に渡って
ピークが形成されるようにサンプリング周波数が選択さ
れている)から、連続した3つの周波数点のデータを加
算して中央の周波数点のデータとする処理を全部の周波
数点で実行することによって、ピークでない場所の振幅
(データ)に比べて、ピーク部分の振幅(データ)が強
調される。
【0048】請求項7の静止物識別型移動体レーダー装
置では、例えば、移動物までの距離を数値表示する表示
素子に並べて、静止物までの距離を数値表示する表示素
子を配置する。そして、静止物と識別された2種類の周
波数スペクトラム上の対応するピークの周波数を検知し
て、静止物までの距離を演算し、移動物までの距離に並
べて静止物までの距離を表示させる。
【0049】また、静止物までの距離は、データとして
他の装置に出力してもよい。オートクルーズ等の自動運
転システムの1センサとして機能し、前方の信号待ち車
輛や路上の駐車車輛までの距離を計測する。周波数スペ
クトラムからピークの周波数を読み取って距離を演算す
る操作は、移動物の場合と同様に行えばよい。
【0050】
【実施例】図2は実施例のFM−CWレーダー装置の説
明図、図3は実施例のFM−CWレーダー装置の説明
図、図4は信号処理の説明図である。図2中、(a) はハ
ード構成、(b) は信号処理、(c) は表示部を示す。図4
中、(a) は引き算処理、(b)は補間処理、(c) は強調処
理を示す。ここでは、車載されて先行車輛までの車間距
離を計測するレーダー装置が示され、送出電波の周波数
が上昇する区間の周波数スペクトラムを自車速分だけシ
フトして、周波数が下降する区間の周波数スペクトラム
から引き算する。
【0051】図2(a) において、信号処理認識部24
は、ECU(Electronic Control Unit )として一体に
まとめられている。信号処理認識部24は、ローパスフ
ィルター24A、A/Dコンバータ24B、DSP(Di
gital Signal Processer)24C、マイコン回路24
E、シーケンス回路24D、図示しない複数のメモリ素
子等を含む。
【0052】ローパスフィルター24Aは、レーダーセ
ンサ22からアナログ信号として出力されるビート信号
を、A/Dコンバータ24Bのサンプリング周波数(数
100kHzに適合させて狭帯域化する。A/Dコンバー
タ24Bは、狭帯域化されたビート信号をA/D変換す
る。A/D変換されたビート信号からは、UPビート区
間およびDOWNビート区間の一定時間分がそれぞれ抽
出されて、図示しないメモリに一時蓄積される。DSP
24Cは、(1) メモリに一時蓄積されたAD変換データ
を高速フーリエ変換して、UPビート区間とDOWNビ
ート区間の周波数スペクトラムをそれぞれ形成する。
【0053】マイコン回路24Eは、車速センサ25の
出力から自車輛の対地速度を演算してDSP24Cにデ
ータ入力する。そして、DSP24Cで演算された距離
データや移動物/静止物の識別結果を受け取る。そし
て、表示部28を通じて車間距離等を表示する。
【0054】マイコン回路24Eでは、また、車輛速度
等から安全な車間距離や制動距離を演算し、先行車輛や
前方障害物までの距離がこれらの距離を割り込んだ場合
に警報を発する。また、車間距離を一定に保つようにス
ロットル開度を制御し、自車輛の速度を調整する構成と
してもよい。
【0055】DSP24Cは、さらに、(2) 対地速度に
応じた周波数スペクトラムのシフト量を演算し、(3) 周
波数スペクトラムの一方をシフト量で補正して他方との
引き算処理を行い、(4) 引き算処理の結果から静止物と
移動物とを識別し、移動物について2種類の周波数スペ
クトラム上で隣接する直近のピークの周波数を読み取っ
て車間距離を演算する。また、(5) 静止物についても別
に静止物距離を演算することになるが、自車速が正確に
計測されているため、両方の周波数スペクトラムにおけ
るピークの対応を調べる必要は無く、片方の周波数スペ
クトラム上で読み取ったピークの周波数を検出するだけ
で済む。
【0056】DSP24Cでは、(1) 高速フーリエ変換
の演算負荷も大きいが、(3) 補正〜(5) 距離演算の演算
負荷もかなり大きい。従って、ビート信号のサンプリン
グ周波数、量子化ビット数、周波数スペクトラムの帯域
幅、データ点の数等に制約が加えられ、また、2種類の
周波数スペクトラム上で同一物標のピークを照合する演
算処理にも簡略な手法が求められる。
【0057】車速センサ25は、磁性体で形成されて車
輪と連動する歯車状回転体の歯を磁気センサで検知して
磁束のON−OFFをデジタル信号で出力する。車速セ
ンサ25は、例えば、後輪の車軸に設けられ、車輪の回
転数に応じて変化するデジタル信号を出力する。マイコ
ン回路24Eは、デジタル信号のON−OFF周波数を
検知して自車輛の対地速度を演算する。車速センサ25
は、自動車のいくつかの自動制御機能、例えば、一定速
度を維持するクルーズコントロール、ブレーキから最大
の制動性能を引き出すABS(Anti-Lock Breaking Sys
tem )に使用するものと兼用できる。
【0058】レーダーセンサ22は、図5の従来例で説
明したものと同様であり、周波数が一定周期で直線的に
上昇、下降を繰り返す送出電波を自車輛の前方に向かっ
て放射する。そして、前方の移動物や静止物からの反射
電波を検知し、反射電波の高周波信号をそのときの送出
電波の高周波信号に積算してビート信号を形成し、出力
する。
【0059】シーケンス回路24Dは、レーダーセンサ
22における送出電波の周波数を制御するとともに、周
波数変化に対してA/Dコンバータ24Bの動作、DS
P24Cの動作を同期させる。これにより、ビート信号
の高速フーリエ変換される範囲が、周波数が上昇する区
間と下降する区間とでそれぞれ位置決めされる。
【0060】図2(b) において、図2(a) のレーダーセ
ンサ22から出力されたビート信号は、送出電波の周波
数が直線的に上昇するUP区間と、送出電波の周波数が
直線的に下降するDOWN区間とでそれぞれサンプリン
グされ、A/D変換されて量子化データ(振幅−時間信
号)32U、32Dとなる。量子化データ32U、32
Dは、適当な窓関数で所定の時間分が切り出され、それ
ぞれ高速フーリエ変換されて、周波数成分の分布を示す
UP区間スペクトラムデータ33U、DOWN区間スペ
クトラムデータ33Dとなる。
【0061】UP区間スペクトラムデータ33UとDO
WN区間スペクトラムデータ33Dのそれぞれについ
て、ピーク抽出処理が行われ、UP区間ピーク周波数3
4UとDOWN区間ピーク周波数34Dが求められる。
ここでは、個々のスペクトラムデータ33U、33Dか
ら、複素周波数内挿法でピーク周波数34U、34Dを
抽出した。複素周波数内挿法は、位相情報を用いた周波
数同定方法であり、比較的に簡単なベクトル演算で実行
できる。この手法によれば、スペクトラムデータのデー
タ数を増大する(=演算負荷を高める)ことなく、2つ
のデータ点の間のピーク位置を高精度に特定できる。
【0062】ピーク周波数34U、34Dの抽出結果
は、図示しないメモリに一時格納される。UP区間ピー
ク周波数34UとDOWN区間ピーク周波数34Dに基
づいて車間距離計算35が実行される。
【0063】一方、静止物識別処理36では、UP区間
スペクトラムデータ33UをシフトさせたデータとDO
WN区間スペクトラムデータ33Dを引き算して、静止
物と移動物が識別される。静止物と移動物の識別結果
は、距離計算に使用するUP区間ピーク周波数34Uと
DOWN区間ピーク周波数34Dの組合せを特定する際
に利用される。すなわち、UP区間スペクトラムデータ
33UとDOWN区間スペクトラムデータ33Dとにお
けるすべての移動物のピークについて周波数が読取ら
れ、2つの周波数軸上で近接したピークの組合せが同一
移動物(先行車輛)のものと判断される。
【0064】図2(c) において、図2(a) の表示部28
は、警報を発生するブザー28A、ブザー28Aの音量
調節つまみ28B、警報距離を複数段階に設定する設定
つまみ28Cを配置する。レーダー装置によって先行車
輛が検知されるとランプ37Aが点灯される。レーダー
装置によって計測された先行車輛までの車間距離が表示
器37Bに数値表示される。
【0065】一方、レーダー装置によってガードレール
等の静止物が検知されるとランプ38Aが点灯される。
レーダー装置によって計測された静止物までの距離が表
示器38Bに数値表示される。切り換えスイッチ38C
によって、レーダー装置による静止物の検知と静止物の
距離計測を「する」か「しない」かを操作者が任意に設
定できる。切り換えスイッチ38Cを「しない」に設定
した場合、ランプ37A、表示器37Bによる先行車輛
の表示のみが機能を保ち、静止物に関するデータは利用
されない。
【0066】図3において、図2(a) の信号処理認識部
24では、まず、周波数が上昇するUPビート区間、周
波数が下降するDOWNビート区間でそれぞれビート信
号が高速フーリエ変換されて周波数スペクトラムSUP
DNが形成される。これと並行して車速センサの出力か
ら自車速が計算され、自車速に相当する周波数スペクト
ラムSUPのシフト量Δfが計算される。そして、UPビ
ート区間の周波数スペクトラムSUPをΔfだけ高い方に
シフトした補正周波数スペクトラムSSHが形成される。
【0067】次に、DOWNビート区間の周波数スペク
トラムSDNから補正周波数スペクトラムSSHが引き算さ
れて、静止物のピークを相殺した周波数スペクトラムS
X が形成される。さらに、UPビート区間の周波数スペ
クトラムSUPとDOWNビート区間の周波数スペクトラ
ムSDNから、それぞれピークデータPUP、PDNが抽出さ
れる。そして、ステップ30では、周波数スペクトラム
X 上でピークデータPUP、PDNが捜索され、相殺され
て消失していれば静止物(クラッタ)と判断するが、相
殺されないで残っていれば移動物(ターゲット)と判断
する。
【0068】最後に、静止物と移動物のそれぞれについ
て別々に相対距離が計算され、移動物については相対速
度も計算される。静止物と移動物の距離は、別々に表示
出力される。
【0069】図4(a) において、UPビート区間の周波
数スペクトラムSUPを自車速に応じてシフトさせた補正
周波数スペクトラムSSHを、DOWNビート区間の周波
数スペクトラムSDNから引き算して周波数スペクトラム
X が形成される。このとき静止物のピークが相殺さ
れ、周波数スペクトラムSX 上で消失して0付近の値と
なったピークが静止物と判断される。
【0070】ところで、周波数スペクトラムSDNと補正
周波数スペクトラムSSHの引き算処理は、割り算処理に
置き換えてもよい。2つの周波数スペクトラムSDN、S
SHの同じサンプリング位置に位置するほぼ等しいスペク
トラムデータは、割り算処理によって1に近い値とな
る。一方、同じサンプリング位置に該当するピークが存
在しない移動物では、割り算の答えが2、3、0.3、
0.6等となる。1を中心とする帯状のスレッシュホー
ルドレベルで割り算の答えを識別すれば、静止物を判断
できる。
【0071】図4(b) において、本実施例では、周波数
スペクトラムSDNと補正周波数スペクトラムSSHとでサ
ンプリング位置を揃えるために、補正周波数スペクトラ
ムSSHを補間処理する。つまり、自車速から演算したシ
フト量だけ周波数スペクトラムSUPをシフトすると、シ
フト量を周波数分解能で割り算した答えの少数分だけ周
波数スペクトラムSDNと補正周波数スペクトラムSSH
スペクトラムデータの位置(周波数)がずれ、引き算の
誤差が大きくなる。そこで、補正周波数スペクトラムS
SHの隣接する2つのスペクトラムデータから、周波数ス
ペクトラムSDNと等しいサンプリング位置のスペクトラ
ムデータを補間演算している。
【0072】DOWNビート区間の周波数スペクトラム
DNと一致するサンプリング位置に補間データ42A、
42B、42C、42Dが形成される。補間データ42
Aはデータ41A、41Bの直線補間によって、補間デ
ータ42Bはデータ41B、41Cの直線補間によっ
て、補間データ42Cはデータ41C、41Dの直線補
間によって、補間データ42Dはデータ41D、41E
の直線補間によって、それぞれ演算される。周波数スペ
クトラムSDNに対して補間修正された補正周波数スペク
トラムSSHが引き算される。
【0073】図4(c) において、本実施例では、ピーク
位置(周波数)を検出する際に、周波数スペクトラムの
全体に強調処理を施して、周波数スペクトラム上でピー
クを際立たせる。すなわち、連続した3つのスペクトラ
ムデータを加算して中央のサンプリング位置のスペクト
ラムデータとしている。これにより、緩慢なピークが先
鋭なピークとなり、一定のスレッシュホールドレベルで
ピークを識別した際にピークが見逃される可能性が低く
て済む。
【0074】
【発明の効果】請求項1の静止物識別型移動体レーダー
装置によれば、FM−CWレーダー装置における静止物
(クラッタ)と移動物(ターゲット)の高精度の識別が
可能になる。また、この識別は、例えば、演算部におけ
るわずかな処理プログラムの変更だけで実現できる。従
って、車載用のレーダー装置において、クラッタ(静止
物)をターゲット(前方車)と認識したことによるシス
テム(警報や追従走行)の誤動作を低減できる。
【0075】また、簡単な演算操作で静止物と移動物を
識別できるから、識別のための演算負荷が軽くて済み、
ビート信号のサンプリング周波数の上昇、高速フーリエ
変換における演算点(データ点)間隔の縮小、スペクト
ラムデータ総数の増加等が無くても、高精度に距離や相
対速度の計測を実行できる。従って、車間距離の計測等
の精度を高めたり、応答性を高めることも容易である。
【0076】請求項2の静止物識別型移動体レーダー装
置によれば、周波数スペクトラムが離散的なスペクトラ
ムデータで形成されている場合でも2種類の周波数スペ
クトラムを引き算(割り算)して、静止物を識別でき
る。そして、シフト量を周波数分解能で割り算した答え
の小数部分について、単純な切上げ、切捨て処理を行っ
た場合よりも正確な識別が可能である。また、計算が単
純なため、演算素子や記憶素子の負荷を高めないで済
み、高速処理が可能である。
【0077】請求項3の静止物識別型移動体レーダー装
置によれば、2種類の比較を並列に行うから、請求項2
の静止物識別型移動体レーダー装置の場合よりも静止物
の識別精度が高まる。
【0078】請求項4の静止物識別型移動体レーダー装
置によれば、比較演算される2つの周波数スペクトラム
について、シフト量を周波数分解能で割り算した答えの
小数部分が補間処理でそのまま生かされ、周波数点の切
上げ、切捨てをしないで済む。従って、2つの周波数ス
ペクトラムの周波数点を一致させる際に発生する誤差が
小さくなり、請求項2、3の静止物識別型移動体レーダ
ー装置の場合よりも静止物の識別精度が高まる。
【0079】請求項5の静止物識別型移動体レーダー装
置によれば、周波数が上昇する区間と下降する区間のそ
れぞれについて、複数の周波数スペクトラムが合成(平
均化)されるから、1つずつの周波数スペクトラムを使
用する場合に比較して、電波の放射空間における一時的
な雑音や環境変化の影響を受けにくくなる。また、現在
を優先した重み付け(フィルタリング処理)を行うか
ら、リアルタイムで応答速度の高い静止物の識別と位相
物の距離計測が可能である。
【0080】請求項6の静止物識別型移動体レーダー装
置によれば、緩慢なピークが先鋭なピークとなり、一定
の閾値でピークを識別した際にピークが見逃される可能
性が低くて済む。
【0081】請求項7の静止物識別型移動体レーダー装
置によれば、静止物までの距離が移動物の距離とは別に
表示されるから、接近速度が大きくて危険を招き易い静
止物について、操作者に注意を喚起できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な構成の説明図である。
【図2】実施例のFM−CWレーダー装置の説明図であ
る。
【図3】処理ルーチンの説明図である。
【図4】信号処理の説明図である。
【図5】FM−CW方式の車載用レーダー装置の説明図
である。
【符号の説明】
11 送出手段 12 受信手段 13 変換手段 14 演算手段 15 計測手段 16 補正手段 17 識別手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 品川 登起雄 兵庫県神戸市兵庫区御所通1丁目2番28号 富士通テン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数を規則的に変化させた送出電波を
    被計測物に向かって送出する送出手段(11)と、 前記被計測物からの反射波を受信した高周波信号に、そ
    のときの送出電波の高周波信号を積算してビート信号を
    形成する受信手段(12)と、 周波数が上昇する区間と下降する区間とでそれぞれ前記
    ビート信号を高速フーリエ変換して2種類の周波数スペ
    クトラムを形成する変換手段(13)と、 前記2種類の周波数スペクトラムについて、必要なピー
    クを対応させ、それぞれのピークの周波数から前記被計
    測物までの距離を演算する演算手段(14)を有して、
    移動体に搭載される移動体レーダー装置において、 前記移動体自身の移動速度を計測する計測手段(15)
    と、 静止物ピークが前記移動速度に起因して持つ周波数スペ
    クトラム上のシフト量を前記移動速度に基づいて演算
    し、前記シフト量で前記2種類の周波数スペクトラムの
    少なくとも一方を補正する補正手段(16)と、 補正された前記2種類の周波数スペクトラム上の対応す
    るピークにおける前記補正の効果を識別して、ピークが
    静止物か移動物かを識別する識別手段(17)を設けた
    ことを特徴とする静止物識別型移動体レーダー装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の静止物識別型移動体レーダー
    装置において、前記補正手段は、 演算された前記シフト量を周波数分解能で割り算して小
    数以下を四捨五入して前記シフト量を調整する調整手
    段、を備え、 前記2種類の周波数スペクトラムの一方を調整された前
    記シフト量だけシフトさせる補正手段、であることを特
    徴とする静止物識別型移動体レーダー装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の静止物識別型移動体レーダー
    装置において、 前記補正手段は、演算された前記シフト量を周波数分解
    能で割り算した値を挟む2つのシフト量について前記2
    種類の周波数スペクトラムの一方をシフトさせる補正手
    段、であるとともに、 前記識別手段は、前記2種類の周波数スペクトラムの一
    方を補正した2つの周波数スペクトラムと他方の周波数
    スペクトラムとにおける前記補正の効果を識別して、ピ
    ークが静止物か否かを識別する識別手段、であることを
    特徴とする静止物識別型移動体レーダー装置。
  4. 【請求項4】 請求項1の静止物識別型移動体レーダー
    装置において、 前記補正手段は、演算された前記シフト量を周波数分解
    能で割り算した値を挟む2つのシフト量について周波数
    スペクトラムの一方をシフトさせ、それぞれの周波数点
    を挟む2つのシフトされたスペクトラム値を補間演算し
    て、補間型周波数スペクトラムを求める補正手段、であ
    るとともに、 前記識別手段は、前記補間型周波数スペクトラムと前記
    2種類の周波数スペクトラムの他方とにおける前記補正
    の効果を識別して、ピークが静止物か否かを識別する識
    別手段、であることを特徴とする静止物識別型移動体レ
    ーダー装置。
  5. 【請求項5】 請求項1の静止物識別型移動体レーダー
    装置において、前記補正手段は、 前記2種類の周波数スペクトラムを複数づつ蓄積し、そ
    れぞれの周波数点でスペクトラム値の過去に遡った重み
    付き平均値を求めて比較用周波数スペクトラムを形成す
    る補正手段、であるとともに、 前記識別手段は、前記比較用周波数スペクトラムと前記
    2種類の周波数スペクトラムの他方とにおける前記補正
    の効果を識別して、ピークが静止物か否かを識別する識
    別手段、であることを特徴とする静止物識別型移動体レ
    ーダー装置。
  6. 【請求項6】 請求項1の静止物識別型移動体レーダー
    装置において、前記補正手段は、 前記2種類の周波数スペクトラムのそれぞれについて、
    1つの周波数点のスペクトラム値に、両側の周波数点の
    スペクトラム値を加算した値をその周波数点のスペクト
    ラム値とした強調型周波数スペクトラムを形成する補正
    手段、であるとともに、 前記識別手段は、前記強調型周波数スペクトラムにおけ
    る前記補正の効果を識別して、ピークが静止物か否かを
    識別する識別手段、であることを特徴とする静止物識別
    型移動体レーダー装置。
  7. 【請求項7】 請求項1の静止物識別型移動体レーダー
    装置において、 移動物に関してとは別に、静止物と識別された前記2種
    類の周波数スペクトラム上の対応するピークの周波数を
    検知して、静止物までの距離を演算する演算手段と、 移動物に関してとは別に、演算された静止物までの距離
    のデータを出力する出力手段と、を設けたことを特徴と
    する静止物識別型移動体レーダー装置。
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