JPH07174791A - 電流計測装置 - Google Patents

電流計測装置

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Publication number
JPH07174791A
JPH07174791A JP5321706A JP32170693A JPH07174791A JP H07174791 A JPH07174791 A JP H07174791A JP 5321706 A JP5321706 A JP 5321706A JP 32170693 A JP32170693 A JP 32170693A JP H07174791 A JPH07174791 A JP H07174791A
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JP
Japan
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optical fiber
current
light
faraday
faraday rotation
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Application number
JP5321706A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Kurosawa
潔 黒澤
Kazuo Sakamoto
和夫 坂本
Toshiharu Yamashita
俊晴 山下
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Hoya Corp
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Original Assignee
Hoya Corp
Tokyo Electric Power Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高精度の電流計測が可能な光ファイバ電流計
測装置を提供する。 【構成】 電流ケーブル(21)の周りを周回するファ
ラデー回転光ファイバ(11)を伝搬する直線偏光のフ
ァラデー回転を測定することによって電流ケーブル(2
1)を流れる電流を計測する電流計測装置において、フ
ァラデー回転光ファイバ(11)の入射端(11a)と
出射端(11b)とを電流ケーブル(21)が延在する
方向と平行な方向(A)から見て重なるように配置し、
実質的にファラデー回転光ファイバ(11)の閉ループ
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ファイバのファラデー
効果を利用した電流計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ファラデー効果とは物質
中を伝搬する直線偏光に対し、これに平行な磁場を印加
すると直線偏光の偏光面が回転する現象である。直線偏
光の偏光面の回転角は、磁場の光の伝搬方向の成分を伝
搬距離で積分した量に比例する。すなわち、磁場をH、
積分すべき光路Cにおける線素の磁場Hに平行な成分を
dlとすると、ファラデー回転角θは下記の数式1に示
すように線素成分dlに関する線積分で表される。
【0003】
【数1】 ここでVはベルデ定数と呼ばれ、上記数式1からベルデ
定数Vが大きいほどファラデー回転角θが大きくなるこ
とがわかる。
【0004】アンペアの周回積分の法則として知られて
いるように、電流はその周囲に磁場を形成し、磁場の強
さは電流に比例する。すなわち、電流ケーブルを完全に
N回周回し、閉ループを形成する光路に対しては、電流
をIとして、閉ループに沿った線積分を行うと、下記の
数式2が成り立つ。
【0005】
【数2】 上記数式1と数式2から、ファラデー回転角θは電流I
に比例し、θ=VNIと表せる。したがってファラデー
回転角θを測定すれば、電流Iを測定することができ
る。
【0006】電流Iが流れない状態、すなわちファラデ
ー回転角θがゼロの場合の直線偏光の偏波面の方向を検
光子の軸に対して45度となるように設定し、2つの偏
光成分をI1 ,I2 とすれば、下記の数式3が成り立
つ。
【0007】
【数3】 上記数式3はファラデー回転角θに比例し、S=sin
2θとなる。すなわち、偏光成分I1 ,I2 を測定して
上記数式3の演算を行うことでファラデー回転角θが求
められ、電流Iが測定される。
【0008】光路を電流Iの周りに周回させる一つの方
法として、ファラデー効果を有する光ファイバを電流ケ
ーブルの周囲に周回させる方式が提案されている(たと
えば、エイ.エヌ.トビン他による、SPIE、第11
69巻、´ファイバ・オプティク・アンド・レーザ・セ
ンサズVII(1989)/201´の“アプリケーショ
ン・オブ・アン・オプチカル・ファイバ・カレント・セ
ンサ・トゥー・エレクトリシティ・サプライ・プロテク
ション”(A.N.Tobin et. al.'Application ofan Optic
al Fiber Current Sensor to Electricity Supply Prot
ection', SPIE, Vol.1169 'Fiber Optic and Laser Sen
sors VII (1989)/201)を参照)。この提案されてた光
ファイバを用いた電流計測装置の構成を図5に示す。
【0009】図5において、従来の電流計測装置は、測
定対象となる電流ケーブル21の周りに1回周回され
た、ファラデー効果を有する光ファイバ(以下、ファラ
デー回転光ファイバと略称する)11と、光源12と、
この光源12に入射端が光学的に結合され光源12から
出射した光を伝送する送光ファイバ13と、この送光フ
ァイバ13の出射端とファラデー回転光ファイバ11の
入射端との間に設けられた偏光子14aと、ファラデー
回転光ファイバ11の出射端に光学的に結合された検光
子15aと、この検光子15aに入射端が光学的に結合
され検光子15aからの光を受けて伝送する2本の受光
ファイバ16,17と、これら受光ファイバ16,17
からの光を電気信号に変換して信号処理を行う受光/信
号処理部18から成る。なお、これら構成要素はハウジ
ング19および20で覆われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明に係る電流計測
装置は、測定対象の電流ケーブルの周りに光ファイバを
周回し、その内部を貫通する電流値だけを測定するもの
である。しかし周回する光ファイバの外部に存在する電
流ケーブル(測定対象でない電流ケーブル)等を流れる
電流もその光ファイバの周囲に磁場を作るので、ファラ
デー回転角も影響を受ける。光ファイバが完全な閉ルー
プとなっている場合、すなわち光ファイバへ/からの光
の入射端/出射端とが一致している場合は外部の電流に
よるファラデー回転角はゼロとなり測定に影響しない。
【0011】しかしながら、これまで提案されている図
5に示すような構造を有する電流測定装置では、ファラ
デー回転光ファイバ11が完全な閉ループを形成してい
ない。このため、従来の電流測定装置はファラデー回転
光ファイバ11中の直線偏光のファラデー回転角が外部
におかれた電流によって生じる磁場の影響を受け、かつ
電流とファラデー回転光ファイバ11の位置関係に影響
されるので、精度の高い電流計測を行うことが難しい。
【0012】したがって、本発明の目的は、高精度の電
流計測が可能な電流測定装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による電流測定装
置は、ファラデー効果を有するファラデー回転光ファイ
バを、所定の方向に延在する電流ケーブルの周りに少な
くとも1回周回するように配置し、ファラデー回転光フ
ァイバの入射端は偏光子を介して1系統の送光ファイバ
に光学的に接続され、ファラデー回転光ファイバの出射
端は検光子を介して2系統の受光ファイバに光学的に接
続され、ファラデー回転光ファイバを伝搬する直線偏光
のファラデー回転角を測定することによって電流ケーブ
ルを流れる電流を計測する電流計測装置において、ファ
ラデー回転光ファイバの入射端と出射端とが所定の方向
と平行な方向から見て重なるように配置されていること
を特徴とする。
【0014】図1(a)および(b)に本発明によるの
電流測定装置の構成を示す。電流測定装置は、電流計測
の基本的機能を果たす光ファイバ11と、光源12と、
1系統の送光ファイバ13と、偏光子用ハウジング14
と、検光子用ハウジング15と、2系統の受光ファイバ
16,17と、受光/信号処理部18とを有する。次に
各構成要素について説明する。
【0015】光ファイバ11はファラデー効果を有する
物質をコアとするシングルモード光ファイバ(ファラデ
ー回転光ファイバ)である。このファラデー回転光ファ
イバ11は必要な感度に応じて電流ケーブル21の周囲
に一回あるいは複数回巻かれる。
【0016】光源12としては単一波長光源が用いられ
る。
【0017】1系統の送光ファイバ13は光源12から
の光をファラデー回転光ファイバ11に導くためのもの
で、少なくとも1本の光ファイバから成る。
【0018】偏光子用ハウジング14の内部には偏光子
14aが固定して設置されている。偏光子用ハウジング
14にはファラデー回転光ファイバ11の入射端と送光
ファイバ13の出射端とが取付けられている。光源12
から出た光は送光ファイバ13を伝搬し、偏光子用ハウ
ジング14内の偏光子14aを通った後、ファラデー回
転光ファイバ11に導入されるように光学的結合がなさ
れている。ここで、偏光子14aは送光ファイバ13と
ファラデー回転光ファイバ11との接続部に設置され、
ファラデー回転光ファイバ11に入る光の偏波面を安定
に保つ役割を持つ。
【0019】検光子用ハウジング15の内部には検光子
15aが固定して設置されている。検光子用ハウジング
15にはファラデー回転光ファイバ11の出射端と受光
ファイバ16,17の出射端とが取付けられている。フ
ァラデー回転光ファイバ11から出た光は検光子15a
を通ることによって2つの直交する成分に分けられ、各
々の偏波成分が2系統の受光ファイバ16,17に導入
されるように設置されている。検光子15aはファラデ
ー回転光ファイバ11を通った光の基準面、すなわち被
測定電流がゼロの場合の偏光面の方向が検光子15aの
軸に対して45度をなすように設置される。
【0020】2系統の受光ファイバ16,17は検光子
15aから出た光を受光/信号処理部18に導く光ファ
イバであり、各系統の受光ファイバは少なくとも1本の
光ファイバから成る。
【0021】受光/信号処理部18は受光素子(図示せ
ず)を含む。受光素子としては半導体受光素子などが用
いられる。受光素子は2系統の受光ファイバ16,17
から出射された光を電気信号に変換する。受光/信号処
理部18は受光素子からの電気信号を上記数式3に従っ
て信号処理することにより、電流ケーブル21中を流れ
る電流を計算する。
【0022】ここでは、光源12、送光ファイバ13、
受光ファイバ16,17および受光/信号処理部18を
除く構成部品の部分を光ファイバセンサユニットと呼ぶ
ことにする。この光ファイバセンサユニット全体は、フ
ァラデー回転光ファイバ11と偏光子14aと検光子1
5aとの相互の位置関係が変化しないように、固定一体
化される。これは、たとえばファラデー回転光ファイバ
11を円筒状物に巻付け、円筒と偏光子14a、検光子
15aをともに一枚の板状体に固定するようなことで実
現される。
【0023】本発明の電流計測装置において、ファラデ
ー回転光ファイバ11と送光ファイバ13、受光ファイ
バ16,17はそれぞれ偏光子14a、検光子15aを
介して接続される。偏光子14a、検光子15aは数m
mの大きさまで小さくできる。しかしながら、これらは
いずれもある体積を占めるので、これらを使用してファ
ラデー回転光ファイバ11の入射端11aと出射端11
bを空間的にあるいは3次元的に完全に同一点とするこ
とは、物理的に実現不可能である。この点を改良し高精
度な電流計測装置を実現するため、本発明では、後述す
るように、これらの接続部を磁場ベクトルの存在しない
方向に重ねるという手段により、実質的にファラデー回
転光ファイバ11の閉ループを形成する有効な方法を提
供する。
【0024】この構造を光ファイバセンサユニットの側
面図を示した図1(b)によって詳しく説明する。偏光
子用ハウジング14の中に偏光子14aが固定されてい
る。偏光子用ハウジング14には光源12からの光を偏
光子14aに導く送光ファイバ13の出射端とファラデ
ー回転光ファイバ11の入射端11aとが固定されてお
り、光源12からの光が送光ファイバ13、偏光子14
a、ファラデー回転光ファイバ11という順に伝送され
る。このときの光の結合効率を高める目的で、送光ファ
イバ13の先端(出射端)にコリメータレンズを使用す
ることが好ましい。
【0025】ファラデー回転光ファイバ11は、図1
(b)に示すように、電流ケーブル21の周囲に1回あ
るいは複数回、コイル状に巻かれる。
【0026】検光子用ハウジング15の中には検光子1
5aと全反射プリズム15bが固定されている。ファラ
デー回転光ファイバ11を出た光は検光子15aによっ
て2つの偏波成分に分けられ、一方は受光ファイバ16
に、他方は全反射プリズム15bで光路を曲げられた後
に受光ファイバ17に導入される。
【0027】ファラデー回転光ファイバ11の入射端1
1aとファラデー回転光ファイバ11の出射端11bと
は、それぞれ偏光子用ハウジング14、検光子用ハウジ
ング15に固定されているが、それらの端面は測定され
る電流の方向、すなわち電流ケーブル21の延在する方
向(軸方向)と平行に配置される。すなわち、ファラデ
ー回転光ファイバ11の両端は側面から見ると、図1
(b)に示すように、上下に並んでいるが、電流の流れ
る方向から見て、図1(a)に示すように、同一点Aに
重なるようになっている。その結果、ファラデー回転光
ファイバ11は、電流に垂直な平面に投影すれば、閉ル
ープを形成する。
【0028】次に、本発明による電流測定装置の構成要
素について詳しく説明する。
【0029】光源12としては、光ファイバに光を導入
できるものであれば、どのようなものでもよいが、半導
体発光素子、気体レーザ、固体レーザなどが好ましい。
【0030】光源12と偏光子14aとを光学的に接続
する送光ファイバ13には伝送損失の小さなシングルモ
ード光ファイバが用いられるが、その伝送損失が30d
B/km以下のものが好ましい。この理由は、このよう
な電流測定装置において、光源12は被測定電流から通
常100m以下の距離に設置されるので、送光ファイバ
13の伝送損失が30dB/km以下であれば送光ファ
イバ13の出射端における光強度の減衰量は30dB/
km×0.1km=3dB以下になるが、3dB以下の
減衰であれば実用上差し支えないからである。もちろ
ん、送光ファイバ13の伝送損失は少なければ少ないほ
ど好ましいことは言うまでもない。このシングルモード
光ファイバとしては、例えば、通信分野で広く用いられ
ている、石英ガラス系光ファイバが好ましいものとして
挙げることができる。
【0031】また、より好ましくは、送光ファイバ13
は偏波保持ファイバが用いられる。これは偏光子14a
に入射する偏波方向を一定に保ち、ファラデー回転光フ
ァイバ11に入射する光強度を安定化する点において有
利であるからである。これには石英ガラス系のパンダ
型、ボウタイ型、楕円ジャケット型など損失の少ない偏
波保持ファイバが適する。
【0032】本発明に係る電流測定装置は直線偏光の偏
光面の回転を利用したものであるので、直線偏光が楕円
化すると測定精度が低下する。このためファラデー回転
光ファイバ11に入射する光の直線偏光性は可能な限り
高い方がよいが、現在実現されている偏波保持ファイバ
だけでは充分な消光比とその安定性を実現することがで
きない。したがって充分な消光比を得るためには偏光子
を使用する必要がある。通常の電流測定装置では測定精
度として1%から数%程度の精度が求められるので、入
射光側の偏光子14aとしては少なくとも20dB以上
の消光比を有するものが必要である。さらにより高精度
の電流測定には偏光子14aとして30dB以上の消光
比を有するものが好ましい。これには、たとえば、偏光
ビームスプリッタ、ウォラストンプリズム、グラントム
ソンプリズム、あるいは金属と絶縁体の多層積層物より
構成される積層型偏光子などが好ましく用いられる。
【0033】出射光側の検光子15aにも少なくとも2
0dB以上の、より高精度の電流測定には30dB以上
の消光比が必要である。これには偏光ビームスプリッ
タ、ウォラストンプリズム、グラントムソンプリズム、
あるいはそれらを組み合わせたものが使用可能である。
また、光路を曲げる必要などから、検光子15aはプリ
ズムなどの光学部品と組み合わせて用いられることもあ
る。
【0034】ファラデー回転光ファイバ11は電流を検
知する部分であり、コアがファラデー効果を有する物質
よりなる光ファイバであれば、全て使用することが可能
である。例として、石英ガラスファイバ、酸化テルビウ
ムを含有するガラスファイバ、酸化鉛を含有するガラス
ファイバを挙げることができる。
【0035】酸化テルビウムを含有するガラスにはたと
えばホーヤ株式会社製、商品名FR−5,FR−6とい
うガラスがあり、これをコアとする光ファイバが試作さ
れている。これらはベルデ定数Vが大きいので、高感度
が要求される電流計測に有利である。その反面、このガ
ラスは常磁性ガラスであるのでベルデ定数Vの温度依存
性が大きく、広い範囲で一定の測定感度を得るためのも
のには適していない。
【0036】石英ガラスファイバは機械的強度が高く、
伝送損失が小さいので、光強度の減衰が少ないという長
所がある。しかし、これは光弾性定数が大きいので、光
ファイバの温度変化や振動などの外乱で誘起される複屈
折が大きい反面、ベルデ定数Vが必ずしも大きくないの
で、S/N比の大きい測定には不利である。
【0037】酸化鉛を含有するガラスファイバは鉛ガラ
スが反磁性であるので、ベルデ定数Vの温度依存性が零
あるいは極めて小さく、広い温度範囲で一定の測定感度
を得るのに適している。また鉛ガラスのベルデ定数Vは
石英ガラスよりも総じて大きく、酸化鉛を含有するガラ
スファイバはより高い感度が得られるという長所があ
る。そのなかで、たとえば、特公平3−13177号公
報に開示された組成をもつ、酸化鉛を含有するガラスフ
ァイバは光弾性定数が小さいので、残留歪、あるいは使
用時における温度変化や振動などの外乱によって誘起さ
れる複屈折が小さいので、高精度の電流計測が可能であ
り、本発明に係る電流測定装置に使用されるファラデー
回転光ファイバ11として特に好ましいものとして挙げ
られる。
【0038】受光ファイバは検光子15aによって分け
られた偏波の2つの成分各々を個別に受光するために
は、図1(b)で参照符号16,17として示されるよ
うに、2系統必要である。これにはシングルモード光フ
ァイバとマルチモード光ファイバのどちらも使用するこ
とが可能である。マルチモード光ファイバはコアの直径
が太いので、ファラデー回転光ファイバ11からの光を
安定に受光する点で有利であり、受光ファイバとしてよ
り好ましく用いられる。受光ファイバは伝送損失が小さ
いものが良く、その伝送損失が30dB/km以下のも
のが好ましい。この理由は、受光ファイバの伝送損失が
30dB/km以下であれば、受光した光の強度を実用
上問題ない程度で受光/信号処理部18中の受光素子に
導くことができるからである。このような特性を有する
受光ファイバとしては、通常、光通信分野で広く用いら
れている、石英ガラス系マルチモード光ファイバが低損
失で機械的強度が高いため、最も好ましいものとして挙
げることができる。
【0039】
【作用】光源から出た単一波長光は1系統の送光ファイ
バを伝搬し偏光子によって直線偏光となり、ファラデー
回転光ファイバに導入される。ファラデー回転光ファイ
バの中を伝搬していく過程で電流の作る磁場によって直
線偏光の偏波面が回転し、ファラデー回転光ファイバを
出た時点で直線偏光の偏波面は電流に比例した大きさだ
け回転している。ファラデー回転光ファイバから出た光
は検光子によって2つの偏波成分に分けられ、2系統の
受光ファイバに導入される。2系統の受光ファイバを伝
搬した光は受光素子により光強度に比例した電気信号に
変換され、電気信号は上記数式3の演算によって変換が
なされることによりファラデー回転角が計算され、電流
を測定できる。
【0040】
【実施例】次に、実施例により本発明を説明する。
【0041】〔実施例〕基本構成として、図1(a)お
よび(b)に示した電流計測装置(センサユニット)を
作成した。1系統の送光ファイバ13にはコア径6μm
のシングルモード石英ガラス偏波保持ファイバを、偏光
子14aには偏光ビームスプリッタを用いた。ファラデ
ー回転光ファイバ11にはシングルモードの酸化鉛を含
有するガラスファイバを用いた。この酸化鉛を含有する
ガラスファイバは、コア、クラッド、オーバークラッド
よりなる3層構造光ファイバであり、それらの組成(コ
アガラス組成,クラッドガラス組成およびオーバークラ
ッドガラス組成)は下記の表1,表2,表3に示す通り
である。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】また、酸化鉛を含有するガラスファイバの
コア、クラッドおよびオーバークラッドのおのおの直径
と屈折率は下記の表4に示す通りである。
【0046】
【表4】
【0047】ファラデー回転光ファイバ(酸化鉛を含有
するガラスファイバ)11の比屈折率差は0.17%、
開口数は0.11、規格化周波数は2.35であり、波
長850nmの光に対してシングルモード条件を満たし
ている。ベルデ定数Vは波長850nmで約0.04分
/Oe・cmであった。
【0048】本実施例において、ファラデー回転光ファ
イバ11は電流ケーブル21を囲む円筒(図示せず)の
周囲に3回巻かれている。ファラデー回転光ファイバ1
1より出射した光を2つの偏光成分に分離するプリズム
機構は偏光ビームスプリッタ(検光子)15aと全反射
プリズム15bより構成されている。ファラデー回転光
ファイバ11の出射端11bより出た光は偏光ビームス
プリッタ15aによって直交する2つの成分に分けら
れ、一方の成分は透過し、他方の成分は直角に曲げられ
全反射プリズム15bに入射する。ここで、ファラデー
回転光ファイバ11の入射端11aと出射端11bは、
図1(a)に示される如く、電流ケーブル21の方向と
平行な方向Aから見て重なるように配置されている。2
系統の受光ファイバ16,17の各々は、コア径50μ
mの石英ガラスマルチモード光ファイバであり、その先
端(出射端)は光コネクタ(図示せず)によって受光/
信号処理部18に光学的に接続されている。光源12と
して波長850nmのレーザ光を発する半導体レーザを
使用した。
【0049】半導体レーザ(光源)12から出たレーザ
光は光コネクタ(図示せず)を通じて偏波保持ファイバ
(送光ファイバ)13に導入される。周回したファラデ
ー回転光ファイバ11のループのほぼ中央に電流ケーブ
ル21を貫通させ、電流ケーブル21に電流を流した。
偏光ビームスプリッタ(検光子)15aで分けられた直
交2成分の光強度I1 ,I2 に対し、上記数式3で示す
演算を行って出力Sを求めた。このときの被測定電流に
対する出力Sの値を図2に曲線C1 で示す。図2から明
らかなように、電流に対して出力Sはよい線形対応があ
り、電流計測装置として優れていることが分かる。ま
た、電流ケーブル21がファラデー回転光ファイバ11
のループ(以下、孔と呼ぶ)に対して相対的な位置を変
えても出力Sの値は変化しなかった。
【0050】次に、電流ケーブル21を孔の外に於いて
電流ケーブル21に電流を流しその影響を調べた。しか
し出力Sの値は非常に小さく、電流ケーブル21を孔に
通したときの値の1%以下であった。すなわち、外部に
おかれた電流の影響を受けることが極めて少なく、精度
の高い電流測定が可能であることが示された。
【0051】〔比較例〕比較として、図3に示す構造の
電流計測装置を作製し、その特性を調べた。基本となる
構成部品は図1に示すものと同じであるが、ファラデー
回転光ファイバ11と偏光子用ハウジング14と検光子
用ハウジング15は互いに平面方向に離れている。した
がって、ファラデー回転光ファイバ11の両端も平面方
向に離れている。この電流計測装置を使用して上記実施
例と同様の測定を行った。その結果を図4に示す。図4
において、C2 は電流ケーブル21が周回したファラデ
ー回転光ファイバ11のループ(孔)を貫通した場合の
出力Sの特性を示す。出力Sは電流とよい線形対応があ
った。しかし、電流ケーブル21が孔の外部にある場合
も、図4のC3 で示される如く、出力Sが認められた。
電流ケーブル21が孔を貫通している場合と比較する
と、電流計測装置と電流ケーブル21の相対位置に依存
するが、概略数%から10%程度の出力であった。すな
わち、従来の電流計測装置の構造では、出力Sに外部の
電流の影響が混在してしまうため、高精度の電流計測が
不可能である。
【0052】尚、本発明は上述した実施例に限定され
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更/変
形が可能である。例えば、図1(b)に示す光ファイバ
センサユニットを、1つのケースの中に複数個設けるよ
うにしても良い。この場合、複数の計測値が得られるの
で、その平均値を求めることにより、測定精度を高める
ことができる。また、1個の光ファイバセンサユニット
が故障しても、他の光ファイバセンサユニットを使用し
て電流を計測することができるので、信頼性を向上させ
ることができる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明の電流計測装
置は、ファラデー回転光ファイバの両端が実質的に閉ル
ープを形成するように構成されており、外部の電流源や
磁場の影響が極めて少なく精度の高い電流測定ができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による電流計測装置の構成を
示す図で、(a)は平面図、(b)は光ファイバセンサ
ユニットの側面図である。
【図2】図1に示した電流計測装置における電流に対す
る出力Sの値を示す特性図である。
【図3】比較例による電流計測装置の構成を示す平面図
である。
【図4】図3に示した電流計測装置における電流に対す
る出力Sの値を示す特性図である。
【図5】従来提案されている光ファイバを用いた電流計
測装置の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
11 ファラデー回転光ファイバ 12 光源(半導体レーザ) 13 送光ファイバ 14 偏光子用ハウジング 14a 偏光子(偏光ビームスプリッタ) 15 検光子用ハウジング 15a 検光子(偏光ビームスプリッタ) 15b 全反射プリズム 16 受光ファイバ 17 受光ファイバ 18 受光/信号処理部 21 電流ケーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 俊晴 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ファラデー効果を有するファラデー回転
    光ファイバ(11)を、所定の方向に延在する電流ケー
    ブル(21)の周りに少なくとも1回周回するように配
    置し、該ファラデー回転光ファイバ(11)の入射端
    (11a)は偏光子(14a)を介して1系統の送光フ
    ァイバ(13)に光学的に接続され、前記ファラデー回
    転光ファイバの出射端(11b)は検光子(15a)を
    介して2系統の受光ファイバ(16,17)に光学的に
    接続され、前記ファラデー回転光ファイバ(11)を伝
    搬する直線偏光のファラデー回転角を測定することによ
    って前記電流ケーブル(21)を流れる電流を計測する
    電流計測装置において、 前記ファラデー回転光ファイバ(11)の入射端(11
    a)と出射端(11b)とが前記所定の方向と平行な方
    向(A)から見て重なるように配置されていることを特
    徴とする電流計測装置。
  2. 【請求項2】 前記ファラデー回転光ファイバが酸化鉛
    を含有するガラスファイバである、請求項1記載の電流
    計測装置。
JP5321706A 1993-12-21 1993-12-21 電流計測装置 Pending JPH07174791A (ja)

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