JPH07165616A - シクロデキストリンの複合組成物及び複合化法 - Google Patents

シクロデキストリンの複合組成物及び複合化法

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JPH07165616A
JPH07165616A JP5340704A JP34070493A JPH07165616A JP H07165616 A JPH07165616 A JP H07165616A JP 5340704 A JP5340704 A JP 5340704A JP 34070493 A JP34070493 A JP 34070493A JP H07165616 A JPH07165616 A JP H07165616A
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cyclodextrin
drug
polymer
aqueous medium
water
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JP5340704A
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Rofutoson Sorusutein
ロフトソン ソルステイン
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Hisamitsu Pharmaceutical Co Inc
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Hisamitsu Pharmaceutical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】シクロデキストリンと水溶性ポリマ−とを水性
媒体中に溶解させ、この水性媒体を、薬物、化粧品添加
物、食品添加物又は農薬の添加前、添加中及び/又は添
加後の0.1〜100時間の間、30〜150℃に維持
する。 【効果】シクロデキストリンと薬物、化粧品添加物、食
品添加物又は農薬との複合を強化し、また溶解性を向上
させ、安定化せさせることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薬物に対するシクロデ
キストリンの溶解性を向上させ、またその安定化効果を
増大させる方法に関し、より具体的には、その溶解性を
向上させ、またその安定化効果を増大させる手段とし
て、シクロデキストリン−薬物複合体の調製に際して、
ポリマ−を使用する複合化方法に関し、またこれら方法
により調製された複合体を含む組成物に関する。本発明
に係るこの組成物は、薬物の放出が速くしかも効率的で
あることに特徴がある。また、本発明は、ポリマ−とシ
クロデキストリンとからなる複合化剤に関し、食品及び
化粧品に添加、使用される化合物に対するシクロデキス
トリンの溶解性の向上及び安定化効果を増大させるため
にポリマ−を使用することに関し、またそれらを用いる
複合化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の薬物の製剤学的剤形を処方するに
際しては、薬物の水溶性が低く、また安定性が低いこと
により、しばしば阻害され、これによりその治療上の応
用が大幅に制限される場合がある。また、固形薬物の溶
解速度が小さいこと及び一部の薬物の副作用は、その水
溶性の低さに由来している。また製剤学的剤形中に形成
される薬物の分解物は、結果的に重大な副作用も引き起
こすことにもなる。
【0003】したがって、適切な処方により、薬物の溶
解性及び安定性を増大させることは薬物の治療効率を増
大させることにつながる。このため、有機溶媒、乳剤、
リポソ−ムとミセルの使用、溶媒系のpHと誘電率の調
整、化学修飾あるいはシクロデキストリン等の適切な複
合化剤を用いた薬物の複合化、その他種々の方法が、薬
物の溶解性及び安定性を増大させるために用いられてき
ており、また食品添加物、農薬及び化粧品添加物の溶解
性と安定性を増大させるためにも、同様な試みがなされ
てきている。
【0004】シクロデキストリンは、ジャガイモの澱粉
に対するBacillus amylobacterの消化物として、189
1年に、Villiersにより初めて単離された[A.Villier
s:Surla fermentationde la fecule par l'action du f
erment butyrique C.R.Acad.Sci.,112,536-538(1891)参
照]。しかし、シクロデキストリンに関する化学の基礎
は、1903〜1911年の期間にSchardingerによっ
て築かれ[例えば、F.Schardinger:Uber thermophileBa
cterien aus verschiedenen Speisen und Milch,sowie
uber einige Umsetzungsproducte darselben in kohlen
hydathaltigen Nahrlosungen,darunter krystallisiert
e Polysaccharide(Dextrine)aus Starke.Z.Unters.Nah
r.Genuァm., 6,865-880(1903)参照]、また古い文献の多
くが、Schardingerのデキトリンとしてシクロデキスト
リンに言及している。
【0005】1970年までは少量のシクロデキストリ
ンのみが実験室で生産可能であったが、その生産には高
額の費用を要したため、シクロデキストリンを工業的に
使用することが妨げられていた。しかし、近年、シクロ
デキストリンの生産と精製が劇的に改善され、シクロデ
キストリンがはるかに安価になり、これによってシクロ
デキストリンの工業的応用が可能となったものである。
【0006】シクロデキストリンは、外部表面に水酸基
を、また中心に空隙腔を有する環状オリゴ糖である。シ
クロデキストリンは、その水酸基により、その外部表面
が親水性であることから通常水に溶けるが、空隙腔は親
油性である。最も一般的なシクロデキストリンは、α−
シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−
シクロデキストリンであり、各々、6、7及び8のα−
1,4結合ブドウ糖単位から構成され、これらの単位数
が空隙腔の大きさを決定している。
【0007】シクロデキストリンは、分子全体又はその
一部をその空隙腔に取り込むことにより、多種多様な疎
水性分子と包接複合体を形成する能力がある。これによ
り形成された複合体の安定性は、その空隙腔に取り込ま
れる分子すなわちゲスト分子がいかに良好にシクロデキ
ストリン腔に適合しているかに依存している。一般的な
シクロデキストリン誘導体は、水酸基のアルキル化(メ
チル−及びエチル−β−シクロデキストリン等)又は水
酸化アルキル化(α−、β−及びγ−シクロデキストリ
ンのヒドロキシプロピル−及びヒドロキシエチル誘導体
等)により、或いは一級水酸基を糖(グルコシル−及び
マルトシル−β−シクロデキストリン等)と置換するこ
とにより形成される。
【0008】ヒドロキシプロピル−β−シクロデキスト
リン及び酸化プロピレンをβ−シクロデキストリンへ付
加することによるその調製、並びに、ヒドロキシエチル
−β−シクロデキストリン及びβ−シクロデキストリン
との酸化エチレン反応によるその調製は、20年以上も
前の米国特許第3,459,731号に記述されてい
る。また、シクロデキストリンに関する包括的な検討の
ためには、Cyclodextrinsand their industrial uses,e
ditor Dominique Duchene,Editions de Sante,Paris,1
987が参照され、より最近の総説としては、J.Szejtl
i:Cyclodextrins in drug formulations:PartI,Pharm.T
echn.Int.3(2),15-22(1991)及びJ.Szejtli:Cyclodextri
ns in drug formulations:PartII,Pharm.Techn.Int.3
(3),16-24(1991)が参照される。
【0009】シクロデキストリンの溶解性向上の効果に
関しては、数多くの報告がなされてきている。これらの
報告の中で記載されている、種々の薬物を含むシクロデ
キストリン水溶液を調製するための一般的な手法は、以
下のようなものである。すなわち、過量の薬物をシクロ
デキストリン水溶液に加え、形成された懸濁液を室温で
1週間インキュベ−トする。その後、懸濁液を濾過又は
遠心分離して透明な薬物−シクロデキストリン複合体溶
液を作製する。薬物−シクロデキストリン複合体の固形
製剤を調製するには、回転式蒸留器中やスプレ−式乾燥
器中での蒸留により、または凍結乾燥により、薬物−シ
クロデキストリン複合体水溶液から水分を除去する。
【0010】米国特許第4,596,795号には、性
ホルモン、特にテストステロン、プロゲステロン及びエ
ストラジオ−ルと、特定のシクロデキストリン、好まし
くはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及び
ポリ−β−シクロデキストリンとの包接複合体について
記述している。この包接複合体により、性ホルモンが舌
下経路又は経頬粘膜経路を通して全身循環に効率良く送
達されることが可能となる。また、米国特許第4,72
7,064号では、種々のシクロデキストリン誘導体、
主としてヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
であるが、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリ
ンも含めた幾つかのシクロデキストリン誘導体と多数の
薬物との処方について記述している。
【0011】このほか、米国特許第5,002,935
号、米国特許第4,983,586号、同第5,01
7,566号及び同第4,983,586号において
は、β−及びγ−シクロデキストリンのヒドロキシプロ
ピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マルトシル及び
マルトトリオシル誘導体との多数の薬物の処方について
記述しており、また、ヨ−ロッパ特許第0149197
(B1) は、幾つかのβ−シクロデキストリン誘導
体、主としてヒドロキシプロピル−β−シクロデキスト
リンと薬物との処方に関して記述している。
【0012】薬物に対するヒドロキシプロピル−β−シ
クロデキストリンの溶解性向上効果及び安定化効果も検
討されている[T.Loftsson,M.E.Brewster,H.Derendorf
andN.Bodor:2-hydroxypropyl-b-cyclodextrin:Properti
es and usage in pharmaceutical formulations.Pharm.
Ztg.Wiss.4/136:5-10(1991)]。シクロデキストリン−
薬物複合体に関する最初の特許は、1953年に西ドイ
ツ特許第985.769号として登録された。薬物−シ
クロデキストリン複合体の調製方法は、平山及び上釜
[F.Hirayamaand K.Uekama:Methods of investigating
and preparing inclusion compounds.In:D.Duchene(edi
tor),Cyclodextrins and their industrial uses.Editi
on deSant,Paris,1987,pp.133-172]に記述されてい
る。
【0013】溶液では、薬物−シクロデキストリン複合
体を、上述の簡便な方法により調製し、複合体を溶解
法、速度論法、分光法又は幾つかの他の分析法により安
定度定数を求めることにより評価する。研究室的規模で
は、固形薬物−シクロデキストリン複合体は、通常、薬
物−シクロデキストリン複合体溶液の凍結乾燥により調
製されるが、工業規模では捏和法、噴霧−乾燥法、共沈
法、中和法、粉砕法等の他の方法も用いられる。しか
し、これら何れの方法においても、水溶性で製剤に繁用
されるポリマ−、その他の一般のポリマ−は、薬物−シ
クロデキストリン複合体を強化するためには使用されて
はおらず、また加熱による薬物−シクロデキストリン複
合体の調製例は少ない。
【0014】Hassan等[M.A.Hassan,M.S.Suleiman and
N.M.Najib:Improvement of the in vitro dissolution
characteristics of famotidine by inclusion in b-cy
clodextrin.Int.J.Pharm.58,19-24 (1990)]は、ファモ
チジン−β−シクロデキストリン複合体を、薬物をβ−
シクロデキストリン水溶液に加え、還流下で1時間混合
物を加熱し、その後室温で5日間攪拌してファモチジン
−β−シクロデキストリンを調製した。生成した溶液を
真空下で蒸留により濃縮し、生成した沈殿物を濾過し、
真空下50℃で乾燥した。
【0015】一連の論文で、仲井等[例えば、Y.Nakai,
K.Yamamoto,T.Oguchi,E.Yonemochiand T.Wanawa: New m
ethods for preparing cyclodextrin inclusion compou
nds.IV.Enhancement of combining molar ratio by usi
ng a ground mixture in heptakis-(2,6-di-O-methyl)-
b-cyclodextrin and benzoic acid system. Chem. Phar
m. Bull. 39, 1532-1535 (1991)]は、密封容器中で粉
砕混合物又は物理混合物を60〜130℃まで加熱して
シクロデキストリンの包接複合体を調製、作製する方法
について記述している。
【0016】最後に、Schmidt 及び Maier [E. Schmid
t and H.G. Maier: ThermostabileBindung von Aromast
offen an Starke. Teil 2: Bindung von Menthol durch
Autoklavieren. Starch/Starke, 39(6), 203-207 (198
7)] は、高圧蒸気滅菌法によるβ−シクロデキストリ
ンを含む種々の澱粉とメント−ルとの熱に安定な結合の
形成について記述している。しかし、上述の何れの論文
においても、澱粉若しくはその他のポリマ−は、薬物の
シクロデキストリンによる複合化を強化するためには用
いられていない。
【0017】シクロデキストリン複合体のエンタルピ−
が負であるために、シクロデキストリンの水性溶液によ
る薬物の溶解性の向上効果は、高温におけるよりも低温
における方が一般的に大きい[T. Loftsson and N. Bod
or: Effects of 2-hydroxypropyl-b-cyclodextrin on t
he aqueous solubility of drugs and transdermal del
ivery of 17b-estradiol. Acta Pharm. Nord., 1(4), 1
85-193 (1989)]。また例えば塩化ナトリウム、界面活
性剤及び有機溶媒(例えば、エタノ−ル)等の添加物
は、シクロデキストリンの溶解性向上効果を通常は減少
させる。
【0018】しかし、全く驚くべきことに、幾つかの、
水溶性で、製剤に繁用されるポリマ−、すなわち、薬物
の溶液の処方に通常用いられる水溶性ポリマ−を少量加
え、その後、所定の時間、溶液を加熱することにより、
シクロデキストリン水性溶液の溶解性を向上させる効果
を増大させることができることが判明した。ここで、そ
の繁用されている水溶性ポリマ−の定義については、例
えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,18th edi
tion,Alfonso R.Gennaro(editor),Mack Publishing Com
pany,Easton(PA),1990,pp.291-294;Alfred Martin,Jame
s Swarbrick and Arthur Cammarata:Physical Pharmac
y.Physical Chemical Principles in Pharmaceutical S
ciences,3rd edition,Lea & Febiger,Philadelphia(P
A),1983,pp.592-638;and A.T.Florence and D.Attwood:
Physicochemical Principles of Pharmacy,2nd editio
n,MacMillan Press,London,1988,pp.281-334. が参照さ
れる。
【0019】ここでは、明らかに、水溶性ポリマ−は、
シクロデキストリン分子の水和性を変化させ、これによ
って、その水溶液中での3次元構造も変化させる。加熱
は、この過程を促進する。このポリマ−が複合体の形成
に直接に関与しているとするに足る若干の証拠もある。
このようにして生成させたシクロデキストリン水溶液
は、シクロデキストリンを水中又は緩衝液中に単純に溶
解させて作られた溶液よりも、溶解性を向上させる効果
が大きい。薬物−シクロデキストリン複合体の固形製剤
は、溶媒の除去すなわち薬物−シクロデキストリンの水
溶液から、蒸発により、水分を除去することにより調製
できる。
【0020】したがって、本発明の主題は、シクロデキ
ストリン、少量の水溶性で製剤に繁用されるポリマ−並
びに水中溶解性及び/又は水中安定性が低いことにより
特徴付けられている薬物を含む新規製剤学的組成物に係
るものである。水溶性で製剤に繁用されるポリマ−は、
シクロデキストリンの溶解性向上効果を増大させる。し
たがって、製剤学的組成物中で必要とされるシクロデキ
ストリンの量を少なくすることが可能である。
【0021】本発明に係る、水溶性で、製剤に繁用され
るポリマ−を含む水溶性シクロデキストリン−薬物製剤
は、薬物放出が迅速であり且つ効率的であることにより
特徴付けられ、これによって薬物のより良好な生物学的
利用能を結果的に得ることを可能とするものである。例
えば、上述のシクロデキストリン−ポリマ−水溶液を凍
結乾燥することにより作られた固形製剤は、ポリマ−を
含まない固形シクロデキストリン製剤からの薬物の溶解
性と比較すると、薬物の溶解がより迅速で、より効率的
であることにより特徴付けられる。このことから、固形
製剤からの薬物の生物学的利用能を増大させることも可
能である。
【0022】水溶性で、製剤に繁用されるポリマ−を製
剤に付加し、加熱した後に、シクロデキストリンの複合
化が優位に増大したことを示す薬物は、水和されたシク
ロデキストリン分子の空隙腔に適合するために求められ
ている形と大きさを有する薬物である。例えば、これら
にはβ−アドレナリン阻害剤、炭酸脱水酵素阻害剤、強
心配糖体、非ステロイド性抗リウマチ剤、ステロイド
剤、スルホンアミド剤とベンゾジアゼピン誘導体、ベン
ゾイミダゾ−ル、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾ−
ル又はトリアゾ−ルが含まれる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、親油性及び
/又は親水性の薬物、食品添加物、化粧品添加物又は農
薬とシクロデキストリンとの複合化を強化する方法を提
供し、また水中に不溶であるか、やや溶けにくいか、不
安定である薬物、及び、水中に不溶であるか、やや溶け
にくいか、不安定である食品添加物、化粧品添加物又は
農薬に対するシクロデキストリンの溶解性向上効果及び
安定化効果を増大させる方法を提供することを目的とす
る。
【0024】また、本発明は、薬物、シクロデキストリ
ン及び選択されたポリマ−の新規共複合体を提供し、ま
た、食品添加物、化粧品添加物又は農薬とシクロデキス
トリンと選択されたポリマ−との新規共複合体を提供
し、また、これら薬物、食品添加物、化粧品添加物及び
農薬の新規共複合体からなる製剤学的組成物を提供する
ことを目的とする。さらに、本発明は、親油性及び/又
は親水性の薬物、食品添加物、化粧品添加物若しくは農
薬の溶解性の向上及び/又は安定化を行わせる際に使用
する新規複合化剤を提供することを目的とする。
【0025】ここで、本明細書中、「親油性及び/又は
親水性の薬物、食品添加物、化粧品添加物又は農薬」等
の記載における「親油性及び/又は親水性の」とは、こ
れら薬物、食品添加物、化粧品添加物又は農薬が、親
油性の性質を有する、親水性の性質を有する、親油
性と親水性との双方の性質を有する、これらの〜の
何れかの性質を有することを意味するものとして使用し
ており、また、本明細書において、薬物、食品添加物、
化粧品添加物、農薬という場合、これらは〜の何れ
かの性質を有することを意味する。また、本明細書中、
「水溶性ポリマ−」又は「ポリマ−」とは、「製剤学的
に容認可能で、薬理学的に不活性な水溶性ポリマ−」を
意味する。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題に
従い、以下の方法、組成物及び複合化剤を提供するもの
である。 1、シクロデキストリンと薬物との複合化法において、
0.1〜70%(重量/体積)のシクロデキストリンと
0.001〜5%(重量/体積)の水溶性ポリマ−とを
使用し、薬物を添加する前に、シクロデキストリンとポ
リマ−とを水性媒体中に溶解し、このシクロデキストリ
ンとポリマ−とを含有する水性媒体を、薬物の添加前、
添加中及び/又は添加後の0.1〜100時間の間、必
要に応じて余分の水分を除去した後、30〜150℃に
維持することによりシクロデキストリンと薬物との複合
化を強化することを特徴とするシクロデキストリンと薬
物の複合化法。本発明の複合化法においては、以上のと
おり、薬物を添加する前に、水性媒体にシクロデキスト
リンとポリマ−とを溶解した水性媒体を、薬物の添加
前、添加中及び/又は添加後に、0.1〜100時間の
間、温度30〜150℃に維持するが、この温度に維持
する前に、必要に応じて適宜水分を除去するものであ
り、本明細書において複合化という場合、その過程で、
この「必要に応じて適宜水分を除去する」ことをも含む
ものである。この点、本発明における薬物等の溶解性を
向上させ及び/又は安定化させる方法等の場合について
も同じである。また、上記「0.1〜70%(重量/体
積)」、「0.001〜5%(重量/体積)」、「0.
1〜100時間」及び「30〜150℃」における上
限、下限については、場合によっては、その前後を含み
得るが、この点、本発明における薬物等の溶解性を向上
させ及び/又は安定化させる方法等の場合についても同
じである。
【0027】2、水性媒体中における、薬物の溶解性を
向上させ及び/又は安定化させる方法であって、その薬
物を、0.1〜70%(重量/体積)のシクロデキスト
リンと、0.001〜5%(体重/体積)、好ましくは
0.01〜0.5%(体重/体積)の、製剤学的に容認
可能で、薬理学的に不活性の水溶性ポリマ−とに、水性
媒体中で複合化させて、薬物複合体を製造することにあ
り、薬物を添加する前に、シクロデキストリンとポリマ
−とを水性媒体中に溶解し、この水性媒体を、薬物の添
加前、添加中及び/又は添加後に、0.1〜100時間
の間、必要に応じて水分を除去した後、30〜150℃
に維持することを特徴とする水性媒体中における、親油
性及び/又は親水性の薬物の溶解性を向上させ及び/又
は安定化させる方法。
【0028】3、薬物のシクロデキストリンと水溶性ポ
リマ−との共複合体であって、シクロデキストリンのポ
リマ−に対する重量比が4:1〜50,000:1、好
ましくは100:1〜10,000:1である、親油性
及び/又は親水性の薬物のシクロデキストリンと水溶性
ポリマ−との共複合体。
【0029】4、(a)薬物を、0.1〜70%(重量
/体積)のシクロデキストリンと、0.001〜5%
(重量/体積)、好しくは0.01〜0.5%(重量/
体積)の、製剤学的に容認可能で、薬理学的に不活性な
水溶性ポリマ−と、を水性媒体中で複合化させて調製し
てなる薬物複合体であって、(b)この薬物複合体が、
薬物を添加する前に、ポリマ−とシクロデキストリンと
を水性媒体中に溶解し、水性媒体を薬物の添加前、添加
中及び/又は添加後の0.1〜100時間の間、必要に
応じ水分を除去した後、30〜150°Cの温度に維持
して得られたものであり、(c)この薬物複合体に、そ
のための毒性のない、製剤学的に容認可能な担体を含む
ことを特徴とする製剤学的組成物。
【0030】5、(a)薬物と、シクロデキストリン及
び製剤学的に容認可能で、薬理学的に不活性の、水溶性
ポリマ−との共複合体からなり、(b)シクロデキスト
リンの対ポリマ−重量比が4:1〜50,000:1、
好ましくは100:1〜10000:1であり、また
(c)そのための毒性のない、製剤学的に容認可能な担
体を含むことを特徴とする製剤学的組成物。
【0031】6、(a)薬物の溶解性を向上させ及び/
又は安定化させる際に使用する複合化剤であって、
(b)シクロデキストリンと製剤学的に容認可能で、薬
理学的に不活性の水溶性ポリマ−を含み、(c)シクロ
デキストリンの対ポリマ−重量比が4:1〜50,00
0:1、好ましくは100:1〜10000:1であ
り、(d)この複合化剤が、水性媒体中のシクロデキス
トリンとポリマ−を0.1時間〜100時間の間、30
〜150℃の温度に加熱することにより得られたもので
あることを特徴とする、親油性及び/又は親水性薬物の
溶解性を向上させ及び/又は安定化させる際に使用する
複合化剤。
【0032】7、以上1〜6について、その薬物が、食
品添加物、化粧品添加物又は農薬に置き換えられてなる
方法、組成物及び複合化剤。すなわち、食品添加物、化
粧品添加物又は農薬とシクロデキストリンとの複合を強
化する方法、食品添加物、化粧品添加物又は農薬の溶解
性を向上させ及び/又は安定化させる方法、食品添加
物、化粧品添加物又は農薬のシクロデキストリンと水溶
性ポリマ−との共複合体、この共複合体を含む製剤学的
組成物、食品添加物、化粧品添加物又は農薬の溶解性を
向上させ及び/又は安定化させる際に使用する複合化
剤。
【0033】ここで、本発明でいうシクロデキストリン
とは、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及び
ジヒドロキシプロピルエ−テル、それらに対応する混合
エ−テル、及び、メチル基又はエチル基を有し、更に混
合したエ−テルがあり、またα−、β−又はγ−シクロ
デキストリンのメチル−ヒドロキシエチル、エチル−ヒ
ドロキシエチル及びエチル−ヒドロキシプロピルエ−テ
ルや分岐シクロデキストリン等を含めた意味である。
【0034】また、本発明で使用する、有益な水溶性
で、製剤に繁用されるポリマ−としては、例えば、セル
ロ−スの水溶性半合成誘導体(メチルエ−テル、ヒドロ
キシエ−テル及びヒドロキシプロピルエ−テル、それら
に対応する混合エ−テル、及びセルロ−スのエチル−ヒ
ドロキシエチルとエチル−ヒドロキシプロピルエ−テル
との混合エ−テル、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−
スフタレ−ト、セルロ−スアセテ−トフタレ−トカルボ
キシメチルセルロ−スとその塩等)のいくつかの多糖
体、イヌリン、ペクチン、アルギン酸誘導体、寒天、ポ
リペプチド(カゼインやゼラチン等)、並びに、ポリオ
キシエチレン誘導体(ポリエチレングリコ−ル)等の合
成水溶性の製剤に繁用されるポリマ−と水溶性ポリビニ
−ル誘導体(ポリビニ−ルアルコ−ル、ポリビニ−ルピ
ロリドンとスルホン酸ポリスチレン)並びに数種のアク
リル酸の共重合体(カルバモ−ル等)がある。
【0035】本発明の方法及び組成物の中で用いられ
る、特定の薬物としては、プロプラノロ−ル、チモロ−
ル、ナドロ−ルやアテノロ−ル等のβ−アドレナリン阻
害薬、リドフルジン、フルナリジン、ミアンセリン、オ
キサトミド、ミオフラジンやシンナリジン等のピペラジ
ン誘導体、メトロニダゾ−ル、オルニダゾ−ル、イプロ
ニダゾ−ル、チニダゾ−ル、イソコナゾ−ル、ニモラゾ
−ル、ブリマミド、メチアミド、メトミデイト、エニル
コナゾ−ル、エトミデイト、エコナゾ−ル、クロトリマ
ゾ−ル、カルニダゾ−ル、シメチジン、ドコダゾ−ル、
スルコナゾ−ル、パルコナゾ−ル、オルコナゾ−ル、ブ
トコナゾ−ル、トリアジミノ−ル、チオコナゾ−ル、バ
ルコナゾ−ル、フルトリマゾ−ル、ケトコナゾ−ル、オ
キシコナゾ−ル、ロンバゾ−ル、ビフォナゾ−ル、オク
スメチジン、フェンチコナゾ−ルやツブラゾ−ル等のイ
ミダゾ−ル誘導体、ビラゾ−ル、イトラコナゾ−ルやテ
ルコナゾ−ル等のトリアゾ−ル誘導体、チアベンダゾ−
ル、フベリダゾ−ル、オキシベンダゾ−ル、カムベンダ
ゾ−ル、フェンベンダゾ−ル、フルベンダゾ−ル、アル
ベンダゾ−ル、オキスフェンダゾール、ノコダゾ−ルや
アステミゾ−ル等のベンズイミダゾ−ル誘導体、フルス
ピリレン、ピモジド、ペンフルリド−ル、ロペラミド、
アステミゾ−ル、ケタンセリン、レボカバスチン、シサ
プリド、アルタンセリンやリタンセリン等のピペラジン
誘導体、アセタゾラミド、クロルゾラミド、エトクスゾ
ラミド、メタゾラミド、L−671,152やMK−9
27等の炭酸脱水酵素阻害剤、エストラジオ−ル、エチ
ニルエストラジオ−ル、エストロン、エストリオ−ル、
ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ジメチステロ
ン、ノルゲストレル、プロゲステロン、テストステロ
ン、フルオキシメステロン、メトアンドロステノロンメ
ストラノ−ル、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プロゲ
ステロン、ベタメタゾン、デオキシコルチコステロン、
フルドロコルチゾン、アルファキサロン、プレドニゾン
やプレドニゾロン及びその誘導体等のステロイド剤、ク
ロランブシル、ロムスチン、メルファラン、メトトレキ
サ−ト、ヘキサメチルメラミン、テニポシド、ドキソル
ビシン、カルムスチンやエストラムスチン等の抗腫瘍
剤、レチノ−ル、酢酸−ビタミンA、コレカルシフェロ
−ル、レチナ−ルやビタミンEとK等のビタミン/栄養
素、ジゴキシンやジギトキシン等の強心剤、アスピリ
ン、イブプロフェン、インドメタシン、ピロキシカム、
スリンダックやフルルビプロフェン等の非ステロイド性
鎮痛剤及び/又は抗炎症剤、アンピシリンやクロラムフ
ェニコ−ル等の抗生物質、塩化ベンザルコニウムや塩化
セチルピリジニウム等の抗感染剤、ニトログリセリン等
の冠動脈拡張剤及びジアゼパム、メドゼパム、オキサゼ
パム、フルニトラゼパム、クロルジアゼポキシド、ニト
ラゼパムやトリアゾラム等のベンゾジアゼピン類を挙げ
ることができる。
【0036】また、本発明で、その方法及び組成物が適
用され、使用される親油性及び/又は親水性の食品添加
物としては、例えば、着香剤、防腐剤、抗酸化剤、甘味
剤や着色剤がある。そのような添加物としては、具体的
には、バニリン等の香辛料、レモン油、シナモン油、ア
ニス油、くへんとう油、ベンズアルデヒド油、ちょうじ
油、オレンジ油、ハッカ油、ニンニク油、たまねぎ油、
メント−ルやサリチル酸メチル等の芳香族香辛油、アス
パルテ−ムやサッカリン等の甘味料、メチルイエロ−等
の着色料、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロル
ブト−ル、安息香酸やサリチル酸等の防腐剤及びブチル
化ヒドロキシアニソ−ル、アスコルビン酸やその誘導体
等の抗酸化剤が挙げらる。
【0037】本発明で、その方法及び組成物が適用さ
れ、また使用される化粧品添加物としては、食品添加物
の具体例として上述したものと同類の添加物(同規格の
成分を一部含む)の多くが含まれる。この化粧品添加物
としては、具体的には、芳香族油(芳香剤)、防腐剤、
抗酸化剤、芳香族油(芳香剤)、着色剤やビタミン剤
(本明細書では薬物としても記述されている)が含まれ
る。化粧品に対する重要な特定の添加物には、ラベンダ
−油、パイン油、ゼラニウム油、バラ油、スウィ−トベ
イ油、レモン油やレモングラス油等の芳香性芳香族油及
びビタミンD2 (コレカルシフェロ−ル)、ビタミンD
3 、ビタミンAやビタミンE等のビタミン剤が含まれ
る。
【0038】また、農薬に関して、本発明の方法及び組
成が適用され、使用されるものとしては、農薬(例え
ば、殺虫剤や殺線虫剤を含む)、抗真菌剤、除草剤や植
物生育調整剤が含まれる。そのような農薬の具体例とし
ては、メビンフォス、ペンタクロロフェノ−ル、ピペロ
ニルブトキシド、ヒドロプレン、メトプレンやキノプレ
ン等の農薬、4−クロロ−3−メチルベンゾチアゾロン
やピロルニトリン等の抗真菌剤及びペンタクロロフェノ
−ルや2,6−ジクロロベンゾニトリル等の除草剤が含
まれる。
【0039】以下の考察及び例では、その代表例とし
て、本発明で特徴とする独自の事項を薬物に関して記載
する。しかし、本発明において、薬物の代わりに食品添
加物、化粧品添加物又は農薬が用いられている場合に
も、その独自の事項の多くが同一のものであると理解さ
れたい。典型的な場合には、ポリマ−はシクロデキスト
リンの水溶液中に溶解され、またはポリマ−とシクロデ
キストリンが水中に溶解された後に薬物が添加される。
原液中では、シクロデキストリンの濃度は0.1〜70
%(w/v)の範囲で変えることができ、また、ポリマ
−の濃度は0.001〜5%、好ましくは0.01〜
0.5%の範囲で変えることができる。さらにポリマ−
とシクロデキストリンとの重量比は、1:4〜1:5
0,000の範囲で変えることができるが、通常は、
1:100〜1:10,000で変えることができる。
【0040】すなわち、100〜10,000部のシク
ロデキストリンに対して、ポリマ−は1部であり、より
好ましくは、1:500〜5000、すなわち、500
〜5000部のシクロデキストリンに対し、1部のポリ
マ−とすることができる。本来、最大級の複合化が望ま
れることから、薬物を通常は過量で添加する。シクロデ
キストリン溶液が、温度30〜150℃で、0.1〜1
00時間の間維持される時間前、時間中及び/又は時間
後に、薬物をシクロデキストリン/ポリマ−溶液中に溶
解する。
【0041】ここで、「30〜150℃で0.1〜10
0時間の間維持される時間前、時間中及び/又は時間後
に」とは、薬物、食品添加物、化粧品添加物又は農薬を
シクロデキストリン/ポリマ−溶液中に溶解する時点と
して、その温度30〜150℃に加熱する前、加熱中、
加熱終了後の何れかの時点、またこれら3つの時点の2
つ又は3つの時点の何れの時点でもよいことを意味す
る。
【0042】上記温度範囲と時間で加熱処理し、ポリマ
−とシクロデキストリンとを水溶液中で配合させ、乾燥
(好ましくは、凍結乾燥)を行った後、シクロデキスト
リン/ポリマ−配合複合化剤を得る。その後、この複合
化剤は、水溶液中で薬物と結合させる。薬物/シクロデ
キストリン/ポリマ−水溶液の調製方法の如何を問わ
ず、この水溶液は、公知の方法に従い適宜乾燥すること
ができる。用いられた薬物の種類に応じ、酸又はアルカ
リを調製中の薬物/シクロデキストリン/ポリマ−溶液
に添加することができる。
【0043】最大効果を得るのに必要な量以上の過量の
ポリマ−を使用することは、通常不利である。過量のポ
リマ−は、実際上望まれる溶解性の向上/安定化/複合
化効果を低下させ、複合化が生じる水性媒体中の粘度を
増大させる傾向となる場合がある。使用されるポリマ−
の量は安定化/溶解性の向上/複合化上の効果を増強さ
せるに十分でなければならないが、加熱する際に有意な
粘度の上昇を引き起こすに足るものであってはならな
い。
【0044】本発明に従って調製されるシクロデキスト
リンとポリマ−との水溶液は、シクロデキストリンを水
中又は緩衝液中に単純に溶解させることにより作製され
たシクロデキストリン溶液よりも、親油性及び/又は親
水性の薬物に対する溶解性の向上効果及び安定化効果が
大きい。また水溶性で製剤に繁用されるポリマ−は、シ
クロデキストリンの溶解性向上効果を増大させ、これに
よって、最終的に投与される製剤学的組成物中に存在す
るシクロデキストリンの量を低下させることが可能とな
る。
【0045】水溶性で、製剤に繁用されるポリマ−を含
有する水性シクロデキストリン−薬物製剤は、薬物の放
出が速く、しかも効率的であることにより特徴付けら
れ、これによって、薬物による初期の治療反応がより速
く開始され、より良好な生物学的利用効能を得ることが
できる。すなわち、上述のシクロデキストリン/ポリマ
−/薬物水溶液から、例えば凍結乾燥により水分を除去
して作製された固形製剤は、ポリマ−を含有しない固形
シクロデキストリン製剤からの薬物の溶解と比較する
と、薬物の溶解性がより速く、しかもより効率的であ
る。このことは、固形製剤からの薬物の治療反応の開始
を促進させることにつながり、全生物学的利用能も増大
させることができる。
【0046】本発明に従って使用された水溶性のポリマ
−は、シクロデキストリン分子の水和性ないしは水和力
を変化させ、これによって、水溶液中におけるその3次
元構造をも変化させるようである。加熱はこの反応を促
進する。また、この水溶性ポリマ−は、薬物複合体の形
成に直接的に関与しており、シクロデキストリンとの複
合化剤として作用する。
【0047】以下、本発明の利点をさらに例証するた
め、実施例を説明するが、それらは単に説明的な例とし
て意図したものであり、発明を制限するものでは一切な
いことは勿論である。なお、実施例で使用している各記
号については、それぞれ、次のとおりに表示している。
CD:シクロデキストリン、グルコシル−αCD:グル
コシル−α−シクロデキストリン、CMC:カルボキシ
メチルセルロ−スナトリウム、グルコシル−βCD:グ
ルコシル−β−シクロデキストリン、HEβCD:モル
置換度が0.6のヒドロキシエチル−β−シクロデキス
トリン、HPβCD(MS=0.6):モル置換度が
0.6の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキスト
リン、マルトシル−αCD:マルトシル−α−シクロデ
キストリン、マルトシル−βCD:マルトシル−β−シ
クロデキストリン、MβCD:置換度が1.8のメチル
−β−シクロデキストリン、PVP:ポリビニルピロリ
ドン、MS:モル置換度。
【0048】
【実施例1】《溶解性試験》 過剰量の試験薬物を、水、ポリマ−水溶液又はCD水溶
液とポリマ−とを含有する水溶液に添加した。これで形
成された懸濁液を超音波槽中で3時間超音波処理するか
密封容器に入れてオ−トクレ−ブ中で120℃で20分
間加熱し、その後室温(23℃)で3日間放置して平衡
化(equilibrate)させた。この平衡化後、
懸濁液を0.45μmメンブランフィルタ−により濾過
し、メタノ−ルと水の混合液(7:3、v/v)で希釈
し、逆相高速液体クロマトグラフィ−(HPLC)によ
り分析した。この結果を表1〜4に示す。
【0049】表1の結果によると、0.25%CMCが
水溶液中に存在する場合には、HPβCD(MS=0.
6)の溶解性向上効果が6〜57%(Scp/Sco=
1.06〜1.57)改善されたことを示している。ま
た、表2のとおり、CMCをPVPで置換すると、さら
に大きな効果が得られた。この場合、溶解性向上効果は
12〜129%(Scp/Sco=1.12〜2.2
9)改善された。また、表3のとおり、同様な結果が他
のCD誘導体及びポリマ−でも得られ、また表3のとお
り、エタノリン水溶液でも薬物のCDへの溶解性向上の
改善が認められた。
【0050】
【表 1】
【0051】
【表 2】
【0052】
【表 3】
【0053】
【表 4】
【0054】
【実施例2】分子量が360,000のポリビニルピロ
リドン(PVP)の薬物−シクロデキストリン複合化に
及ぼす影響を、モル置換度(MS)が0.6の2−ヒド
ロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβC
D)水溶液中のヒドロコルチゾンの溶解度相図を作成
し、複合体の安定度定数(Kc)を勾配と水中のヒドロ
コルチゾンの溶解度(So)から算出し、検討した。 Kc=勾配×(So×(1−勾配))-1
【0055】過量の薬物を、0.0〜0.7%(w/
v)PVP及び種々の量のHPβCDを含有する水に添
加した。形成された懸濁液を120℃となるまで密封し
た容器中で加熱し、その温度で22分間維持した。これ
を室温(約22℃)で少なくとも3日間平衡化した後、
懸濁液の一部分を容器から取出し、それを0.45μm
メンブランフィルタ−で濾過し、濾液をHPLCで分析
した。薬物の溶解度は各HPβCD濃度とPVP濃度で
少なくとも3回求め、また溶解度相図の勾配は、平均溶
解度とHPβCD濃度値(モル/リッタ−)から回帰直
線により求めた。結果を表5に示す。表5によると、P
VPを添加することにより、Kcの40%以上の上昇
(PVP濃度0.1%で)を得ることが可能なことを示
している。上昇は濃度依存的であり、PVPをさらに添
加すると若干低下した。
【0056】
【表 5】
【0057】
【実施例3】ヒドロコルチゾンの溶解度を、実施例1に
記載の方法を用いて、0.0〜0.4%(w/v)PV
P(分子量360,000)を含有する10%(w/
v)HBβCD(MS=0.6)水溶液中で求めた。薬
物の溶解度は、各PVP濃度で最低3回求めた。その結
果を図1に示す(平均値±平均の標準誤差)。図1は、
10%(w/v)HPβCD(MS=0.6)水溶液中
のヒドロコルチゾンの最大の溶解性向上が0.10〜
0.15%(w/v)PVPが同液中に存在する場合に
得られたこと、及び、最大時の溶解性向上はPVPを含
まない10%(w/v)HPβCD(MS=0.6)水
溶液中におけるよりも約32%高かったことを示してい
る。同様の結果が、カルボキシメチルセルロ−スやヒド
ロキシプロピルセルロ−ス等のその他の水溶性ポリマ−
をシクロデキストリン水溶液に添加した場合においても
得られた。一般に、ポリマ−濃度が0.03%以上で
0.3%(w/v)以下の場合に最大の溶解性向上が得
られた。
【0058】最大効果は、ポリマ−が溶液の粘度に対し
て実際に何らかの効果を及ぼす前の非常に低いポリマ−
濃度で得られる。例えば、10%以下のPVPを含有す
る溶液の粘度は、基本的には水のそれと同じである(Han
dbook of Pharmceutical Excipients,American Pharmac
eutical Association and the Pharmaceutical Society
of Great Britain, Washington,1986,pp.234-239を参
照)。
【0059】また、この溶解性向上の増大(すなわち、
複合化)は安定な状態である。粘性水溶液中で頻繁に観
察される薬物溶解度の増大、すなわち、過飽和薬物溶液
の形成は、通常はその形成から数時間以内に安定状態
(薬物の析出下において)に回復する不安定状態のこと
である(Uekama et al.,J.Incl.Phenomena,1,309-312,19
84)。したがって、非常に少量の水溶性ポリマ−が存在
する場合のこの複合化の増大は、水溶液の粘度の増大と
は直接関連していない。
【0060】
【実施例4】薬物−シクロデキストリン複合体の安定度
定数のエンタルピ−(ΔH)及びエントロピ−(ΔS)
に及ぼすポリビニルピロリドン(PVP)の影響を求め
た。モル置換度(MS)が0.6の2−ヒドロキシプロ
ピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)水溶液中
又は0〜0.5%(w/v)PVPを含有する2−ヒド
ロキシプロピル−α−シクロデキストリン(HPαC
D、MS=0.6)水溶液中のヒドロコルチゾン、17
β−エストラジオ−ル及びアセタゾラミドの溶解度相図
を求め、勾配から複合体の安定度定数を算出した(実施
例2参照)。
【0061】過量の薬物を、0、0.1、0.25又は
0.5%(w/v)PVP及び種々の量のHPβCD又
はHPαCDを含有する水に添加した。形成された懸濁
液は密封した容器中で120℃となるまで加熱し、その
温度で22分間維持した。6、20、30、40及び5
0℃で少なくとも7日間平衡を保った後、懸濁液の一部
分を容器から取り出し、それを0.45μmメンブラン
フィルタ−で漉過して、濾液をHPLCにより分析し
た。安定度定数は各温度で算出し、ΔHおよびΔSは、
A.Martin、J.SwarbrickとA.CammarataのPhysical Pharma
cy:The Physical Chemical Principles in the Pharmac
euical Scienes,Third Edition,Lea &Febiger,Philader
phia,1983,Chapter 13,pp.314-348に記述されている方
法で算出した。結果を表6〜表9に示す。
【0062】
【表 6】
【0063】
【表 7】
【0064】
【表 8】
【0065】ΔHとΔSは、分子複合体の安定度定数が
増大するにつれて一般的により負となることが知られて
いる(本実施例で引用しているMartin等の文献を
参照されたい)。薬物及びシクロデキストリン間の結合
が強くなるに従い、ΔHはより大きな負の値を持つこと
が予想される。明らかに、PVPは複合体の構造的な抑
制を増大し、ΔSの負の値がより大きくなる。これらの
熱力学的変化は、水溶性PVPポリマ−が複合体の形成
に直接的に関与していることを示している。
【0066】
【表 9】
【0067】
【実施例5】O.0〜0.1%(w/v)ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロ−ス4000を含有する、MSは
0.6の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキスト
リン(HPβCD)水溶液中のデキサメタゾンの溶解度
相図を、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス4000
を含有しない、或いは、0.1%(w/v)含有するH
PβCD水溶液中に過量の薬物を加え、懸濁液を密封容
器に入れてオ−トクレ−ブ(120℃で20分間)中で
加熱することにより求めた。
【0068】室温(約23℃)で少なくとも3日間平衡
化をした後、懸濁液をナイロン製の0.45μmメンブ
ランフィルタ−で濾過し、濾液をメタノ−ルと水の混合
液(7:3)で希釈し、HPLCで分析した。平衡化に
ついては、10日目まで懸濁液をさらに放置しても一層
の薬物の析出がなかったことから、3日で十分と思われ
た。デキサメタゾン−HPβCD複合体の見かけの安定
度定数を溶解度相図の勾配から算出し、化学量論比を
1:1と想定し(実施例2を参照)、純水中のデキサメ
サゾンの溶解度(2.8×10-4mol/l)を求め
た。この溶解度相図を図2に示す。
【0069】デキサメタゾン−HPβCD包接複合体の
安定度定数はHPβCD水溶液中にヒドロキシプロピル
メチルセルロ−スが存在しない場合には1230M-1
求められたが、0.1%ヒドロキシプロピルメチルセル
ロ−スが存在する場合には1550M-1と求められた。
これは、26%の増加である。半透過性セロハン膜を通
るデキサメタゾンの透過性に及ぼすHPβCDの影響を
調べた。膜を、10mlの5%(w/v)HPβCD水
溶液をレセプタ−相として含んでいるFranz拡散セ
ル中に設置した。ドナ−相(薬剤側)は、HPβCD水
溶液中或いはオ−トクレ−ブ(120℃で20分間)の
中で加熱しておいたHPβCD及び0.1%(w/v)
ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス4000の両方を
含む水溶液中のデキサメタゾンの0.5%(w/v)懸
濁液若しくは溶液から構成されていた。
【0070】3日間平衡を保せた、後ドナ−相の2.0
mlを膜表面(面積:3.1cm2)に投入した。組み
立てられた拡散セルを室温(約23°C)で保持し、サ
ンプル(30μl)を10分毎に2時間目までドナ−相
から採取し、直ちにHPLCにより分析した。各実験を
少なくとも3回繰返し、得られた結果を、流出デキサメ
タゾン(mg min-1cm-2)の平均値±標準誤差
(SE)で表した。
【0071】結果を図3に示す。図中、HPβCD(M
S=0.6)水性ドナ−相(図中、○印)中にはヒドロ
キシプロピルメチルセルロ−スは存在せず、ドナ−相
(図中●印)には0.1%のヒドロキシプロピルメチル
セルロ−スが存在する。ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースをHPβCD水性担体に添加するとデキサメタゾ
ン−HPβCD複合体の安定度定数は増加し、HPβC
D濃度−流出率(flux profile)特性は左
方偏位となった。安定度定数の増大は薬物の複合化を増
大させる結果となり、従って、各特定のHPβCD濃度
においてより多量の薬物分子がHPβCD分子と結合し
た。
【0072】
【実施例6】2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキ
ストリン(HPβCD、MS=0.6)水溶液からのヒ
ドロコルチゾンの経皮的デリバリーに及ぼすポリビニル
ピロリドン(PVP)の影響をin vitroで検討
した。
【0073】
【表 10】
【0074】頸椎脱臼により雌性ヘアレスマウスを屠殺
した。全背部皮膚を除去し、レセプタ−相とし5%(w
/v)HPβCD水溶液10mlを含むFranz拡散
セルに慎重に設置した。ドナ−相は、実施例1で記述し
たように調製された(a)8%(w/v)HPβCD水
溶液中若しくは(b)6%(w/v)HPβCD及び
0.25%(w/v)PVPの両方を含有する水溶液中
のヒドロコルチゾン過飽和溶液から構成されていた。H
PβCD及びPVPの量は、(a)と(b)が同等の薬
物溶解性向上をもたらすように選択された。ドナー相2
mlを、皮膚表面(面積:3.1cm2 )に投与した。
拡散セルは37°Cの水を定温水槽から還流させること
により定温に維持し、サンプル(500μl)をドナー
相から3日目まで種々の時間間隔で採取し、HPCLに
より分析した。この結果を表10に示す。表10による
と、ヒドロコルチゾンの経皮的デリバリ−は、PVP含
有担体(ドナ−相)からが約2倍速いことを明らかに示
している。
【0075】
【実施例7】《溶解性試験》 固形ヒドロコルチゾン−HPβCDの複合体を、58%
(w/v)2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリン(HPβCD、MS=0.6)及び0、0.1若
しくは0.25%(w/v)カルボキシメチルセルロ−
スナトリウム(CMC)を含有する水溶液に過量のヒド
ロコルチゾンを添加することにより調製し、形成された
ヒドロコルチゾン懸濁液を120℃で20分間加熱し
た。3日間室温で平衡させた後、懸濁液を0.45μm
メンブランフィルタ−で濾過し、濾過物を凍結乾燥し、
形成された固形物を乳鉢と乳棒で粉砕した。HPβCD
中に導入されたヒドロコルチゾンの量を、HPLCによ
り求めた。
【0076】ヒドロコルチゾン−HPβCD複合体20
0mgの各円盤を、13mm(直径)IR臭化カリウム
錠打錠機を用いて、真空下及び1×104 kgの力で
1.5分間水圧プレスで圧縮した。各円盤は、約27m
gのヒドロコルチゾンを含んでいた。USPXXIIの
中で記述されている溶解率測定法のパドル法により、溶
解試験を実施した。放出率を、一錠を900mlの水に
添加して、37±1℃、100rpmで求めた。サンプ
ルを種々の時間間隔で採取し、0.45μmメンブラン
フィルターで漉過し、HPLCで分析した。各実験を3
回繰返し、得られた結果を平均値で表す。
【0077】図4のとおり、CMCの存在なしで調製さ
れた錠剤からよりもCMCの存在下で調製されたヒドロ
コルチゾン−HPβCD複合体含有錠剤からの方がヒド
ロコルチゾンの溶解が有意に速いことを示している。図
4で示されている結果は、4回の試験の平均である。溶
解試験は0時で開始した。3分後、CMCの添加なしで
形成されたヒドロコルチゾン−HPβCD複合体含有錠
剤からは68.3%のヒドロコルチゾンが溶解し、0.
1%(w/v)CMCを添加して形成されたヒドロコル
チゾン−HPβCD複合体含有錠剤からは74.2%の
ヒドロコルチゾンが溶解し、さらに0.25%(w/
v)のCMCを添加して形成されたヒドロコルチゾン−
HPβCD複合体含有錠剤からは81.0%のヒドロコ
ルチゾンが溶解した。
【0078】
【実施例8】8種類の異なる溶媒、すなわち、(a)水
(S1 )、(b)0.25%(w/v)カルボキシメチ
ルセルロ−スナトリウム(CMC)水溶液(S2 )、
(c)0.25%(w/v)ポリビニルピロリドン(P
VP)水溶液(S3 )、(d)0.25%(w/v)ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロ−ス(HPMC)水溶液
(S4 )、(e)モル置換度(MS=0.6)の10%
(w/v)2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリン(HPβCD)の水溶液(S5 )、(f)0.2
5%(w/v)CMC及びMSが0.6の10%(w/
v)HPβCDの両方を含有している水溶液(S6 )、
(g)0.25%(w/v)PVP及びMSが0.6の
10%(w/v)HPβCDの両方を含有している水溶
液(S7)、及び(h)0.25%(w/v)HPMC
及びMSが0.6の10%(w/v)HPβCDの両方
を含有している水溶液(S7)中の種々の化合物の溶解
度(S)を、過量の被試験化合物を溶媒に加え、形成さ
れた懸濁液を密封した容器の中で120°Cまで加熱し
て求めた。サリチル酸の溶解度は、酸性(HCl)溶液
中で求めた。懸濁液を、この温度で20分間維持し、そ
の後室温(約23℃)で3日間平衡させた。
【0079】平衡後、溶液の一部分を0.45μmメン
ブランフィルタ−で濾過し、メタノ−ルと水の混合液
(7:3)で希釈し、高速液体クロマトグラフィ−(H
PLC)法により分析した。表11の結果は、HPβC
Dの溶解性向上効果は、0.25%ポリマ−(CMC、
PVP又はHPMC)が溶液中に存在する場合には2〜
134%(溶解度比が1.02〜2.34)増大したこ
とを示している。
【0080】
【表 11】
【0081】
【発明の効果】以上のとおり、本発明は、シクロデキス
トリンに水溶性ポリマ−を加え、その水溶液を、所定の
時間、加熱することにより、シクロデキストリンを水中
又は緩衝液中に単純に溶解させて作られた溶液よりも、
その水性溶液への溶解性を格段に向上、増大させること
ができ、これによって、薬物、食品添加物、化粧品添加
物又は農薬とシクロデキストリンとの複合化を強化し、
その溶解性を大幅に増大させることができる。
【0082】また、本発明は、シクロデキストリンに水
溶性ポリマ−を添加し、その水溶液を、所定の時間、加
熱することにより、シクロデキストリンによる、水中に
不溶であるか、やや溶けにくいか、不安定である薬物、
食品添加物、化粧品添加物又は農薬の溶解性を向上させ
るとともに、その安定化効果を格段に増大させることが
でき、またこれにより、製剤上必要とされるシクロデキ
ストリンの量を少なくすることができる。
【0083】さらに本発明による、薬物、食品添加物、
化粧品添加物又は農薬とシクロデキストリンに水溶性ポ
リマ−を加え、その水溶液を、所定の時間、加熱するこ
とにより得られた複合化剤を含む組成物は、その薬物、
食品添加物、化粧品添加物又は農薬の放出が迅速であり
且つ効率的である等の諸効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】室温における、10%(w/v)HPβCD
(MS=0.6)水溶液中のヒドロコルチゾンの溶解性
に及ぼすPVP濃度の影響を示す図。
【図2】室温(23゜C)における、0.0%(図中、
○印)及び0.1%(図中、●印)ヒドロキシプロピル
メチルセルロ−スを含有するHPβCD(MS=0.
6)水溶液中のデキサメタゾンの溶解度相図。
【図3】室温における、HPβCD(MS=0.6)濃
度と半透性セロハン膜を通るデキサメタゾンの0.5%
(w/v)懸濁液又は溶液を含有するHPβCD(MS
=0.6)水溶液からのデキサメタゾンの平均流量との
関係図。
【図4】ヒドロコルチゾン−HPβCD複合体(図中、
■印)、HPβCD−CMCの比率が500:1のヒド
ロコルチゾン−HPβCD−CMC複合体(図中○印)
及びHPβCD−CMCの比率が200:1のヒドロコ
ルチゾン−HPβCD−CMC共複合体(図中●印)を
含有する錠剤からのヒドロコルチゾンの溶解特性を示す
図。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シクロデキストリンと薬物との複合化法に
    おいて、0.1〜70%(重量/体積)のシクロデキス
    トリンと0.001〜5%(重量/体積)の水溶性ポリ
    マ−とを使用し、薬物を添加する前に、シクロデキスト
    リンとポリマ−とを水性媒体中に溶解し、このシクロデ
    キストリンとポリマ−とを含有する水性媒体を、薬物の
    添加前、添加中及び/又は添加後の0.1〜100時間
    の間、30〜150℃に維持することによりシクロデキ
    ストリンと薬物との複合を強化することを特徴とするシ
    クロデキストリンと薬物の複合化法。
  2. 【請求項2】シクロデキストリンと化粧品添加物、食品
    添加物又は農薬との複合化法において、0.1〜70%
    (重量/体積)のシクロデキストリンと0.001〜5
    %(重量/体積)の水溶性ポリマ−とを使用し、化粧品
    添加物、食品添加物又は農薬を添加する前に、シクロデ
    キストリンとポリマ−とを水性媒体中に溶解し、このシ
    クロデキストリンとポリマ−を含む水性媒体を、化粧品
    添加物、食品添加物又は農薬の添加前、添加中及び/又
    は添加後の0.1〜100時間の間、30〜150℃に
    維持することによりシクロデキストリンと化粧品添加
    物、食品添加物又は農薬との複合を強化することを特徴
    とするシクロデキストリンと化粧品添加物、食品添加物
    又は農薬との複合化法。
  3. 【請求項3】水性媒体中への薬物の溶解性の向上及び/
    又は安定化法において、0.1〜70%(重量/体積)
    のシクロデキストリンと0.001〜5%(重量/体
    積)の水溶性ポリマ−とを使用し、薬物を添加する前
    に、シクロデキストリンと水溶性ポリマ−を水性媒体中
    に溶解し、このシクロデキストリンとポリマ−とを含有
    する水性媒体を、薬物の添加前、添加中及び/又は添加
    後の0.1時間〜100時間の間、30〜150℃に維
    持することを特徴とする水性媒体中への薬物の溶解性を
    向上させ及び/又は安定化させる方法。
  4. 【請求項4】水性媒体中で、化粧品添加物、食品添加物
    又は農薬の溶解性の向上及び/又は安定化法において、
    0.1〜70%(重量/体積)のシクロデキストリンと
    0.001〜5%(重量/体積)の水溶性ポリマ−とを
    使用し、化粧品添加物、食品添加物又は農薬を添加する
    前に、シクロデキストリンとポリマ−とを水性媒体中に
    溶解し、このシクロデキストリンとポリマ−とを含有す
    る水性媒体を、化粧品添加物、食品添加物又は農薬の添
    加前、添加中及び/又は添加後の0.1〜100時間の
    間、30〜150℃の温度に維持することを特徴とする
    水性媒体中への化粧品添加物、食品添加物又は農薬の溶
    解性を向上させ及び/又は安定化させる方法。
  5. 【請求項5】薬物、化粧品添加物、食品添加物又は農薬
    を含有したシクロデキストリンと水溶性ポリマ−との共
    複合体であって、シクロデキストリンのポリマ−に対す
    る重量比が4:1〜50,000:1であることを特徴
    とする薬物、化粧品添加物、食品添加物又は農薬を含有
    したシクロデキストリンと水溶性ポリマ−との共複合
    体。
  6. 【請求項6】(a)0.1〜70%(重量/体積)のシ
    クロデキストリンと0.001〜5%(重量/体積)の
    水性ポリマ−とを含み、水性媒体中で薬物をシクロデキ
    ストリンと複合化させることにより調製された薬物複合
    体であって、(b)これが、薬物を添加する前に、シク
    ロデキストリンとポリマ−とを水性媒体に溶解させ、こ
    の水性媒体を、薬物の添加前、添加中及び/又は添加後
    に、0.1時間〜100時間の間、温度30〜150℃
    に維持することによって得られたものであり、また
    (c)そのための毒性のない、製剤学的に容認可能な担
    体を含むことを特徴とする薬物組成物。
  7. 【請求項7】(a)0.1〜70%(重量/体積)のシ
    クロデキストリンと0.001〜5%(重量/体積)の
    水溶性ポリマ−とを含み、水性媒体中で、化粧品又は食
    品をシクロデキストリンと複合化させることにより調製
    された化粧品又は食品複合体組成物であって、(b)こ
    れが、化粧品又は食品を添加する前に、ポリマ−とシク
    ロデキストリンとを水性媒体に溶解させ、この水性媒体
    を、化粧品又は食品の添加前、添加中及び/又は添加後
    の0.1〜100時間の間、30〜150℃に維持する
    ことにより得られたものであり、また(c)そのための
    毒性のない、製剤学的に容認可能な担体を含むことを特
    徴とする、化粧品又は食品組成物。
  8. 【請求項8】(a)0.1〜70%(重量/体積)のシ
    クロデキストリンと0.001〜5%(重量/体積)の
    水溶性ポリマ−とを含み、水性媒体中で、農薬をシクロ
    デキストリンと複合化させることにより調製された農薬
    複合体組成物であって、(b)農薬を添加する前に、ポ
    リマ−とシクロデキストリンとを水性媒体に溶解させ、
    この水性媒体を、農薬の添加前、添加中及び/又は添加
    後の0.1〜100時間の間、30〜150℃に維持す
    ることにより得られたものであり、また(c)そのため
    の毒性のない、農学的に容認可能な担体を含むことを特
    徴とする農薬組成物。
  9. 【請求項9】シクロデキストリンの対ポリマ−重量比が
    4:1〜50,000:1であることを特徴とする請求
    項6〜8記載の組成物。
  10. 【請求項10】薬物、化粧品添加物、食品添加物又は農
    薬の溶解性の向上用及び/又は安定化用の複合化剤であ
    って、この複合化剤は、シクロデキストリンと水溶性ポ
    リマ−とを含み、シクロデキストリンの対ポリマ−重量
    比が4:1〜50,000:1であり、この複合化剤
    が、シクロデキストリンとポリマ−とを水性媒体中で
    0.1〜100時間の間、30〜150℃で加熱するこ
    とにより調製されたものであることを特徴とする、薬
    物、化粧品添加物、食品添加物又は農薬の溶解性を向上
    用及び/又は安定化用の複合化剤。
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