JPH07173186A - Ws8242物質 - Google Patents

Ws8242物質

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JPH07173186A
JPH07173186A JP6217558A JP21755894A JPH07173186A JP H07173186 A JPH07173186 A JP H07173186A JP 6217558 A JP6217558 A JP 6217558A JP 21755894 A JP21755894 A JP 21755894A JP H07173186 A JPH07173186 A JP H07173186A
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JP
Japan
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substance
reaction
streptomyces
ws8242a
methanol
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Application number
JP6217558A
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English (en)
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Takanao Otsuka
隆尚 大塚
Shinji Shigematsu
伸治 重松
Yasuhisa Tsurumi
泰久 鶴海
Masanori Okamoto
正則 岡本
Masakuni Okuhara
正国 奥原
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Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は生物活性を有し、医薬の分野で有用
なWS8242物質を提供する。 【構成】 ホスホリパーゼA2 阻害活性を有するWS8
242物質、その製造法、およびそれを含有するホスホ
リパーゼA2 阻害剤に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生物活性を有する新規
な化合物に関するものであり、医薬の分野で有用であ
る。
【0002】
【発明の構成】本発明は、新規生物活性化合物(以下
「WS8242物質」という)およびその塩類に関す
る。より詳しくは、本発明は、ホスホリパーゼA2 阻害
剤であって、膵炎、慢性腎不全など;ショック(たとえ
ば、エンドトキシンショック、グラム陰性菌敗血性ショ
ックなど)、関節炎(たとえば、慢性関節リウマチ、変
形性関節炎など)、呼吸器疾患(たとえば、成人型呼吸
窮迫症候群など)、心疾患(たとえば、心筋虚血など)
などの予防および/または治療に有用な「WS8242
物質」およびその塩類;それらの製造法、および、それ
らを含有するホスホリパーゼA2 阻害剤に関するもので
ある。
【0003】従って、本発明の一目的は、上記の通り有
用な「WS8242物質」およびその塩類を提供するこ
とである。
【0004】本発明の他の一目的は、ストレプトマイセ
ス属に属する「WS8242物質」生産菌株の栄養培地
中での醗酵により「WS8242物質」またはその塩類
を製造する方法を提供することである。
【0005】本発明のさらに一つの目的は、該「WS8
242物質」またはその塩類を活性成分として含有する
ホスホリパーゼA2 阻害剤を提供することである。な
お、「WS8242物質」は2種の化合物を包含し、そ
れらをそれぞれ「WS8242A物質」および「WS8
242B物質」と呼ぶこととする。
【0006】目的とする「WS8242物質」の好適な
塩類は、慣用的な無毒性のモノ塩またはジ塩であり、ア
ルカリ金属塩[たとえばナトリウム塩、カリウム塩な
ど]、アルカリ土類金属塩[たとえばカルシウム塩、マ
グネシウム塩など]などの金属塩、アンモニウム塩、有
機塩基塩[たとえばトリメチルアミン塩、トリエチルア
ミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルア
ミン塩、N,N−ジベンジルエチレンジアミン塩など]
などを包含する。
【0007】「WS8242物質」の製造法 本発明の「WS8242物質」またはその塩類は、スト
レプトマイセス・ビオラセウスニガー(Strepto
myces violaceusniger)No.8
242などのストレプトマイセス属に属する「WS82
42物質」生産株の栄養培地中での醗酵により製造でき
る。
【0008】「WS8242物質」の生産菌は、ここに
記載した特定の微生物に限定されるものではない。本発
明は、自然変異株ならびにX線照射、紫外線照射、N−
メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、2−
アミノプリンなどによる処理などの慣用の手段により記
載した微生物から得ることのできる人工変異株を含め
て、「WS8242物質」を産生できる任意の変異株の
使用をも包含するものである。
【0009】(i)微生物 ストレプトマイセス・ビオラセウスニガーNo.824
2の詳細を以下に説明する。No.8242株は、静岡
県熱海市で採集された土壌試料から分離された。分類研
究には、シャーリングとゴットリープ 1)およびワック
スマン 2)が記載している方法および培地を採用した。
観察は、30℃で14〜21日間の培養後に行った。形
態観察は、酵母エキス−麦芽エキス寒天、無機塩類−デ
ンプン寒天およびオートミール寒天上で成育させた培養
物について、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用い
て実施した。この研究で用いた色名は、メシューエン・
ハンドブック・オブ・カラー 3)からとった。成育温度
範囲は、酵母エキス−麦芽寒天で求めた。細胞の調製お
よびL,L−ジアミノピメリン酸異性体の検出は、ベッ
カーら 4)の方法により行った。
【0010】栄養菌糸は、分断することなく、よく発達
した。気中菌糸は単軸型で分岐し、1鎖当り10個以上
の胞子をもつらせん状の胞子鎖を形成した。胞子はしわ
状の表面を有し、形態は球形ないし円筒形であり、大き
さは0.6〜0.8×0.6〜1.0μmであった。菌
核、胞子嚢、運動性胞子は認められなかった。培養性状
の観察結果は第1表に示す。気中菌糸は白灰ないし灰色
であった。コロニーの一部は黒色で湿潤しており、使用
したほとんどの培地上で吸湿性を示した。生育の裏面
は、黄色がかった褐色、褐色および暗褐色であった。裏
面の菌体色素はpH感受性ではなかった。トリプトン−
酵母エキスブロス、ペプトン−酵母エキス−鉄寒天およ
びチロシン寒天中では、メラノイド色素もその他の可溶
性色素も生産されなかった。No.8242株の全菌体
加水分解物の分析により、LL−ジアミノピメリン酸の
存在を示した。生理学的性質および炭素源の利用特性を
第2表および第3表にそれぞれ示す。
【0011】No.8242株の形態学的および化学的
特性から、該微生物をストレプトマイセス属に明確に帰
属させることができた。No.8242株を文献 5),6)
記載のストレプトマイセス種と比較した。No.82
42株がストレプトマイセス・ビオラセウスニガーに類
似していることが判明したので、当該菌株をストレプト
マイセス・ビオラセウスニガーIFO13459および
ストレプトマイセス・ヒグロスコピカスIFO1347
7)と詳細に比較した。No.8242株は、二三の
相違(第3表)はあるが、ストレプトマイセス・ビオラ
セウスニガーIFO13459に極めて類似しているこ
とが判明した。これらの相違は極めて些細なものであっ
て、2菌株を異なる種として区別できないと考えられ
る。それゆえ、No.8242株をストレプトマイセス
・ビオラセウスニガーと同定した。
【0012】ストレプトマイセス・ビオラセウスニガー
No.8242の凍結乾燥標本は、受託番号FERM
BP−4241として、工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託されている(寄託日:1993年3月12
日)。
【0013】第1表 No.8242株の培養上の特性
【表1】 略号:G:成育、A:気中菌糸、R:裏面の色、S:可
溶性色素
【0014】第2表 No.8242株の生理学的性状
【表2】
【0015】第3表 No.8242株、IFO134
59およびIFO13472の比較
【表3】
【0016】引用文献: 1)E.B.シャーリング(Shirling)とD.ゴットリ
ープ(Gottlieb):ストレプトマイセス種の同定。イン
タナショナル・ジャーナル・オブ・システマティック・
バクテリオロジー(Int.J.Syst.Bacteriol.)、16巻
313〜340頁、1966年 2)S.A.ワックスマン(Waksman):放線菌類(The
Actinomycetes)第2巻:属および種の分類、同定およ
び記載:ザ・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ社、
バルチモア、1961年 3)A.コーネラップ(Kornerup)とJ.H.ワンシャ
ー(Wanscher):メシューエン・ハンドブック・オブ・
カラー、メシューエン(Methuen)、ロンドン、197
8年 4)B.ベッカー(Becker)、M.P.ルシュヴァリエ(L
echevalier)、R.E.ゴードン(Gordon)およびH.A.
ルシュヴァリエ(Lechevalier):全菌体加水分解物の
ペーパークロマトグラフィーによるノカルディアとスト
レプトマイセスとの迅速識別:アプライド・マイクロバ
イオロジー(Appl.Microbiol.)12巻421〜423
頁、1964年 5)R.E.ブキャナン(Buchanan)とN.E.ギボンズ
(Gibbons):バージーズ・マニュアル・オブ・ディタ
ミネイティヴ・バクテリオロジー第8版:ザ・ウィリア
ムズ・アンド・ウィルキンス社、バルチモア、1974
年 6)S.T.ウィリアムズ(Williams):バージーズ・マ
ニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
第4巻:ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス、バルチ
モア、1989年 7)D.P.ラベダ(Labeda)とA.J.リヨン(Lyon
s):ストレプトマイセス・ビオラセウスニガー菌株群
は菌株間のDNA類縁性が不均質である:S.ビオラセ
ウスニガーとS.ヒグロスコピクスの記載の修正:イン
タナショナル・ジャーナル・オブ・システマティック・
バクテリオロジー、41巻398〜401頁、1991
【0017】(ii)「WS8242物質」またはその塩
類の生産 本発明の「WS8242物質」またはその塩類は、スト
レプトマイセス属に属する「WS8242物質」生産株
を、同化されうる炭素源および窒素源を含有する栄養培
地中で好気的条件下に(たとえば振とう培養、深部培養
など)培養するとき生産される。栄養培地中の好ましい
炭素源は、グルコース、スクロース、デンプン、フルク
トース、グリセリンなどの炭水化物などである。好まし
い窒素源は、酵母エキス、ペプトン、ポリペプトン、グ
ルテン粉、綿実粉、大豆粉、大豆細粉、コーンスティー
プリカー、乾燥酵母、小麦の麦芽など、ならびに、アン
モニウム塩(たとえば硝酸アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム、燐酸アンモニウムなど)、尿素、アミノ酸などの
無機および有機窒素化合物などである。
【0018】それら炭素源および窒素源は、組合せて用
いるのが得策であるが、それらを純粋な形で使用する必
要はない。微量の成育因子および相当量の無機栄養素を
含有するあまり純粋でないものも使用に適している。所
望により、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、燐酸ナト
リウム、燐酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、沃化ナトリウム、沃化カリウム、マグネシウム塩
類、銅塩類、亜鉛塩類、コバルト塩類などの無機塩類な
どを培地に加えてもよい。必要な場合には、とくに培地
が著しく泡立つ場合には、流動パラフィン、脂肪油、植
物油、鉱油、シリコーンなどの消泡剤などを加えること
ができる。
【0019】他の生物活性物質の大量生産に用いられる
好ましい方法の場合と同様に、「WS8242物質」ま
たはその塩類の大量生産には、通気深部培養条件が好ま
しい。少量生産には、フラスコまたはびんでの振とう培
養または表面培養を採用する。なお、培養を大型タンク
中で行うときには、「WS8242物質」またはその塩
類の生産過程での増殖の遅滞を避けるために、生産タン
クでの接種に栄養型(増殖型)の微生物を用いるのが好
ましい。従って、まず、比較的少量の培地に当該微生物
の胞子または菌糸を接種し、該接種された培地を培養し
て該微生物の栄養細胞を生産し、つぎに、その培養され
た栄養細胞を大型タンクに移すことが望ましい。栄養細
胞を生産するための培地は、「WS8242物質」また
はその塩類の生産のために用いる培地と実質的に同一で
あるかまたは異なるものである。
【0020】培養混合物の撹拌および通気は、種々の方
法で行える。撹拌は、プロペラまたは類似の機械的撹拌
装置により、醗酵槽の回転または振とうにより、種々の
ポンプ装置により、または無菌空気を培地に通すことに
より行える。通気は、醗酵混合物に無菌空気を通すこと
により行える。通常、約10℃〜40℃の間、好ましく
は20℃〜35℃の間の温度で、約50〜150時間に
わたって醗酵を行うが、醗酵時間は、醗酵条件および規
模に応じて変更すればよい。醗酵を完了させると、つぎ
に、培養液を、生物活性物質の回収、精製のために慣用
されている種々の操作(たとえば適当な溶媒または何種
類かの溶媒の混合物を用いての抽出、クロマトグラフィ
ーまたは適当な溶媒または何種類かの溶媒の混合物から
の再結晶など)に付して、「WS8242物質」または
その塩類を回収する。
【0021】この発明によれば、「WS8242物質」
またはその塩類は、一般に、培養された菌糸体および培
養液の双方の中に見出される。従って、つぎに、培養液
全体から、アセトン、酢酸エチル、これら溶媒の混合物
などの適当な有機溶媒を用いての抽出などの手段によ
り、「WS8242物質」またはその塩類を単離する。
抽出液を常法により処理して、「WS8242物質」ま
たはその塩類を得る。たとえば、抽出液を溶媒留去また
は蒸留により濃縮して少量とし、得られた活性物質(す
なわち「WS8242物質」またはその塩類)含有残渣
を慣用の精製操作(たとえばクロマトグラフィーまたは
適当な溶媒または何種類かの溶媒からの再結晶)によ
り、精製する。
【0022】目的化合物が「WS8242物質」の塩類
として単離されるときには、常法に従ってそれを遊離の
「WS8242物質」に、または「WS8242物質」
の他の塩類に、転化させることができる。
【0023】「WS8242A物質」の物理化学的性質 外観:無色針状晶 呈色反応:陽性;硫酸セリウム反応、沃素蒸気反応 陰性;ニンヒドリン反応、モーリッシユ反応 溶解性:可溶;メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール 不溶;酢酸エチル、クロロホルム、水 融点:120〜123℃ 比旋光度:[α]25 D -9.2° (C 1.0, MeOH) UV λMeOH max nm(ε) : 末端吸収 分子量:682、[FABMS m/z 683 (M+H)+] 元素分析: 実測値; C 68.58, H 10.92, N 4.10 C39H74N2O7としての計算値;C 68.43, H 11.26, N 4.10 「WS8242A物質」の13CNMRスペクトルを図1と
して示す。「WS8242A物質」の 1HNMRスペクト
ルを図2として示す。
【0024】「WS8242B物質」の物理化学的性質 外観:無色針状晶 呈色反応:陽性;硫酸セリウム反応、沃素蒸気反応 陰性;ニンヒドリン反応、モーリッシユ反応 溶解性:可溶;メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール 不溶;酢酸エチル、クロロホルム、水 融点:119〜123℃ 比旋光度:[α]21 D -10.4°(C 1.0, MeOH) UV λMeOH max nm(ε) : 末端吸収 分子量:696、[FABMS m/z 697 (M+H)+] 元素分析: 実測値; C 69.39, H 11.04, N 4.03 C40H76N2O7としての計算値;C 68.92, H 10.99, N 4.02 「WS8242B物質」の13CNMRスペクトルを図3と
して示す。「WS8242B物質」の 1HNMRスペクト
ルを図4として示す。
【0025】
【発明の効果】
「WS8242物質」の生物学的性質 目的とする「WS8242物質」の有用性を示すため
に、「WS8242物質」の代表化合物のホスホリパー
ゼA2 阻害作用についての試験データを以下に示す。 ホスホリパーゼA2 (PLA2)に対する阻害効果試験
【0026】[I]試験方法 基質である[14C]ホスファチジルコリン(L−3−ホ
スファチジルコリン、1−ステアリル−2−[1−
14C]アラキドニル)をN2 ガス下で乾固し、プローブ
超音波処理器を用いて脱イオン水に懸濁させた。全量8
00μlの標準反応混合物は、トリス−HCl緩衝液
(10mM、pH7.4)、CaCl2(5mM)およ
び10ng/mlの酵素PLA2 グループI(ブタ膵臓
由来、700単位/mg、ベーリンガーマンハイム山之
内社)を含有していた。この酵素溶液に濃度が5μMに
なるように[14C]ホスファチジルコリン(L−3−ホ
スファチジルコリン、1−ステアリル−2−[1−
14C]アラキドニルを加えて反応を開始させた。37℃
で30分間のインキュベーションの後、ドール試薬1)
2mlを加えて反応を停止させた。該燐脂質基質からの
14C−アラキドン酸の放出量を求めるために、遊離脂肪
酸を名取らの方法2) によって抽出し、リクイフルオル
(Liquifluor)(デュポン、ニューイングラ
ンド・ニュクリアー)8ml中で計数した。阻害効果の
アッセイに際して、阻害剤または媒質(vehicl
e)を酵素とともに37℃で30分間プレインキュベー
トした。各試料はメタノールに溶解した(最終濃度1.
25%)。すべてのデータは、少なくとも2回の測定を
酵素加水分解なしの場合との比較で補正したものの平均
値である。データは阻害率%の形式で表現した。
【0027】1)V.P.ドール(Dole)とH.マイネル
ツ(Minertz):血漿および組識中の長鎖脂肪酸の微量
定量。ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー(J.Biol.Chem.)235巻2595〜2599頁、1
960年 2)Y.ナトリ;K.カラサワ、H.アライ、Y.タモリ−
ナトリおよびS.ノジマ;ラット肝ミトコンドリアから
のホスホリパーゼA2 の部分精製と性質。ジャーナル・
オブ・バイオケミストリー(J.Biochem.)93巻631
〜637頁、1983年
【0028】[II]試験化合物 上記試験における阻害剤として、「WS8242B物
質」(実施例1の化合物)を用いた。
【0029】[III]試験結果 阻害率(%)
【表4】 なお、同じ試験化合物がPLA2 グループIIの酵素を
も阻害することが確認された。
【0030】この発明のホスホリパーゼA2 阻害剤は直
腸吸入、肺吸入(鼻腔または口からの吸入)、鼻への投
与、目への投与、外用投与(局所投与)、経口投与、非
経口投与(皮下、静脈、筋肉注射)に適した有機、無機
担体または賦形剤と混合して、「WS8242物質」と
その塩類を有効物質として含有する常用の医薬製剤例え
ば固体状、半固体状、液状の形で使用することができ
る。有効成分は常用無毒で医薬として許容される担体と
混合して適当な剤形、例えば錠剤、ペレット、トロー
チ、カプセル剤、坐剤、軟膏、エアゾル剤、吸入用粉
末、または溶液、エマルジョン、懸濁液などのような形
として使用すればよい。必要に応じて上記製剤中に補助
剤、安定化剤、濃糊化剤および着色剤並びに香料を使用
してもよい。
【0031】このホスホリパーゼA2 阻害剤中に含有さ
れる「WS8242物質」とその塩類の量は疾患の過程
と状態に対して所望の効果を発揮するのに十分な量であ
る。この阻害剤を人に適用する場合、静脈内注射、筋肉
注射、肺への吸入、経口投与の方法でなされることが好
ましい。この「WS8242物質」の投与量は、処置す
べき患者の年齢、疾患の程度等の条件によって変化す
る。一般的には、静脈注射の場合「WS8242物質」
1日投与量約0.001〜100mg/kg、筋肉注射
の場合「WS8242物質」1日投与量約0.001〜
100mg/kg、経口投与の場合「WS8242物
質」1日投与量約0.001〜200mg/kg、を疾
病の治療または予防に使用すればよい。
【0032】
【実施例】以下の実施例は、本発明をより詳細に説明す
ることのみを目的として示したものである。
【0033】実施例1 1.生産 可溶性デンプン1%、グルコース1%、コーンスティー
プリカー1%、大豆粉0.5%、ポリペプトン0.5
%、酵母エキス0.2%およびCaCO3 0.3%を含
有する水道水で調製した(pHは6N NaOHにより
7.0に調整)種培地(200ml)を500ml三角
フラスコ22本の各々に注入し、121℃で30分間滅
菌する。成熟斜面培養からのストレプトマイセス・ビオ
ラセウスニガーNo.8242の1白金耳を用いてフラ
スコの各々に接種する。フラスコを30℃で4日間回転
振とう機(220rpm、往復距離5.1cm)上で振
とうする。得られた種培養を用いて、ステンレス製30
0lジャーファーメンター中の、可溶性デンプン2%、
グリセリン1%、グルコース1%、大豆粉1%、ポリペ
プトン0.5%、酵母エキス0.5%およびCaCO3
0.5%からなり、滅菌前pH7.0の、水道水で調製
した滅菌醗酵培地220lの接種を行う(接種材料2
%)。300l/分での通気および200rpmでの撹
拌下、30℃で4日間醗酵を行う。醗酵液中の産生物の
量をホスホリパーゼA2 阻害のアッセイにより定量す
る。アッセイ用試料は次のようにして調製する:醗酵液
10mlを2000rpmで10分間遠心分離し、菌体
ペレットにアセトンを体積が8mlになるまで混合しな
がら加える。混合物を1時間放置する。つぎに、メタノ
ール2mlを加え、混合し、2000rpmで5分間遠
心分離する。このようにして得た上澄みをアッセイに用
いる。PLA2 阻害のアッセイは前述した通りである。
【0034】2.精製 培養液(740l)を珪藻土を用いて濾過する。菌体ケ
ーキを水(130l)に懸濁させ、懸濁液に撹拌しなが
らアセトン400lを加える。混合物を一夜放置し、こ
れに激しく撹拌しながらメタノール130lを加え、つ
ぎに濾過する。つぎに、濾液に水1500lを加え、ポ
リマー吸着剤ダイアイオンHP−20(商品名、三菱化
成社製、40l)のカラムに通す。カラムを85%メタ
ノール120lで洗い、メタノール120lで所望の化
合物を溶出する。溶出液を減圧下に濃縮して、油状残留
物(275g)を得る。この残留物をシリカゲル(キー
ゼルゲル60、メルク社、6l)カラムクロマトグラフ
ィーにかける。カラムをアセトン−メタノール(4:
1、18l)で洗い、アセトン−メタノール(1:1、
18l)で活性物質をカラムから溶出させる。活性画分
を乾固させ、n−ブタノール−エタノール−クロロホル
ム−NH4OH(4:7:3:2)に溶解させ、再度シ
リカゲル(2l)によるクロマトグラフィーに付す。カ
ラムを同じ溶媒で展開する。所望物質含有画分を合せ、
濃縮して、油状残留物(3.82g)を得る。この残留
物をつぎに、80%メタノールでプレパックした逆相カ
ラムYMC−ODS−AM(山村化学社製、1.7l)
にかける。カラムを90%メタノール(5l)で洗い、
所望の物質を95%メタノールで溶出させる。最初の溶
出液画分(0〜3.4l)を捨て、少量成分(以下「W
S8242A物質」という)を含有する第二画分(3.
4〜6l)および多量成分(以下「WS8242B物
質」という)を含有する第三画分(6〜8.5l)を集
める。
【0035】「WS8242A物質」の単離 「WS8242A物質」含有画分を濃縮して、油状残留
物(593mg)を得る。この残留物を再度YMC−O
DS−AM(475ml)でのクロマトグラフィーに付
す。カラムに吸着された「WS8242A物質」を95
%メタノールで溶出する。活性画分を濃縮乾固して、粉
末112.8mgを得る。この粉末を少量の熱メタノー
ルに溶解させ、室温に放置して、「WS8242A物
質」の無色結晶を得る。
【0036】「WS8242B物質」の単離 「WS8242B物質」含有画分を濃縮して、油状残留
物1108mgを得る。これを、YMC−ODS−AM
1.2lでのクロマトグラフィーに付す。カラムを95
%メタノールで展開する。活性画分を濃縮乾固して、粉
末192mgを得る。これを少量の熱メタノールに溶解
させ、室温に放置して、「WS8242B物質」の無色
結晶(165.2mg)を得る。
【0037】「WS8242A物質」の物理化学的性質 外観:無色針状晶 呈色反応:陽性;硫酸セリウム反応、沃素蒸気反応 陰性;ニンヒドリン反応、モーリッシユ反応 溶解性:可溶;メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール 不溶;酢酸エチル、クロロホルム、水 融点:120〜123℃ 比旋光度:[α]25 D -9.2° (C 1.0, MeOH) UV λMeOH max nm(ε) : 末端吸収 分子量:682、[FABMS m/z 683 (M+H)+] 元素分析: 実測値; C 68.58, H 10.92, N 4.10 C39H74N2O7としての計算値;C 68.43, H 11.26, N 4.10 「WS8242A物質」の13CNMRスペクトルを図1と
して示す。「WS8242A物質」の 1HNMRスペクト
ルを図2として示す。
【0038】「WS8242B物質」の物理化学的性質 外観:無色針状晶 呈色反応:陽性;硫酸セリウム反応、沃素蒸気反応 陰性;ニンヒドリン反応、モーリッシユ反応 溶解性:可溶;メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール 不溶;酢酸エチル、クロロホルム、水 融点:119〜123℃ 比旋光度:[α]21 D -10.4°(C 1.0, MeOH) UV λMeOH max nm(ε) : 末端吸収 分子量:696、[FABMS m/z 697 (M+H)+] 元素分析: 実測値; C 69.39, H 11.04, N 4.03 C40H76N2O7としての計算値;C 68.92, H 10.99, N 4.02 「WS8242B物質」の13CNMRスペクトルを図3と
して示す。「WS8242B物質」の 1HNMRスペクト
ルを図4として示す。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】「WS8242A物質」の13CNMRスペクトル
【図2】「WS8242A物質」の 1HNMRスペクトル
【図3】「WS8242B物質」の13CNMRスペクトル
【図4】「WS8242B物質」の 1HNMRスペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) (C12P 1/06 Z C12R 1:465)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 「WS8242A物質」および「WS8
    242B物質」からなる群から選ばれた「WS8242
    物質」およびその塩類。ここで、「WS8242A物
    質」は次の物理化学的性質を有するものである: 外観:無色針状晶 呈色反応:陽性;硫酸セリウム反応、沃素蒸気反応 陰性;ニンヒドリン反応、モーリッシュ反応 溶解性:可溶;メタノール、エタノール、イソプロパノ
    ール 不溶;酢酸エチル、クロロホルム、水 融点:120〜123℃ 比旋光度:[α]25 D -9.2°(C 1.0, MeOH) UV λMeOH max nm(ε) : 末端吸収 分子量:682、[FAB MS m/z 683 (M+H)+] 元素分析: 実測値; C 68.58, H 10.92, N 4.10 C39H74N2O7としての計算値;C 68.43, H 11.26, N 4.10 また、「WS8242B物質」は次の物理化学的性質を
    有するものである: 外観:無色針状晶 呈色反応:陽性;硫酸セリウム反応、沃素蒸気反応 陰性;ニンヒドリン反応、モーリッシュ反応 溶解性:可溶;メタノール、エタノール、イソプロパノ
    ール 不溶;酢酸エチル、クロロホルム、水 融点:119〜123℃ 比旋光度:[α]21 D -10.4°(C 1.0, MeOH) UV λMeOH max nm(ε) : 末端吸収 分子量:696、[FAB MS m/z 697 (M+H)+] 元素分析: 実測値; C 69.39, H 11.04, N 4.03 C40H76N2O7としての計算値;C 68.92, H 10.99, N 4.02
  2. 【請求項2】 ストレプトマイセス属に属する「WS8
    242物質」生産菌を培養して、当該物質を採取するこ
    とを特徴とする「WS8242物質」またはその塩類の
    製造法。
  3. 【請求項3】 ストレプトマイセス・ビオラセウスニガ
    ー(Streptomyces violaceusn
    iger)No.8242。
JP6217558A 1993-09-22 1994-09-12 Ws8242物質 Pending JPH07173186A (ja)

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