JPH0717514U - コンクリート製品養生ハウス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート製品の水蒸気による養生過程に
おいて、結露水によって製品表面に多数の凹穴が発生す
るのを防止する。 【構成】 側壁１と屋根材２とから構築したコンクリー
ト製品養生ハウスＡの屋根材２の内面に、繊維素基材３
ａを鹸化処理３ｂして得た結露防止性および流滴性を有
する皮膜３を傾斜状に張設した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は鉄筋コンクリート管、上下水道用のヒューム管、コンクリートブロ ックなどのコンクリート製品の製造において、最後の工程である養生を効率良く 行うことによって、高品質の製品を得るための養生ハウスの改良に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

コンクリート製品の製造において、コンクリート打設後の養生工程は、コンク リートの硬化作用を充分に発揮させると同時に、乾燥による収縮のために起こる ひび割れを防止して高品質の製品を得るために重要な工程である。

【０００３】 この養生工程としては、コンクリート舗装やコンクリート構築物のような現場 施工の場合には、その表面を水を含ませた筵、布、砂などで覆い、時々散水して 数日間湿潤状態に保つ方法や、時にはビニル乳剤、アスファルト乳剤等でコンク リート表面を膜で覆い、水の蒸発を防ぐ養生方法が行われている。

【０００４】 また、鉄筋コンクリート管やコンクリートブロック等にあっては、これを長大 な養生ハウスに導き、密閉したハウス内で６０〜７５℃で４〜５時間水蒸気養生 する方法が一般に行われている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような養生ハウスは側壁はコンクリートブロックからなり、屋根材とし てはポリ塩化ビニル製フィルムや他のプラスチック製フィルムあるいは鋼板、コ ンクリート板などが用いられている。

【０００６】 ところが、上記の何れの材料を屋根材として用いた場合でも、上記した水蒸気 による養生過程で、屋根材の内面に大量の結露水が発生、付着し、この結露水が コンクリート製品の表面に落下して、該表面に無数の凹穴が生じるという問題が 指摘され、これによって不良品が多量に発生し、これを修正するには多くの手間 と費用を必要とするという問題が生じている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案は上記のような問題点を解消するべく鋭意検討の結果、得られたもの であって、第１の考案は繊維素系基材を鹸化処理して得た結露防止性および流滴 性を有する皮膜を屋根材の内面に傾斜張設したことを特徴とするコンクリート製 品養生ハウスであり、第２の考案は第１の考案において、結露防止性および流滴 性を有する皮膜の屋根材内面への傾斜張設角度が３〜３０度であることを特徴と し、第３の考案は、繊維素系基材を鹸化処理して得た結露防止性および流滴性を 有する皮膜を積層した材料を屋根材の内面に、該積層材料の結露防止性、流滴性 皮膜の反対面にて傾斜張設してなるコンクリート製品養生ハウスである。

【０００８】

【作用】

この考案は、コンクリート製品養生用ハウスの屋根材の内面に、繊維素系基材 を鹸化処理して得た結露防止性および流滴性を有する皮膜を傾斜状に貼着するこ とにより、養生過程で該皮膜内面に結露水が発生、付着しても、この皮膜が流滴 性を有していることと、傾斜状に貼着されていることによって、付着した結露水 はこの傾斜勾配に沿って速やかにハウスの側壁に向かって流下し、流滴効果をよ り完全なものとすることができ、ハウス内のコンクリート製品表面は水滴落下に よる凹穴発生の恐れなく充分な養生を行うことができる。

【０００９】 この考案で、養生ハウスの屋根材内面に張設することによって上記のような効 能を発揮する結露防止性および流滴性を有する皮膜としては、セルロースアセテ ート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセ テートブチレートなどの繊維素系フィルムまたはシートを水酸化カリウム、水酸 化ナトリウムあるいはこれにベンジルアルコールを加えたアルカリ性水溶液に浸 漬して鹸化処理することにより得られた皮膜が用いられる。

【００１０】 また、このようにして得られた皮膜を養生ハウスの屋根材の内面に貼着するに 当たっては、該皮膜を直接貼着してもよいが、この他該皮膜をポリエステル、ポ リ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル等のプラスチックシートまたはフィ ルムに貼り合わせ、このプラスチックシートまたはフィルム面を屋根材の内面に 貼着するようにしてもよい。

【００１１】 この考案において、屋根材内面への結露防止性および流滴性を有する皮膜の傾 斜張設度合いを３〜３０度とするのは、３度以下では、皮膜表面への結露水の付 着量が多い場合、養生コンクリート製品の表面に落下する恐れがあって好ましく ないためである。

【００１２】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図に基づいて説明すると、図１はこの考案になるコ ンクリート製品養生ハウスの縦断面図であり、この養生ハウスＡは、例えばコン クリートブロックを積み上げてなる側壁１とポリカーボネート板からなる屋根材 ２とから構築されている。そして、両側壁１、１の上方に段差をつけて横桟４を 設け、この横桟４上に結露防止性および流滴性を有する皮膜３が約１０度の傾斜 状に接着剤等により貼着されている。図中５は搬送架台６に載置されている養生 コンクリート製品である。

【００１３】 この養生ハウスＡは、上記のように屋根材２の下面に傾斜状に結露防止性およ び流滴性を有する皮膜３を設けたので、この養生ハウスＡ内の養生コンクリート 製品５に６０〜７５℃で４〜５時間水蒸気養生を行った場合、皮膜３に付着した 結露水はこの皮膜３の流滴性と傾斜状によって速やかに側壁１に流下することと なり、結露水の養生コンクリート製品５への落下を防止できるのである。

【００１４】 この結露防止性および流滴性を有する皮膜３は図２のように繊維素基材３ａの 一面側を鹸化処理３ｂしたもの、あるいは図３のように鹸化処理３ｂ面と相対す る繊維素基材３ａ側にプラスチックシートまたはフィルム３ｃを積層したもので ある。

【００１５】 図４は他の実施例を示すもので、養生ハウスＡの屋根材２が予め傾斜状に構築 されており、この場合は、図１のような横桟を設けることなく、図２に示す皮膜 ３を直接にあるいは図３に示す皮膜３をそのプラスチックシートまたはフィルム ３ｃ面にて屋根材２に貼着すればよい。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案のコンクリート製品養生ハウスは、その屋根材 内面に結露防止性および流滴性を有する皮膜を傾斜状に張設したことによって、 この養生ハウス内でコンクリート製品の水蒸気養生を行った場合、該皮膜に付着 した結露水は、この皮膜が流滴性にすぐれていること、さらには該皮膜が傾斜状 に張設されていること、からこの傾斜状の皮膜面を流れて側壁へ落下することと なって、養生ハウス内のコンクリート製品表面に落下することを完全に防止する ことができ、これによって、外観の良質なコンクリート製品を効率よく得ること ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のコンクリート製品養生ハウスの一例
を示す縦断面図である。

【図２】この考案で用いる結露防止性および流滴性を有
する皮膜の構成の一例を示す縦断面図である。

【図３】この考案で用いる結露防止性および流滴性を有
する皮膜の構成の他の例を示す縦断面図である。

【図４】この考案のコンクリート製品養生ハウスの他の
一例を示す縦断面図である。

【符号の説明】

Ａ 養生ハウス １ 側壁 ２ 屋根材 ３ 結露防止性および流滴性を有する皮膜 ３ａ 繊維素基材 ３ｂ 鹸化処理面 ３ｃ プラスチックシートまたはフィルム ４ 横桟 ５ 養生コンクリート製品 ６ 搬送架台

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 米村 正継 熊本県熊本市水前寺３丁目９番５号 株式 会社ヤマックス内 (72)考案者 中越 康亘 兵庫県神戸市灘区篠原北町１丁目３−12 株式会社日本ポリテック内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 繊維素系基材を鹸化処理して得た結露防
   止性および流滴性を有する皮膜を屋根材の内面に傾斜状
   に張設してなるコンクリート製品養生ハウス。
2. 【請求項２】 屋根材内面への結露防止性および流滴性
   を有する皮膜の傾斜張設度は３〜３０度である請求項１
   記載のコンクリート製品養生ハウス。
3. 【請求項３】 繊維素系基材を鹸化処理して得た結露防
   止性および流滴性を有する皮膜を積層した材料を屋根材
   の内面に、該積層材料の結露防止性、流滴性皮膜の反対
   面にて傾斜状に張設してなるコンクリート製品養生ハウ
   ス。