JPH07177768A - 振動波モータ - Google Patents

振動波モータ

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JPH07177768A
JPH07177768A JP5325421A JP32542193A JPH07177768A JP H07177768 A JPH07177768 A JP H07177768A JP 5325421 A JP5325421 A JP 5325421A JP 32542193 A JP32542193 A JP 32542193A JP H07177768 A JPH07177768 A JP H07177768A
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JP
Japan
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contact surface
sliding contact
wave motor
vibration wave
composite resin
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JP5325421A
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English (en)
Inventor
Takayuki Shirasaki
白崎隆之
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Canon Inc
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Publication date
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の振動波モータでは、振動体の被摺接面
の摩耗がやや大きく、寿命及び回転精度の面で難点があ
った。また、材料コストや加工コストが高いという問題
点もあった。本発明の目的は従来品よりも摩耗が少な
く、寿命が長く、回転精度のよい安価なコストの振動波
モータを提供することである。 【構成】 本発明では、弗素樹脂を共析したニッケル燐
基合金膜で移動体7の摺接面を構成する一方、振動体2
の被摺接面を構成する複合樹脂層106を弗素樹脂とポ
リオキシベンゾイルとの樹脂組成物又は弗素樹脂とポリ
イミドとの樹脂組成物、で構成するようにしたので、移
動体7の摺接面と振動体2の被摺接面のそれぞれの硬さ
が従来の振動波モータよりも釣合がとれ、従来品よりも
摩耗が少なくて寿命が長く、回転精度のよい振動波モー
タが実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は振動波モータに関し、更
に詳細には、振動波モータの構成部材である振動体と移
動体の相互圧接面の構成材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】振動波モータは、よく知られているよう
に、振動体と移動体との間の摩擦を利用して該振動体の
高周波振動の振動エネルギーを該移動体の連続的な機械
運動のエネルギーに変換させる形式の動力発生源である
から、両者の相互圧接面(以下には、移動体に圧接され
る振動体圧接面を被摺接面と記載し、振動体に圧接され
る移動体圧接面を摺接面と記載する。)は耐摩耗性の高
い材質で構成されていることが必要である。
【0003】従来の振動波モータにおいては、該振動体
の被摺接面は以下のような構成の複合樹脂層で構成さ
れ、一方、移動体の摺接面は以下のようなニッケル燐基
合金膜で構成されていた。
【0004】振動体の被摺接面の構成;非熱可塑性のポ
リイミド樹脂、耐熱性の熱可塑性樹脂或いは液晶性の芳
香族ポリエステル樹脂等の母材樹脂に強化材として平均
粒径3〜30μmのカーボンビーズを重量比で10〜4
0%充填するとともに必要に応じて潤滑剤として弗素樹
脂を重量比5%以下で充填した複合樹脂で構成された
層。
【0005】移動体の摺接面の構成;平均粒径0.5〜
3μmの炭化けい素SiCを体積比で8〜20%均一に
分散させたニッケル燐基合金膜を20〜30μmの厚さ
で形成し、該合金膜を300〜400℃で熱処理した後
のビッカース硬さ(Hv)が900〜1400の合金
膜。
【0006】移動体の摺接面を前記合金膜で構成し、振
動体の被摺接面を前記複合樹脂層で構成しているのは、
その組合せによると、移動体の摺接面に摩耗が発生せ
ず、一方、振動体の被摺接面の摩耗を極力小さくでき、
しかも両面の摩擦係数を大きくできるためである。
【0007】また、該複合樹脂層の母材樹脂としては、
非熱可塑性の芳香族ポリイミド、耐熱性の熱可塑性樹脂
(たとえばポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、
ポリエーテルニトリル等)及び液晶性の芳香族ポリエス
テル等が使用されるが、これらの樹脂は超耐熱性を示
し、材料物性も温度依存性が比較的小さく、モータ駆動
時の温度上昇に対しても樹脂材の軟化に起因するトルク
ダウン現象も発生せず、モータの性能及び精度を安定に
保つことができるからである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
振動波モータにおいて、たとえば、強化材としてカーボ
ンビーズを重量比で30%含有し、潤滑剤として弗素樹
脂を重量比で5%充填したポリエーテルニトリルの複合
樹脂を振動体の被摺接面に使用し、この振動体を用いた
モータを連続運転して回転精度を調べると、ワウフラッ
ター値が許容値以下になることはないが、ワウフラッタ
ー値の変動幅がやや大きく、該モータを分解してみると
摩耗粉が相対的に多かった。
【0009】また、弗素樹脂の充填をやめてカーボンビ
ーズを重量比で30%充填したポリエーテルニトリルの
複合樹脂を振動体の複合樹脂層として用いたモータで連
続運転した時の回転精度を調べてみると、一時的に精度
が低下し、ワウフラッター値の許容値を満たさない現象
が見られた。該モータを分解してみると、SiCを共析
したニッケル燐基合金膜で構成されている移動体の摺接
面の一部に振動体の被摺接面の構成材料たる前記複合樹
脂が付着していた。
【0010】弗素樹脂は潤滑性、非粘着性、撥水性等の
特性を有しており、従来型の振動波モータで振動体の該
複合樹脂層に弗素樹脂を充填するのは振動体の該被摺接
面と移動体の該摺接面とに弗素樹脂の膜を形成させて潤
滑性を向上させるとともに該複合樹脂層の摩耗の減少を
図り、また、移動体の摺接面に発生した摩耗粉が付着す
るのを防止して常に一定の摩擦係数を維持するためであ
った。
【0011】しかしながら、弗素樹脂を充填すると複合
樹脂層の機械的強度が低下して摩耗粉量は増大すること
になり、結果的に振動波モータの回転に脈動が生じて回
転が安定せず、しかも摩耗粉の発生のために寿命を短く
することになる。
【0012】また、従来の振動波モータの他の課題とし
て、振動体の複合樹脂層のコストが高いという問題があ
った。
【0013】従来、振動体の複合樹脂層の母材樹脂とし
ては温度特性或いは機械的特性の面で高性能なスーパー
エンジニアリングプラスチック(以下にはスーパーエン
プラと略記)を使っているが、スーパーエンプラは樹脂
自体が高価格であり、更に、複合樹脂層の母材樹脂が非
熱可塑性のポリイミドの場合は丸棒状の圧縮成形品か
ら、また、母材樹脂熱可塑性樹脂及び液晶性樹脂等の場
合は射出成形品から、それぞれ削り出しで所定の寸法の
複合樹脂片を形成しているため加工費が高い。
【0014】本発明の目的は、従来の振動波モータより
も摩耗が少なく、また、製造コストが安価な、改良され
た振動波モータを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の第一の振動波モータでは、振動体の被摺接
面を以下の如き複合樹脂層で構成し、移動体の摺接面を
以下の如き合金膜で構成した。
【0016】(a)振動体の被摺接面の構成;母材樹脂
として非熱可塑性のポリイミド、液晶性の芳香族ポリエ
ステル(LCP)と各種の熱可塑性樹脂を複合するとと
もに平均粒径3〜30μmのカーボンビーズを配合した
複合樹脂層で構成した。
【0017】前記熱可塑性樹脂の具体例として、たとえ
ば、結晶性であるポリイミド(PI),ポリアミドイミ
ド(PAI),ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K),ポリエーテルニトリル(PEN),及びポリフェ
ニレンサルファイド(PPS)等があり、また、非晶性
を示すポリエーテルイミド(PEI),ポリエーテルス
ルホン(PES),ポリアリレート(PAR),ポリス
ルホン(PSF),変性ポリフェニレンオキサイド(P
PO)及びポリカーボネート(PC)等が挙げられる。
【0018】(b)移動体の摺接面の構成;弗素樹脂を
重量比で1.5〜8.5%共析したニッケル燐基合金膜
であり、熱処理後のビッカース硬さ(Hv)が400〜
900のもの。
【0019】前記振動体と前記移動体との組合せになる
本発明の第一の振動波モータにおいては、運転初期の摩
擦駆動提供移動体の摺接面に均一のフィルム状膜を形成
させて潤滑性を向上させることにより振動体の被摺接面
からの摩耗粉の発生を少なくするとともに、移動体の摺
接面への該摩耗粉の付着を少なくし、振動波モータの回
転精度の低下を回避し、また、寿命を長くすることがで
きる。
【0020】また、本発明の第二の振動波モータにおい
ては、振動体の被摺接面を構成する複合樹脂層を以下の
構成とし、移動体の摺接面を以下の構成とした。
【0021】(c)振動体の被摺接面の複合樹脂層の構
成;弗素樹脂とポリオキシベンゾイル(POB)、或い
は弗素樹脂とポリイミド、等の組合せから成る樹脂組成
物に平均粒径3〜30μmのカーボンビーズを充填した
もの。
【0022】(d)移動体の摺接面の構成;弗素樹脂を
共析したニッケル燐基合金膜。
【0023】以上の如き構成の振動体及び移動体から成
る本発明の第二の振動波モータにおいては、前記第一の
振動波モータと同様に両者の運転初期の摩擦駆動により
移動体の摺接面に弗素樹脂のフィルムが形成されるので
該振動体の該複合樹脂層から発生する摩耗粉の発生量が
少なく、また、移動体の摺接面への該摩耗粉の付着も少
なくすることができ、従って、摩擦係数が安定した高精
度の回転特性の振動波モータが得られる。
【0024】また、この振動波モータの他の特徴は、製
造コストが従来のものよりも安くなることである。すな
わち、弗素樹脂にポリオキシベンゾイル(POB)を配
合したものや、弗素樹脂にポリイミド(PI)を配合し
た樹脂組成物は比較的安価であり、また、カーボンビー
ズを充填した前記組成の複合樹脂層は丸棒状の圧縮成形
品から厚さ0.3mm程度のスクライビングシート材と
して加工した後に打ち抜きで製作することができるため
加工費が安価である。
【0025】
【実施例】以下に図を参照して本発明の実施例について
説明する。
【0026】<実施例1>図1は本発明による振動波モ
ータの実施例を示す縦断面図、図2は該モータの電極構
成図、図3はステータ(振動体)側面図、図4は加圧用
の圧縮ばね部材の平面図である。図5はステータ(振動
体)と移動体との接触部の拡大図、図6は本発明の第二
実施例の振動波モータにおける図5と同じ図である。図
において、1は厚さPの薄い円環形状の圧電素子で、弾
性材料からなり、λ/2あたり4個の突起を等間隔で全
周にわたり形成した振動体2に電極面全面を固着してス
テータを構成している。圧電素子1の他面の電極構成は
図2に示すとおり励起されるべき振動数の波長λに対
し、交互に逆の伸縮極性となるようλ/2ピッチで分極
されに駆動用のA電極群(A1 〜A8 )及びB電極群
(B1 〜B8 )とこれらA及びB電極間にあり、それぞ
れの電極群の振動状態を検出するλ/4ピッチの振動検
出用電極SA 及びSB と、他に接地用の三つの共通電極
Gからなっている。
【0027】駆動用A電極群(A1 〜A8 )に対しB電
極群(B1 〜B8 )は3/4λずれたピッチで配置さ
れ、振動検出用電極SA 及びSB はA電極群(A1 〜A
8 )及びB電極群(B1 〜B8 )によるそれぞれ定在波
の実質的に腹の位置を中心として配置されている。
【0028】図3に示すように、振動体2の突起は軸心
の方向に一定幅(t),深さ(h)のスリットをいれる
ことで形成される。Hは振動体2の全高さである。圧電
素子1の振動検出用の電極SA 及びSB の中央点は振動
体2のスリットの中央点に合致して同心的に振動体2に
固着しているので、結果的に駆動用のA電極群(A1
8 )及びB電極群(B1 〜B8 )の全ての電極面の中
央点がスリットの中央点に合致している。
【0029】106は加圧接触する後述の移動体との被
摺接面を構成する複合樹脂層で、図3に示すとおり、振
動体2の全ての突起にエポキシ系接着剤で固着されてい
る。
【0030】3はビス4で振動体2を同心的に固定した
筐体で、中心部に第1のボール軸受11の外輪を固着し
ている。10は中間にフランジ部10aが例えば焼ばめ
等で固着された回転軸であり、一端は第1のボール軸受
11の内輪に軸方向摺動可能に支持され、他端は筐体カ
バー8の中心部に外輪を固着した第2のボール軸受12
の内輪に軸方向摺動可能に支持されている。
【0031】15は回転軸10のフランジ部10aにネ
ジ16で同心的に固定された円盤形状の中間部材であ
り、外周部には環状の移動体7が同心的に嵌合して設け
られている。
【0032】移動体7は例えばアルミ合金からなり、振
動体2の複合樹脂層106と加圧接触する摺接面は、弗
素樹脂(以下にはフッ素樹脂と記載する)を共析したニ
ッケル燐基合金膜(以下には、ニッケルリン基合金膜と
記載)で構成されている。
【0033】移動体7は底部のゴム製の弾性シート部材
17を介して中間部材15に支持されており、中間部材
15と第2のボール軸受12の内輪との間に設けられた
例えば図に示すダイヤフラム形状の圧縮ばね部材14が
発生する軸方向力が弾性シート部材17を介して移動体
7の軸10に与えられることにより、振動体2の複合樹
脂層106を構成する被摺接面と移動体7の摺接面とが
互いに圧接されている。
【0034】筐体カバー8はネジ9で筐体3に固定され
ており、従って圧縮ばね部材14が軸方向力を発生する
が、この軸方向力は第2のボール軸受12の内輪と圧縮
ばね部材14の間に設けられる不図示のスペーサ部材に
より調整されるようになっている。
【0035】以上が本発明の高精度型の振動波モータの
構成である。以下には本発明の振動波モータの試験結果
を説明する。
【0036】表1に本発明の振動波モータに対する要求
特性を示す。
【0037】
【表1】
【0038】表2に主設計仕様を示す。
【0039】
【表2】
【0040】表3に従来例と本実施例の振動体の複合樹
脂層の構成材料と厚み(全高さ)を示す。
【0041】
【表3】
【0042】表4に従来例と本実施例の移動体の材料と
摺接面の硬化処理及びマイクロビッカース硬度計で測定
した硬度を示す。
【0043】
【表4】
【0044】先ず図1の振動体2の複合樹脂層の従来例
として表3に示すように熱可塑性樹脂であるポリエーテ
ルニトリルの母材樹脂に強化材として平均粒径10μm
のガラス状カーボン(日本カーボンICB−1020)
を所定の重量比で配合して射出成形法で成形したあと所
定の形状寸法に切削加工して3種の振動体複合樹脂層
〜を製作した。但し複合樹脂層には他に潤滑剤とし
てフッ素樹脂(PTFE)が重量比で5%配合してあ
る。
【0045】又、振動体の複合樹脂層の本実施例として
4種の母材樹脂に強化材であるガラス状カーボンのみを
充填した4種(〜)の複合樹脂層を製作した。は
ビフェニルテトラカルボン酸二無水化物と芳香族ジアミ
ンとの縮合物である非可塑性のポリイミドを母材樹脂と
しており、又及びは別種の液晶性の芳香族ポリエス
テルを母材樹脂としている。
【0046】振動体複合樹脂層の従来例〜と本実施
例の〜はいずれも所定の寸法のリング状に加工され
ており、マルテンサイト系ステンレスSUS420J2
で構成された振動体2に同心的に固着されたあと、振動
体2の突起面上にだけ複合樹脂層が残るように余分の複
合樹脂層を除いた。そして振動体の複合樹脂層の被摺接
面をラップ加工して平面度2μm以下に、面粗さを中心
線平均粗さ(Rv)で0.02μm以下にした。
【0047】次に図1の移動体の従来例と本実施例とし
て表4に示すとおり、アルミ合金(5056)に熱電解
ニッケルメッキ法で平均粒径1μmの炭化ケイ素を体積
比で12%共析したNi−P−SiC合金膜の従来例
と、平均粒径1μm以下のフッ素樹脂(PTFE)を重
量比で2.5%共析したNi−P−PTFE合金膜の実
施例を製作した。
【0048】それぞれ厚さが25μm程度のNi−P−
SiC合金膜及びNi−P−PTFE合金膜をラップ加
工して平面度3μm以下、面粗さを中心線平均粗さ(R
a)で0.05μmに仕上げた。
【0049】
【表5】
【0050】表5は表3の振動体複合樹脂層と表4の移
動体を組合せた図1の構造を有する7種の振動波モータ
の評価結果を示すものであり、表1の要求特性に対応す
る定格、回転精度及び相対摩耗量の他に回転精度低下の
要因の一つである移動体の摺接面への複合樹脂の部分付
着等の項目に対応する評価結果である。定格は回転数が
22.5rpmのときのトルク値が8kgcm以上であ
れば○、7〜8kgcmのときが△、7kgcm以下が
×とした。回転精度は33.3rpmで負荷を1kgc
mとしたときのワウフラッター値が0.03%RMS以
下であれば○、0.03〜0.04%RMSが△、0.
04%以下が×である。但し、ワウフラッター値の測定
は24時間の連続運転後に行なった。
【0051】相対摩耗量は回転数33.3rpmで無負
荷の500時間連続運転をおこなったあと振動体の複合
樹脂層の摩耗量を相対評価して○、△及び×とした。
又、部分付着は24時間の連続運転でワウフラッター値
を測定する際に、特に精度が低下した時点でモータを分
解し、移動体の摺接面の全面を顕微鏡で観察して○,△
及び×で評価した。回転精度が低下しなかったモータは
24時間の連続運転後に分解して内部状態の確認を行な
った。
【0052】表5に示したように、従来例のポリエーテ
ルニトリル(PEN)を母材樹脂とする3種の振動体複
合樹脂層〜を有する振動体とNi−P−SiC合金
膜を有する従来の移動体との組合せから成る振動波モー
タにおいて、重量比で30%のガラス状カーボンと重量
比で5%のフッ素樹脂とを配合した複合樹脂層はフッ
素樹脂を充填したためか摩耗量が多く、相対摩耗量の項
目の評価は△で、また、回転精度の項目の評価結果も△
であった。又、複合樹脂層からフッ素樹脂を除いた複
合樹脂層は部分付着がわずかにあり、評価は△で、回
転精度も△であった。複合樹脂層に対してガラス状カ
ーボンの配合を増量した複合樹脂層は部分付着及び相
対摩耗量とも○であったが回転精度は△であった。
【0053】一方、本実施例の4種の母材樹脂にそれぞ
れガラス状カーボン(ICB−1020)のみを充填し
た4種の振動体複合樹脂層〜を有する振動体とNi
−P−PTFE合金膜を有する移動体との組合せから成
る振動波モータにおいては、重量比で25%のガラス状
カーボンをビフェニルテトラカルボン酸二無水化物と芳
香族ジアミンとの縮合物である非熱可塑性のポリイミド
(PI)に充填した複合樹脂層、重量比で35%のガ
ラス状カーボンをポリエーテルニトリル(PEN)に充
填した複合樹脂層、及び前記と同量のガラス状カーボ
ンを液晶性の芳香族ポリエステル(LCP2)に充填し
た複合樹脂層は部分付着、相対摩耗量とも問題なく、
全ての評価が○であった。また、重量比で30%のガラ
ス状カーボンを液晶性の芳香族ポリエステル(LCP
1)に充填した複合樹脂層は部分付着及び相対摩耗量
とも○でありながら回転精度は△であった。
【0054】なお、振動体の複合樹脂層の本実施例の
及びは液晶性の芳香族ポリエステルを母材樹脂として
いるが、この樹脂は特異な多層構造を有しているため、
複合樹脂層の厚みを0.5mmとして他の材料よりも薄
くして用いた。
【0055】<実施例2>図6を参照して本発明の第2
の実施例を説明する。なお、図6に示す振動波モータは
第1実施例の振動波モータと同じ圧電素子1を具備して
いる。
【0056】第1の実施例の図5では、厚さが0.7m
m或いは0.5mmの比較的硬い(硬度の測定にはロッ
クウェル硬度計を必要とする硬さ)複合樹脂層106を
振動体2に固着して被摺接面を構成していたが、本実施
例では厚さが0.3mm以下の比較的柔らかくて硬度の
測定にはショア硬度計を使用する程度の硬さのゴム状弾
性体から成る複合樹脂層206を振動体2に固着するこ
とにより被摺接面を構成している107は図4の移動体
7と同様に摺接面をフッ素樹脂共析のニッケルリン基合
金膜(Ni−P−PTFE合金膜)で構成した移動体で
あり、軸方向の寸法を複合樹脂層の厚さの差だけ(すな
わち0.4mm或いは0.2mmだけ)厚くしてある。
【0057】表6は本実施例の振動体複合樹脂層206
の構成材料と厚さを示している。
【0058】
【表6】
【0059】表6においては、フッ素樹脂を重量比で
70%含むとともにポリオキシベンゾイル(POB)を
重量比で15%含む樹脂組成物に強化材として平均粒径
10μmのガラス状カーボン(日本カーボン製 ICB
1020)を重量比で15%配合した素材から成る丸棒
形状の圧縮成形体から厚さ0.3mmのスクライピング
シート材を製作し、該シート材からリング状に打ち抜い
て複合樹脂層としたものである。
【0060】また、表6においては前記のポリオキ
シベンゾイルの代りに熱硬化性のポリイミドを同量配合
した樹脂組成物に前記と同じ量だけ強化材としてのガラ
ス状カーボンを配合して構成された丸棒形状の圧縮成形
体から前記と同じ加工方法で製作したリング状の複合樹
脂層である。
【0061】及びの複合樹脂層はマルテンサイト系
ステンレスSUS420J2から成る振動体2の表面に
同心的に固着された後、振動体2の突起面上にだけ複合
樹脂層が残るように余分の複合樹脂層を削除した。
【0062】表7は振動体複合樹脂層206を有する振
動体と移動体7及び107(構成材料については表4を
参照)とを組合せて図5及び図6の如き構造の振動波モ
ータを構成し、該モータに対して前記実施例1で説明し
た同じ試験を実施した際の評価結果を示したものであ
る。
【0063】
【表7】
【0064】表7に示したように、前記の複合樹脂層
を有する振動体とNi−P−SiC合金膜を有する移動
体7との組合せから成る振動波モータでは、該複合樹脂
層の相対摩耗量がやや多く、評価結果は△であった。
【0065】一方、前記及びの複合樹脂層を有する
振動体とNi−P−PTFE合金膜を有する移動体10
7との組合せから成る振動波モータにおいては、部分付
着、相対摩耗量、及び回転精度の各項目とも評価は○で
あった。但し、いずれのモータにおいても定格に関する
評価結果は△となったが、これは複合樹脂層の厚さと、
振動体と移動体との間の加圧力が最適値となっていなか
ったためで、改善できることが確認された(すなわち、
加圧力と複合樹脂層の厚さとを適切な値にした場合は定
格に関する項目の評価も○になることを確認した)。
【0066】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の第一の
振動波モータでは、強化材として平均粒径3〜30μm
のカーボンビーズを充填した複合樹脂により振動体の複
合樹脂層を構成する一方、平均粒径が1μm以下の弗素
樹脂を重量比で1.5〜8.5%共析したニッケル燐基
合金膜で移動体の摺接面を構成したので、移動体の摺接
面に均一に分散した弗素樹脂のフィルム状膜を形成する
ことができるため複合樹脂の摩耗粉の発生が少なく、該
移動体の摺接面に対する該摩耗粉の付着を少なくするこ
とができ、従って安定した摩擦係数の振動波モータが実
現する。従って、本発明によれば、ワウフラッター値の
小さい、すなわち回転脈動の少ない高精度の振動波モー
タが提供できる。
【0067】また、振動体の複合樹脂層を、弗素樹脂と
ポリオキシベンゾイルとの樹脂組成物或いは弗素樹脂と
ポリイミドとから成る樹脂組成物、に平均粒径3〜30
μmのカーボンビーズを充填したゴム状のシート部材と
して構成したことにより、材料費及び加工費を従来の振
動波モータよりも大幅に安価にすることができ、その結
果、本発明によれば、従来の振動波モータよりも製造コ
ストの安価な振動波モータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して構成された振動波モータの縦
断面図。
【図2】該振動波モータの圧電素子に対する電極配置を
示した図。
【図3】該振動波モータの振動体2の側面図。
【図4】該振動波モータの移動体と振動体とを圧接させ
るための加圧ばねの平面図。
【図5】該振動波モータの振動体2と移動体7との相互
圧接部の拡大図。
【図6】本発明を適用して構成された振動波モータの第
二実施例において振動体2と移動体107との相互接触
部の拡大図。
【符号の説明】
1…圧電素子 2…振動体 3…筐体 7,107…移動
体 8…筐体カバー 10…回転軸 11,2…軸受 14…ばね部材 15…中間部材 17…弾性シート
部材 106,206…複合樹脂層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径3〜30μmのカーボンビーズ
    を配合した複合樹脂層で構成された被摺接面を有すると
    ともに該被摺接面に進行波振動を発生する振動体と、該
    被摺接面に圧接される摺接面を有するとともに該被摺接
    面の該進行波振動により該振動体に対して相対移動され
    る移動体と、を有して成る振動波モータにおいて、 弗素樹脂共析のニッケル燐基合金膜で該移動体の該摺接
    面を構成したことを特徴とする振動波モータ。
  2. 【請求項2】 該弗素樹脂共析のニッケル燐基合金膜は
    弗素樹脂を重量比で1.5〜8.5%共析していること
    を特徴とする請求項1の振動波モータ。
  3. 【請求項3】 該弗素樹脂共析のニッケル燐基合金膜は
    熱処理後の硬度がビッカース硬さ(Hv)で400〜9
    00であることを特徴とする請求項1の振動波モータ。
  4. 【請求項4】 複合樹脂層で構成された被摺接面を有す
    るとともに該被摺接面に進行波振動を発生する振動体
    と、該被摺接面に圧接される摺接面を有するとともに該
    被摺接面の進行波振動により該振動体に対して相対移動
    される移動体と、を有して成る振動波モータにおいて、 平均粒径3〜30μmのカーボンビーズを充填した樹脂
    組成物により該複合樹脂層が構成されていることを特徴
    とする振動波モータ。
  5. 【請求項5】 該樹脂組成物が弗素樹脂とポリオキシベ
    ンゾイル(POB)との組成物であることを特徴とする
    請求項4の振動波モータ。
  6. 【請求項6】 該樹脂組成物が弗素樹脂とポリイミド
    (PI)との組成物であることを特徴とする請求項4の
    振動波モータ。
  7. 【請求項7】 弗素樹脂を共析したニッケル燐基合金膜
    で該移動体の該摺接面を構成したことを特徴とする請求
    項4の振動波モータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011166899A (ja) * 2010-02-08 2011-08-25 Nikon Corp 振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラ

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