JPH07183619A - 変調ドープ量子井戸半導体レーザ - Google Patents
変調ドープ量子井戸半導体レーザInfo
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- JPH07183619A JPH07183619A JP32836193A JP32836193A JPH07183619A JP H07183619 A JPH07183619 A JP H07183619A JP 32836193 A JP32836193 A JP 32836193A JP 32836193 A JP32836193 A JP 32836193A JP H07183619 A JPH07183619 A JP H07183619A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 変調ドープ多重量子井戸構造内の不純物のイ
オン化によって生じる静電界によって、エネルギーバン
ドが曲げられることにより、キャリアの井戸層への注入
効率が低下することを改善する。 【構成】 半導体基板1上に、該半導体基板1に格子整
合する第一の障壁層3と該第一障壁層3に挟まれた第二
の障壁層4と該第二障壁層4に挟まれた井戸層5とから
なる量子井戸構造が少なくとも1つ以上繰り返された多
重量子井戸構造を設け、前記第二の障壁層4が前記第一
の障壁層3に比べて小さい禁制帯幅を持ち、前記第一の
障壁層3にあらかじめ定められた濃度以上のp型不純物
をドープする。
オン化によって生じる静電界によって、エネルギーバン
ドが曲げられることにより、キャリアの井戸層への注入
効率が低下することを改善する。 【構成】 半導体基板1上に、該半導体基板1に格子整
合する第一の障壁層3と該第一障壁層3に挟まれた第二
の障壁層4と該第二障壁層4に挟まれた井戸層5とから
なる量子井戸構造が少なくとも1つ以上繰り返された多
重量子井戸構造を設け、前記第二の障壁層4が前記第一
の障壁層3に比べて小さい禁制帯幅を持ち、前記第一の
障壁層3にあらかじめ定められた濃度以上のp型不純物
をドープする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体レーザに関し、特
に光通信用光源として、スペクトル線幅の狭小化、およ
び高速変調時における波長チャーピングの低減化に有効
である変調ドープ量子井戸半導体レーザに関する。
に光通信用光源として、スペクトル線幅の狭小化、およ
び高速変調時における波長チャーピングの低減化に有効
である変調ドープ量子井戸半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザは、小型軽量で位相のそろ
った光を得ることができるため、光通信用光源として優
れており、実用化されているものも少なくない。しか
し、さらなる光通信の高速化、大容量化のためには、し
きい値電流や、発光効率等の改善に加えて、狭スペクト
ル線幅化、波長チャーピングの低減等の、特性改善が要
求されている。
った光を得ることができるため、光通信用光源として優
れており、実用化されているものも少なくない。しか
し、さらなる光通信の高速化、大容量化のためには、し
きい値電流や、発光効率等の改善に加えて、狭スペクト
ル線幅化、波長チャーピングの低減等の、特性改善が要
求されている。
【0003】これらの特性を改善する方法として、線幅
増大係数(αパラメータ)の低減化が検討されている。
αパラメータは、キャリア密度変化に対する屈折率の実
数部の変化と虚数部の変化の割合によって定義されてお
り、実際には、キャリア密度変化に対する利得の変化分
(微分利得)と屈折率変化分(波長変化)とによって以
下のように表される。
増大係数(αパラメータ)の低減化が検討されている。
αパラメータは、キャリア密度変化に対する屈折率の実
数部の変化と虚数部の変化の割合によって定義されてお
り、実際には、キャリア密度変化に対する利得の変化分
(微分利得)と屈折率変化分(波長変化)とによって以
下のように表される。
【0004】
【数1】 α=(dn′/dN) (dn″/dN)=−(4π/λ)(dn/dN)(dg/dN) ここで、dn′は屈折率変化の実数部、dn″は虚数
部、dNはキャリア密度の変化、λはレーザの波長、
(dg/dN)は微分利得をそれぞれ表す。
部、dNはキャリア密度の変化、λはレーザの波長、
(dg/dN)は微分利得をそれぞれ表す。
【0005】波長チャーピング特性、およびスペクトル
線幅と、上述のαパラメータとの関係は、(1+α)、
および(1+α2 )に、それぞれ比例することが知られ
ている。したがって、αの低減化はいずれの特性改善に
も有効であることがわかる。
線幅と、上述のαパラメータとの関係は、(1+α)、
および(1+α2 )に、それぞれ比例することが知られ
ている。したがって、αの低減化はいずれの特性改善に
も有効であることがわかる。
【0006】αパラメータは、先の式で表されるように
微分利得の最大点において最小となる。微分利得の最大
となる波長は、従来の量子井戸レーザでは、利得のピー
ク波長より短波長側に位置する。たとえば、利得ピーク
が1.55μmとなる量子井戸レーザでは、微分利得ピ
ークはそれより200nm程度も短波側に位置すること
が、報告されている(参照;IEEE Journal
of Quantum Electronics誌,
1993年,第29巻,1609頁)。このため、微分
利得を増加させることや、微分利得スペクトルを長波長
側へシフトさせ、相対的に微分利得を増加させることに
よって、小さなαパラメータをもつレーザを実現するこ
とが検討されている。具体的には、αパラメータ低減化
の方法として、p型変調ドープ多重量子井戸構造や、圧
縮歪量子井戸構造を半導体レーザの活性層に用いること
が有効であることが報告されている(参照;特開平05
−243668号公報)。
微分利得の最大点において最小となる。微分利得の最大
となる波長は、従来の量子井戸レーザでは、利得のピー
ク波長より短波長側に位置する。たとえば、利得ピーク
が1.55μmとなる量子井戸レーザでは、微分利得ピ
ークはそれより200nm程度も短波側に位置すること
が、報告されている(参照;IEEE Journal
of Quantum Electronics誌,
1993年,第29巻,1609頁)。このため、微分
利得を増加させることや、微分利得スペクトルを長波長
側へシフトさせ、相対的に微分利得を増加させることに
よって、小さなαパラメータをもつレーザを実現するこ
とが検討されている。具体的には、αパラメータ低減化
の方法として、p型変調ドープ多重量子井戸構造や、圧
縮歪量子井戸構造を半導体レーザの活性層に用いること
が有効であることが報告されている(参照;特開平05
−243668号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際にこれら
の条件を基にレーザを作製した場合、発振しきい値の増
加、発光効率の低下などの基本特性の低下が見られた。
これらの原因として、変調ドープ多重量子井戸構造内の
不純物のイオン化に基づいて生じる静電界によって、エ
ネルギーバンドが曲げられることにより、キャリアの井
戸層への注入が妨げられ、注入効率の低下を招いている
ことが考えられる。
の条件を基にレーザを作製した場合、発振しきい値の増
加、発光効率の低下などの基本特性の低下が見られた。
これらの原因として、変調ドープ多重量子井戸構造内の
不純物のイオン化に基づいて生じる静電界によって、エ
ネルギーバンドが曲げられることにより、キャリアの井
戸層への注入が妨げられ、注入効率の低下を招いている
ことが考えられる。
【0008】本発明は、このような事情に鑑み、変調ド
ープ多重量子井戸構造内の不純物のイオン化によって生
じる静電界によって、エネルギーバンドが曲げられるこ
とにより、キャリアの井戸層への注入効率が低下するこ
とを改善した半導体レーザを提供することを目的とす
る。
ープ多重量子井戸構造内の不純物のイオン化によって生
じる静電界によって、エネルギーバンドが曲げられるこ
とにより、キャリアの井戸層への注入効率が低下するこ
とを改善した半導体レーザを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の変調ドー
プ量子井戸半導体レーザは、半導体基板上に、該半導体
基板に格子整合する第一の障壁層と該第一障壁層に挟ま
れた第二の障壁層と該第二障壁層に挟まれた井戸層とか
らなる量子井戸構造が少なくとも1つ以上繰り返された
多重量子井戸構造を具備する半導体レーザであって、前
記第二の障壁層が前記第一の障壁層に比べて小さくかつ
該井戸層に対して十分な障壁高さを有する禁制帯幅を持
ち、前記第一の障壁層に、または前記第一の障壁層と前
記第二の障壁層とにあらかじめ定められた濃度以上のp
型不純物がドープされていることを特徴とする。
プ量子井戸半導体レーザは、半導体基板上に、該半導体
基板に格子整合する第一の障壁層と該第一障壁層に挟ま
れた第二の障壁層と該第二障壁層に挟まれた井戸層とか
らなる量子井戸構造が少なくとも1つ以上繰り返された
多重量子井戸構造を具備する半導体レーザであって、前
記第二の障壁層が前記第一の障壁層に比べて小さくかつ
該井戸層に対して十分な障壁高さを有する禁制帯幅を持
ち、前記第一の障壁層に、または前記第一の障壁層と前
記第二の障壁層とにあらかじめ定められた濃度以上のp
型不純物がドープされていることを特徴とする。
【0010】また、本発明の第二の変調ドープ量子井戸
半導体レーザは、半導体基板上に、該半導体基板に格子
整合する第一の障壁層と該第一障壁層に挟まれた第二の
障壁層と該第二障壁層に挟まれた井戸層とからなる量子
井戸構造が少なくとも1つ以上繰り返された多重量子井
戸構造を具備する半導体レーザであって、前記第二の障
壁層は、前記第一の障壁層と前記井戸層との間に渡って
禁制帯が連続的あるいは段階的に減少し、該第一の障壁
層との接合界面において禁制帯幅が該第一の障壁層と一
致しかつ該井戸層と接合界面において十分な障壁高さを
有する禁制帯幅を有しており、前記第一の障壁層に、ま
たは前記第一の障壁層と前記第二の障壁層とにあらかじ
め定められた濃度以上のp型不純物がドープされている
ことを特徴とする。
半導体レーザは、半導体基板上に、該半導体基板に格子
整合する第一の障壁層と該第一障壁層に挟まれた第二の
障壁層と該第二障壁層に挟まれた井戸層とからなる量子
井戸構造が少なくとも1つ以上繰り返された多重量子井
戸構造を具備する半導体レーザであって、前記第二の障
壁層は、前記第一の障壁層と前記井戸層との間に渡って
禁制帯が連続的あるいは段階的に減少し、該第一の障壁
層との接合界面において禁制帯幅が該第一の障壁層と一
致しかつ該井戸層と接合界面において十分な障壁高さを
有する禁制帯幅を有しており、前記第一の障壁層に、ま
たは前記第一の障壁層と前記第二の障壁層とにあらかじ
め定められた濃度以上のp型不純物がドープされている
ことを特徴とする。
【0011】本発明は、変調ドープ多重量子井戸構造内
の不純物のイオン化によって生じる静電界によって、エ
ネルギーバンドが曲げられることにより、キャリアの井
戸層への注入効率が低下することを改善するために、井
戸層に近接する部分の障壁層組成を階段状、あるいは連
続的に変化するよう制御することによって、変調ドープ
多重量子井戸レーザにおけるキャリアの注入効率を改善
するものである。
の不純物のイオン化によって生じる静電界によって、エ
ネルギーバンドが曲げられることにより、キャリアの井
戸層への注入効率が低下することを改善するために、井
戸層に近接する部分の障壁層組成を階段状、あるいは連
続的に変化するよう制御することによって、変調ドープ
多重量子井戸レーザにおけるキャリアの注入効率を改善
するものである。
【0012】
【作用】通常の不純物ドープ層を含まない多重量子井戸
構造のエネルギーバンドの概念図を図3(a)に、障壁
層を不純物ドープ層とした多重量子井戸構造のエネルギ
ーバンドの概念図を図3(b)にそれぞれ示す。通常の
多重量子井戸では、注入されたキャリアはドリフト、お
よび拡散によって障壁層3′を通過して井戸層5に注入
される。しかし、変調ドープ量子井戸構造では、障壁層
3の不純物原子がキャリアを放出し、イオン化するた
め、バンドが曲げられ、図3(b)に示すようにキャリ
アの注入に関してそれを妨げるような形を形成している
と考えられる。このため、注入されたキャリアは井戸層
5に入りにくくなり、発光しきい値の増加や発光効率の
低下を招く。この現象を解消するためには、電界によっ
て形成されたキャリア注入に対する障壁を除去すればよ
い。
構造のエネルギーバンドの概念図を図3(a)に、障壁
層を不純物ドープ層とした多重量子井戸構造のエネルギ
ーバンドの概念図を図3(b)にそれぞれ示す。通常の
多重量子井戸では、注入されたキャリアはドリフト、お
よび拡散によって障壁層3′を通過して井戸層5に注入
される。しかし、変調ドープ量子井戸構造では、障壁層
3の不純物原子がキャリアを放出し、イオン化するた
め、バンドが曲げられ、図3(b)に示すようにキャリ
アの注入に関してそれを妨げるような形を形成している
と考えられる。このため、注入されたキャリアは井戸層
5に入りにくくなり、発光しきい値の増加や発光効率の
低下を招く。この現象を解消するためには、電界によっ
て形成されたキャリア注入に対する障壁を除去すればよ
い。
【0013】本発明では、井戸層5近傍の障壁層の高さ
を、組成を制御することによって、バンドギャップエネ
ルギーを電界によって上昇する分だけあらかじめ低くし
ておく。これにより、変調ドープ多重量子井戸において
もキャリアの注入が従来のものと変わりない状態を保つ
ことが可能である。この概念図として、電界によるバン
ドの曲がりを考慮しないときのバンド図を図4(a)
に、考慮した場合を図4(b)にそれぞれ示す。これら
の図に示すように、障壁層3より小さくかつ井戸層5の
障壁としての高さが十分に取れるような組成の層4が、
井戸層3の両側に形成されている。これにより従来の変
調ドープ多重量子井戸層にみられる井戸層両脇の障壁を
解消することができる。
を、組成を制御することによって、バンドギャップエネ
ルギーを電界によって上昇する分だけあらかじめ低くし
ておく。これにより、変調ドープ多重量子井戸において
もキャリアの注入が従来のものと変わりない状態を保つ
ことが可能である。この概念図として、電界によるバン
ドの曲がりを考慮しないときのバンド図を図4(a)
に、考慮した場合を図4(b)にそれぞれ示す。これら
の図に示すように、障壁層3より小さくかつ井戸層5の
障壁としての高さが十分に取れるような組成の層4が、
井戸層3の両側に形成されている。これにより従来の変
調ドープ多重量子井戸層にみられる井戸層両脇の障壁を
解消することができる。
【0014】また、電界によるエネルギー障壁は指数関
数状に大きくなるので、前記井戸層5と障壁層3との間
の層の組成を、障壁層3の組成から井戸層5の障壁とし
ての高さが十分に取れるような組成まで連続的に変化さ
せることによっても、エネルギー障壁の解消が可能であ
る。この概念図として、電界によるバンドの曲がりを考
慮しないときのバンド図を図5(a)に、考慮した場合
を図5(b)にそれぞれ示す。これらの図に示すよう
に、障壁層3より小さくかつ井戸層5の障壁としての高
さが十分に取れるような組成まで組成が連続的に変化し
た層7が、井戸層3の両側に形成されている。これによ
り従来の変調ドープ多重量子井戸層にみられる井戸層両
脇の障壁を解消することができる。
数状に大きくなるので、前記井戸層5と障壁層3との間
の層の組成を、障壁層3の組成から井戸層5の障壁とし
ての高さが十分に取れるような組成まで連続的に変化さ
せることによっても、エネルギー障壁の解消が可能であ
る。この概念図として、電界によるバンドの曲がりを考
慮しないときのバンド図を図5(a)に、考慮した場合
を図5(b)にそれぞれ示す。これらの図に示すよう
に、障壁層3より小さくかつ井戸層5の障壁としての高
さが十分に取れるような組成まで組成が連続的に変化し
た層7が、井戸層3の両側に形成されている。これによ
り従来の変調ドープ多重量子井戸層にみられる井戸層両
脇の障壁を解消することができる。
【0015】このようにして、本発明による変調ドープ
歪量子井戸レーザでは、変調ドープ構造で問題となるイ
オン化不純物によって生じるバンドの曲がりによるキャ
リアの注入効率低下を抑制し、しきい値電流の増加を防
ぐことが可能である。
歪量子井戸レーザでは、変調ドープ構造で問題となるイ
オン化不純物によって生じるバンドの曲がりによるキャ
リアの注入効率低下を抑制し、しきい値電流の増加を防
ぐことが可能である。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0017】図1は、一実施例に係る半導体レーザの層
構造を示したものである。InP基板1上には、厚さ
0.2μmのGaInAsP光ガイド層2、変調ドープ
量子井戸層(3,4,5)、厚さ0.2mmのGaIn
AsP光ガイド層2、InPクラッド層6の順に、有機
金属分子線成長法(MOMBE)によって成長する。活
性層となる変調ドープ量子井戸構造は、ドーピングした
厚さ8nmの1.1Q−GaInAsP障壁層3(1.
1Qはバンドギャップ波長が1.1μmの4元混晶とい
う意味。以下同じ)、キャリアの注入効率を改善するた
めの厚さ2nmの1.3Q−GaInAsP障壁層4、
厚さ3.8nmの1.2%圧縮歪GaInAs井戸層
5、厚さ2nmの1.3Q−GaInAsP障壁層4、
およびドーピングした厚さ8nmの変調ドープ障壁層3
からなり、これを1周期とする。ドーパントにはBeを
用い、濃度は1×1018cm-3とする。上記の層構造
を、幅1.2μmのメサストライプ状に加工し、電極狭
窄構造を形成し、電極を形成して半導体レーザとしたと
き、共振器長300μmの両端劈開面によって作製され
た井戸層数が6の、従来のキャリアの注入効率を改善す
るための1.3Q−GaInAsP障壁層を持たない変
調ドープ歪量子井戸構造を活性層とするファブリーペロ
型レーザでは、発振しきい値電流が28mA程度となる
のに対して、本発明によるキャリアの注入効率を改善す
るための第二の障壁層である、1.3Q−GaInAs
P障壁層を持つ変調ドープ歪量子井戸レーザでは、18
mAと2/3程度に改善される。
構造を示したものである。InP基板1上には、厚さ
0.2μmのGaInAsP光ガイド層2、変調ドープ
量子井戸層(3,4,5)、厚さ0.2mmのGaIn
AsP光ガイド層2、InPクラッド層6の順に、有機
金属分子線成長法(MOMBE)によって成長する。活
性層となる変調ドープ量子井戸構造は、ドーピングした
厚さ8nmの1.1Q−GaInAsP障壁層3(1.
1Qはバンドギャップ波長が1.1μmの4元混晶とい
う意味。以下同じ)、キャリアの注入効率を改善するた
めの厚さ2nmの1.3Q−GaInAsP障壁層4、
厚さ3.8nmの1.2%圧縮歪GaInAs井戸層
5、厚さ2nmの1.3Q−GaInAsP障壁層4、
およびドーピングした厚さ8nmの変調ドープ障壁層3
からなり、これを1周期とする。ドーパントにはBeを
用い、濃度は1×1018cm-3とする。上記の層構造
を、幅1.2μmのメサストライプ状に加工し、電極狭
窄構造を形成し、電極を形成して半導体レーザとしたと
き、共振器長300μmの両端劈開面によって作製され
た井戸層数が6の、従来のキャリアの注入効率を改善す
るための1.3Q−GaInAsP障壁層を持たない変
調ドープ歪量子井戸構造を活性層とするファブリーペロ
型レーザでは、発振しきい値電流が28mA程度となる
のに対して、本発明によるキャリアの注入効率を改善す
るための第二の障壁層である、1.3Q−GaInAs
P障壁層を持つ変調ドープ歪量子井戸レーザでは、18
mAと2/3程度に改善される。
【0018】図2(a)および(b)は、本発明の第2
の実施例に係り、本発明によるキャリアの注入効率を改
善するための層の組成を段階的に変化させた場合の層構
造と、その詳細の実施例をそれぞれ示している。ここで
は、ドーピングされた第一の障壁層3の組成である1.
1μmから、井戸層5の組成である1.3μmまで、3
段階に変化させている。すなわち、第一の障壁層3と井
戸層5との間に、1.15Q−GaInAsP11,
1.2Q−GaInAsP12および1.3Q−GaI
nAsP13からなる、段階的に傾斜した第二の障壁層
7を設けている。このような構造でも上記実施例と同様
な特性の改善が可能である。
の実施例に係り、本発明によるキャリアの注入効率を改
善するための層の組成を段階的に変化させた場合の層構
造と、その詳細の実施例をそれぞれ示している。ここで
は、ドーピングされた第一の障壁層3の組成である1.
1μmから、井戸層5の組成である1.3μmまで、3
段階に変化させている。すなわち、第一の障壁層3と井
戸層5との間に、1.15Q−GaInAsP11,
1.2Q−GaInAsP12および1.3Q−GaI
nAsP13からなる、段階的に傾斜した第二の障壁層
7を設けている。このような構造でも上記実施例と同様
な特性の改善が可能である。
【0019】以上の実施例において、不純物をBeとし
たが、これに限らず他の不純物であっても適用できる。
また、本実施例はMOMBEによって作製したが、他の
成長方法、たとえば有機金属気層成長法(MOVPE)
なども適用できる。また、第二の障壁層のバンドギャッ
プを傾斜させる場合には、実施例のように段階的でな
く、連続的に傾斜させてもよい。
たが、これに限らず他の不純物であっても適用できる。
また、本実施例はMOMBEによって作製したが、他の
成長方法、たとえば有機金属気層成長法(MOVPE)
なども適用できる。また、第二の障壁層のバンドギャッ
プを傾斜させる場合には、実施例のように段階的でな
く、連続的に傾斜させてもよい。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、キャリアの注入効率を
損なうことなく、変調ドープ量子井戸構造を活性層とす
る半導体レーザを作製することができる。
損なうことなく、変調ドープ量子井戸構造を活性層とす
る半導体レーザを作製することができる。
【図1】本発明の第1の実施例に係る半導体レーザの層
構造を示す断面図である。
構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る半導体レーザの層
構造を示す断面図である。
構造を示す断面図である。
【図3】(a)および(b)はそれぞれ、従来の不純物
ドープ層を含まない量子井戸構造のエネルギーバンドの
概念図、および障壁層を不純物ドープ層とした量子井戸
構造のエネルギーバンドの概念図である。
ドープ層を含まない量子井戸構造のエネルギーバンドの
概念図、および障壁層を不純物ドープ層とした量子井戸
構造のエネルギーバンドの概念図である。
【図4】障壁層を不純物ドープ層とした量子井戸構造
で、井戸層近傍の障壁層の高さを低くした場合のバンド
図であり、(a)および(b)は、電界によるバンドの
曲がりを考慮しない場合と、考慮した場合とをそれぞれ
示している。
で、井戸層近傍の障壁層の高さを低くした場合のバンド
図であり、(a)および(b)は、電界によるバンドの
曲がりを考慮しない場合と、考慮した場合とをそれぞれ
示している。
【図5】障壁層を不純物ドープ層とした量子井戸構造
で、井戸層近傍の障壁層の高さを段階的に変化させて低
くした場合のバンド図であり、(a)および(b)は、
電界によるバンドの曲がりを考慮しない場合と、考慮し
た場合とをそれぞれ示している。
で、井戸層近傍の障壁層の高さを段階的に変化させて低
くした場合のバンド図であり、(a)および(b)は、
電界によるバンドの曲がりを考慮しない場合と、考慮し
た場合とをそれぞれ示している。
1 InP基板 2 1.1μm組成GaInAsP光ガイド層 3 1.1μm組成GaInAsP変調ドープ障壁層 4 1.3μm組成GaInAsP障壁層 5 GaInAs井戸層 6 InPクラッド層 7 傾斜GaInAsP障壁層 11 1.15μm組成GaInAsP障壁層 12 1.2μm組成GaInAsP障壁層 13 1.3μm組成GaInAsP障壁層
Claims (2)
- 【請求項1】 半導体基板上に、該半導体基板に格子整
合する第一の障壁層と該第一障壁層に挟まれた第二の障
壁層と該第二障壁層に挟まれた井戸層とからなる量子井
戸構造が少なくとも1つ以上繰り返された多重量子井戸
構造を具備する半導体レーザであって、 前記第二の障壁層が前記第一の障壁層に比べて小くかつ
井戸層に対して十分な障壁高さを有する禁制帯幅を持
ち、 前記第一の障壁層に、または前記第一の障壁層と前記第
二の障壁層とにあらかじめ定められた濃度以上のp型不
純物がドープされていることを特徴とする変調ドープ量
子井戸半導体レーザ。 - 【請求項2】 半導体基板上に、該半導体基板に格子整
合する第一の障壁層と該第一障壁層に挟まれた第二の障
壁層と該第二障壁層に挟まれた井戸層とからなる量子井
戸構造が少なくとも1つ以上繰り返された多重量子井戸
構造を具備する半導体レーザであって、 前記第二の障壁層は、前記第一の障壁層と前記井戸層と
の間に渡って禁制帯が連続的あるいは段階的に減少し、
該第一の障壁層との接合界面において禁制帯幅が該第一
の障壁層と一致しかつ該井戸層との接合界面において十
分な障壁高さを有する禁制帯幅を有しており、 前記第一の障壁層に、または前記第一の障壁層と前記第
二の障壁層とにあらかじめ定められた濃度以上のp型不
純物がドープされていることを特徴とする変調ドープ量
子井戸半導体レーザ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32836193A JPH07183619A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 変調ドープ量子井戸半導体レーザ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32836193A JPH07183619A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 変調ドープ量子井戸半導体レーザ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07183619A true JPH07183619A (ja) | 1995-07-21 |
Family
ID=18209393
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32836193A Pending JPH07183619A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 変調ドープ量子井戸半導体レーザ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07183619A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07193323A (ja) * | 1993-12-27 | 1995-07-28 | Nec Corp | 量子井戸半導体レーザ装置 |
JP2002353569A (ja) * | 2001-05-23 | 2002-12-06 | Akihiro Ishida | 半導体レーザ素子、半導体レーザ装置 |
US7714338B2 (en) | 2002-11-21 | 2010-05-11 | Ricoh Company, Ltd. | Semiconductor light emitter |
-
1993
- 1993-12-24 JP JP32836193A patent/JPH07183619A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07193323A (ja) * | 1993-12-27 | 1995-07-28 | Nec Corp | 量子井戸半導体レーザ装置 |
JP2002353569A (ja) * | 2001-05-23 | 2002-12-06 | Akihiro Ishida | 半導体レーザ素子、半導体レーザ装置 |
US7714338B2 (en) | 2002-11-21 | 2010-05-11 | Ricoh Company, Ltd. | Semiconductor light emitter |
US7872270B2 (en) | 2002-11-21 | 2011-01-18 | Ricoh Company, Ltd. | Semiconductor light emitter |
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