JPH07169501A - 電池の気密検査方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電池の気密状態の良否を短時間で精度良く検
出する。 【構成】 正，負極の端子を備えた極板群を収納した電
槽に、電槽の開口部を被覆する蓋を溶着あるいは接着し
た後、前記正，負極のいずれか一方の極の端子に絶縁抵
抗計の一方の極を接続し、電槽と蓋とを溶着あるいは接
着した部分の外壁に前記絶縁抵抗計の他方の極を接触さ
せてこれらの間の絶縁抵抗を測定し、この抵抗値から電
池の気密状態の良否を検査するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電池の気密検査方法に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、密閉型鉛蓄電池は、所定の正極
板と負極板とセパレータからなる極板群と、前記極板群
を収納する電槽と、前記電槽の開口部を覆い、電池の内
部圧力が一定値以上に上昇した場合に作動する安全弁を
備えた蓋とから構成されている。そして、前記電槽と蓋
とを溶着、あるいは接着して電池を密閉化している。

【０００３】しかし、この密閉型鉛蓄電池において、と
くに、電槽と蓋との溶着あるいは接着部分に、気密を害
するピンホールが開いていたり、溶着不良や接着不良部
分があると、電池使用時にこの部分から電池内の電解液
が漏液して、電解液不足を早期に招いたり、漏れ出た電
解液が電池の端子や周囲の部品を腐食させることがあっ
た。

【０００４】そして、このような密閉型鉛蓄電池の気密
を害するピンホール等を事前に検出するために、次に示
すような加圧式気密検査方法が一般に用いられていた。

【０００５】すなわち、一連の電池製造工程において、
密閉型鉛蓄電池を組み立てた後、電池の内部圧力を所定
の圧力値（初期値）まで高め、製造工程上でこの電池を
数秒から数分間静置していた。そして、所定の時間後に
電池の内部圧力値が前記所定の圧力値（初期値）に対し
てどの程度低下したかを調べ、内部圧力値が所定の範囲
であるか否かにより電池の気密状態の良否を判定してい
た。

【０００６】そして、この場合には１個の電池の検査が
終了するまで他の電池は検査待ちになっていた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような加圧式気密検査方法を用いた場合、次のような問
題点が生じていた。

【０００８】すなわち、例えば大型の密閉型鉛蓄電池を
検査する場合、電池の内容積は大きく、これに対して気
密を害するピンホール等は相対的に極めて小さいので、
電池を加圧状態で数秒から数分間静置しただけでは電池
の内部圧力はほとんど変化せず、電池の気密不良を検出
しにくく、気密不良の検出精度が低いという問題があっ
た。

【０００９】また、このような問題は、気密良否の検査
時間を長くすることにより解決することができるが、そ
のためには電池の加圧状態を長時間保ち続けなければな
らなく、一連の電池製造工程においてこの検査時間を長
くすることは、工程のスピードを抑制したり、製造工程
を長くしなくてはならなく、結果として作業効率を低下
させていた。

【００１０】本発明は、このような課題を解決するもの
であり、電池の気密検査を行う際に、電池の製造工程に
おける作業効率を低下させることなく、また、精度良く
電池の気密不良を検出することができる気密検査方法を
提供するものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明の電池の気密検査方法は、正，負極の端子を
備えた極板群を収納した電槽に、電槽の開口部を被覆す
る蓋を溶着あるいは接着した後、前記正，負極のいずれ
か一方の極の端子に絶縁抵抗計の一方の極を接続し、電
槽と蓋とを溶着あるいは接着した部分の外壁に前記絶縁
抵抗計の他方の極を接触させてこれらの間の絶縁抵抗を
測定し、この抵抗値から電池の気密状態の良否を検査す
るものである。

【００１２】

【作用】本発明の電池の気密検査方法では、正，負極の
端子を有する極板群を収納した電槽と蓋とを溶着あるい
は接着し電槽内に電解液を注液した後、絶縁抵抗計の両
端子をそれぞれ電池の正，負極のいずれか一方の端子
と、電槽と蓋とを接合した部分の外壁とに接触させてこ
れらの間の絶縁抵抗を測定する。したがって従来のよう
に電池内を加圧した電池を一定時間静置して電池内の圧
力変化を調べる方法に比べて、検査時間を極めて短かく
することができる。

【００１３】また、従来の電池内の圧力変化を調べる方
法では、電槽と蓋との接合部分にピンホールがあっても
所定の検査時間内にはほとんど電池内圧力が変化しない
ために電池の気密不良の検出精度は低かった。しかし、
本発明の気密検査方法では、電槽と蓋との接合部分にピ
ンホール等が開いていたりするとその部分から電解液が
漏出して絶縁抵抗が著しく低下するため、この抵抗値か
ら電池の気密状態の良否を短時間に正確に把握すること
ができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照にしなが
ら説明する。

【００１５】図１に密閉型鉛蓄電池の部分側面断面図を
示す。図１に示したように、密閉型鉛蓄電池では正，負
極板とセパレータからなる極板群１を電槽２内に収納し
た後、電槽２の開口部を蓋３で被覆している。電槽２と
蓋３の嵌合部には接着剤４が充填されており、同極性極
板の耳部を接続したストラップ５には端子６が溶接さ
れ、この端子６は蓋の端子貫通穴７から電池外部に導き
出されている。

【００１６】また、電槽２内には蓋３に設けられた排気
口８から電解液が注液されており、注液後には排気口８
にゴム製のキャップ形安全弁９が取り付けられ排気口８
を閉塞している。

【００１７】ついで、負極の端子６に絶縁抵抗計１０の
一方の極の端子１０ａを接続し、また他方の極の端子１
０ｂを電槽と蓋とを接着した部分４の外壁に接続して、
負極の端子６と電槽と蓋との接着部分４の間の接触抵抗
を測定する。

【００１８】電解液を注液された電池の電槽内壁は電解
液で濡れた状態となっており、電槽と蓋との接着部分に
気密を害するピンホール等があると電解液が電池外部へ
漏れ出すため、電池の負極端子と電池の外壁面との絶縁
抵抗は著しく低下し、これによって電池の気密状態の良
否の判定を行うことができる。

【００１９】また、この絶縁抵抗を測定する場合、絶縁
抵抗計の一方の極の端子１０ｂの先端を繊毛状としてこ
れを電槽と蓋との接着部分の外周部に沿うように接触さ
せれば、気密検査に要する時間は数秒から長くても数十
秒となり、極めて短時間で検査を行うことができる。

【００２０】なお、本実施例では、負極端子と電槽外壁
面の絶縁抵抗を測定したが、正極端子と電槽外壁面の絶
縁抵抗測定でも同様に電池の気密良否を判定できる。

【００２１】また、本実施例では、電槽と蓋とを接着し
た場合の気密検査を行ったが、電槽と蓋とを溶着した場
合でも同様の効果が得られる。

【００２２】

【発明の効果】以上のように、本発明の電池の気密検査
方法は、正，負極の端子を備えた極板群を収納した電槽
に、電槽の開口部を被覆する蓋を溶着あるいは接着した
後、前記正，負極のいずれか一方の極の端子に絶縁抵抗
計の一方の極を接続し、電槽と蓋とを溶着あるいは接着
した部分の外壁に前記絶縁抵抗計の他方の極を接触させ
てこれらの間の絶縁抵抗を測定し、この抵抗値から電池
の気密状態を検査するものであり、前記電槽と蓋との接
合部分に気密を害するピンホール等が開いていたりする
と、その部分から電解液が漏れ出て絶縁抵抗が著しく低
下するため、この絶縁抵抗を測定することにより電池の
気密状態の良否を短時間で正確に検出することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の気密検査方法を示す図

【符号の説明】

１ 極板群 ２ 電槽 ３ 蓋 ４ 接着剤 ５ ストラップ ６ 端子 ７ 端子貫通穴 ８ 排気口 ９ キャップ形安全弁 １０ 絶縁抵抗計 １０ａ 絶縁抵抗計の一方の極の端子 １０ｂ 絶縁抵抗計の他方の極の端子

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 安彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】正，負極の端子を備えた極板群を収納した
   電槽に、電槽の開口部を被覆する蓋を溶着あるいは接着
   した後、前記正，負極のいずれか一方の極の端子に絶縁
   抵抗計の一方の極を接続し、電槽と蓋とを溶着あるいは
   接着した部分の外壁に前記絶縁抵抗計の他方の極を接触
   させてこれらの間の絶縁抵抗を測定し、この抵抗値から
   電池の気密状態の良否を検査する電池の気密検査方法。