JPH07169464A - 鉛蓄電池用負極ペーストの製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 硫酸バリウムとリグニンスルホン酸塩を主成
分とする添加剤を負極ペースト中に均一に分布させ、負
極ペーストに対する添加剤の添加効果を高めて、電池の
充放電サイクル寿命を向上させる。 【構成】 硫酸バリウムとリグニンスルホン酸塩を主成
分とする添加剤粉末を水または希硫酸中に分散させたの
ち、負極活物質に前記添加剤を分散させた水または希硫
酸を加え、これらを練合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉛蓄電池の、とくにそ
の負極活物質に硫酸バリウムやリグニンスルホン酸塩等
を添加して作製した負極ペーストの製造法に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来から鉛蓄電池の負極ペーストには、
一般に充放電サイクル寿命特性や低温高率放電特性の向
上などを目的として硫酸バリウムやリグニンスルホン酸
塩などの添加剤が加えられている。

【０００３】上記の添加剤の添加方法は、硫酸バリウム
とリグニンスルホン酸塩の一定量をミキサーなどで混合
し、この混合物を負極活物質である鉛粉に混ぜるという
ものである。そして、これらの混合物に水と硫酸を加え
て負極ペーストを調製し、この負極ペーストを格子体に
塗布して負極板を作製している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
負極活物質への添加剤の添加方法は、それぞれの粒末を
混合するものであり、鉛粉と硫酸バリウムおよびリグニ
ンスルホン酸塩の粉末とはそれぞれかさ密度や粒径が異
なるため、負極ペースト中に硫酸バリウムやリグニンス
ルホン酸塩等の添加剤の粉末を均一に分布させることは
困難であった。

【０００５】そして、このようにして得られた負極ペー
ストでは負極活物質に対する添加剤の効果にバラツキが
生じるため、この負極ペーストを格子体に充填して負極
板とするとこの負極板を用いた鉛蓄電池では電池の充放
電サイクル寿命特性の向上が図れなかった。

【０００６】本発明は、これらの課題を解決するもので
あり、硫酸バリウムとリグニンスルホン酸塩を主成分と
する添加剤を負極ペースト中に均一に分布させ、負極ペ
ーストにおける添加剤の添加効果を高めて、前記負極ペ
ーストを用いた鉛蓄電池の充放電サイクル寿命特性を向
上させることができる負極ペーストの製造法を提供する
ものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の鉛蓄電池用負極ペーストの製造法は、硫
酸バリウムとリグニンスルホン酸塩を主成分とする添加
剤粉末を水または希硫酸中に均一に分散させた後、負極
活物質に前記添加剤を分散させた水または希硫酸を加
え、これらを練合して負極ペーストとするものである。

【０００８】

【作用】本発明の負極ペーストの製造法では、最初に硫
酸バリウムやリグニンスルホン酸塩等の添加剤粉末を水
または希硫酸中に均一に分散させ、ついで前記添加剤粉
末が分散した水または希硫酸と負極活物質とを練合して
いるので、前記添加剤を負極ペースト中に偏在すること
なく均一に分布させることができる。

【０００９】したがって、負極活物質に対する添加剤の
添加効果を均一に、かつ良好に発揮させることができ、
この負極ペーストを用いた鉛蓄電池では充放電サイクル
寿命特性を向上させることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照にしなが
ら説明する。

【００１１】図１を用いて本発明の鉛蓄電池用負極ペー
ストの製造法を説明する。図１に示したように、添加剤
懸濁槽１内において水１１０ｇに添加剤である硫酸バリ
ウム粉末１０ｇとリグニンスルホン酸ナトリウム粉末１
ｇとを加え、この懸濁槽１を超音波攪拌槽２内に浸漬し
て、超音波振動を与えることにより前記添加剤を水中で
均一に分散させた。

【００１２】また、ペーストミキサー３に負極活物質で
ある鉛粉４を１０００ｇ投入して攪拌機５により攪拌し
た。そして、硫酸バリウム粉末とリグニンスルホン酸ナ
トリウム粉末が分散した水をペーストミキサー３内に入
れて鉛粉と混合した後、希硫酸槽６から濃度５０％の希
硫酸を５０ｇ添加し、これらを練合して負極ペーストを
作製した。そして、これを本発明の負極ペーストＡとし
た。

【００１３】また、添加剤懸濁槽１内において濃度１６
％の希硫酸１６０ｇに硫酸バリウム粉末１０ｇとリグニ
ンスルホン酸ナトリウム粉末１ｇとを加え、これらに超
音波振動を与えて前記添加剤を希硫酸中で均一に分散さ
せた。

【００１４】そして、ペーストミキサー３内の１０００
ｇの鉛粉４に前記硫酸バリウム粉末とリグニンスルホン
酸ナトリウム粉末を分散させた希硫酸を加えてこれらを
練合し、負極ペーストを作製した。これを本発明の負極
ペーストＢとした。

【００１５】また、硫酸バリウム粉末１０ｇとリグニン
スルホン酸ナトリウム粉末１ｇを鉛粉１０００ｇに加
え、これらを混合した後、さらに水１１０ｇと濃度５０
％の希硫酸５０ｇを加えて練合し、負極ペーストを作製
した。これを従来の負極ペーストＣとした。

【００１６】そして、それぞれの負極ペーストを用いて
公称仕様４Ｖ６００ｍＡｈの鉛蓄電池を作製し、それぞ
れを鉛蓄電池Ａ，Ｂ，Ｃとした。

【００１７】ついで、電池Ａ，Ｂ，Ｃをそれぞれ５０個
ずつ用いて充放電サイクル寿命試験を行った。ここで、
充放電サイクル寿命試験は、電圧４．６Ｖで最大電流２
４０ｍＡとして充電し、電流２４０ｍＡで電圧３．５Ｖ
まで放電した。

【００１８】図２に充放電サイクルの回数と電池の容量
比率との関係を示す。ここで、電池の容量比率は各サイ
クルの電池放電容量の初期の電池容量に対する比率であ
り、電池Ａ，Ｂ，Ｃに対してそれぞれ５０個の電池の平
均値を求めた。

【００１９】図２に示したように、従来の負極ペースト
Ｃを用いた電池Ｃでは、硫酸バリウム粉末とリグニンス
ルホン酸ナトリウム粉末が負極ペースト中で偏在し不均
一に分布しているので、前記添加剤の添加効果は低くな
り充放電サイクル寿命は３００サイクルであった。

【００２０】しかし、本発明の負極ペーストＡ，Ｂを用
いた電池Ａ，Ｂでは、硫酸バリウムとリグニンスルホン
酸ナトリウムが負極ペースト中で均一に分布しており、
これらの添加効果が良好に発揮されて充放電サイクル寿
命が４００サイクルまで向上した。

【００２１】なお、本実施例では負極活物質への添加剤
として、硫酸バリウムとリグニンスルホン酸ナトリウム
を用いたが、これらの添加剤にさらに極板の導電性を向
上させるためのカーボン等を加える場合についても同様
の効果が得られる。

【００２２】

【発明の効果】以上のように、本発明の鉛蓄電池用負極
ペーストの製造法は、硫酸バリウムとリグニンスルホン
酸塩を主成分とする添加剤を水または希硫酸中に分散さ
せた後、この添加剤を分散させた水または希硫酸を負極
活物質に加えて練合するものであるので、負極ペースト
中に前記添加剤を偏在することなく均一に分布させるこ
とができ、負極活物質に対する添加剤の添加効果を良好
に発揮させて電池の充放電サイクル寿命特性を向上させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鉛蓄電池用負極ペーストの製造装置を
示す図

【図２】本発明と従来の負極ペーストを用いた鉛蓄電池
の充放電サイクル寿命特性を示す図

【符号の説明】

１ 添加剤懸濁槽 ２ 超音波攪拌槽 ３ ミキサー ４ 鉛粉 ５ 攪拌機 ６ 希硫酸槽

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】硫酸バリウムとリグニンスルホン酸塩を主
   成分とする添加剤粉末を水中に分散させる工程と、前記
   添加剤粉末を分散させた水と希硫酸とを負極活物質に加
   え、これらを練合してペーストを得る工程とからなる鉛
   蓄電池用負極ペーストの製造法。
2. 【請求項２】添加剤粉末の分散は、超音波振動によって
   行う請求項１記載の鉛蓄電池用負極ペーストの製造法。
3. 【請求項３】リグニンスルホン酸塩はリグニンスルホン
   酸ナトリウムである請求項１記載の鉛蓄電池用負極ペー
   ストの製造法。
4. 【請求項４】硫酸バリウムとリグニンスルホン酸塩を主
   成分とする添加剤粉末を希硫酸中に分散させる工程と、
   負極活物質に前記添加剤粉末を分散させた希硫酸を加
   え、これらを練合する工程とからなる鉛蓄電池用負極ペ
   ーストの製造法。
5. 【請求項５】添加剤粉末の分散は、超音波振動によって
   行う請求項４記載の鉛蓄電池用負極ペーストの製造法。
6. 【請求項６】リグニンスルホン酸塩はリグニンスルホン
   酸ナトリウムである請求項４記載の鉛蓄電池用負極ペー
   ストの製造法。