JPH07164575A - 多層よりなるスラッシュ成形靴およびその製造法 - Google Patents

多層よりなるスラッシュ成形靴およびその製造法

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JPH07164575A
JPH07164575A JP5343051A JP34305193A JPH07164575A JP H07164575 A JPH07164575 A JP H07164575A JP 5343051 A JP5343051 A JP 5343051A JP 34305193 A JP34305193 A JP 34305193A JP H07164575 A JPH07164575 A JP H07164575A
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JP
Japan
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plastisol
plasticizer
slush
shoe
mixed
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Application number
JP5343051A
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English (en)
Inventor
Tomoyuki Kimura
知幸 木村
Tetsuya Kamimura
上村  哲也
Shigeki Yamamoto
繁樹 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BAAKO KK
Achilles Corp
Original Assignee
BAAKO KK
Achilles Corp
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Publication date
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 靴底の諸機能が大巾に改善・向上したスラッ
シュ成形靴とその製造法を提供する。 【構成】 靴底の全部または一部2が熱硬化性可塑剤お
よび耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化
物からなり、その他3がポリ塩化ビニル樹脂を混合した
プラスチゾルの加熱ゲル化物からなるスラッシュ成形
靴。公知の2回注入によるスラッシュ成形法を用いて製
造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層よりなるスラッシ
ュ成形靴およびその製造法に関し、特に靴本体のうちの
靴底の全部または一部の材質と靴本体のその他の部分の
材質とが異なる多層よりなるスラッシュ成形靴およびそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ポリ塩化ビニル樹脂より
なるスラッシュ成形靴は、初めに革や合皮等の素材を使
って実際の靴を製作してオリジナルモデルとし、このオ
リジナルモデルの外面に金属メッキを施す電気鋳造法に
より靴の形をした筒状のスラッシュ成形用モールドを製
作しておき、こうして製作したスラッシュ成形用モール
ドの中にポリ塩化ビニル樹脂を流し込み、その周りを短
時間加熱することによりスラッシュ成形用モールドの内
面にポリ塩化ビニル樹脂を一定の厚さ半ゲル化状態で形
成し、次に未ゲル化状態の余分のポリ塩化ビニル樹脂を
スラッシュ成形用モールド外に排出し、さらに全体を加
熱してスラッシュ成形用モールド内の半ゲル化された皮
膜を完全に固化することにより、靴底とその他の部分と
からなる靴本体部品であるスキンを製作し、冷却・脱型
後にこのスキンに靴裏布材から縫製される裏布(インナ
ーブーツ)と中底やファスナー等の部品とを縫製・接着
等により組み付け、塗装を行って、最終製品に仕上げら
れる。なお、排出された余分のポリ塩化ビニル樹脂は回
収されて循環工程に送られ、次回以降の注入に使用され
る。
【0003】このスラッシュ成形靴は、オリジナルモデ
ルの外面に金属めっきを施して製造したスラッシュ成形
用モールドを用いるためにスラッシュ成形用モールドの
内面にはオリジナルモデルに用いた素材、ステッチさら
には切足しデザイン等がそのまま忠実に再現されて優れ
たデザイン表現を得られるとともに、靴本体のうちの靴
底とその他の部分との間に継ぎ目や縫い目がなく完全な
筒状であるために高い防水・防湿機能を得られるため、
これまで、長靴等の防寒靴として大量に製品化されてき
た。
【0004】近年、スラッシュ成形靴は、その優れた量
産性に基づき従来の防寒靴に止どまらず、例えばレイン
シューズ、カッターシューズさらにはパンプスといった
様々なデザインの短靴への拡大適用が検討されるように
なってきた。
【0005】しかし、スラッシュ成形による短靴は革製
や合皮製といった他の短靴と完全に競合するため、スラ
ッシュ成形靴に対しては、靴底以外の靴本体が適当な硬
度、強度および風合を確保したまま靴底のより一層の機
能の向上、例えば靴底の強度、耐シガレット性(耐熱
性)、耐摩耗性およびガソリンスタンドや各種食品工場
等での使用を勘案した耐油耐薬品性、さらにはこれらに
加えて降雪地での使用を勘案した防滑性等の靴底部分の
諸機能の総合的な向上が必要である。
【0006】靴本体の機能を変化させることなく靴底に
ついて前述の諸機能を向上させるには、これらの両者を
別材料とすることが最も確実な手段である。そこで、従
来から提案されている、スラッシュ成形靴の靴本体のう
ちの靴底と靴底を除くその他の部分とを別材料で構成す
るスラッシュ成形技術を以下に列記する。
【0007】(1)特公昭40−13590号公報 スラッシュ成形用モールドを予め加熱しておき、その内
面底部にビニル樹脂プラスチゾル(ポリ塩化ビニルペー
ストレジン:100重量部、可塑剤ヂオクチルフタレー
ト:30重量部、可塑剤ヂオクチルアヂペート:20重
量部、安定剤:3重量部、着色剤:1重量部)を注入し
てゲル化させ、さらにビニル樹脂プラスチゾル(塩化ビ
ニル酢酸ビニル共重合体ペーストレジン:100重量
部、可塑剤ヂオクチルフタレート:45重量部、可塑剤
ヂオクチルアヂペート:30重量部、安定剤:3重量
部、着色剤:1重量部)を所要高さまで注入し、所要厚
さに型内面に層着ゲル化せしめ、余剰の未ゲル化プラス
チゾルを完全に排出して層着ゲル化層を完全に溶融する
ものであり、通常の組成を有する2種のプラスチゾルの
2回注入を行って2層スラッシュ成形靴を製造する基本
技術である。
【0008】(2)特開昭48−6834号公報 靴金型に熱硬化性可塑剤を混合したプラスチゾル(ポリ
塩化ビニルペーストレジン:100重量部、可塑剤ジ−
2エチルヘキシルフタレート:65〜85重量部、熱硬
化性可塑剤トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト:5〜25重量部、触媒ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド:0.1〜0.5重量部、安定剤Ba−Cd−Zn有
機複合体:2重量部、安定剤有機錫マレート系化合物:
1重量部)を靴金型の上端部まで一杯に注入し、靴金型
の底面を外部から加熱して金型内壁の底部および胛被下
周縁部に半ゲル化層を付着させてから、未ゲル化プラス
チゾルを排出し、以後常用のプラスチゾル(ポリ塩化ビ
ニルペーストレジン:100重量部、可塑剤ジ−2エチ
ルヘキシルフタレート:70〜90重量部、安定剤Ba
−Cd−Zn有機複合体:2重量部、安定剤有機錫マレ
ート系化合物:1重量部)を用い、注入、加熱および排
出を繰り返し、ヒール芯を組み込んでから最終的に加熱
する方法であり、この方法によれば、靴本体のうちの靴
底だけでなく靴底を除くその他の部分も2層構造にな
る。
【0009】(3)特開昭56−70702号公報 スラッシュ成形用モールドの内部の所定位置まで内壁を
汚さないようにポリ塩化ビニルプラスチゾル(ポリ塩化
ビニルプラスチゾル用レジン:100重量部、可塑剤ジ
−2−エチルヘキシルフタレート:85重量部、安定剤
ジ・ブチルチン・ジラウレート:1.5重量部、安定剤
エポキシ大豆油:1重量部、白色顔料:2重量部)を注
入し、加熱して内面に適当な厚さの半ゲル化層を付着せ
しめ、未ゲル化ポリ塩化ビニルプラスチゾルを真空吸引
して排出し、上記のポリ塩化ビニルプラスチゾルとは異
色および/または異物性のポリ塩化ビニルプラスチゾル
(ポリ塩化ビニルプラスチゾル用レジン:100重量
部、可塑剤ジー2ーエチルヘキシルフタレート:90重
量部、安定剤ジ・ブチルチン・ジラウレート:1.5重
量部、安定剤エポキシ大豆油:1重量部、黄色顔料:2
重量部)をスラッシュ成形用モールドの履口形成部上端
のやや上方まで注入し、加熱により適当な厚さの半ゲル
化層を付着させ、未ゲル化ポリ塩化ビニルプラスチゾル
を真空吸引または適当な手段により排出する方法であ
り、1回目に注入したポリ塩化ビニルプラスチゾルの排
出時におけるスラッシュ成形用モールドの内面上部への
付着を防止して高い商品価値のスラッシュ成形靴を製造
するものである。
【0010】(4)特公昭58−35683号公報 スラッシュ成形用モールドの底面に開閉自在の孔部を設
けておき、所定位置まで内壁面を汚さないようにポリ塩
化ビニルプラスチゾル(塩化ビニル乳化重合レジン:1
00重量部、可塑剤ジー2ーエチルヘキシルフタレー
ト:85重量部、安定剤ジ・ブチルチン・ジラウレー
ト:2.5重量部、安定剤エポキシ大豆油:3重量部、
白色顔料:2重量部)を注入して加熱により内面に適当
な厚さの半ゲル化層を付着せしめ、未ゲル化ポリ塩化ビ
ニルプラスチゾルを前記孔部より排出し、前記のポリ塩
化ビニルプラスチゾルとは異色および/または異物性の
ポリ塩化ビニルプラスチゾル(塩化ビニル乳化重合レジ
ン:100重量部、可塑剤ジー2ーエチルヘキシルフタ
レート:90重量部、安定剤ジ・ブチルチン・ジラウレ
ート:2.5重量部、安定剤エポキシ大豆油:3重量
部、黄色顔料:2重量部)をスラッシュ成形用モールド
の履口形成部上端のやや上方まで注入し、加熱により適
当な厚さの半ゲル化層を形成せしめ、未ゲル化ポリ塩化
ビニルプラスチゾルを適宜方法により排出した後、加熱
により内面に付着している半ゲル化層を完全にゲル化せ
しめる方法であり、一回目に注入したポリ塩化ビニルプ
ラスチゾルの排出をスラッシュ成形用モールドの底面に
設けた孔部により行うものである。
【0011】(5)特公昭59−37963号公報 スラッシュ成形用モールドに靴底用として耐油性重合型
ポリエステル可塑剤を多量に配合したプラスチゾル(ポ
リ塩化ビニルペーストレジン:100重量部、一次可塑
剤:20〜70重量部、重合型ポリエステル可塑剤:5
0〜100重量部、安定剤:2〜4重量部、顔料:1〜
5重量部)の一定量を注入し、加熱状態下で半ゲル化さ
せて踏付部が3〜6mmの肉厚となる耐油性底を形成
し、次に上方から外層用プラスチゾル(ポリ塩化ビニル
ペーストレジン:100重量部、一次可塑剤:70〜1
00重量部、安定剤:2〜4重量部、顔料:1〜5重量
部)を注入充満させ、所望の肉厚が付着するまで加熱し
た後、未ゲル化のプラスチゾルを排出してゲル化を完了
させて、冷却後に取り出す方法であり、各種食品工場や
ガソリンスタンド等の油性環境下で使用されるスラッシ
ュ成形靴の靴底の耐油性の向上を図ったものである。
【0012】(6)特公平2−23572号公報 塩化ビニル樹脂ペーストレジン100重量部、アクリル
樹脂10〜50重量部、液状ニトリルゴム5〜45重量
部、および液状ニトリルゴムに対する架橋剤2重量部を
主成分とするプラスチゾルからなるスラッシュ成形靴用
外底成形用組成物であり、スラッシュ成形靴の靴底の耐
寒性、柔軟性さらには屈曲性の向上を目的にニトリルゴ
ムを用いたものである。
【0013】(7)特公平4−50802号公報 スラッシュ成形用モールドの踵底部に熱伝導性の良好な
突出壁により囲繞区画されたインサート片成形用のプラ
スチゾル(ポリ塩化ビニルペーストレジン:100重量
部、アクリル樹脂:20重量部、液状ニトリルゴム:1
0重量部、可塑剤:40重量部、安定剤:4重量部、架
橋剤:2重量部、架橋促進剤:1重量部、赤色顔料:2
重量部)を導入し、これを加熱により半ゲル化してイン
サート片を成形してから、上記のプラスチゾルとは異質
の靴本体成形用のプラスチゾル(ポリ塩化ビニルペース
トレジン:100重量部、可塑剤:70重量部、安定
剤:8重量部、紺色顔料:2重量部)を注入して、加熱
後に余分なプラスチゾルの排出および加熱を行う方法で
あり、囲繞区画に注入される材料を他の部分と別材料と
することを可能としたものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
の技術では、所望の強度、耐摩耗性、耐油耐薬品性およ
び耐シガレット性(耐熱性)さらには防滑性等を有する
靴底と、適当な硬度、強度および風合を有する前記靴底
以外のその他の部分とを備え、靴としての特性が総合的
に優れた多層よりなるスラッシュ成形靴を提供すること
はできない。
【0015】特公昭40ー13590号公報により提案
されたスラッシュ成形靴の製造法では、第一層である靴
底の可塑剤の配合量が比較的少ないため硬さは付与する
ことができるが、耐摩耗性、耐油性、耐薬品性、耐シガ
レット性(耐熱変形性)さらには防滑性等の靴底として
必要な機能を格別に向上させることはできない。
【0016】特開昭48ー6834号公報により提案さ
れた技術は生産ラインでは実施することが極めて難し
い。すなわち、可塑剤の一部(5〜25重量部)をアク
リル酸エステル系熱硬化性可塑剤であるトリメチロール
プロパントリメタクリレートにより置換するが、このア
クリル酸エステル系熱硬化性可塑剤は重合触媒としてジ
−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物を添加するた
め、加熱により過酸化物が分解・発熱して熱硬化性可塑
剤の分子が切れてラジカル重合反応が連鎖的に発生して
しまう。そのため、スラッシュ成形用モールドの中に熱
硬化性可塑剤を含むポリ塩化ビニルプラスチゾルを注入
して加熱すると、連鎖的に発生するラジカル重合反応に
より所望の肉厚以上にゲル化が進行して全体が固化して
しまったり、また固化が全体に進行しなくとも排出され
たポリ塩化ビニルプラスチゾルにおいて徐々にラジカル
重合反応が進行し、前述した循環工程で増粘したり自己
熱により固化が進行して循環できなくなってしまう。
【0017】特開昭56−70702号公報により提案
された技術は、第一層である靴底の未ゲル化ゾルを真空
吸引により排出する技術であり、第一層である底部、第
二層である胴部それぞれの配合は一般的なポリ塩化ビニ
ルプラスチゾルを使用するため、耐摩耗性、耐油耐薬品
性、耐シガレット性(耐熱変形性)さらには防滑性等の
機能を格別に向上させることはできない。
【0018】特公昭58−35683号公報により提案
された技術は、第一層である底部の未ゲル化ゾルをモー
ルド底面の孔部より排出する技術であり、第一層である
底部、第二層である胴部の配合も一般的なポリ塩化ビニ
ルプラスチゾルを使用するため機能を特別向上させるこ
とはできない。なお、この技術は、スラッシュ成形用モ
ールドの底面からの排出に多大な工数を要し、生産ライ
ンに適用することは困難である。
【0019】特公昭59−37963号公報により提案
された技術では、靴底の耐油性を確保することはできる
が、強度、耐摩耗性および耐シガレット性さらには防滑
性等の機能を向上させることはできないものである。
【0020】特公平2−23572号公報により提案さ
れたスラッシュ成形靴用靴底の組成物では、可塑剤がニ
トリルゴムに移行してニトリルゴムが膨潤・変形してし
まうため、実際に生産することは難しい。
【0021】さらに、特公平4−50802号公報によ
り提案された方法では、踵底部に熱伝導性の良好な突出
壁によって囲繞区画された成形室にプラスチゾルを導入
し、これを加熱半ゲル化して第一層を成形する技術であ
り、耐摩耗性、耐油耐薬品性、耐シガレット性、防滑性
等の機能を向上させるものではなく、現実の生産ライン
では注入時の跳ね返りを解消することはできず、囲繞区
画からのはみ出しやこぼれ出しを解消することはできな
い。
【0022】このように、従来から提案されている技術
では、スラッシュ成形靴に求められる諸機能を総合的に
改善することはできなかったため、例えば靴底の肉厚を
増大することや靴底を別部品として接着することにより
対応していたが、デザインの自由度を低下させるととも
に製造コストの上昇を招き、スラッシュ成形技術の利点
を享受することはできなかった。
【0023】本発明はかかる従来の技術の問題に鑑みて
なされたものであり、靴底以外の靴本体が適当な硬度、
強度および風合を確保したまま、靴底の強度、耐摩耗
性、耐シガレット性(耐熱変形性)および耐油耐薬品
性、さらにはこれらに加えて防滑性の総合的な向上が図
られるスラッシュ成形靴およびその製造法を提供しよう
とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明にかかる多層よりなるスラッシュ成形靴は、
靴本体のうちの靴底の全部または一部が熱硬化性可塑剤
および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾル、望ましく
は、防滑素材を混合すること、および/または着色透明
性を有することをさらに備えたプラスチゾルの加熱ゲル
化物からなり、靴本体のうちのその他の部分がポリ塩化
ビニル樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物から
なることを特徴とするものである。
【0025】また、本発明は、スラッシュ成形用モール
ドの底部内面の全部または一部を覆うように熱硬化性可
塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾル、望ま
しくは、防滑素材を混合すること、および/または着色
透明性を有することをさらに備えたプラスチゾルを注入
して加熱することにより前記底部内面の全部または一部
に半ゲル化状態の第一層を形成する第一工程と、前記ス
ラッシュ成形用モールドの上端開口部またはその近傍ま
でポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルを注入し
て加熱することにより前記第一層の表面および前記スラ
ッシュ成形用モールドの内面に半ゲル化状態の第二層を
形成する第二工程と、前記スラッシュ成形用モールドの
内面に残存する未ゲル化状態のポリ塩化ビニル樹脂を混
合したプラスチゾルの排出を行い、必要に応じてヒール
部にヒール用プラスチゾルを注入してから、加熱するこ
とにより前記第一層を架橋させるとともに第二層をゲル
化させる第三工程とを有することを特徴とする多層より
なるスラッシュ成形靴の製造法である。
【0026】
【作用】以下、本発明を作用効果とともに詳細に説明す
る。本発明にかかるスラッシュ成形靴(以下、「本発明
のスラッシュ成形靴」という。)の靴底において用いる
熱硬化性可塑剤は硬化前は液体であるため第一層を構成
するプラスチゾルに混合すると、このプラスチゾルの粘
度を調整することができるためにスラッシュ成形用モー
ルド等への注入といった作業の作業性を改善することが
でき、特に、耐油性可塑剤は高分子量であるほど抽出さ
れ難く耐油効果が大きいが、高分子量であるほど粘度が
高く作業性も悪いため、粘度調整の効果は大きい。加熱
後は架橋して樹脂になり、また、後述するように熱硬化
性可塑剤の種類は豊富であり、硬化後の硬さが比較的柔
らかいものから硬いものまで数多く選択できるため、靴
底の硬度の設定もある程度自由に行うことができる。
【0027】熱硬化性可塑剤の種類を以下に列記する。 アリルエステル系熱硬化性可塑剤 フタル酸ジアリル、アクリル酸アリル、シアタール酸ト
リアリル、マレイン酸ジアリル、、マレイン酸ジクロル
アリル、イタコン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、ア
ジピン酸ジアリル、マロン酸ジアリル、グリコール酸ジ
アリル、アコニット酸トリアリル、リン酸トリアリル
等。
【0028】アクリル酸エステル系熱硬化性可塑剤 アリルメタクリレート、ジアリルフマレート、トリエチ
レングリコールジメタクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テ
トラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレ
ングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジメタクリレート、ブタン1,4ジオールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメ
チロールプロパンプロピレンオキサイド付加物トリアク
リレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、1,
3ブチレングリコールジメタクリレート等。
【0029】不飽和ポリエステル系熱硬化性可塑剤 分子内に何個かの二重結合を有する直線状ポリエステル
で加熱することによりラジカル重合する。
【0030】エポキシ系熱硬化性可塑剤 長鎖状や環状脂肪族エポキシ樹脂に脂肪族アミン類、酸
無水物等の硬化剤を加えて硬化させる。
【0031】特に、アリルエステル系熱硬化性可塑剤、
アクリル酸エステル系熱硬化性可塑剤は、重合触媒とし
て、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーベン
ゾエート(TBPB)、ジクミルパーオキサイド(DC
PO)、クメンハイドロパーオキサイド(CHPO)等
を添加して加熱することにより、ラジカル重合して硬化
する。
【0032】また、靴底に耐油性を備えた高分子量の可
塑剤を使用してガソリン、油類への抽出を少なくして、
ガソリンスタンドや各種食品工場での使用に対する適応
性をより一層向上するため、熱硬化性可塑剤を混合した
プラスチゾルに、さらに耐油性可塑剤を混合する。
【0033】耐油性可塑剤とは、アジピン酸系ポリエス
テル、フタル酸系ポリエステル等の重合型ポリエステル
可塑剤であって、重合度:800以上4000以下、望
ましくは1000以上3000以下の可塑剤である。重
合度800未満では食品工場等の植物油、動物油、ガソ
リン等に可塑剤が抽出されて硬くなり、耐油性の向上効
果が小さくなる。一方、重合度が2000以上4000
以下では耐油性の向上効果も大きくなるが、重合度が4
000を越えるとプラスチゾルの粘度が高くなり流動性
が著しく低下するため作業性が不足する。
【0034】熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合
したプラスチゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペースト
レジン:100重量部、一次可塑剤:10〜50重量
部、耐油性ポリエステル可塑剤:80〜40重量部、熱
硬化性可塑剤:10〜40重量部、触媒:0.3〜1重
量部、安定剤:2〜3重量部、顔料:0〜2重量部であ
る。
【0035】本発明のスラッシュ成形靴は、靴本体のう
ちの靴底の全部または一部が熱硬化性可塑剤および耐油
性可塑剤を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物により
構成されるため、架橋により靴底の耐熱性が向上し加熱
条件下にあっても溶融し難くなり、耐シガレット性(耐
熱変形性)が向上する。また、架橋により靴底の強度お
よび耐摩耗性も向上する。さらに、耐油性可塑剤を混合
しているため耐油耐薬品性も向上する。なお、熱硬化性
可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルをス
ラッシュ成形用モールドの上端まで注入して加熱する
と、ラジカル重合反応が連鎖的に発生しモールド内のプ
ラスチゾル全体が増粘したり固化して排出が困難になる
危険がある。また、架橋によりスラッシュ成形用モール
ドからの剥離が難しくなり脱型性が著しく低下し量産が
困難になるが、本発明にかかるスラッシュ成形靴では熱
硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾ
ルを用いるのは靴底の全部または一部だけであるため、
脱型性も余り低下せず、また、高価な熱硬化性可塑剤お
よび耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの使用量を必
要最少限に抑制することができるため、製造コストの上
昇を可及的抑制することができる。
【0036】本発明にかかるスラッシュ成形靴では、靴
本体のうちの靴底を除くその他の部分は、従来から用い
られている通常のポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラス
チゾルの加熱ゲル化物により構成されるため、従来のス
ラッシュ成形靴が有する硬度、強度さらには風合がいず
れも変化しない。
【0037】このようなポリ塩化ビニル樹脂を混合した
プラスチゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペーストレジ
ン:100重量部、可塑剤:80〜120重量部、安定
剤:2〜3重量部、顔料:1〜2重量部である。
【0038】本発明のスラッシュ成形靴では、靴底の原
料となる熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合した
プラスチゾルに、必要に応じて、さらに防滑素材を混合
しておくことにより、靴底の強度、耐油耐薬品性および
耐摩耗性に加えてさらに靴底の防滑性を向上することが
できる。防滑素材は一般に有色かつ不溶性な物であるた
め、靴本体のうちの靴底以外の部分に混入すると異物と
して認識されて外観品質が著しく劣下してしまうが、本
発明では靴底にだけ混合するため、外観品質を劣下させ
ることなく靴底に防滑作用を付与することができる。む
しろ、防滑素材を混合することにより靴底に確実に付与
できる防滑性を視覚に訴えることができるため、降雪地
等で販売されるスラッシュ成形靴の商品性を向上するこ
ともできる。
【0039】防滑素材の具体例としては、綿、スフ(ス
テープルファイバー)、レーヨン、アクリル、ビニロ
ン、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンさらにはガ
ラス繊維等の繊維であって太さが50デニール以下、長
さが3.0mm以下の比較的細くて短い繊維や、皮粉末
や、金属系ウイスカー、無機物系ウイスカーや、鉄、ア
ルミニウム等の金属粉末や、アルミナ粉末、セラミック
粉末や、架橋樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の不
溶性の粉末である。なお、粉末の防滑素材は、大きさ3
0メッシュ以下、望ましくは100メッシュ以下であ
る。
【0040】なお、熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤
を混合したプラスチゾル、ポリ塩化ビニル樹脂を混合し
たプラスチゾルともに同色、例えば黒色としておけば、
靴底および靴本体の接合部が目立たなくなり外観品質が
向上するが、さらに、靴底の原料となる熱硬化性可塑剤
および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルを着色透明
性を有するようにしておくと、スラッシュ成形によりス
ラッシュ成形用モールド内に1回目に注入した際のモー
ルド内面への跳ね返りや振動によりモールド内面への付
着があっても、後続して行われる加熱ゲル化までに自然
に流れ落ちて薄膜になった際に樹脂が透明であることか
ら目立たなくなって、製品段階において1回目注入によ
る跳ね返り跡を目立たなくすることができる。したがっ
て、跳ね返りに伴う手直工程を省略することができ、量
産性を要求されるスラッシュ成形靴として望ましい。な
お、靴底部に透明性のある熱硬化性可塑剤および耐油性
可塑剤を混合したプラスチゾルを用いるため、ゴムのク
レープやスモークの色相に近似させることによりゴムに
よく似た高品位の靴底にすることもでき、より商品性を
向上することができる。
【0041】熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合
したプラスチゾルに着色透明性を付与するには、通常の
場合に樹脂:100重量部に対して1〜2重量部程度使
用する顔料(ペースト状顔料やマスターバッチの場合は
顔料と混合してある樹脂や可塑剤の量は含まない。)
を、0〜0.2重量部、より望ましくは0.02〜0.
1重量部に低減する。
【0042】本発明のスラッシュ成形靴は、ヒール部や
踏み付け部等の靴底の一部に凹凸状意匠が存在する場合
は靴底の凸状意匠部は厚さが一層増すことになる。接地
部である靴底の凸状意匠部の高さ(厚み)が大であれ
ば、履用することによりその意匠部が磨滅・磨耗して、
靴底ベース厚部まで到達するのに長時間を要するため、
長時間要した分だけ防滑性等の効果の持続期間が長くな
ることとなり、より望ましい。
【0043】なお、熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤
を混合したプラスチゾルを原料として靴を製造するに
は、スラッシュ成形法以外に射出成形法があるが、射出
成形法では加熱後に成形を行うために架橋後に成形を行
うことになることが考えられるが、スラッシュ成形法で
は成形後に加熱して架橋を行うことになるため、加工の
自由度が多く、この点からも望ましい。
【0044】次に、本発明のスラッシュ成形靴の製造法
を添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、ス
ラッシュ成形用モールドの内部に形成された本発明のス
ラッシュ成形靴の垂直断面図である。本発明の製造法で
は、第一工程として、同図に示すように、スラッシュ成
形用モールド1の底部内面の全部または一部を覆うよう
に熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラス
チゾル、または防滑素材を混合すること、および/また
は着色透明性を有することをさらに備えたプラスチゾル
を注入して加熱することにより前記底部内面の全部また
は一部に半ゲル化状態の第一層2を形成する。
【0045】図1に示す実施例では靴底の前端側および
後端側に注入し、靴底の中央には注入しないが、靴底の
全面に注入してもよく、これは製造する靴の靴底に要求
する機能や製造コスト等に応じて適宜決定する。
【0046】注入は従来の手段と同様でよく、例えば、
注入ノズルをスラッシュ成形用モールド1内底部に向け
て配置し、適宜圧力をかけて注入する。注入の際にスラ
ッシュ成形用モールド1の内面に跳ね返り等の汚れがな
いように留意しながら注入圧力を調整するが、注入する
熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチ
ゾルが着色してあっても透明性を有する場合には、第二
層3の色を濃くすることによってスラッシュ成形用モー
ルド1の内面に付着があっても手直しをしなくとも比較
的目立たず自然に仕上がる。また、注入後の加熱時間も
従来と同様でよく、形成する靴底の厚さに応じて適宜調
整する。
【0047】本発明では、加熱により半ゲル化状態の第
一層2を形成した後、第二工程として、スラッシュ成形
用モールド1の上端開口部またはその近傍までポリ塩化
ビニル樹脂を混合したプラスチゾルを注入して加熱する
ことにより第一層2の表面およびスラッシュ成形用モー
ルド1の内面に半ゲル化状態の第二層3を形成する。
【0048】ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾ
ルを注入する高さは、製品として必要な高さに応じて適
宜決定する。また、注入後の加熱時間も従来と同様でよ
く、形成する靴本体の厚さに応じて適宜調整する。
【0049】この第二工程終了後に、第三工程として、
スラッシュ成形用モールド1の内面に残存する未ゲル化
状態のポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルの排
出を行ってから、必要に応じてヒール部にヒール用プラ
スチゾルを注入してから、充分に加熱することにより第
一層2を架橋させるとともに第二層3、ヒール部4をゲ
ル化させる。
【0050】未ゲル化状態のポリ塩化ビニル樹脂を混合
したプラスチゾルの排出、およびその後の加熱は公知の
手段で行う。
【0051】このようにしてスラッシュ成形靴のスキン
が形成されるため、冷却・脱型後にこのスキンにインナ
ーブーツと中底やファスナー等の部品とを縫製・接着等
により組み付け、塗装を行って最終製品とする。
【0052】以上のようにして、本発明にかかる方法に
より、靴本体であるスキンのうちの靴底以外の部分が適
当な硬度、強度および風合を確保したまま、靴本体のう
ちの靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐熱性)
および耐油耐薬品性、さらにはこれらに加えて防滑性等
の靴底部分の諸機能の総合的な向上が図られたスラッシ
ュ成形靴を製造できる。
【0053】
【実施例1】
【0054】
【表1】
【0055】表1に示す組成を有する第一層用の熱硬化
性可塑剤および耐油性可塑剤を混合するポリ塩化ビニル
ペーストレジンを図1に示すスラッシュ成形用モールド
1の内面底部の所定位置まで底部意匠を含んで2〜7m
mの厚さとなるように注入し、150℃で1〜2分間加
熱して、スラッシュ成形用モールド1の底面に半ゲル化
状態とした。
【0056】次に、上記組成にしたがい、第二層用ポリ
塩化ビニルペーストレジンをスラッシュ成形用モールド
1の上端まで一杯に注入して、180℃で1〜2分間加
熱してスラッシュ成形用モールド1の内面に所望の肉厚
の半ゲル化層を付着させた後、未ゲル化のプラスチゾル
を排出した。
【0057】さらに、上記配合にしたがい、ヒール用の
ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルをヒール部
相当部に注入して充填し、200℃で5〜7分間加熱し
て、第一層を充分に架橋させるとともに第二層3および
ヒール部4を充分にゲル化させた。そして、冷却後にス
ラッシュ成形用モールド1から取り出し、靴底および靴
本体がともに黒色の本発明例のスラッシュ成形靴とし
た。
【0058】一方、第一層に熱硬化性可塑剤および耐油
性可塑剤を含まないプラスチゾルを用い、他は全く同一
の条件により、比較例のスラッシュ成形靴を製造した。
【0059】これらの二種のスラッシュ成形靴の靴底の
強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐熱性)、さらに耐
油耐薬品性を以下のようにして評価した。 (強度)ショッパー型引張試験機により引張強度、伸
び、引裂き強度をそれぞれ測定した。 (耐摩耗性)ベルトサンダー式靴摩耗試験機により靴底
の摩耗を測定した。 (耐シガレット性)JIS K−6301 1号試験片
を靴底から切り出し、180℃×5分間オーブン中で吊
り下げ、溶融落下の有無、および落下しない場合の伸び
率を測定した。
【0060】また、製造した本発明例のスラッシュ成形
靴により実際にタバコを踏み付けて火を消し、靴底の溶
融・変形状態を確認した。 (耐油耐薬品性)JIS 3号オイルおよび大豆油それ
ぞれについて、40℃×96時間に加熱・保持して、J
IS 3号オイルおよび大豆油による可塑剤の抽出状況
を調査した。
【0061】結果を表2にまとめて示す。本発明のスラ
ッシュ成形靴は、従来のスラッシュ成形靴と同程度の靴
本体の強度、硬度および風合を備えており、さらに従来
よりも靴底は特に耐熱変形性(耐シガレット性)が優れ
ており、また、引張強度、耐摩耗性、耐油耐薬品性も向
上しており、本発明例は、従来から公知の2層スラッシ
ュ成形靴に比較して靴底の諸特性が向上したことがわか
る。
【0062】
【表2】
【0063】
【実施例2】表1に示すように、実施例1において、靴
底の原料である熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混
合したプラスチゾルに、防滑素材としてウイスカー(四
国化成工業(株)製)をさらに混合して、実施例1と全
く同様にして本発明のスラッシュ成形靴を製造した。
【0064】この本発明のスラッシュ成形靴について、
以下のようにして防滑性を評価した。 (防滑性)Pタイル、ビニール床材、氷上に靴を置き、
荷重10kgかけて引張り始動した時の応力を測定し
た。
【0065】結果を表2に示す。実施例1の結果と併せ
て、本発明のスラッシュ成形靴は、実施例1の効果に加
え防滑性も優れていることがわかる。
【0066】
【実施例3】表1に示すように、実施例1および実施例
2において、靴底の原料である熱硬化性可塑剤および耐
油性可塑剤を配合したプラスチゾルに混合される顔料
を、有機系クレープ色調色顔料0.1重量部に低減して
同様にスラッシュ成形靴を製造した。
【0067】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラ
スチゾルは着色透明性となり、第一回目の注入によるス
ラッシュ成形用モールドの内面の付着の手直しを行わな
くとも第二回目の注入により外観品質が優れたスラッシ
ュ成形靴を製造できた。
【0068】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、スラ
ッシュ成形靴の靴底と靴底を除いた靴本体とを別材料で
構成し、特に靴底は耐摩耗性、耐シガレット性(耐熱
性)、耐油耐薬品性に優れた熱硬化性可塑剤および耐油
性可塑剤を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物により
構成したため、靴本体の強度、硬度さらには風合等を従
来同様に維持したまま、靴底の諸機能を総合的に改善す
ることができた。
【0069】本発明では、靴底の原料となるプラスチゾ
ルに防滑素材を混合しておくことにより、靴底に防滑性
を付与することもできる。
【0070】本発明では、靴底の原料となるプラスチゾ
ルが有する顔料の量を低下して着色透明性を付与するこ
とにより、2回注入によるスラッシュ成形において、1
回目の注入に伴うスラッシュ成形用モールドの内面の汚
れの手直しを行う必要がなく、生産性の向上を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラッシュ成形用モールドの内部に形成された
本発明のスラッシュ成形靴の垂直断面図である。
【符号の説明】
1 スラッシュ成形用モールド 2 第一層 3 第二層 4 ヒール部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 靴本体のうちの靴底の全部または一部が
    熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチ
    ゾルの加熱ゲル化物からなり、靴本体のうちのその他の
    部分がポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルの加
    熱ゲル化物からなることを特徴とする多層よりなるスラ
    ッシュ成形靴。
  2. 【請求項2】 前記熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤
    を混合したプラスチゾルはさらに防滑素材を混合する請
    求項1記載の多層よりなるスラッシュ成形靴。
  3. 【請求項3】 前記熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤
    を混合したプラスチゾルは着色透明性を有する請求項1
    または請求項2記載の多層よりなるスラッシュ成形靴。
  4. 【請求項4】 スラッシュ成形用モールドの底部内面の
    全部または一部を覆うように熱硬化性可塑剤および耐油
    性可塑剤を混合したプラスチゾルを注入して加熱するこ
    とにより前記底部内面の全部または一部に半ゲル化状態
    の第一層を形成する第一工程と、前記スラッシュ成形用
    モールドの上端開口部またはその近傍までポリ塩化ビニ
    ル樹脂を混合したプラスチゾルを注入して加熱すること
    により前記第一層の表面および前記スラッシュ成形用モ
    ールドの内面に半ゲル化状態の第二層を形成する第二工
    程と、前記スラッシュ成形用モールドの内面に残存する
    未ゲル化状態のポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチ
    ゾルの排出を行ってから加熱することにより前記第一層
    を架橋させるとともに第二層をゲル化させる第三工程と
    を有することを特徴とする多層よりなるスラッシュ成形
    靴の製造法。
  5. 【請求項5】 前記熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤
    を混合したプラスチゾルは防滑素材を混合する請求項4
    記載の多層よりなるスラッシュ成形靴の製造法。
  6. 【請求項6】 前記熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤
    を混合したプラスチゾルは着色透明性を有する請求項4
    または請求項5記載の多層よりなるスラッシュ成形靴の
    製造法。
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