JPH07179536A - Frp引抜き成形用樹脂組成物 - Google Patents

Frp引抜き成形用樹脂組成物

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JPH07179536A
JPH07179536A JP5345095A JP34509593A JPH07179536A JP H07179536 A JPH07179536 A JP H07179536A JP 5345095 A JP5345095 A JP 5345095A JP 34509593 A JP34509593 A JP 34509593A JP H07179536 A JPH07179536 A JP H07179536A
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JP
Japan
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weight
parts
vinyl ester
reducing agent
resin
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JP5345095A
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English (en)
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Ichizo Hara
市造 原
Ichiro Sugiyama
一郎 杉山
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Showa Shell Sekiyu KK
Original Assignee
Showa Shell Sekiyu KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不飽和ポリエステル樹脂と同様の条件によっ
て引抜き成形を行うことが可能で、かつ構造部材のよう
な高強度が要求されるFRP成形品、特に肉厚の大きい
大型成形品を成形することができ、しかも樹脂の割合が
大きい成形品や肉厚が大きい成形品であってもクラック
やボイドの発生を防止できるとともに、外気の温度が下
がった場合でも粘度を適切な範囲に保持して十分な作業
性、成形性を得ることが可能な、ビニルエステル樹脂を
用いた引抜き成形用樹脂組成物(マトリックス)を提供
する。 【構成】 ビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量
100重量部と、無機フィラーから選ばれる充填剤10
〜100重量部と、硬化剤2〜8重量部と、離型剤2〜
5重量部と、粘度低減剤5〜10重量部とを配合し、か
つビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100重
量部中における収縮低減剤の割合を5〜20重量部とし
た樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、引抜き成形法によって
優れた機械的特性、耐水性、耐食性、耐薬品性等を有す
るFRP成形品を成形するためのFRP引抜き成形用樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、FRP成形法として、ハンドレイ
アップ法、プレス成形法(SMC)、レジンインジェク
ション法(RTM)が一般的に行われている。ハンドレ
イアップ法は、人手によってガラス繊維に樹脂組成物
(マトリックス)をハケやローラーで含浸させるととも
に、これを予め離型処理された型に脱泡しながら所定の
厚さまで積層し、硬化後成形品を得る方法である。プレ
ス成形法は、繊維強化材にマトリックスを含浸させたシ
ート状のものを数枚金型にセットし、圧縮して成形する
方法である。レジンインジェクション法は、離型処理し
た型に繊維強化材をセットし、上型で繊維強化材を密封
して型内にマトリックスを圧送し、硬化炉で硬化させた
後、脱型して成形品を作る方法である。これらの方法に
おいて、樹脂としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニル
エステル樹脂又はエポキシ樹脂が使用されるが、機械的
特性はビニルエステル樹脂及びエポキシ樹脂が優れてい
る。
【0003】また、最近では、FRP成形法として引抜
き成形法も採用されてきている(特開昭64−7522
5号公報、特開平4−163132号公報)。引抜き成
形法は、要求される成形品の性能に合わせて繊維強化材
を引き揃え、マトリックスを含浸させて、金型内で硬化
させつつ連続的に引き抜く方法である。引抜き成形法
は、ハンドレイアップ法、プレス成形法、レジンインジ
ェクション法と比較して生産効率が高く、長尺物成形に
適し、かつその低廉化を図ることが可能である。
【0004】なお、前述した特開昭64−75225号
公報には、樹脂としてビニルエステル及び充填剤の種類
が開示されているが、配合比率については一切開示され
ていないし、耐熱性、耐候性を改良する添加剤、着色剤
を配合することは記載されているが、後述する本願発明
のように離型剤、硬化剤等の配合比率については記載さ
れていない。
【0005】また、前述した特開平4−163132号
公報には、樹脂として熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステ
ル、エポキシ)が開示されているが、ビニルエステル樹
脂は開示されていない。また、硬化剤、低収縮剤、離型
剤等を配合することは開示されているが、それらの種
類、配合比率等は一切開示されていない。
【0006】従来、FRPの引抜き成形用に使用されて
いる樹脂の多くは不飽和ポリエステル樹脂である。樹脂
として機械的強度に優れたビニルエステル樹脂を用いた
場合、引抜き成形によって特に肉厚が大きい大型成形品
を不飽和ポリエステル樹脂を用いた場合と同様の条件で
成形することは困難であった。
【0007】FRP成形品は、軽量で強度が高く、耐食
性に優れ、構造部材のような鋼材の代替品として使用で
きる特性を備えている。そのため、構造部材等として使
用できるような高強度のFRP成形品、特に大型のFR
P成形品を大量生産できる引抜き成形用樹脂組成物(マ
トリックス)の開発が望まれている。
【0008】FRP成形品を構造部材として使用する場
合、そのFRP成形品には優れた機械的特性が要求され
る。そのため、成形品において繊維強化材と樹脂組成物
(マトリックス)との接着性が良好であるとともに、硬
化したマトリックス中あるいは繊維強化材とマトリック
スとの界面にボイド、クラック等の欠陥が多くあっては
ならない。しかし、これまで引抜き成形用樹脂として多
用されてきた不飽和ポリエステル樹脂を用いて構造部材
のような肉厚が大きい大型成形品の引抜き成形を行った
場合、樹脂の硬化収縮が大きいため、硬化したマトリッ
クス中にクラック等が生じやすかった。
【0009】樹脂の割合が大きい成形品や肉厚が大きい
成形品を冬場に成形する場合、収縮低減剤の添加の有無
にかかわらず、一般に気温の低下に伴って樹脂組成物の
粘度は大きくなり、繊維強化材への含浸不足などが生じ
て作業性が悪くなる。ただし、成形時に樹脂組成物の温
度を一定に保つことができる場合は作業性に及ぼす粘度
の影響を問題にすることはない。
【0010】また、成形品における繊維強化材混入率が
小さい場合、樹脂組成物における充填剤混入率が小さい
場合、樹脂組成物中に占める樹脂の割合が大きい成形品
や、肉厚が大きい成形品では、成型時に生じる樹脂の硬
化収縮によってクラックやボイドが発生することがあっ
た。
【0011】さらに、不飽和ポリエステル樹脂を用いた
FRP成形品の機械的特性は、一般に、FRP成形用と
して代表的な熱硬化性樹脂であるビニルエステル樹脂及
びエポキシ樹脂を用いたFRP成形品のそれよりも劣る
ものであった。
【0012】ビニルエステル樹脂は伸びが大きく、接着
性、耐衝撃性にも優れるため、ビニルエステル樹脂を用
いた成形品は不飽和ポリエステル樹脂を用いたものより
も機械的特性に優れる上、耐薬品性、耐水性も良好であ
る、しかし、ビニルエステル樹脂は硬化収縮率が小さい
ことから、これまで引抜き成形用樹脂としては扱いにく
かった。
【0013】また、FRP引抜き成形用の熱硬化性樹脂
としては、他にエポキシ樹脂が使用され、それを用いた
FRP成形品の性質は不飽和ポリエステル樹脂やビニル
エステル樹脂を用いたものよりも優れる。しかし、エポ
キシ樹脂はコストが高い上、硬化時の収縮率がビニルエ
ステル樹脂よりも小さいので、金型内に接する面積が大
きい成形品及び大型成形品を引抜き成形で成形する際に
は引抜き抵抗が著しく大きくなる。そのため、エポキシ
樹脂を用いた場合、成形品の形状によっては引抜き成形
が不可能であった。
【0014】これに対し、ビニルエステル樹脂の硬化収
縮率は、エポキシ樹脂のそれよりも大きいため、適切な
配合による樹脂組成物(マトリックス)が与えられれ
ば、成形品の形状にかかわらず不飽和ポリエステル樹脂
を用いた場合とほぼ同様の条件で引抜き成形が可能であ
る。また、ビニルエステル樹脂を用いた場合は、不飽和
ポリエステル樹脂を用いた場合に比べて、成形品のマト
リックスに発生するクラックは少なくなる。
【0015】以上述べたことより、構造部材のような高
強度が要求される成形品、特に大型成形品を引抜き成形
法で成形するためには、ビニルエステル樹脂を用いるこ
とが好ましい。しかしながら、ビニルエステル樹脂は、
不飽和ポリエステル樹脂の場合と同条件で引抜き成形が
できないという問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記事情に
鑑み、不飽和ポリエステル樹脂と同様の条件、例えば同
様の成形速度、引抜き力等によって引抜き成形を行うこ
とができ、しかも構造部材のような高強度が要求される
FRP成形品、特に肉厚の大きい大型成形品を成形する
ことができるとともに、樹脂の割合が大きい成形品や肉
厚が大きい成形品であってもクラックやボイドの発生を
防止することが可能な、ビニルエステル樹脂を用いた引
抜き成形用樹脂組成物(マトリックス)を提供すること
を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するために鋭意検討を行った結果、ビニルエステル
樹脂に適切な充填剤、硬化剤及び離型剤を添加した樹脂
組成物(マトリックス)を用い、さらにビニルエステル
樹脂の一部を飽和ポリエステル、ポリ酢酸ビニル等の収
縮低減剤で代替して従来通りの引抜き成形を行うことに
よって、構造部材のような高強度が要求されるFRP成
形品を不飽和ポリエステル樹脂を用いた場合とほぼ同様
の条件で成形できることを見い出した。また、前述した
ように、樹脂の割合が大きい成形品や肉厚が大きい成形
品では、成型時に生じる樹脂の硬化収縮によってクラッ
クやボイドが発生するが、本発明者は、樹脂の一部を飽
和ポリエステル、ポリ酢酸ビニル等の収縮低減剤で代替
することにより、このクラックやボイドの発生を防止で
きることを見い出した。
【0018】さらに、温度の低下による樹脂組成物の粘
度の低下について本発明者は検討を行った結果、樹脂組
成物に収縮低減剤とともに粘度低減剤、特にスチレンモ
ノマーを特定の割合で配合することにより、外気温が低
下した場合でも樹脂組成物の粘度上昇を防止して粘度を
適切な範囲内に保持できることを知見した。したがっ
て、本発明は、下記(1)〜(8)に示すFRP引抜き
成形用樹脂組成物を提供する。
【0019】(1)ビニルエステル樹脂及び収縮低減剤
の合計量100重量部と、無機フィラーから選ばれる充
填剤10〜100重量部、好ましくは20〜60重量部
と、硬化剤2〜8重量部と、離型剤2〜5重量部、好ま
しくは2〜4重量部と、粘度低減剤5〜10重量部、好
ましくは5〜8重量部とを配合し、かつビニルエステル
樹脂及び収縮低減剤の合計量100重量部中における収
縮低減剤の割合を5〜20重量部、好ましくは10〜2
0重量部としたことを特徴とするFRP引抜き成形用樹
脂組成物。
【0020】(2)ビニルエステル樹脂として、ビスフ
ェノールA系ビニルエステル樹脂とノボラック系ビニル
エステル樹脂とを100:0〜50:50、好ましくは
90:10〜70:30の重量比で配合した(1)のF
RP引抜き成形用樹脂組成物。
【0021】(3)充填剤として、炭酸カルシウム、ク
レー、水酸化アルミニウム及びタルクから選ばれる1種
又は2種以上をビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合
計量100重量部に対して10〜100重量部、好まし
くは20〜60重量部配合した(1)、(2)のFRP
引抜き成形用樹脂組成物。
【0022】(4)硬化剤として、ビニルエステル樹脂
及び収縮低減剤の合計量100重量部に対して低温用硬
化剤1〜4重量部及び高温用硬化剤1〜4重量部を配合
した(1)〜(3)のFRP引抜き成形用樹脂組成物。
【0023】(5)離型剤として、脂肪酸又は脂肪酸
塩、例えば粉末状のステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等
をビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100重
量部に対して2〜5重量部、好ましくは2〜4重量部配
合した(1)〜(4)のFRP引抜き成形用樹脂組成
物。
【0024】(6)収縮低減剤として、飽和ポリエステ
ルをビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100
重量部中の割合として5〜20重量部、好ましくは10
〜20重量部配合した(1)〜(5)のFRP引抜き成
形用樹脂組成物。
【0025】(7)粘度低減剤として、スチレンモノマ
ーをビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100
重量部に対して5〜10重量部、好ましくは5〜8重量
部配合した(1)〜(6)のFRP引抜き成形用樹脂組
成物。
【0026】(8)25℃における粘度が5〜50ポイ
ズ、好ましくは10〜30ポイズである(1)〜(7)
のFRP引抜き成形用樹脂組成物。
【0027】以下、本発明につきさらに詳しく説明す
る。本発明において、ビニルエステル樹脂としては、ビ
スフェノールA系ビニルエステル樹脂を単独で用いる場
合と、硬化速度を上げ生産性を高めることを目的に、ビ
スフェノールA系ビニルエステル樹脂とノボラック系ビ
ニルエステル樹脂とを混合して用いる場合がある。
【0028】ビスフェノールA系ビニルエステル樹脂と
ノボラック系ビニルエステル樹脂とを併用する場合、両
者の割合は重量比で100:0〜50:50とすること
ができ、好ましくは90:10〜70:30である。ノ
ボラック系ビニルエステル樹脂の割合が30重量部より
も多くなると、成形品中にクラックが発生しやすくなる
とともに、機械的性質も低下することがある。10重量
部よりも少なくなると、硬化速度を上げる効果が認めら
れなくなることがある。また、ここで用いるビスフェノ
ールA系ビニルエステル樹脂の分子量は900〜110
0であることが好ましく、ノボラック系ビニルエステル
樹脂の分子量は500〜700であることが好ましい。
【0029】本発明では、充填剤として無機フィラーを
用いる。無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウ
ム、クレー、水酸化アルミニウム、タルク等を挙げるこ
とができる。充填剤は種類にかかわらず1種を単独で用
いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、炭酸
カルシウム、クレー、水酸化アルミニウム及びタルクか
ら選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることが特
に好ましい。
【0030】充填剤の配合量は、種類にかかわらず、ビ
ニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100重量部
に対して10〜100重量部であり、好ましくは20〜
60重量部である。充填剤の配合量がビニルエステル樹
脂及び収縮低減剤の合計量100重量部に対して10重
量部未満又は100重量部を超えると成型物の機械強度
にマイナスの影響を与える。また、成形品の物性に影響
を及ぼさなければ、充填剤を粘度調整の目的で用いる場
合もある。各種充填剤には、平均粒径、比表面積、表面
処理の条件等の異なるものが多くあるが、FRP成形品
に要求される機械的性質及び成形のしやすさに合わせて
それらの配合量を前記範囲内で決定する。また、充填剤
の配合量は、樹脂組成物の粘度が5〜50ポイズ(25
℃)の範囲に入るように決定することが望ましい。
【0031】本発明では、ビニルエステル樹脂及び収縮
低減剤の合計量100重量部に対して硬化剤を2〜8重
量部配合する。硬化剤の配合量がビニルエステル樹脂及
び収縮低減剤の合計量100重量部に対して2重量部未
満であると硬化しにくくなり、ついには成形できなくな
る。同じく8重量部を超えると、配合した樹脂組成物が
短時間のうちに硬化してしまい実用的でない。硬化剤と
しては、低温用硬化剤と高温用硬化剤とを併用して用
い、それらの添加量は成形品の形状等によって決定する
ことが適当である。
【0032】この場合、例えば、成形品断面の形状及び
金型における硬化条件によって、ビニルエステル樹脂及
び収縮低減剤の合計量100重量部に対して、パーオキ
シジカーボネート系、パーオキシエステル系、パーオキ
シジエステル系等の低温用硬化剤(例えば化薬アクゾ社
製「パーカドックス16」、日本油脂社製「パーロイル
TCP」)1〜4重量部と、パーオキシケタール系、パ
ーオキシエステル系、パーオキシジカーボネート系等の
高温用硬化剤(例えば化薬アクゾ社製「トリゴノックス
29B75」、日本油脂社製「パーヘキサ3M」)1〜
4重量部とを配合する。
【0033】本発明では、ビニルエステル樹脂及び収縮
低減剤の合計量100重量部に対して離型剤を2〜5重
量部、好ましくは2〜4重量部配合する。離型剤の配合
量がビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100
重量部に対して2重量部未満であると樹脂が金型に付き
成形できなくなる。同じく5重量部を超えると成型物の
曲げ強度、引張強度等の機械強度が低下する。離型剤と
しては、C9〜C21の飽和又は不飽和の脂肪酸又はそれ
らの塩を用いることができ、粉末状のステアリン酸(例
えば新日本理化社製「ステアリン酸100」)を特に好
適に用いることができる。
【0034】本発明の樹脂組成物には、収縮低減剤を配
合する。収縮低減剤としては、例えば、飽和ポリエステ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸
メチル等を挙げることができ、特に飽和ポリエステルが
好適である。収縮低減剤の配合量は、ビニルエステル樹
脂及び収縮低減剤の合計量100重量部中の5〜20重
量部、好ましくは10〜20重量部である。5重量部よ
り少ないと成形品中に生じるクラックやボイドを防止す
る効果が低下し、20重量部より多いと成形性が悪くな
るとともに、成形品の物性が低下する。収縮低減剤の配
合量は、成形品の成形性及び物性が低下しないように上
記範囲内で決定する。
【0035】本発明の樹脂組成物には、粘度低減剤を配
合する。粘度低減剤としてはスチレンモノマーを用い
る。粘度低減剤の配合量は、ビニルエステル樹脂100
重量部に対して5〜10重量部、好ましくは5〜8重量
部である。5重量部より少ないと樹脂組成物の粘度を効
果的に低下させることができず、10重量部より多いと
硬化時に多量のスチレンが硬化物中に残り、成形品の物
性が低下するとともに成形品中に剥離が発生しやすくな
る。粘度低減剤の配合量は、成形品の物性が低下しない
ように上記範囲内で決定する。
【0036】本発明の樹脂組成物は、成形性等の点で2
5℃における粘度を5〜50ポイズ、特に10〜30ポ
イズに調整することが望ましい。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に示す
が、本発明は下記実施例に限定されるものではない。ま
ず、下記成分を用い、表1に示した組成を有するFRP
引抜き成形用樹脂組成物1〜8を調製した。樹脂組成物
4、5、8は本発明品、その他は比較品である。
【0038】1.樹脂 (1)ビスフェノールA系のビニルエステル樹脂 「リポキシR−802」 昭和高分子社製 (2)ノボラック系のビニルエステル樹脂 「リポキシH−630」 昭和高分子社製
【0039】2.充填剤 (1)炭酸カルシウム 「ホワイトンSB(赤)」 白石カルシウム社製 (2)クレー 「ASP 400P」 Engelhard 社製
【0040】3.硬化剤 (1)パーオキシジカーボネート系低温用硬化剤 「パーカドックス16」 化薬アクゾ社製 (2)パーオキシケタール系高温用硬化剤 「トリゴノックス29B75」 化薬アクゾ社製
【0041】4.離型剤 ステアリン酸粉末 「ステアリン酸100」 新日本理化社製
【0042】5.収縮低減剤 飽和ポリエステル樹脂(分子量約500) 昭和高分子
社製
【0043】6.粘度低減剤 スチレンモノマー 和光純薬社製
【0044】FRP引抜き成形用樹脂組成物1〜8の1
0℃及び25℃における粘度及びプレートゲルタイムを
それぞれ測定した。試験法は下記の通りである。結果を
表1に併記する。
【0045】粘度:粘度の測定にはB型粘度計を使用
し、それに取り付けるローターはNO.3のものとし
て、その回転数を変化させた。
【0046】プレートゲルタイム:一定温度(10℃又
は25℃)に調整したプレート上にごくわずかの樹脂組
成物を載せ、樹脂組成物を載せた時からゲル化するまで
の時間(秒数)で示した。ゲル化の確認は、細い棒で樹
脂組成物をかき混ぜて行った。
【0047】
【表1】
【0048】次に、前記樹脂組成物を用いてFRPの引
抜き成形を行った成形例を示す。引抜き成形機に長さ9
50mmの金型を用いて、幅250mm、厚さ15mm
の平板を成形した。各成形例では、繊維強化材として下
記(1)〜(3)に示すものを用いた。成形条件は表2
に示した。
【0049】 (1)ロービング 4450g/km 旭ファイバー社製 (2)チョップドストランドマット 600g/m2 日東
紡社製 (3)ロービングクロス 800g/m2 日東紡社製
【0050】成形例1 本発明の樹脂組成物4を用い、外気温12℃の条件下で
下記繊維強化材構成を有する平板(繊維強化材混入率:
53.5vol%)の引抜き成形を行った。 第1層:チョップドストランドマット 第2層:チョップドストランドマット 第3層:ロービング 第4層:ロービングクロス 第5層:チョップドストランドマット 第6層:ロービング 第7層:ロービングクロス 第8層:チョップドストランドマット 第9層:ロービング 第10層:ロービングクロス
【0051】第11層:チョップドストランドマット 第12層:ロービング 第13層:ロービングクロス 第14層:チョップドストランドマット 第15層:ロービング 第16層:ロービングクロス 第17層:チョップドストランドマット 第18層:ロービング 第19層:ロービングクロス 第20層:チョップドストランドマット
【0052】第21層:ロービング 第22層:ロービングクロス 第23層:チョップドストランドマット 第24層:ロービング 第25層:ロービングクロス 第26層:チョップドストランドマット 第27層:ロービング 第28層:ロービングクロス 第29層:チョップドストランドマット 第30層:ロービング
【0053】第31層:ロービングクロス 第32層:チョップドストランドマット 第33層:ロービング 第34層:ロービングクロス 第35層:チョップドストランドマット 第36層:ロービング 第37層:ロービングクロス 第38層:チョップドストランドマット 第39層:ロービング 第40層:ロービングクロス
【0054】第41層:チョップドストランドマット 第42層:ロービング 第43層:ロービングクロス 第44層:チョップドストランドマット 第45層:ロービング 第46層:ロービングクロス 第47層:チョップドストランドマット 第48層:ロービング 第49層:チョップドストランドマット 第50層:チョップドストランドマット
【0055】成形例2 比較のため、収縮低減剤及び粘度低減剤を配合していな
い樹脂組成物2を使用し、外気温22℃の条件下で成形
例1と同じ繊維強化材構成を有する平板の引抜き成形を
行った。
【0056】成形例1、2で得られた成形品の物性を調
べた。結果を表2に示す。試験方法は下記の通りであ
る。 1.引張強度試験 島津製作所社製のオートグラフ(容量:25t)を用
い、JIS K 7054 (ガラス繊維強化プラスチックの引張
試験方法)に従って、平板成形品の引張強度試験を行っ
た。
【0057】2.曲げ強度試験 島津製作所社製のオートグラフ(容量:25t)を用
い、JIS K 7055 (ガラス繊維強化プラスチックの曲げ
試験方法)に従って、平板成形品の曲げ強度試験を行っ
た。0゜曲げ強度とはロービングと同じ方向(引抜き方
向)の曲げ強度であり、90゜曲げ強度とはロービング
に対して直角な方向(引抜き方向に対して直角方向)の
曲げ強度である。
【0058】3.圧縮強度試験 島津製作所社製のオートグラフ(容量:25t)を用
い、JIS K 7056 (ガラス繊維強化プラスチックの圧縮
試験方法)に従って、平板成形品の圧縮強度試験を行っ
た。0゜圧縮強度及び90゜圧縮強度の方向を図1に示
す。
【0059】また、表2における成形性及び成形品断面
の評価基準は下記の通りとした。成形性 ◎:連続的に成形でき、表面にもボイド、クラックがな
い。 ○:連続的に成形でき、表面にボイド、クラックが比較
的少ない。 △:連続的に成形できるが、表面に若干ボイド、クラッ
クが見られる。 ×:成形不可能
【0060】成形品断面 ◎:成形品断面にボイド、クラックが全く見あたらな
い。 ○:成形品断面に若干ボイド、クラックが見られる。 △:成形品断面にボイド、クラックがかなり確認でき
る。
【0061】
【表2】
【0062】表2の結果より、本発明のビニルエステル
樹脂を用いたFRP引抜き成形用樹脂組成物によれば、
優れた機械的特性を有するFRP成形品を引抜き成形法
によって成形することができ、また樹脂の割合が大きい
成形品や肉厚が大きい成形品であってもクラックやボイ
ドの発生を防止できるとともに、外気温が低下した場合
でも粘度を低く保持することができ、十分な成形性、作
業性を得られることがわかる。
【0063】
【発明の効果】以上のように、本発明のビニルエステル
樹脂を用いたFRP引抜き成形用樹脂組成物は、現在大
量生産用に使用されている不飽和ポリエステル樹脂を用
いた場合とほぼ同じ条件下で引抜き成形を行うことが可
能であり、しかも構造部材のような肉厚が大きい大型成
形品を成形した場合でも、機械的強度が高く、内部にボ
イド、クラックが少なく、かつ耐水性、耐食性、耐薬品
性等に優れた成形品を容易にしかも連続的に得ることが
可能である。
【0064】この場合、本発明の樹脂組成物によれば、
樹脂の割合が大きい成形品や肉厚が大きい成形品の成形
においてクラックやボイドの発生を特に有効に防止する
ことができ、しかも外気温が低下した場合でも樹脂組成
物の粘度上昇を防止して粘度を適切な範囲内に保持する
ことが可能で、十分な作業性、成形性を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は圧縮強さ試験における0゜圧縮強さ及び
90゜圧縮強さの方向を示す説明図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合
    計量100重量部と、無機フィラーから選ばれる充填剤
    10〜100重量部と、硬化剤2〜8重量部と、離型剤
    2〜5重量部と、粘度低減剤5〜10重量部とを配合
    し、かつビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量1
    00重量部中における収縮低減剤の割合を5〜20重量
    部としたことを特徴とするFRP引抜き成形用樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 ビニルエステル樹脂として、ビスフェノ
    ールA系ビニルエステル樹脂とノボラック系ビニルエス
    テル樹脂とを100:0〜50:50の重量比で配合し
    た請求項1記載のFRP引抜き成形用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 充填剤として、炭酸カルシウム、クレ
    ー、水酸化アルミニウム及びタルクから選ばれる1種又
    は2種以上をビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計
    量100重量部に対して10〜100重量部配合した請
    求項1又は2記載のFRP引抜き成形用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 硬化剤として、ビニルエステル樹脂及び
    収縮低減剤の合計量100重量部に対して低温用硬化剤
    1〜4重量部及び高温用硬化剤1〜4重量部を配合した
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のFRP引抜き成形
    用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 離型剤として、脂肪酸又は脂肪酸塩をビ
    ニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100重量部
    に対して2〜5重量部配合した請求項1〜4のいずれか
    1項に記載のFRP引抜き成形用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 収縮低減剤として、飽和ポリエステルを
    ビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100重量
    部中の割合として5〜20重量部配合した請求項1〜5
    のいずれか1項に記載のFRP引抜き成形用樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 粘度低減剤として、スチレンモノマーを
    ビニルエステル樹脂及び収縮低減剤の合計量100重量
    部に対して5〜10重量部配合した請求項1〜6のいず
    れか1項に記載のFRP引抜き成形用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 25℃における粘度が5〜50ポイズで
    ある請求項1〜7のいずれか1項に記載のFRP引抜き
    成形用樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100351070C (zh) * 2004-02-16 2007-11-28 胜利油田孚瑞特石油装备有限责任公司 纤维增强乙烯基酯树脂基拉挤复合材料

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