JPH07174373A - 加湿器およびそれに用いる高分子複合膜 - Google Patents

加湿器およびそれに用いる高分子複合膜

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JPH07174373A
JPH07174373A JP31689193A JP31689193A JPH07174373A JP H07174373 A JPH07174373 A JP H07174373A JP 31689193 A JP31689193 A JP 31689193A JP 31689193 A JP31689193 A JP 31689193A JP H07174373 A JPH07174373 A JP H07174373A
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JP
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membrane
water
humidifier
film
porous polymer
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JP31689193A
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Hajime Otani
肇 大谷
Kenzo Okada
健三 岡田
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】長期間運転しても水漏れの発生や、加湿能力の
低下がなく、優れた加湿能力を有する低コストの加湿器
を提供する。 【構成】 水蒸気透過膜と、この一面側に加湿用の水を
供給する供給手段と、上記水蒸気透過膜の他面側に被加
湿用の空気を供給する供給手段を備えた加湿器であっ
て、上記水蒸気透過膜が、疎水性多孔質高分子膜1aと
無多孔質高分子膜1bとを貼着して一体化された高分子
複合膜1であり、この高分子複合膜1が、疎水性多孔質
高分子膜1a側が加湿用の水と接するように配置されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水蒸気透過膜を使用し
た加湿器およびそれに使用する高分子複合膜に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】室内の空気が乾燥すると、喉を痛めたり
静電気が発生しやすくなるため、加湿器を用いて室内を
加湿することが行われている。この加湿器は、その加湿
方式により、自然蒸発式,電熱式,水スプレー式,超音
波式の4種類に大別することができる。このなかでも、
イニシャルコスト,ランニングコストや構造の単純性等
の見地から自然蒸発式加湿器が汎用されている。しか
し、この自然蒸発式加湿器は、電気エネルギー等に起因
するコストがかからない反面加湿能力が小さいという欠
点を有する。すなわち、自然蒸発式加湿器の加湿能力
は、水の表面積の大きさに比例するが、従来行われてい
たスポンジや布等に加湿用の水を含浸させる方法では、
充分な水の表面積を確保することができなかった。
【0003】そこで、上記の水の表面積の問題を解決す
るために、多数の小孔を備え、この小孔により水蒸気を
透過させ、疎水性であるため水の透過は遮断されるとい
う性質を有する膜(以下「疎水性多孔質高分子膜」とい
う)を使用する方法が提案され、一部で実施されている
(特開昭60−171337号公報)。この方法は、上
記膜を用いて水を層状に担持して水の表面積を増加させ
る方法である。この水を層状に担持する方法は、例え
ば、つぎの方法があげられる。すなわち、まず、図6に
示すように、疎水性多孔質高分子膜1aを袋状に成形す
る。この時、加湿用の水の流路確保のためのスペーサー
4が袋の中に挿入されている。そして、これを図3に示
すように多層に折り畳むことにより膜モジュール7を形
成して加湿器化する。ついで、この膜モジュール7に加
湿用の水を供給し、これに対して乾燥空気3aを送風す
ると、膜モジュール7内の水から発生する水蒸気が膜を
透過して空気側へ移行し、乾燥空気3aが加湿されて湿
潤空気3bとなる。図3において、1cおよび1dは、
加湿用の水の注入口および排出口をそれぞれ示す。この
ようにすることにより、加湿器を大形化することなく加
湿用の水と空気との接触面積を著しく拡大することがで
きるようになる。その結果、湿潤空気3bを効率よく発
生させることができる。この方式によれば、加湿器の加
湿能力の向上を図ることが可能であり、かつ加湿器がコ
ンパクトなものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、疎水性
多孔質高分子膜を使用した加湿器は、構造が簡単でコン
パクトであり、また加湿能力も優れている。しかしなが
ら、この加湿器は、長期間運転すると水漏れが発生する
という問題がある。これは、疎水性多孔質高分子膜に起
因するものである。すなわち、加湿器に使用される水
は、一般にミネラルやイオン等の不純成分を含んでいる
水道水や井戸水等が使用されている。この水道水等を使
用して加湿器を長期間運転すると、疎水性多孔質高分子
膜に上記不純物が付着して膜の疎水性が奪われ、その結
果、膜によって遮断されていた水が空気側へ漏出してし
まう。したがって、この加湿器は、短寿命であった。
【0005】この問題を解決するために、疎水性多孔質
高分子膜に代えて、イオン交換膜,親水性高分子膜等の
無多孔質高分子膜を使用する方法があげられる。この無
多孔質高分子膜は、疎水性多孔質高分子膜のような小孔
を有していない。したがって、水がこの膜を透過するこ
とはない。しかし、分子サイズの微小孔を有しており、
この微小孔により水蒸気が膜を透過する。このような特
性の無多孔質高分子膜を使用すれば、水道水等を使用し
て加湿器を長期間運転しても水漏れが発生することはな
い。ところが、疎水性多孔質高分子膜と同様に、この膜
にも不純成分の付着は発生する。この付着により分子サ
イズの微小孔が塞がれ、水蒸気透過性が低下し、加湿能
力が悪くなるという別個の問題が発生する。
【0006】このように、疎水性多孔質高分子膜や無多
孔質高分子膜等の従来の水蒸気透過膜を使用した加湿器
は、その膜に由来する欠点を有するものであった。しか
し、前述のように、水蒸気透過膜を使用した加湿器は、
加湿能力が大きく構造が単純でコンパクトであるという
利点を有し、かつコスト的にも有利である。このため、
この加湿器において、水蒸気透過膜に由来する問題の解
決が強く望まれている。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、長期間運転しても水漏れの発生や、加湿能力の
低下がなく、優れた加湿能力を有した低コストの加湿器
およびそれに用いる高分子複合膜の提供をその目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、水蒸気透過膜と、この一面側に加湿用
の水を供給する供給手段と、上記水蒸気透過膜の他面側
に被加湿用の空気を供給する供給手段を備えた加湿器で
あって、上記水蒸気透過膜が、疎水性多孔質高分子膜と
無多孔質高分子膜とを貼着して一体化された高分子複合
膜であり、この高分子複合膜が、疎水性多孔質高分子膜
側が加湿用の水と接するように配置されている加湿器を
第1の要旨とし、疎水性多孔質高分子膜と無多孔質高分
子膜とを貼着して一体化されてなる高分子複合膜を第2
の要旨とする。
【0009】
【作用】すなわち、本発明者等は、上記課題を解決する
ために、水蒸気透過膜の構成を中心に一連の研究を重ね
た。その過程で、疎水性多孔質高分子膜と無多孔質高分
子膜を組合わせるという着想を得た。そこで、図1に示
すように疎水性多孔質高分子膜1aと無多孔質高分子膜
1bとを貼着して一体化した高分子複合膜1を作製し
た。そして、図2に示すように、この高分子複合膜1
を、疎水性多孔質高分子膜1a側が加湿用の水と接触す
るようにして所定形状の膜モジュールを形成して加湿器
化した。その結果、水道水等を用いてこの加湿器を長期
間運転しても、水道水等中の不純成分が、疎水性多孔質
高分子膜1aに付着して無多孔質高分子膜1bへの付着
が阻止されて、高分子複合膜1の水蒸気透過性が低下し
ないことを突き止めた。そして、不純成分の付着により
疎水性多孔質高分子膜1aの疎水性が喪失しても、無多
孔質高分子膜1bにより水の透過が遮断されるため水漏
れが発生しないことを見出し本発明に到達した。本発明
により、長寿命かつコンパクトで、長期間使用しても水
漏れや加湿能力の低下がない低コストの加湿器を提供す
ることが可能となる。
【0010】つぎに、本発明を詳しく説明する。
【0011】本発明の加湿器は、高分子複合膜から形成
された所定形状の膜モジュールと、加湿用の水の供給手
段と、被加湿用の空気の送風手段とから構成されてい
る。
【0012】上記高分子複合膜は、疎水性多孔質高分子
膜と無多孔質高分子膜とを貼着して一体化することによ
り作製することができる。
【0013】上記疎水性多孔質高分子膜の形成に用いら
れる素材としては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピ
レン,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリ
デン,ポリカーボネート,ポリエステルやポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂があげら
れる。このなかでも、製膜性,耐久性等の観点からPT
FEが好ましい。
【0014】そして、上記疎水性の素材を熱プレス等の
一般的な方法でフィルム状に形成することにより、疎水
性多孔質高分子膜を得ることができる。この疎水性多孔
質高分子膜は、平均孔径が0.01〜30μm、気孔率
が30〜95%の範囲のものである。すなわち、本発明
において、平均孔径および気孔率が上記範囲にあるもの
を疎水性多孔質高分子膜という。このなかでも、平均孔
径が、0.1〜10μmのものが好ましい。すなわち、
0.1μm未満であると、水蒸気の透過抵抗が大きくな
ったり、水道水等の不純成分の付着堆積の影響により加
湿性能が低下する傾向がみられるからである。そして、
逆に、10μmを超えると膜強度が低下したり、膜中に
加湿用の水がしみ込み加湿性能が低下する傾向がみられ
るからである。そして、気孔率は、40〜95%の範囲
が好ましい。すなわち、40%未満であると加湿性能が
低くて実用的ではなく、逆に、95%を超えると水道水
等の不純成分の付着堆積の影響により加湿性能が低下す
る傾向がみられるからである。そして、膜の厚みは、5
〜200μm、好ましくは15〜150μmの範囲に設
定される。すなわち、5μm未満であると、膜強度の低
下やピンホールの発生のおそれがあり、実用化が困難だ
からである。逆に、200μmを超えると、水蒸気の透
過抵抗が大きくなり、加湿性能が低下するおそれがある
からである。
【0015】つぎに、上記疎水性多孔質高分子膜ととも
に用いられる無多孔質高分子膜は、水が透過する小孔を
備えてはいないが、水蒸気が透過する分子サイズの微小
孔を有するものである。この膜としては、例えば、ポリ
ビニルアルコール,ポリエーテルウレタン,酢酸セルロ
ース等の素材からなる親水性高分子膜や、イオン交換膜
があげられる。この中でも、透湿性,耐久性が優れるイ
オン交換膜を使用することが好ましい。
【0016】このイオン交換膜の膜厚は、通常0.1〜
500μm、好ましくは0.5〜300μmの範囲であ
る。そして、以下に示す含水率および水蒸気透過係数の
範囲のものであれば、特に制限するものではない。
【0017】まず、上記含水率は、下記の式(1)で算
出されるものであり、通常10〜250%、好ましくは
20〜160%の範囲である。
【0018】
【数1】
【0019】そして、水蒸気透過係数は、5〜200g
/m2 ・hr・mmHgの範囲、好ましくは10〜18
0g/m2 ・hr・mmHgの範囲のものである。この
範囲は、加湿器に使用する膜として充分な範囲である。
この水蒸気透過係数は、純水を用い、かつ一定の線速で
調湿空気を送風した時の膜の水蒸気透過量を、単位膜面
積,単位時間,単位蒸気圧で換算した値である。具体的
には、イオン交換膜を隔て、1次側に20℃の純水を供
給し、2次側に調湿空気(20℃×10%RH)を線速
5m/sで送風して、1次側の純水の減少量の測定によ
り算出できる。
【0020】上記イオン交換膜のイオン交換基の型とし
て、例えば、スルホン酸とスルホン酸塩基,カルボン酸
とカルボン酸塩基,リン酸とリン酸塩基,酸性水酸基と
酸性水酸塩基のカチオン交換基の型、一〜三級アミノ
基,四級アンモニウム基等のアニオン交換基の型があげ
られる。このなかでも、水蒸気透過性,吸水性,放湿性
等の見地から、下記の一般式で表されるカルボン酸塩基
が好ましい。
【0021】−COOM
【0022】上記式において、Mはアルカリ金属類であ
る。そして、カルボン酸塩基のなかでも、アルカリ金属
類が、Na+ ,K+ のものが特に好ましい。
【0023】このカルボン酸塩基を有するイオン交換膜
は、例えば、分子中にカチオン交換基を有する単量体を
高分子基材にグラフト重合することにより作製すること
ができる。
【0024】上記高分子基材としては、ポリアクリル酸
メチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチ
ル,ポリメタクリル酸メチル,ポリメタクリル酸ブチ
ル,ポリアクリロニトリル,ポリエチレン,ポリプロピ
レン,ポリイソブチレン,PTFE,ポリ塩化ビニル,
ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,セルロ
ース,ポリジメチルシロキサン,ポリアミド等をあげる
ことができる。このなかでも、安価で成型加工性に優れ
たポリエチレンを使用することが好ましい。なお、これ
らの高分子基材は、電子線照射,架橋剤の添加等により
架橋されたものであってもよい。
【0025】そして、カチオン交換基を高分子基材に導
入するのに、カチオン交換基を有する単量体が用いられ
る。例えば、上記カルボン酸塩基を高分子基材に導入す
るのに、カルボキシル基を有するビニル単量体が用いら
れる。すなわち、高分子基材に電子線照射等の処理をし
てラジカルを発生させ、上記ビニル単量体を高分子基材
にグラフト重合した後に、アルカリ金属水酸化物の水溶
液で中和することにより、カルボキシル基がカルボン酸
塩基となる。上記ビニル単量体としては、メタクリル酸
を用いることが好ましい。また、アルカリ金属水酸化物
としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,塩化カ
リウム等があげられる。
【0026】上記イオン交換膜において、グラフト重合
により導入される単量体の割合(グラフト率)は、10
〜100%の範囲が好ましく、特に好ましくは20〜8
0%の範囲である。すなわち、10%未満であると、水
蒸気透過性が小さくなる傾向がみられ、逆に100%を
超えると吸湿した際に膜強度が低下する傾向がみられる
からである。このグラフト率は、下記の式(2)で算出
されるものである。このグラフト率は、反応時間を変え
ることにより調整することができる。
【0027】
【数2】
【0028】つぎに、図1に示すように疎水性多孔質高
分子膜1aと無多孔質膜高分子膜1bとを貼着して一体
化することにより本発明の高分子複合膜を作製すること
ができる。この貼着方法としては、加熱溶融して融着す
る方法や、エポキシ樹脂等の接着剤を使用する方法等が
あげられる。この時、水蒸気透過性の観点から完全に貼
着して一体化するのではなく、例えば、5〜10mm間
隔で部分的に結合する点結合が好ましい。
【0029】さらに、上記高分子複合膜と、水や水蒸気
を自由に透過させる素材とを複合化して使用してもよ
い。このような素材としては、例えば、天然繊維,化学
繊維,金属繊維等からなる織布あるいは不織布があげら
れる。この複合化も融着や接着等により貼着する方法が
あげられる。この貼着は、上記高分子複合膜の無多孔質
高分子膜側に対して行われる。また、この貼着も上記と
同様に完全に貼着して一体化するのではなく、例えば、
5〜10mm間隔で部分的に結合する点結合が好まし
い。このような複合膜にすることにより、膜の構造強度
が向上するようになり、耐久性が優れ長寿命となる。
【0030】つぎに、このようにして得られた高分子複
合膜を所定形状の膜モジュールに形成する。この膜モジ
ュールの一例として前記したような膜を袋状に加工して
多層に折り畳んだ膜モジュールがあげられる。この膜モ
ジュールは、例えば以下のようにして作製することがで
きる。
【0031】すなわち、まず、図2に示すように、高分
子複合膜1を袋状に成形する。このとき、図2に示すよ
うに疎水性多孔質高分子膜1a側を内側にして、加湿用
の水2と接触するように形成する必要がある。このよう
にすることにより、水道水等の不純成分が疎水性多孔質
高分子膜の骨格部分(小孔以外の部分)に付着して、無
多孔質高分子膜への不純成分の付着を阻止することがで
きる。その結果、無多孔質高分子膜の水蒸気透過性の低
下を防止することが可能となる。また、不純成分の付着
により疎水性多孔質高分子膜の疎水性が喪失して水が小
孔を透過するようになっても、膜モジュールの外側に無
多孔質高分子膜が位置しているため、膜モジュール外に
水が漏出することはない。このように、本発明は、上記
2種類の高分子膜のそれぞれの短所をそれぞれの長所で
補い合い、加湿能力の低下を招くことなく水道水等の不
純成分の付着の問題を完全に解決したものである。これ
が、本発明の最大の特徴である。
【0032】そして、加湿用の水の流路を確保するため
に柔らかいゴム等からなるスペーサー4を袋状の膜1の
中に挿入する。このスペーサー4は、特に制限するもの
ではないが、厚み0.5〜5mm、凸高さ0.5〜3m
mの範囲のものを使用することが好ましい。また、膜同
士で接着する部分は、エポキシ樹脂等の通常使用される
接着剤で接着する。そして、この袋状の膜を図3に示す
ように多層に折り畳むことにより、膜モジュール7を作
製することができる。
【0033】また、上記の折り畳みの膜モジュールの他
に、図4に示すようなスパイラルモジュール7aがあげ
られる。この膜モジュールは、上記と同様にして膜を袋
状に加工し、この袋状の膜1と波状間隔材5とを一緒に
していわゆる巻き寿司状に巻いてスパイラル状としたも
のである。図において、6は、膜モジュールを担持する
ための型枠である。このスパイラルモジュール7a内に
水を貯留し、図に示すようにして乾燥空気3aを送風す
ることにより空気が加湿され湿潤空気3bを発生させる
ことができる。
【0034】さらに、膜モジュールとしては、上記2種
類の膜モジュールの他に、平膜モジュール,中空糸モジ
ュール,管状モジュール,プレート型モジュール等があ
げられる。
【0035】なお、上記膜モジュールの所定位置に空気
抜き部を形成してもよい。すなわち、無多孔質高分子膜
は、空気を透過させないため、加湿用の水の膜モジュー
ルへの注入がうまくできない場合がある。また、加湿用
の水には、空気が溶存しており、温度が上昇すると、気
化して水蒸気の膜透過を妨害するようになるからであ
る。この空気抜きは、水の透過を防止し、空気を透過さ
せる性質を有するものであれば、特に制限するものでは
なく、例えば、前記の疎水性多孔質高分子膜の形成に用
いられる素材等があげられる。
【0036】このようにして作製した膜モジュールと、
この膜モジュールに加湿用の水を供給する供給手段と、
被加湿用の空気を送風する送風手段と組み合わせること
により、本発明の加湿器を得ることができる。本発明の
加湿器の構成の一例を図5に示す。図において、8は加
湿用の水2を供給する供給装置を示し、10はバルブを
示す。なお、送風手段については図示していない。本発
明の加湿器において、加湿用の水の供給手段は、特に制
限するものではなく、一般に使用されているタンクとパ
イプからなるもの等があげられる。また、送風手段も、
制限するものではなく、一般に使用されている、ファン
やブロアー等が使用される。そして、本発明の加湿器の
使用時には、通常、バルブ10は閉じられている。すな
わち、加湿器を運転する際には、水2が膜モジュール7
内を流れている必要はなく、蒸発によって減少した分を
補充する場合に、供給装置8から水2が供給される。ま
た、加湿器を長期間使用しない場合には、バルブ10を
開き、膜モジュール7から水を排出する。そして、例え
ば、膜モジュール7と加湿用の水の供給装置8を、エア
コンやヒーター等の空調機の送風管の出口付近に取り付
ける場合は、送風手段を別個に設ける必要はなく、空調
機等の送風機を利用できる。
【0037】
【発明の効果】以上のように、本発明の加湿器は、疎水
性多孔質高分子膜と無多孔質高分子膜とを貼着して一体
化した高分子複合膜を用い、上記疎水性多孔質高分子膜
側を加湿用の水と接触するようにして所定形状の膜モジ
ュールを形成し、加湿器化している。このような構成に
することにより、水道水等中の不純成分が、疎水性多孔
質高分子膜に付着し、これにより無多孔質高分子膜への
不純成分の付着が阻止される。この結果、高分子複合膜
の水蒸気透過性が低下しなくなる。そして、疎水性多孔
質高分子膜の疎水性が喪失しても無多孔質高分子膜によ
り水の透過が遮断されるため水漏れは発生しなくなる。
したがって、本発明の加湿器は、長期間運転しても加湿
能力の低下や水漏れが発生しない加湿器である。また、
従来の水蒸気透過膜を使用した加湿器と同様に、構造が
簡単でコンパクトであり、イニシャルコストおよびラン
ニングコストが低い加湿器である。したがって、本発明
の加湿器を使用することにより、場所を取らず、長期間
低コストで室内を充分に加湿することが可能となる。
【0038】つぎに、実施例について説明する。
【0039】
【実施例1】最初に、以下に示すようにしてイオン交換
膜を作製した。すなわち、まず、厚み25μmのポリエ
チレンフィルムを準備し、これに電子加速器を用いて1
0メガラドの電子線を照射した。一方、メタクリル酸1
20重量部(以下「部」と略す)、硫酸第一鉄0.12
部をメタノール160部に溶解した。そして、この溶液
を73℃に加熱し、この加熱溶液中に、電子線を照射し
たポリエチレンフィルムを15分間浸漬してグラフト重
合を行った。ついで、このポリエチレンフィルムを70
℃の蒸留水で水洗した後、風乾した。この時のグラフト
率は40%であった。そして、このフィルムを60℃の
30重量%塩化カリウム水溶液に24時間以上浸漬し
て、目的とするイオン交換膜を作製した。
【0040】つぎに、疎水性多孔質高分子膜として、P
TFEフィルムを準備した。このフィルムは、厚み15
μm,平均孔径3.0μm,気孔率90%のものであ
る。このPTFEフィルムと上記のイオン交換膜を、エ
ポキシ樹脂を用い2mm間隔で点結合して高分子複合膜
を作製した。ついで、この複合膜を幅22cm×長さ5
mにカットした。そして、図2に示すように、厚み1m
mで凸高さ1mmのゴム製スペーサー4を、この高分子
複合膜1で覆い、縁部を接着して袋状にした。このと
き、袋の内側に、疎水性多孔質高分子膜1a側が位置す
るようにして覆った。また、高分子複合膜同士の接着に
も上記エポキシ樹脂を使用した。そして、袋状の高分子
複合膜の長手方向の両端に、水注入口および排水口とし
て内径5mmのポリエチレン製チューブを取り付けた。
ついで、この袋状の高分子複合膜1と、波の高さ5m
m、ピッチ10mmのポリエチレン製の波状間隔材5と
を一緒にしていわゆる巻き寿司状に巻いて、ポリ塩化ビ
ニル製の型枠6でこれを担持し、図4に示すような膜面
積が2m2 スパイラルモジュール7aを作製した。この
スパイラルモジュールの膜面積は2m2 であった。
【0041】上記モジュールの排水口を閉じて40℃に
加温した水道水を供給し、除湿器と他の加湿器で40
℃,10%RHの調湿空気を線速1m/sで送風した。
そして、スパイラルモジュールの加湿性能を単位時間当
たりの加湿用の水の減少量を測定することにより調べ
た。このスパイラルモジュールは、送風初期において2
000g/hrの加湿性能を示した。そして、さらに3
60時間送風を続けたが、加湿性能は、2000g/h
rのままであった。また、水漏れは発生しなかった。
【0042】
【実施例2】イオン交換膜に代えて、親水性高分子膜
(ポリエーテルウレタン製)を使用した他は、実施例1
と同様にして、高分子複合膜を作製し、これを用いてス
パイラルモジュールを作製した。このスパイラルモジュ
ールについて、実施例1と同様にして加湿性能を調べ
た。このスパイラルモジュールは、送風初期において1
600g/hrの加湿性能を示した。そして、さらに3
60時間送風を続けたが、加湿性能は、1600g/h
rのままであった。また、水漏れは発生しなかった。
【0043】
【実施例3】実施例1と同様にして複合膜を作製した。
これに、厚み200μmのナイロンメッシュ(間隔1m
m)をイオン交換膜側に2mm間隔で融着して複合膜を
作製した。この膜の水蒸気透過係数は、送風空気の線速
が1m/sのとき25g/m 2 ・hr・mmHgであっ
た。そして、この複合膜を使用し、実施例1と同様にし
てスパイラルモジュールを作製した。
【0044】このスパイラルモジュールについて、実施
例1と同様にして加湿性能を調べたところ、送風初期は
1600g/hrの加湿性能を示し、また送風360時
間経過後の加湿性能も1600g/hrであった。そし
て、水漏れは発生しなかった。
【0045】
【比較例1】実施例1と同じPTFEフィルムを単独で
使用した他は、実施例1と同様にしてスパイラルモジュ
ールを作製した。このスパイラルモジュールについて、
実施例1と同様にして加湿性能を調べたところ、送風初
期の加湿性能は2000g/hrであった。しかし、送
風240時間を経過した時点で水漏れが発生した。
【0046】
【比較例2】実施例1と同じイオン交換膜を単独で使用
した他は、実施例1と同様にしてスパイラルモジュール
を作製した。このスパイラルモジュールについて、実施
例1と同様にして加湿性能を調べたところ、送風初期の
加湿性能は3000g/hrであった。しかし、送風1
80時間を経過した時の加湿性能は2000g/hrに
低下し、送風360時間経過後は1500g/hrに低
下した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加湿器に使用する高分子複合膜の構成
を示す断面斜視図である。
【図2】袋状の高分子複合膜の断面斜視図である。
【図3】上記袋状の高分子複合膜を多層に折り畳んで膜
モジュールを形成した状態を示す斜視図である。
【図4】スパイラルモジュールの構成を示す斜視図であ
る。
【図5】加湿器の使用状態を示す説明図である。
【図6】従来の袋状高分子膜の断面斜視図である。
【符号の説明】
1 高分子複合膜 1a 疎水性多孔質高分子膜 1b 無多孔質高分子膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水蒸気透過膜と、この一面側に加湿用の
    水を供給する供給手段と、上記水蒸気透過膜の他面側に
    被加湿用の空気を供給する供給手段を備えた加湿器であ
    って、上記水蒸気透過膜が、疎水性多孔質高分子膜と無
    多孔質高分子膜とを貼着して一体化された高分子複合膜
    であり、この高分子複合膜が、疎水性多孔質高分子膜側
    が加湿用の水と接するように配置されていることを特徴
    とする加湿器。
  2. 【請求項2】 疎水性多孔質高分子膜と無多孔質高分子
    膜とを貼着して一体化されてなることを特徴とする高分
    子複合膜。
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