JPH0717818A - 防かび性固形組成物 - Google Patents

防かび性固形組成物

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JPH0717818A
JPH0717818A JP15601093A JP15601093A JPH0717818A JP H0717818 A JPH0717818 A JP H0717818A JP 15601093 A JP15601093 A JP 15601093A JP 15601093 A JP15601093 A JP 15601093A JP H0717818 A JPH0717818 A JP H0717818A
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Hiroaki Endo
弘明 遠藤
Hiroshi Endo
宏 遠藤
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Abstract

(57)【要約】 【目 的】 防かび性固形組成物の提供。 【構 成】 亜塩素酸のアルカリまたはアルカリ
土金属塩100重量部に対し、pHが7.5〜12.0
の水の300〜5,000重量部、自重量の30重量%
以上の吸水能をもった無機および/または有機物の粉末
または顆粒の5〜5,000重量部および硫酸カルシウ
ムの半水塩または一水塩の500〜10,000重量部
を加えた混合物を主成分とし、これらをかきまぜて固化
させたことを特徴とする防かび性固形組成物 【効 果】 浴室、各種収納庫などに設置してお
くだけで、その空間内を3〜4ヵ月の長期にわたって防
かび性とすることに効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的密閉度の高い空
間内に設置して防かび効果を発揮できる固形の組成物に
関する。
【従来の技術】従来、浴室などの室内空間用の防かび剤
としては、防かびスプレー、防かび塗料、あるいは防か
び性のタイル目地材などが市販されているのは公知の通
りである。ところが、これらの従来品は次に述べる欠点
があった。すなわち、まず、防かびスプレーは例えば浴
室内の壁にスプレーすることによって黒かびなどのかび
の除去、およびその発生を防止する効果が認められてい
るものゝ短期的な効果しかなく、浴室壁の防かび性を維
持するには定期的にスプレーしなければならない煩雑さ
が指摘されている。次に、防かび塗料はスプレーよりは
その効果の寿命が長いものゝ、1〜2年ごとに再塗装す
る必要がありその作業性の点で問題があった。また、防
かび性のタイル目地材もその効果の有効期間はたかだか
2〜3年間であり、一旦効果がなくなればタイルをその
まゝで目地材だけの補修がきかない欠点があった。しか
も、これら従来品に共通の欠点としてあげられるのは、
まず、スプレー,塗料または目地材を施した面や部分の
みしかその効果がなく、その空間内全体の防かび性は期
待できない。第2に、防かび剤として使用されている有
機薬品例えば、ベンズイミダール系(商品名TBZ,米
国メルク社)や、フタルイミド系(商品名プリベントー
ルA−3,西独バイエル社)などは、健康や環境面での
安全性に不安がもたれている点である。亜塩素酸塩が、
加熱や摩擦を加えない限り常温では安定な酸化剤である
ことはよく知られている。また、亜塩素酸塩に他の粉末
などを混合して希釈し、さらに酸性化合物を添加して二
酸化塩素を発生させる試みについては現在までに多くの
提案があり公知である。例えば、古くは特開昭60−1
03003号公報に開示されるように亜塩素酸のアルカ
リまたはアルカリ土金属塩をケイソー土や重曹などの粉
末で希釈し、クエン酸などの酸性固体粉末を混合して二
酸化塩素ガスを発生させて消毒剤などに用いる例、亜塩
素酸水溶液を活性アルミナ、活性白土などに吸着させて
用いる例(特開昭60−161307号公報)、亜塩素
酸塩が固体粉末状で存在するようにして、過炭酸ナトリ
ウムの如きアルカリ性物質とゼオライトなどの充填剤と
を混合する試み(特開昭61−234930号公報)、
亜塩素酸塩に鉄、コバルト、ニッケルなどの金属や金属
酸化物を含有させて二酸化塩素ガスを発生させずに触媒
作用を利用する例(特開昭63−130136号公
報)、亜塩素酸塩に希釈剤としてケイ酸カルシウム、パ
ーライトなどを加え、トリクロロイソシアヌール酸をガ
ス発生剤として添加する例(特開昭63−246304
号公報)、亜塩素酸塩に酸化チタン,硫酸アンモニウム
などの水中で酸性になる酸性無機化合物を使用時に加え
てガスを発生させる例(特開昭64−34904号公
報)、シリカゼオライトと亜塩素酸塩を主成分とする例
(特開昭64−71804号公報)、亜塩素酸ナトリウ
ムとヒドロキシアルキルセルロースとを混合した消毒用
クリーナー(特開平2−38301号公報)、亜塩素酸
塩にプロトン酸を使用時に添加する畜舎用の殺菌防かび
剤(特開平2−104509号公報)、白金やホウ酸な
どの遷移金属を添加してガスを発生させてコンタクトレ
ンズの清浄剤として用いる例(特開平3−164402
号公報)、および亜塩素酸塩にペルオキソニ硫酸カリウ
ムなどの含イオウ酸素酸易水溶性塩を添加してガス発生
を徐放性にする例(特開平3−285801号公報)な
どがあげられる。
【本発明が解決しようとする課題】ところが、亜塩素酸
塩を他の粉末などで希釈して、これに酸性化合物などの
ガス発生剤を加えて二酸化塩素ガスを発生させる方法
は、本発明者の実験によれば、ガス発生のコントロール
が事実上困難であること、および保存性が劣り1〜2ヵ
月などの長期保存に耐えないことが明らかになった。こ
のことは、例えば、特開昭64−34904号公報の明
細書中に記述されている内容、すなわち「特開昭60−
103003号公報で提案されている組成物(粉末状亜
塩素酸ナトリウムとケイソー土およびクエン酸の混合
物)では発生ガスのコントロールがむずかしい」という
指摘によっても明確に裏づけされるものである。従って
前述した公知の技術のうち、特開昭60−103003
号公報、仝昭63−246304号公報、仝昭64−3
4904号公報、仝平2−104509号公報、仝平3
−164402号公報および仝平3−285801号公
報に提案されているようなガス発生剤を加える技術は同
様の欠点があってその改良が要望されていた。特に、こ
れらの亜塩素酸塩にガス発生剤を加える技術のなかで、
亜塩素酸塩にドデシルベンゼンスルホン酸または塩酸の
如きプロトン酸を加えて畜舎用の殺菌防かび剤として利
用する技術(特開平2−104509号公報)は同明細
書によれば畜舎などの殺菌剤としては有用であるが、防
かび剤として長期間にわたって効果を発揮する目的に使
用するには不適である。また、他のガス発生剤を加えな
い公知技術についても次に述べる欠点があって実用上使
用が困難であった。すなわち、まず、亜塩素酸塩は周知
の如く危険物であるため、たとえ希釈剤が非危険物で安
全な粉末とはいえ、それらと混合、または粉砕、成型な
どの摩擦や衝撃を伴う製造上の作業工程は避けた方が好
ましく、これらの公知技術は工業生産上問題があった。
(例えば、特開昭63−130136号公報の技術は粉
砕工程が必要である。)第2に、これらの組成物は粉末
状であるため、使用に際して袋詰めの必要性があるなど
の不便さがあり使用態様に改良の余地が大きかった。以
上、要するに例えば、浴室などに設置しておくだけで
壁、タイル目地部などを含めた室内全体に防かび効果を
発揮できる技術と商品は現在迄に提案されておらず、そ
の技術的解決策が要望されていた。硫酸カルシウムの半
水塩または一水塩が水を加えることによって硬化するこ
とは公知であるが、これを固形の防かび剤組成物の材料
として用いる例は現在までに提案されていない。本発明
は、上述の現状に鑑みなされたもので、従来品防かび剤
で達成できなかった、例えば浴室、押入れなどの空間全
体の防かび性を達成できるのに適した固形の防かび性組
成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明者らは、多年にわたる二酸化塩素組成物の研
究結果得られた知見をもとに、かびの発生しやすい室内
に設置するだけで防かび効果を発揮できる固形の組成物
について鋭意研究を重ねた結果、亜塩素酸塩と水との混
合物を硫酸カルシウムの半水塩または一水塩で固めるに
際して吸水性をもった粉末を添加すると、得られた固形
物からの二酸化塩素ガスの発生が徐々にしかも長期間に
わたってスムースに行われること、得られた固形組成物
は密封保存中は二酸化塩素ガスの発生が抑制されて長期
保存に耐えること、およびこの固形組成物が浴室や押入
れなどの比較的密閉度の高い空間内で3〜4ヵ月にわた
って防かび効果を発揮できる特徴があることを見出して
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、亜塩
素酸のアルカリまたはアルカリ土金属塩100重量部に
対してpHが7.5〜12.0の水の300〜5,00
0重量部、自重量の30重量%以上の吸水能をもった無
機および/または有機物の粉末または顆粒の5〜5,0
00重量部および硫酸カルシウムの半水塩あるいは一水
塩の500〜10,000重量部を加えた混合物を主成
分とし、これらをかきまぜて固化させたことを特徴とす
る防かび性固形組成物を要旨としている。
【作 用】本発明の構成と作用とを説明する。本発明で
用いる亜塩素酸のアルカリ金属塩としては、亜塩素酸ナ
トリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウム、アル
カリ土金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸
マグネシウム、亜塩素酸バリウムがあげられるが、この
うち亜塩素酸ナトリウムが好適に用いられる。次に、本
発明で用いるpHが7.5〜12.0の水としては、好
ましくは脱イオン水あるいは、蒸溜水を水酸化ナトリウ
ム、重炭酸ナトリウムなどのアルカリ性化合物で上記範
囲に調製したものが用いられるが、一般の水道水を同様
にpH調整したものも用いうる。こゝで、用いる水のp
Hを7.5〜12.0の範囲に特定した意義は以下の通
りである。すなわち、本発明で用いる亜塩素酸塩にpH
の調整をしない脱イオン水または水道水、吸水能をもっ
た粉末(または顆粒、以下同じ)および硫酸カルシウム
の半水塩(または一水塩、以下同じ)を加えた混合物の
pHは6.0〜7.5の範囲を示し、これを固化した固
形物はガスバリヤー性の袋または容器に密封保存した場
合、徐々に二酸化塩素ガスの発生がみられる例があり、
長期間の保存に耐えないことが明らかになったことによ
る。本発明で用いる水のpH値をどの程度にするかは、
主に混合する吸水性粉末の酸度(または塩基度)、保存
期間の長短の要求度および防かび効果の強弱によって選
定すればよい。この場合、実際の工業生産に当っては、
用いる吸水性粉末の酸度塩基度のロット差によるバラツ
キに応じて用いる水のpH値を選定しなければならない
煩雑さが生じるが、この問題を解決するには用いる水と
してpH緩衝溶液を用いた方が望ましい。すなわち、緩
衝溶液を用いることによってロット差による吸水性粉末
の酸度塩基度の変動を緩衝して目的とするpH値を維持
することができる。この目的に使用できるpH緩衝溶液
としては、Clerk−LubsおよびBates−B
ower緩衝溶液が用いられる。具体的にはリン酸二水
素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液(pH7.5〜
8.0)、リン酸水素二ナトリウム−水酸化ナトリウム
緩衝液(pH10.9〜12.0)などがあげられる。
これらのpH調整した水のpHが7.5未満であると、
用いる吸水性粉末の種類とそのpH値如何によっては本
発明組成物とした場合の保存安定性が損われ、保存中に
徐々に二酸化塩素を発生するおそれが多いことから、ま
たpHが12.0を超えると防かび効果の低下が見られ
るため本発明組成物の材料としては好ましくない。次
に、本発明で用いる自重量の30重量%以上の吸水能を
もった無機および/または有機物の粉末または顆粒とし
ては、ケイ藻土、鹿沼土、ゼオライト、炭酸カルシウ
ム、アルミナなどの無機化合物、セルロース、セルロー
スエーテルなどのセルロース化合物、パルプ、でんぷ
ん、木粉(ひき粉)、高吸水性樹脂、ポリビニルアルコ
ールなどの天然または合成の有機化合物があげられ、こ
れらは二種以上混合して用いうる。自重量の30重量%
未満の吸水能しか持たない粉末または顆粒の使用は本発
明固形物からの二酸化塩素ガスのスムースな発生が阻害
されることと、その液体保持量が劣ることから単独での
使用は不利である。本発明で用いる硫酸カルシウムの半
水塩または一水塩としては、一般の工業品グレードの市
販品を用いうる。その製法や粒度はとくに制限はない。
硫酸カルシウムの半水塩と同様に水と反応して固化する
性質をもった化合物、例えば生石灰などで硫酸カルシウ
ムの半水塩の一部を代替して用いるのは固化性能と安全
性とを損わぬ範囲で差支えない。本発明で用いる各成分
の量比は、本発明固形組成物に要求される防かび能の強
弱、およびその有効寿命の長短によってかなり広い範囲
にわたって変化しうる。しかして、防かび能の強弱をつ
けるには亜塩素酸塩に対する水の量で、また有効寿命の
長短を調節するには、吸水能をもった粉末と硫酸カルシ
ウムの半水塩との比率によって達成するものである。こ
れは、亜塩素酸塩に対する水の量を少なくして本発明組
成物中の亜塩素酸塩の濃度が高ければその防かび能も強
いこと、また、吸水能をもった粉末の硫酸カルシウムの
半水塩に対する比率が多いほど、本発明固形組成物中に
含有しうる亜塩素酸塩と水との量が多いためその有効寿
命が長くなるという実験結果にもとずくものである。防
かび能の強弱については、具体的には例えば浴室などで
発生している黒かびの除去やその発生防止など比較的広
い空間で、しかもかびが発生しやすい環境下で本発明組
成物を使用するには、亜塩素酸塩に対する水の量を少な
めにして濃度を高くして防かび能を強くし、下駄箱、流
し下の収納庫などの狭い空間で使用する場合には、水の
量を多くして濃度を下げて防かび能をおだやかにしても
十分防かびの効果を達成できるなどである。また、有効
寿命の調節については、本発明組成物の構成成分である
吸水性粉末および硫酸カルシウムの半水塩は、亜塩素酸
塩と水とを比較的多量に保持しながらこれらを固形化す
る目的で加えるものであってその所要量は亜塩素酸塩と
水の量によって左右されるものの、硫酸カルシウムの半
水塩に対する吸水性粉末の相対的比率を増すほど、また
その吸水能が大きいほど本発明組成物中に含有させうる
亜塩素酸塩と水の量を多くすることができ、その結果本
発明組成物の有効寿命を長くできるなどその配合比を選
択することにより要求される効果の持続性の長短に変化
を与えることができるものである。こゝで、吸水性粉末
を併用せずに硫酸カルシウムの半水塩のみを用いて固化
させようとすると、亜塩素酸塩と水との総重量に対して
約倍重量の硫酸カルシウムの半水塩が必要で、その結果
固形物中に含みうる亜塩素酸塩と水との量が約30重量
%となり効果の持続性の点で不利であること、および得
られた固形物が固く締まっているためか、固形物からの
二酸化塩素の発生がスムースでなく遅延されることが観
察されたので、例えば成形物を薄くするとか、孔をあけ
て表面積を多くするなどの他の手段を講じない限り本発
明固形組成物とするには不利であった。以上説明した内
容から、本発明固形組成物とするのに適した相互の量比
は、亜塩素酸塩の100重量部に対してpHが7.5〜
12.0の水の300〜5,000重量部、自重量の3
0重量%以上の吸水能をもった無機および/または有機
物の粉末または顆粒の5〜5,000重量部および硫酸
カルシウムの半水塩または一水塩の500〜10,00
0重量部である。水の使用量の下限300重量部未満で
は組成物中の亜塩素酸塩の濃度が高くなり安全性の面か
ら避けた方が好ましく、この水量に応じた吸水性粉末と
硫酸カルシウムの半水塩の量はそれぞれ5重量部、50
0重量部が適量であって、それ未満では固形化するのに
不十分であり、本発明から除かれる。一方、水の5,0
00重量部を超える量は、二酸化塩素の発生量が少なく
防かび性が劣ることから不利である。水を5,000重
量部用いた場合の吸水性粉末と硫酸カルシウムの半水塩
の所要量はそれぞれ5重量部と10,000重量部もし
くは、5,000重量部と600重量部であった。従っ
て、吸水性粉末の上限値5,000重量部および硫酸カ
ルシウムの半水塩の上限値10,000重量部を超える
量は本発明固形組成物として固化するのに必要量を超え
るので本発明より除かれる。本発明固形組成物を調製す
るには、各成分を均一に混合してスラリー状にし型また
は適当な容器に流し込めば、約10〜60分で固化する
ので、その後型から抜くかあるいは容器のまゝ用いるこ
とができる。混合に当って、亜塩素酸塩の組成物中への
均一な分散を計るためには、亜塩素酸塩を予め水にとか
した後吸水性粉末と硫酸カルシウムの半水塩とを加えて
混合する工程を採用することが好ましい。本発明固形組
成物の商品価値を向上させるために、混合時に適当な着
色材を用いた着色すること、または二酸化塩素に安定な
香料を添加して付香することは任意に行ってよい。さら
に、本発明固形組成物を用いるに際して、成形した容器
から取り出し網などに入れて使用する場合、成形物とし
ての強度を補強するためには材料の混合時に補強材を加
えることが有効な手段である。この目的に使用される材
料としては、グラスウール、天然または合成繊維、パル
プなどの無機または有機の繊維状物質、ゴムラテックス
やアクリルまたは塩ビ系の水分散性樹脂液などがあげら
れ、通常全量に対して1〜30重量%が用いられる。本
発明固形組成物は室内に設置して3〜6ヵ月間の長期に
わたって徐々に二酸化塩素を発生する特徴をもつが、さ
らに使用寿命を延ばしたい場合には、予め亜塩素酸塩の
5〜25重量%の溶液を吸着担持させた顆粒または固形
の吸着担体をスラリー液中に混合するとか、または成型
時に中央部分に埋めこむなどの手段を採用できる。こう
して得られた本発明固形組成物は、表面からの二酸化塩
素ガスの揮散に伴って埋めこまれた吸着担体から徐々に
二酸化塩素が固形組成物中へ補給されるために使用寿命
を約2倍に延ばすことが可能である。逆に本発明固形組
成物から二酸化塩素の発生を促進させたい場合は、吸着
担体の吸着容量の限度以下に液状プロトン酸を含浸させ
た吸着物を同様に成型時に組成物中に埋めこんで固化さ
せる方法が採用できる。 〔実 施 例〕本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、これによって本発明は限定されるものではない。
なお、部および%は特に明示しない限り重量部、重量%
である。 実施例1.市販亜塩素酸ナトリウム(和光純薬製、試薬
1級)100部を重炭酸ナトリウムでpHを7.5に調
製した脱イオン水300部に溶解し、これを吸水性が2
00%の市販ケイ酸カルシウム粉末(和光純薬製)5部
および市販硫酸カルシウム−水塩(睦化学工業製、グレ
ードC)の500部を加えて均一にかきまぜてスラリー
液とした。これを80×150×40mmのプラスチッ
ク容器2個に流しこんで放置したところ約30分後に固
化した。こうして得られた本発明防かび性固形組成物2
個(約900部)を黒かびが部分的に壁部分に生えた浴
室(約4.5m)内の床上1mの部分に設置した。約
30〜35日後黒かび部分は淡黄色に変化し、約60日
後には壁全体が淡灰色になりかびが消失した。その後テ
ストを続行した結果90日間にわたってかびの発生が見
られなかった。 実施例2.市販亜塩素酸ナトリウム100部、炭酸ナト
リウムでpHを10.0に調製した水道水2,000
部、市販ガンマーアルミナ粉末(住友化学工業製、KC
−512)の3部、ケイ酸カルシウム粉末7部および硫
酸カルシウムの半水塩、1,490部を均一に混合して
厚み5mmの型に流しこんだものは約60分後に型抜き
できる程度の固さに固化した。こうして得られた本発明
固形組成物を70mm角に切断してシャーレーに採り広
さ10mの部屋内に放置して経日ごとに組成物中の残
存二酸化塩素量をヨード法で分析してその揮発性を試験
した。結果は表1に示すとおりで、明らかに本発明固形
組成物は徐々に二酸化塩素を揮散する性質を示した。 実施例3.底面に水を含ませたスポンジシートを敷き容
器内の相対湿度を80〜90%に調節した巾150m
m、長さ230mm、高さ160mmの密閉型のガラス
容器を用意する。実施例2で得られた本発明組成物を4
0mm角厚み5mmに切断しこれを用いてS.Goch
oの方法(防菌防黴、19巻、329頁、511頁、1
991年)に従って本組成物と接触しない空間内の防か
び効果をテストした。試験菌として黒かび (Aspe
rgillus niger)を用い、JIS Z29
11にならって胞子懸濁液を調製する。滅菌シャーレー
にその1mlをとり次いでサブロー寒天培地を9ml分
注し平坦にならした後28℃で5日間培養したものをか
び検体とする。他に、φ50mmの濾紙に培地を含浸さ
せたものを用意する。上述した本発明固形組成物をガラ
ス容器の天井部、かび検体を底面に設置し、濾紙を底面
から50mm離して天井面から100mmの位置に水平
に吊りさげる。これを28℃で10日間培養した。一
方、対照として本発明固形組成物をセットしない分を同
様の条件で比較した。その結果、本発明防かび性固形組
成物をセットした分は、濾紙にかびの生育が認められな
いのに対し、対照は濾紙一面にかびの生育が認められ、
本発明防かび性固形組成物を設置した空間内では組成物
表面は勿論のこと、その置かれた空間においても防かび
性の効果を発揮することが明らかになった。 実施例4.市販亜塩素酸ナトリウム100部をpHが1
2.0のリン酸水素二ナトリウム一水酸化ナトリウム緩
衝液5,000部に溶解した。これに市販軽質炭酸カル
シウム(多木化学製、商品名ゼオシール)5部および硫
酸カルシウムの半水塩10,000部を加えてかきせぜ
固化させた。この200部を通気性不織布に入れてエア
コンの空気吸入路に設置したところ室内の防かびとかび
臭除去に効果があった 実施例5.亜塩素酸ナトリウムをpH10.5の水に溶
解した市販の25%亜塩素酸ナトリウム溶液(ダイソー
製)を用意する。この溶液400部(含有亜塩素酸ナト
リウム100部)に対しpHが10.5の炭酸水素ナト
リウム一水酸化ナトリウム緩衝液4,700部を加え、
これにガンマーアルミナ粉末5,100部、硫酸カルシ
ウムの一水塩600部を加えて均一にかきまぜたものは
約60分で固化した。この100部を台所流し下の収納
庫(約0.3m)内に設置したところ、約4ヵ月にわ
たり庫内のかび発生を防止できた。また、設置前に見ら
れたごきぶりの出現がみられなくなった。 実施例6.亜塩素酸ナトリウム10部、脱イオン水20
0部、炭酸ナトリウム5部を均一に混合した液に顆粒と
粉末とからなるパーライト(三井金属鉱業製、パーライ
トB)100部、粉末パルプ(山陽国策パルプ製、KC
フロック)5部、ポリエステル繊維の1〜5mmの切断
くず5部および硫酸カルシウムの半水塩100部を加え
て固化させたものは固形物が多孔性(ポーラス)である
ためか、室内放置で二酸化塩素の発生が比較的早く、6
0日間で約62%揮散した。分析法は実施例2の方法に
準じた。 〔発明の効果〕実施例から明らかなように、本発明防か
び性固形組成物は、比較的密閉度の高い空間に設置して
おくだけで長期間にわたってその空間内で防かび効果を
発揮でき、しかも、定期的に繰返し使用の必要がある防
かびスプレー、防かび塗料にくらべ手間が省けて簡便に
使用できる特徴を有するもので、その効果はこの種従来
品では到底達成し得なかったものである。従って、本発
明組成物は、浴室、押入れ、下駄箱または流し下の収納
庫などの防かび剤として有用である。また、防かび能以
外に同時に二酸化塩素による消臭、防菌および害虫の忌
避効果も発揮できることから、本発明組成物は、例えば
病院のトイレットや待合室、ロッカー、スポーツバッ
ク、自動車内またはエアコンの通風流路に用いて防菌消
臭、植木鉢やプランターの土中または表面に用いて害虫
忌避、生花の水中に用いて水の防腐など各種用途に広く
利用でき産業上きわめて有益である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的密閉度の高い空
間内に設置して防かび効果を発揮できる固形の組成物に
関する。
【従来の技術】従来、浴室などの室内空間用の防かび剤
としては、防かびスプレー、防かび塗料、あるいは防か
び性のタイル目地材などが市販されているのは公知の通
りである。ところが、これらの従来品は次に述べる欠点
があった。すなわち、まず、防かびスプレーは例えば浴
室内の壁にスプレーすることによって黒かびなどのかび
の除去、およびその発生を防止する効果が認められてい
るものゝ短期的な効果しかなく、浴室壁の防かび性を維
持するには定期的にスプレーしなければならない煩雑さ
が指摘されている。次に、防かび塗料はスプレーよりは
その効果の寿命が長いものゝ、1〜2年ごとに再塗装す
る必要がありその作業性の点で問題があった。また、防
かび性のタイル目地材もその効果の有効期間はたかだか
2〜3年間であり、一旦効果がなくなればタイルをその
まゝで目地材だけの補修がきかない欠点があつた。しか
も、これら従来品に共通の欠点としてあげられるのは、
まず、スプレー,塗料または目地材を施した面や部分の
みしかその効果がなく、その空間内全体の防かび性は期
待できない。第2に、防かび剤として使用されている有
機薬品例えば、ベンズイミダール系(商品名TBZ,米
国メルク社)や、フタルイミド系(商品名プリベントー
ルA−3,西独バイエル社)などは、健康や環境面での
安全性に不安がもたれている点である。亜塩素酸塩が、
加熱や摩擦を加えない限り常温では安定な酸化剤である
ことはよく知られている。また、亜塩素酸塩に他の粉末
などを混合して希釈し、さらに酸性化合物を添加して二
酸化塩素を発生させる試みについては現在までに多くの
提案があり公知である。例えば、古くは特開昭60−1
03003号公報に開示されるように亜塩素酸のアルカ
リまたはアルカリ土金属塩をケイソー土や重曹などの粉
末で希釈し、クエン酸などの酸性固体粉末を混合して二
酸化塩素ガスを発生させて消毒剤などに用いる例、亜塩
素酸塩水溶液を活性アルミナ、活性白土などに吸着させ
て用いる例(特開昭60−161307号公報)、亜塩
素酸塩が固体粉末状で存在するようにして、過炭酸ナト
リウムの如きアルカリ性物質とゼオライトなどの充填剤
とを混合する試み(特開昭61−234930号公
報)、亜塩素酸塩に鉄、コバルト、ニッケルなどの金属
や金属酸化物を含有させて二酸化塩素ガスを発生させず
に触媒作用を利用する例(特開昭63−130136号
公報)、亜塩素酸塩に希釈剤としてケイ酸カルシウム、
パーライトなどを加え、トリクロロイソシアヌール酸を
ガス発生剤として添加する例(特開昭63−24630
4号公報)、亜塩素酸塩に酸化チタン,硫酸アンモニウ
ムなどの水中で酸性になる酸性無機化合物を使用時に加
えてガスを発生させる例(特開昭64−34904号公
報)、シリカゼオライトと亜塩素酸塩を主成分とする例
(特開昭64−71804号公報)、亜塩素酸ナトリウ
ムとヒドロキシアルキルセルロースとを混合した消毒用
クリーナー(特開平2−38301号公報)、亜塩素酸
塩にプロトン酸を使用時に添加する畜舎用の殺菌防かび
剤(特開平2−104509号公報)、白金やホウ酸な
どの遷移金属を添加してガスを発生させてコンタクトレ
ンズの清浄剤として用いる例(特開平3−164402
号公報)、および亜塩素酸塩にペルオキソニ硫酸カリウ
ムなどの含イオウ酸素酸易水溶性塩を添加してガス発生
を徐放性にする例(特開平3−285801号公報)な
どがあげられる。
【本発明が解決しようとする課題】ところが、亜塩素酸
塩を他の粉末などで希釈して、これに酸性化合物などの
ガス発生剤を加えて二酸化塩素ガスを発生させる方法
は、本発明者の実験によれば、ガス発生のコントロール
が事実上困難であること、および保存性が劣り1〜2ヵ
月などの長期保存に耐えないことが明らかになった。こ
のことは、例えば、特開昭64−34904号公報の明
細書中に記述されている内容、すなわち「特開昭60−
103003号公報で提案されている組成物(粉末状亜
塩素酸ナトリウムとケイソー土およびクエン酸の混合
物)では発生ガスのコントロールがむずかしい」という
指摘によっても明確に裏づけされるものである。従って
前述した公知の技術のうち、特開昭60−103003
号公報、仝昭63−246304号公報、仝昭64−3
4904号公報、仝平2−104509号公報、仝平3
−164402号公報および仝平3−285801号公
報に提案されているようなガス発生剤を加える技術は同
様の欠点があってその改良が要望されていた。特に、こ
れらの亜塩素酸塩にガス発生剤を加える技術のなかで、
亜塩素酸塩にドデシルベンゼンスルホン酸または塩酸の
如きプロトン酸を加えて畜舎用の殺菌防かび剤として利
用する技術(特開平2−104509号公報)は同明細
書によれば畜舎などの殺菌剤としては有用であるが、防
かび剤として長期間にわたって効果を発揮する目的に使
用するには不適である。また、他のガス発生剤を加えな
い公知技術についても次に述べる欠点があって実用上使
用が困難であった。すなわち、まず、亜塩素酸塩は周知
の如く危険物であるため、たとえ希釈剤が非危険物で安
全な粉末とはいえ、それらと混合、または粉砕、成型な
どの摩擦や衝撃を伴う製造上の作業工程は避けた方が好
ましく、これらの公知技術は工業生産上問題があった。
(例えば、特開昭63−130136号公報の技術は粉
砕工程が必要である。)第2に、これらの組成物は粉末
状であるため、使用に際して袋詰めの必要性があるなど
の不便さがあり使用態様に改良の余地が大きかった。以
上、要するに例えば、浴室などに設置しておくだけで
壁、タイル目地部などを含めた室内全体に防かび効果を
発揮できる技術と商品は現在迄に提案されておらず、そ
の技術的解決策が要望されていた。硫酸カルシウムの半
水塩または一水塩が水を加えることによって硬化するこ
とは公知であるが、これを固形の防かび剤組成物の材料
として用いる例は現在までに提案されていない。本発明
は、上述の現状に鑑みなされたもので、従来品防かび剤
で達成できなかった、例えば浴室、押入れなどの空間全
体の防かび性を達成できるのに適した固形の防かび性組
成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明者らは、多年にわたる二酸化塩素組成物の研
究結果得られた知見をもとに、かびの発生しやすい室内
に設置するだけで防かび効果を発揮できる固形の組成物
について鋭意研究を重ねた結果、亜塩素酸塩と水との混
合物を硫酸カルシウムの半水塩または一水塩で固めるに
際して吸水性をもった粉末を添加すると、得られた固形
物からの二酸化塩素ガスの発生が徐々にしかも長期間に
わたつてスムースに行われること、得られた固形組成物
は密封保存中は二酸化塩素ガスの発生が抑制されて長期
保存に耐えること、およびこの固形組成物が浴室や押入
れなどの比較的密閉度の高い空間内で3〜4ヵ月にわた
って防かび効果を発揮できる特徴があることをを見出し
て本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、亜
塩素酸のアルカリまたはアルカリ土金属塩100重量部
に対してpHが7.5〜12.0の水の300〜5,0
00重量部、自重量の30重量%以上の吸水能をもった
無機および/または有機物の粉末または顆粒の5〜5,
000重量部および硫酸カルシウムの半水塩あるいは一
水塩の500〜10,000重量部を加えた混合物を主
成分とし、これらをかきまぜて固化させたことを特徴と
する防かび性固形組成物を要旨としている。
【作 用】本発明の構成と作用とを説明する。本発明で
用いる亜塩素酸のアルカリ金属塩としては、亜塩素酸ナ
トリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウム、アル
カリ土金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸
マグネシウム、亜塩素酸バリウムがあげられるが、この
うち亜塩素酸ナトリウムが好適に用いられる。次に、本
発明で用いるpHが7.5〜12.0の水としては、好
ましくは脱イオン水あるいは、蒸溜水を水酸化ナトリウ
ム、重炭酸ナトリウムなどのアルカリ性化合物で上記範
囲に調製したものが用いられるが、一般の水道水を同様
にpH調整したものも用いうる。こゝで、用いる水のp
Hを7.5〜12.0の範囲に特定した意義は以下の通
りである。すなわち、本発明で用いる亜塩素酸塩にpH
の調整をしない脱イオン水または水道水、吸水能をもっ
た粉末(または顆粒、以下同じ)および硫酸カルシウム
の半水塩(または一水塩、以下同じ)を加えた混合物の
pHは6.0〜7.5の範囲を示し、これを固化した固
形物はガスバリヤー性の袋または容器に密封保存した場
合、徐々に二酸化塩素ガスの発生がみられる例があり、
長期間の保存に耐えないことが明らかになったことによ
る。本発明で用いる水のpH値をどの程度にするかは、
主に混合する吸水性粉末の酸度(または塩基度)、保存
期間の長短の要求度および防かび効果の強弱によって選
定すればよい。この場合、実際の工業生産に当っては、
用いる吸水性粉末の酸度塩基度のロット差によるバラツ
キに応じて用いる水のpH値を選定しなければならない
煩雑さが生じるが、この問題を解決するには用いる水と
してpH緩衝溶液を用いた方が望ましい。すなわち、緩
衝溶液を用いることによってロット差による吸水性粉末
の酸度塩基度の変動を緩衝して目的とするpH値を維持
することができる。この目的に使用できるpH緩衝溶液
としては、Clerk−LubsおよびBates−B
ower緩衝溶液が用いられる。具体的にはリン酸二水
素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液(pH7.5〜
8.0)、リン酸水素二ナトリウム−水酸化ナトリウム
緩衝液(pH10.9〜12.0)などがあげられる。
これらのpH調整した水のpHが7.5未満であると、
用いる吸水性粉末の種類とそのpH値如何によっては本
発明組成物とした場合の保存安定性が損われ、保存中に
徐々に二酸化塩素を発生するおそれが多いことから、ま
たpHが12.0を超えると防かび効果の低下が見られ
るため本発明組成物の材料としては好ましくない。次
に、本発明で用いる自重量の30重量%以上の吸水能を
もった無機および/または有機物の粉末または顆粒とし
ては、ケイ藻土、鹿沼土、ゼオライト、炭酸カルシウ
ム、アルミナなどの無機化合物、セルロース、セルロー
スエーテルなどのセルロース化合物、パルプ、でんぷ
ん、木粉(ひき粉)、高吸水性樹脂、ポリビニルアルコ
ールなどの天然または合成の有機化合物があげられ、こ
れらは二種以上混合して用いうる。自重量の30重量%
未満の吸水能しか持たない粉末または顆粒の使用は本発
明固形物からの二酸化塩素ガスのスムースな発生が阻害
されることと、その液体保持量が劣ることから単独での
使用は不利である。本発明で用いる硫酸カルシウムの半
水塩または一水塩としては、一般の工業品グレードの市
販品を用いうる。その製法や粒度はとくに制限はない。
硫酸カルシウムの半水塩と同様に水と反応して固化する
性質をもった化合物、例えば生石灰などで硫酸カルシウ
ムの半水塩の一部を代替して用いるのは固化性能と安全
性とを損わぬ範囲で差支えない。本発明で用いる各成分
の量比は、本発明固形組成物に要求される防かび能の強
弱、およびその有効寿命の長短によってかなり広い範囲
にわたって変化しうる。しかして、防かび能の強弱をつ
けるには亜塩素酸塩に対する水の量で、また有効寿命の
長短を調節するには、吸水能をもった粉末と硫酸カルシ
ウムの半水塩との比率によって達成するものである。こ
れは、亜塩素酸塩に対する水の量を少なくして本発明組
成物中の亜塩素酸塩の濃度が高ければその防かび能も強
いこと、また、吸水能をもった粉末の硫酸カルシウムの
半水塩に対する比率が多いほど、本発明固形組成物中に
含有しうる亜塩素酸塩と水との量が多いためその有効寿
命が長くなるという実験結果にもとずくものである。防
かび能の強弱については、具体的には例えば浴室などで
発生している黒かびの除去やその発生防止など比較的広
い空間で、しかもかびが発生しやすい環境下で本発明組
成物を使用するには、亜塩素酸塩に対する水の量を少な
めにして濃度を高くして防かび能を強くし、下駄箱、流
し下の収納庫などの狭い空間で使用する場合には、水の
量を多くして濃度を下げて防かび能をおだやかにしても
十分防かびの効果を達成できるなどである。また、有効
寿命の調節については、本発明組成物の構成成分である
吸水性粉末および硫酸カルシウムの半水塩は、亜塩素酸
塩と水とを比較的多量に保持しながらこれらを固形化す
る目的で加えるものであってその所要量は亜塩素酸塩と
水の量によって左右されるものの、硫酸カルシウムの半
水塩に対する吸水性粉末の相対的比率を増すほど、また
その吸水能が大きいほど本発明組成物中に含有させうる
亜塩素酸塩と水の量を多くすることができ、その結果本
発明組成物の有効寿命を長くできるなどその配合比を選
択することにより要求される効果の持続性の長短に変化
を与えることができるものである。こゝで、吸水性粉末
を併用せずに硫酸カルシウムの半水塩のみを用いて固化
させようとすると、亜塩素酸塩と水との総重量に対して
約倍重量の硫酸カルシウムの半水塩が必要で、その結果
固形物中に含みうる亜塩素酸塩と水との量が約30重量
%となり効果の持続性の点で不利であること、および得
られた固形物が固く締まっているためか、固形物からの
二酸化塩素の発生がスムースでなく遅延されることが観
察されたので、例えば成形物を薄くするとか、孔をあけ
て表面積を多くするなどの他の手段を講じない限り本発
明固形組成物とするには不利であった。以上説明した内
容から、本発明固形組成物とするのに適した相互の量比
は、亜塩素酸塩の100重量部に対してpHが7.5〜
12.0の水の300〜5,000重量部、自重量の3
0重量%以上の吸水能をもった無機および/または有機
物の粉末または顆粒の5〜5,000重量部および硫酸
カルシウムの半水塩または一水塩の500〜10,00
0重量部である。水の使用量の下限300重量部未満で
は組成物中の亜塩素酸塩の濃度が高くなり安全性の面か
ら避けた方が好ましく、この水量に応じた吸水性粉末と
硫酸カルシウムの半水塩の量はそれぞれ5重量部、50
0重量部が適量であって、それ未満では固形化するのに
不十分であり、本発明から除かれる。一方、水の5,0
00重量部を超える量は、二酸化塩素の発生量が少なく
防かび性が劣ることから不利である。水を5,000重
量部用いた場合の吸水性粉末と硫酸カルシウムの半水塩
の所要量はそれぞれ5重量部と10,000重量部もし
くは、5,000重量部と600重量部であった。従っ
て、吸水性粉末の上限値5,000重量部および硫酸カ
ルシウムの半水塩の上限値10,000重量部を超える
量は本発明固形組成物として固化するのに必要量を超え
るので本発明より除かれる。本発明固形組成物を調製す
るには、各成分を均一に混合してスラリー状にし型また
は適当な容器に流し込めば、約10〜60分で固化する
ので、その後型から抜くかあるいは容器のまゝ用いるこ
とができる。混合に当って、亜塩素酸塩の組成物中への
均一な分散を計るためには、亜塩素酸塩を予め水にとか
した後吸水性粉末と硫酸カルシウムの半水塩とを加えて
混合する工程を採用することが好ましい。本発明固形組
成物の商品価値を向上させるために、混合時に適当な着
色材を用いた着色すること、または二酸化塩素に安定な
香料を添加して付香することは任意に行ってよい。さら
に、本発明固形組成物を用いるに際して、成形した容器
から取り出し網などに入れて使用する場合、成形物とし
ての強度を補強するためには材料の混合時に補強材を加
えることが有効な手段である。この目的に使用される材
料としては、グラスウール、天然または合成繊維、パル
プなどの無機または有機の繊維状物質、ゴムラテックス
やアクリルまたは塩ビ系の水分散性樹脂液などがあげら
れ、通常全量に対して1〜30重量%が用いられる。本
発明固形組成物は室内に設置して3〜6ヵ月間の長期に
わたって徐々に二酸化塩素を発生する特徴をもつが、さ
らに使用寿命を延ばしたい場合には、予め亜塩素酸塩の
5〜25重量%の溶液を吸着担持させた顆粒または固形
の吸着担体をスラリー液中に混合するとか、または成型
時に中央部分に埋めこむなどの手段を採用できる。こう
して得られた本発明固形組成物は、表面からの二酸化塩
素ガスの揮散に伴って埋めこまれた吸着担体から徐々に
二酸化塩素が固形組成物中へ補給されるために使用寿命
を約2倍に延ばすことが可能である。逆に本発明固形組
成物から二酸化塩素の発生を促進させたい場合は、吸着
担体の吸着容量の限度以下に液状プロトン酸を含浸させ
た吸着物を同様に成型時に組成物中に埋めこんで固化さ
せる方法が採用できる。さらに、本発明固形組成物は流
水で徐々に流失する性質をもつから、これを網や孔あき
のプラスチック容器などに収納して例えば台所流しのス
トレーナー内、小用便器あるいは浴室の排水口などに設
置してこれら流水路の防かび、防菌、消臭の用途に用い
ることも可能である。 〔実 施 例〕本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、これによって本発明は限定されるものではない。
なお、部および%は重量部、重量%である。 実施例1.市販亜塩素酸ナトリウム(和光純薬製、試薬
1級)100部を重炭酸ナトリウムでpHを7.5に調
製した脱イオン水300部に溶解し、これを吸水性が2
00%の市販ケイ酸カルシウム粉末(和光純薬製)5部
および市販硫酸カルシウム一水塩(睦化学工業製、グレ
ードC)の500部を加えて均一にかきまぜてスラリー
液とした。これを80×150×40mmのプラスチッ
ク容器2個に流しこんで放置したところ約30分後に固
化した。こうして得られた本発明防かび性固形組成物2
個(約900部)を黒かびが部分的に壁部分に生えた浴
室(約4.5m)内の床上1mの部分に設置した。約
30〜35日後黒かび部分は淡黄色に変化し、約60日
後には壁全体が淡灰色になりかびが消失した。その後テ
ストを続行した結果90日間にわたってかびの発生が見
られなかった。 実施例2.市販亜塩素酸ナトリウム100部、炭酸ナト
リウムでpHを10.0に調製した水道水2,000
部、市販ガンマーアルミナ粉末(住友化学工業製、KC
−512)の3部、ケイ酸カルシウム粉末7部および硫
酸カルシウムの半水塩、1,490部を均一に混合して
厚み5mmの型に流しこんだものは約60分後に型抜き
できる程度の固さに固化した。こうして得られた本発明
固形組成物を70mm角に切断してシャーレーに採り広
さ10mの部屋内に放置して経日ごとに組成物中の残
存二酸化塩素量をヨード法で分析してその揮発性を試験
した。結果は表1に示すとおりで、明らかに本発明固形
組成物は徐々に二酸化塩素を揮散する性質を示した。 実施例3.底面に水を含ませたスポンジシートを敷き容
器内の相対湿度を80〜90%に調節した巾150m
m、長さ230mm、高さ160mmの密閉型のガラス
容器を用意する。実施例2で得られた本発明組成物を4
0mm角厚み5mmに切断しこれを用いてS.Goch
oの方法(防菌防黴、19巻、329頁、511頁、1
991年)に従って本組成物と接触しない空間内の防か
び効果をテストした。試験菌として黒かび(Asper
gillus niger)を用い、JISZ2911
にならって胞子懸濁液を調製する。滅菌シヤーレーにそ
の1mlをとり次いでサブロー寒天培地を9ml分注し
平坦にならした後28℃で5日間培養したものをかび検
体とする。他に、φ50mmの濾紙に培地を含浸させた
ものを用意する。上述した本発明固形組成物をガラス容
器の天井部、かび検体を底面に設置し、濾紙を底面から
50mm離して天井面から100mmの位置に水平に吊
りさげる。これを28℃で10日間培養した。一方、対
照として本発明固形組成物をセットしない分を同様の条
件で比較した。その結果、本発明防かび性固形組成物を
セットした分は、濾紙にかびの生育が認められないのに
対し、対照は濾紙一面にかびの生育が認められ、本発明
防かび性固形組成物を設置した空間内では組成物表面は
勿論のこと、その置かれた空間においても防かび性の効
果を発揮することが明らかになった。 実施例4.市販亜塩素酸ナトリウム100部をpHが1
2.0のリン酸水素二ナトリウム一水酸化ナトリウム緩
衝液5,000部に溶解した。これに市販軽質炭酸カル
シウム(多木化学製、商品名ゼオシール)5部および硫
酸カルシウムの半水塩10,000部を加えてかきせぜ
固化させた。この200部を通気性不織布に入れてエア
コンの空気吸入路に設置したところ室内の防かびとかび
臭除去に効果があった 実施例5.亜塩素酸ナトリウムをpH10.5の水に溶
解した市販の25%亜塩素酸ナトリウム溶液(ダイソー
製)を用意する。この溶液400部(含有亜塩素酸ナト
リウム100部)に対しpHが10.5の炭酸水素ナト
リウム一水酸化ナトリウム緩衝液4,700部を加え、
これにガンマーアルミナ粉末5,100部、硫酸カルシ
ウムの一水塩600部を加えて均一にかきまぜたものは
約60分で固化した。この100部を台所流し下の収納
庫(約0.3m)内に設置したところ、約4ヵ月にわ
たり庫内のかび発生を防止できた。また、設置前に見ら
れたごきぶりの出現がみられなくなった。 実施例6.亜塩素酸ナトリウム10部、脱イオン水20
0部、炭酸ナトリウム5部を均一に混合した液に顆粒と
粉末とからなるパーライト(三井金属鉱業製、パーライ
トB)100部、粉末パルプ(山陽国策パルプ製、KC
フロック)5部、ポリエステル繊維の1〜5mmの切断
くず5部および硫酸カルシウムの半水塩100部を加え
て固化させたものは固形物が多孔性(ポーラス)である
ためか、室内放置で二酸化塩素の発生が比較的早く、6
0日間で約62%揮散した。分析法は実施例2の方法に
準じた。 〔発明の効果〕実施例から明らかなように、本発明防か
び性固形組成物は、比較的密閉度の高い空間に設置して
おくだけで長期間にわたってその空間内で防かび効果を
発揮でき、しかも、定期的に繰返し使用の必要がある防
かびスプレー、防かび塗料にくらべ手間が省けて簡便に
使用できる特徴を有するもので、その効果はこの種従来
品では到底達成し得なかったものである。従って、本発
明組成物は、浴室、押入れ、下駄箱または台所流し下の
収納庫などの防かび剤として有用である。また、防かび
能以外に同時に二酸化塩素による消臭、防菌および害虫
の忌避効果も発揮できることから、本発明組成物は、例
えば病院のトイレットや待合室、ロッカー、スポーツバ
ック、自動車内またはエアコンの通風流路に用いて防菌
消臭、各種流水路に用いて防菌とスライム防止、植木鉢
やプランターの土中または表面に用いて害虫忌避、生花
の水中に用いて水の防腐など各種用途に広く利用でき産
業上きわめて有益である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜塩素酸のアルカリ金属塩またはアルカリ
    土金属塩100重量部に対し、pHが7.5〜12.0
    の水の300〜5,000重量部、自重量の30重量%
    以上の吸水能をもった無機および/または有機物の粉末
    または顆粒の5〜5,000重量部および硫酸カルシウ
    ムの半水塩または一水塩の500〜10,000重量部
    を加えた混合物を主成分とし、これらをかきまぜて固化
    させたことを特徴とする防かび性固形組成物。
  2. 【請求項2】pHが7.5〜12.0の水が、pH緩衝
    液である請求項1記載の防かび性固形組成物。
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Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017061395A (ja) * 2015-09-24 2017-03-30 パスタライズ株式会社 二酸化塩素ガス発生方法
KR20220012774A (ko) * 2020-07-23 2022-02-04 주식회사 보야스에너지 이산화염소 가스 방출용 고체형 조성물 및 이를 이용한 살균·탈취제

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017061395A (ja) * 2015-09-24 2017-03-30 パスタライズ株式会社 二酸化塩素ガス発生方法
KR20220012774A (ko) * 2020-07-23 2022-02-04 주식회사 보야스에너지 이산화염소 가스 방출용 고체형 조성물 및 이를 이용한 살균·탈취제

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