JPH07174720A - 位置依存スペクトラム評価の試験方法 - Google Patents
位置依存スペクトラム評価の試験方法Info
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Abstract
を多数の位置について測定する試験方法で多数の位置に
平均的に分布した物質も特定し得るようにするために、 【構成】 測定済みスペクトラム群の集団評価をつぎの
3段階で行なう。 a)各スペクトラムの一連の特定値からなるスペクトラ
ム・ベクトルを位置に応じて行列に配置したデータ・マ
トリックスを形成する。 b)データ・マトリックスの特異値を分解して、積がデ
ータ・マトリックスに相当する、スペクトル依存ベクト
ルからなる第1部分マトリックス、対角線マトリックス
からなる第2部分マトリックス、および、位置依存ベク
トルからなる第3部分マトリックスを得る。 c)かかる3部分マトリックスの少なくとも一つを評価
する。
Description
有する各スペクトラムを多数の位置について測定する試
験方法およびその方法を行なう試験装置に関するもので
ある。
は、この種の試験方法が開示してあり、爆薬や薬品など
所定物質の検出のために荷物検査に用い得る従来の試験
装置においては、荷物片の多数の位置(以後素塊と呼
ぶ)について運動量転換スペクトラムを測定し、かかる
スペクトラムを、識別すべき物質のスペクトラムと個々
に比較する。適応例においては、荷物片、すなわち、対
応したスペクトラムが測定された素塊内に探索すべき物
質が実際に存在している、と仮定することができる。
の制限を呈しており、 a)探索すべき物質が、その素塊について運動量転換ス
ペクトラムを支配する程度の高濃度以上に素塊内に存在
しない場合には、その存在を表示し難く、識別すべき物
質が、例えば箔などの形で、多数の素塊間に分布してい
るが、一辺が数cmの正方形もしくは立方体と考えられ
る各素塊内には低濃度でしか存在していない場合には、
荷物片内に実在するその物質の全量が比較的大きい場合
でも、その物質の存在は表し難く、 b)試験地帯に種々の物質が存在していても、各素塊、
すなわち、組合わせた運動量転換スペクトラムが単一物
質によって支配されておれば、その運動量転換スペクト
ラムから、まず、その物質を、ついで、その空間分布を
決定し得るが、一般に、かかる条件は満たされず、空間
分布は決定し得ず、 c)前述の仮定は未知の物質のスペクトラムの決定を可
能にするかも知れないが、かかる物質は、通例、多数の
素塊間に分布しており、いずれかの素塊で支配的にはな
っていないので、かかる決定は不可能である。
の種の試験装置によっては、対象物内に多量に存在して
いても、その濃度が局所では支配的でない物質の検出は
困難であった。
トラムの集団評価を行なう試験方法、すなわち、試験地
帯における物質が多数の素塊間に分布しており、単一素
塊内で支配的でない場合でも、スペクトラムすなわちス
ペクトル分布の識別もしくは決定を可能にする試験方法
を提供することにあり、この目的は、前述した種類の試
験方法に基づき、 a)各スペクトラムの一連の特異値によって形成したス
ペクトラム・ベクトルからデータ・マトリックスを形成
して、スペクトラム・ベクトルを、位置に応じ、データ
・マトリックスの列もしくは行に配置し、 b)相互の積がデータ・マトリックスに相当し、第1
(または第3)部分マトリックスがスペクトル依存特異
ベクトルからなり、第2部分マトリックスが対角線マト
リックスであり、第3(または第1)部分マトリックス
が位置依存特異ベクトルからなる3個の部分マトリック
スを得、 c)3個の部分マトリックスの少なくとも1個を評価す
る の3段階を採ることによって達成される。
語を規定しておく。「マトリックス」は、行と列とから
なる数値の方形領域を意味するものとする。「対角線マ
トリックス」は、行数と列数とが等しい正方形マトリッ
クスであって、主対角線上に位置する要素(第1行の第
1要素、第2行の第2要素等)のみが零以外の数値を持
ち得るものとする。「(m×n)マトリックス」は、m
行およびn列からなるマトリックスである。「入れ替え
マトリックス」は、行と列とを入れ替えたマトリックス
である。マトリックスを表す記号は、大文字、例えばX
とする。入れ替えマトリックスを表す記号は、大文字に
羃指数Tを付して例えばXT とする。
り、一次元マトリックスと見做せる量を意味するものと
し、かかるベクトルがマトリックスの行もしくは列と同
じであれば、行ベクトルもしくは列ベクトルとも呼ぶ。
特異値の分解によって形成した第1マトリックスの列ベ
クトルおよび特異値の分解によって形成した第3マトリ
ックスの行ベクトルは特異ベクトルとも呼ぶ。
トルの第1要素に他方のベクトルの第1要素を乗算し、
一方のベクトルの第2要素に他方のベクトルの第2要素
を乗算し、以下同様にして各乗算の積を合計する。スカ
ラー乗算の結果、すなわち、スカラー積は一つの数値と
なる。さらに、各ベクトルの自身とのスカラー積が数値
1となり、他のベクトルとのスカラー積が零となる場合
は正常ベクトルであり、マトリックスの行ベクトルもし
くは列ベクトルが正常であれば、行正常マトリックスも
しくは列正常マトリックスとなる。
の異なる物質の数は、スペクトラムを構成するスペクト
ル値の数より小さく、また、スペクトルが決定される位
置すなわち素塊の数より小さい、という仮定に基づいた
ものである。
にスペクトル情報を含むとともに、行方向に空間情報を
含んでいる場合に、これらの情報は、本発明による特異
値分解によって3部分マトリックス間に分布しているの
で、容易に評価される。データマトリックスにおけるス
ペクトラム・ベクトルのかかる配置においては、第1部
分マトリックスが特異ベクトル(列ベクトル)中の空間
情報を含み、第3部分マトリックスが特異ベクトル(行
ベクトル)中のスペクトル情報を含んでいる。
リックスは、主対角線に沿ってのみ零以外の値、すなわ
ち、分解によって生じた特異値を含み、それらの特異値
は、第1群および第2群に再分割することができ、第1
群の特異値は、第2群の特異値より有意に大きい。第1
群の有意の特異値は、試験地帯に有意に存在する物質の
数に対応する。
数は、例えば、食料品の製造については重要である。通
常、試験地帯には単一の物質のみが存在し、したがっ
て、単一の有意の特異値のみが生ずる。しかしながら、
第2部分マトリックスにおける第2の有意の特異値の存
在は、試験地帯における第2の物質、例えば、製造過程
で破損したプラスチック器具の破片の存在を示す。
は、試験地帯に存在する無視し得ない低濃度の物質と同
数の零以外の値のマトリックス要素を主対角線中に含ん
でおり、そのことから、第2部分マトリックスの主対角
線中に位置する零値のマトリックス要素の一つとして同
じ列もしくは行に位置する第1部分マトリックスの列ベ
クトルおよび第3部分マトリックスの行ベクトルは、簡
単に消去することができる。
ノイズなどの付加的な影響を受けて、これらの値は零値
に達せず、零以外の値に達するが、成分によって生ずる
値より有意に小さい。
学的労力を低減するために、第2部分マトリックスの主
対角線中の非有意要素が消去され、したがって、第1部
分マトリックスの同一列もしくは第3部分マトリックス
の同一行に存在するベクトルも消去される。第1もしく
は第3の部分マトリックスにおいて消去される列もしく
は行のベクトルはノイズのみを含んでいるので、かかる
削減によっては計算の正確さは有意の影響を受けない。
したがって、削減を受けた3部分マトリックスを互いに
乗算すると、その積は、データマトリックスの無ノイズ
円滑化変体と説明されるマトリックスを構成する。
ようにした本発明の好適な変体においては、 a)当該スペクトラムのスペクトル値によって形成した
スペクトラム・ベクトルとスペクトル依存ベクトルとの
スカラー乗算を行ない、 b)組合わせたスペクトル依存ベクトルをスカラー乗算
と引き続く合計とによって形成した係数により荷重し、 c)加算処理から得た和ベクトルを前記飽和スペクトラ
ムのスペクトラム・ベクトルと比較する。
えば、荷物片内部の爆薬を、その小部分が種々の素塊中
に存在するに過ぎないように分布している場合にも、識
別し得るようにする。したがって、この変体は、特に荷
物検査に適しており、荷物検査中に所定物質を検出する
のに適用することを特徴とした変体もある。
ずるマトリックスは、試験地帯における物質の空間分布
の決定を、その物質およびその物質のスペクトラムが既
知の場合に可能にする。
既知スペクトラムの物質の空間分布を決定するために、 a)当該既知スペクトラムのスペクトル値によって形成
したベクトルとスペクトル依存ベクトルとのスカラー乗
算を行ない、 b)第2部分マトリックスおよび位置依存ベクトルとと
もに得た係数を考慮して当該物質の空間分布を決定す
る。
験地帯に存在する物質に対する進んだ知識を有し、スペ
クトラムに基づいて識別し得ることが必要であり、かか
る状態は食料品検査の場合に存在する。
スが、試験地帯における空間分布既知の物質のスペクト
ラム・ベクトルの決定を可能にすることもあり得る。し
たがって、試験地帯内の空間分布が既知の複数種の物質
の少なくとも1種類を決定するための本発明の実施例に
おいては、個々の物質の空間分布を規定するベクトル
が、位置依存ベクトルによりスカラー乗算を受け、その
物質のスペクトラムが、決定した第2部分マトリックス
の係数およびスペクトル依存ベクトルを含むマトリック
スから決められる。
定する測定装置 b)各スペクトラムの一連のスペクトル値からなるスペ
クトラム・ベクトルを、位置に応じ、行列に配置したス
ペクトラム・ベクトルからデータ・マトリックスを形成
する手段 c)相互の積がデータ・マトリックスに相当し、第1
(または第3)部分マトリックスがスペクトル依存ベク
トルからなり、第2部分マトリックスが対角線マトリッ
クスであり、第3(または第1)部分マトリックスが位
置依存ベクトルからなる3個の部分マトリックスを得る
ために、データ・マトリックスの特異値を分解する手
段、および、 d)3部分マトリックスの少なくとも一つを評価する手
段 を備えたことを特徴としている。
詳細に説明する。図1における参照数字1は、X線ビー
ム2を放出するX線源を表し、X線ビーム2は、ペンシ
ルビームもしくは開口角の小さい円錐の表面の形状にす
ることができる。このX線ビームは、荷物片となし得る
対象物3を照射するが、人体や食料品も同じようにして
試験することができる。対象物3内においては、X線ビ
ーム2が、就中、弾性的散乱X線を発生させるが、周知
のように、レイリー散乱とも呼ばれる弾性的散乱の場合
には、散乱過程の後にもX線量子がそのエネルギーを失
わない。
ましくは円形とする検出器装置4およびコリメータ装置
5によって測定し、コリメータ装置5は、対象物3と検
出器4との間に位置して、検出器装置4が、確実に、規
定散乱角内の弾性散乱X線のみを主として指向し得るよ
うにする。検出器装置4の出力信号は、増幅器7を介
し、パルス高解析器6に供給する。検出器装置4のパル
ス形状出力信号は、散乱X線量子のエネルギーに比例し
た振幅を有しており、パルス高解析器6は、各出力パル
ス毎に、ディジタル・データワードを発生させ、このデ
ータワードが対応した測定値X線量子のエネルギーの特
徴を表す。したがって、パルス高解析器6が供給する信
号は、検出器装置4もしくは組合わさった検出器素子に
よって検出したX線量子のエネルギー・スペクトラムに
対応する。一般に、検出器装置は、それぞれが所定散乱
角内のみの散乱放射線によって重なり合う多数の検出器
素子からなっており、その場合には、成分6および7か
らなる処理系統は、各検出器素子毎に設けられる。
タ(図示せず)からなる評価ユニット10は、メモリ9
とともに、エネルギー・スペクトラムから運動量転換ス
ペクトラムを決定し、例えばモニタ8に表示することが
できる。X線量子の運動量転換は、つぎの(1)式に従
って計算することができる。 x=sin(β/2)/L (1) ここに、βは、対応するX線量子が散乱過程で偏向する
散乱角であり、Lは、散乱放射線の波長である。値1/
Lはパルス高解析器6によって測定したX線量子のエネ
ルギーに比例し、また、検出器装置4によって検出し得
るX線量子の散乱角βはコリメータ装置5の構造によっ
て予定されているのであるから、運動量転換はX線量子
のエネルギーもしくは対応した波長Lから、および、予
定の散乱角βから容易に決定することができ、エネルギ
ースペクトラムは、運動量転換スペクトラムに変換する
ことができる。
スト)の運動量転換スペクトラムを表し、図2bの曲線
R2 は、木材の運動量転換スペクトルを表している。こ
れらのスペクトラムはいずれの場合も最大強度値に正規
化してあるが、互いに実質的に相違していることが判
る。異なる物質の運動量転換スペクトラムのかかる相違
は、試験地帯における所定物質の検出、もしくは、試験
地帯におけるかかる物質の空間分布もしくはスペクトル
分布の決定に対する基盤をなすものである。
なわち単一素塊のみを覆うのであるから、放射線ビーム
2に対して相対的に、対象物3を互いに直交する2方
向、すなわち、図の紙面に対して水平および垂直の方向
に置き換えて、対象物の他の素塊を試験し得るように
し、それぞれの運動量転換スペクトラムを決定し得るよ
うにする必要がある。かかる相対移動は、図1には詳細
に示さず、単に矢印11で象徴的に示してある。
S462658とともにドイツ特許公報DEOS410
1544からも知られており、したがって、詳細はこれ
らの公報を参照されたい。
繊維、石鹸および爆薬箔)を満たした方形コンテナを試
験すべき対象物3に用いた。n=15×17すなわち2
55個の素塊の2次元ラスタを、放射線ビーム2に対す
る相対的移動によって走査し、各素塊について運動量転
換スペクトラムを決定した。
0容積%の爆薬を満たした素塊について運動量転換スペ
クトラムを示す。図2aおよび図2bに示したスペクト
ラムと比較すると、比較的強いノイズが現れているが、
これは、素塊に対する運動量転換スペクトラムの測定に
は限られた時間しか使用し得ないのに対し、図2aおよ
び図2bに示した基準スペクトラムは、1回だけ測定し
た後は書庫に納めておけばよいのであるから、極めて長
い測定期間内に極めて低いノイズで測定し得る、という
事実に関連している。図3に示したスペクトラムでは、
該当する素塊内に爆薬が存在しているか否かを決定する
のは、実質的に不可能である。
験地帯に爆薬が存在するか否かの決定を可能にする試験
方法を、図4に示し、測定したスペクトラムの処理過程
において評価ユニット10により実行するプログラムの
フローチャートを参照して以下に詳述する。
ックスの形成である。図3に示したスペクトラムは、所
定の運動量転換についてX線量子の相対的個数を特徴づ
けるm個のスペクトル値からなっており、mは例えば1
024とする。したがって、各スペクトラムは多数の数
値からなっているのであるから、冒頭に述べた定義から
すれば、ベクトルと考えることができる。このベクトル
は、「スペクトラム・ベクトル」と呼ぶものである。位
置iを有する素塊のスペクトラム・ベクトルについて
は、したがって、 Xi =(x1i, x2i・・・, xmi) となる。n個の素塊に対するn個のスペクトラム・ベク
トルをデータ・マトリックスXにおけるn個の列に配列
すると、つぎの形のマトリックスが得られる。
ち、m行およびn列からなるマトリックスである。この
マトリックスは、位置情報およびスペクトル情報を結合
させ、各行は、種々の素塊について所定の運動量転換の
位置依存性を示し、各列は、所定素塊についてスペクト
ル依存性を示す。
スの3個の部分マトリックスU,G,VT への特異値分
解であり、かかる部分マトリックスの積は、つぎの
(2)式に従ってデータマトリックスXを構成する。 X=UGVT (2) 特異値分解は、就中、つぎの文献に記載されている周知
の数学的手法である。 a)W.H.ゴルブ、C.F.ファンロアン共著、「マ
トリックス計算」、ジョンホプキンス大学刊、バルチモ
ア、1983年、16〜20頁 b)W.H.プレス、B.P.フランネリ、S.A.チ
ュコルスキ、W.T.ベッターリング共著「数値処
方」、ケンブリッジ大学刊、1986年、52〜64頁 この数学的手法の分光学と組合わせた使用は、ドイツ特
許公報DE−OS3827066から知られている。
ぎの形となる。
ックスXと同様に(m×n)マトリックスであるのに対
し、マトリックスVT は、(n×n)方形マトリックス
であることを意味するが、これは、スペクトラムを測定
した素塊の個数nが、スペクトラムもしくはスペクトラ
ムベクトルを構成するスペクトル値の個数mより大きく
ない場合に限るものであり、この条件が満たされない場
合には、マトリックスUは(m×m)方形マトリックス
であるのに対し、マトリックスVT は、(n×m)の正
常なマトリックスである。
クスUを構成する特異ベクトルは、正常ベクトルであ
り、自身とのスカラー乗算の場合に値1を形成し、他の
列ベクトルとのスカラー乗算の場合には零値を形成す
る。同様に、第3部分マトリックスVT の特異ベクト
ル、すなわち、行ベクトルも正常ベクトルである。した
がって、第1部分マトリックスUは正常列マトリックス
であり、第3部分マトリックスVT は正常行マトリック
スである。データ・マトリックス中のスペクトラム・ベ
クトルが、前述したように、列ベクトルである場合に
は、第1部分マトリックスの列ベクトルがスペクトラム
に関する情報を含んでいるのに対し、第3部分マトリッ
クスの行ベクトルは位置依存情報を含んでいる。もし、
その代わりに、スペクトラム・ベクトルXi がデータ・
マトリックスXの行に配置されているとすれば、第1部
分マトリックスの列ベクトルは位置情報を含み、第3部
分マトリックスの行ベクトルはスペクトラムに関する情
報を含むことになる。
り、零以外のマトリックス要素は、特異値分解から生じ
た特異値であり、対応する要素として同一列に位置する
第1部分マトリックスの列ベクトルの重み、もしくは、
対角線マトリックスの組合わさった要素として同一行に
位置する行ベクトルの重みを示す。図6は、対角線マト
リックスGにおける20個の最大特異値を対数目盛で大
きさの順に示したものである。また、図5a乃至図5f
は、6個の第1特異値とそれぞれ組合わさった第1部分
マトリックスUの列ベクトル、すなわち、第1部分マト
リックスU内で、第2部分マトリックスG内の対応する
特異値として同一列に存在する列ベクトルをそれぞれ示
したものである。すなわち、図5aは、最大特異値と組
合わせたマトリックスUの列ベクトルを示し、また、図
5fは、6番目の最大特異値と組合わせた列ベクトルを
示す。
Uの列ベクトルは、スペクトル依存情報を含んでおり、
したがって、各列ベクトルは、試験地帯に存在する物質
のスペクトラム・ベクトルの線形結合を表しており、こ
れが、試験地帯内に存在する物質のスペクトラム・ベク
トルを列ベクトルの適切な線形結合によって再建し得る
ことの理由である。同様に、第3部分マトリックスVT
内の行ベクトルは、位置依存密度部分を表し、例えば、
このマトリックスの第2行は、マトリックスUの第2列
によってスペクトラムを形成する抽象的成分の密度の位
置依存性を表す。
応した特異値が小さい程、列ベクトルに関連したノイズ
が顕著になることを明瞭に示している。図5fに示した
6番目の最大特異値に対応する列ベクトルは、実際に、
ノイズ以外の有用な情報を最早含んでいない。したがっ
て、5種類の物質が存在した試験地帯については、対応
するスペクトラム情報を有する5個の列ベクトルのみが
存在することになる。
ラムを有するr種類の物質が試験地帯内に存在する場合
には、特異値分解によって対角線マトリックスの正確に
5個の有意マトリックス要素すなわち特異値が形成され
る、という事実の認識に基づいている。理想的な測定条
件においては、その他の特異値は零となるが、実際に
は、この条件は満たされておらず、したがって、他の特
異値がノイズおよび他の測定誤差に依存した値を有す
る。しかしながら、図6に明瞭に示されているように、
5種類の物質に対応するr個の第1特異値以外は、有意
に小さい。
る列もしくは行において有意の特異値が組合わされる列
数もしくは行数まで3個の部分マトリックスU,Gおよ
びV T を削減することが可能であり、また、数学的労力
の削減の故に有用である。この段階は、図4のステップ
103で実行する。これは、例えば、対角線マトリック
スの第3行もしくは第3列の特異値が有意でない場合に
は、部分マトリックスUの第3列ベクトルおよび部分ベ
クトルVT の第3行ベクトルを消去しなければならない
ことを意味する。さらに、各部分マトリックスを特異値
の大きさによって仕分けし、この仕分けが特異値分解に
よって行なわれない場合には、最大特異値にそれぞれ対
応した列ベクトルおよび行ベクトルを第1部分マトリッ
クスの第1列および第3部分マトリックスの第1行に配
置するようにするのも有用である。かかる削減により、
部分マトリックスUおよびVT は、つぎの部分マトリッ
クスUr およびVT r となる。
(r×n)マトリックスである。マトリックスUr の列
ベクトルはマトリックスUの列ベクトルとそれぞれ同一
であり、同様に、マトリックスVT r の各行ベクトルは
マトリックスUの行ベクトルとそれぞれ同一である。部
分マトリックスGr は、r個の有意値、すなわち、r行
およびr列のみを有する対角線マトリックスとなる。
1 乃至gn のうちのr個の最大値である。3個の部分マ
トリックスUr ,Gr およびVT r の積から得られるマ
トリックスXr は、データマトリックスXに極めて近似
し、円滑化した変体を構成している。
う次のステップは、マトリックスU r に存在する列ベク
トルの線形結合により、探索すべき部分、例えば、図2
aに示した基準スペクトラムR1 を有する爆薬の基準ス
ペクトラムRi の可能な最良近似を表すスペクトラムS
i を決定することである。このマトリックスの列ベクト
ルUj (J=1・・・r)は正常ベクトルである、とい
う事実の故に、このマトリックスUのスペクトル依存性
を表す各列ベクトルを線形結合に適合させる係数もしく
は荷重率は、成分u1j, u2j, ・・・,umjからなるこ
の列ベクトルの、探索すべき部分の基準スペクトラムR
i を表すベクトルとのスカラー乗算によって得られる。
したがって、係数cijについては、つぎの(3)式が成
り立つ。 cij=Rj ・Uj (3) ここに「・」はスカラー乗算を示す。(3)式に従った
計算は、マトリックスU r のr個の列ベクトル全部に対
して図4のステップ104で実行する。
のステップ105で、基準スペクトラムRi の可能な最
良近似を表す線形結合Si の形成に用いる。線形結合S
i は、つぎの式 Si =ΣcijUj に従って計算し、ついで、j=1乃至j=rとして総和
を求める。
ない、上述のようにして、形成した総和が基準ベクトル
Ri に対し、少なくとも近似的に対応しているか否かを
確かめる。図7には、爆薬について、基準ベクトルRi
=R1と、式(3)および(4)に従って計算した総和
ベクトルSi とを示すが、基準ベクトルRi は点線だけ
で示してある。極めて良好な対応が得られているが、こ
れは、物質i、例えば爆薬が試験地帯内で識別されたこ
とを意味する。
少なくとも近似的に対応しているか否かの評価は、各ス
ペクトル値毎に、Ri とSi との差を形成して自乗し、
このようにして計算した自乗値を全スペクトル値につい
て相加したときに自動的に遂行される。この総和の平方
根を基準スペクトラムRi のスペクトル値の和で割っ
て、曲線Ri より下の領域を求め、このようにして求め
た値が警報閾値以下に低下した場合には、Si とRi と
の間に適切な対応が得られ、探索すべき物質を検出した
ことになる。その場合には、ステップ107において、
例えば聴覚もしくは視覚の警報を駆動し、ステップ10
8において、スペクトラムRi およびSiを、例えば図
1のモニタ8に表示する。
質を検出もしくは識別する場合には、ステップ108に
おいて、対応する基準スペクトラムを負荷し、ステップ
104乃至106の過程を繰り返す。その他の場合は、
ステップ109においてプログラムを終了する。
範囲内での個々の物質の識別は、いくつかの点で周知の
数学的回帰方法に似ているが、特異値分解は数学的安定
性がより優れており、識別すべき物質のスペクトラムの
みが既知の場合にも遂行することができる。しかしなが
ら、周知の回帰方法は、試験地帯に十分な量で存在する
あらゆる物質のスペクトラムに関する知識を必要とす
る。
に十分な量で存在する物質がそれぞれの基準スペクトラ
ムとともに既知の場合には、物質の空間分布の決定が可
能になることであり、これは、つぎの(5)式の関係が
保持されているがためである。
よびステップ103における主要要素への削減の後に得
たマトリックスであり、CT は、それぞれ既知の基準ス
ペクトラムRi もしくは、既知の物質に対しステップ1
04に従って決定した係数によって行ベクトルを形成し
た(r×r)マトリックスであり、試験地帯に存在する
物質すべての既知のスペクトラムR1 乃至Rr につい
て、ステップ104の式に従い、係数を計算する補足が
行なわれる。この(r×r)マトリックスDのマトリッ
クス要素は空間分布に関する情報を含んでおり、未知で
はあるが、(5)式が代表する等式系を解くことによっ
て決定することができる。このようにしてマトリックス
Dの要素を決定した後に、つぎの(6)式に従ってその
マトリックス要素から密度分布を計算することができ
る。
よって得た、マトリックスVT の置き換えであり、Vr
は行と列とを交換することによってVT から形成するこ
とができ、r行、n列の(r×n)マトリックスであ
る。部分マトリックスVr とDT との乗算から生ずるマ
トリックスBも(n×r)マトリックスであり、それぞ
れn個の成分を有するr個の列ベクトルからなってお
り、各列ベクトルは、r種類の物質の毎回1種類につい
て、n個の素塊中における空間分布を示している。
要なものになり得るが、それは、この種の製造には、例
えば、その製造に用いるプラスチック製器具からの銀が
不純物として混ざるおそれのあるチョコレートなどの物
質が含まれるからである。このプラスチックおよびチョ
コレートの基準スペクトルは、測定してさらに蓄積し得
るので、この試験方法は、チョコレート塊の中の何処で
プラスチック銀が検出されるかを決定するのに用いるこ
とができる。
とマトリックスDにおける空間情報との間の関係に基づ
き、(5)式が示すように、既知のスペクトラムを有す
る物質の空間分布を決定し得るのみならず、既知の空間
分布を有する物質のスペクトラムも決定することができ
る。その場合には、(6)式からマトリックスBおよび
Vr が判るので、DT に関する等式系を解くことがで
き、このようにして得たDT もしくはDの値を用いれ
ば、(5)式に示された等式系を解くことによりマトリ
ックスCT を計算することができ、そのマトリックスC
T から、つぎの(7)式に従ってマトリックスAを計算
することができる。
個の列ベクトルからなっており、各列ベクトルはr種類
の物質のうちの1種類をそれぞれ表している。
ロック線図である。
をそれぞれ示す線図である。
を示す線図である。
ートである。
トル依存ベクトルの例をそれぞれ示す線図である。
スの素点群を対数目盛で示す線図である。
の比較から計算した総和ベクトルの例を示す線図であ
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 複数のスペクトル値を有する各スペクト
ラムを複数の位置について測定する試験方法において、 a)各スペクトラムの一連の特異値によって形成したス
ペクトラム・ベクトル(Xi )からデータ・マトリック
ス(X)を形成して、スペクトラム・ベクトルを、位置
に応じ、データ・マトリックスの列もしくは行に配置
し、 b)相互の積がデータ・マトリックスに相当し、第1
(または第3)部分マトリックスがスペクトル依存特異
ベクトル(Uj )からなり、第2部分マトリックスが対
角線マトリックス(G)であり、第3(または第1)部
分マトリックスが位置依存特異ベクトルからなる3個の
部分マトリックス(U,G,VT )を得、 c)3個の部分マトリックスの少なくとも1個を評価す
る3段階からなることを特徴とする位置依存スペクトラ
ム評価の試験方法。 - 【請求項2】 第2部分マトリックス(G)の非有意要
素を、第1部分マトリックス(U)の対応した列および
第3部分マトリックス(VT )の対応した行に存在する
ベクトルとともに試験することを特徴とする請求項1記
載の位置依存スペクトラム評価の試験方法。 - 【請求項3】 既知スペクトラム(Ri )の物質を識別
するために、 a)当該スペクトラムのスペクトル値によって形成した
スペクトラム・ベクトル(Ri )とスペクトル依存ベク
トル(Uj )とのスカラー乗算を行ない、 b)組合わせたスペクトル依存ベクトル(Uj )をスカ
ラー乗算と引き続く合計とによって形成した係数
(cij)により荷重し、 c)加算処理から得た和ベクトルを前記飽和スペクトラ
ムのスペクトラム・ベクトル(Ri )と比較することを
特徴とする請求項1または2記載の位置依存スペクトラ
ム評価の試験方法。 - 【請求項4】 貨物検査における所定物質の検出に用い
ることを特徴とする請求項3記載の位置依存スペクトラ
ム評価の試験方法。 - 【請求項5】 既知スペクトラムの物質の空間分布を決
定するために、 a)当該既知スペクトラムのスペクトル値によって形成
したベクトル(Ri )とスペクトル依存ベクトル
(Uj )とのスカラー乗算を行ない、 b)第2部分マトリックスおよび位置依存ベクトルとと
もに得た係数(cij)を考慮して当該物質の空間分布を
決定することを特徴とする請求項1または2記載の位置
依存スペクトラム評価の試験方法。 - 【請求項6】 試験地帯内の空間分布が既知の複数物質
の少なくとも一つのスペクトラムを決定するために、個
々の物質の空間分布を決めるベクトルが位置依存ベクト
ルによるスカラー乗算を受けるとともに、当該物質のス
ペクトルが、前記係数、第2部分マトリックスおよびス
ペクトル依存ベクトルからなるマトリックスから決定さ
れることを特徴とする請求項1または2記載の位置依存
スペクトラム評価の試験方法。 - 【請求項7】 請求項1記載の試験方法を実施する装置
において、 a)複数個の素塊について各スペクトラムをそれぞれ測
定する測定装置(1,2,4,・・・,10) b)各スペクトラムの一連のスペクトル値からなるスペ
クトラム・ベクトル(X i )を、位置に応じ、行列に配
置したスペクトラム・ベクトル(Xi )からデータ・マ
トリックス(X)を形成する手段(10,101) c)相互の積がデータ・マトリックスに相当し、第1
(または第3)部分マトリックスがスペクトル依存ベク
トル(Uj )からなり、第2部分マトリックスが対角線
マトリックス(G)であり、第3(または第1)部分マ
トリックスが位置依存ベクトルからなる3個の部分マト
リックス(U,G,VT )を得るために、データ・マト
リックスの特異値を分解する手段(10,102)、お
よび、 d)3部分マトリックス(U,G,VT )の少なくとも
一つを評価する手段(10,103,・・・,108) を備えていることを特徴とする位置依存スペクトラム評
価の試験装置。
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