JPH07188942A - 耐酸化性に優れたすずまたはすず合金めっき材およびその製造方法 - Google Patents

耐酸化性に優れたすずまたはすず合金めっき材およびその製造方法

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JPH07188942A
JPH07188942A JP33521693A JP33521693A JPH07188942A JP H07188942 A JPH07188942 A JP H07188942A JP 33521693 A JP33521693 A JP 33521693A JP 33521693 A JP33521693 A JP 33521693A JP H07188942 A JPH07188942 A JP H07188942A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 変色、はんだぬれ性、接触抵抗等の劣化の少
ないすずまたはすず合金めっき材を提供する。 【構成】 銅または銅合金表面にすずまたはすず合金を
めっきしためっき材表面に、リン酸エステルを0.1g/l以
上含む酸化防止液または亜リン酸エステルを0.1g/l以上
含む酸化防止液またはこれらの混合酸化防止液を塗布
し、これらの有機皮膜をめっき材表面に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅または銅合金表面に
すずまたはすず合金をめっきしたすずまたはすず合金め
っき材およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、す
ずまたはすず合金めっき表面の酸化が少なく、耐変色
性、はんだぬれ性、接触抵抗の劣化が少ない耐酸化性に
優れたすずまたはすず合金めっき材およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、端子、コネクター、接触子等の
電子部品には、銅または銅合金表面にすずまたはすず合
金をめっきしためっき材が広く使用されている。近年、
電子機器等の小型化、軽量化、高性能化にともない電子
部品の一部である端子およびコネクターにも小型化、薄
肉化、高性能化がさらに強く求められている。また、端
子およびコネクターの小型化、高性能化にともない、は
んだ付け部の面積や端子間の接触面積は小さくなり、は
んだぬれ性、接触抵抗等への要求はますます厳しくなっ
ている。また、電子部品組立時の生産性向上の点から
は、はんだぬれ時間の短縮が必要となり、このため、め
っき表面の僅かな酸化も、はんだぬれ性に対して問題と
なってきた。
【0003】しかし、従来のすずまたはすず合金めっき
材では、めっき表面が酸化され易く、このため前述の要
求を十分に満たすことができなくなってきている。この
ため、はんだぬれ性、低い接触抵抗が長時間にわたり維
持されるすずまたはすず合金めっき材が必要となってき
ている。
【0004】一方、すずまたはすず合金めっき材を使用
した接触子は、単価も安く、はんだぬれ性、加工性、接
触抵抗、耐熱性等に優れているが、高温高湿状態に長時
間放置されると、前述のように、表面が酸化し、変色、
接触抵抗の増加という問題が生じ、基板装着前の接触子
については、はんだぬれ性の劣化という問題がある。
【0005】このため、特に接触子については、高級接
触子として、耐酸化性に優れ、信頼性が高いことから、
すずまたはすず合金めっきに替えて金めっきしたものが
使用されることがある。
【0006】しかし、金めっき材を使用した接触子はコ
ストが高く、また金の消費を減らすためにも、金めっき
材ほどの特性は必要としないが、金めっき材を使用して
いる用途に対して、取って替わるべきすずまたはすず合
金めっき材の開発が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】はんだぬれ性、接触抵
抗等の特性が劣化する原因には、以下の二つが考えられ
る。その一つ目は、めっき表面が酸化され、めっき表面
にすずの酸化物層が形成されるためである。二つ目は、
素材または銅下地めっきからすずまたはすず合金めっき
中にCuが拡散し、すずまたはすず合金めっき層が銅とす
ずの金属間化合物に変化するためである。
【0008】すなわち、めっき表面が酸化され、すずま
たはすず合金めっきよりも融点が高いすず等の酸化物が
厚く形成されると、めっき表面の融点が高くなり、はん
だとの溶融接合性、つまりはんだぬれ性が悪くなる。ま
た、すずの酸化物の電気抵抗(比抵抗 102〜103 Ω・cm)
はすずの金属の電気抵抗 (比抵抗 1.1×10-5Ω・cm)
に比べて高く、めっき表面にすずの酸化物が厚く形成さ
れると接触抵抗値は高くなるという問題が生じる。
【0009】また、上記のように、めっき中にCuが拡散
し、すずまたはすず合金めっき層が銅とすずの金属間化
合物に変化すると、めっき表面には抵抗値が高いCuの酸
化物(比抵抗 Cu2O:108 〜109 Ω・cm、CuO:2.1 ×106
Ω・cm) が形成され接触抵抗が高くなる。また、銅とす
ずの金属間化合物はすずやすず合金の金属に比べて融点
が高いため、めっき層が銅とすずの金属間化合物に変化
するとはんだぬれ性が低下する。さらにめっき層が銅と
すずの金属間化合物に変化すると耐変色性も劣化する。
【0010】すずめっき表面の酸化を防止する技術とし
て、鋼にすずをめっきするブリキでは、不働態化処理が
用いられている。不働態化処理としては、重クロム酸ソ
ーダ溶液中で電解処理する方法が広く用いられている
が、この不働態化処理を行うとすずめっき表面にCr3+
水和酸化物が形成され、すずの酸化が抑制される。しか
し、この技術を電子部品用の銅合金材表面にめっきした
すずまたはすず合金めっき材に適用すると、めっき表面
に形成されるCr3+の水和酸化物がはんだぬれ性、接触抵
抗に悪影響を及ぼす。
【0011】すずめっき表面にリン酸エステル型界面活
性剤を 0.5重量%以上含む溶液を塗布することが、特公
平5-22322 号公報に開示されているが、この技術の目的
は、めっき表面の酸化防止ではなく、コネクター接点の
潤滑性の向上に重点をおいているため、リン酸エステル
として比較的炭素数の大きい親油基でポリフェニールエ
ーテルを基剤としたものを用いている。これらのリン酸
エステルでは、端子組立時の熱処理や高温高湿である工
場内での放置によって親油基のアルキル基が分解し、酸
化防止効果は期待できない。このため、特公平5-22322
号公報に開示されているリン酸エステルでは端子、コネ
クター、接触子用のすずまたはすず合金めっき材の酸化
を防止することができない。
【0012】以上のように、端子、コネクター、接触子
用のすずまたはすず合金めっき材には、すずやすず合金
めっき表面の酸化によるはんだぬれ性、接触抵抗の劣化
と、すずやすず合金めっき中へのCuの拡散による変色、
はんだぬれ性、接触抵抗の劣化が問題となる。このた
め、特に、めっき表面の酸化による変色、はんだぬれ
性、接触抵抗等の劣化の少ないすずまたはすず合金めっ
き材の開発が待たれている。
【0013】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、めっき材表面に塗布する酸化防止液に
含まれるリン酸エステル、リン酸ジフェニルエステル、
亜リン酸エステル、亜リン酸ジフェニルエステルの炭素
数を限定することにより、すずまたはすず合金めっきの
表面が酸化されにくく、変色、はんだぬれ性、接触抵抗
等の劣化の少ない端子、コネクター、接触子用のすずま
たはすず合金めっき材とその製造方法を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】銅または銅合金表面にす
ずまたはすず合金をめっきしためっき材表面に、リン酸
エステル、または亜リン酸エステル、またはリン酸エス
テルと亜リン酸エステルの混合物からなる有機皮膜を形
成した耐酸化性に優れたすずまたはすず合金めっき材で
ある。
【0015】銅または銅合金表面にすずまたはすず合金
をめっきしためっき材表面に、リン酸エステル、または
亜リン酸エステル、またはリン酸エステルと亜リン酸エ
ステルの混合物からなる有機皮膜を形成した端子、コネ
クター、接触子用の耐酸化性に優れたすずまたはすず合
金めっき材である。
【0016】温度 105℃、湿度 100%RH、時間 24hの水
蒸気エージング後のメニスコグラフ法によるはんだぬれ
時間が、前記水蒸気エージング前のはんだぬれ時間の
1.5倍以下である請求項1または2記載の耐酸化性に優
れたすずまたはすず合金めっき材である。ただし、はん
だぬれ時間は板厚 0.3mmのめっき材で、非活性フラック
スを用いて 230℃の6/4 はんだで測定。
【0017】銅または銅合金表面にすずまたはすず合金
をめっきしためっき材表面に、リン酸エステル、亜リン
酸エステルの1種類以上を、水または溶媒に溶かした酸
化防止液をスプレーまたは浸漬塗布する請求項3記載の
耐酸化性に優れたすずまたはすず合金めっき材の製造方
法である。
【0018】前記酸化防止液が一般式(1) 、(2) 、(3)
で表されるリン酸エステルを少なくとも1種類以上含む
酸化防止液である。ただし、一般式中のR1、R2、R3
R4、R5、R6は脂肪族または芳香族からなる置換基。
【化3】
【0019】前記酸化防止液が一般式(4) 、(5) で表さ
れる亜リン酸エステルを少なくとも1種類以上含む酸化
防止液である。ただし、一般式中のR7、R8、R9は脂肪族
または芳香族からなる置換基。
【化4】
【0020】リン酸エステルとしてリン酸ジフェニルエ
ステルを含む請求項5記載の酸化防止液である。
【0021】亜リン酸エステルとして亜リン酸ジフェニ
ルエステルを含む請求項6記載の酸化防止液である。
【0022】リン酸ジフェニルエステルを0.1g/l以上含
む水溶液または亜リン酸ジフェニルエステルを0.1g/l以
上含む水溶液またはこれらの混合水溶液からなる酸化防
止液である。
【0023】
【作用】すずまたはすず合金めっき材表面にリン酸エス
テルまたは亜リン酸エステルまたはそれらの混合物から
なる酸化防止液を塗布し、有機皮膜を形成することによ
り、すずまたはすず合金めっき表面は空気中のO2や H20
から遮断され、酸化されにくくなる。このため、本発明
に係わるすずまたはすず合金めっき材は、耐変色性、は
んだぬれ性、接触抵抗等の劣化が少なくなる。
【0024】本発明で使用するリン酸エステルとは、一
般式 PO(OR1)(OH)2 、 PO(OR2)(OR3)OH 、 PO(OR4)(O
R5)(OR6)で示され、代表的な例は、リン酸ジフェニルエ
ステル、リン酸ジブチルエステル、リン酸ジエチルエス
テル等である。ただし、一般式中のR1、R2、R3、R4
R5、R6は脂肪族または芳香族からなる置換基である。ま
た、亜リン酸エステルとは、一般式 PO(OR7)(OR8)H、 P
O(OR9)(OH)H で示され、代表的な例は、亜リン酸ジフェ
ニルエステル、亜リン酸ジブチルエステル、亜リン酸ジ
エチルエステル等である。ただし、一般式中のR7、R8
R9は脂肪族または芳香族からなる置換基である。
【0025】ここで、各リン酸エステルまたは亜リン酸
エステルの置換基であるRは脂肪族または芳香族である
が、脂肪族は炭素数が 5以下の分子構造が短いものが望
ましい。炭素数が 6以上の長い直鎖をもつ脂肪族の場
合、高温高湿下に長時間放置されると、アルキル基の直
鎖が自分子内で結合することが可能となり、アルキル基
はリン酸部と解離する。つまり、リン酸エステルや亜リ
ン酸エステルは分解し、酸化防止効果が小さくなる恐れ
がある。
【0026】リン酸エステルの中でも、特に、酸化防止
効果が大きいものは、リン酸ジフェニルエステルであ
る。また、酸化防止液に含有するリン酸ジフェニルエス
テルの量は0.1g/l以上が好ましい。この理由は、リン酸
ジフェニルエステルの含有量が0.1g/l未満では、すずま
たはすず合金めっき材の酸化防止効果が小さくなるから
である。
【0027】また、亜リン酸エステルの中では、特に、
酸化防止効果が大きいものは、亜リン酸ジフェニルエス
テルである。また、酸化防止液に含有する亜リン酸ジフ
ェニルエステルの量は0.1g/l以上で、その温度は30℃以
上が好ましい。この理由は、亜リン酸ジフェニルエステ
ルの含有量が0.1g/l未満では、すずまたはすず合金めっ
き材の酸化防止効果が小さくなり、また、液温が30℃未
満になると亜リン酸ジフェニルエステルが十分に溶解せ
ず、沈殿することがあるからである。
【0028】めっき表面に塗布されたリン酸エステルや
亜リン酸エステルは、一般式において、 Pと結合した O
の内、 Rと結合していない Oがめっき表面のすずまたは
すず合金と結合してすずまたはすず合金めっき表面を単
層の薄い膜として被覆していると推定される。このた
め、リン酸エステルや亜リン酸エステルの有機皮膜が酸
化防止効果を発揮するものと考える。
【0029】リン酸エステルまたは亜リン酸エステルま
たはそれらの混合物からなる有機皮膜は、単層膜に近い
もので、皮膜が薄いため、はんだぬれ性、接触抵抗に悪
影響を及ぼさない。それどころか、めっき表面が酸化さ
れにくいため、耐変色性、はんだぬれ性、接触抵抗は劣
化しにくい。
【0030】すずまたはすず合金めっき材には、光沢剤
を使用した電気光沢すずまたはすず合金めっき材、すず
またはすず合金めっき後溶融処理するリフローすずまた
はすず合金めっき材、溶融したすずまたはすず合金の中
に素材を通してめっきする溶融すずまたはすず合金めっ
き材、乾式めっき法の蒸着めっきでめっきする蒸着すず
またはすず合金めっき材等があるが、本発明のすずまた
はすず合金めっき表面の酸化防止技術は、いずれのめっ
き方法によるめっき材にも有効である。
【0031】本発明でいうすず合金めっき材とは、Pb、
In、Zn、Sb、Cd、Ag等の1種類以上を含むすず合金を銅
または銅合金にめっきしたものである。したがって、6/
4(Sn/Pb)はんだめっきをしたものもすず合金めっき材に
含まれる。
【0032】リン酸エステルまたは亜リン酸エステルま
たはそれらの混合物の酸化防止液をめっき表面に塗布す
る方法は、スプレーまたは浸漬塗布が好ましい。その理
由は、これらの塗布方法は前記酸化防止液を、めっき表
面に傷を付けることなく、めっき材表面に均一に塗布す
ることが可能であるからである。
【0033】酸化防止液の塗布手順は、例えば、めっき
材をプレス加工後、脱脂等の洗浄を行う接触子において
は、プレス加工→脱脂→洗浄→乾燥後に酸化防止液を塗
布する。脱脂洗浄前に酸化防止液を塗布しても、その後
の脱脂洗浄によって、塗布によって形成されためっき表
面の有機皮膜が剥がれ、酸化防止効果が薄れることがあ
る。また、プレス加工後、脱脂洗浄の工程が無ければ、
プレス加工前に酸化防止液を塗布して、めっき材表面に
有機皮膜を形成させてもかまわない。
【0034】端子、コネクター、接触子用のすずまたは
すず合金めっき材は、製造出荷から基板上へのはんだ付
けまでの間に高温高湿環境にさらされると、前述のよう
に、はんだぬれ性が劣化することがある。このため、電
子部品組立時の生産性向上の点から、電子部品組立時の
はんだぬれ性の確保が重要になってくる。このはんだぬ
れ性の確保のために、温度 105℃、湿度 100%RH、時間
24hの水蒸気エージング後のメニスコグラフ法によるす
ずまたはすず合金めっき材のはんだぬれ時間を、前記水
蒸気エージング前のはんだぬれ時間の 1.5倍以下の増加
に抑制することが肝要である。なぜなら、はんだぬれ時
間が 1.5倍を超えると、生産性を著しく低下させるから
である。ただし、はんだぬれ時間は板厚 0.3mmのめっき
材で、非活性フラックスを用いて 230℃の6/4 はんだ
(Sn:Pb=6:4)で測定する。
【0035】以上のように本発明によれば、めっき表面
が酸化されにくく、耐変色性、はんだぬれ性および接触
抵抗の劣化が少ない耐酸化性に優れた端子、コネクタ
ー、接触子用すずまたはすず合金めっき材を得ることが
できる。
【0036】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。 実施例1 めっき材表面に塗布する酸化防止液の主成分を表1に示
す。めっき材は、素材がりん青銅第1種(C5111) Cu-4.0
%Sn-0.03%Pで、板厚は 0.3mm、すずめっきの厚さは1.0
μm である。このめっき材表面に、表1に示す酸化防止
液をスプレー塗布した後、酸化促進試験として水蒸気エ
ージングを行い、その後、変色状況の観察、はんだぬれ
時間の測定および接触抵抗の測定を行った。その結果を
表2に示す。なお、水蒸気エージング条件、はんだぬれ
性試験条件、接触抵抗測定条件をそれぞれ表3、表4、
表5に示す。図1に、はんだぬれ時間 (t1)およびはん
だ引き込み力 (PW) を示しているが、はんだぬれ時間は
ぬれ力が 0に回復するまでの時間 (t1)をもって、はん
だぬれ時間とした。
【0037】本発明例の番号1〜13は酸化防止効果が認
められる。特に、番号1、2のリン酸ジフェニルエステ
ル、7〜10の亜リン酸ジフェニルエステル、13のリン酸
ジフェニルエステルと亜リン酸ジフェニルエステルの混
合物は優れた酸化防止効果がある。これに対して、比較
例の番号14、15は酸化防止効果が小さく、酸化防止液を
塗布していない番号16は変色し、はんだぬれ時間、接触
抵抗がともに増加しており、著しく酸化していることが
わかる。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】実施例2 めっき材は、素材がりん青銅第1種(C5111) Cu-4.0%Sn-
0.03%Pで、板厚は 0.3mmで、この素材の表面に厚さ 0.1
μm の銅下地めっきを行い、さらに、この上に厚さ 1.0
μm の6/4(Sn/Pb)はんだめっきを行ったものである。こ
のめっき材表面に、リン酸ジフェニルエステルを0.1g/l
含む水溶液と亜リン酸ジフェニルエステルを0.1g/l含む
水溶液を個々に浸漬塗布した後、酸化促進試験として表
6に示す水蒸気エージング条件で水蒸気エージングを行
い、その後、変色状況の観察、はんだぬれ性の劣化を測
定した。
【0044】はんだぬれ性は、図1に示すはんだぬれ時
間 (t1)と、はんだ引き込み力 (PW) で評価した。な
お、はんだ引き込み力 (PW) は 5秒後のはんだぬれ力を
もって、はんだ引き込み力とした。変色状況およびはん
だぬれ時間 (t1)、はんだ引き込み力 (PW) の測定結果
を表7に示す。
【0045】本発明例1、2は水蒸気エージングを48時
間行っても、はんだぬれ時間およびはんだ引き込み力に
は変化なく、はんだぬれ性は劣化していない。これに対
して、比較例1は水蒸気エージングを行うと、はんだぬ
れ時間およびはんだ引き込み力は経時変化し、はんだぬ
れ性は劣化した。また、本発明例1、2は水蒸気エージ
ングを48時間行っても、表面は変色しなかったが、これ
に対して、比較例1は4時間以上の水蒸気エージングで
表面が変色した。なお、表7において、はんだぬれ時間
は短いほど、はんだ引き込み力は大きいほどはんだぬれ
性は良い。
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明によれば、めっき表面が酸化されにくいすずまた
はすず合金めっき材を得ることができ、これによって、
変色、はんだぬれ性、接触抵抗等の劣化の少ない耐酸化
性に優れた端子、コネクター、接触子を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】はんだぬれ性試験におけるはんだぬれ時間およ
びはんだ引き込み力を示す図である。
【符号の説明】
1 …はんだぬれ時間、PW…はんだ引き込み力。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅または銅合金表面にすずまたはすず合
    金をめっきしためっき材表面に、リン酸エステル、また
    は亜リン酸エステル、またはリン酸エステルと亜リン酸
    エステルの混合物からなる有機皮膜を形成したことを特
    徴とする耐酸化性に優れたすずまたはすず合金めっき
    材。
  2. 【請求項2】 銅または銅合金表面にすずまたはすず合
    金をめっきしためっき材表面に、リン酸エステル、また
    は亜リン酸エステル、またはリン酸エステルと亜リン酸
    エステルの混合物からなる有機皮膜を形成したことを特
    徴とする端子、コネクター、接触子用の耐酸化性に優れ
    たすずまたはすず合金めっき材。
  3. 【請求項3】 温度 105℃、湿度 100%RH、時間 24hの
    水蒸気エージング後のメニスコグラフ法によるはんだぬ
    れ時間が、前記水蒸気エージング前のはんだぬれ時間の
    1.5倍以下であることを特徴とする請求項1または2記
    載の耐酸化性に優れたすずまたはすず合金めっき材。た
    だし、はんだぬれ時間は板厚 0.3mmのめっき材で、非活
    性フラックスを用いて 230℃の6/4 はんだで測定。
  4. 【請求項4】 銅または銅合金表面にすずまたはすず合
    金をめっきしためっき材表面に、リン酸エステル、亜リ
    ン酸エステルの1種類以上を、水または溶媒に溶かした
    酸化防止液をスプレーまたは浸漬塗布することを特徴と
    する請求項3記載の耐酸化性に優れたすずまたはすず合
    金めっき材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸化防止液が一般式(1) 、(2) 、
    (3) で表されるリン酸エステルを少なくとも1種類以上
    含むことを特徴とする酸化防止液。ただし、一般式中の
    R1、R2、R3、R4、R5、R6は脂肪族または芳香族からなる
    置換基 【化1】
  6. 【請求項6】 前記酸化防止液が一般式(4) 、(5) で表
    される亜リン酸エステルを少なくとも1種類以上含むこ
    とを特徴とする酸化防止液。ただし、一般式中のR7
    R8、R9は脂肪族または芳香族からなる置換基 【化2】
  7. 【請求項7】 リン酸エステルとしてリン酸ジフェニル
    エステルを含むことを特徴とする請求項5記載の酸化防
    止液。
  8. 【請求項8】 亜リン酸エステルとして亜リン酸ジフェ
    ニルエステルを含むことを特徴とする請求項6記載の酸
    化防止液。
  9. 【請求項9】 リン酸ジフェニルエステルを0.1g/l以上
    含む水溶液または亜リン酸ジフェニルエステルを0.1g/l
    以上含む水溶液またはこれらの混合水溶液からなること
    を特徴とする酸化防止液。
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