JPH0717107U - 介護用衣類のスライドファスナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】係止爪付きスライドファスナーにおけるスラス
の引手を別体として構成し、介護用衣類には引手のない
係止爪付きスライドファスナーのみが取付けられること
により、患者が該スライドファスナーを操作できないよ
うにした介護用衣類のスライドファスナーを提供するこ
とを目的とする。 【構成】係止爪付きスライドファスナーにおけるスラス
の胴体と引手が別体に構成されたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は痴呆症患者等におけるように、第三者の介護が必要な患者の着衣とし て用いられる、介護用衣類のスライドファスナーの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に広く用いられているスライドファスナーＡは、図７に示されるように、 左右１対のテープ１ａ，１ｂの各内側縁に形成されたひも２ａ，２ｂに、それぞ れむし３ａ，３ｂが一定間隔に取付けられ、これら両むし３ａ，３ｂを、両むし ３ａ，３ｂに亘ってスライド自在に設けられたスラス４をスライドさせることに より、その胴体４ａで咬合または離反させるようにすると共に、両むし３ａ，３ ｂの最下端の下側には、両ひも２ａ，２ｂに亘って、両テープ１ａ，１ｂが離脱 することを防止するための下止め５が施された構成からなっている。図中、４ｂ はスラス４の引手４ｃを取付けるための胴体４ａに固設された柱である。そして 、このような構成からなるスライドファスナーが、そのまま介護用衣類にも用い られている。

【０００３】 しかしながら、痴呆症患者のように、自己の行為についての判断力が欠如して いる患者においては、たとえば、ねまきの着替え時や夏期の発汗時等、いたずら に自己の着衣を引っ張り、あるいはスライドファスナーを開脚方向へ引っ張って 脱衣したりすることがしばしばである。

【０００４】 これらの問題点を解消するため、たとえば実公昭36−6028号公報および実開昭 59-88416号公報に記載されているように、スライドファスナーが閉脚されている 状態で、そのスラスの移動を防止するためのバンドをスラスの開脚側のむしを跨 いで取付けたり、スラス全体を被覆片で覆う保護手段が講じられたものが提案さ れている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、これらの保護手段はスライドファスナーの閉脚状態での患者に よるスラスの移動や操作を防止しようとするものであるが、いずれの場合におい ても、バンドや被覆片の一端はホックや面ファスナー等による着脱自在な自由端 となっているものであるから、これらを患者に取り外されると何らスライドファ スナーに保護手段が講じられていないものと同一となり、患者の脱衣癖の防止に 役立たなくなる等の問題点があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は係止爪付きスライドファスナーにおけるスラスの引手を別体として構 成し、介護用衣類には引手のない係止爪付きスライドファスナーのみが取付けら れることにより、患者が該スライドファスナーを操作できないようにした介護用 衣類のスライドファスナーを提供することを目的とするもので、係止爪付きスラ イドファスナーにおけるスラスの胴体と引手が別体に構成されたことを特徴とす る。

【０００７】

【作用】

上記のように構成されたスライドファスナーを介護用衣類のスライドファスナ ーとして使用すると、スラスの胴体は係止爪付きであるため胴体を握ってスライ ドさせようとしてもスライドできず、胴体がむしに固定された位置で衣類の開閉 状態が維持される。また、スラスの胴体をスライドさせるには係止爪の係止を解 除し、かつスライドファスナーの開閉いずれかの方向へ引張できる引手を用いて 、係止爪とむしとの係合を解くと同時にスライドファスナーの開閉いずれかの方 向へ胴体をスライドさせれば衣類の開閉が行われる。

【０００８】

【実施例】

以下本考案に係る介護用衣類のスライドファスナーの実施例を別紙図面に基づ いて説明する。 図１は本考案に係る介護用衣類のスライドファスナーにおける胴体部分の平面図 、図２は図１の正面図、図３は図１における一部を除くＡ−Ａ線断面図、図４は 図３における係止爪の作動説明図、図５は介護用衣類のスライドファスナーにお ける引手具の作動要領を示す正面図、図６は介護用衣類としてのパジャマの上衣 に本考案に係る介護用衣類のスライドファスナーにおける胴体部分が取りつけら れた使用状態説明図である。

【０００９】 この説明において前記従来例と同一符号は同一構成よりなるものを示す。 図中、スライドファスナーＢにおける胴体１０ａは、前記従来例のスライドファ スナーＡにおける胴体４ａと同様、左右１対のテープ１ａ，１ｂの各内側縁に形 成されたひも２ａ，２ｂに一定間隔に取付けられた両むし３ａ，３ｂに亘ってス ライド自在に設けられ、該胴体１０ａをスライドさせることにより、両むし３ａ ，３ｂを咬合または離反させる構成よりなっている。

【００１０】 胴体１０ａの上側に設けられた中空柱１０ｂの両側面にはピン挿脱窓１０ｃが 設けられており、かつ該中空柱１０ｂ内には、中央下側に爪部１１ａが形成され 、一側端部が後述のガイド壁１２に枢軸１１ｂにより枢着され、他側端が遊端に 形成された略コ字形の係止爪１１が設けられるとともに、この係止爪１１と中空 柱１０ｂ内面間には板ばね１３を介在させ、係止爪１１の爪部１１ａが常時むし ３ａ，３ｂ側へ突出して上下のむし３ａ，３ｂ間又はむし３ｂ，３ｂ間に挟入し 、胴体１０ａのスライドが阻止されるように弾性を附勢させている。 係止爪１１の爪部１１ａが出入する胴体１０ａに穿設された爪部出入孔１０ｄを 挟んだ両スライド方向の胴体１０ａには、後述の引手具１４のピン１４ａをそれ ぞれ斜上方へ案内するためのガイド壁１２が固設されており、引手具１４のピン １４ａがこのガイド壁１２に沿って上方へ移動することにより、係止爪１１の遊 端が板ばね１３の弾性に抗してその枢軸１１ｂを軸として上昇させられ、その爪 部１１ａが爪部出入孔１０ｄ内まで引込まれてむし３ａ，３ｂと係止爪１１の爪 部１１ａとの係合が解除されると同時に、引手具１４の引張方向へ胴体１０ａが スライドするようになっている。

【００１１】 引手具１４は鋏様の構成からなるものが用いられる。すなわち一側に挟持部１ ４ｂが形成され、他側に把持部１４ｃが形成された１対の部品を、その挟持部１ ４ｂ側で交叉させ、該交叉部を軸１４ｄにより枢着するとともに、挟持部１４ｂ 側の内側先端部にはピン１４ａが対向して植設され、軸１４ｄの把持部１４ｃ側 には１対の把持部１４ｃ，１４ｃが常時開脚方向へ弾持されるスプリング１４ｅ が介在された構成からなるものが用いられる。したがって、１対の把持部１４ｃ ，１４ｃをスプリング１４ｅの弾性に抗して閉脚方向へ作動させると、挟持部１ ４ｂ，１４ｂ側も閉脚され、それぞれのピン１４ａ，１４ａが衝合されるように なっている。

【００１２】 このように構成されたスライドファスナーＢの使用に際しては、たとえば図６ に示されるように、被介護者用パジャマの上衣Ｃの襟元から前身頃中央部および 両袖にスライドファスナーＢを取りつけ、それぞれのスライドファスナーＢを閉 じることによりパジャマの上衣Ｃとして使用させ、それぞれのスライドファスナ ーＢを開くことによりパジャマの上衣Ｃを一枚の布地として患者の上体より取り 外す。

【００１３】 このスライドファスナーＢの開閉に際しては、胴体１０ａ上の中空柱１０ｂに 穿設されたピン挿脱窓１０ｃから、引手具１４のピン１４ａ，１４ａをその把持 部１４ｃ，１４ｃをスプリング１４ｅの弾性に抗して閉脚させながら係止爪１１ のコ状部間に挟入し、胴体１０ａをスライドファスナーＢの開、閉いずれかの方 向へ引張る。そうすると引手具１４のピン１４ａはガイド壁１２に案内されて上 方へ移動し、同時に胴体１０ａを引張ることになるから、ピン１４ａの上昇時に 係止爪１１の爪部１１ａも枢軸１１ｂを中心として上昇し、むし３ａ，３ｂとの 係合が解かれ、胴体１０ａは引手具１４の引張方向へ移動してスライドファスナ ーＢを開閉する。

【００１４】 なお、本実施例による引手具は前記のように構成されたものが示されているが 、このような構成に限定されるものではなく、たとえば握り鋏におけるように、 全体が弾性材で略コ字形に形成され、その両遊端内面対向位置に係止爪の係止解 除を兼ねたピンを有する引手に構成することもできることは自明である。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は、係止爪付きスライドファスナーにおけるスラスの胴体と引手が別体 に構成されており、介護用衣類にはスライドファスナーの引手が取りつけられて いないため、患者等、被介護者が意識的又は無意識的に、衣類のスライドファス ナー部分やスライドファスナー自体を開脚方向に強く開こうとしても、係止爪が スライドファスナーのむしに係止されているのでスライドファスナーは開脚でき ず、患者等の脱衣癖を防止することができるとともに、患者等の衣類を着脱衣さ せるときは、介護者等が所持している引手具によりスライドファスナーを開閉し て行えば良いので取扱いも至便である効果がある。また、本考案にかかる介護用 衣類のスライドファスナーは単に係止爪付きスライドファスナーにおけるスラス の胴体と引手が別体に構成されただけの簡潔な構成よりなるものであるから、従 来の係止爪付きスライドファスナーにおけるスラスの引手を取外し、本考案に係 る引手具を用いれば所期の効果が得られるので、従来の係止爪付きスライドファ スナーにも簡単に応用できる効果も併有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る介護用衣類のスライドファスナー
の実施例を示すもので、胴体部分の平面図である。

【図２】図１における胴体部分の正面図である。

【図３】図１における一部を除くＡ−Ａ線断面図であ
る。

【図４】図３における係止爪の作動説明図である。

【図５】介護用衣類のスライドファスナーにおける引手
具の作動要領を示す正面図である。

【図６】介護用衣類としてのパジャマの上衣に本考案に
係る介護用衣類のスライドファスナーにおける胴体部分
が取りつけられた使用状態説明図である。

【図７】従来より公知のスライドファスナーの説明図で
ある。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ・・・テープ ２ａ，２ｂ・・・ひも ３ａ，３ｂ・・・むし ４・・・・・スラス Ｂ・・・・・スライドファスナー １０ａ・・・胴体 １１・・・・係止爪 １４・・・・引手具 １４ａ・・・ピン １４ｂ・・・挟持部 １４ｃ・・・把持部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】係止爪付きスライドファスナーにおけるス
   ラスの胴体と引手が別体に構成されたことを特徴とする
   介護用衣類のスライドファスナー。
2. 【請求項２】引手が、引手取付け位置に挿脱するピンを
   有する引手器具である請求項１記載の介護用衣類のスラ
   イドファスナー。
3. 【請求項３】引手器具が、１対の部材を交叉させ、その
   一側の先端にピンが対向して設けられ、他側に把持部が
   形成されるとともに、把持部の開閉によりピンが開閉さ
   れる引手器具である請求項２記載の介護用衣類のスライ
   ドファスナー。