JPH07173611A - 表面処理鋼板の接合方法 - Google Patents

表面処理鋼板の接合方法

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JPH07173611A
JPH07173611A JP31828093A JP31828093A JPH07173611A JP H07173611 A JPH07173611 A JP H07173611A JP 31828093 A JP31828093 A JP 31828093A JP 31828093 A JP31828093 A JP 31828093A JP H07173611 A JPH07173611 A JP H07173611A
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brazing
steel sheet
treated steel
joining
plating
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JP31828093A
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English (en)
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Tomoaki Hyodo
知明 兵藤
Junichi Ozaki
純一 小崎
Yoshimasa Funakawa
義正 船川
Makoto Kabasawa
真事 樺澤
Tetsuo Toyoda
哲郎 豊田
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Showa Aircraft Industry Co Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Showa Aircraft Industry Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ろう付けにおける介装が容易でコスト面に優れ
る表面処理鋼板を使用して、しかも、接合強度を低下さ
せず、基材の異種組織化に起因する熱歪みの発生を抑え
る表面処理鋼板の接合方法を提供する。 【構成】少なくとも一方の面にろう付け性皮膜を0.1
〜15μmめっき形成した表面処理鋼板を用意し、この
表面処理鋼板を、5℃/min以上の加熱速度、110
0℃〜1250℃の温度域で3〜180分間のろう付け
熱処理を行なうろう付け性に優れた表面処理鋼板の接合
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ろう付け性皮膜を設け
た表面処理鋼板、特にろう付け性および耐高温酸化性が
要求される表面処理鋼板の接合方法に係わり、具体例を
挙げれば、自動車エンジン等の排気ガスを清浄化する触
媒コンバータにおいて触媒が付着される担体基材を製造
するに有効な表面処理鋼板の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に金属製の自動車の排ガス浄化触媒
用担体基材は、平板状の耐熱鋼板と波板状の耐熱鋼板と
を重ねてロール状に巻き、ハニカム形状とした後に外筒
を被覆し、ろう付けにより接合している。
【0003】公知のろう付け接合方法として、ろう材箔
を平板と波板の間に介挿し、あるいはろう材成分をロー
ルにより平板あるいは波板に塗布した後平板と波板をロ
ール状に巻き付けた後、両者を加熱接合する方法がある
(特開平3-60740 号参照)。
【0004】しかし、ろう材箔(あるいは塗布するろう
材成分)は高価であり(特開平1-171641号参照)、また
強度の面でも必ずしも全面に介装する必要もないため、
部分的にろう材箔を介挿したり(特開平3-86329 号、特
開平3-86370 号、特開平3-278815号参照)、あるいは部
分的に塗布したり、またろう材箔の重量を基板となる箔
に対してある一定の範囲に調整して(特開平3-65244 号
参照)、ろう材成分の被覆量を少なくすることが行なわ
れている。また、ろう付け性皮膜を基材表面にめっきす
る方法も検討されつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ろう材箔を介
挿する方法は以下の問題点がある。 (1) ろう材箔の介挿が容易でなく、位置決めが困難であ
る。 (2) ろう材の量が多いので、ろう付け時の温度上昇に伴
い、ろう材が基材中に拡散し基材のフェライト組織から
オーステナイト組織に変化させるため、実際の使用に際
して両組織の熱膨脹の差に起因する熱歪みが発生する。 (3) ろう材箔(20〜50μm)では、NiやBなどの材料費
が高く、延性が劣るため急冷凝固の非晶質金属箔にする
ので生産性が悪くろう材箔の使用コストが高い。
【0006】また、ろう材を塗布する方法では以下の問
題点がある。 (1) 薄く塗布することが技術的に困難で、ろう材塗布量
が多くなる。このため、ろう材箔使用と同様に、エンジ
ン運転時の温度上昇に伴い、ろう材が基材中に拡散し基
材性能を劣化させる。
【0007】一方、ろう付け性皮膜を基材表面にめっき
する方法では以下の問題点がある。 (1) 湿式めっき法ではCrを添加したNi系合金めっきを形
成できず、耐高温酸化性に問題がある。 (2) 皮膜厚さが薄く、ろう付け性皮膜組成(Ni、B、Si
など)と基材成分(Feなど)とが相互に拡散しやすく、
接合部の融点がろう付け性皮膜単独の融点よりも上昇す
る。この結果、ろう付け接合が不十分となりやすく、接
合強度が低下する。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、ろう付けにおける介装が
容易でコスト面に優れる表面処理鋼板を使用して、しか
も、接合強度を低下させず、基材の異種組織化に起因す
る熱歪みの発生を抑える表面処理鋼板の接合方法を提供
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、第一の発明
は、少なくとも一方の面にろう付け性皮膜を乾式めっき
等で厚さ0.1〜15μmにめっき形成した表面処理鋼
板を用意する工程と、この表面処理鋼板を、5℃/mi
n以上(好ましくは5℃/min〜100℃/min)
の加熱速度、1100℃〜1250℃の温度域で3〜1
80分間のろう付け熱処理を行なう工程とを備えたろう
付け性に優れた表面処理鋼板の接合方法である。
【0010】ここで、耐熱性鋼板とは、特に600 ℃以上
の高温環境化において耐熱性を有する鋼板をいい、高温
時における熱膨脹を抑制する目的で、フェライト組織を
有する耐熱ステンレス鋼箔が好ましい。また、この鋼板
でハニカムコアを形成する場合、ハニカムコアの強度確
保、成型性および軽量化の兼合から、その厚さが30μm
以上200 μm以下とするのが好ましい。そして、その形
状はハニカムコアを形成するために平板状または波板状
とし、平板状鋼板と波板状鋼板とを組み合わせて巻装す
ることによりハニカムコアが形成される。
【0011】このろう付け性皮膜(合金皮膜)は、0.1
μm以上15μm以下の膜厚を有するものとする。膜厚を
この範囲に限定した理由は次のとおりである。0.1 μm
未満の膜厚では接合力が確保されない。また、15μmを
越え付着量が過大な場合には、ろう材成分が基材である
金属部材(耐熱鋼板)に多く拡散し基材板厚が薄いので
基材成分を劣化させる。例えば、Ni基ろう材成分をめっ
きする場合、オーステナイト形成元素であるNiが、フェ
ライト組織を有する鋼やステンレス鋼板などの基材に拡
散し、基材の耐熱性と高温強度を損なう問題点を生じ
る。さらに、接合部と基材の熱膨脹係数が異なるため熱
歪みを生じる可能性がある。
【0012】ろう付け性皮膜としてNi-Cr 系合金皮膜が
有効である。好適なNi-Cr 系合金皮膜は、Cr5 〜40重量
%と、BおよびSiの一種または二種を1 〜20重量%と、
残部Niおよび不可避不純物からなる。具体的には、Ni-C
r 系合金、Ni-Cr-Si系合金、Ni-Cr-Si- B系合金で、こ
れらの合金は、ろう付け性、耐高温酸化性が優れている
とともに、めっき、特に乾式めっきで所望成分の皮膜を
形成できる合金である。この合金の成分理由およびその
含有範囲の限定理由は以下のとおりである。Crは、異常
酸化を防止して耐高温酸化性を確保するために添加する
が、5重量%未満のCr量では耐高温酸化性が確保され
ず、40重量%を越えるとNi量が減少して耐高温酸化性が
劣化する。
【0013】B、Siの一種または二種は、ろう材成分の
融点を低下させるために添加するが、1重量%未満では
液相温度が無添加のNi-Cr 合金と比べて低下せず、その
添加効果を発揮しない。また20重量%を越えるとB添加
材ではホウ化物が、Si添加ではケイ化物が形成されて脆
化する。
【0014】ろう付け性皮膜(ろう付け性および耐高温
酸化性合金皮膜)の形成方法に制約はないが、皮膜元素
を自由に選べる任意性の点で乾式めっきが好ましく、乾
式めっきの中では生産性の点で真空蒸着やイオンプレー
ティングが望ましい。
【0015】ろう付け接合の熱処理条件を5 〜100 ℃/
min の加熱速度、かつ1100〜1250℃の温度域で3 〜180
分間保持するものとする。このように規定した限定理由
は以下の通りである。
【0016】5 ℃/min未満の加熱速度では、加熱昇温時
にろう付け性皮膜中のNi、B、Siなどが基材中に拡散す
るとともに、基材中のFeはろう付け性皮膜中に多く拡散
するため、ろう材成分の融点が上昇し、接合されにくく
なる。一方、100 ℃/minを越える加熱速度では、熱処理
ヒーター容量が大きくなり設備費が高額となるため生産
コストが上昇し、好ましくはない。拡散防止の点で顕著
な効果が得られ、また、生産性がよく、かつ過剰な熱処
理設備仕様としない特に好適な範囲は、8 ℃/min以上40
℃/min以下の加熱速度である。
【0017】保持温度について、1100℃未満ではろう付
け性皮膜が溶けることができず、1250℃を越える温度で
は接合性に与える大幅な改善効果は見込まれず、熱処理
装置のヒータ容量が大型化するため設備費が上昇し生産
コストが高くなる。保持時間について、3 分間未満では
ろう付け皮膜が溶融しない。一方、180 分間を越える時
間では接合性に与える改善効果が見込まれず生産性が劣
化する。
【0018】第二発明は、少なくとも一方の面にろう付
け性皮膜を0.1〜15μmめっき形成した表面処理鋼
板を用意する工程と、この表面処理鋼板を、1100℃
〜1250℃の温度及び30〜1000g/cm2 の圧
力でろう付け熱処理を行なう工程とを備えたろう付け性
に優れた表面処理鋼板の接合方法である。
【0019】第二発明では、ろう付け接合の保持温度1
100〜1250℃、ろう付け熱処理の圧力を30〜1
000g/cm2 とする。保持温度を限定した理由は、
第一の発明と同じなどなのでここでは説明を省略する。
ろう付け熱処理の圧力を30〜1000g/cm2 と限
定したのは次の理由による。ろう付け性皮膜(0.1〜
15ミクロン)は、より膜厚が厚いろう材箔と比べ、ろ
う付け性成分に基材成分が拡散する場合に粘性が大きく
なる。30g/cm2 未満の圧力では、基材との接触が
十分でなくなり、強固に接合されない。一方、1000
g/cm2 を越える圧力では基材が変形する。
【0020】なお、ろう付け性皮膜の膜厚の限定理由、
ろう付け熱処理温度の限定理由は第一発明と同じなので
ここでの説明は省略する。また、好適なめっき下地鋼板
の種類、ろう付け性皮膜の種類、形成方法等も、第一発
明と同じなのでここでの説明は省略する。第二発明の好
適なろう付け熱処理時間は、10〜60分である。この
理由は、10分間未満の場合には接合が十分行われず、
60分間を越えて熱処理を行っても改善効果は少ない。
【0021】
【作用】本発明に係る表面処理鋼板は、めっきによりろ
う付け性皮膜(ろう付け性および耐高温酸化性合金皮
膜)を形成するので、従来に比べてこの皮膜の厚さを所
望の薄さにすることが出来る。また、その化学組成の調
整も公知のめっき技術を適用すれば、金属部材(耐熱鋼
板)の所望箇所にろう付け性皮膜を形成できる。
【0022】本発明の表面処理鋼板は、予めろう材成分
をめっきしプレコート化してあるので、この鋼板を使用
すれば、ろう材箔を用い成型する方法でハニカムコアを
製造する場合よりも作業工程が簡略化でき、またろう材
箔を設ける際に発生する位置決めの誤差を生じることが
ない。さらに、ろう付け接合における熱処理において、
接合条件を適切に選択するので、過剰にろう付け性皮膜
組成と基材組成が相互拡散することがなく、ろう付け接
合部の融点が低く保たれるため、十分な接合強度が得ら
れる。
【0023】従って、この様にして得られた本発明の表
面処理鋼板は、600 ℃以上の高温環境、特に自動車やオ
ートバイの排気ガス浄化装置用として使用されるろう付
けによる接合が必要なメタル担体基材(ハニカムコア)
として有用である。この表面処理鋼板を用いて、ハニカ
ムコアを形成するには、合金皮膜を形成した波板状の表
面処理鋼板と平板状の表面処理鋼板を用意し、両鋼板の
めっき面どうし、あるいは、めっき面とめっきを施さな
い面とを当接しろう付けする。そしてこのハニカム体を
外筒で被覆し、スポット溶接やろう付けにより接合する
ことにより排気ガス浄化装置用の担体基材(ハニカムコ
ア)が製造される。そして、この担体基材に触媒を付着
させることにより排気ガス浄化装置が作られる。
【0024】なお、公知技術として特開昭62-38784号に
記載される拡散接合用インサート材がある。これは、二
つの金属部材を接合させるインサート材であり、拡散接
合層を支持する素材は接合層の担体としてのみ機能し、
構造体として機能しない。そのため、インサート材と基
材との間で強度差を生じ歪みを発生する可能性がある。
一方、本発明は素材自体が構造体を形成するもので、上
記の公知技術とは目的を異にし、かつ歪みを生じること
がない。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
図1〜図2は本発明に係る表面処理鋼板の接合方法を用
いて製造されたハニカム成型耐熱構造体1の一例を示す
斜視図で、巻き付けられた波板状鋼板2と平板状鋼板3
とからなるハニカム体4を外筒5で被覆し、ろう付けし
ている。本発明方法では基材箔(鋼板)を準備する工程
と、基材箔にろう材成分をめっきする工程と、波板状鋼
板に成型加工する工程と、波板状鋼板2と平板状鋼板3
をろう付け熱処理する接合工程に分類される。
【0026】図3を参照して片面めっき法に基づき説明
する。まず、鋼板の少なくとも一方の面にNi-Cr-B 系、
Ni-Cr-B-Si、又はNi-Cr-Si系合金めっき(以下Ni-Cr 系
合金めっきと略称する)をして合金皮膜6を形成する。
次の成型工程では合金皮膜6を形成した鋼板(箔)の一
部はそのまま平板状鋼板として準備される。さらに平板
状鋼板の一部はコルゲート装置にてコルゲート加工され
ることにより、所定の直線的な波板の凹凸が連続的に折
曲げ形成された波板状鋼板2として準備される。これら
波板状鋼板2と平板状鋼板3が一定中心から交互に巻き
付け重ねつつ多重に巻き取られる。接合工程では、成型
工程の後上述したろう付け加熱条件下で加熱を行ない波
板状鋼板2と平板状鋼板3を接合する。すなわち、ろう
付け成分めっき工程で積層されたNi基成分は加熱により
溶融して波板状鋼板2と平板状鋼板3の両者を接合す
る。そして、これらの製造工程、すなわち準備工程、ろ
う付け成分めっき工程、成型工程、および接合工程を経
ることにより耐熱構造体が製造される。
【0027】両面めっきを行なう場合には、めっき工程
で鋼板(箔)の両面にNi-Cr 系合金めっきを行なった後
そのまま平板状鋼板3として準備され、めっきを施さな
い鋼板をコルゲート装置にてコルゲート加工され準備さ
れた、所定の直線的な波板の凹凸が連続的に折曲げ形成
された波板状鋼板2と、加熱により溶融されて両者が接
合される。また、めっき工程で鋼板(箔)の両面にNi-C
r 系合金めっきを行なった後コルゲート装置にてコルゲ
ート加工され、凹凸が連続的に折曲げ形成された波板状
鋼板2となり、めっきされない平板状鋼板3と加熱によ
り接合される場合もある。
【0028】(第一の発明に対応する具体例)耐熱性鋼
板として、表1に示す30〜200 μmのフェライト系ステ
ンレス鋼を主として用いた。この耐熱性鋼板にNi-Cr 系
合金皮膜をめっきする方法として真空蒸着法及びイオン
プレーティング法を用いた。合金皮膜の組成として表1
に示すNi-Cr 系のめっき種を用いた。
【0029】めっき面どうしの接合性およびめっき面と
めっきを施さない基材との接合性(ろう付け性)は以下
に述べるハニカム成型耐熱構造体の製造工程をシュミレ
ートする方法で調べた。
【0030】まず、めっきされた耐熱ステンレス箔とめ
っき施さない耐熱ステンレス箔を、それぞれ15mm×15mm
の寸法に切り出した。いずれか一方に、図4に示す3点
の半球状の突起を上面から見て正三角形の位置に押し込
みにより形成した。次いで、突起を有する耐熱ステンレ
ス箔(めっきされた耐熱ステンレス箔、あるいはめっき
を施さない耐熱ステンレス箔)と、突起を持たない耐熱
ステンレス箔(めっきされた耐熱ステンレス箔)とを重
ね、2枚の上に2 〜5gの重石を乗せた。次いで、10-4To
rrの真空雰囲気において、5 〜100 ℃/minの加熱速度、
1100〜1250℃で3 〜180 分間保持の条件で接合試験を実
施した。この後、図5に示す突起部分を含む3個に切断
し、非接触部に1mm 直径の穴を開け、ワイヤーを通し接
合部分を引き剥がし強度と破断形態を調べた。この結
果、接合部では破断されず基材箔部分で破断が認められ
たものを合格とした。これらの得られた結果を成膜方法
およびろう付け接合条件と合わせ表1にまとめて示す。
【0031】次いで、上述した片面めっき法および両面
めっき法でメタル担体(ハニカムコア)を製作し、平板
状鋼板と波板状鋼板の接合部を含むように試験片を切り
出し接合性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0032】また、ろう付け成分の皮膜の膜厚、接合条
件が本発明の範囲から外れる比較例及びろう材箔を用い
た比較例についても実験を行ない、その結果を表1に併
記する。
【0033】下記の表1から、膜厚と合金組成が本発明
の範囲から外れる比較例及びろう材箔を使用した比較例
の場合には、接合強度が劣化する、あるいは生産性が劣
る。これに対し、本発明では良好な接合強度が得られ、
生産性と経済性にも優れていることが明らかである。
【0034】(第二の発明に対応する具体例)耐熱性鋼
板として、表2に示す30〜200 μmのフェライト系ステ
ンレス鋼を主として用いた。この耐熱性鋼板にNi-Cr 系
合金皮膜をめっきする方法として真空蒸着法及びイオン
プレーティング法を用いた。合金皮膜の組成として表2
に示すNi-Cr 系のめっき種を用いた。
【0035】めっき面どうしの接合性およびめっき面と
めっきを施さない基材との接合性(ろう付け性)は以下
に述べるハニカム成型耐熱構造体の製造工程をシュミレ
ートする方法で調べた。
【0036】まず、めっきされた耐熱ステンレス箔とめ
っき施さない耐熱ステンレス箔を、それぞれ15mm×15mm
の寸法に切り出した。いずれか一方に、図4に示す3点
の半球状の突起を上面から見て正三角形の位置に押し込
みにより形成した。次いで、突起を有する耐熱ステンレ
ス箔(めっきされた耐熱ステンレス箔、あるいはめっき
を施さない耐熱ステンレス箔)と、突起を持たない耐熱
ステンレス箔(めっきされた耐熱ステンレス箔)とを重
ね、2枚の上にステンレス性の重石を乗せた。付加され
た圧力は30〜1000g/cm2 の範囲である。次い
で、10-4Torrの真空雰囲気において、1100〜1250℃で10
〜30分間保持の条件で接合試験を実施した。この後、図
5に示す突起部分を含む3個に切断し、非接触部に1mm
直径の穴を開け、ワイヤーを通し接合部分を引き剥がし
強度と破断形態を調べた。この結果、接合部では破断さ
れず基材箔部分で破断が認められたものを合格とした。
これらの得られた結果を成膜方法およびろう付け接合条
件と合わせ表2にまとめて示す。
【0037】次いで、上述した片面めっき法および両面
めっき法でメタル担体(ハニカムコア)を製作し、平板
状鋼板と波板状鋼板の接合部を含むように試験片を切り
出し接合性を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0038】また、ろう付け成分の皮膜の膜厚、接合条
件が本発明の範囲から外れる比較例及びろう材箔を用い
た比較例についても実験を行ない、その結果を表2に併
記する。
【0039】下記の表2から、膜厚と合金組成が本発明
の範囲から外れる比較例及びろう材箔を使用した比較例
の場合には、接合強度が劣化する、あるいは生産性が劣
る。これに対し、本発明では良好な接合強度が得られ、
生産性と経済性にも優れていることが明らかである。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の接合方法
によれば、Ni-Cr 系ろう付け性皮膜付きの表面処理鋼板
を用いてろう付けする場合、以下に示す効果を発揮す
る。第一に、従来のろう材箔を鋼板の中間(ハニカム体
の場合、平板状鋼板と波板状鋼板の中間)に配置するも
のと比べ、位置決めを行なう必要がない。このため簡単
容易に製造でき工程が簡略化される。
【0041】第二に、従来のろう材箔と比べろう付け成
分層が薄く母材の異種組織化が無視できる程度に小さく
なる。このため、耐高温酸化性と耐久性が向上する。第
三に、高価なろう付け成分層の膜厚が薄い。このため、
軽量化されると同時にコストが安くなる。
【0042】第四に、拡散量の少ない表面処理鋼板にお
いて、熱処理条件を規定することによってさらにろう付
け成分と基材成分の相互拡散が抑制される。このため、
ろう付け層の融点が上昇せず十分な接合強度が得られ
る。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐熱構造体の説明に供する斜視
図。
【図2】成型工程の説明に供する斜視図。
【図3】本発明に係る表面処理鋼板の皮膜構成と接合方
法の関係を示す図。
【図4】ハニカム成型をシミュレートした接合試験の説
明図。
【図5】接合強度の測定方法。
【符号の説明】
1…耐熱構造体、2…波板状鋼板、3…平板状鋼板、4
…ハニカム体、5…外筒、6…合金皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船川 義正 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 樺澤 真事 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 豊田 哲郎 東京都新宿区西新宿一丁目13番12号 昭和 飛行機工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の面にろう付け性皮膜を
    0.1〜15μmめっき形成した表面処理鋼板を用意す
    る工程と、この表面処理鋼板を、5℃/min以上の加熱
    速度、1100℃〜1250℃の温度域で3〜180分
    間のろう付け熱処理を行なう工程とを備えたろう付け性
    に優れた表面処理鋼板の接合方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも一方の面にろう付け性皮膜を
    0.1〜15μmめっき形成した表面処理鋼板を用意す
    る工程と、この表面処理鋼板を、1100℃〜1250
    ℃の温度及び30〜1000g/cm2 の圧力でろう付
    け熱処理を行なう工程とを備えたろう付け性に優れた表
    面処理鋼板の接合方法。
  3. 【請求項3】 ろう付け性皮膜は、Cr5〜40重量%
    とB及びSiの一種又は二種を1〜20重量%と残部N
    i及び不可避不純物からなり、ろう付け熱処理は5℃/
    min 〜100℃/min の加熱速度でおこなうろう付け性
    及び耐高温酸化性に優れた請求項1又は2に記載の表面
    処理鋼板の接合方法。
  4. 【請求項4】 合金皮膜は乾式めっき皮膜であるろう付
    け性及び耐高温酸化性に優れた請求項1又は2に記載の
    表面処理鋼板の接合方法。
  5. 【請求項5】 めっき下地鋼板は、フェライト系ステン
    レス鋼板であるろう付け性及び耐高温酸化性に優れた請
    求項3に記載の表面処理鋼板の接合方法。
  6. 【請求項6】 めっき下地鋼板は、フェライト系ステン
    レス鋼板であるろう付け性及び耐高温酸化性に優れた請
    求項4に記載の表面処理鋼板の接合方法。
JP31828093A 1993-12-17 1993-12-17 表面処理鋼板の接合方法 Pending JPH07173611A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1108796A1 (en) * 1999-12-17 2001-06-20 Edison Termoelettrica S.p.A. Article based on a metal alloy of nickel, chromium and metalloid elements including microcrystalline precipitates, metal alloy and preparation method
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